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微量細胞情報検出システム - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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微量細胞情報検出システム - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
「微量細胞情報検出システム」
事後評価報告書
平成14年6月
新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会
「微量細胞情報検出システム」
(事後評価)分科会
はじめに
「医療福祉機器技術研究開発」制度の下で実施された「微量細胞情報検出システ
ム」プロジェクトは、疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべ
き細胞レベルの変化情報を微量な生体試料の中から総合的に取得する事により早
期診断を行う微量細胞情報検出システムを開発することを目的として、平成 7 年度
から 6 年間の計画で開始されたものである。
今回の評価は、平成 13 年度に事後評価として、新エネルギー・産業技術総合開
発機構 技術評価委員会「微量細胞情報検出システム」分科会(分科会長:大橋正
洋、神奈川リハビリテーション病院 部長)において行われたものである。
本分科会では、当該分野に係わる国内外の研究開発動向や社会情勢の変化も踏ま
えつつ、プロジェクトの目的・政策的位置付け、目標・計画内容、研究開発体制や
運営状況、成果の意義、実用化可能性や波及効果、今後の展開等について評価を実
施した。
本書は、これらの評価結果をとりまとめたものである。
平成 14 年 6 月
新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会
「微量細胞情報検出システム」
(事後評価)分科会
新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術評価委員会
「微量細胞情報検出システム」(事後評価)分科会
分科会委員名簿
氏名
分科会長
おおはし
大橋
おかだ
岡田
分
かわかみ
川上
科
たけかわ
会
竹川
委
たつみ
巽
まさひろ
正洋
とくひろ
徳弘
よしゆき
神奈川リハビリテーション病院
シスメックス株式会社
エーザイ株式会社
ともこ
ATC エイジレスセンター
智子
のりゆき
典之
主幹研究員
事務局次長
澄男
すみお
埼玉大学
工学部
教授
ますじま
つとむ
広島大学
医学部
教授
努
兼
企画プロデューサー
大阪市立大学 医学研究科 教授 (H14.3 まで)
四天王寺国際仏教大学 人間福祉学科 教授 (H14.4 から)
時田
升島
部長
常務取締役
善之
員
ときた
所属、役職
敬称略、五十音順
事務局:新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価部評価業務課
新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術評価委員会
「微量細胞情報検出システム」(事後評価)分科会
審議経過
●第1回分科会(平成 14 年 1 月 24 日)10:00∼16:50
公開セッション
1. 開会(分科会長代理挨拶、資料の確認)
2. 分科会の公開について
3. 評価の手順等について
4. 評価の分担及び評価の論点等について
5. 評価報告書の構成について
6. プロジェクトの概要(質疑応答を含む)
7. 周辺動向調査(質疑応答を含む)
非公開セッション
8. プロジェクトの詳細(質疑応答を含む)
●第 2 回分科会(平成 14 年 4 月 3 日)13:00∼17:00
公開セッション
1. 評価の進め方について
2. 評価書(案)の審議及び確定
なお、本評価報告書は、第4回技術評価委員会(平成 14 年 6 月 14 日開催)にお
いて了承された。
目 次
はじめに
分科会委員名簿
分科会審議経過
評価概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1章 評価の実施方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 評価目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2. 評価者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 評価対象 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4. 評価方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5. 評価項目、評価基準 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1−1
1−1
1−2
1−2
1−3
1−3
第2章 プロジェクトの概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 国の関与の必要性、制度への適合性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2. 事業の背景・目的・位置づけ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 事業の目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4. 事業の計画内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5. 実用化の見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6. 今後の展開(政策目標達成までのシナリオ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 ・・・・・・・・
8. 研究開発成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9. 情勢変化への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10. 今後の事業の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2−3
2−5
2−6
2−8
2−9
2−19
2−21
2−21
2−21
2−34
2−34
第3章 評 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【Ⅰ.総論】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 総合評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2. 今後の研究開発の方向性等に関する提言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【Ⅱ.各論】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. NEDOの関与の必要性、制度への適合性に関する評価・・・・・・・・・・・・・・
2. 事業の背景・目的・位置付けに関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 事業の目標に関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4. 事業の計画内容に関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5. 研究開発成果に関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6. 情勢変化への対応に関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7. 実用化、事業化の見通しに関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8. 今後の展開に関する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3−1
3−1
3−1
3−2
3−3
3−3
3−4
3−5
3−6
3−7
3−8
3−9
3−10
第4章 評点法による評点結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2. 評点法の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 評点の利用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4. 評点方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5. 評点結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4−1
4−1
4−1
4−1
4−1
4−4
参考資料 1 プロジェクト説明資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 1−1
参考資料 2 周辺動向調査(報告書) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−1
参考資料 3 周辺動向調査(説明資料) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 3−1
評価概要
評価概要
【Ⅰ.総論】
1.総合評価
米国の少数メーカーに占有されている汎用的な装置を我国で開発し、国際的な市場
に参入することが出来るのであれば、意義のあることだと考える。
設定した性能の目標値はほぼ達成していると考えられるが、既存の製品と比較して
装置自体の格段の優秀さ、斬新さ、低価格化は見当たらず、また、他の類似装置の性
能と異なる本装置の特性でもって、細胞に関する新情報の発見ないしは新知見が得ら
れるツールとなるようなことも期待が持てない。進歩の早いこの分野の技術を常に捉
え先行せず、単なる汎用的な装置の開発に終始したことは大変残念である。
但し、本実施者には、事業化の計画があり、事業化を通して革新できる意欲を示し
ているので、その成果に期待したい。
2.今後の研究開発の方向性等に関する提言
既に十分な資金供給がなされているので、今後の事業化までのプロセスは、本企業
群で責任をもって行われるべきである。
装置自体だけでなく、ソフト開発と試薬開発が伴わなければ良好な対投資効果は得
られない。この点も配慮して、事業化に向けた開発が望まれる。
【Ⅱ.各論】
1.NEDO の関与の必要性、制度への適合性
本事業は関係機関の協力体制を構築すれば、単独企業でも実施出来るが、成功率の
低さ、成功による医療行政へのインパクトの大きさ及び外国製の製品に独占されてい
る分野での国産技術の育成を考慮すれば、NEDO 事業として関与することは妥当で
ある。
2.事業の背景・目的・位置付け
今後の高齢社会において、コストをかけない高度医療の実現は緊急課題であり、ガ
ン等の重要な疾病の超早期発見を目的とした微量細胞情報システム、すなわち革新的
な技術で低価格化をもたらし、高度診断用医療機器を国内外に普及するとした事業目
的は妥当であり、今後も重要な課題である。
1
3.事業の目標
フローサイトメトリーの装置開発という点では、細胞画像情報の取得解析部を除く
その他のハード面においては、立案時の目標達成度の設定、評価等は妥当であった。
しかしながら、フローサイトメトリーを利用した感染症、遺伝子の点変異、染色体
微細な異常を検知できる技法は現在のところ確立していない。本事業の応用例、例え
ばガン細胞の検知の培養細胞系を用いた細胞分析と分離はあくまで実験的なもので
あり実用性に関しての保証はない。もし本装置でもってその様な臨床診断法をも確立
するとすれば、より大きな研究チームを編成する必要があった。本事業の目的(ガン
等の超早期発見)と立案した目標に乖離があったと考えられる。
4.事業の計画内容
ハードは開発が可能な計画を立てたようにしか見えない。海外メーカーは試薬で収
益を挙げている現状にあり、フローサイトメトリー単体での事業展開では計画が甘い
と判断される。海外メーカーの開発速度を考えると事業期間の 5 年間で完全に製品化
を達成する目標を立てる等、この装置に合った検査薬や解析用ソフトの同時開発も含
めた積極的な計画を立てるべきであった。
5.研究開発成果
設定した性能の目標値はほぼ達成していると考えられる。
しかしながら、世界水準から見て凡庸であり、本装置に魅力的な特徴やコスト的優
位性は見出せない。国際競争力という点で疑問がある。
特許取得3件、論文発表2件では、もし商品として完成されても周辺特許で外国企
業との間に問題が生ずる可能性があろう。
6.情勢変化への対応
国の関与の必要性や事業の目的や位置付けは何ら変っていないが、多くの医学的、
工学的研究が進みつつある。それらの情報収集、分析が適時おこなわれ、それが6年
におよぶ研究計画に反映されるべきであった。この点において開発委員の役割や関与
のあり方にも課題が残されている。
7.実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
サンプル流送、光学的分析、特定細胞分離の要素技術はほぼ見極めがついており、
一応実用化の目処が立ったと言える。
また、開発過程におけるノウハウは、それが公表されるならば、将来の蛍光分析法
に対しての波及効果として、大いに期待できる。しかし、万が一、本事業が事業化さ
れないのであれば、国費を用いている以上、それらは可能な限り公開すべきである。
2
8.今後の展開(実用化までのシナリオ)
事業化の計画があり、一部現製品よりも優れた性能が獲得できているので、顧客ニ
ーズと合うように製品化出来るよう期待したい。
しかしながら、現時点で考えられる機能、性能、コストで汎用装置としての市場参
入可能かどうか再検討が必要である。また、海外製品が競合となるためさらに迅速な
商品化・販売計画が必要と思われる。
3
技術評価委員会における主なコメント
以下のコメントは、第4回技術評価委員会(平成14年6月14日開催)において本
評価報告書を諮り、当該委員より頂いたコメントをまとめたものである。事業実施者及
び評価事務局は本コメントを踏まえて今後の効果的な事業及び評価の実施に参考とす
る。
l
評価報告に基づくと委託者は情勢が変化(海外製品のスペック等)したにもかかわら
ず、なぜ6年もだらだら続けてしまったのだろうか。途中で何かできなかったのだろ
うか。今後は事前と中間評価も厳しくするという提言をこの評価報告書に書くと、本
プロジェクト以外にもNEDOや国にとっても有効。
4
第1章
評価の実施方法
第1章 評価の実施方法
NEDO は、「技術評価実施要領」(平成 13 年 5 月制定、同年 10 月改定)に
基づいて技術評価を実施する。「技術評価実施要領」は、以下の 2 つのガイド
ラインに定めるところによって評価を実施することになっている。
z 科学技術会議にて取りまとめられた「国の研究開発全般に共通する評価
の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成 9 年 8 月内閣総理大
臣決定、平成 13 年 11 月改定)
z 経済産業省にて取りまとめられた「経済産業省技術評価指針」
(平成 13
年 5 月経済産業省告示)
1994
暦年
法律
1995
科学技術基本法
1996
1997
9511
施行
1998
1999
平成13年12月現在
2000
2001
9806
行政施策
評価法
中央省庁等改革基本法 施行
9403
9611
0106 国会成立
0101 0204 施行予定
施行
9907 公布
政府
各省庁設置法
9806
科学技術 0103
閣議決定
基本計画
(第2 期)
9607
政府
科学技術 閣議決定
基本計画
9511
9707
大綱的指針 総理大臣決定
大綱的指針
9610
政策評価広
報課
0111
総理大臣決定
9912
政策立案・ 告示
経済産業省
評価指針
9905
技術評価課
×
評価指針
9708
告示
0005
評価指針(改定) 告示
9903
評価指針
(改定)
0105
告示
0010
NEDO
技術評価課
設置
0110
技術評価部
設置
1. 評価目的
実施要領において、評価の目的は、
z
z
z
評価をする者(評価者)と評価を受ける者(被評価者)が意見交換を
通じ研究開発の意義、内容、達成状況、今後の方向性等について検討
し、より効率的・効果的な研究開発を実施していくこと、
高度かつ専門的な内容を含む研究開発の意義や内容について、一般国
民にわかりやすく開示していくこと、
限られた研究開発リソースの中で、国の政策や戦略に対応した重点分
1−1
野・課題へのリソース配分をより効率的に実施していくこと、とされ
ている。
本評価においては、この趣旨を踏まえ、本事業の意義、研究開発目標・計画の妥
当性、計画と比較した達成度、成果の意義、成果の実用化の可能性等について検討・
評価した。
2. 評価者
実施要領においては、事業の目的や態様に即した外部の専門家、有識者からなる
委員会方式により評価を行うこととされているとともに、技術評価委員選定に当た
っては、以下の事項に配慮した選定を行うこととされている。
z 科学技術全般に知見のある専門家、有識者
z 当該研究開発の分野の知見を有する専門家
z
研究開発マネジメントの専門家、経済学、環境問題その他社会的ニー
ズ関連の専門家、有識者
z 産業界の専門家、有識者
また、評価に対する中立性確保の観点から事業の推進側関係者を選任対象から除
外し、また、事前評価の妥当性を判断するとの側面にかんがみ、事前評価に関与し
ていない者を主体とすることとしている。
これらに基づき、技術評価委員会分科会(以下、「本分科会」という)委員名簿
にある 7 名が選任された。
なお、本分科会の事務局については、新エネルギー・産業技術総合開発機構技術
評価部が担当した。
3. 評価対象
平成 7 年度から平成 12 年度までの計画で実施されている「微量細胞情報検出シ
ステム」プロジェクトを評価対象とした。
なお、本分科会においては、当該事業の推進部室(新エネルギー・産業技術総合
開発機構 健康福祉技術開発室)及び以下の研究実施者等から提出された事業原簿、
プロジェクトの内容、成果に関する資料をもって評価した。
研究実施者等:技術研究組合 医療福祉機器研究所
住友電気工業株式会社
藤沢薬品工業株式会社
旭テクネイオン株式会社
1−2
4. 評価方法
本分科会においては、当該事業の推進部室及び研究実施者からのヒアリングと、
それを踏まえた本分科会委員による評価コメント作成、評点法による評価及び実施
者側等との議論等により評価作業を進めた。
なお、評価の透明性確保の観点から、知的財産保護の上で支障が生じると認めら
れる場合等を除き、原則として、本分科会は公開とし、研究実施者と意見を交換す
る形で審議を行うこととした。
5. 評価項目、評価基準
本分科会においては、次に掲げる「研究開発事業評価における標準的評価項目・
評価基準」(平成 12 年 8 月 25 日、産業技術審議会評価部会)に準じ、大きく事業
全体及び研究開発項目別に分けて評価を行った。事業全体に係わる評価においては、
主に事業の目的、計画、運営、達成度、成果の意義や実用化への見通し等について、
評価をおこなった。各研究開発項目に係る評価については、主にその技術的達成度
等について評価した。
1−3
評価項目・評価基準
1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性
(1) NEDO の事業としての妥当性
z 経済産業省の政策方針に適合しているか。
(現在及び事業開始時点の時
代認識から見て)
特定の研究開発制度に属する事業として実施されているものについては、
当該制度の趣旨、目的(選定基準)への適合性を問う。
z NEDO の関与が必要とされるテーマか。(民間のみでは改善できないも
のであって、以下のような「市場の失敗」に該当しうるテーマか。(政
策立案・評価ガイドライン参照))
— 公共財的性格を持つ財・サービスの供給
— 環境問題等市場原理が働かない外部性
— 不確実性(リスクの高さ)や情報の偏在などに基づく市場の不完全
性等
z 上記以外で民間のみでは改善できない問題に対応するために、NEDO
の関与に公共性が認められるものか。
z 緊急性、重要性が高く優先して実施すべき事業か。
2. 事業の背景・目的・位置付け
(1)
事業目的・政策的位置付けの妥当性
z 評価時点の時代背景認識から見て、事業の目的は妥当で、政策的位置付
けは明確か。
z 事業開始時点の時代背景認識から見て、事業開始時の目的は妥当で、政
策的位置付けは明確か。
z 事前評価は、当時の時代背景認識から見て妥当なものであったか。
z 政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか。
3. 事業の目標
(1)
研究開発目標の妥当性
z 立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、目標達成のた
めに、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定しているか。
z 目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。
z エネルギー特別会計を使用している場合には、費用対効果分析など定量
的なエネルギー政策上の目標が立てられているか。
1−4
4. 事業の計画内容
(1)
研究開発計画の妥当性
z 目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配
分を含む)となっているか。
z 目標達成に必要な要素技術を過不足なく、取り上げているか。
z 研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か。
(2)
研究開発実施者の事業体制の妥当性
z 目標を達成する上で、事業体制は適切なものか。
z 各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか。
z 関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか。
5. 実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
(1)
成果の実用化可能性
z 産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか。
z 公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか。【注 3】
z 公共性は実際にあるか。見込みはあるか。【注 3】
(2)
波及効果
z 成果は関連分野へのインパクトを期待できるものか。
z 当初想定していなかった波及的な成果はあるのか。
z プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及
効果を生じているか。
6. 今後の展開(実用化までのシナリオ)
(1)
実用化の見通し
z コストダウン、導入普及、実用化までの期間、事業化とそれに伴う経済
効果等の見通しは立っているか。
z 研究開発を今後も現行の計画どおり継続することは妥当か。
7. 研究開発成果
(1)
計画と比較した目標の達成度
z 成果は目標値をクリアしているか。
z 全体としての目標達成はどの程度か。
z 立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、事業は研究開
発として成功したといえるか。また、評価時の時代背景から見てどうか。
(2)
要素技術から見た成果の意義
z 世界最高水準、世界で初めて、又は国際水準から見て優れた成果がある
か。
1−5
z
z
z
z
z
(3)
成果の普及、広報
z
z
z
z
(4)
新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか。
新たな市場創造につながるような新規性、先進性が認められるか。
汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか。
当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか。
将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのよ
うなものか。
論文の発表は、質・量ともに十分か。
特許は適切に取得されているか。
必要に応じ、成果の規格化に向けた対応が取られているか。
広報は一般向けを含め十分に行われているか。
成果の公共性【注 3】
成果の公共性を担保するための措置、あるいは普及方策を講じているの
か。(JIS 化、国際規格化等に向けた対応は図られているか、一般向け広報
は積極的になされているか等)
8. 情勢変化への対応
(1)
情勢変化への対応の妥当性
z 技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直し
たか。
z 計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮していたか。
(2)
研究開発実施者の運営の妥当性
z 意思決定、進捗状況、計画見直し等の検討が適切に行われているか。
z プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能し
ているか。
z プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含
む)への対応は適切であったか。
【注 1】
:評価項目・評価基準にある各項目の「重み」は、被評価プロジェクトの性格等に応じ
て、異なるものである。
【注 2】
:評価においては、プロジェクトに対する提言を含めて検討を実施するものとする。
【注 3】
:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。
1−6
(参考資料)
政策立案・評価ガイドライン(抜粋)
(平成 11 年 12 月経済産業省策定)
IV.評価事項
1.事前評価
(1) 施策・制度の必要性[どのような問題が存在するのか、なぜその問題を改善する上で行政の
関与が必要なのか]
民間活動のみでは改善できない問題であって、かつ、行政が関与することにより改善できる
ものが存在することを論証しなければならない。
行政の関与の必要性については、
「市場の失敗」と関連付けて説明すべきことを原則とする。
「市場の失敗」については以下に概念を示すが、より詳しくは、行政改革委員会「行政関与の
在り方に関する基準」(平成 8 年 12 月 16 日)の「行政関与の可否に関する基準」による。
行政関与の必要性の説明として、
「市場の失敗」に該当しないものも許容するが、その場合
には、上述した問題の存在することの説明や公共性が高いことの根拠はできる限り客観的に明
らかにしなければならない。
<市場の失敗>…行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」(平成 8 年 12 月)による
(a) 公共財的性格を持つ財・サービスの供給(経済安全保障、市場の整備、情報の生産、
文化的価値を含む)
複数の人が同時に消費できたり、対価の支払いなしに(まま)消費を制限することが
困難である財・サービスのことをいう。
例:市場ルールの形成
(b) 外部性
ある個人・企業の活動が、市場を経ずに他の個人・企業の経営環境に影響すること
をいう。好ましいものを正の外部性、好ましくないものを負の外部性という。
例:負の外部性の例として地球環境問題(正の外部性については、解釈に幅があると
される)
(c) 市場の不完全性
不確実性や情報の偏在(財や価格について取引の当事者間で情報量にばらつきがあ
ること)などがあるために市場取引が成立しないこと。
例:技術開発(不確実性)
、製品事故(情報の偏在)
(d) 独占力
独占力は、一般には、市場におけるマーケット・シェアやライバル企業と異なる品
質の製品を提供することによって生まれる価格設定力である。市場参加者が大きな独
占力を持っている場合には、行政の関与が許容される場合があるとされる。
(e) 自然独占
平均生産費が、市場で需要される産出量を超えても逓減するため、新規参入が利潤
をもたらさず、また 1 社だけ存在することが効率的になるため生ずる独占のことをい
う。
(f) 公平の確保
公平の確保を図るための施策については、機会の均等を図ることを第一とし、事後
的な公平については、所得・資産の多寡を基準とした再分配に原則として限定し、そ
れ以外の施策からは原則として撤退する、とされている。
1−7
第2章 プロジェクトの概要
当該事業の推進部室及び研究実施者から提出された事業原簿をもって、当該プロジェクトの
概要とする。
「微量細胞情報検出システム」
事業原簿
作成者
新エネルギー・産業技術総合開発機構
健康福祉技術開発室
作成時期
H13年9月21日
2−1
目
次
0.概要 .............................................................................................................................................. 2−3
1.国の関与の必要性・制度への適合性 ...................................................................................... 2−5
1.1
国が関与することの意義 .................................................................................................. 2−5
1.2
費用対効果 .......................................................................................................................... 2−5
2.事業の背景・目的・位置づけ .................................................................................................. 2−6
2.1 事業の背景・目的・意義 .................................................................................................... 2−6
2.2 事業の位置づけ .................................................................................................................... 2−7
3.事業の目標 .................................................................................................................................. 2−8
4.事業の計画内容 .......................................................................................................................... 2−9
4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容 ........................................................................ 2−9
4.2 研究開発項目毎の内容の詳細 ............................................................................................ 2−14
4.3 事業を担う研究開発実施主体の体制 ................................................................................ 2−15
5.実用化の見通し .......................................................................................................................... 2−19
5.1
事業全体についての実用化の見通し .............................................................................. 2−19
5.2
要素研究開発項目毎の実用化の見通し .......................................................................... 2−20
6.今後の展開(政策目標達成までのシナリオ) ...................................................................... 2−21
7.中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 ...................................... 2−21
8.研究開発成果 .............................................................................................................................. 2−21
8.1
事業全体の成果 .................................................................................................................. 2−21
8.2
要素研究開発項目毎の成果 .............................................................................................. 2−22
8.2.1
成果概要一覧 .............................................................................................................. 2−22
8.2.2
総表 .............................................................................................................................. 2−29
8.2.3
要素研究毎の成果 ...................................................................................................... 2−32
9.情勢変化への対応 ...................................................................................................................... 2−34
10.今後の事業の方向性 .............................................................................................................. 2−35
添付資料 .............................................................................................................................................. 2−35
1.基本計画等 .................................................................................................................................. 2−35
2.成果状況一覧 .............................................................................................................................. 2−40
3.研究開発に利用している主な施設・装置のリスト .............................................................. 2−41
2−2
0.概要
制度名
医療福祉機器技術研究開発
事業名 微量細胞情報検出システム
疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベ
事業の概要
ルの変化情報を微量な生体試料の中から総合的に取得する事により早
期診断を行う微量細胞情報検出システムの開発を行う。
本プロジェクトが目的としている細胞レベルの微量な変化を高精度に
分析、評価することにより感染の極初期の病態を検出、早期診断を行う
微量細胞情報検出システムの開発を行うためには、医学、生化学、物理
学、電子工学等の個々の要素技術に関する高度な専門知識、研究開発能
力を有する複数の研究機関による共同研究体制が不可欠である。また、
微量細胞情報検出技術開発は高齢化社会へ向けてのインフラ整備の一
貫として低コストな高度医療の実現のために極めて意義深いものであ
1.国の関与の必要
り、医療現場におけるニーズの的確な汲み上げと十分なフィールド試験
性・制度への適合
が必要なことから国の主導による研究体制が必要である。さらに、高齢
性
化の進展に伴い、ガン、心疾患といった成人病患者が今後一層増加する
ものと懸念されているが、これら疾病の多くは、発症の初期の段階で発
見することができれば、適切な治療を施すことにより完全治癒も可能で
ある。そこで、本研究では、疾病の本態である細胞レベルの情報を総合
的に取得して、疾病の早期発見を可能とする微量細胞情報検出システム
を開発することを目的としており医療福祉機器技術研究開発制度に適
合したものである。
感染の極初期段階で疾患を検知・発見できる高度診断システムは、極め
て必要性の高いものであり、その開発は現在の医療技術における最重要
課題の1つであるといえる。本研究開発は、このニーズに対応するもの
であり、病気の本態である細胞およびそれを含む体液を採取し、細胞レ
2.事業の背景・目 ベルの微細な変化を高精度に分析・評価することにより、感染の極初期
的・位置付け
の病態を検出・早期診断をおこなうことを目的とする。本システムを開
発することにより感染初期の微小な細胞レベルの異常の検出が可能とな
るため、治療効果の高い早期段階での診断の実現されると共に、細胞の
総合的な観点からの評価が可能であり、詳細な病態把握、確定診断が実
現される。
以下の性能を持つトータルシステムを開発する。①細胞の表面・内部に
存在する特定疾患関連分子(3 種以上)が光学的に高感度(数 100 分子
3.事業の目標
/細胞以下)に検出可能。②特定疾患関連分子を有する細胞を高精度(分
(全体目標)
離能 90%以上)かつ高速(10000 細胞/秒以上)に分離し、形態情報を
取得可能。③操作性、小型化(サイズ 1200×600×500mm 程度)の実現。
4.事業の計画内容
総 額
H7fy
H8fy
H9fy
H10fy
H11fy
H12fy
(単位:百万円)
(6年間)
一般会計
65
43
79
167
297
17
668
特別会計(電特)
特別会計(石特)
特別会計(エネ高)
総予算額(計)
研究開発体制
(実態に併せて記載)
65
43
79
167
297
17
668
工業技術院医療福祉機器技術研究開発調整室(開始時)
省内担当原課
産業技術環境局研究開発課(現在)
運営機関
新エネルギー・産業技術開発機構
委託先、分担 医療福祉機器研究所、住友電気工業株式会社、藤沢薬品
先
工業株式会社、旭テクネイオン株式会社
2−3
再委託先
共同研究先
5.実用化、事業化
の見通し
6.今後の展開
7.中間・事後評価
8.研究開発成果
9.情勢変化への対
応
10.今後の事業の
方向性
作成日
なし
なし
プロジェクト終了後には、臨床試験に移行可能と考えている。
開発したトータルシステムは、市販の高級ソータと簡易ソータの両方
の良い機能を満たすものとなっており、想定されるユーザは市販ソータ
両方のユーザに展開できると考えられ、かなりの需要が見込めるものと
考えられる。
事業終了後に事後評価を行なう。事後評価は提案時の実施計画書記載
の目標値に基づいた評価を行なう。
特許出願数:3件、論文:2件、講演:2件
基本計画の変更 該当せず
変更内容
同上
評価履歴
同上
終了評価結果に基づき事業の方向性検討を行う。
平成13年9月21日
2−4
微量細胞情報検出システム
担当原課:産業技術環境局研究開発課
実施者名:技術研究組合
医療福祉機器研究所
住友電気工業株式会社
藤沢薬品工業株式会社
旭テクネイオン株式会社
1.国の関与の必要性・制度への適合性
1.1
国が関与することの意義
微量な生体試料をもとに癌、成人病、自己免疫疾患等の早期発見、早期診断をおこなうシステ
ムの開発を実施する。現在、各種疾患克服のキーは、「早期発見と早期治療」にあるといわれてお
り、高齢者を中心に罹患が急増している癌、成人病、自己免疫疾患等においても、早期発見をも
とに適確な早期治療をほどこせば、大半が完全治癒可能となっている。しかし、現在、健康診断
等スクリーニング試験としておこなわれている血液、尿等をもとにした検体検査、X線、超音波
を用いる画像診断は、早期診断という観点からは未だ低いレベルにあり、多くの場合、進行後の
病態しか検知できないのが現状である。この点から、感染の極・初期段階で疾患を検知・発見で
きる高度診断システムは、極めて必要性の高いものであり、その開発は現在の医療技術における
最重要課題の1つであるといえる。本研究開発は、このニーズに対応するものであり、病気の本
態である細胞およびそれを含む体液を採取し、細胞レベルの微細な変化を高精度に分析・評価す
ることにより、感染の極初期の病態を検出・早期診断をおこなうもので、具体的には、スクリー
ニング試験への適用を可能とするため、検体の採取量の微量化・採取操作の低侵襲化、ならびに
早期の検出を可能とするため、検出・分析系の高感度化・高精度化をはかる技術開発をおこなう。
このような技術開発を進めるためには、以下に記述するように従来の枠を超えた新しい研究開発
方法を適用する必要がある。技術面から考えた場合、目的とするシステムを開発するためには、
医学、生化学、物理学、電子工学等の広範な技術的要素が背景として必要であり、従って、単一
の研究機関、企業が開発、評価し得るものではなく、個々の要素技術に関する高度な専門知識、
研究開発能力を有する複数のグループによる共同研究が必要不可欠である。また、医療現場にお
けるニーズの的確な汲み上げと十分なフィールド試験が必要なことから、国の主導による研究体
制の確立が望まれる。具体的には、産・官・学のそれぞれの役割分担に応じた共同研究体制の確
立が是非とも必要である。微量細胞情報検出技術開発は、高齢化社会へ向けてのインフラ整備の
一環として、低コストでの高度医療の実現のために極めて意義深いものであり、我が国が世界に
貢献するためにも重要な課題である。産官学一丸となった国家的プロジェクトとして推進すべき
である。
1.2
費用対効果
H15年度には、この装置を1台 2500 万円で販売して3∼4年後にはセルソータの市場(年間
約 100 億円)の 20%確保を目標としている。当該システムが普及し実用化すれば、細胞レベルの
微細な変化を高精度に分析、評価することにより、感染の極初期の病態を検出し、早期診断をお
こなうことが可能になる。
2−5
2.事業の背景・目的・位置づけ
2.1 事業の背景・目的・意義
<社会・経済的背景>
癌、成人病等疾患への罹患は、高齢者において急激に増加しており、高齢者の健康維持に対す
る大きな障害となっている。更にこれは、寝たきり老人化、早期痴呆老人化をひきおこす主要因
ともなっており、高齢者の Quality of life(高齢まで健康で豊かな生活をする)を確保維持する上
で克服すべき極めて重要な課題である。
これらの疾患の多くは、発症の極初期の段階で発見することができれば、適切な治療をほどこ
すことにより完全治癒が可能であり、これにより高齢まで健康を維持することが可能となるもの
である。例えば死因の第1位を占めるガン(日本人の約3人に1人が罹患し、約4人に1人が死
亡)においても、早期発見による早期治療の効果は絶大であり、胃ガン、乳ガン、子宮ガン等に
おいては、すでに早期発見時の完全治癒率は100%近いレベルに達しており、進行後の治癒率
が40%レベルであることをみれば、いかに早期発見が重要であるかがわかる。また、成人病と
して死因の第2位にある心疾患、特に虚血性心疾患においても動脈硬化の進行を早期に検出すれ
ば、適確な治療をほどこすことにより、発症を防ぐことも可能となっている。また、増加傾向に
ある糖尿病(患者数500万人:40才以上10人に1人が罹患)においても、その腎障害の進
行は不可逆であり、血管障害による高血圧症、四肢の麻痺等の合併症を併発しつつ悪化、末期に
いたるものであるが、病変の可逆性のある極く初期段階(point of no return 以前)で、早期発見を
すれば、治療・食事療法等により病気の進行を止め更には治癒に導くこともできる。その他の成
人病、自己免疫疾患、ウイルス性疾患等においても早期診断の重要性は同様であり、
「病気が進行
してから(=悪化してから)治すのではなく、感染、発症の極く初期段階で悪い芽を発見し、完
全につみとる」技術の確立は、高齢者の健康の維持において極めて重要な課題であるといえる。
しかし、現在、健康診断等スクリーニング試験としておこなわれている血液、尿等をもとにし
た検体検査、X線、超音波を用いる画像診断は、早期診断という観点からは未だ低いレベルにあ
り、多くの場合、進行後の病態しか検知できないのが現状である。この点から、感染の極・初期
段階で疾患を検知・発見できる高度診断システムは、極めて必要性の高いものであり、その開発
は現在の医療技術における最重要課題の1つであるといえる。本研究開発は、このニーズに対応
するものであり、病気の本態である細胞およびそれを含む体液を採取し、細胞レベルの微細な変
化を高精度に分析・評価することにより、感染の極初期の病態を検出・早期診断をおこなうこと
を目的とする。
<技術的背景>
細胞をもとにした診断に関しては、血液検査として末梢血中の血球の数や分布等を検査するこ
とがおこなわれており、また細胞の分子レベルの詳細な情報に基づく診断については、白血病等で
一部研究レベルで実施されているのを除き、臨床現場ではまだ日常的な検査のレベルに達しておらず
今後の課題となっている。しかし分子生物学、細胞生物学、免疫学等の基礎医学の進展により、
疾患と細胞の分子レベル情報との相関に関する知見が多く蓄積されつつある点、また一方で今後高
齢化社会に向け、医療技術として早期診断、確定診断技術の開発ニーズが極めて高くなっている点
2−6
を考慮すると現時点での本システムの開発着手は重要であり、必須のものと考えられる。
また本分野の技術に関しては、研究用途として開発されたフローサイトメーターが存在するが、操作性の
みならず精度の点で診断をおこなうには、不十分であり、また形態情報との統合については全く
考慮されていないのが現状である。
以上の背景をもとに国内外の大学、研究所では細胞レベル診断についての基礎的検討が開始され
ており、国内では東大、順天堂大、山口大、岩手大医大等、国内外においてはスタンフォード大、ワシント
ン州立大等において光学検出技術、標識物質の高感度化、高速細胞分離技術等に関し、新たな知見
が得られつつある。
<目的、意義>
このような社会的要請、技術的背景の下、細胞情報の高感度な光学検出技術と、特定された細
胞を高精度に分離する技術を開発し、それらを組み合わせて、微量な細胞情報を高感度に検出し
分離できるシステムを開発する。
2.2 事業の位置づけ
本システムは、病気、疾患の本態である細胞の情報を直接、総合的(分子レベル形態)にかつ高感度・
高精度に取得することにより、診断をおこなう点に特色がある。これにより、感染初期の微小な
細胞レベルの異常の検出が可能となるため、治療効果の高い早期段階での診断の実現されると共に、
細胞の総合的な観点からの評価が可能となるため、詳細な病態把握、確定診断が実現されると考
えられ、研究開発の成果が実用化に直結する技術開発との位置づけが可能である。
このため開発に際して①分子情報に関しては、超微量の分子を検出するため高感度光学検出技
術の開発。②形態情報に関しては、疾患関連の特定細胞を高精度高速分離する分取技術の開発③
臨床的に有用な診断情報として出力するための表示方式の仕様の確定が主要課題となる。
細胞上の分子情報の光学的な検出に関しては、主に米国、ワシントン州立大学等を中心に検出感度向
上等の研究が進められている。しかし、これらはいずれも研究レベルのものであり診断システムへの適
用できるレベルに達していない。また国内においては少なくとも文献等で見る限り本システムに関する
有力な技術開発の発表は見当たらない。住友電気工業㈱においては、光ファイバー、半導体レーザ等を
用い細胞情報の光学検出系の開発を進めており、超高感度光学検出技術の開発へ展開が可能であ
る。
特定細胞の分離に関しては、既述の通り多量に分離をおこなう装置として主に研究用途に使用
されているフローサイトメータがあるが、分離の精度と合わせた高速分離能に関して診断用途に適用できる
レベルにない。高精度高速分離については、米国スタンフォード大学を中心に基礎研究が進められている
が、国内においては類似の研究は見当たらない。これをもとに特定、細胞の分離分取技術の開発
を実施しており、旭テクネイオン㈱では、液体クロマトグラフィー等開発を通じ、生体試料を超高精度に
分離し検出する技術を有しており本システムにおける特定細胞の高精度分離技術への展開が可能であ
る。
本システムの診断用途としての仕様の策定ならびにその評価については、臨床で実使用可能か否か
の最も重要なポイントとなる。特に分子情報と形態情報を統合した細胞の総合的な情報の取得につい
ては、新たな観点の診断情報であり、臨床現場へ有用な情報としてどのような形で提示するかは
十分検討する必要がある。藤沢薬品工業(株)においては、研究レベルでのフローサイトメータに関し、10 数年
2−7
の事業ならびに研究開発実績があると共に、生体試料の画像情報の取り込み等細胞レベルの情報収
集技術の開発をおこなっており、これらの技術はトータルシステムならびに各要素技術開発への展開が可
能である。
3.事業の目標
(1) 事業の全体目標(値)
疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベルの変化情報を微量な
生体試料の中から総合的に取得する事により早期診断を行う微量細胞情報検出システムの開発を
行う。本システムは具体的に下記の性能を最終目標として持つ装置として完成させる。
① 採取した微量な生体試料をもとに細胞の表面および内部に存在する特定疾患関連分
子(パラメータ数:3 種以上)が光学的に高感度(数 100 分子/細胞以下)に検出可能な
こと。
② 特定疾患関連分子を有する細胞を高精度(分離能 90%以上)かつ高速(10000 細胞
/秒以上)に分離・分取し、形態情報を取得可能なこと。
③ 取得した分子情報、形態情報を臨床情報として提供可能な情報処理能力を有し、か
つ検査室で容易に操作でき、設置できる(サイズ 1200×600×500mm 程度)システムで
あること。
(2) 目標設定の理由
本システムは感染後、細胞上に提示される分子レベルならびに形態の微量な疾患情報をもとに診断をお
こなうシステムである。その検出方式は、分子情報に関しては、その感度の点から光学的に検出する
方式、形態情報については、精度の点から画像を検出する方式を採用した。
① 各疾患は細胞上の 1 種の分子で規定されることは稀であり、多くの場合 3 種以上の分子
の評価が必要となることから測定可能パラメータ数の最終目標を 3 種以上とした。また疾患
の評価においては特に細胞表面上のサイトカイン種の動態の同定が重要となることから、検出
感度としてこれらが検出可能なレベルである数 100 分子/細胞以下を最終目標を設定した。
② 特定疾患関連分子を有する細胞の取得については、その細胞の画像情報をもとに診断を
おこなうことから、目的の細胞を精密化分離することが必要であることから、分離精度
の最終目標を 90%以上とした。またその処理能力については、感染初期等目的細胞が採
取サンプル中に微量(10-4 以下)しか存在しない時点においても検出可能であることを考慮
し、10、000 細胞/秒を最終目標と設定した。
③ 本システムは最終的に臨床現場(中央検査室等)で使用されるものであり、医師検査技師等
が容易かつ有用に使用できることが必要となる。このため、臨床ニーズに応じた診断情報
の出力形式を有すること、十分使い易いこと、検査室等へ設置可能であること等を考慮
し操作性、サイズの最終目標を設定した。
2−8
4.事業の計画内容
4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容
(1)
計画内容の概要
多くの疾患(ガン、感染症、自己免疫疾患等)は、細胞レベルの異常にもとづいて発症している。
この異常とは、表面の多種のレセプター(発現の有無、種数、量)の変化、細胞内の蛋白質(各種伝
達物質)等の分子レベルの変化や、細胞内の顆粒の分布の変化、巨細胞化(サイズ変化)等の、形態
上の変化として表出される。(図1参照)
分子情報については、個々の疾患に対応する特定の分子群の存在が多く判明しており、まずこ
れらに特異的に結合するモノクローナル抗体(蛍光色素等でラベル)を用いることにより、標識をおこなう。
次にこの細胞群の各標識に対応した励起波長をもつレーザ光を照射し、標識より放出される蛍光等
を
検出することにより、細胞上の特定分子の有無、分布等の評価が可能となる。
特定細胞の分離については分子情報により、取得対象として認識された細胞に対し、直ちに高
電圧負荷により荷電させ、電界中通過時にローレンツ力により進路を変えることにより、分取をおこな
う方式を採用する。
形態情報については分取した後、石英ガラス等で把持し光学的に拡大、CCD によりデジタル画像と
して CRT 上に表示する方式とする。また細胞内の分子についても形態と同時または細胞より抽出
した後、画像解析できる方式とする。
①分子レベルの変化
…細胞表面分子/細胞内分子/核内→変化
表面分子群
②形態の変化
a)顆粒の変化←顆粒の増減(アレルギー等)
疾患特異的に発現
b)巨細胞化←HIV進行,LAK等
c)毛様細胞化(Smudged)←破壊細胞
d)Capping←表面分子の局在化
細胞内分子
蛋白質レベルの変化
核内
分裂期構造変化
[即時型アレルギー等]
これらの情報を総合的に評価
診断をおこなう
図 1
疾患による細胞の変化
2−9
等
<開発の課題>
分子情報の高感度検出に関しては、非侵襲性、感度、速度の点からレーザ等を用いた光学的手法
による測定方式を採用する。検出感度については、
数 100 分子/細胞の感度レベル実現を目指すが、
これは現状の感度を数倍上昇させる必要があり、このため検出系の高感度化、半導体レーザや光ファ
イバ-の採用による光学系の簡素化によるトータル光学的損失の減少等の検討を実施する。またこれと
合わせ細胞上の分子をラベルする検出用標識物質の高感度化の検討をおこなうことが必要となる。
形態情報の取得に際しては、まず目的とする特定疾患関連の細胞を高精度高速に分離する必要
がある。高精度化については、細胞の流送系の安定化に加え、細胞の標識の精密化、高感度化が
重要なポイントとなる。また高速化については、解析対象パラメータ(分子情報数)が多くなるに従い、
目的細胞の検出から分離にいたる処理時間の短縮がポイントとなり、このための高速の処理アルゴリズ
ムの開発が必要となる。
細胞の分子情報と形態情報の統合に関しては、臨床医が診断をおこなう際に使い易くかつ、有
用なデータを出力することが必要となるが、特に過去のデータとの相関をとること、またこのための
データベースに関する検討も重要となる。この点の表示/出力データベースの扱いについては、臨床サイド
の要請を十分汲み取り策定をおこなう必要がある。
<開発する方式>(図2参照)
生体より採取した試料(血液/組織)から不要な細胞、蛋白質等を除去後、診断対象細胞を希釈
し、微細なキャピラリー中を流送させる。
キャピラリー先端より細胞液を流出させ、超音波により一液滴当たり一細胞となる様、微粒化させる。
光学的計測法を用い各液滴中の細胞上の疾患関連分子の(複数種)を高感度、連続的に検出し分
子種の分布、細胞数割合等の分子情報データの取得をおこなう。更にこの情報をもとに疾患関連の
特定分子をもつ細胞のみを高精度・高速に分離、分取をおこなう。分取された細胞について、画
像を評価することにより、その形態情報(顆粒分布、サイズ等)を取得する。
更には、細胞内の分子情報の取得をおこなう。
取得した分子情報、形態情報を統合した情報として画面上に表示すると共に過去のデータとも相
関評価が可能なシステムとして診断情報を提供する方式とする。
2−10
サンプル細胞の
取得/標識付
特定細胞
分離
細胞の検出
標的細胞
レーザー
(多波長)
(キャピラリー)
検出系
採取・
単離
-V
(荷電)
形態情報の
取得
石英プレート
上に展開
+V
標識付
蛍光色素等
電界による
特定細胞分離
光学的分析
細胞画像取得等
病理データとの
相関
図 2
開発する方式
<システム構成>
本システムは大きく5つの構成を要素に分けられる(図3参照)
①サンプル流送部
生体より取得したサンプルである血液、組織を精製し、個々の細胞に分ける。具体的には、物理
的な撹拌後、遠心力又はフィルター等により計測対象とする細胞を高収率で回収する。更に診断目
的に対応する標識物質を混合しラベル後、不要の標識物質の除去をおこなう。本処理部は、本
体とは必ずしも一体である必要はなく、別途設置可能とする。
②光学的分析部
細胞の分子情報を得るため、微細キャピラリー中を流送後、試料にレーザ光等を照射しそこから放出
される複数の蛍光等を高感度に検出する部位であり、光源(レーザ等)
、光学系(光ファイバー等)
、
検出系(PM 又は PD 等)ならびにその制御系により構成される。
③特定細胞分離/単離部
光学的に検出された疾患関連の特定細胞のみを高精度に分離する部位であり、細胞を個々の
液滴化するための超音波加振部分離のため荷電させる高電圧印加部、分離をおこなうための
電界付加部ならびにその制御部より構成される。
④画像解析部
分取した細胞の形態情報を得るための部位であり、細胞を各々に石英ガラスで把持する試料台
部光学的に拡大する光学検出部、デジタル画像データをしてとり込み画面上に表示する画像表示
部より構成される。
2−11
⑤表示/出力部
取得された分子情報、画像情報を画面上に診断可能なデータ形式(含グラフ、表)として表示を
おこなう。
⑥制御/データ解析部
システム全体を統括制御し、取得データの高速解析をおこなう。
デ ー タ 解 析 部
特定機能の細胞
のみを電気的又
は力学的に分離
図 3
細胞の形態
の画像情報
を取得表示
開発機器の概念図
開発スケジュールを表1に示す。
2−12
表示/出力部
レーザ等により
表面レセプター
細胞内物質等を
検出、細胞腫、
細胞属性を解析
画像解析部
特定細胞分離/単離部
光学的分析部
サンプル流送部
採取した
細胞の安定
に流送
等
細胞の
解析データ
形態データ
の表示出力
表 1
サブテーマ
平成7年度
平成8年度
研究開発計画図
平成9年度
平成10年度
平成11年度
単位:百万円
平成12年度
計
研究開発
(1)要素技術の開発
設計/試作
調査/概念設計
評価/改良
①超高感度光学検出技術
14
70
40
設計/試作
調査/概念設計
40
164
評価/改良
②特定細胞高精度分離技術
2−13
9
67
40
仕様検討/設計
40
156
1次試作
2次試作
25
50
80
5
8
12
55
80
(2)トータルシステムの開発
4
39
198
(3)総合評価
(4)運営管理
当
初
実
計
施
画
額
額
3
14
10
12
8
5
52
30
190
120
150
100
60
650
65
43
79
167
297
17
668
4.2 研究開発項目毎の内容の詳細
(a)超高感度光学検出技術の開発
疾患・病態に対応して細胞の表面または内部に表出される種々の分子の多様なかつ微量な変化
をとらえることは、診断の精度向上、早期化において極めて重要であり、そのための超高感度検
出技術の開発が必要となる。このため光学検出系、ならびに細胞の標識物質の開発をもとにした
感度向上技術の開発をすすめる。
光学系については、検出波長(励起波長)に対応した光源レーザの仕様(出力強度、モード等)、導
光・集光系の方式(導波路、集光レンズ系等)
、検出器の仕様(感度、方式等)等の検討ならびに全
体レイアウト、調整方式について検討をおこなう必要があり、これらについてモデルシステムを作製し、評価
をおこなうことにより技術確立をはかる。
細胞の標識物質については、光学系の開発と合わせ、最終目標を満足する感度レベルを確保すべ
く高感度化の検討をおこなう。特に多種の分子の検出時の分解能の確保のためには、各種の出力
蛍光波長をもち、更にその各々について十分な検出感度を確保できる出力強度をもつ新しい高機
能標識物質の開発が必要となる。
(b)特定細胞高精度分離技術の開発
光学的に検出された細胞については、疾患関連の細胞として分離分取し、形態情報をはじめと
する各種の細胞情報の取得をおこなう。
分離技術としては、流送されている細胞液に対し超音波印荷し微粒化後、光学検出情報をもと
に分離対象となる細胞液滴のみを荷電・帯電させ高電界により分離する方式を採用するが、それ
に際し微粒化の安定化(1 細胞/1 液滴)のための超音波負荷条件、高速分離時の分離対象細胞
への帯電の高速処理アルゴリズム、電界条件ならびに画像解析部への分取・搬送方式等について開発
検討すすめる。
さらに分取した細胞の形態情報を取得のため画像解析をおこなうが、細胞診断レベルの画質確保
のための撮像方式について検討をおこなう。
また形態情報と合わせ、細胞内分子についても画像解析により情報を得ることを検討する。
(2)トータルシステムの開発
トータルシステムとしては、全体装置の仕様策定およびそれをもとにした各システムの構成、方式、性能目
標について検討をおこなう。さらに全体レイアウト、出力表示、操作性、サイズ等の検討をおこない臨床
ニーズ、最終目標に合致したシステムとしての評価をおこなう。開発の第 4 年度には、これら技術を統
合し 1 次試作をおこない基本性能レベルの評価をおこなうと共に更に第 5 年度には 2 次試作をおこ
ない、この評価、改良をもとに最終年度の目標に即した総合評価をおこなう。
一方これと並行し、本システムを用いてをおこなう疾患に関する研究レベルの知見ならびに開発ニーズ
について十分な調査をおこない、本システムにおける具体的な診断プロトコールとしてソフトウエア上に組み込む。
(3)総合評価
総合評価は、開発システムの臨床レベルでの評価であり、上記のごとく 2 次試作機の評価をもとに最
終評価をおこなう。本システム開発においては、要素技術の段階更に 1 次試作を含めた各段階で臨床
レベルの評価を実施することにより、臨床ニーズとの適合性を向上させることを検討する。
2−14
4.3 事業を担う研究開発実施主体の体制
(1)具体的な研究開発体制
経済産業省
新エネルギー・産業技術総合開発機構
委託
技術研究組合
医療福祉機器研究所
微量細胞情報検出システム開発委員会
分担
住友電気工業株式会社
藤沢薬品工業株式会社
旭テクネイオン株式会社
○技術研究組合
医療福祉機器研究所
昭和51年設立依頼、医療福祉機器技術研究開発に係わる51プロジェクト(終了39、
継続中12:平成9年度末)の企画、推進、効率的な運用等を行なっている。また、学
識経験者からなる開発委員会(必要に応じて実験評価委員会等)を組織開催し、研究開
発推進に関する事項の審議、指導および助言を戴き、かつプロジェクトに携わる研究者
相互の情報交換等を行なって、プロジェクトの効率的推進を行なっている。
○住友電気工業株式会社
住友電気工業(株)においては、①光ファイバー、半導体レーザー等を用いた高感度の光学計測技
術②血液細胞(免疫関連細胞)、組織細胞(肝臓等)の操作技術(in vitro 培養、増殖等)
ならびにそれをもとにした機能解析技術及びその自動化技術(ロボティクス等)③モノクローナル抗
体ペプチド等を用いた細胞表面分子の特異的検出技術 ④細胞の活性、生死等状態の画像
処理による検出技術等を実施しており、これら技術をもとに細胞分子情報の高精度検出
技術の開発を進めている。これらの技術は本研究開発の要素技術である超高感度光学検
出技術の開発への展開が可能である。
細胞上の分子情報の光学的な検出に関しては、主に米国、ワシントン州立大学等を中心に検出
感度向上等の研究が進められている。しかし、これらはいずれも研究レベルのものであり
診断システムへの適用できるレベルに達していない。また国内においては少なくとも文献等で
見る限り本システムに関する有力な技術開発の発表は見当たらない。住友電気工業(株)では、
本システム開発の基礎となる光学測定技術、バイオテクノロジー技術、エレクトロニクス技術について広汎の
2−15
研究実績を有しており、さらに、光ファイバー、半導体レーザ等を用い細胞情報の光学検出系
の開発を進めており、超高感度光学検出技術の開発へ展開が可能である。
○旭テクネイオン株式会社
旭テクネイオン㈱では、各種の研究用理科機器の開発を実施している。この中で特に液
体クロマトグラフィーの研究開発に関して 10 数年の実績を有し(OEM で国内トップメーカーより商品
化)①生体試料を超高精度に分離する技術 ②分取した生体試料を高精度、高感度に光学
的に検出する技術等を有しており、これら技術は本システムにおける特定細胞の高精度分取
技術への展開が可能である。
特定細胞の分離に関しては、既述の通り多量に分離をおこなう装置として主に研究用途
に使用されているフローサイトメータがあるが、分離の精度と合わせた高速分離能に関して診断用
途に適用できるレベルにない。高精度高速分離については、米国スタンフォード大学を中心に基
礎研究が進められているが、国内においては類似の研究は見当たらない。旭テクネイオ
ン株式会社では、臨床検査機器の開発を通じ血液・アミノ酸等生体試料の自動供給、自動分
析技術、細胞内のカルシウムイオンチャンネル等の画像解析技術等を有しており、これらはいずれも本
システム開発における特定細胞の高精度分離技術への展開が可能である。
○藤沢薬品工業株式会社
藤沢薬品工業(株)では、細胞情報の取得に関する研究レベル装置であるフローサイトメーターに関し、
10 数年の事業実績を有しており、それを通じ①細胞レベルの分子情報取得技術の開発なら
びに現状技術動向の把握 ②疾患関連の細胞上分子に対する特異的標識物質の開発 ③操
作性、出力表示診断データフォーマット等臨床ニーズの把握等をおこなっている。また ④細胞や染
色体等の標識物質によるラベル(in situ hybridization)をもとにした画像解析技術の開発
⑤細胞や遺伝子の評価、機能解析技術の開発等を実施しており、これら技術は本システムに
おけるトータルシステムの開発として仕様の策定、システム評価、ならびに要素技術として細胞の形
態の画像解析技術の開発への展開が可能である
本システムの診断用途としての仕様の策定ならびにその評価については、臨床で実使用可能
か否かの最も重要なポイントとなる。特に分子情報と形態情報を統合した細胞の総合的な情
報の取得については、新たな観点の診断情報であり、臨床現場へ有用な情報としてどの
ような形で提示するかは十分検討する必要がある。藤沢薬品工業(株)においては、医薬
品開発、医療関連機器技術の開発を通じ臨床診断分野の広汎の技術、研究実績を有して
おり、さらに研究レベルでのフローサイトメータに関し、10 数年の事業ならびに研究開発実績があ
ると共に、生体試料の画像情報の取り込み等細胞レベルの情報収集技術の開発をおこなっ
ており、これらの技術はトータルシステムならびに各要素技術開発への展開が可能である。
<当該体制を取る必要性>
本開発システムは細胞に蛍光標識を施す蛍光色素標識化技術、その蛍光を高感度に検出する高
感度光学検出技術、サンプルである細胞を高精度に流送する流送技術、検出した特定細胞を高精
度に分離する技術、分離した細胞を画像解析する技術等の広範囲に及ぶ開発が必須である。本事
2−16
業の研究開発には広い範囲におよぶ各社の技術を集積して、トータルシステムとして開発する必
要がある。
(2)
成果普及広報体制
各分担の研究開発においては成果が得られた場合には、一般向け学会向け問わずに積極的に普
及広報するとともに、医福研、NEDO、推進側にも通知する。また終了報告書は、医福研、NEDO、
推進側で管理され、一般への広報に活用される。既に特許出願3件等があるが、詳細に関しては
参考資料の成果状況一覧に掲載する。
(3)
事業運営(実施者、管理者)の現状、変更点等
<当初の研究開発担当者>
事業所名及び所属
住
友
電
気
工
業
㈱
藤
沢
薬
品
工
業
㈱
旭
テ
ク
ネ
イ
オ
ン
㈱
技
・
医
福
研
大阪研究所
バイオメディカル研究部
バイオメディカル研究部
バイオメディカル研究部
バイオメディカル研究部
バイオメディカル研究部
医療関連事業部
開発部
開発部 技術センター
開発部 技術センター
開発部
開発部
開発部 技術センター
第2営業本部
科学機器事業部
新門司工場 開発部
新門司工場 開発部
新門司工場 開発部
新門司工場 開発部
新門司工場 開発部
新門司工場 設計部
研究開発部
研究開発部
計
氏
名
山之内
丹 羽
小 郷
大 澤
中 田
昭 介
真一郎
克 幸
昌 彦
元 巳
部長
主幹
主任研究員
主査
主査
平
圓
山
影
村
牛
松
山
河
安
浜
松
河
田
本
羽
岡
征
克
達
俊
康
義
高
勝
悦
禎
康
時
開発部長
技術センター長
主任研究員
主査
主任
主任
理事・部長
事業部長
副部長
課長
主任
主任
林
入
下
平
山
島
永
本
村
永
田
本
野
村
田
鳥
本
22名
2−17
和
介
雄
介
二
治
明
重
男
文
彦
光
澄
義 典
幸 雄
賢 一
克 郎
役
係長
専務理事
研究開発部長
研究開発第一課長
職
<平成12年度研究開発者>
事業所名及び所属
氏
名
住 大阪研究所
バイオメディカル研究部(横浜)
友
バイオメディカル研究部(大阪)
電
バイオメディカル研究部(大阪)
気
バイオメディカル研究部(大阪)
工
バイオメディカル研究部(横浜)
業
バイオメディカル研究部(大阪)
㈱
バイオメディカル研究部(大阪)
バイオメディカル研究部(大阪)
バイオメディカル研究部(大阪)
藤 医療関連事業部
沢
事業部
薬
企画部 開発企画
品
営業部 技術センター
工
営業部 技術センター
業
㈱
旭 第2営業本部
テ 科学機器事業部
ク
科学機器工場医福研PJ
ネ
科学機器工場医福研PJ
イ
科学機器工場医福研PJ
オ
科学機器工場医福研PJ
ン
科学機器工場医福研PJ
㈱
科学機器工場医福研PJ
技
・ 研究開発部
医 研究開発部
福 研究開発部
研 研究開発部
古谷野 尚 志
山 本 勝 重
河 村 悦 男
安 永 禎 文
松 本 時 光
田 村 義 典
浜 田 康 彦
菊 地 尚 彦
本 田 幸 雄
松 田 正 敏
島 崎 優 人
池 内
博
白 石
孝
計
26名
役
丹 羽 真一郎
神 田 昌 彦
奥 田 泰 弘
中 田 元 巳
実 川 友 史
名 取 耕一朗
小副川 みさ子
林
文 弘
櫛 田 直 美
部長
主任研究員
主席
主査
平
村
山
鈴
調査役
課長
課長
課長
林
山
下
木
征
康
達
真
2−18
和
二
雄
吾
取締役
事業部長
副部長
副部長
係長
係長
係長
主任
専務理事
研究開発部長
研究開発第一課長
研究開発第二課長
研究開発第三課長
職
<微量細胞情報検出システム開発委員会>
全体計画の内容検討、国内外の関連技術動向調査及び本分野に関する医学、工学等の専門家か
ら構成される委員会を開催する。
氏
野 村
中 原
相 澤
奥 村
木 下
佐々木
杉 下
高 本
中 内
野 口
松 永
水 谷
名
和
一
益
一
功
啓
義
文
役
弘
彦
男
康
彦
典
匡
滋
光
夫
是
雄
職
国立がんセンター 中央病院 第2病棟部 部長
東京大学 医学部 臨床検査医学 教授
東京工業大学 生命理工学部 生物工学科 教授 (生命理工学部長)
順天堂大学 医学部 免疫学 教授
慶応義塾大学 理工学部 物理学科 教授
山口大学 医学部 第2病理 教授
(財)佐々木研究所附属 杏雲堂病院 副院長
愛知医科大学附属病院 輸血部 教授
筑波大学 基礎医学系 免疫学 教授
佐賀大学 理工学部 電気工学科 教授
東京農工大学 工学部 生命工学科 教授
産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所 生体分子工学部 機能材料研究室 室長
指導協力事項
助
助
助
助
助
助
助
助
助
助
助
助
5.実用化の見通し
5.1
事業全体についての実用化の見通し
完成したトータルシステムは、市販の研究用機器であるフローサイトメータと比較するとその
性能のもつ社会・経済的効果が浮き彫りになる。そこで、表3に光学検出性能、分離性能および
ユーティリティー関連の性能を縦軸に比較した。総合的には、開発したトータルシステムは市販
の簡易ソータとソータの中間位置に存在すると言える。光学検出性能に関しては、簡易ソータ並
の低出力レーザが使用可能であり、感度も簡易ソータ並のものが得られる。さらに低出力レーザ
のため装置全体がかなりコンパクトになる。検出パラメータは上位機種のソータ並の性能を持つ
ことが可能となった。分離性能に関しては、簡易ソータでは実現不可能であった高速(10,000 個
/sec)の分離が可能となり、上位機種のソータ並である。操作性に関しては、光軸調整やソート調
整が複雑であったソータよりかなり軽減され、簡易ソータ並の易操作を実現している。
このように開発したトータルシステムは、市販ソータの両方の良い機能を満たすものとなって
おり、想定されるユーザは市販ソータ両方のユーザに展開できると考えられ、日本で年間数百台
の需要が見込めるものと考えられる。また、従来上位機種であるソータは複雑な操作性と高価で
あることが相まって、使用できる施設が専任オペレータを常設できる特定の施設に限られてきた
のが日本での実状である。しかし、DNA 解析がハイスピードで進行し今後細胞の機能と相まって
生成される蛋白質の解析に研究が集中していく現在において、細胞内/表面分子の解析だけでは不
足で、分離したいというニーズは急速に高まると考えられる。この意味でも開発した微量細胞情
報検出システムは分離速度が遅いため検出にしか使用しなかった簡易ソータのユーザにも、さら
に、専任オペレータを置けない施設にも分離性能の供給を可能するため、その社会的意義は絶大
であると言える。
2−19
言
言
言
言
言
言
言
言
言
言
言
言
しかし、これを実現していくためには、①コスト面に関して簡易ソータ並の価格体系が必要で
あり、コストを視野に入れた設計変更が必要である、②性能面に関しては他のソータに若干おと
る CV 値以外の基本性能は満足できるものの、制御ソフトウェアを含めた操作性のさらなる向上
が必要である、③社会的課題では、この種のバイオ機器ではやはり抗体、蛍光色素を含めた消耗
品関連販売の両輪体制が必須でありその整備も必要である等の課題を克服する必要がある。
優:
劣:
光
学
検
出
能
性 能
簡易ソータ
トータルシステム
ソータ
励起レーザ
Ar (空冷) 15mW
LD635 15mW
Ar (空冷) 15mW
LD635 15mW
Ar (水冷) 300mW
色素 500mW
検出パラメータ
FITC / PE / PerCP
APC
FITC / PE / PerCP (PECy5) / PE-Cy7
APC / APC-Cy7
FITC / PE / (PE-Cy5)
TxR / APC
蛍光検出感度
287MESF
289MESF
370MESF
蛍光検出分解能
CV3%(CEN)
CV4%(CEN)
CV3%(CEN)
分離速度
200 細胞/秒
10,000細胞/秒
3,000-9,000 細胞/秒
分離純度
95%以上
95%以上
95%以上
分離回収率
?
70%以上(Rate10,000:ター
ゲット率100%)
?
光軸調整
無し
1軸/2軸 ⇒ 無し
Jet軸:X,Y,θ
光軸:X,Y,Z 各2軸
サイズ
92D X 62D X 67H
95D X 65D X 65H
183D X 198D X 82H
分
離
能
表 2
5.2
トータルシステムの性能比較
要素研究開発項目毎の実用化の見通し
(1)超高感度光学検出技術
本研究開発で培った高感度検出技術は、病気の本態である細胞およびそれを含む体液を採取し、
細胞レベルの微細な変化を高精度に分析、評価することにより、感染の極初期の病態を検出して
早期診断をおこなう臨床検査用の装置だけではなく、装置の小型化、操作性の改善の可能性があ
り、小型の専用解析装置としても展開が可能であり、関連分野への波及効果も極めて大きい。
(2)特定細胞高精度分離技術
本研究開発で培った特定細胞高精度分離技術は基本的には高感度光学検出技術を基に、その信
号出力を得て動作可能となってるが、単独でも実用化展開は可能であると考えられる。例えば、
市販の蛍光顕微鏡システムの光学検出信号と結合することにより、低速ではあるが顕微鏡下での
2−20
細胞分離というシステム化も可能である。この実現のためには、①低速向けかつ低コストの大幅
な信号処理回路の改良、②顕微鏡下に対応するための流送系、分離系の改造等が必要である。
6.今後の展開(政策目標達成までのシナリオ)
競合製品であるセルソータは大きく簡易ソータと高速ソータに分けられる。簡易ソータの価格は
約2500万円/台で日本では約300台/年が販売されており,約75億円/年の販売市場である。高速ソー
タの価格は約5000万円/台で,日本では約35台/年の販売がされており,約17.5億円/年の販売市場
である。これらの合計として,日本では92.5億円/年の販売市場であり,米国はこれの5倍程度で
ある。また,総市場は買い換え需要および耐用年数から推察すると,この販売市場の10-15倍と考
えられる。本システムは性能的には簡易ソータ並の高感度光学検出能・サイズを有するとともに,
高速ソータ並の高速分離速度を有しており,両者の優位特性を1台に集約し,易操作化を実現した
システムである。両者の市場を狙い,なおかつ現状では米国2社の独占状態になっている市場に新
規参入するために,価格的には簡易ソータ並の価格体系を取る必要がある。この価格体系で1年後
に実用化して新規参入すれば,上市後3-4年で少なくとも市場の20%のシェアを確保することは可
能と考えられる。また,本システムには市販セルソータには無い分離細胞の画像取得機能があるこ
とも相まって,細胞レベルの診断を可能にすることが期待される。
7.中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期
事業終了後に事後評価を行なう。事後評価は提案時の実施計画書記載の目標値に基づいた評価
を行なう。
8.研究開発成果
8.1
事業全体の成果
(1) 成果概要
第1の要素技術である超高感度光学検出技術の検討により、①励起光源系については光軸調整
の易操作化を目的に Ar Laser (488nm)および半導体 Laser(635nm)でのファイバによる導光励起
系 を確立 、②励 起光源系 の小型 化を目 的に小型 固体レ ーザ適 用の検討 し、半 導体レ ーザ
(633,680,780nm)と半導体励起 YAG レーザ(473,533nm)で蛍光ビーズを良好な感度と分解能で
検出できることを確認、③高感度光学検出部については、高感度検出を目的にファイバ、対物レ
ンズ、マイクロレンズ、パラボラリフレクターの光学検出方式を検討した結果、シングルレーザ
系に関しては、パラボラリフレクター検出系(約 200FITC 分子/細胞の感度)をさらに改良するこ
とにより超高感度に光学検出が可能であり、また、マルチレーザ系に関してはファイバ検出系(約
500FITC 分子/細胞の感度)を用いることにより、高 S/N かつ当初の目標を達成した感度で検出で
きることを確認した。
第 2 の要素技術である特定細胞高精度分離部の研究開発を通じて、①送液部のシース液送液系
に関しては、2プランジャー直列接続方式が並列接続方式より圧力変動を押さえられる事を確認
2−21
し、、装置の小型化のため小型プランジャーポンプ:耐圧100psi以上、最大流量10ml/
minで、従来比1/2サイズの直列接続タイプのデュアルプランジャーポンプを確立、また一
方でガス圧送方式に関しても技術確立、②細胞の注入系に関しては、プランジャポンプ注入方式
と、シリンジポンプ注入方式の2つを確立、③分離部については、細胞を高速に分離する方法と
して、圧電素子の振動を細胞液に直接伝え微粒化分離する内部振動型分離ノズル方式を確立、④
細胞画像取得方法の検討については、分離後の細胞観察が可能なスライド系の確立した。
これらの要素技術検討を踏まえ、全ての技術を統合するトータルシステムとして、平成10年
度には一次試作機、平成11年度には二次試作機を試作・評価完了した。一次試作機は各要素技
術を集積して原理を実証する装置との位置づけでバラックタイプの装置であり、要素技術検討の
中で検討した各技術が全体として機能し目標を達成できるかを検証した。二次試作機はさらに装
置サイズ、使い勝手等を視野にいれ小型の一体型装置として完成した。二次試作機は平成12年
度にはさらに最終目標を達成すべく各部の改良を加えるとともに、さらなるダウンサイジングや
易操作化を加味して最終改良機をとして完成した。
最終改良した二次試作機を用いて、最終的な詳細性能評価および臨床評価を実施し、本事業の
最終目標を達成しているとことを確認した。詳細性能評価に関しては、①光学検出性能として、
標準的な蛍光ビーズやヒトリンパ球、培養細胞を用いた蛍光標識サンプルを用いて、蛍光検出感
度、検出パラメータ、および操作性に関して詳細評価(全17項目)を実施し、最終目標をすべ
てクリアしている事を確認した、②細胞分離性能として、標準的な蛍光ビーズやヒトリンパ球、
培養細胞を用いた蛍光標識サンプルを用いて、分離速度、分離精度および操作性等の全14項目
の評価を実施し、最終目標をクリアしていることを確認した。臨床評価に関しては専門家である
5名の開発委員の先生により、①白血病患者血液細胞のマルチカラー解析、②6カラーによる蛍
光補正及び分離評価、③PI 染色 Daudi 細胞と正常リンパ球による CV 評価、④CCRE-CEM と正常
リンパ球の分離及び CGH 解析、⑤婦人科腫瘍関連サンプルの解析及び分離評価、を実施した。
この結果、疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベルの変化情報
を微量な生体試料の中から総合的に取得できる事を確認した。
8.2
要素研究開発項目毎の成果
8.2.1
(1)
成果概要一覧
トータルシステムの開発
微量細胞情報検出システムのトータルシステムとして、
① 図 4 は開発当初に想定してトータルシステムの完成予想図である。
② 平成10年度に原理実証機として一次試作機(図5)を試作し、要素技術検討を行
った超高感度光学検出技術および特定細胞高精度分離技術の実証ならびにトータル
での制御性の検討を行った。
③ 平成11年度にはバラックシステムでは無く、小型化を視野に入れ最終目標を達成
すべく二次試作機(図6)を試作し、最終目標達成の目処を得た。
④ 平成12年度に二次試作機をトータル性能およびサイズの面で改良を行い最終の二
2−22
次試作・改良機(図7)を開発し、最終性能達成と確認するとともに、臨床サンプ
ルを用いて評価を実施した。
(2)
本事業の最終目標性能と各要素技術およびトータルシステムに置ける開発課題を示す。
(図
8)
(3) 超高感度光学検出技術の開発
① 開発課題の中で小型化と検出パラメータのマルチ化をクリアし、二次試作に搭載し
た励起光源部(図9)
② 開発課題の中で、高感度検出、光軸調整の簡易化、ノズル調整フリー、サンプル流
送の安定化を一気にブレークスルーしたハイブリッド・フローセル(図10、11)
③ 開発課題の中で、光軸調整の大幅な簡易化、検出パラメータのマルチ化を実現した
光学検出システム(図12)
(4) 特定細胞高精度分離技術の開発
① 開発課題の中で、分離スピードおよび検出精度を同時に実現した信号処理回路(図
13)
② 開発課題の中で、高精度細胞分離を実現した分離部および細胞画像取得部(図14)
(5)
最終改良二次試作機の性能と本事業の最終目標性能を対比(図15)、最終目標が達成され
たことを示す。
2−23
図 4
図 5
トータルシステムの完成予想図
トータルシステムの一次試作機(平成10年度)
2−24
図 6
トータルシステムの二次試作機(平成11年度)
図 7
最終改良二次試作機(平成12年度)
2−25
性 能
トータルシステム性能
目標
光源部
検出パラ
2Laser 6Color 2レーザ必要
メータ
光
学
蛍光検出
検
分解能
出
能
蛍光検出
感度
分
離
能
CV3%(CEN)
操作性
サイズ
フローセル/流送部
信号処理部
⇒8パラメータ高速
⇒レーザDelay設
⇒2レーザ励起系 ⇒2レーザ対応検
処理,Compen
定可能
装備
出ファイバ
回路装備
⇒高N.A.ファイバ
低出力レーザ励
使用,光学マッ
起⇒高効率集光
チング最適化
数100MESF
(FITC)
制御部
⇒Compen処理
装備
S/N向上⇒ノイズ
最小化
Drop周波数≧
細胞パルス≦10
⇒蛍光検出
細胞パルス≦10
50KHz,Jet速度
μsec⇒細胞流
/Sort決定速度
μsec⇒レーザ集
≧20m/sec必要
速≧5m/sec:
≧50K細胞/sec
光最小化
⇒50psi圧力
50psi圧力
⇒PZT駆動信
⇒検出位置と
⇒サンプル流の幅
⇒Sort Modeの
号,偏向板電圧
Jetノズル間距離 /中心ずれの最
設定
の安定化
の最短化
小化
純度:90%以上
レーザ導光調整 対物レンズ調整
光軸調整・ソート
ノズル調整煩雑⇒
煩雑
煩雑⇒検出ファ
調整の易操作化
フローセル内検出
⇒ファイバ導光 イバ・Bonding
120 X 60 X
50cm
分離部
⇒高精度サンプ
⇒励起光源の出
⇒遮光性の向上 ル流送化(ΔW, ⇒低ノイズ化
力安定化
ΔC)
分離速度 10,000細胞/秒
分離能
光学検出部
水冷レーザX
⇒空冷 or 半
導体レーザ
図 8
⇒ソート調整1画
⇒Jet撮像CCD
面化(All PC制
の搭載
御)
⇒レーザのファイバ
⇒ファイバ検出→
導光→励起光源
検出部配置の自 ⇒1ラック化
部配置の小型化
由化
/自由化
最終目標性能と各要素技術の開発課題
図 9
開発した励起光源部
2−26
Inlet for particles in solution
Sheath liquid
Sample-injection/
Sheath-flow nozzle
H1
θ
1st Detection optical fiber
H2
2nd Detection optical fiber
Orifice
Jet in air
図 10
ハイブリッド・フローセルの概念図
Hybrid flow cell
Orifice nozzle
Collecting fiber-optics
図 11
試作したハイブリッド・フローセル
2−27
First laser (488nm)
emissions
FL4
785/50
FL3
Air-cooled
Argon ion
laser
FL2
Diode
laser
FL1
SSC
Optical
Fibers
Second laser (640nm)
emissions
730DM
680/30
600DM
FL6
570/40
785/50
550DM
530/40
730DM
505DM
FL5
488/10
Detection
optical
fibers
660/30
PD
Beam
Expander
488/10
Hybrid
Flow Cell
図 12
FSC
Pre AMP/Gain
SSC
Pre AMP/Gain
FL1
Pre AMP/Gain
FL6
Pre AMP/Gain
C
o
m
p
パ
ラ
メー
タ
セ
レ
ク
タ
FSC
光学検出部の光学系
LUT1 LUT2
MODE
Selector
(H/A/W,
Log/Lin,
A/D)
Sort
Setting
(Classing
/Delay
LUT5 LUT6
/Logic
/Former)
LUT7 LUT8
F
I
F
O
LUT3 LUT4
PZTドライブ
Timing Control
R/L
DD Freq/Volt
光学検出系 Hybrid
Flow
Cell
Laser(1st/2nd)
CCD
FSC
PMT
Control
SSC/FL1-4
Device
Control
Motor
FL5/6
PCI
Bus
I/F
Motor
Control
流送系
図 13
信号処理回路のブロック図
2−28
PCI
7200
Host
PC
図 14
性 能
最終目標
トータルシステム性能目標
トータルシステム評価結果
3以上
2Laser 6Color
2Laser 6Color
実現
-
CV3%(CEN)
CV4%(CEN)
蛍光検出感度
数100分子/細胞
数100MESF(FITC)
298MESF(FITC)実現
分離速度
10,000細胞/秒
10,000細胞/秒
10,000細胞/秒達成
分離能
90%以上
純度:90%以上
純度:90%以上
操作性
容易
光軸調整・ソート調整
の易操作化
光軸調整:2軸調整のみ
ソート調整:1画面化
サイズ
約120 X 60 X 50cm
120 X 60 X 50cm
95 X 65 X 65cm
検出パラメータ
光
学
検
出 蛍光検出分解能
能
分
離
能
試作した分離部と細胞画像取得部
図 15
8.2.2
最終目標とトータルシステムの評価結果
総表
総表を次頁の表2に示す。
2−29
表 3
目的・意義
年
度
研究目標
2−30
研究内容
(研究成果)
総
表
疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベルの変化情報を微量な生体試料の中から
総合的に取得する事により早期診断を行う微量細胞情報検出システムの開発を行う。
平成7年度
平成8年度
各要素技術の設
各要素技術の調 計・試作を行う。
査・概念設計を行 またトータルシ
う。
ステムの仕様検
討を行う。
平成9年度
平成8年度に引
き続き、各要素技
術の設計・試作を
行うまたトータ
ルシステムの仕
様策定を行う。
(1)要素技術検討
①超高感度光学検出技術
超高感度光学検
出技術に関して
目標仕様の検討
と概念設計を行
った。
励起光源系、サン
プル流送系、光学
検出系に関して
独自の方式を検
討・試作を実施し
た。
(1)要素技術検討
②特定細胞高精度分離技術
特定細胞高精度
分離技術に関し
て目標仕様の検
討と概念設計を
行った。
送液圧力系、細胞
画像取得系に関
して独自の方式
の検討・試作を実
施した。
平成8年度に検
討した各要素系
と組み合わせ、光
学検出部の設
計・試作・評価を
実施した。
平成8年度に検
討した各要素系
と組み合わせ、細
胞分離部の設
計・試作・評価を
実施した。
平成10年度
平成9年度に引
き続き各要素技
術の評価・改良を
行う。また、トー
タルシステムの
一次試作を行い、
総合評価を実施
する。
平成9年度まで
に取得した要素
技術を踏まえ、光
学検出部を試
作・評価を実施
し、目標達成の目
処が付いた。
平成9年度まで
に取得した要素
技術を踏まえ、細
胞分離部を試
作・評価を実施
し、目標達成の目
処が付いた。
平成11年度
平成10年度の
一次試作機の評
価を基に、二次試
作機の試作およ
び総合評価を実
施する。
平成12年度
平成11年度に
試作した二次試
作機の詳細評価
を実施し、改良試
作を行う。この試
作機を用いて臨
床評価を実施す
る。
年
度
研究内容
(研究成果)
平成7年度
平成8年度
(2)トータルシステムの研究
海外調査および
臨床ニーズを基
に、小型・易操作
性を目的にトー
タルシステムの
仕様検討を行っ
た。
海外調査および
臨床ニーズを基
に、小型・易操作
性を目的にトー
タルシステムの
仕様検討を行っ
た。
平成10年度
平成11年度
平成12年度
海外調査および
臨床ニーズを基
に、小型・易操作
性を目的にトー
タルシステムの
仕様検討を行っ
た。
光学検出部、信号
処理部、分離部お
よび制御部をト
ータルシステム
として組み込ん
だ一次試作機(原
理実証機)の仕様
検討・試作を実施
した。
光学検出部、信号
処理部、分離部お
よび制御部をト
ータルシステム
として組み込ん
だ二次試作機の
仕様検討・試作を
実施した。
最終目標を達成
すべく、二次試作
機の改良を実施
した。
トータルシステ
ムとして評価す
べき項目の洗い
出しを実施した。
一次試作機の光
学検出/分離特性
を標準ビーズや
蛍光標識細胞を
用いて評価した。
また、二次試作機
で改良すべき問
題点を抽出した。
二次試作機の光
学検出/分離特性
を標準ビーズや
リンパ球、培養細
胞を用いて評価
した。最終目標達
成の見通しがた
った。
79
20
1
0
0
0
0
167
21
0
0
0
0
0
297
21
1
0
0
0
0
(3)総合評価
2−31
研究予算(百万円)
研究担当人員
学術講演会発表論文数
口頭発表数
特許出願数
新聞報道数
外部展示
平成9年度
65
19
0
0
0
0
0
43
20
0
0
0
0
0
改良した二次試
作機に対して、標
準サンプルを用
いて各性能の詳
細評価を実施。ま
た、臨床サンプル
での評価も実施
し、目標性能達成
を確認した。
17
22
0
2
3
0
0
8.2.3
要素研究毎の成果
(1)超高感度光学検出技術の開発
励起光源系については励起レーザ交換の易操作化を目的に Ar Laser (488nm)および HeNe Laser
(633nm)でのファイバ導光励起系の試作を完了し、蛍光ビーズを用いた評価で従来のミラー伝
送方式と同等の感度および分解能で検出できることを確認した。一方、励起光源系の小型化を目
的に小型固体レーザ適用の検討し、半導体レーザ(633,680,780nm)と半導体励起 YAG レーザ(473、
533nm)で蛍光ビーズを良好な感度と分解能で検出できることを確認した。超高感度光学検出部
については、高感度検出を目的にファイバ、対物レンズ、マイクロレンズ、パラボラリフレクタ
ーの光学検出方法とそれに適応するフローセルの試作・評価を完了した。これらの検討の結果、
シングルレーザ系に関しては、パラボラリフレクター検出系(約 200FITC 分子/細胞の感度)をさ
らに改良することにより超高感度に光学検出が可能であり、また、マルチレーザ系に関してはフ
ァイバ検出系(約 500FITC 分子/細胞の感度)を用いることにより、高 S/N かつ当初の目標を達成
した感度で検出できることを確認した。
(2)特定細胞高精度分離部の研究開発
送液部のシース液送液系に関しては、2プランジャー直列接続方式が並列接続方式より圧力変
動を押さえられる事を確認した。更に、装置の小型化のため小型プランジャーポンプ:耐圧10
0psi以上、最大流量10ml/minで、従来比1/2サイズの直列接続タイプのデュアル
プランジャーポンプを試作し、細胞を用いた回収率や純度などの評価により分離部の送液系とし
て使用できる事を確認し要素技術検討を完了した。細胞の注入系に関しては、プランジャポンプ
注入方式と、シリンジポンプ注入方式の2つを試作し、どちらの方法においても、細胞分離部の
注入系として使用できる事を確認し、注入系に関する要素技術検討を完了した。分離部について
は、細胞を高速に分離する方法として、分離ノズル全体を圧電素子により振動させ分離する外部
振動型ノズルと圧電素子の振動を細胞液に直接伝え微粒化分離する内部振動型分離ノズルの検討
評価を試作し、どちらのタイプの分離ノズルにおいても、使用可能である事が確認された為、機
械的な振動がなくオプティカルファイバーとの結合に有利である内部振動型分離ノズルでの開発
を進める事に決定した。要素技術である送液部や分離部の評価・改良テストを行なうための基本
ベンチの試作を行なった。細胞画像取得方法の検討については、観察可能の蛍光色素の種類と蛍
光の退色防止法の検討および画像の観察、記録方法の検討を実施した。
(3)トータルシステム
平成 11 年度に総合組立を完成した二次試作機をベースに、光学検出部に関しては、より高感度
化検出および高分解能検出を実現すべく、励起集光系、細胞流路系、蛍光検出系の検討・改良を
実施した。また、細胞分離部に関しては、高速・高精度分離を実現すべく、細胞流送系・信号処
理系・微粒化系・荷電系及び圧力制御系の検討・改良を実施した。
改良を施した二次試作機に対して、標準的な蛍光ビーズやヒトリンパ球、培養細胞を用いた
蛍光標識サンプルを用いて、3社で蛍光検出性能、細胞分離能、安定性および操作性に関して詳
細評価を実施し、また、専門家である数施設の開発委員の先生により臨床サンプルを用いて臨床
サンプル評価を実施した。この結果を下記に示す。
2−32
<総合評価(内部評価)>
トータルシステム(改良二次試作機)の総合評価として、三社で以下に示す評価を行った。
① 光学検出部は機器の精度、散乱光の検出(FSC リニアリティー)、蛍光検出感度、蛍光検出
分解能、DNA 解析能及び蛍光補正の項目について蛍光標識ビーズ及び蛍光標識細胞をも用
いて評価した結果、検出パラメータ、検出感度、検出分解能、検出速度、光軸調整操作性
に関して最終目標性能を達成した。
② 細胞分離部は分離速度、分離能、分離した細胞生存率及び分離細胞画像解析の項目につい
て、蛍光標識ビーズ及び蛍光標識細胞にて評価した結果、分離純度、分離回収率、分離速
度に関して最終目標性能を達成した。
<臨床サンプル評価>
トータルシステム(改良二次試作機)の臨床評価として開発委員会の5名の委員により以下に
示す評価を行った結果、疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベ
ルの変化情報を微量な生体試料の中から総合的に取得できる事を確認した。
① 白血病患者血液細胞のマルチカラー解析
② 6カラーによる蛍光補正及び分離評価
③ PI 染色 Daudi 細胞と正常リンパ球による CV 評価
④ CCRE-CEM と正常リンパ球の分離及び CGH 解析
⑤ 婦人科腫瘍関連サンプルの解析及び分離評価
<臨床サンプル評価>
トータルシステム(改良二次試作機)の臨床評価として開発委員会の5名の委員により以下に
示す評価を行った結果,疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示されるべき細胞レベ
ルの変化情報を微量な生体試料の中から総合的に取得できる事を確認した。表4に評価項目及び
各委員のコメントを示す。
表 4 臨床評価項目と評価担当者(開発委員)及び委員長コメント
評価項目
評価担当者
(敬称略)
白 血 病 患 者 の 中原 一彦
リンパ球サブ
セ ッ ト 解 析 評 東京大学医学部
臨床検査医学
価
中内 啓光
6カラーによ
る蛍光補正及
筑波大学基礎医学
び分離評価
系 免疫学
コメント
・6カラー同時測定データと従来の2カラー測定の複合
データと合致しない部分もあったが、マルチカラーで
一度に同時に解析できれば少量サンプルで測定できる
ため臨床分野のメリットは大きく、今後に期待したい。
臨床検体のルーチン化には測定条件の最適化の検討が
必要である。
(中原)
。
・装置として6カラー測定の第一歩であり、今後は検討
を重ね応用面を切り開いていく必要がある(野村)
。
・マルチカラー解析は多数のパラメータの設定を最適化
する必要があり、今回詳細な評価ができなかった。し
かし、市販の最新鋭の装置は非常に大型である。本装
置は小型で、感度良くしかも高速分離でき、またその
2−33
高本 滋
PI 染色正常リ
ンパ球による
CV 評価と DNA 愛知医科大学
付属病院輸血部
Index
CCRF-CEM と
正常リンパ球
の分離および
CGH 解析
佐々木 功典
山口大学医学部
第二病理
杉下 匡
婦 人 科 腫 瘍 関 坂本 優
連 サ ン プ ル の 近藤 亜矢子
解析および分
佐々木研究所付属
離評価
杏雲堂病院婦人科
委員長総括
他の基本仕様も備えている装置である。今後細部での
リファインが必要と思うが、誰もがほしい装置ができ
たのではとの印象を得た(中内)
。
・CV と直線性についてリンパ球用いた評価を実施した。
リニアリティーは、singlet と doublet の比が 1.98 が
望ましいが 1.81 だった。また、CV も 3%以下になるべ
きで、今回の 3.8%の結果では十分な性能を持つとはい
えない。光ファイバの採用により色々なメリットもあ
り小型化も実現しているが CV 値については、なお改善
の余地を残している(高本)
。
・ソーティングにより細胞を純度良く分離できれば PCR
を行った後 CGH 解析することが十分可能でないかと考
え評価した。今回の評価でも問題なくソーティングさ
れていた事が確認出来た(佐々木)
。
・婦人科がん検診は政府が奨励しているにも関わらず内
診を嫌うため受診率は向上しない。内診せずに末梢血
から早期発見できないかについて研究をしているが、
今回の結果から本装置が利用できるのではと思われる
(杉下)
。
・がんの進行した患者で骨盤照射治療過程の検体のため、
末梢血中にでる要因があったが、血中にでた細胞を高
頻度で検出できれば転移のマーカとして有効と思われ
る(坂本)
。
・高速分離ができれば、多くの細胞より数個の目的細胞
が発見でき、内診不要な早期発見の可能性もでてくる
(野村)
。
今回の評価委員による臨床評価については、各担当の立
場より良い評価報告であった。6カラー測定が可能で、
しかも小型で実際に応用が可能な装置である。今後、臨
床応用の幅は拡がりがでてくる。特に、ゲノムの研究に
おいては大量の細胞中よりわずかに存在する細胞の分
離が必要で、高速で正確なソーティングは重要である。
本装置を臨床応用の場に展開するには CV 値の課題を解
決し、多くのデータを集め、どの様に利用していくかが
課題であるが、期待している(野村)
。
9.情勢変化への対応
当該事業の開始時より今日に至るまで、国内外の技術および市場の動向調査を継続的に行うと共
に、開発委員会においても医学系、工学系の委員とのディスカッションを通じて情勢の変化を調査
しながら研究開発を進めてきた。
10.今後の事業の方向性
終了評価結果に基づき事業の方向性の検討を行う。
2−34
添付資料
1.基本計画等
「微量細胞情報検出システム」実施基本計画
1.研究開発期間
平成 7 年度から平成 12 年度(6 年間)
2.研究開発の目標と内容
我が国においては、高齢化の進展に伴い、ガン、心疾患といった成人病患者が今後一層増加す
るものと懸念されているが、これら疾病の多くは、
発症の初期の段階で発見することができれば、
適切な治療を施すことにより完全治癒も可能である。しかしながら、現状の血液検査、尿検査、
あるいは X 線や超音波による画像診断は、早期診断という観点からは未だ低いレベルである。
2.1
目標
こうした状況を踏まえ、疾病の本態である細胞レベルの情報を総合的に取得して、疾病の早期
発見を可能とする微量細胞情報検出システムを開発することを目標とする。
2.2
内容
本システムは、採取した微量な血液あるいは組織といった生体試料をもとに、ラベルされた細
胞の分子レベルの変化を光学的に分析し、疾病に関連する細胞を分離した上で、細胞の形態変化
の画像解析を行うことにより総合的な診断を行う方式とする。
このため、ラベルされた細胞の複数の表面分子等を高感度かつ同時に検出する超高感度光学検
出技術、疾患に関連する細胞を正確に分離する特定細胞高精度分離技術の開発を行い、さらに画
像診断により疾病細胞の形態変化の解析をする一連のトータルシステムの開発を行う。
2.3
研究開発方式
2.3.1超高感度光学検出技術
細胞の表面分子等を高感度に検出するため、光学系(光ファイバ、半導体レー
ザ等)ならびに高感度な検出物質(色素系等)の開発を行う。
(図1、図2参照)
(1)光学検出系
生体より取得したサンプルである血液・組織を精製し、診断目的に対応する標識物質を混合し
ラベル後キャピラリー先端より細胞液を流出させ、超音波により一液滴当たり一細胞となる様、
微粒化させる。
次にこの細胞群の各標識に対応した励起波長をもつレーザ光を照射し、標識より放出される蛍
光等を検出することにより、細胞上の疾患関連分子の有無、分布等の分子情報の取得を行う。
(2)標識物質
分子情報については、個々の疾患に対応する特定の分子群の存在が多く判明しており、まずこ
2−35
れらに特異的に結合するモノクローナル抗体等(蛍光色素等でラベル)を用いる事により、標識
をおこなう。
検出感度については、現状レベルを数倍向上させる必要があり、このため検出系の高感度化、
半導体レーザや光ファイバの採用による光学系の簡素化、検出用標識物質の高感度化によるトー
タル光学的損失の減少の検討を行う。
2.3.2特定細胞高精度分離技術
光学検出により、疾患に関係すると判定された細胞を高精度に分離し、その形態情報(顆粒分
布、サイズ等)を取得するため、高速、高精度分離技術の開発を行う。
光学的に検出された疾患関連の特定細胞のみを高精度に分離するため、取得対象として認識さ
れた細胞に対し、直ちに高電圧負荷により荷電させ、電界中通過時にローレンツカにより進路を
変えることにより、分取を行う。(図2参照)
解析対象パラメータ(分子情報数)が多くなるに従い、目的細胞の検出から分離に至る処理時
間の短縮がポイントとなるため、高速処理アルゴリズムの開発を行う。
2.3.3トータルシステム
取得した分子情報、形態情報(顆粒分布、サイズ等)を統合した情報として画面上に表示する
と共に過去のデータとも相関評価が可能なシステムとして診断情報を提供する方式とする。
形態情報については分取した後、石英ガラス等で把持し、光学的に拡大、CCD によりデジタル
画像としてCRT上に表示する方式とする。
その際、細胞内分子についての情報も取得する。
(1) 画像解析
分取した細胞の形態情報を得るため、細胞を各々に石英ガラスで把持し、光学的に拡大してデ
ジタル画像データとして取り込み画面上に表示する。
(2) 表示/出力
取得された分子情報、画像情報を画面上に診断可能なデータ形式(含グラフ、表)として表示
をおこなう。
(3) 制御/データ解析
システム全体を統括制御し、取得データの高速解析をおこなう。
2−36
①分子レベルの変化
②形態の変化
細胞表面分子/細胞内分子/核内→変化
a)顆粒の変化←顆粒の増減(アレルギー)
疾患特異的に発現
表面分子群
b)巨細胞化←HIV 進行、LAK 等
c)毛様細胞化(Smudged)←破壊細胞
細胞内分子
蛋白質レベルの変化
d)Capping←表面分子の局在化
核内
[即時型アレルギー等]
分裂期等構造変化
等
これらの情報を総合的に評
価診断をおこなう
図1
疾患関連細胞の変化
2−37
超音波発振
細胞混濁液
細胞液の流出
/微粒化
特定機能の細胞のみ
表面レセプタをもとに蛍光ラベル
レーザによる検出
荷電
細胞の高速荷電
電圧による偏向
/分別
蛍光検査
レーザ光
−V
高電圧で
偏向
+V
形態解析
図2
2.4
システム構成
研究開発の具体的目標
2.4.1最終目標(平成12年度末)
(1) 超高感度光学検出技術の開発
採取した微量な生体試料をもとに、細胞の表面および内部に存在する特定疾患関連分子(表面
分子:3種以上)が光学的に高感度(数 100 分子/細胞以下)に検出可能なこと。
(2) 特定細胞高精度分離技術の開発
特定疾患関連分子を有する細胞を高精度(分離能90%以上)かつ高速(10、000 細胞/秒以
上)に分離・分取し、形態情報を取得可能なこと。
(3) トータルシステムの開発
取得した分子情報、形態情報を臨床情報として提供可能な情報処理能力を有し、かつ検査室で
容易に操作でき、設置できる(サイズ 1200×600×500mm 程度)システムであること。
2.4.2中間目標(平成9年度末)
(1)超高感度光学検出部の試作を完了する。
2−38
(2)特定細胞高精度分離部の試作を完了する。
(3)トータルシステム第 1 次試作機の設計を完了する。
2.4.3試作機の目標仕様
項目
1. 基本性能
1) 測定対象
2) 検出感度
3) 検出表面分子
4) 分離能
5) 処理速度
6) 標識物質
1 次試作機
2 次試作機
細胞表面・内部分子形態
1、000 分子/細胞
3種以上
70%以上
5、000 細胞/秒
既存レベル
細胞表面・内部分子形態
数 100 分子/細胞
3種以上
90%以上
10、000 細胞/秒
光学系と合わせ目標感度達成
2. 操作性
1) 操作者
2) 表示
3) サンプル操作
専門技術者
生データ+表・図
半自動
専門技術不要
全情報(解析後データを含む)
全自動
バラックセット
1、200×600×500mm 程度
3. サイズ
3.開発スケジュール
サ ブ テー マ名
平 成 7年 度
平 成 8年 度
平 成 9年 度
平 成 10年 度
平 成 11年 度
(1)要 素 技 術 の
開発
調 査 /概 念 設 計
設 計 /試 作
評 価 /改 良
調 査 /概 念 設 計
設 計 /試 作
評 価 /改 良
①超高感度光学
検 出 技 術
②特定細胞高
精度分離技術
仕 様 検 討 /設 計
1次 試 作
2次 試 作
評価/改良
評 価 /改 良
(2)トー タ ル シス
テム の 開 発
臨 床 医 に よ る評 価
(3)総 合 評 価
(4)運 営 管 理
2−39
平 成 12年 度
4.研究開発体制
本研究開発テーマは、技術研究組合医療福祉機器研究所に委託し、その組合員企業等により分
担実施される。
2.成果状況一覧
(1)研究項目別論文、特許、報道の件数
要素技術検討
超高感度光学検出技術
要素技術
特定細胞高精度分離技術
トータルシステム
学術講演会発表論
文数
2
口頭発表数
2
特許出願件数
1
2
新聞報道数
(2)年度別論文、特許、報道の件数
平成7年
平成8年
平成9年
学術講演会発表
論文数
平成10年
平成11年
1
平成12年
1
口頭発表数
2
特許出願件数
2
新聞報道数
(3)発表論文リスト
1) 山下達雄;”FACS の基本原理(2)
ーサイトメトリー自由自在(監修
ソーティングの原理と基本操作”、細胞工学別冊
フロ
中内啓光)
、秀潤社、東京、p.14、1997.
2) 村山康二、神田昌彦(旧姓:大澤)、野村和弘:”新しいサイトメトリー:世界と日本”、応
用サイトメトリー(監修
天神美夫)、㈱医学書院、東京、p.352、2000.
(4)口頭発表リスト
1) M. Kanda : “Flow cytometer using a fiber-optic detection system”、 International Biomedical
Optics Symposium 2001、 Jan. 24、 2001.
2) 神田昌彦,中田元巳,鈴木慎吾,村山康二:”光ファイバ検出系を用いた高感度フローサイ
トメータの開発”,第 11 回日本サイトメトリー学会,Jun. 11, p.32, 2001.
(5)特許出願リスト
1) 中田元巳、
住友電気工業株式会社、
”微生物の検出方法”、
2000 年 12 月 1 日、
特願 2000-375605.
2) 中田元巳,住友電気工業株式会社,”蛍光値補正方法,蛍光値補正装置,蛍光値補正プログ
2−40
ラム及び前記蛍光値補正プログラムを記録した記録媒体”,2001 年 9 月 14 日,特願
2001-280411.
(6)その他報道等の概要
無し
3.研究開発に利用している主な施設・装置のリスト
施
設
装
置
主な内容
住友電気工業㈱・大阪
光学特性評価解析装置
流動細胞の光学検出性能解析
住友電気工業㈱・大阪
光ビーム評価システム
光のプロファイル等の解析装置
住友電気工業㈱・大阪
検出精度評価装置
流動蛍光標識サンプルの光学的分析
住友電気工業㈱・大阪
蛍光分光光度計
蛍光サンプルの波長解析
住友電気工業㈱・大阪
流動細胞分析装置
細胞を蛍光色素等で標識して分析
住友電気工業㈱・横浜
画像解析/処理ユニット
細胞内分子の微小な画像解析・処理
住友電気工業㈱・横浜
細胞内蛋白質構造解析システム
細胞内蛋白質の構造解析
住友電気工業㈱・横浜
生体試料作製・評価ユニット
細胞内分子サンプルの作製・評価
藤沢薬品工業㈱
流動細胞分析装置
細胞を蛍光色素等で標識して分析
旭テクネイオン㈱
プランジャー流送装置
各種流送状態を作製・解析
2−41
第3章 評 価
第3章 評価
【Ⅰ.総論】
1. 総合評価
米国の少数メーカーに占有されている汎用的な装置を我国で開発し、国
際的な市場に参入することが出来るのであれば、意義のあることだと考え
る。
設定した性能の目標値はほぼ達成していると考えられるが、既存の製品
と比較して装置自体の格段の優秀さ、斬新さ、低価格化は見当たらず、ま
た、他の類似装置の性能と異なる本装置の特性でもって、細胞に関する新
情報の発見ないしは新知見が得られるツールとなるようなことも期待が持
てない。進歩の早いこの分野の技術を常に捉え先行せず、単なる汎用的な
装置の開発に終始したことは大変残念である。
但し、本実施者には、事業化の計画があり、事業化を通して革新できる
意欲を示しているので、その成果に期待したい。
【肯定的意見】
z 光ファイバー検出部のみが評価できる。
z 米国の少数メーカーに占有されている汎用的な装置を我国で開発し、国
際的な市場に参入することが出来るのであれば、それはそれとして意義
のあることだと考える。
z 現在、日本のフローサイトメーターと関連試薬の市場は米国の製品で占
められており、これまで国内生産していた会社は日本市場から撤去して
いる。このことから本装置の開発は、望ましいであろう。
z 一応国産のシステムが実用化の段階にきた。
z 今後の社会背景を視野に入れた取り組みは評価できる。
【問題点・改善すべき点】
z 事業化に向けて、先行メーカーを凌ぐ、性能と価格、仕様面での改善が
望まれる。その予算は充分あったはずである。また試薬の供給体制の確
立も急がれる。
z 事業化を急ぎ、早急に日本のユーザーに価格性能で福音をもたらす事が
なくば、開発主体(本企業群)の責任が問われる。
z 本システムの開発目的や国が関与する妥当性は細胞情報と細胞形態情
報の同時取得とその解析をおこなうことにより、現状臨床検査では得ら
れない極初期の診断情報を得ることにあったはずであり(事業原簿の概
要、図 1、図 3 など参照)、その目的が変節し、単なる汎用的な装置の
3−1
z
z
z
z
開発に終始したことは大変残念である。
装置自体の優秀さ・斬新さは見当たらず、既存の製品との差が不明であ
る。他の類似装置の性能と異なる本装置の特性でもって、細胞に関する
新情報の発見ないしは新知見が得られるツールとなるようなことは余
り期待が持てないだろう。
精密度(現在 CV4%)
・正確度、分析機能等で更なる向上と工夫が必要
であろう。現在の提示例ではソフトの完成度の不完全である。
安全面への配慮を欠いた設計であり製品化段階で十分考慮すべきであ
る。
投資時間と費用に見合う開発成果であると考え難い。開発された技術の
請求ポイントが弱く、現場に適応する製品かどうかの利用者側評価がほ
しい。
【その他の意見】
z フローセルで流体像が可視化される機能があれば、良いがこれも米国の
特許回避が難しいであろう。提示された将来の市場統計は過大であり、
費用対効果は期待できないだろう。
2. 今後の研究開発の方向性等に関する提言
既に十分な資金供給がなされているので、今後の事業化までのプロセス
は、本企業群で責任をもって行われるべきである。
装置自体だけでなく、ソフト開発と試薬開発が伴わなければ良好な対投
資効果は得られない。この点も配慮して、事業化に向けた開発が望まれる。
【次段階の研究を進めるか否か等の提言】
z 十分な資金供給がなされ、今後の事業化までのプロセスは、本企業群で
責任をもって行われるべき。不要
z これだけの開発費用を投入した研究であり、何らかの仕様の装置を実用
化されるべきだと考える。たゞし、これ以上の補助金助成は不要であろ
う。
z 企業開発企画として進められるのは別として、これまでの開発に要した
経費と時間、現段階の装置の機能を総合的に勘案して、今後 NEDO の
関与しても更なる機能アップは期待できないであろう。
z これから先の事業化は実施者自らの判断で行うべきであり、その際実用
化補助金などの更なる援助は必要ない。
z 研究成果については専門家の意見をふまえると課題が多いと考えられ
るため中途半端に終わらせず、失敗もその原因を明らかにし、プロジェ
3−2
クトに携わる企業による継続した研究と製品化が望まれる。
【その他の意見】
z 今後の研究開発助成のあり方についての提言
① 事前評価、中間評価においても利害関係のない企業人を参加させる。
② 開発委員は少数精鋭にしぼり、企業人も加え開発責任の一端を担わ
せる。
③ 本格的な研究前に可能性研究期間を設定し、その後の評価を厳密に
おこない、本格実施の可否を判定する。
z 装置自体だけでなく、ソフト開発と試薬開発が伴わなければ良好な対投
資効果は得られないであろう。
【Ⅱ.各論】
1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性
本事業は関係機関の協力体制を構築すれば、単独企業でも実施出来るが、
成功率の低さ、成功による医療行政へのインパクトの大きさ及び外国製の
製品に独占されている分野での国産技術の育成を考慮すれば、NEDO 事業
として関与することは妥当である。
【肯定的意見】
z 6 年前としたら、この目標をもっと高く設定したら肯定できるかもしれ
ない。
z 本事業は関係機関の協力体制を構築すれば、単独企業でも実施出来る。
しかし、その成功の確率が低いこと、これが成功することによる医療行
政へのインパクトの大きさから見て、NEDO 事業として関与すること
は妥当である。
z 細胞表面形質と細胞内形質に関する解析を必要とするのは分野の裾野
は大きい。このことから研究推進のためにフローサイトメーターの国産
化が望ましい。
z 外国製の製品に独占されている分野で国産技術を育てて代替すること
は必要である。
z 単一の機関・企業の開発は難しく、高いリスクを伴うものであると考え
られる。
【問題点・改善すべき点】
z 本計画の開始時点はフローサイトメトリーを用いた研究が隆盛であっ
た時期である。しかし現在は市場は飽和すると同時に計測法も確立した
3−3
ことから測定手技の標準化の段階にある。現在、病院・研究所で利用さ
れている装置が、より高性能、かつ、かなりの廉価でなければ現開発装
置に更新されることはなかろう。現在の市場は装置は極端に廉価(1000
万円程度)であり、外国メーカーはむしろ試薬で収益を挙げている現状
にあり、フローサイトメトリー単体での事業展開では装置の低価格化の
実現は不可能だろう。NEDO 事業として積極的に関与する妥当性は低
いと判断せざるをえない。
【その他の意見】
z 高性能な装置完成が可能なところまで来ておりハード面での追求はよ
かったが、臨床検査装置の製造経験のない実施者のため製品として世に
出す意欲に欠けていたように思える。製品販売の会社との強い連携の元
に開発すべきであった。
2. 事業の背景・目的・位置付け
今後の高齢社会において、コストをかけない高度医療の実現は緊急課題
であり、ガン等の重要な疾病の超早期発見を目的とした微量細胞情報シス
テム、すなわち革新的な技術で低価格化をもたらし、高度診断用医療機器
を国内外に普及するとした事業目的は妥当であり、今後も重要な課題であ
る。
【肯定的意見】
z 6 年前の欧米追随意識からなのか。
z ガン等の重要な疾病の超早期発見を目的とした微量細胞情報システム
すなわち診断用医療機器を開発するとした事業目的は妥当であり、今後
も重要な課題である。
z 実施者の記載するように、「本装置(フローサイトメトリー)が感染症
の極初期の病態検出で早期診断を行う情報システム、ガン・心疾患など
の発症の初期段階で発見できる装置、そして寝たきりのひとへの介護の
充実と介護者の負担軽減に本当に役立つ」とすれば素晴らしい事であり、
NEDO として積極的に研究開発を助成すべきであろう。
z 小型高性能の検査装置の国産開発は妥当な判断であった。
z 今後の高齢社会において、コストをかけない高度医療の実現は緊急課題
であり事業目的は妥当と考える。
【問題点・改善すべき点】
(なし)
【その他の意見】
(なし)
3−4
3. 事業の目標
フローサイトメトリーの装置開発という点では、細胞画像情報の取得解
析部を除くその他のハード面においては、立案時の目標達成度の設定、評
価等は妥当であった。
しかしながら、フローサイトメトリーを利用した感染症、遺伝子の点変
異、染色体微細な異常を検知できる技法は現在のところ確立していない。
本事業の応用例、例えばガン細胞の検知の培養細胞系を用いた細胞分析と
分離はあくまで実験的なものであり実用性に関しての保証はない。もし本
装置でもってその様な臨床診断法をも確立するとすれば、より大きな研究
チームを編成する必要があった。本事業の目的(ガン等の超早期発見)と
立案した目標に乖離があったと考えられる。
【肯定的意見】
z 光ファイバーを特異とするメーカーであり、その視点のみ評価。
z 細胞画像情報の取得解析部を除くその他のハード面においては目標達
成度の設定、評価等は妥当である。
z 立案時の開発目標や費用対効果は妥当である。
z 機器性能の基準はほぼ満たされた開発目標であった。
z 臨床現場における利用を想定したシステム化の目標は評価できる。
【問題点・改善すべき点】
z 単なる欧米追随型であり、お勉強の為の予算処置ではないはず。また、
このバイオ機器分野は進化が早く、最初から新しい沢山の視点が無くば
事業化は無理。事前評価が甘かったと言わざるを得ない。
z この程度の開発目標であれば、日本の中でもこれ以上のリスクを背負っ
て開発している企業あり。その点での厳しい中間評価があれば良かった。
z 研究計画の設定や推進において、初期の高邁な目的が変ったか、失われ
た?に問題がある。今後に生かされるべき重要な課題と考える。
z 他に原理の根本までを変える、あるいは、やり方を変える位の技術目標
が無くては金額に見合った開発研究の意味がない。
z 現在、他の類似装置は、前処理段階の自動化、ないし全行程自動化の方
向に向いており、本企画はそれらを決して凌ぐものではない。
z ハード面だけでなく、安全性や使い勝手といった使用者側に配慮した開
発目標が欠けている。
z 実際の医療現場に必要不可欠と思われる技術かどうかの裏付けが弱い
と思われる。
z 残念ながら、フローサイトメトリーを利用した感染症、遺伝子の点変異、
3−5
染色体微細な異常を検知できる技法は現在のところ確立していない。実
施者の示した応用例、例えばガン細胞の検知の培養細胞系を用いた細胞
分析と分離はあくまで実験的なものであり実用性に関しての保証はな
い。もし本装置でもってその様な臨床診断法を確立するとすれば、より
大きな研究チームを編成しなければならないだろう。
【その他の意見】
z 提案された 6 チャンネル系計測能を最大限利用した検出例の具現化の
プランがはっきりしない。初期目的からはほど遠い現在の進捗状況では、
今後他機種に勝る機能の完成される見通しは少ない。
4. 事業の計画内容
ハードは開発が可能な計画を立てたようにしか見えない。海外メーカー
は試薬で収益を挙げている現状にあり、フローサイトメトリー単体での事
業展開では計画が甘いと判断される。海外メーカーの開発速度を考えると
事業期間の 5 年間で完全に製品化を達成する目標を立てる等、この装置に
合った検査薬や解析用ソフトの同時開発も含めた積極的な計画を立てるべ
きであった。
【肯定的意見】
z 最初から志が低いので、仕方ない計画か。
z 各共同研究者・コメンテーターなどの選定は適切である。
【問題点・改善すべき点】
z 光ファイバーのみでは片づかない所の開発計画がない。
z 出来る可能な計画にしか見えず、開発モティベーションの低さがかいま
見られる。
z 予算の使用実績比率が明らかにされていないので推測にすぎないが、業
務の大半は一社で実施され、他の二社の役割が充分に果せていないので
はないか。
z 流路系の脈流の度合い、層流の具合(渦流発生に有無)
、検出粒子の粒
度分布の状態、蛍光分布、色補正(複数蛍光色素の利用)、標準粒子利
用、データ編集機能などの問題に対する装置自体を評価できるデータ提
示がない、類似他機種との性能評価試験がない、試薬・蛍光色素・前処
理などの対処などが提示されておらず、記載目標通りの機能が発揮され
ているかどうかが不明確である。特にソフトの完成度の高さを求めたい。
ハード開発だけではフローサイトメトリーは完成しない。
z 5 年で完全に製品化を達成する目標を立てるべきであった。
3−6
z 労務費、その他といった間接費用が多額で、その詳細が明らかでなく予
算が適正に使用されたかどうかの判断が出来ない。
z 予算根拠が不明確あるいは過剰投資ではないかと思われる点がある。
z 5 年で完全商業化を目指した事業計画を立てるべきであった。
z この装置に合った検査薬や解析用ソフトの開発など周辺技術の開発も
同時に行った方がよかった。
【その他の意見】
z 初期の 3 社共同企画提案は納得できるものである。
5. 研究開発成果
設定した性能の目標値はほぼ達成していると考えられる。
しかしながら、世界水準から見て凡庸であり、本装置に魅力的な特徴やコ
スト的優位性は見出せない。国際競争力という点で疑問がある。
特許取得 3 件、論文発表 2 件では、もし商品として完成されても周辺特許
で外国企業との間に問題が生ずる可能性があろう。
【肯定的意見】
z 開発主体の設定した性能の目標値はほぼ達成。
z フローサイトメーター開発として、その開発速度は遅いものの、段階的
に行われている。
z 特許やノウハウとしての蓄積は予定通りであった。
【問題点・改善すべき点】
z 世界水準から見て、凡庸。ノウハウがあると言って逃げているが、それ
だけ、特許性のない製品なので、事業基盤が脆弱。
z 装置を汎用装置と位置づけ、競合商品の中間的なポジションとして評価
されているが、既存メーカは感度、測定パラメータ等を発展させており、
本装置に魅力的な特徴やコスト的優位性が見出せない。本装置が市場導
入される予定は平成 17 年とのことであり、その間に他社の性能はさら
に進歩するはずである。
z 6 年間に 6 億 6 千万円を投入した研究開発の特許出願件数 3 件はあまり
にも不適切である。報告会において多くのノウハウとして確保したとの
説明を受けたが、本研究の場合のノウハウとは競合他社が実現出来ない、
機能、性能、コスト、達成技術であり、その様な技術がどの程度含まれ
ているのか疑問である。本事業は国費でおこなわれたものであり、特許
として広く公開され産業の発展に貢献させるべきものだと考える。
3−7
z 他の類似機種と比し、実施者の主張する超高速分析システムであるかど
うかは、総合的に判断する必要があり、高機能超高速分析装置値は考え
難い。
z 他の製造会社はさらに進歩した装置を開発している。精密度(現在
CV4%)・正確度の更なる向上が必要であろう。
z 現在の売価設定と売り上げ目標は、現在提示されている装置の機能では
現実的でなく、事業としては成立しないであろう。科学研究用として 6
同時チャンネル解析の有用性を確立すべきである。
z 独創性の点で、決した高い評価を下し得ない。
z 目標は一応達成しているかのようだが、製品としての目標設定が低く国
際競争力という点では疑問である。
z 現時点で製品としての完成イメージを見せられないのは目標達成を言
い難いのではないか。
z 国際的な競争力の点で優位性がうたえるだけの完成品が出来上がって
いない。
z 本装置に関する特許取得が過去に 3 件あり、論文発表もないのに等しい。
もし商品として完成されても周辺特許で外国企業との間に問題が生ず
る可能性があろう。
【その他の意見】
z 派生技術があったかどうかについては資料を読む限りでは判断できな
かった。
6. 情勢変化への対応
国の関与の必要性や事業の目的や位置付けは何ら変っていないが、多くの
医学的、工学的研究が進みつつある。それらの情報収集、分析が適時おこな
われ、それが 6 年におよぶ研究計画に反映されるべきであった。この点にお
いて開発委員の役割や関与のあり方にも課題が残されている。
【肯定的意見】
z ひたすら 6 年前のスタート時点で作っていた。
z フローサイトメトリーが、今後しばらくの間は細胞形質分析の基本分析
法であり続けるは確かである。
【問題点・改善すべき点】
z 競合機の価格認識もなく、状勢変への対応は殆ど感じられない。
z 試薬開発意識も無かった。
3−8
z 事業原簿の概要に示された国の関与の必要性や事業の目的や位置づけ
は何ら変っていない。むしろ多くの医学的、工学的研究が進みつゝある。
それらの情報収集、分析が適時おこなわれ、それが 6 年におよぶ研究計
画に反映されるべきである。この点において開発委員の役割や関与のあ
り方にも課題が残されている。
z 6 年間の取り組みの中で、他の競合プロジェクトの進度との比較、それ
に合わせた見直しがなされたとは考えにくい。
【その他の意見】
z 健康保険でのフローサイトメトリー測定への支払い点数は、試薬などの
購入費よりも低く、各医療機関ともフローサイトメトリーを積極的に取
り込む機運はない。将来は保険が包括支払い方式になるので病院のフロ
ーサイトメトリーに対する不採算性は一層ひどくなり、本検査の普及度
が低下する可能性がある。
7. 実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
サンプル流送、光学的分析、特定細胞分離の要素技術はほぼ見極めがつい
ており、一応実用化の目処が立ったと言える。
また、開発過程におけるノウハウは、それが公表されるならば、将来の蛍
光分析法に対しての波及効果として、大いに期待できる。しかし、万が一、
本事業が事業化されないのであれば、国費を用いている以上、それらは可能
な限り公開すべきである。
【肯定的意見】
z 自信があるようなので、是非事業化して販売すべき。
z サンプル流送、光学的分析、特定細胞分離の要素技術はほゞ見極めがつ
いている。
z 検出部に 2 レーザを組み込み 6 検出系のシースフローセルを開発し光フ
ァイバーを利用し SN 比を改善したこと、流路系が完成されたことに対
しては、一定の評価を下したい。また、開発過程におけるノウハウは、
それが公表されるならば、将来の蛍光分析法に対しての波及効果として、
大いに期待できる。
z 一応実用化の目処がたったといえる。
z 競合品や特許にかかわる調査には取り組みが見られる。
【問題点・改善すべき点】
z 安価であれば、波及効果はあるかも知れないので、安価に作る工夫が大
3−9
z
z
z
z
事。800 万円以下
この結果が関連分野へのインパクトとなり、波及的な成果が得られると
は考えにくい。
現在の提示例では、ソフトの完成度が不明である。
今後早い時期に事業化できるかどうかは実施者の意欲にかかっている
といえる。
開発技術による効果評価、現場における活用者側の評価調査が手薄であ
る。
【その他の意見】
z 共同企画 3 社がそれぞれの分担をこなし(現在のところ藤沢薬品と旭テ
クネイオン社の担当した部分が、これまでの経費利用状況から見てどこ
なのかが明確でない)、総合システムとしての完成を急がれたい。得ら
れた成果は可能な限り文書の形で公表すべきである。
8. 今後の展開(実用化までのシナリオ)
事業化の計画があり、一部現製品よりも優れた性能が獲得できているの
で、顧客ニーズと合うように製品化出来るよう期待したい。
しかしながら、現時点で考えられる機能、性能、コストで汎用装置として
の市場参入可能かどうか再検討が必要である。また、海外製品が競合となる
ためさらに迅速な商品化・販売計画が必要と思われる。
【肯定的意見】
z 事業化の計画はあり、その通りやってもらうべき。
z 企業間競争がきつく装置は製造原価割れが現状であり、試薬販売で各社
は利益を確保している事を理解した上で、装置の必要性はあることを強
調したい。
z 一部現製品よりも優れた性能が獲得できているので、顧客ニーズと合う
ように製品化できればよい。
【問題点・改善すべき点】
z コストダウン製造技術を工夫して作ること。
z 現時点で考えられる機能、性能、コストで汎用装置としての市場参入が
可能かどうか再検討が必要であろう。報告書で述べられた市場規模や価
格体系は装置の定価ベースであり、実勢価格を正確に把握し、近年のビ
ジネスモデルの実態を調査した上で検討すべきである。また、試薬の開
発、コスト、市場規模なども合わせて考えるべきである。
3−10
z 実用化に耐えうるソフト、装置自体に用いる試薬(安定性・防腐性の優
れた混在粒子フリーのシース液など)や標準粒子の開発など。
z 海外製造業者も高性能装置の販売を直近に控えているとの情報があり、
現在の開発機の製品化では時期を逸しており販売価格をかなり低くし
ないと勝負にならないのではないか。
z 海外製品が競合となるためさらに迅速な商品化・販売計画が必要と思わ
れる。
z 実施者はプロジェクト終了後に臨床試験に入るとしているが、現状から
推察するのに実用化への見通しは不明確である。
【その他の意見】
z 藤沢薬品工業が現在ベクトンディッキンソン(BD)社の試薬・装置を販
売しているので、将来の接合性はどうする計画なのか。
z 3 年目で黒字化を見込む根拠が弱い。
3−11
第4章 評点法による評点結果
第4章 評点法による評点結果
「微量細胞情報検出システム」に係る事後評価の実施に併せて、下記に基づき、本分科会委
員による「評点法による評価」を実施した。
1. 経緯
(1) 評点法の試行
通商産業省(当時)において、平成 11 年度に実施されたプロジェクトの
評価(39 件)を対象に、評点法を試行的に実施した。その結果を産業技術
審議会評価部会に諮ったところ、以下の判断がなされた。
z 数値の提示は評価結果の全体的傾向の把握に有効
z 評価者が異なっていてもプロジェクト間の相対的評価がある程度可
能
(2) 評点法の実施
平成 12 年 5 月の通商産業省技術評価指針改訂にて「必要に応じ、評点
法の活用による評価の定量化を行うこととする」旨規定された。
以降、プロジェクトの中間・事後評価において、定性的な評価に加え各
評価委員の概括的な判断に基づく評点法が実施されている。
2. 評点法の目的
z 評価結果を分かりやすく提示すること
z プロジェクト間の相対評価がある程度可能となるようにすること
3. 評点の利用
z 評価書を取りまとめる際の議論の参考
z 評価書を補足する資料
z 分野別評価、制度評価の実施において活用
4. 評点方法
(1) 評点の付け方
z 各評価項目について 3 段階(1,3,5)で評価する。
z 総合点の算出に当たっては、表1に示す評価項目の各点数に重み付けの
数値を掛け合わせた後、合算することとする。
z 重みについては、経済産業省で採用されている重みとの整合をとり、両
者を比較できるようにする。
(2) 評点法実施のタイミング
z 第 1 回分科会において、各委員へ評価コメント票とともに上記(1)の点
数の記入を依頼する。
4−1
z 評価書(案)を審議する前に、集計結果(各項目の平均値、ばらつき等)
を委員に提示、議論の際の参考に供する。
z 上記審議を行った分科会終了後、委員の評点及びそれに基づく総合点を
計算し、当該分科会での議論等を踏まえた評点の修正を依頼する。
z 評価書(案)の確定に合わせて、評点の集計を行う。
(3) 評点結果の開示
z 評点法による集計結果を開示するが、個々の委員の素点については、個
人情報保護の観点から開示の対象外とする。但し、分科会長については、
議論を円滑に進めるため各委員の素点を参照できることとする。
z 評点法による評価結果の開示については、あくまでも補助的な評価であ
ることを踏まえ、数字のみが一人歩きすることのないように慎重に対応
する。
z 具体的には、図表による結果の掲示等、評価の全体的な傾向がわかるよ
うな形式をとることとする。
4−2
表 1 評点の重み付け
評点項目
A 関与の必要性
B 目的・位置付け
C 目標の妥当性
重み
9/120
9/120
8/120
(1)
(2)
(1)
(2)
D 計画内容の妥当性
E 実用化の見通し
8/120
9/120
8/120
8/120
17/120
16/120
8/120
F 実用化のシナリオ
(1)
(2)
(3)
(1)
(2)
G 研究開発成果の妥当性
H 情勢変化対応妥当
18/120
12/120
6/120
8/120
9/120
36/120
17/120
40
20
10
4−3
H 情勢変化への対応
の妥当性
G 研究成果の妥当性
F 実用化のシナリオ
E 実用化の見通し
D 計画内容の妥当性
C 目標の妥当性
B 目的・位置付け
0
A 関与の必要性
重み
30
5. 評点結果
(各項目:5点満点)
評価項目
A 事業の目的・政策的位置付け
B 事業の背景・目的・位置付けの妥当性
C 事業の目標の妥当性
D 事業計画内容の妥当性
E 実用化、事業化の見通しの妥当性
F 実用化のシナリオ
G 研究開発成果の妥当性
H 情勢変化への対応の妥当性
全体(加重平均)
平均点
3.0
2.6
2.6
1.4
1.8
2.2
1.6
1.2
1.8
標準偏差
1.41
1.67
0.89
0.58
0.45
1.10
0.89
0.42
0.45
(各項目:5点満点)
5.0
1.8
平均点
標準偏差
1.6
1.4
4.0
3.0
標準偏差
平均点
1.2
1.0
3.0
2.6
0.8
2.6
2.2
1.8
0.6
1.8
2.0
0.4
1.6
1.4
0.2
1.2
1.0
0.0
全
(加
重
平
均
当
性
妥
当
の
妥
性
当
妥
の
の
し
け
け
付
付
性
当
妥
の
応
対
)
の
果
成
通
見
性
当
妥
の
オ
リ
化
ナ
へ
発
シ
業
の
容
性
当
置
置
位
・位
的
的
妥
の
・目
標
内
化
開
究
の
、事
化
画
計
変
勢
体
H情
G研
用
業
目
の
化
用
F実
E実
D事
業
景
策
・政
的
背
目
の
の
業
C事
B事
業
A事
性
4−4
(別 紙)
評点法による評価シート
【Ⅰ.総論(中間評価のみ)
】
A.今後のプロジェクトの方向
(1)プロジェクトの内容について
5 3 1
z 国費を使用した技術開発の効果・効率達成の観点に鑑み、今後の事業計画はいかにあ
るべきか。
《判定基準》
z 拡大を図るべき
→ 5
z 現行どおり継続すべき
→ 3
z 合理化・縮小することが妥当
→ 1
【Ⅱ.各論】
A.事業の目的・政策的位置付け
(1)NEDO の関与の必要性・制度への適合性
5 3 1
z 経済産業省の政策方針に適合しているか(現在及び事業開始時点の時代背景認識から
見て)
z 研究開発制度の趣旨、目的(選定基準)に適合しているか
z 特定の制度に基づく事業でない場合、以下のような「市場の失敗」に該当し、NEDO
の関与が必要とされるテーマか(政策立案・評価ガイドライン参照)
— 公共財的性格を持つ財・サービスの供給
— 環境問題等市場原理が働かない外部性
— 不確実性(リスクの高さ)や情報の偏在などに基づく市場の不完全性 等
z 上記には該当しないものの、民間のみでは改善できない問題に対応するために
z NEDO の関与に公共性が認められるものか
z 上記を踏まえた上で、緊急性、重要性が高く優先して実施すべき研究開発と
z 判断されるか。
(緊要性は高いか)
《判定基準》
z 民間のみでは問題解決が図られず、NEDO の事業として
実施する緊要性が極めて高い
→ 5
z NEDO の事業実施は妥当
→ 3
z NEDO の関与がなくとも民間による取り組みで問題解決が可能
→ 1
B.事業の背景・目的・位置付けの妥当性
(1)事業目的・政策的位置付けの妥当性
z
z
z
z
z
5 3 1
評価時点の時代背景から見て、事業の目的は妥当で、政策的位置付けも明確か
事業開始時点の時代背景から見て、事業開始時の目的は妥当で、政策的位置付けも
明確か
事前評価は当時の時代背景認識から見て妥当なものであったか
政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか
4−5
《判定基準》
z 事業の目的は非常に重要で、政策的位置付けも明確
z 事業の目的は妥当であり、政策的位置付けも大まかにはなさ
れている
z 事業目的の妥当性は失われており、政策的位置付けも不明確
→ 5
→ 3
→ 1
C.事業の目標の妥当性
(1)研究開発目標の妥当性
5 3 1
z 立案時または計画見直し時点の時代認識から見て、目的達成のために、具体的かつ明
確な開発目標、目標水準を設定しているか
z 目標達成度を測定、判断するための適切な指標が設定されているか
z エネルギー特別会計を使用している場合には、費用対効果分析など定量的なエネルギ
ー政策上の目標が立てられているか。
《判定基準》
z 世界最高水準の目標や事業の目的に応じた目標が具体的に設定
され、指標設定も適切
→ 5
z 目標等が概ね過不足なく設定されているが、必ずしも具体的
ではない
→ 3
z 指標が十分に設定されておらず、目標水準も曖昧
→ 1
D.事業計画内容の妥当性
(1)研究開発計画の妥当性
5 3 1
z 目的達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分を含む)と
なっているか
z 目標達成に必要な要素技術を過不足なく、取り上げているか
z 研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か
《判定基準》
z 計画は、予算、スケジュール、要素技術の設定とも的確であり、
予算配分も適切に行われている
→ 5
z 計画は概ね妥当で、予算配分も概ね適切である
→ 3
z 計画はスケジュール、予算とも不適切である
→ 1
(2)研究開発実施者の事業体制の妥当性
5 3 1
z 目標を達成する上で、事業体制は適切なものか
z 各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか
z 関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか
《判定基準》
z 適切な事業体制が構築され、関係者間の連携/競争も十分行わ
れている
z 概ね妥当な事業体制が構築されている
z 事業体制が適切に構築されていない
4−6
→ 5
→ 3
→ 1
E.実用化、事業化の見通しの妥当性
(1)成果の実用化可能性
5 3 1
z 産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか
z 公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか【注】
z 公共性は実際にあるか。見込みはあるか【注】
《判定基準》
z 成果の産業応用について参加企業等が意欲的で実用化へ向けた
課題解決に向けて自主的な取り組みが期待できる
z 実用化に向けての課題は明らかであるが、具体的な道筋等は必
ずしも明確ではない
z 具体的に産業応用が可能であるか否かを含め実用化に向けた道
筋が描けていない
(2)波及効果
5
→ 5
→ 3
→ 1
3
1
z 成果は、関連分野へのインパクトを期待できるものか
z 当初想定していなかった波及的な成果が得られているか
z プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及効果を生じてい
るか
《判定基準》
z 成果について当初想定されていた分野を越えて広範な応用が考
えられ、当該分野の研究開発を触発する効果を有する
→ 5
z 成果の応用、波及が当初の想定程度には期待できる
→ 3
z 成果の波及はほとんど期待できない
→ 1
F.実用化のシナリオ
(1)実用化の見通し
5 3 1
z コストダウン、導入普及、事業化までの期間、事業化とそれに伴う経済効果等の見通
しは立っているか
《判定基準》
z 成果の産業応用について参加企業等が意欲的で実用化へ向けた
課題解決に向けて自主的な取り組みが期待できる
→ 5
z 実用化に向けての課題は明らかであるが、具体的な道筋等は必
ずしも明確ではない
→ 3
z 具体的に産業応用が可能であるか否かを含め実用化に向けた道
筋が描けていない
→ 1
G.研究開発成果の妥当性
(1)計画と比較した目標の達成度
5 3 1
z 成果は、目標値をクリアしているか
z 全体として目標の達成度はどの程度か
z 立案時点または計画見直し時点の時代認識から見て、事業は研究開発として成功した
といえるか。また、評価時の時代背景から見てどうか
4−7
《判定基準》
z 目標水準を大きく上回る成果をあげて、研究開発として成功
した
z 目標は概ね達成され、研究開発としては成功したと言っても
良い
z 目標にはかなり遠く、研究開発としては失敗した
(2)要素技術から見た成果の意義
→ 5
→ 3
→ 1
5 3 1
z 世界最高水準、世界初、又は国際水準から見て優れた成果があるか
z 新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか
z 新たな市場創造につながるような新規性、先進性があるか
z 汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか
z 当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか
z 将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのようなものか
《判定基準》
z 要素技術として特筆すべき成果が多く見られる
→ 5
z 要素技術として意義のある成果が多く見られる
→ 3
z 要素技術として意義のある成果はほとんどない
→ 1
(3)成果の普及、広報
5 3 1
z 論文の発表は、質・量ともに十分か
z 特許は適切に取得されているか
z 必要に応じ成果の規格化に向けた対応がとられているか
z 広報は一般向けを含め十分に行われているか
《判定基準》
z 重要な特許が取得され、論文の質、量とも十分で、広報も十分
z 論文、特許ともほどほどに出ており、広報も適宜行われている
z 論文、特許とも少なく、広報もほとんど行われていない
H.情勢変化への対応の妥当性
(1)情勢変化への対応の妥当性
→ 5
→ 3
→ 1
5 3 1
z 技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直したか
z 計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮したか。
(特段の情勢変化はなかったと考えられる場合は空欄とする)
《判定基準》
z 変化を的確に把握し、計画を適切に見直している
→ 5
z 変化を概ね把握し、計画の見直しも行っている
→ 3
z 変化を把握せず、計画の見直しも行っていない
→ 1
(2)研究開発実施者の運営の妥当性
5 3 1
z 意志決定、進捗状況の把握、計画見直しの検討等が、適切に行われているか
z プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能しているか
z プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含む)への対応は
適切か
4−8
《判定基準》
z 運営上の課題に対し迅速な意志決定と柔軟な対応がなされ、
適切なプロジェクト管理が行われている
z 概ね妥当な運営管理がなされている
z 運営管理は適切とは言えず、情勢変化にも対応していない
【注】
:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。
4−9
→ 5
→ 3
→ 1
参考資料1
本資料は、第1回「微量細胞情報検出システム」
(事後評価)分科会において、プロジェク
ト実施者がプロジェクトの概要を説明する際に使用したものである。
微量細胞情報検出システム
事業の概要
疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示され
るべき細胞レベルの変化情報を微量な生体試料の中から総
合的に取得する事により、早期診断を行う微量細胞情報検
出システムの開発を行う。
1
国の関与の必要性
本研究開発による微量細胞情報検出システムは、細胞レ
ベルの微量な変化を高精度に分析、評価して感染の極初期
の病態を検出、早期診断を行なうシステムである。必要と
なる要素技術を開発する為には医学、生化学、物理学、電
子工学等の高度な専門知識を有する複数の研究機関による
共同研究体制が必要である。
本研究開発は、医療・現場におけるニーズの的確な汲み
上げと、十分なフィールド試験が必要なことから、国によ
るリーダシップのもとに医療関係者と工学者の密接な連携
により開発を進めていく必要がある。
2
参考1-1
国が実施することの必然性,
妥当性,整合性
広範囲な技術要素が必要
(医学,生化学,物理学,電子工
学等)
単一の研究機関,企業では困難
充分な人的,経済的資源が必要
(開発リスクが高い)
国の主導によって,
個々の要素技術に関わる高度な
専門知識・研究開発能力を有する
機関の共同研究が不可欠
3
医療福祉機器技術研究開発制度
【背景】
少子高齢化社会の到来に伴い癌・心臓病などの成人病
への対応、寝たきりの人への介護の充実、介護者の負担
軽減、社会参加への支援など緊急に対応を迫られている
問題が山積みしている。
【制度が目指すこと】
これら諸問題に対応するため、最先端の産業技術を活
用し安全性、利便性に優れ、かつ、低価格で高性能な医
療福祉機器の実現を目的とした研究開発に取り組んでい
る。
4
参考1-2
制度への適合性
本研究開発の目的は、最先端の科学技術を活用し、
安全性、利便性に優れ高性能な医療機器の開発を行う
ものであり、医療福祉機器研究開発制度に適合したも
のである。
費用対効果
H15年度には、この装置を1台2500万円で販売して
3~4年後にはセルソータの市場(年間約100億円)の
20%確保を目標としている。当該システムが普及し実用
化すれば、細胞レベルの微細な変化を高精度に分析、評
価することにより、感染の極初期の病態を検出し、早期
診断をおこなうことが可能になる。
5
事業の背景・目的・位置付け
病気の本態である細胞およびそれを含む体液を採取
し、細胞レベルの微細な変化を高精度に分析・評価す
ることにより、感染の極初期の病態を検出・早期診断
をおこなうことを目的とする。
本システムを開発することにより感染初期の微小な
細胞レベルの異常の検出が可能となるため、治療効果
の高い早期段階での診断の実現されると共に、細胞の
総合的な観点からの評価が可能であり、詳細な病態把
握、確定診断が実現される。
6
参考1-3
事業の目標
以下の性能を持つトータルシステムを開発する。
①細胞の表面・内部に存在する特定疾患関連分子(3種
以上)が光学的に高感度(数100分子/細胞以下)に検
出可能。
②特定疾患関連分子を有する細胞を高精度(分離能90%
以上)かつ高速(10000細胞/秒以上)に分離し、形態
情報を取得可能。
③操作性、小型化(サイズ1200×600×500mm程度)の実現。
7
8
参考1-4
第1回評価分科会資料
第1回評価分科会資料
2002年01月24日
「微量細胞情報検出システムの開発」
住友電気工業株式会社
藤沢薬品工業株式会社
旭テクネイオン株式会社
9
報告内容
報告内容
プロジェクトの概要 住友電気工業㈱ 神田昌彦
(1)事業の目的・意義
(2)開発計画,開発・事業体制,開発委員会
(3)開発目標,開発課題と対応
(4)達成状況,ユーザ評価,他のFCMとの比較評価
(5)実用化の可能性,技術展開の可能性,普及のための課題
10
参考1-5
事業の背景・目的・意義<社会的背景>
事業の背景・目的・意義<社会的背景>
高齢化社会進展
⇒高齢者の癌,成人病疾患等の罹患率上昇
⇒高齢者のQuality of lifeを確保維持する上で,重要な課題
早期診断が重要
・感染の初期段階での検知・発見が必須
・早期診断による早期治療の効果は絶大
細胞レベルでの診断
疾患の本態である細胞に着目し、感染後直ちに提示さ
れる細胞レベルの変化情報を微量な生体試料の中か
ら総合的に取得する事により早期診断を行う「微量細
胞情報検出システム」の開発を行う。
11
細胞レベルの診断
細胞レベルの診断
[病気発症]
外的要因
細菌,ウイルス
食品(アレルゲン)
UV 等
内的要因
細胞分泌物(ホルモン,蛋白質 等)
の量変化
細 胞
症 状
レベルの
臓器の形状変化
異常
遺伝性
[次世代]
ex.
痛み,発熱
神経性 等
[診断]
病 態
[現状]
細胞レベル診断
生化学検査(血液,尿)
診察(体温,血圧等)
物理検査(X線,画像 等)
[特徴]
感染後、直ちに提示される微量な細胞
レベルの変化を高精度で検出可能
↓
早期診断,確定診断が可能
9 検出レベル到達に時間がかかる ⇒初期段階で検出できない
9 細胞異常の2次的変化を 捕らえる
⇒詳細な病態の診断が困難
12
参考1-6
疾患による細胞レベルの変化
疾患による細胞レベルの変化
①分子レベルの変化
…細胞表面分子/細胞内分子/核内→変化
②形態の変化
a)顆粒の変化←顆粒の増減(アレルギー等)
表面分子群 疾患特異的に発現
b)巨細胞化←HIV進行,LAK等
c)毛様細胞化(Smudged)←破壊細胞
d)Capping←表面分子の局在化
細胞内分子
蛋白質レベルの変化
核内
分裂期構造変化
[即時型アレルギー等]
等
これらの情報を総合的に評価
診断をおこなう
13
事業の背景・目的・意義<技術的背景>
事業の背景・目的・意義<技術的背景>
現状のFCM
細胞診断の現状
日常的な臨床検査レベルでは少ない
9血液検査 …抹消血中の血球数/分布
9細胞レベルの検査 …白血病パネル
9高速ソータでは感度,
操作性問題
9細胞形態情報取得の
機能が無い
基礎医学(免疫学,分子生物学,
細胞生物学等)の進展
⇒疾患と細胞分子情報との相関
に関する知見の蓄積増大
細胞情報検出システムの開発
14
参考1-7
細胞レベルでの検出・分離の方式
細胞レベルでの検出・分離の方式
サンプル細胞の
取得/標識付
特定細胞
分離
細胞の検出
レーザー
(多波長)
標的細胞
石英プレート
上に展開
-V
(キャピラリー)
(荷電)
検出系
採取・
単離
形態情報の
取得
+V
電界
標識付
特定細胞分離
光学的分析
蛍光色素等
細胞画像取得
病理データとの
相関
15
研究開発体制
研究開発体制
要素技術
Sample
①超高感度光学検出技術
送液系
Sheath
住友電気工業
②特定細胞高精度分離技術
光学検出部
散乱光検出
検出
光学系
励起光源
励起光
導光系
流送・分離系…旭テクネイオン
細胞画像検出…藤沢薬品
蛍光検出
Jet
分離部
旭テクネイオン
分離系
信号処理
および制御系
データ解析部
トータルシステム
仕様・評価…藤沢薬品
設計・製作…住友電気工業
旭テクネイオン
データ解析ソフト
藤沢薬品工業
総合評価
細胞画像検出
藤沢薬品
住友電気工業
旭テクネイオン
16
参考1-8
研究開発の事業体制
研究開発の事業体制
経済産業省
出資
新エネルギー・産業技術総合開発機構
委託
微量細胞情報検出システム
開発委員会
技術研究組合 医療福祉機器研究所
分担
住友電気工業株式会社
藤沢薬品工業株式会社
旭テクネイオン株式会社
17
研究開発計画
研究開発計画
サブテーマ
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度
平成12年度
単位:百万円
計
研究開発
(1)要素技術の開発
設計/試作
調査/概念設計
評価/改良
①超高感度光学検出技術
14
70
40
設計/試作
調査/概念設計
40
164
評価/改良
②特定細胞高精度分離技術
9
67
4
39
40
仕様検討/設計
40
156
1次試作
2次試作
25
50
80
5
8
12
55
80
12
8
5
52
(2)トータルシステムの開発
198
(3)総合評価
(4)運営管理
当
初
実
計
施
画
額
額
3
14
10
30
190
120
150
100
60
650
65
43
79
167
297
17
668
18
参考1-9
開発委員会
開発委員会
氏 名
(委 員 長)
野 村 和 弘
(副委員長)
中 原 一 彦
所 属
国立がんセンター 中央病院 副院長
相 澤 益 男
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 教授 副学長
奥 村 康
順天堂大学 医学部 医学部長
木 下 一 彦
慶応義塾大学 理工学部 物理学科 教授 分子機能研究室 室長
佐々木 功 典
山口大学 医学部 第二病理 教授
東京大学 医学部 臨床検査医学 教授
杉 下 匡
(財)佐々木研究所附属 杏雲堂病院 副院長
高 本 滋
愛知医科大学附属病院 輸血部 教授
中 内 啓 光
筑波大学 基礎医学系 免疫学 教授
野 口 義 夫
佐賀大学 理工学部 電気電子工学科 教授
松 永 是
東京農工大学 工学部 生命工学科 教授
水 谷 文 雄
産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所 生体分子工学部 機能材料研究室 室長
19
国が実施することの必然性,妥当性,整合性
国が実施することの必然性,妥当性,整合性
広範囲な技術要素が必要
(医学,生化学,物理学,電子工
学等)
単一の研究機関,企業では困難
充分な人的,経済的資源が必要
(開発リスクが高い)
国の主導によって,
個々の要素技術に関わる高度な
専門知識・研究開発能力を有する
機関の共同研究が不可欠
20
参考1-10
開発目標
開発目標
病気,疾患の本態である細胞の情報を直接かつ総合的(分子レベル~形態)
に取得することにより,診断を行う新規システムの開発を行う。
最終目標性能
①採取した微量な生体試料をもとに細胞の表面および内部に存在する特定疾患関連分子(パラ
メータ数:3種以上)が光学的に高感度(数100分子/細胞以下)に検出可能なこと。
②特定疾患関連分子を有する細胞を高精度(分離能 90%以上)かつ高速(10000細胞/秒以
上)に分離・分取し,形態情報を取得可能なこと。
③取得した分子情報,形態情報を臨床情報として提供可能な情報処理能力を有し,かつ検査室
で容易に操作でき,設置できる(サイズ:約1200×600×500mm程度)システムであること。
適用分野
・癌(癌化,転移)
・自己免疫疾患(リュウマチ等)
・アレルギー(喘息,花粉症,アトピー等)
・感染症/ウィルス性疾患(肝炎,エイズ等)
・遺伝子疾患(ダウン症等)
・体質評価,発症前診断
21
開発システムの目標性能
開発システムの目標性能
性 能
最終目標
トータルシステム性能目標
3以上
2Laser 6Color
-
CV3%(CEN)
蛍光検出感度
数100分子/細胞
数100MESF(FITC)
分離速度
10,000細胞/秒
10,000細胞/秒
分離能
90%以上
純度:90%以上
操作性
容易
光軸調整・ソート調整
の易操作化
サイズ
約120 X 60 X 50cm
120 X 60 X 50cm
検出パラメータ
光
学
検
出 蛍光検出分解能
能
分
離
能
22
参考1-11
開発課題と対応(要素技術)
開発課題と対応(要素技術)
開発課題
平成7年度
高感度化(目標:
現状の数倍)⇒半
導体レーザ,光ファ
イバ採用により高
効率集光,ロス低
減
目標仕様の検
討と概念設計
(1)要素技術
検討
高精度化 ⇒流送
安定化
目標仕様の検
討と概念設計
②特定細胞
高精度分
離技術
高速化 ⇒検出~
分離の処理時間短
縮
(1)要素技術
検討
①超高感度
光学検出
技術
平成8年度
平成9年度
平成10年度
励起光源系,
サンプル流送
系,光学検出
系に関して独
自方式を検討・
試作
ファイバ導光・
ファイバ検出
系による光学
検出部の設計・
試作・評価
要素技術を踏
まえ,光学検
出部を試作・
評価
送液圧力系,
分離系,細胞
画像取得系に
関して独自方
式の検討・試
作
安定な流送系
および高速な
細胞分離部の
設計・試作・評
価
要素技術を踏
まえ,細胞分
離部を試作・
評価
⇒目標達成の
目処 ・一次試
作機反映
⇒目標達成の
目処 ・一次試
作機反映
23
開発課題と対応(トータルシステム)
開発課題と対応(トータルシステム)
開発課題
平成9年度
(2)トータルシステ 小型化 ⇒レーザ, 仕様検討
ムの開発
流送系,信号処理
系
易操作化 ⇒光軸
調整,分離設定
(3)総合評価
細胞での評価方
法の確立
臨床サンプル評
価方法の確立
評価項目の洗
い出し
平成10年度
平成11年度
平成12年度
一次試作機
(原理実証機)
の仕様検討・
試作
二次試作機の
仕様検討・試
作
最終目標を達
成すべく,二次
試作機の改良
一次試作機の
光学性能/分
離性能評価
二次試作機の
光学検出/分
離性能評価
改良二次試作
機の性能評価
⇒改良すべき
問題点の抽出
⇒最終目標達
成の見通し
⇒臨床ユーザ
評価
⇒目標性能達
成を確認
24
参考1-12
完成予想図
完成予想図
25
一次試作機
一次試作機 (1999/3:H10年度)
(1999/3:H10年度)
26
参考1-13
二次試作機
二次試作機 (2000/3:平成11年度)
(2000/3:平成11年度)
27
二次試作機・改良(2001/1:平成12年度)
二次試作機・改良(2001/1:平成12年度)
28
参考1-14
達成状況(目標仕様と成果の比較)
達成状況(目標仕様と成果の比較)
性 能
最終目標
トータルシステム性能目標
トータルシステム評価結果
3以上
2Laser 6Color
2Laser 6 Co lo r
実現
-
CV3%(CEN)
CV4%(CEN)
蛍光検出感度
数100分子/細胞
数100MESF(FITC)
2 98 MESF(FITC )実現
分離速度
10,000細胞/秒
10,000細胞/秒
1 0, 00 0 細胞/秒達成
分離能
90%以上
純度:90%以上
純度: 9 0% 以上
操作性
容易
光軸調整・ソート調整
の易操作化
光軸調整: 2軸調整のみ
ソート調整: 1画面化
サイズ
約120 X 60 X 50cm
120 X 60 X 50cm
9 5 X 6 5 X 65 c m
検出パラメータ
光
学
検
出 蛍光検出分解能
能
分
離
能
29
成果に対するユーザ評価(臨床評価)
成果に対するユーザ評価(臨床評価)
評価項目
評価メンバー
所属
白血病患者のリンパ球サブセット解析評価
中原一彦
東京大学 医学部
臨床検査医学
6カラーによる蛍光補正・分離評価
中内啓光
筑波大学
基礎医学系免疫学
PI 染 色 正 常 リ ン パ 球 に よ る CV 評 価 と DNA
Index
高本 滋
愛知医科大学
付属病院 輸血部
CCRF-CEMと正常リンパ球の分離およびCGH
解析
佐々木功典
山口大学 医学部
第二病理
婦人科腫瘍関連サンプルの解析および分離評価
杉下 匡
坂本 優
近藤亜矢子
佐々木研究所付属
杏雲堂病院 婦人
科
30
参考1-15
成果に対する評価(他のFCMとの比較)
成果に対する評価(他のFCMとの比較)
従来技術
開発した技術
市販の高速セルソータ
—日本初の高速・
高感度ソータ
実現
平成7~12年実施の「微量細胞
情報検出システム」開発プロジェクト
—光軸調整簡素
化(15軸→4軸
調整)
—高速ソータとし
て世界最小サ
イズを実現
—高速ソータとし
て約1/2のコス
ト低減
【課 題】
・解析装置に比し感度不足
・装置が大型
・操作が困難(専任オペレータ必要)
・装置が高価
—細胞画像収集
機能を付加
【特 徴】
・高感度化
・装置が小型
・操作が簡便(専任オペレータ不要)
・装置が安価
31
成果の実用化・普及可能性
成果の実用化・普及可能性
開発システムは簡易ソータと高速ソータの両方の良い性能を持つ
z 簡易ソータより,分離速度早い(高速ソータ並)
z 高速ソータより,小型で高感度(簡易ソータ並)
両方のユーザが使用可能⇒市場拡大
ゲノム研究に対応したタンパク質レベルでの解析(プロテオーム解析)の進展
⇒解析だけではなく,高速分離が必要
↓
高速ソータは設置面積大きく,専任オペレータ必要
↓
小型で,水冷・200V系ユーティリティ不要
易操作のため,オペレータ不要
多くの施設で細胞分離が可能⇒市場波及
32
参考1-16
今後の展開(実用化のシナリオ)
今後の展開(実用化のシナリオ)
競合装置:セルソータの市場
簡易ソータ
約2500万円/台×300台/年
年間市場
約100億円
(日本)
耐用
7-10年
高速ソータ
約5000万円/台× 35台/年
本システム
価格体系
約2500万円
総市場
0.7~1兆円
(米国2社
の独占)
※米国は約5倍
・装置製品化設
計・改良
・販売・メンテ体
制の確立
3-4年後
20%シェア
H13~H14
年間売上
約20億円
(日本)
H15~
33
実用化・普及のための課題
実用化・普及のための課題
(1)装置製品化設計・改良(性能・品質向上)
¾ 測定精度面での改善(CV値等)
¾ 操作性のさらなる向上(制御ソフトウェア,光軸調整)
¾ コストを視野に入れた設計変更(簡易ソータ並の価格体系)
¾ メンテナンスや品質保証を視野に入れた設計変更
(2)販売体制の確立
¾ 抗体,蛍光色素を含めた消耗品関連販売の両輪体制の整備
¾ メンテナンス・製造体制の整備
34
参考1-17
開発成果の展開可能性
開発成果の展開可能性
1.要素技術
超高感度
光学検出技術
特定細胞
高精度分離技術
—臨床知見 ⇒特定細胞診断用の
解析専用機への展開
—高感度検出 ⇒他の蛍光検出装置への応用展開
—分離技術 ⇒顕微鏡下での分離技術の展開
—流体技術 ⇒バイオICチップへの展開
2.トータルシステム
—ポストゲノム研究の加速
(遺伝子機能解析,プロテオーム解析等)
—テーラメード診断,治療への応用
35
研究発表及び特許等
研究発表及び特許等
(1)論文発表
1)山下達雄;”FACSの基本原理(2) ソーティングの原理と基本操作”,細胞工学別冊 フローサイ
トメトリー自由自在(監修 中内啓光),秀潤社,東京,p.14,1997.
2)村山康二,神田昌彦(旧姓:大澤),野村和弘:”新しいサイトメトリー:世界と日本”,応用サイトメ
トリー(監修 天神美夫),㈱医学書院,東京,p.352,2000.
(2)口頭発表
1)M. Kanda : “Flow cytometer using a fiber-optic detection system”, International Biomedical
Optics Symposium 2001, Jan. 24, 2001.
2)神田昌彦,中田元巳,鈴木慎吾:”光ファイバ検出系を使用したサイトメータ開発とその性能評
価”,第11回日本サイトメトリー学会,.
(3)特許出願
1)中田元巳,住友電気工業株式会社,”微生物の検出方法”,2000年12月1日,特願2000375605.
2)中田元巳,住友電気工業株式会社,”蛍光値補正方法、蛍光値補正装置、蛍光値補正プログラ
ム及び前記蛍光値補正プログラムを記録した記録媒体”,特願2001-280411
36
参考1-18
参考資料2
周辺動向調査(報告書)
本資料は、第1回「微量細胞情報検出システム」
(事後評価)分科会において、評価の事務
局である新エネルギー・産業技術総合開発機構技術評価部から、株式会社旭リサーチセンター
へ関連技術の周辺動向調査を依頼したものである。
微量細胞情報検出システム 周辺動向調査
目 次
目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−1
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−2
(1)開発対象装置の市場環境及び社会的ニーズ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−2
(2)当該技術分野の開発トレンド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−11
(3)開発された時の波及効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−23
2.類似研究開発の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−27
(1)論文・特許 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−27
(2)国内の研究開発動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−28
(3)外国の研究開発動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−32
3.追加調査
抽出した特許出願の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 2−41
参考 2−1
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況
(1)開発対象装置の市場環境及び社会的ニーズ
本プロジェクトの開発対象機器は、医療機器に属する臨床検査に用いるフローサイトメ
ーター(セルソーター)である。
まず、国民医療費、疾病に関する概況、次に、医療機器産業全体、本プロジェクトの対
象機器の市場環境、社会的ニーズなどについて述べる。
国民医療費、疾病に関する概況
図表1に国民医療費の推移を、図表2に推計患者数の年次推移を示す。
国民医療費の総額は、90 年以降においても年々増加の傾向が続き、対国民所得において
も 95 年には 7%を越え増加し続けている。推計患者数統計から、近年の疾病構造を見ると、
がんや循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病が増加している。これらの生活習慣病は、直ち
に生命を奪わないまでも、療養に長期を要し、身体の機能やQOLを著しく低下させること
が多い。特にがんは、早期発見早期治療が重要で、早期発見に資する診断法、診断機器は医
療に貢献すると考えられる。
図表1 国民医療費の推移
9
8
300.0
7
250.0
6
200.0
5
150.0
4
3
100.0
2
50.0
1
0.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998
206.1 218.3 234.8 243.6 257.9 269.6 285.2 290.7 298.3
総額(千億円)
一人当たり(千円) 166.7 176 188.7 195.3 206.3 214.7 226.6 230.4 235.8
5.96 6.01 6.36 6.54
6.9
7.08 7.28 7.41 7.86
対国民所得(%)
年 度
日本製薬工業協会資料をもとに作成(原資料 : 厚生省「国民医療費」
、経済企画庁「経済要覧」
)
参考 2−2
0
対国民所得(%)
総額(千億円)/一人当たり(千円)
350.0
図表2 推計患者数の年次推移
(千人)
450
脳血管疾患
400
悪性新生物
350
300
糖尿病
250
200
150
虚血性心疾患
100
肝疾患
50
肺炎
結核
0
昭和 54年
55年
56年
57年
58年
59年
62年
平成 2年
5年
8年
資料:厚生省患者調査
医療機器産業全体の市場環境
①世界の医療機器市場規模
「1999 年の主要国医療製品市場規模 約 1,580 億ドルに対し、アメリカが 667 億ドル
と全世界の約 42%を占めている。日本は国別では世界第2位で、234 億ドルであり全世界の
約 15 % であ る 。」(Advanced Medical Technology Association( 旧 HIMA ) の調 査報 告
(OUTLOOK FOR MEDICAL TECHNOLOGY INNOVATION)に基づいている)
(医療機器に
関する技術動向調査(平成 13 年 5 月 31 日 特許庁技術調査課)より抜粋)
参考 2−3
②日本の医療機器生産状況
日本における医療機器生産金額の推移を図表3に示す。
図表3 日本における医療機器生産金額推移
(医療機器に関する技術動向調査 H13.5.13 特許庁技術調査課 表3を基に作成)
3500
3000
2500
億円
2000
1500
1000
500
0
画像診断用装置
1990 年 1991 年 1992 年 1993 年 1994 年 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年
2870.66 2953.46 2854.35 2745.48 2581.33 2633.3 3004.52 2980.56 3034.44
処置用機械器具
生体補助機能・代行器
1187.27 1239.78 1330.24 1392.11 1354.52 1452.55 1531.06 1700.3 1741.64
1134.69 1226.9 1291.36 1363.64 1393.92 1437.99 1568.43 1582.92 1700.22
検査用機械器具及び装置(生体電 1464.64 1438.65
気・物理、機能、検体)
1047.3 923.42
家庭用治療器
890.86 892.3
診療施設用機械装置及び診療用
機械器具、付属機器
放射性同位元素治療装置医用放 1124.88 1146.03
射線関連装置及び製品、
202.1 209.28
理学診療用機械及び装置
1448.28 1279.45 1246.3 1316.14 1362.9 1590.52 1478.52
1099.35 1109.65 1129.78 1180.74 1203.69 1270.38 1218.27
953.89
964.09 1041.28 916.61
944.72
993.86 1131.47
1250.87 1177.04 1027.44 1040.46 1049.42 1095.46 1038.34
230.62
224.32
221.14
205.66
246.84
286.48
300.67
手術用品、外科・整形外科用品及
び関連製品
手術用機械器具及び装置
128.53
149.2
180.13
175.97
191.76
215.34
281.78
283.11
294.19
123.54
123.98
188.77
123.58
109.94
101.39
138.11
159.42
186.18
生体現象監視用機械器具及び装
置
117.47
131.71
169.8
135.53
149.37
217.76
331.42
146.28
143.39
治療用粒子加速装置
43.51
47.55
48.08
35.6
33.82
23.86
67.73
67.26
72.05
0
0
0
0.25
0
0.11
0.14
0.11
1.15
検査用核医学装置
参考 2−4
検査用機械器具及び装置(生体電気・物理、機能、検体)は、この表の分類の中では画
像診断用装置、処置用機械器具、生体補助機能・代行器に次いで4番目に生産金額が大きな
ものである。
検査用機械器具及び装置のうち、検体(医用検体)検査機器の生産・輸出入などに関する推移
を図表4に示す。
図表4 医用検体検査機器の生産・輸入・出荷・輸出・12月末在庫の推移
(薬事工業生産動態統計年報を基に作成)
1,200
1,000
億円
800
600
400
200
0
生産・輸入計
生産
輸入
出荷計
国内
輸出
12月末在庫
1990
年
912
796
117
927
746
181
117
1991
年
896
788
108
932
748
184
89
1992
年
907
728
179
932
739
193
103
1993
年
829
648
181
816
685
131
102
1994
年
797
637
161
818
718
100
98
1995
年
822
704
118
836
736
100
83
1996
年
921
754
167
917
744
172
90
1997
年
1,117
895
222
1,138
904
234
89
1998
年
1,004
839
164
1,022
853
169
85
1999
年
1,074
851
223
1,040
842
198
117
プロジェクト対象機器の市場環境
本プロジェクトの対象機器であるセルソーターは臨床診断機器としてはフローサイトメータ
ーのアナライザータイプであり、その生産統計としては平成11年の薬事工業生産動態統計年報
より「セルアナライザー」という小分類が設けられ統計数値が現れた。図表5に同統計の数値を
示す。
図表5 セルアナライザーの生産・輸入・出荷・輸出(平成 11 年)
(薬事工業生産動態統計年報 平成 11 年を基に作成)
計
生産
輸入
出荷計
国内
輸出
12月末在庫
個数
金額(百万円)
101
904.95
−
−
101
904.95
44
272.25
44
272.25
−
−
−
−
参考 2−5
この表より、セルアナライザーは年間約 100 台程度が全て輸入され、約半数が国内に出荷さ
れていることが分かる。「医療機器総覧’99」(財団法人 医療機器センター、平成 11 年 1 月
10 日発行)によれば、セルアナライザーの項目では外資系2社のみの製品が記載されている(図
表6)
。
図表6 セルアナライザー
(医療機器総覧’99、財団法人 医療機器センター、平成 11 年 1 月 10 日発行より抜粋)
コールター㈱ 平成10年11月1日にベックマン(株)と合併しベックマン・コールター㈱に社名
変更予定
セル・アナライザー<コールター-US.>
平8年12月20日
日本ベクトン・ディッキンソン㈱
FACSCalibur HG フローサイトメーター<ベクトンディッキンソン-US.> 昭49年10月17日
スペクトラムⅢ<ベクトンディッキンソン-US.>
15700BZY01358000
FACSアナライザー・システム<ベクトンディッキンソン-US.>
15800BZY00697000
FACS420細胞自動解解析・分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
15900BZY00044000
FACS440細胞自動解析・分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
15900BZY00045000
FACStar自動細胞解析分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
16100BZY00648000
FACScan自動細胞解析装置<ベクトンディッキンソン-US.>
16200BZZ00485000
FACStarPlus自動細胞解析分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
16300BZY00103000
FACSort自動細胞解析分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
20400BZY00148000
FACS Vantage自動細胞解析分離装置<ベクトンディッキンソン-US.>
20400BZY00243000
FACSCount自動細胞解析装置<ベクトンディッキンソン-US.>
20700BZY00109000
フローサイトメーターが使われ得る検体検査
検体検査にフローサイトメーターが使われ得る検査項目として以下(図表7)がある。診療報
酬点数表による区分ではいずれも「細胞機能検査」に属する。
図表7 検体検査にフローサイトメーターが使われ得る検査項目
a.フローサイトメトリー法によるT細胞・B細胞百分率検査
(330点)
b.モノクローナル抗体によるT細胞サブセット検査(一連につき) (340点)
c.モノクローナル抗体法による造血器悪性腫瘍細胞検査(一連につき)
(1600点)
(括弧内の点数は診療報酬点数表平成12年10月版に基づく)
これらについての統計情報として平成8年∼平成11年の各6月の健康保険診療報酬の審査
分の推計に関する厚生労働省(旧厚生省)大臣官房統計情報部の資料より年次推移を図表8、9
に示す。但し、この統計では上記のa、bは一括されて統計が取られている。
参考 2−6
図表8 フローサイトメ−タが使用され得る主な検査項目の社会
保険点数推計の推移(6月審査分)
社会医療診療行為別調査報告 各年より作成、96∼98年6月審査分は政府管掌健康保険、国民健康保険を合
わせた全国推計値、99年6月審査分では組合管掌健康保険が追加されている
14,000,000
12,000,000
10,000,000
点数
8,000,000
6,000,000
4,000,000
2,000,000
0
1996年6月審査分
1997年6月審査分
1998年6月審査分
1999年6月審査分
モノクローナル抗体造血器悪性腫瘍細胞検査
フローサイトメトリー法T細胞・B細胞百分率検査、モノクローナル抗体によるT
細胞サブセット検査
図表9 フローサイトメ−タが使用され得る主な検査項目の
検査回数推計の推移(6月審査分)
回数
社会医療診療行為別調査報告 各年より作成、96∼98年6月審査分は政府管掌健康保険、国民健康保険を合
わせた全国推計値、99年6月審査分では組合管掌健康保険が追加されている
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1996年6月審査分 1997年6月審査分 1998年6月審査分 1999年6月審査分
モノクローナル抗体造血器悪性腫瘍細胞検査
フローサイトメトリー法T細胞・B細胞百分率検査、モノクローナル抗体によるT
細胞サブセット検査
参考 2−7
フローサイトメーターでの測定に用いられる検査用試薬の例
フローサイトメーター、セルソーターの使用においては、細胞等を標識する蛍光標識抗体等が
不可欠である。図表10に体外診断用医薬品として承認された標識抗体の例を示す。
図表10 フローサイトメーターでの測定に用いられる検査用試薬の例
((社)日本臨床検査薬協会編集「体外診断用医薬品集’97」を基に作成)
例
製造or販売会社
免疫学的検査 T細胞・B細胞百分率測定 オーソミューン OKT3 PE標識抗 オーソ
用試薬
用試薬
体
コールタークローンB1-FITC
コールター(現ベ
ックマン・コール
ター)
ダ コ デ ュ ア ル カ ラ ー ダコ・ジャパン
CD3/FITC+CD19/RPE
Leuシリーズサイマルテスト サ 日本ベクトン・デ
イマルテストT/B細胞テスト ィッキンソン
NU-TER FITC標識抗体
ニチレイ
B細胞表面免疫グロブリン Leuシリーズサイマルテスト 抗 日本ベクトン・デ
測定用試薬
Kappa/抗Lambda
ィッキンソン
HLA−DR測定用試薬
抗白血球-FITC標識抗体液
日本ベクトン・デ
ィッキンソン
ダコフローサイトメトリー抗体 ダコ・ジャパン
HLA-DR(CR3/43)/FITC
ビオチン標識抗体
「イムノテック」コールター(現ベ
HLA-DR IOT2a
ックマン・コール
ター)
リンパ球サブセット検査用 オーソミューン OKDR FITC標識 オーソ
試薬
抗体
抗LeuM3モノクローナル抗体 抗 日本ベクトン・デ
LeuM3-FITC標識抗体液
ィッキンソン
コールタークローン12-FITC
コールター(現ベ
ックマン・コール
ター)
ダ コ デ ュ ア ル カ ラ ー ダコ・ジャパン
CD4/FITC+CD8/RPE
ファーミンジェン抗ヒトCD2-PE 藤沢薬品工業
リンパ球表面マーカー測定 抗リュウモノクローナル抗体 抗 日本ベクトン・デ
Leu-2aビオチン標識抗体液
ィッキンソン
用試薬
ダ コ デ ュ ア ル カ ラ ー HLA- ダコ・ジャパン
DR/FITC+CD3/PRE
ビオチン標識抗体
「イムノテック」コールター(現ベ
CD57 IOT10
ックマン・コール
ター)
BM-1「JIMRO」
大塚製薬
日本におけるフローサイトメトリー関係学会
フローサイトメーター、セルソーターの臨床応用に関する研究者が属すると考えられる主な学
会を図表11に示す。我が国においても、これらの関係学会を中心として、フローサイトメータ
ー、セルソーターを用いる研究は既に健康保険適用になっている疾病はもとより、細胞表面・細
参考 2−8
胞内マーカー物質の研究の進展に伴い、今後も広がると考えられる。
図表11 日本における主なフローサイトメトリー関係学会
学会名
創立年
(社)日本臨床衛生検査技師 1977年
会(Japanese Association of
Medical Technologist)
日本臨床検査医学会
1951年
(Japanese Society of
(但し、前身
Laboratory Medicine;旧 日 の臨床病理懇
本臨床病理学会)
談会)
日本サイトメトリー学会
1990年
会員数
WWW、連絡先
(参考:国内臨床検査技師数 http://www.jamt.or
44420人(1997年)
)
.jp/
約3100名
http://www.jscp.or
g/
約1000名
[email protected]
.ne.jp(学会事務局)
社会的ニーズに関連する公的報告書
国家産業技術戦略 分野別産業技術戦略(医療福祉分野のうちの医療機器産業技術戦略):
平成 12 年 4 月に報告された国家産業技術戦略は、政府産業構造転換・雇用対策本部の「緊急
雇用対策及び産業競争力強化対策について」の中で「国家産業技術戦略を産学官の英知を結集し
て策定し、当該戦略を科学技術基本計画に反映する」との決定の下に、策定されたものである。
以下、その報告書(分野別)の中から、医療機器開発の社会的ニーズに関連すると思われる箇所
を抜粋する(図表12)。この中では、「日本は診断機器は強い」旨の一般論に言及しているが、
同時に「我が国の医療機器産業の競争力を一律に論ずることはできない」とも述べており、本プ
ロジェクトの対象機器は診断機器ではあるが、現状の市場を見る限り、日本は弱い分野と言えよ
う。
図表12 国家産業技術戦略・分野別産業技術戦略(医療福祉分野のうちの医療機器産業技術戦
略)での社会的ニーズ関連箇所
医療機器産業技術戦略
Ⅰ.医療機器産業における産業競争力と技術の現状
1.医療機器産業のおかれた状況
(1)医療機器産業の重要性とその戦略の必要性
医療分野は、21世紀の二大潮流であるバイオテクノロジーや情報技術の最も重要な応用
分野の一つであり、その中でも、広義の医療機器産業は、到来しつつある超高齢社会におい
て、健康増進・管理から診断、治療、健康回復に至るまで幅広く個人の健康をサポートする
インフラ産業として、新たな市場や雇用を創出し得る成長分野である。
また、多様なニーズに対応した多品種少量生産型の医療機器産業の本質は、画一的な大量
生産から脱却した21 世紀型の産業のあり方を先取りするとともに、人々の医療に対する
需要の多様化にも対応するものである。
しかしながら、医療機器産業については、その重要性にも関わらず、産業政策的視点から
の官民一体となった検討が行われたことはなく、また、研究資源の戦略的な投資のあり方や
新しい技術を市場化するための市場環境整備も含めた総合的な国家戦略が欠如していた。
したがって、医療機器産業の方向性について、今後の医療ニーズの方向性や我が国の潜在
的な技術競争力を踏まえ、必要な市場環境整備も含めた総合的な戦略が求められている。
参考 2−9
図表12 国家産業技術戦略・分野別産業技術戦略(医療福祉分野のうちの医療機器産業技術戦
略)での社会的ニーズ関連箇所(続き)
(2)医療機器産業の現状と特徴
我が国の医療機器産業は、着実に成長を続け、今や工作機械産業や半導体素子産業に匹敵
する生産規模となっている(1998 年1 兆5,214 億円。また、輸出入につい)てもともに規
模が大きく、全体として見ればグローバル化の進んだ産業であるといえる(輸出3,273 億円、
輸入8,345 億円。)
しかしながら、医療機器産業といっても、大型先端医療システムから消耗品的な材料・用
具まで、その製品は極めて多様である。また、製造事業者の多くは中小企業であり、特に治
療器においては、中小企業が売上高の6 割以上を占めている。医療機器産業の中小企業性
の高さは欧米においても同様であり、米国でも8 割以上が中小企業と言われており、中小
企業の積極的な研究開発活動がこの分野の技術革新の原動力となっている。
医療機器の国際的な市場を見てみると、先進諸国でほぼ80 %を占めているが、こ
れらの国々における医療費抑制の潮流を踏まえると、今後、成長率が高いのは発展途上国、
特にアジア市場であり、近年毎年10 %以上の成長を続けている。アジア諸国においては、
医療保険制度等が未整備なところが多く、今後、制度整備が進むとともに、国民所得の増大、
高齢化の進展等により、その市場は一層拡大するものと期待されている。アジア市場を巡っ
ては、既に、日米欧の企業間による激しい競争が進展している。
医療機器市場の国際化に伴い、欧米においては、国境を越えて、医療機器関連企業の合従連
衡が進んでいる。国際市場での熾烈な競争に生き残るためには、製品開発サイクルを短くし、
次々と新技術の商品化を進めることが不可欠であり、米国では、多数の研究開発型の中小企
業が技術革新を担い、その技術あるいは企業を買収することにより、資本力・事業化力を有
する巨大企業が短期間での商品化を推し進めるというメカニズムが働いている。
(3)医療機器産業の競争力の現状
「日本は、診断機器は強いが治療機器は弱い」とよく指摘されるように、我が国の医療機器
産業の競争力を一律に論ずることはできない。そこで、健康管理から診断、治療、生体機能
代替等に至るまで、幅広い機器について、特徴的な18の製品を選んで、日本企業の市場シェ
ア、技術競争力、その背景について調査・分析を行った。その結果、医療機器の基礎研究か
ら産業化までのプロセス毎の競争力に着目すると、大きく5つに類型化できる(別添1参
照。
)
これらのことから読みとれることは、強い産業競争力を有するためには、基礎的な技術開
発も重要であることながら、改良・改善を超えた技術革新を如何に素早く製品化につなげて
いくかが極めて重要であることがわかる。
我が国の医療機器産業は「既に市場が顕在化している」「患者の身体に直接与える影響の
少ない」といった相対的にリスクの小さい分野において産業競争力を有しているという特徴
がみられるが、これは、必ずしも、リスクの高い、例えば治療機器技術における潜在的な技
術競争力が低いことを意味しているわけではない。
現在国際競争力を有している製品は、我が国が技術競争力を有していたのみならず、それ
を迅速に製品化につなげられるような環境条件、特に医工連携がうまく形成できたという要
因が大きいが、このような環境条件は、これまで研究者個人の力量や見識に依存しており必
ずしも組織的に整備されてこなかったのが現実である。
参考 2−10
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況
(2) 当該技術分野の開発トレンド
当該プロジェクトの技術的特徴
本プロジェクトの技術的特徴はデスクトップ型サイズでサイズの大きな高位機種セルソータ
ー並の性能を持たせた診断装置の開発を目指した点にある。
当該技術分野の開発トレンド
Los Alamos National LaboratoryのNational Flow Cytometry Resource, Life Sciences
DivisionのRoslainiecらは、
“New Flow Cytometric Technologies for the 21st Century”と題す
る総説において、フローサイトメーターにおける最近の5つの技術的進歩領域(下記A)∼E))
を挙げている(Roslainiec MC et al. HUMAN CELL Vol.10 No.1, 3-10, 1997)。これらは、用途
に応じて装置付加・改変などをおこなった研究に関するもので、当該分野の開発トレンドに繋が
ることがらと考えられる。
A) Stopped flow mixing and rapid kinetic flow cytometry
B) Phase sensitive fluorescence lifetime measurements
C) DNA fragment analysis
D) Optical chromosome selection
E) Single cell flow karyotype analysis
A)は、細胞でおこる秒単位以下の迅速な変化を解明する上で有用であり、注射器による迅速混和
デバイスをフローサイトメーターの解析部に繋げる形が考案されている。(Nolan JP, et al.
Cytometry 21:223-229, 1995、Nolan JP, et al. Biochemistry 35:11668-11676, 1996)
B)は、蛍光標識物質が結合部位の微小環境の影響を受け、蛍光の寿命に変化を受けることがあり、
この寿命変化を検出することにより、対象細胞、生体物質の状態を解析する技術である。励起
レーザーの強度調節を高周波数で行う装置を付加して蛍光寿命を計測する。蛍光物質のエチジ
ウムブロマイドを用いたアポトーシス細胞と、それ以外の細胞の識別の研究がある。さらに、
この方法は蛍光検出系のバックグラウンドなどを低減する手法にも応用できる。(Steinkamp
JA, et al. Rev Sci Instrum 64:3440-3450,1993)
C)は、DNA断片の長さに比例して標識される強い蛍光を発する物質をDNA断片に標識して、こ
れをフローサイトメーターで計測することによりDNA断片の解析を行う方法である。ナノグ
ラムレベルの微量DNAを数分以内に解析できる。
(Goodwin PM, et al. Nucleic Acids Res
21:803-806, 1993)
D)は、ゲノム解析のための染色体分取方法にセルソーターを利用する方法である。既存のセルソ
ーターでも、染色体の分取は可能だが、分取速度を上げることが求められている。2レーザー
での染色体の判別に加え、第3番目のレーザーを装着し、不要の染色体に光反応性DNA架橋
参考 2−11
試薬(8-methoxy psoralen)を加えた状態で第3のレーザー照射により架橋を起こさせる。架橋
はDNA複製の障害となり、以降のDNAクローニングの段階で、選択されないことを原理とす
る 方 法 で あ る 。( Roslaniec MC, et al. NATO Adr. Studies Series, Flow and Image
Cytometry 23:279-283, 1996)
E)は、細胞の核形分析に関するものである。従来は、何百万個もの細胞を溶解し染色体を取り出
し、フローサイトメーターにより解析していた。1個の細胞の核形を決める方法として、細胞
溶解用のチャンバーを装着しこの中で1個の細胞を溶解したのち、その染色体を解析する方法
が開発された。(Stepanov SI, et al. Cytometry 23:279-283, 1996、Zenin VV , et al.
Cytometry supal 8:AC21, 103, March, 1996)
米ベクトンディッキンソン社の日本法人の日本ベクトンディッキンソン(株)の生井は「FACS
フローサイトメーターシステム」と題する記事(細胞工学 別冊 フローサイトメトリー自由自
在 秀潤社 94-95、1999)の中で、最近の製品の紹介と共に今後の機器開発を述べている。米
ベクトンディッキンソン社は1973年に最初の製品を発売以来、全世界で約1万台のフローサイ
トメーター・セルソーター(FACS(登録商標)製品)を納入している世界のトップメーカーの
1つである。
「オプションを追加装備することにより機能を拡張する」というコンセプトで最近の製品の1
つであるFACSCaliburは1995年に開発された。以下が主な特徴である。
同機はベンチトップサイズである。
オプションにより
① 3カラー解析を4カラー解析化
② ソーティング機能の追加(セルキャプチャーチューブ方式)
③ サンプル自動供給装置の追加
が可能となっている。
レーザーから、キュベットまでの距離が短く光軸調製の必要性を無くしている。
従来の機種(1レーザー3カラー測定)と異なり2レーザーを異軸で用いることにより各蛍光
色素の漏れ込みを最小限に抑えている。
さらに、1998年には同社は「水滴荷電方式」のセルソーター(FACS Vantage SE)を学
会発表した。以下が主な特徴である。
「水滴荷電方式」でのレーザー光を照射してから水流が水滴に分かれる直前の、水流に電荷を
加えるまでの時間差であるdelay timeの変化の問題に、CCDカメラによるモニターとdelay time
自動設定ソフトウェアで対処する方法をとっている。
オプションにより、
①高速ソーティング(通常35000個/秒以下を20000∼65000個/秒に)(分取時間の短縮)
②4カラー解析を6カラー解析化
③マイクロプレートへの分取細胞の解析結果の再呼び出し・解析機能
参考 2−12
を追加できる。
今後の機器開発の方向として、
1)ソーティング機能
より高速な、回収率の高い細胞分離(水滴電荷方式の改良、新たな電子技術による)
2)解析機能
レーザーの小型化などによるマルチカラー解析、機能拡張オプションの開発
を挙げている。
同じく世界のセルソーター、フローサイトメーターのトップメーカーである米ベックマン・コ
ールター社の日本法人であるベックマン・コールター(株)の江川、藤巻は「FACSフローサイ
トメーターシステム」と題する記事(細胞工学 別冊 フローサイトメトリー自由自在 秀潤社
96-97、1999)の中で、同様に製品の紹介を述べており、開発トレンドを知る上で参考になる。
米ベックマン・コールター社は高感度フローセル技術を開発し、同社の製品に導入した(EPICS
ALTRAおよびELITEシリーズ)。
従来技術では一定速度以上の分取速度を得ようとすると水冷の高出力レーザーが感度を上げ
るために必要であったが、この技術の導入により低出力空冷レーザーでも十分な感度が得られ、
設置条件の広がりやメンテナンスが容易になり、高感度・高速ソーティングが実現された。
また、別の開発方向として検出系のデジタル処理化を挙げている。即ち、マルチカラー計測の
方法として複数レーザーで行うマルチカラー測定系が一つの方向であるが、デジタルシグナルプ
ロセッサ(DSP)チップを導入し1レーザーで4カラー光学系のシグナル処理を可能とする製
品を開発している(EPICS XLシリーズ)
。
主なセルソータ、フローサイトメータの販売会社の協力を得て、代表的な製品について
の発売の歴史を図表13に示した(発売年、製品名、特徴略記)
。
参考 2−13
図表13 代表的なセルソータ、フローサイトメータ製品の発売年と主な特徴
(a)ベックマン・コールター株式会社販売製品
発売(発表)年
製品名
特徴
1990年 EPICS ELITEセルソ 世界初の小型空冷レーザー搭載セルソーター。レーザー
ーター発売
は、2本から4本搭載可能。
1993年 EPICS XL セルア 世界初のデジタルフローサイトメーター(DSPを内蔵)、
ナライザー発売
世界初の4カラーアナライザー。
2000年 EPICS XL ADC セ 世界初、自動4カラー蛍光補正機能を搭載(DSPを内蔵)
。
ルアナライザー発
売
2000年 EPICS ALTRA
世界初、超高速&小型空冷レーザー搭載セルソーター。
HyPerSort セルソ
ーター発売
2001年 Cytomics FC500セ 世界初、小型空冷マルチレーザー搭載5カラーセルアナ
ルアナライザーを ライザー(DSP内蔵)
。世界初、自動5カラー蛍光補正機能
発表(12月)。 を搭載。
(b)日本ベクトン・ディッキンソン株式会社販売製品
発売年
1991年
1994年
1997年
1998年
1999年
2001年
製品名
FACSVantage
FACSCalibur(注1)
FACSCaliburHG
FACSVantageSE(注2)
BD LSR 2laser
FACSVantage
DiVa option
同時測定カラー数
5 color(最大)
4 color(最大)
4 color(最大)
6 color(最大)
6 color
8 color(最大)
細胞分離機能
標準:2way
オプション
オプション
標準:2way
解析専用
標準:4way
データー処理部
HP製コンピューター
Macintosh
Macintosh
Macintosh
Macintosh
Macintosh、
Windows2000
注 1:この機種は FACScan の後継機種として発売され、主な特徴は従来のアナライザーが
実現できなかった拡張性を現実の物としたこと。
マルチカラーへの拡張性:オプションで半導体赤色レーザーを搭載することにより APC
蛍光色素を用いた 4 カラー解析が行える。
細胞分取機能:セルキャプチャー方式による細胞分離機能をオプションで搭載することが
可能、よってセルアナラーザーでありながら4カラー解析及び細胞分取機能を拡張できる製
品特性をもった機種である。
注 2:この機種は FACS Vantage の信号処理回路及び送液系を変更してマルチカラー解析
及び高速ソーティングに対応したハイエンドセルソーターである。
マルチカラー解析では UV,488nm,赤色レーザー
(He-Ne or Dye Laser)
を同時に用いた 6color
解析が行える。
高速ソーティングでは従来の製品は送液系が最大 20psi までが標準仕様(Turbosort 装着時
は 60psi)であったが送液系を 100psi まで対応する送液チューブ及び電磁弁に仕様変更した。
よって最大 25000 細胞/秒の高速 sorting が可能になった(このデーターは細胞の生存率を考
慮したデーターであるり、詳細については同社資料 FACStoday に記載)
。
既存製品
主な既存のフローサイトメーター、セルソーターの価格を図表14(a)∼(c)に、基本計
画での目標性能を図表15、そして、既存のフローサイトメーター、セルソーターのうちの
一部の製品についての性能を図表16(a)∼(d)に示す。
参考 2−14
図表14 代表的な市販セルソータ、フローサイトメータの価格
(a)ベックマン・コールター株式会社
参考システム価格
EPICS ALTRA Systemとレーザーの標準組み合わせ例 希望小売価格(万円)
(1年間保証)
EPICS ALTRA System Type Ⅱ 空冷4レーザーシステム(V)
4,770
EPICS ALTRA System Type Ⅱ 空冷3レーザーシステム(G)
4,370
EPICS ALTRA System Type Ⅱ 空冷2レーザーシステム(D)
4,300
タイプ 空冷Arレーザー
空 冷 He-Ne レ ー ザ ー 空冷He-Neレーザー
空冷He-Cdレーザー
488nm
633nm
544nm
UV
V
○
○
○
○
G
○
○
○
D
○
○
EPICS ALTRA HyPerSort Systemとレーザーの標準組み合わせ例 希望小売価格(万円)
(1年間保証 ※はプラス保証)
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeⅢ 4レーザーシステム(WR)
※8,270
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeⅢ 3レーザーシステム(WZ)
※8,200
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeⅢ 4レーザーシステム(WR)
※7,970
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeⅡ 3レーザーシステム(WZ)
※7,900
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeⅡ 2レーザーシステム(WD)
※6,700
EPICS ALTRA HyPerSort System TypeI 2レーザーシステム(WD)
6,000
タイプ 水冷Ar―ザー300シリー 水冷Arレーザー300シリ 空 冷 He-Ne レ ー ザ ー 空 冷 He-Ne レ ー ザ ー
ズ 488nm
ーズ UV
544nm
633nm
WR ○
○
○
○
WZ
○
○
○
WE
○
水 冷 Ar レ ー ザ ー
EnterPrizeⅡ UV
水 冷 Ar レ ー ザ ー
EnterPrizeⅡ UV
○
WD
参考 2−15
○
図表14 代表的な市販セルソータ、フローサイトメータの価格
(b)日本ベクトン・ディッキンソン株式会社
モデル名
製品仕様
FACSVantageTM SE 標準仕様タイプ1
FACSVantageTM SE 標準仕様タイプ2
2W水冷アルゴンレーザーモデル
488nm / UV 同 時 発 振 レ ー ザ ー
(Enterpraise IIレーザー)
5,000
5,350
488nm / UV 同 時 発 振 レ ー ザ ー
(Enterpraise IIレーザー)
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5,6
TM
FACSVantage SE 標準仕様タイプ4
4W水冷アルゴンレーザーモデル
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5
FACSVantageTM SE 標準仕様タイプ5
5W水冷アルゴンレーザーモデル
4W水冷アルゴンDyeレーザー
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5,6
FACSVantageTM SE TurboSORT Plus仕様 2W水冷アルゴンレーザーモデル
タイプ1
FACSVantageTM SE TurboSORT Plus仕様 488nm / UV 同 時 発 振 レ ー ザ ー
タイプ2
(Enterpraise IIレーザー)
FACSVantageTM SE TurboSORT Plus仕様 488nm / UV 同 時 発 振 レ ー ザ ー
タイプ3
(Enterpraise IIレーザー)
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5,6
FACSVantageTM SE TurboSORT Plus仕様 4W水冷アルゴンレーザー
タイプ4
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5
TM
FACSVantage SE TurboSORT Plus仕様 5W水冷アルゴンレーザー
タイプ5
4W水冷アルゴンDyeレーザー
空冷ヘリウムネオンレーザー
増設検出器PMT 4,5,6
TurboSORT Plus仕様
複数のレーザービームを用いて細胞を2
5,000 event/secの速度で解析・ソーテ
ィングできる。
5,930
FACSVantageTM SE 標準仕様タイプ3
モデル名
製品構成
アナライザータイプ
FACSCalibur HGフローサイトメーター 3 FACSCa1ibur本体,
FACStationシステム,
カラータイプ アナライザー
ソフトウェア,
標準スタートアップ試薬
FACSCalibur HGフローサイトメーター 4 同上
カラータイプ アナライザー
ソータータイプ
FCSCalibur HGフローサイトメーター 3 同上
カラータイプ ソーター
FACSCalibur HGフローサイトメーター 4 同上
カラータイプ ソーター
オプション(FACSCalibur購入時に選択できるオプション)
FACS Loaderサンプル自動供給装置
FACSCalibur全タイプ用
Cell concentrator Module
FACSCaliburソータータイプ用
参考 2−16
希望小売価格
(万円)
6,040
7,543
5,650
6,000
6,580
6,690
8,193
希望小売価格(万円)
1,500
1,800
2,000
2,300
400
50
図表14 代表的な市販セルソータ、フローサイトメータの価格
(c)CYTOMATION 社超高速フローサイトメトリーMoFlo システム価格表(代理店:宝酒造)
標準仕様タイプ 1
・べーシック MoFlo ソーター本体(2-way ソー
ティング)
・データ処理装置(WindowsNT)
・Summit ソフトウェア
・蛍光検出器 PMT1,2,3
・前方散乱光検出器、側方散乱光検出器
・光学フィルターセット
・エアーコンプレッサー
・バキュームポンプ
・水冷 2W アルゴンレーザー
・ヒートエクスチェンジャー
・自動サンプルステーション
1 式 4,800 万円
オプション
・4-way ソーテイング
・SortMaster
・エアロゾルサンプルフード
・CytoShield
・MoSkeeto
・CYCLONE
標準仕様タイプ 2
同左
標準仕様タイプ 3
同左
同左
同左
同左
同左
同左
同左
同左
・ EnterpriseII488nm/UV
同時発振レーザー
同左
同左
・蛍光検出器 PMT1,2,3,4,5,6
同左
同左
同左
同左
・EnterpriseII488nm/UV 同時
発振レーザー
・空冷 35mW ヘリウムネオン
レーザー
同左
同左
1 式 6,100 万円
同左
同左
1 式 5,000 万円
450 万円
480 万円
250 万円
980 万円
980 万円
500 万円
参考 2−17
優
図表15 本プロジェクトでの性能目標(トータルシステムの欄)と比較
性能
励起レーザ
簡易ソータ
Ar(空冷) 15mW
LD635 15mW
検出パラメータ FITC/PE/PerCP
APC
蛍光検出感度
蛍光検出分解能
分離速度
分離純度
分離回収率
287MESF
CV3%(CEN)
200 細胞/秒
95%以上
?
光軸調整
無し
サイズ
92Dx62Dx67H
劣
トータルシステム
ソータ
Ar(空冷)15mW
Ar(水冷) 300mW
LD635 15mW
色素 500mW
FITC/PE/PerCP(P FITC/PE/(PE-Cy5)
E-Cy5)/PE-Cy7
TxR/APC
APC/APC-Cy7
370MESF
289MESF
CV4%(CEN)
CV3%(CEN)
10000 細胞/秒
3000-9000 細胞/秒
95%以上
95%以上
70%以上
?
(Rate10000:ター
ゲット率 100%)
1軸/2軸→無し Jet 軸:X、Y、θ
光軸:X、Y、Z各2軸
95Dx65Dx65H
183Dx198Dx82H
当該機器(セルソーター、フローサイトメーター)は既に多数が市場に存在し、一部の
規格は異なるものの本プロジェクトの目指す性能に近い機種も市販されているようにも考
えられる。以下の図表のうち、EPICS ALTRA System TypeⅡ高速自動細胞解析分取システム
(図表16(a))は、サイズは異なるが他の性能は目標性能を概ね満たすものと思われる。
参考 2−18
図表16 主な製品の性能(a)
(ベックマン・コールター株式会社カタログ・主な仕様より作成)
機種
励起レーザー
EPICS ALTRA System TypeⅡ高速自動細胞解析分取システム
搭載可能レーザー 最大4種類のレーザーを搭載可能
超 高 感 度 ク オ 低出力空冷ガスレーザー(Arガス、488nm)
ーツフローセル 低出力空冷ガスレーザー(He-Neガス、633nm)
低出力空冷ガスレーザー(He-Neガス、543nm)
検出パラメータ
検出光
前方散乱光、側方散乱光、蛍光4種類(ディレイタイムゲート対応)
同時測定パラメー 11パラメータ同時測定
タ
蛍光検出感度
蛍光感度
200MEFL, 100MEPE
蛍光検出分解能 蛍光分解能
ニワトリ赤血球核PI染色時でCV値1%以下(クオーツフローセル使用時)
分離速度
分離純度
分離回収率
光軸調整
サイズ
ソーティング方式
ソート速度
ソート純度
分離回収率
光軸調整
サイズ
液滴荷電方式
10,000個/秒
99%以上
95%以上(カタログ中記載)
確認/微調整のみ
1778mm(W)x1981mm(D)(L字型)x1321mm(H)機器背面のスペースは不要
図表16 主な製品の性能(b)
(ベックマン・コールター株式会社カタログ・主な仕様より作成)
機種
励起レーザー
EPICS ALTRA HyPerSort超高速 EPICS ALTRA MultiCOMP高速自動細胞
自動細胞解析分取システム
解析分取システム
搭載可能レーザー
最大4種類のレーザーを搭載可能
超高感度クオー 高出力空冷ガスレーザー、
低出力空冷ガスレーザー、
ツフローセル時 水冷ガスレーザー
水冷ガスレーザー、
固体レーザー
Jet-in-Air時
検出パラメータ
蛍光検出感度
水冷ガスレーザー
高出力空冷ガスレーザー、水冷ガスレーザ
ー
検出光
前方散乱光、側方散乱光、蛍光6 前方散乱光、側方散乱光、蛍光4種類(デ
種類(ディレイタイムゲート対応)
ィレイタイムゲート対応)
同時測定パラメータ
11パラメータ同時測定
蛍光感度
200MEFL,100MEPE
蛍光検出分解能 蛍光分解能
分離速度
ソーティング方式
ソート速度
ニワトリ赤血球核PI染色時でCV値1%以下(クオーツフローセル使用時)
液滴荷電方式
30,000個/秒
15,000個/秒(タイプによる)
分離純度
分離回収率
光軸調整
サイズ
ソート純度
分離回収率
光軸調整
サイズ
10,000個/秒(タイプによる)
99%以上
99%以上
90%以上(カタログ中記載)
95%以上(カタログ中記載)
確認/微調整のみ
確認/微調整のみ
1778mm(W)x1981mm(D)(L字型)x1321mm(H)機器背面のスペースは不要
励起レーザー
オプションレーザー 空冷アルゴンイオンレーザー15mW(低出力空冷ガスレーザー)
水冷アルゴンイオンレーザー2W,4W,5W,6W(水冷ガスレーザー)
空冷ヘリウムネオンレーザー633nm(低出力空冷ガスレーザー)
空冷ヘリウムネオンレーザー544nm(低出力空冷ガスレーザー)
空冷ヘリウムカドミウムレーザーUV/Spectrumミックスガスレーザー
Enterprize Ⅱレーザー/色素レーザー/固体レーザー(固体レーザー)
参考 2−19
図表16 主な製品の性能(c)
(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 カタログ・仕様より作成)
機種
機種名 FACSCalibur HGフローサイトメーター
3カラータイプ
4カラータイプ
自動細胞解析装 自 動 細 胞 解 析 分 自動細胞解析装置( ア 自動細胞解析分離装置
(ソータータイプ)
置(アナライザー 離装置(ソータータ ナライザータイプ)
イプ)
タイプ)
励起レーザー
レーザー
空冷アルゴンレーザー/488nm
空冷アルゴンレーザー/488nm、半導体赤色レー
ザー/635nm
検出パラメータ 測定パラメ 前方散乱光 側方散乱光 緑色蛍光 前方散乱光 側方散乱光 緑色蛍光 オレンジ蛍
ーター
オレンジ蛍光 赤色蛍光
光 赤色蛍光1 赤色蛍光1
蛍光検出感度
蛍光感度
FlTC 750分子/細胞以上(750 molecules of equivalent soluble fluorescein以上)
蛍光検出分解能 蛍 光 分 解
ニワトリ赤血球核PI染色時でCV%は3%以下(full peak法でCV%計算)
能
分離速度
記載無し
記載無し
分離純度&
ソート機能 解析のみ
純度95%以上、
解析のみ
純度95%以上、
分離回収率
回収率50%以上
回収率50%以上
光軸調整
「位置調整不要のレーザー、検出器」(カタログ本文記載)
サイズ
サイズ/ 重
本体914幅×615奥x673高mm 110kg
量
コンピュータ480幅×410奥×540高mm 33kg
プリンタ482幅×530奥×182高mm 8kg
図表16 主な製品の性能(d)
(Cytomation 社、http://www.cytomation.com/noncomm/products/prod_cyto_mls.html より作成、
但し、*印項目は同社の日本代理店(宝酒造)よりの情報をもとに記載)
機種
励起レーザー
検出パラメータ
(*)
蛍光検出感度
(*)
蛍光検出分解能
分離速度(*)
分離純度(*)
分離回収率
光軸調整
サイズ
MoFlo
1∼3
Argon,
Krypton,
mixed gas ion,
dye heads,
HeNe,
multi-line UV,
Cytomation's 635 nm solid-state diode laser
蛍光14種、前方散乱、側方散乱
<200MESF
2%未満(Coulter Flocheck beads)
Jet-in -air、Droplet(液滴)
70,000細胞/秒
全てのソーティング速度で99%以上
記述無し
記述無し
ベンチトップ・システム・サイズ:
1250mm(W)x762.5(D)x740mm(H)
参考 2−20
光学ベンチサイズ:
①1219.2mmx1828.8mm
②121.92mmx1524mm
③1219.2x1219.2mm
④914.4mmx1219.2mm
⑤914.4mmx762mm
⑥762mmx762mm
商品化手順・関連規制
プロジェクト終了後の商品化までの手順の例を図表17に示す。
体外診断用機器は医療用具の範疇であり、医療用具は製造(輸入販売)においては業許
可、品目によっては国(厚生労働省)の承認が必要となる。承認申請にあたっては厚生労働
省、国立医薬品食品衛生研究所 医薬品医療機器審査センター、(財)医療機器センターに
相談を行うべきと考えられる。図表18に許可と承認についての解説書にまとめられた主要
点を示す。この図表では、体外診断用機器は品目承認が不要と記されているが、既承認の機
器との比較において新規とみなされる場合には種々の資料を添付して、承認を受ける必要が
生じるので、上記の機関に相談するべきである。
図表17 プロジェクト終了後から企業側で商品化検討し販売までの工程例
市場調査
・ニーズと市場の大きさの再調査
・成果報告書 ・類似品の仕様性能と付加価値機能及び買換え頻度
入力 ・事後モニタ ・類似品の販売価格
リング報告書
する
商品化検討会
NEDOの
プロジェク
ト完了
出力 解決すべき課題
改良すべき項目
する
薬事関係作業
−業許可
−品目承認
など
役員会
・課題の解決
方法の検 討と
改良方法 の検
討
(試作)
・仕様検討
・ コスト洗い
出し
・提案書作成
商品提案
書の説明、
審議
提案
商品化
諸活動
承認
発売
断念
・改良を含む基本仕
様と改良試作費を含
む目標コストを設定
した事業化計画の役
員会提案書
しない
商品化関連の主な法令等:
特許法(特許権)
薬事法
薬事法施行規則
関連省令・通知等
法令・申請関連の参考書の例:
医療用具の製造申請の手引き(薬事日報社)
医療用具関係法令通知集(薬事日報社)
医療用具規格基準2001(じほう)
参考 2−21
図表18 医療用具の許可及び承認について
(医療機器ハンドブック’98 より作成)
ア)医療用具を業として製造(輸入販売)する場合には、製造(営業)所ごとに都道府県知
事(H.9.4.1 権限移譲)の許可が必要。
イ)また、薬事法施行規則第 18 条に規定するもの以外は、品目ごとに厚生大臣(注:
現在、厚生労働大臣)の承認が必要。
ウ)承認の申請は、製造(営業)所の所在する都道府県知事を経由して行う。
エ)外国において医療用具を製造する者が直接厚生大臣(注:現在、厚生労働大臣)
の製造承認を申請することができる。但し、この場合には国内管理人をおくことが必要。
オ)品目ごとに厚生大臣の承認が必要な医療用具については、一部のもの(新構造医療
用具など)を除いて、承認審査のうち既に承認が得られている医療用具との同一性に関
する調査を厚生大臣(注:現在、厚生労働大臣)が指定する機関において行っている。
この機関には(財)医療機器センター(東京都文京区本郷 3-42-6)が指定されている。
カ)クラス分類と承認制度の関係の概略は、原則として図表19のとおり。
最もリスクの低いクラス I 医療用具については承認は不要。クラス II 医療用具につい
ては、基準が定められ、当該基準に適合するものについては承認を不要化。ただし、適
切な基準が制定できるまでは個別の承認が必要。クラス II 及びクラス IV 医療用具につ
いては、個別の承認が必要であり、クラス III のうち新医療用具及びクラス IV 医療用具
については臨床試験が原則として必要。
図表19 医療用具のクラス分類と規制の概要
(医療機器ハンドブック’98 より作成)
分類 分類の考え方
承認
Ⅳ
患者への侵襲性が高く、不具 要
合が生じた場合、生命の危険
に直結するおそれのあるもの
Ⅲ
要
Ⅱ
Ⅰ
不具合が生じた場合、人体へ
与えるえる影響が必ずしも軽
微とは言えないもの。確立し
た技術に基づく品目で、基準
が定められれば承認不要にで
きるもの。
使用する医師がその品質を容
易に判断できる品目等不具合
の場合であっても影響が軽微
なもの
臨 床 調査会 諮問
トラッキ 具体的例示
試験
ング(注)
原則要
新 規 品 一部
ぺ一スメーカ、
要
目のみ
人工心臓弁
一 部 一部要 新 規 品 無
要
目のみ
基準が定 不要 不要
められる
もので基
準適合品
は不要
不要
無
不要
−
無
−
−
人工腎臓、
人工骨、
ガンマナイフ、
コンタクトレンズ
画像診断装置、
電子式血圧計、
コンドーム(JIS)、
マッサージ器(基
準)
体外診断用機器、
救急絆創膏、
鋼製小物類、
歯科技工用用品
(注)トラッキング:埋め込み型心臓ペースメーカー等体内に植え込まれ、生命維持に直
接係わる医療用具について、事故の際に的確に対応することができるように、製造業者に対
して、その医療用具の利用者の連絡先等に関する記録の作成と保存等を義務づけるもの。
参考 2−22
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況
(3)開発された時の波及効果
セルアナライザー市場での競争効果
開発品に十分な競争力があれば、既存のセルアナライザー市場で、価格の低下、サービ
スの向上などの競争効果をもたらし、さらに輸出品目となることも可能であろう。
医療における波及効果
当該医療機器の開発は、医療においては検査、疾患ではリンパ腫、白血病、免疫不全疾
患の診断を中心とする血液系疾患、さらに子宮頸部癌などの他の癌の診断、感染症の診断へ
の用途研究もなされており、これらの疾患の検査、治療への波及効果がある可能性がある。
従って、医療における検査の割合、さらに、当該機器が将来的見込みを含め使われるであろ
う疾患に関する統計データーを参考として示す。
図表20に医科診療における診療行為(大分類)の点数と割合に関する統計資料を示す。
平成11年の各6月審査分の政府管掌健康保険、組合管掌健康保険、国民健康保険を合わせた
診療報酬の推計に関する厚生労働省(旧厚生省)大臣官房統計情報部の資料より計算すると、医
療における保険点数総数に対する検査の点数の割合は10%程度と推定される。
この数値は、平成2年以降の同資料で計算しても同様で検査の費用割合はほぼ一定で推移して
いる。
図表20 医科診療における診療行為(大分類)の点数と割合(平成 11 年6月審査分推計)
(資料:平成 11 年 社会医療診療行為別調査報告)
総数
初診・再診
指導管理等
在宅療養
検査
画像診断
投薬
注射
リハビリテーション
精神病特殊療法
処置
手術
麻酔
放射線治療
入院
151,673,928,648
15,766,471,538
10,001,738,603
4,935,302,732
16,110,947,521
7,049,724,567
23,984,215,402
9,006,966,931
1,907,939,604
1,123,139,049
12,714,456,146
8,187,270,664
1,315,675,242
338,213,851
39,229,709,081
100%
10.39%
6.59%
3.25%
10.62%
4.65%
15.81%
5.94%
1.26%
0.74%
8.38%
5.40%
0.87%
0.22%
25.86%
図表21に傷病分類別にみた患者数の構成割合を「平成11年 患者調査の概況、推計患者数、
参考 2−23
傷病分類別」の統計を基に作成した。
当該機器が将来的見込みを含め使われるであろう「感染症・寄生虫症」
、
「新生物」、「血液・造
血器の疾患並びに免疫障害」の推計患者数(平成11年10月調査日での推計)の割合は、合計
で推計患者全体数の約 7.6%に相当する。
図表22に社会医療診療行為別調査における感染症・寄生虫症、新生物、血液・造血器の疾患
並びに免疫障害での検査の状況(平成11年6月審査分)を示す。6月診査分の1ヶ月間の推計
値であるが、悪性リンパ腫約 33 万回、白血病 48 万回の検査が行われていると推計されている。
「1.(1)開発対象装置の市場環境及び社会的ニーズ」の「フローサイトメーターが使われ得
る検体検査」のところで図表17に示したように
a.フローサイトメトリー法によるT細胞・B細胞百分率検査
b.モノクローナル抗体によるT細胞サブセット検査)
c.モノクローナル抗体法による造血器悪性腫瘍細胞検査
の3項目が保険医療でフローサイトメータ、セルソータの使用がまかなわれる範囲と現状では考
えられるが、
「感染症・寄生虫症」、
「新生物」、
「血液・造血器の疾患並びに免疫障害」での新た
な保険での検査が行われる様になり、当該プロジェクトの開発機器がそれに対応できる性能であ
れば既存の機器などと共に検査行為に寄与する効果が期待できよう。
図表21 傷病分類別にみた患者数の構成割合
(厚生労働省 患者推計(平成11年10月)を基に作成:病院、診療所の入院患者推計数と通院患
者推計数を単純加算し推計患者数とした。基にしたデータは
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/kanja99/xls/hyo2.xls、及び
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/kanja99/xls/hyo3.xls である)
傷病分類
推計患者数(千人) 構成割合(%)
総数
総数
総数
8318.5
100%
感染症及び寄生虫症
246.4
3.0%
新生物
351.2
4.2%
血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害
34.7
0.4%
内分泌,栄養及び代謝疾患
391.5
4.7%
精神及び行動の障害
489.9
5.9%
神経系の疾患
184.4
2.2%
眼及び付属器の疾患
356.1
4.3%
耳及び乳様突起の疾患
139.2
1.7%
循環器系の疾患
1327.6
16.0%
呼吸器系の疾患
893.6
10.7%
消化器系の疾患
1374.3
16.5%
皮膚及び皮下組織の疾患
286.7
3.4%
筋骨格系及び結合組織の疾患
962.4
11.6%
尿路性器系の疾患
248.6
3.0%
妊娠,分娩及び産じょく
43.8
0.5%
周産期に発生した病態
8.5
0.1%
先天奇形,変形及び染色体異常
18.7
0.2%
症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で
92.7
1.1%
損傷,中毒及びその他の外因の影響
443.6
5.3%
健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用
424.6
5.1%
参考 2−24
図表22 社会医療診療行為別調査における感染症・寄生虫症、新生物、血液・造血器の疾患並
びに免疫障害での検査の状況(平成11年6月審査分)
(社会医療診療行為別調査 平成11年6月審査分 医科上巻 第4表 医科診療件数・診療実
日数・実施件数・回数・点数,診療行為(大分類)・傷病(中分類)・入院―入院外・一般医療―老
人医療別
(javascript:openWindow('http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/650/1999/toukeihyou/00
03487/t0054039/j41',21);)を基に作成)
実施件数
Ⅰ 感染症・寄生虫症
Ⅱ 新 生 物
内、悪性リンパ腫
内、白 血 病
Ⅲ 血液・造血器の疾患並びに免疫障害
1,031,527
1,526,866
22,090
24,619
177,897
検査
回数
6,807,122
14,017,994
330,343
481,260
1,606,936
点数
738,808,594
2,215,566,837
41,571,463
62,817,079
147,737,273
その他の波及効果
研究用機器として、生物学などの学術研究、および測定分析機器(微生物検査など)と
しての利用が可能と考えられる。図表23に血球細胞測定以外の用途に関する新聞記事情報
を示す。
参考 2−25
図表23 フローサイトメーター、セルソーターの血球細胞測定以外の用途に関する記事
(記事の一部を抜粋)
O157、検出、90分に短縮、大阪府立大助手ら開発――感染予防にも期待。
1996/06/30 日本経済新聞
1 全国で食中毒被害が相次ぎ死者も出た病原性大腸菌「O(オー)157」を、がんの診断
などに使う「フローサイトメトリー(自動細胞解析装置)」を応用し、90 分で水から検出す
る技術を楠博文・大阪府立大農学部助手(35)らの研究チームが開発、29 日に大阪府豊中
市で行われた日本サイトメトリー学会で発表した。従来の検出法では 2 日かかり、楠助手は
「大幅な時間短縮で、感染予防にもつながる」としている。
窒素酸化物を分解、味の素など、新微生物発見。
2001/05/14 日経産業新聞
味の素と産業技術総合研究所のグループは大気を汚染する窒素酸化物と、フェノールとい
2
う残留化学物質を分解し、体内で生分解性プラスチックの成分を生産・蓄積する能力がある
微生物を発見した。
研究グループは、培養が難しかった微生物を培養する方法などを開発しており、試料の中
から微生物をうまく探せるフローサイトメトリーと呼ぶ技術などと合わせて、今回の微生物
を発見・分析した。
微生物を迅速測定。
2001/05/19 日本経済新聞
3 医療検査機器メーカー大手のシスメックスなど神戸地域の異業種五社は、食品工場向け衛
生安全管理システムを共同で開発する。シスメックスが保有する「フローサイトメトリー」
と呼ぶ細胞分析の先端技術・装置を応用して、食品製造や加工現場の迅速な微生物(細菌)
測定に役立てる。2001 年度から3年計画で製品化を目指す。
宝酒造、細胞の高速分離装置、米社から国内販売権――遺伝子解析を効率化。
2001/10/24 日経産業新聞
宝酒造は米国サイトメーション社(コロラド州)から特定の細胞を高速で分離し選別する
4 装置の日本での独占販売権を取得した。十一月一日に発売する。試料の中から研究対象とす
る細胞を従来の選別装置の五―十倍の速度で選別する能力を持ち、遺伝子解析の効率化に役
立つ。
製品名は「超高速セルソーター」。細胞のほかDNA(デオキシリボ核酸)を結合した直径
五マイクロ(一マイクロは百万分の一)メートル程度の微小な球も選別する。宝酒造はこれ
を使って特定の病気の細胞で働く遺伝子を選別・収集するためこの装置を導入している。他
の研究機関での需要も見込めるため販売権を得た。
参考 2−26
2.類似研究開発の状況
(1)論文・特許
科学関係文献データベースである JICST に対して、セルソーター、サイトメーターに関
する検索を行った。その結果を図表24に示す。90 年に約 730 件であったものが 2000 年で
は約 1200 件にまで増加し、セルソーター、サイトメーター関連の研究が盛んに行われてい
ることがわかる。
図表24 関連文献数の推移
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
19
90
19 年
91
19 年
92
19 年
93
19 年
94
19 年
95
19 年
96
19 年
97
19 年
98
19 年
99
20 年
00
年
文献数
データベース=JICST; キーワード=サイトメトリ or サイトメータ セ
ルソータ or FCM
公表年
特許・実用新案のデータベースである PATOLIS に対して、セルソーター、フローサイトメータ
ーに関する検索を行った。その結果を図表25に示す。
実用新案は 1990 年 2 件、92 年 1 件、93 年 2 件の公開のみであった。特許は 90 年(5
件)から 92 年(26 件)と増加し、以降、約 15 件∼30 件程度で推移している。
図表25 セルソーター、フローサイトメーター関連特許実用新案の件数推移
データベース:PATOLIS(公開・公表・再公表);キーワード:フローサイトメータ? サイトメータ? フローサ
イトメトリ? サイトメトリ? セルソータ? FACS;検索後、標題・内容検討で関係のあるものを選択
35
30
20
15
10
5
90
年
19
91
年
19
92
年
19
93
年
19
94
年
19
95
年
19
96
年
19
97
年
19
98
年
19
99
年
20
00
年
20
01
年
0
19
件数
25
特許
実用新案
参考 2−27
2.類似研究開発の状況
(2)国内の研究開発動向
日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入研究・プロジェ
クトについてホームページ検索(文部科学省、厚生労働省、経済産業省、NEDO)、データ
ベース(NACSIS)検索、文献資料調査を行い、関連・類似研究として図表26に示した 5
件を抽出した。本プロジェクトは図表26の中の5番目のものである。装置全体を研究開発
するプロジェクトは本プロジェクト以外には見当たらなかった。
図表26 日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入研究・プロジ
ェクト
(資料:NACSIS 検索 キーワード:
(サイトメトリー or サイトメーター or セルソーター or
サイトメトリ or サイトメータ or セルソータ) and 開発;国の試験研究業務計画 H9年度
版、
「文部省科学研究費補助金採択課題一覧」
「「文部省科学研究費補助金採択課題・公募審査要
覧」
)
1986-1987
ソフトランディング型マルチ・ソ-ト細胞選別装置の開発研究
水野 彰
豊橋技科大・工学部・講師
950 万円
直径が大きく機械的強度の小さい植物プロトプラストの選別を行なうた
め、口径 150 m のノズルを上向きに使用し細胞を含む液滴を減速して回
収する細胞選別装置を試作して、液滴の形成条件、液滴荷電量および偏向
量、液滴の捕集速度を調べ、ニンジンプロトプラストの選別、回収実験を
行ない以下の結論を得た。
1.液滴の荷電量および偏向量を長時間一定に保つために荷電液滴の位置・
速度の検出を行ない、液流速および荷重パルス位相を制御して、荷電液滴
の偏向および捕集の安定性を向上した。
2.液滴軌道最上部付近に設けた電気集じん式の液滴捕集部を用いることに
1
より、細胞を含む荷電液滴を 0.2∼0.4m/s の遅い突入速度で捕集すること
ができた。
研 究 成 果 報 告 3.ニンジンプロトプラストはノズルを通過する際に、液流速 V=7m/s のと
要約
き約 25%が、V=10m/s のとき約 60∼75%が破壊されることが判明した。
4.下向きノズルを用いて試験管に回収する従来の方法では、V=7m/s のとき
約 75%、V=10m/s のとき約 90%のプロトプラストが破壊された。
5.試作した装置においてノズル出口の液滴速 7m/s、超音波振動子周波数
10KHz の条件でニンジンプロトプラストの選別・回収を行なうことが可能
となった。
6.偏平なヒツジ赤血球細胞を用い、細胞の向きをそろえレ-ザ散乱光強度の
再現性を向上する基礎検討を行なった。先端形状の異なる 6 種類の細胞液
用ノズルを比較したところ、従来型ノズル形状では散乱光強度が 4 つのピクに分かれて分布するのに対し、先端を内側に丸くカットしたノズルでは
ピ-クがほぼ 1 つになり、
再現性を向上できる可能性のあることが判明した。
期間(年度)
課題名
研究代表
所属
配分予定額
参考 2−28
図表26 日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入研究・プロジ
ェクト(続き)
1986-1988
デュアルレ-ザ-を利用した染色体ソ-ティング技術の開発
室津 知明
阪大・国立大学(その他)・助教授
3,670 万円
ヒト染色体の構造を理解するため、【1】染色体の分離技術、
【2】大量分取
技術の開発を行った。まず、シングルレ-ザ-方式のセルソ-タ-を用い、24
種類のヒト染色体を 10∼12 の画分に分離することができた。これを利用
し、正常細胞、転座染色体を含む細胞、ヒト-げっ歯類の雑種細胞から染色
体画分を分取し DNA を抽出後、調べたいヒト遺伝子をプロ-ブとしてサザ
ンハイブリダイゼ-ションを行い、新たに単離された 16 個の遺伝子につい
てその染色体上の位置を決定した。次に装置をデュアルレ-ザ-方式に改良
し、各染色体の分解能を上げることを試みた。ヒト染色体試料は DNA 中
の AT 塩基対に親和性を示すヘキスト 33258(HO)と GC 塩基対に親和性を
2
示すクロモマイシン A3(CA)の 2 種類の蛍光色素で二重染色し、レ-ザ-光の
励起波長を 351.1∼363.8nm と 457.9nm に調整した。
HO による蛍光は 420
研 究 成 果 報 告 ∼560nm を、CA による蛍光は 560nm 以上を回収し、それぞれの蛍光強度
を二次元に展開した結果、24 種類のヒト染色体を 21 グル-プにまで分離す
要約
ることができた。このうち、第 1、2、3、4、5、6、13、16、17、18、19、
20、21、22、Y 染色体の計 15 種類の染色体については完全に単離するこ
とが可能となった。さらに、ヒト細胞からの単離が困難な染色体に関して
は、ヒト-ハムスタ-の雑種細胞から調製した染色体試料をデュアルレ-ザ-方
式セルソ-タ-で解析することにより、完全に単離できることが示唆された。
これにより 24 種類すべてのヒト染色体を単離する道が開けた。また、ソティングの速度を上げる手段としてショ糖密度勾配遠心により大まかに分
画した試料をソ-ティングの材料として使用した。各画分には染色体粗抽出
液中に混在する細胞の破片や核の大部分が除去されているため、染色体試
料をそのままセルソ-タ-にかける場合に比べ、ソ-ティングに要する時間は
1/5∼1/10 に短縮できた。
期間(年度)
課題名
研究代表
所属
配分予定額
参考 2−29
図表26 日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入研究・プロジ
ェクト(続き)
1990-1991
フロ-サイトメトリ-のための多目的自動細胞処理装置の開発
福田 優
福井医科大学・医学部・教授
720 万円
本研究の目的はフロ-サイトメトリ-用の重蛍光染色に必要な酵素処理染色
などの各段階を温度コントロ-ル、遠心、再浮遊などの全ての処理を含めて
完全に自動化した多目的細胞処理装置を開発試作して実用化することにあ
る。平成 2 年度中に予定通り本装置を試作開発して問題点をチェックし、
平成 3 年度においてその対策を実施して完成させるとともに、実用化のた
めのソフトウエアを開発した。I.多目的自動細胞処理装置の概要と特色、本
装置は(1)液状の検体を納めた検体管を支持した状態で、中心軸を中心とし
て回転するサンプルデスク(2)サンプルデスク上方にあり検体管内に試薬を
滴下する分注ノズル(3)サンプルデスク上方にあり検体管の液体の給排を行
3
うための昇降自在なノズルとこのノズルと接続自在な出し入れ容器(4)サン
プルデスク下方にあり昇降自在で上昇時に検体管の温度コントロ-ルする
研 究 成 果 報 告 温度制御槽および(5)mixing 装置から成る。すなわち本装置は複数条件の温
度コントロ-ル、遠心、液体の給排と細胞の再浮遊等複雑な一連の細胞処理
要約
過程の全てをプリセットした通り自動的に行いうる。本装置はいわば遠心
機の“進化"ともいえるもので、高速で回転する遠心のプロセスと、目的と
する位置に正確にしかもすばやく静止するプロセスと、いわば“二律背反"
のプロセスを完全にコントロ-ルしている。さらに完成した本装置を用いて
フロ-サイトメトリ-用の細胞単離法および重蛍光染色法の標準化を計るた
めの至適条件の検討を行い、次の各項についてのソフトウエアを完成させ
た。(1)末固定組織からの細胞単離、(2)Feulgen 染色、DAPI、PI による定
量的 DNA 染色、(3)抗 Brdu(FITC 標識)抗体免疫染色と PI による DNA 染
色の重蛍光染色、(4)癌細胞診断のための AcridineOrange 蛍光染色、
(5)Feulgen 加水分解カ-ブ解析。今後は目的に応じた小型化を計りコストダ
ウンを目指したい。
期間(年度)
課題名
研究代表
所属
配分予定額
参考 2−30
図表26 日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入研究・プロジ
ェクト(続き)
1996-1997
セルソ-タ-顕微鏡の開発
桂樹 徹
奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科・助教授
80 万円
[目的]スライドグラス上をレ-ザ-で走査して個々の細胞の蛍光を測定し、サ
イトメトリ-(CM)解析できる顕微鏡、
レ-ザ-走査サイトメ-タ-(LSC)は CM 顕
微鏡とも呼ぶべき装置で、望む CM デ-タを持つ細胞の画像と座標値を呼び
出す機能を備えている。この課題研究では、呼び出した細胞を分取するた
めにこの顕微鏡にミクロマニピュレ-タ-を組み込み、セルソ-タ-顕微鏡
(CSM)を製作する。
[方法と結果]まず、CSM を組み立てた。
モデル 1「酵母の細胞融合」
Saccharomyces cerevisiae と Saccharomycopsis
fibuligera の細胞を別々の蛍光色素で標識してから融合処理した。混在する
4
親細胞と融合細胞の懸濁液をスライドグラス上の寒天平板に塗付した。各
標識の蛍光強度を両軸に採って各細胞の CM デ-タをプロットし、サイトグ
研 究 成 果 報 告 ラムを得た。融合細胞は両標識を持つので、各々についてゲ-トを設けてウ
インドウを特定し、その中の細胞を呼び出し、形態を検鏡しながらマニピ
要約
ュレ-タ-で採取し、平板培地上で再生させた。
モデル 2「アスタキサンチン(ASX)の生産」蛍光物質 ASX を生成する単細
胞緑藻 Haematococcus pluvialis を用いた。488nm(レ-ザ-の波長)で励起す
ると、標準 ASX と緑藻懸濁液の蛍光は 735nm で極大となったが、微弱で、
ASX 含量としては直接に測定し難いので、波長 570nm 以上を全測光する
ことにした。生育に伴う形態変化を CM 解析したところ、成熟に従い蛍光
面積値(細胞画像の面積)が上昇した。ASX 含量が高いと考えられた面積値
が高い細胞(大きなシスト細胞)を分取し、培養して再びシストとした。その
次世代細胞はサイトグラムが親株と同じで、ASX 含量も必ずしも高くなか
った。薬剤変異処理により得られる ASX を高濃度に蓄積する細胞をスクリ
-ニングした結果も同様であった。
期間(年度) 1995-2000
通商産業省・医療福祉機器技術研究開発制度
総合的研究開発
期間(年度)
課題名
研究代表
所属
配分予定額
5 課題名
研究費
研究内容
微量細胞情報検出システム
H7年度∼H8年度 研究費合計:7405万円
採取した微量な血液細胞及び組織をもとに、感染後直ちに現れる細胞の表
面・内部の分子レベルの変化、細胞の形態の変化(画像情報)を検出する
ことにより、疾病診断システムの研究開発を行う。
参考 2−31
2.類似研究開発の状況
(3)外国の研究開発動向
フローサイトメータ・セルソータの初期開発
河本の総説(脳外 23 巻 12 号 p1059-1068, 1995 年 12 月)によれば、
「フローサイトメータ
ーは NIH を通しての巨額の援助金をもとに 1969 年、カリフォルニア州の Stanford 大学の
Herzenberg ら免疫学を研究するグループと、ニューメキシコの California 大学 Los Alamos 科
学研究所の Van Dilla らの cell kinetics を研究するグループによって同時期に細胞自動解析装
置」として開発された。「また、ほぼ同時に西ドイツにおいても Münster 大学の Göhde らのグ
ループも同じ着想でスタートした」。そして、
「Herzenberg らは、Beckton-Dickinson 社製の第
1号機である“FACS Ⅰ”を製作した」
。
以下、本技術領域の研究開発が現在でも最も盛んであると考えられる米国の状況を記す。
米国の状況
米国では NIH の援助(National Flow Cytometry and Sorting Research Resource プロジェ
クト)の下に Los Alamos National Laboratory の Bioscience Division においてフローサイトメ
ーター、セルソーターに関する先端機器、技術開発、およびフローサイトメトリー技術(プロト
コルなど)の民間・生物医学研究コミュニティーへの流布、学生へのトレーニングなどが、米国
の中心的な推進組織の一の National Flow Cytometry Resource (NFCR)により 1982 年以来、運
営継続されてきている(http://bdiv.lanl.gov/NFCR/Frame302450303.html)。
同組織の Dr.Nolan とのコンタクトによれば、
「NIH は長い間にわたりフローサイトメトリー
装置の開発の主要な資金援助元である。この 20 年間 NIH はこの領域の技術研究開発、米国の
ユーザーコミュニティーとの協力や、コミュニティーへのサービスを行うために Los Alamos
National Laboratory の National Flow Cytometry and Sorting Research Resource に資金援助
を行ってきている。現在この資金援助は5年ごとに”competitive renewal”され予算は年間およそ
2百万ドル規模である。」とのことであった。
NFCR での現在の主要研究(Core R&D、Associated Projects、Collaborations)についての
紹介をホームページ記事より抜粋し図表27に示す。
また、NIH の研究グラント検索ページ(CRISP)によりフローサイトメーター、セルソータ
ーが関係する研究グラントがあった(図表28)。その多くが研究目的で道具として既存のフロ
ーサイトメーター、セルソーターを使う、あるいは研究用に購入するというものであった。図表
28の①、②、⑤、⑥の内容検討より、装置開発に関係するものを抽出し図表29に示す。この
中には、Los Alamos National Laboratory の Dr.Steinkamp の研究、フローサイトメーターの
生みの親の一人である Stanford 大学の Herzenberg 教授のものも含まれている。
参考 2−32
図表27 米国 National Flow Cytometry Resource (NFCR) における現在の主要な研究
(http://bdiv.lanl.gov/NFCR/research.html より作成)
1
2
3
4
5
6
Core R&D
The NFCR's current NIH grant focuses on three main areas for its core R&D
activities:
Microsphere-based Analysis of Molecular Assemblies (John Nolan, Larry Sklar)
Using microspheres as solid supports, we are developing approaches to analyze a
wide range of molecular assemblies by flow cytometry. These include nucleic acidbased, protein-based, and lipid bilayer-based assemblies for applications in the
study of enzyme-substrate interactions, ligand receptor interactions, genomic
analysis, and biosensor development.
Rapid Kinetic Flow Cytometry (Larry Sklar, John Nolan)
The ability of flow cytometry to resolve free from particle-bound fluorophore
without a separation step makes it an extremely attractive platform for a variety of
kinetic analysis. We are developing a rapid kinetic flow cytometer designed to
exploit this ability for measurements on the second and sub-second time scale for
applications in the study of ligand-receptor interactions, enzymology, and molecular
assembly.
High Sensitivity Flow Cytometry (Babs Marrone, Jim Jett, Dick Keller)
The major emphasis of this project has been on DNA fragment size analysis. An
example of this type of measurement is the analysis of a bacterial genome
restriction digest to determine the distribution of fragment sizes. The sample is
stained with a dye whose fluorescence is greatly enhanced by binding to DNA. The
stained sample is passed through a high sensitivity flow cytometer where the
fluorescence emission of individual fragments is analyzed and a histogram
produced.
Associated Projects:
Many NFCR personnel have independent funding that involve flow cytometric
instrumentation and methods development:
Analysis of DNA-Binding Fluorochromes (Harry Crissman, NIH)
Replication and transcription of nuclear DNA are essential for cell proliferation,
DNA-repair, differentiation, and other physiological processes. Analysis of
modifications in the conformation of chromatin can provide clues as to the functional
state of the cell, especially regarding the regulatory mechanisms associated with
proliferation or differentiation. Flow cytometric analysis using multiple DNAbinding fluorochromes has advantages for rapidly assessing cytochemical
modifications that correlate with changes in chromatin structure in intact single
cells.
Analysis of Single Nucleotide Polymorphisms (John Nolan, NIH)
Single nucleotide polymorphisms (SNPs) are the most frequent class of genetic
variation and hold great promise in understanding the molecular basis if disease
and the development of treatments. We are working on the development of new
approaches for the large-scale analysis of SNPs.
Rapid DNA Analysis for Pathogen Point Detection (John Nolan, DOE)
The use of DNA signatures for bacterial pathogen detection and forensic
identification is an increasingly important tool for anti-terrorism efforts and public
health. We are adapting microsphere-based genomic analysis methods to enable the
rapid analysis of multiple DNA signatures.
参考 2−33
図表27 米国 National Flow Cytometry Resource (NFCR) における現在の主要な研究(続き)
DNA Fingerprint Analysis (Jim Jett, Dick Keller, Babs Marrone, FBI)
The application of DNA fragment size analysis by ultrasensitive flow cytometry to
the analysis of bacterial genome restriction digests has been demonstrated. Species
7 and strain identification via this technique is possible with analysis rates that are
1000 times faster that pulsed field gel electrophoresis techniques. Currently we are
fabricating a compact DNA fragment sizing cytometer that will be delivered to the
FBI for the analysis of forensic samples.
Applications of Phase Resolved Flow Cytometry (John Steinkamp, NIH)
A phase-sensitive flow cytometer has been developed that combines flow cytometry
and frequency-domain fluorescence lifetime spectroscopy principles to provide
unique capabilities for making excited-state lifetime and phase-resolved
8 fluorescence measurements on cells labeled with fluorescent probes at a single
excitation frequency. No other instrument can quantify lifetimes directly in real
time and resolve fluorescence emissions based on differences in lifetimes expressed
as phase shifts, while also maintaining the capability to make conventional flow
cytometric measurements.
Multifrequency Phase Resolved Fluorescence Lifetime Measurements (John
Steinkamp, DOE)
The objective of this project is to develop an advanced, frequency-domain flow
9 cytometric measurement system for identifying and quantifying multiple excitedstate lifetimes of fluorescent probes bound to macromolecules in cells and subcellular
components by phase shift and amplitude demodulation using the multi-harmonic
frequency content of a pulsed laser or equivalent excitation source.
GPCR Drug Discovery, Microfluidics, and High Throughput Flow Cytometry (Larry
Sklar, NIH)
G Protein Coupled Receptors represent an important target in drug discovery. A
10
team of UNM investigators is developing assays and flow cytometry hardware and
software for automated analysis of samples contained in multiwell plates. For more
information, see the UNM Cytometry Web site at hsc.unm.edu/flowcyt/.
Flow Cytometry, Sample Handling, and Cell Adhesion (Larry Sklar, NIH)
Leukocyte adhesion plays an important role in many physiological processes. A
11 team of UNM investigators is developing flow cytometry hardware for the analysis
of cell adhesion and molecular assembly in cell adhesion. For more information, see
the UNM Cytometry Web site at hsc.unm.edu/flowcyt/.
Collaboration:
Collaborative research projects between NFCR staff and biomedical scientists at Los
Alamos National Laboratory, the University of New Mexico, and other institutions
are a valuable component of the NFCR.
Typical collaborative projects include:
・cellular macromolecular assembly and kinetics
・kinetic analysis
・microsphere-based molecular assembly analysis
・DNA fragment sizing
・cell biology
・genomic analysis
・chromosome analysis and sorting
・phase sensitive detection
Collaborative projects are selected on the basis of:
・scientific relevance
・appropriate use of NFCR technology and expertise
・new developments in flow cytometry
・ the likelihood of further enhancing NFCR capabilities for the scientific
community
参考 2−34
図表27 米国 National Flow Cytometry Resource (NFCR) における現在の主要な研究(続き)
Current collaborations (2000/2001):
Molecular Assembly:
University of New Mexico - Adhesion LFA/ICAM (NIH)
Northern Arizona University - Receptor Aggregation/Signaling (NIH)
12
University of New Mexico - G-Protein Signaling (NIH)
Penn State - Transcription Complex Assembly (NIH)
University of New Mexico - Adhesion Complex Assembly (NIH)
Genomic Analysis:
University of Washington - Yeast Protein Interactions (NIH)
National Institute of Health - Craniofacial Cancer (NIH)
University of California - LA Antidepressant Pharmacogenomics (NIH)
Indiana - Quantum Dot Encoded Particles (NIH)
13 Roswell Park Cancer Inst./
Northwestern University/
University of New Mexico - Leukemia Molecular Diagnostics (NIH)
University of New Mexico - Cervical Cancer (NIH)
Los Alamos National Lab - Antibiotic Resistance (DOE)
Los Alamos National Lab - TB Structural Genomics (NIH)
High Sensitivity Detection:
14 Center for Disease Control - Bacterial ID
Fluidigm - Microfluidics
Chromosome Sorting:
15
University of CA - LA - Genetics of Male Hypertension
Phase Sensitive:
16
Los Alamos National Lab - DNA Fluorochromes (NIH)
Cell Biology:
Los Alamos National Lab - Radiation Induced Senescence (NIH)
17 Los Alamos National Lab - Radiation Bystander Effects (NIH)
Los Alamos National Lab - Cell Cycle Control (NIH)
Los Alamos National Lab - Chronic Beryllium Disease (DOE)
Biosensor Development:
18
BioPore - Blood Borne Pathogens (NIH SBIR)
図表28 フローサイトメーター、セルソーターが関係する NIH 研究グラント数検索結果
(検索サイト:http://commons.cit.nih.gov/crisp3/Crisp_Query.Generate_Screen)
キーワード
①flow & cytometer
②cell & sorter
③flow & cytometry
④flow & cytometry & development
⑤flow & cytometry & development & instrument
⑥flow & cytometry & development & equipment
参考 2−35
件数
16
24
1328
570
16
30
図表29 フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主な NIH 研究グラントの
要旨(検索サイト:http://commons.cit.nih.gov/crisp3/Crisp_Query.Generate_Screen;尚、プ
ロジェクトの実施内容ポイントと思われる箇所に下線を施した)
1 Grant Number: 5R01RR007855-09
PI Name: STEINKAMP, JOHN A.
PI Email: mailto:[email protected]
PI Title: TECHNICAL STAFF MEMBER
Project Title: FLOW CYTOMETER FOR QUANTIFYING FLUORESCENCE
LIFETIME
Abstract: The long-term goal of this project is to develop advanced flow cytometric
methods to measure phase-resolved florescence emissions and excited-state
lifetimes of fluorescent probes bound to macromolecules in cells and
chromosomes by phase-sensitive detection. In addition, we propose to apply the
technology to biological systems that take advantage of these unique
measurement capabilities and thus demonstrate the efficacy of the technology for
applications in biomedical research. A first-generation, phase-sensitive cytometer
has been developed which combines flow cytometry and frequency-domain
fluorescence lifetime spectroscopy principles to provide unique capabilities for
making lifetime-based sensing measurements on cells labeled with fluorescent
probes, while maintaining the capability to make conventional flow cytometric
measurements. The specific aims of this proposal are to: 1) advance the data
acquisition technology for making excited-state lifetime and phase- resolved
fluorescence emission measurements by implementing a digital signal
processing-based (DSP) system; 2) utilize the phase-sensitive detection
technology to reduce or eliminate background interferences in flow cytometric
measurements caused by cellular autofluorescence, by unbound (non-specific)
fluorophore labeling, by fluorescence spectral emission signal-crosstalk between
measurement channels, by light scatter in fluorescence detection channels of
multi-laser excitation measurements, and by laser-excitation of the acceptor
fluorophore in donor/acceptor fluorescence resonance energy transfer
measurements; and 3) apply the technology to biological systems that can take
advantage of these unique measurement capabilities to demonstrate the efficacy
of the technology for application to biomedical research. We propose to take
advantage of progress made during the previous grant period and the technical
expertise in our laboratory for design/construction of complex digital/analog
electronics, cell-cycle analyses, radiation damage and repair biology,
chromosomes and chromatin structure, cell-surface receptor architecture, cellular
damage mechanisms (e.g., oxygen free radicals), and DNA, RNA, and protein
cytochemistry to test the efficacy of the technology for application to biological
and biomedical research problems that will contribute to improving diagnoses,
treatment, and to understanding the mechanisms of human diseases.
Institution: UNIVERSITY OF CALIF-LOS ALAMOS NAT LAB
LOS ALAMOS NATIONAL LABORATORY
LOS ALAMOS, NM 87545
Fiscal Year: 2000
Department: NONE
Project Start: 30-SEP-1992
Project End: 31-AUG-2002
参考 2−36
図表29 フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主な NIH 研究グラントの
要旨(続き)
2 Grant Number: 5R44RR012271-03
PI Name: WALLING, JOHN C.
PI Email: mailto:[email protected]
PI Title:
Project Title: IMPROVING UV AND VIOLET SOURCES OF CYTOMETRY
Abstract: The performance of the compact, efficient, highly stable all solid-state
ultraviolet laser source created in the Phase I effort , where it was characterized
in preliminary cytometry and confocal microscopy evaluation studies, will be
further developed to obtain higher power and shorter wavelength. This will
permit the source to be of use in a broader class of applications including
cytometry that uses shorter wavelength dyes and higher throughput applications
such as cell sorting and DNA analysis. A recent extension of this basic laser
technology promises to make practical new laser sources that have very short
pulses and high repetition rates. This could become an important, if not an
enabling, tool for research and for development of commercial instruments that
require high peak power for two-photon excitation, such as two-photon
microscopy and two-photon 3D microfabrication, and for new optical imaging
diagnostics. The proposed Phase II work focuses on applications in cytometry and
UV and two-photon microscopy where it is believed that these new laser sources
might catalyze the development of new techniques and make these important but
expensive diagnostics more widely available. PROPOSED COMMERCIAL
APPLICATIONS: It appears likely that such laser sources will be able to replace
gas discharge lasers in a host of applications, including laser induced
fluorescence, substantially reducing the cost, size and complexity of
biotechnology instrumentation that requires intense light at near ultraviolet
wavelengths. Significant commercial markets exist for deep red and ultraviolet
laser sources that can be gracefully integrated into cytometers and modern
microscopes.
Institution: LIGHT AGE, INC.
2 RIVERVIEW DR
SOMERSET, NJ 08873
Fiscal Year: 2001
Department:
Project Start: 01-MAY-1997
Project End: 31-AUG-2002
参考 2−37
図表29 フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主な NIH 研究グラントの
要旨(続き)
3 Grant Number: 5R44RR013252-03
PI Name: SHAPIRO, HOWARD M.
PI Email: mailto:[email protected]
PI Title:
Project Title: INEXPENSIVE MODULAR FLOW CYTOMETERS: A NEW
GENERATION
Abstract: Although flow cytometers have become indispensable to researchers in
many areas of biology and medicine who study the normal and abnormal
behavior of cells, acquisition costs of apparatus remain high. Recent advances in
laser, reagent and electronic technology now make it possible to build
multiparameter flow cytometers using inexpensive diode and solid-state laser
sources, with digital signal processing electronics, which can match, and in some
cases, surpass the performance of existing instruments for a fraction of the price.
This project will develop and test a low-cost flow cytometer, and evaluate optical
and electronic approaches to improving performance of such instruments.
PROPOSED COMMERCIAL APPLICATION The apparatus to be developed
should make an important technology available to hundreds of laboratories not
now able to afford it.
Institution: HOWARD M. SHAPIRO, MD, P.C.
283 HIGHLAND AVE
WEST NEWTON, MA 02165
Fiscal Year: 2000
Department:
Project Start: 15-MAR-1998
Project End: 31-MAY-2002
参考 2−38
図表29 フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主な NIH 研究グラントの
要旨(続き)
4 Grant Number: 5R01CA089499-02
PI Name: HERZENBERG, LEONORE A.
PI Email: mailto:[email protected]
PI Title: PROFESSOR
Project Title: MULTI COLORS FACS--ADVANCEMENT FOR EXTENDED
APPLICATIONS
Abstract: We propose to maintain the momentum of new discoveries using
multicolor fluorescence cell analysis and sorting by developing a new instrument
to provide more light generation per cell, better light collection, improved signal
evaluation and optimized sorting capability. We recently developed a FACS
instrument able to measure up to 11 fluorescent reagents, and experiments using
8 and 9 colors are being performed routinely. The move to higher order multicolor
analysis has been very successful in producing new biological results, and it has
increased the dye choices and flexibility in work using fewer colors. However, in
multicolor experiments the data quality in individual measurement channels is
often not as good as what we obtain with comparable single color stains on these
channels. We have analyzed the signals and concluded that, while there are
systematic problems such as logamp scaling inaccuracy and mismatches between
logamps which degrade the accuracy of spectral overlap corrections, the
fundamental problem is lack of sufficient light in some of the single
measurements and, more generally, lack of sufficient light to accurately evaluate
and correct spectral overlaps. Further work on new dyes and different laser
sources will help to decrease spectral overlaps between dyes, but efforts to
increase the number of usable reagents and to use particular probes whose
spectra crowd other dyes of interest will assure that spectral overlap and spectral
overlap corrections continue to be limiting factors in flow cytometry. To address
these limitations we will develop a FACS yielding at least 20 times the signal
levels we obtain with the current system. Initially, we will build separate
analytical and sorting prototyping systems. Improved signal evaluation
electronics and procedures will be developed. A series of new developments will
also be carried out to facilitate high quality cell sorting. Based on developments
in these systems, we will assemble a combined biologically useful FACS. We will
begin to carry out biological experiments at as early a stage in the work as
possible, and the complete instrument will be made available to the full array of
users in our FACS service center.
Institution: STANFORD UNIVERSITY
STANFORD, CA 94305
Fiscal Year: 2001
Department: GENETICS
Project Start: 01-AUG-2000
Project End: 31-JUL-2005
参考 2−39
図表29 フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主な NIH 研究グラント
の要旨(続き)
5 Grant Number: 1R43RR015981-01
PI Name: KARGER, ARIEH M.
PI Email: mailto:[email protected]
PI Title:
Project Title: LOW-COST, GEIGER-MODE MUAPD ARRAYS FOR
CYTOMETRY
Abstract: DESCRIPTION (abstract, from application): Flow cytometers provide
invaluable information for the fields of developmental biology, genetics,
hematology,
immunology,
oncology,
microbiology,
and
parasitology.
Multiparameter analysis greatly enhances the capability of flow cytometers, and
reducing the size, power, and cost of the laser excitation source improves their
commercial viability. Unfortunately, the use of multiple, photomultiplier tubes
(PMT's) substantially increases the cost. Furthermore, PMTs are not readily
compatible with the emerging microscale technology that is now being applied to
flow and scanning cytometry. Cytometry needs a low-cost array of highly
sensitive, real-time photodetectors that are red-sensitive and compatible with
microscale technology. Geiger-mode, micro-avalanche photodiode (uAPD) arrays
are among the most sensitive optical detectors available today. In Geiger-mode,
they provide noiseless amplification while counting individual photons. Although
photon counting achieves the best sensitivity for a photodector, it frequently
limits the effective dynamic range of the device. We propose to conduct the
research and development necessary to implement photon counting, Geiger-mode
uAPD arrays for flow cytometry. We will explore designs to extend the dynamic
range of these photon-counting devices. This will result in a low cost, high
efficiency alternative to PMTs, which will be compatible with microscale flow
cytometry systems and other microanalysis systems. PROPOSED
COMMERCIAL APPLICATION: The development of an inexpensive replacement
for photon-counting PMTs would have many applications. High performance,
Geiger-mode APDs are already a commercial product, and inexpensive
replacement for a PMT would find widespread commercial appeal. These uAPD
arrays are compatible with the growing microanalysis technology, which includes
microscale flow cytometers, DNA sequencing chips for criminal identification,
analysis systems for detecting and identifying biological agents, "point-of-care"
systems, and high- throughput screening system for the pharmaceutical industry.
Institution: RADIATION MONITORING DEVICES, INC.
44 HUNT ST
WATERTOWN, MA 02172
Fiscal Year: 2001
Department:
Project Start: 01-FEB-2001
Project End: 31-JAN-2003
参考 2−40
3.追加調査
抽出した特許出願の分析
1990 年以降での公開・公表・再公表分から抽出したフローサイトメータ、セルソータに関係
する特許出願223件について、2件以上を出願した出願人名(1件のみ出願の場合は「その他
の出願人」として一括)について、権利化(特許登録)の状況(2001 年 12 月の PATOLIS 調査
時点)
、抄録内容を基にした判断で分類を行った結果を図表30に示す。
223件の内、調査時点で権利化済みが56件(約25%)、抄録内容判断での分類ではフロ
ーサイトメータ・セルソータの「装置改良(データ処理法含む)
」関係が88件(約39%)あ
り、その内で、特にセルソータに関するものは6件(約3%)、イメージフローサイトメータに
関するものは15件(約7%、シスメックス11件、東亜医用電子4件)あった。
主に試薬(その使用法、用途)に関する出願は39件(約17%)あった。
主に発明目的の実施上の手段(例:診断用の測定装置)としてフローサイトメータ・セルソー
タを利用する趣旨の出願は96件(約43%)あった。
出願件数の多い出願人としては、シスメックス(41件)、東亜医用電子(27件)が群を抜
き、東亜医用電子は現シスメックスに社名変更されたことより両社合計で68件(約30%)あ
った。続いて、ベクトンディッキンソン(米国)(11件)、以下、キャノン(9件)、立石電機
(9件)と続き、ベックマンコールター(クールター)の出願は3件であり、それほど多くは含
まれていなかった。
シスメックス(東亜医用電子分を含む)は、装置改良関係(40件)、関連試薬関係(18件)、
利用関係(10件)のいずれの分類でも多くの出願がある。微生物測定・感染診断関係では2件
がある。登録特許数は23件と最も多い。
ベクトンディッキンソンは装置改良関係(4件)、関連試薬関係(3件)、利用関係(4件)と
いずれの分類でも出願が見られた。
ベックマンコールター(クールター)は装置改良関係(1件)
、関連試薬関係(2件)
、の出願
が見られた。
本プロジェクトでは細胞分取および、細胞の形態情報をも把握することが目的とされているの
で、抽出特許の中から特に、セルソータ、イメージフローサイトメータに関する代表的な出願の
要約を図表31に示す。
イメージフローサイトメータに関しては、シスメックス(東亜医用電子分含む)が多数の出願
を行っている。具体的には、例えば、励起光を反射させる反射手段を設けることで、励起光の強
度を向上させることによる撮像機構の改良(特開平 05-119035)、高速ゲート機能付きのイメー
ジインテンシファイヤを用いることによる明瞭な静止画像を得る方式(特開平 05-142137)、垂
直分割走査型のビデオカメラを用いることによる粒子撮像数を増大する方式(特開平 05-346392)、
参考 2−41
粒子のサイズに応じて撮像倍率を瞬時に切り換える方式(特開平 07-43307)、透過光画像と蛍光
画像を効率良く同時撮像し解析する方式(特開平 06-235691)、光学素子の配置密度が高く、小
型で可搬性に富む光学情報計測装置(特開 2000-186999)、流動粒子を2方向から撮像し、その
粒子画像をシャッター付きメガネをかけて立体的に見る方式(特開平 07-35694)、位相差方式で
粒子の透過光像をコントラストよく撮像する方式(特開平 07-270302)、複数撮像により粒子内
に三次元的に分布している発光点をもれなく撮像する方式(特開平 07-286953)が出願されてい
る。
セルソータに関するものでは、日本分光より簡単な遅延時間算出・設定の方式(特開平 06288896)
、機械的強度の弱いものであっても確実かつ迅速に選別・捕集することのできるセルソ
ータの方式(特開平 06-109617;水野彰との共願)などがある。
また、抽出した特許出願223件について出願件数が多い出願人順に整理したリスト(公報番
号、出願人名、名称(発明の名称))を図表32に示す。
参考 2−42
図表30 FCM・セルソータ関係特許出願分析(出願人別件数)
(表中の数値の内、共願の数字は( )内に示した。1=装置改良(データ処理法含む)、
2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、3=利用(測定・選別用装置として)
、4
=微生物測定・感染診断関係;*:権利化(特許登録)の状況は 2001 年 12 月の PATOLIS
出願人
シスメックス(株)
(含む旧東亜医用電子(株)
)
ベクトンディッキンソン(米国)
キャノン(株)
立石電機(株)
アボットLAB
バイヤ−CORP
ワシントン大学(米国)
ピーシーシーテクノロジー(株)
神奈川科学技術アカデミー(財)
東レ(株)
日本光電工業(株)
日本分光(株)
日立製作所(株)
武田薬品工業(株)
アベイクス
オリンパス光学工業(株)
クールターCORP&INTN CORP
シュムネ
バイオラッドLAB SRL(イタリ
ア)&バイオラッドLAB INC(米国)
ポ−ラ化成工業(株)
ヤトロン:
(株)
カリフォルニア大学(米国)
科学技術振興事業団
住友電気工業(株)
森永製菓(株)
生化学工業(株)
大塚東京アッセイ研究所:(株)
中外製薬(株)
富士電機(株)
味の素(株)
その他の出願人の出願(共願分含む、
共願数記述略)
調査時点)
件数
権利化
(内、共願分)(全56) 1
(全223)
*
(全
分類
3
(全
96)
4
(全
13)
88)
2
(全
39)
68
23
40
18
10
2
11(1)
9
8
5
5
4
3
3
3
3
3
3
3
2
2
3
2
3
8
1
1
1
4
6
8
1
3
4
2
3
4
3
1
2
2(1)
2
2
2
2
2
2
2
2(1)
2(1)
58
1
参考 2−43
3
3
3
2
2
2(1)
2(1)
3
1
1
1
3
1
1
3
2
2
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
2
2(1)
2
2
1
2
1
2
2
1(1)
11
8
4
2(1)
46
1(1)
7
図表31 イメージフローサイトメータ、セルソータに関する代表的な出願の要約
(特許庁電子図書館データを基に作成。(*)
:番号は図表32の番号に対応する。
分類の欄の記号:●イメージングフローサイトメータ関係、◎セルソータ関係)
No 公報番号
(*)
特許番号 出願人
分
名称
類
要約(公開公報より抜粋)
●
16 特開平05-119035 3212647 シスメツクス
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【要約】
【目的】 フローセルの照射光が照射される側とは反対側に
励起光を反射し蛍光は透過させる波長選択手段あるいは、励
起光を反射させる反射手段を設けることで、励起光の強度を
向上することによって、細胞から発せられる蛍光強度を増し
蛍光画像の撮像を常に可能とする。
【構成】 フローセル5を流れる粒子の蛍光画像を撮像する
イメージングフローサイトメータにおいて、光源として蛍光
励起用光源1を使用し、フローセル5から透過した励起光を
反射し細胞からの蛍光を透過させる波長選択手段であるダ
イクロイックミラー3、3aと、細胞からの蛍光を検出する
光電子増倍管8と、該検出信号に基づき被検出粒子が蛍光画
像撮像に適したものであるか否かを判定し所定の制御信号
snを発する細胞通過判定回路13を備えたものである。
17 特開平05-142137 3102935 シスメツクス
●
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【要約】
【目的】 静止画像撮像機能を備えたフローサイトメータに
おいて、高速ゲート機能付きのイメージインテンシファイヤ
を用いることにより、ランプのような発光時間の長い光源で
あっても、高速に流れる粒子に対し明瞭な静止画像を得るよ
うにする。
【構成】 従来の粒子撮像型フローサイトメータの光学系に、
コヒーレンスの小さなランプ等の光源28及び高速応答の
できるゲート機能付きイメージインテンシファイヤ38を
付加することにより、振れや干渉縞の無い鮮明な粒子画像を
得るようにする。
18 特開平05-346392
3145486 シスメツクス
●
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【要約】
【目的】 静止画像撮像機能を備えたフローサイトメータに
おいて、粒子撮像数を増大させるようにする。
【構成】 従来の粒子撮像型フローサイトメータの光学系に、
垂直分割走査型のビデオカメラ42を設ける。このように、
垂直方向のある限定した範囲を、1フィールド期間に繰り返
し走査できるビデオカメラ42を用いるので、従来のビデオ
カメラを用いる場合に比べて、単位時間当りの撮像粒子数を
大幅に増やすことができる。
参考 2−44
図表31 イメージフローサイトメータ、セルソータに関する代表的な出願の要約(続き)
(特許庁電子図書館データを基に作成。(*)
:番号は図表32の番号に対応する。
分類の欄の記号:●イメージングフローサイトメータ関係、◎セルソータ関係)
No 公報番号
(*)
特許番号 出願人
名称
要約(公開公報より抜粋)
19 特開平06-235691 3218108 シスメツクス
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【要約】
【目的】 透過光画像と蛍光画像を効率良く同時撮像し解析
することのできるフロー画像分析装置を提供する。
【構成】 細胞画像撮像用のビデオカメラの撮像エリアを通
過する細胞を常時監視するための常時発光光源と、細胞の蛍
光画像を撮像するための連続発光の励起用光源を設ける。細
胞通過を監視しているラインセンサ14が通過を検知した
時、フラッシュランプ光を照射する。この細胞がさらに一定
距離だけ移動するのを待って短時間だけインテンシファイ
アをONし増幅された蛍光静止画像を得る。こうして、フラ
ッシュランプ光による透過光画像と励起光による蛍光画像
を同時に1画面で撮像集成する。
20 特開平07-43307 シスメツクス
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【要約】
【目的】 粒子のサイズに応じて撮像倍率を瞬時に切り換え
る。
【構成】 試料液中に存在する被検粒子を分離状態で流動さ
せる光透過性のフローセルと、フローセル内を流動する被検
粒子に光を照射するフラッシュランプと、光の照射された被
検粒子から得られた像光を少なくとも2以上に分割するハ
ーフミラーと、ビデオカメラと、分割された各像光をそれぞ
れ異なる倍率で拡大してビデオカメラの受光面にそれぞれ
結像させる拡大レンズと、ビデオカメラによって撮像された
所望の倍率の被検粒子像を切り出して画像として再生する
画像処理装置から構成する。
21 特開2000-186999 シスメツクス
光学情報計測装置
【課題】 構成する各種光学素子の位置決めが容易で、光学
素子の配置密度が高く、小型で可搬性に富む光学情報計測装
置を提供すること。
【解決手段】 複数の光を出射可能な光源部と、光源部から
の複数の光を対象物へ導いて対象物に供する導光部と、対物
レンズと、対象物からの光を対物レンズを介してそれぞれ受
光する複数の受光部と、前記光源部、導光部、対物レンズ及
び受光部を含む複数の光学素子を一体的に搭載するフレー
ム部を備える。
参考 2−45
分
類
●
●
●
図表31 イメージフローサイトメータ、セルソータに関する代表的な出願の要約(続き)
(特許庁電子図書館データを基に作成。(*)
:番号は図表32の番号に対応する。
分類の欄の記号:●イメージングフローサイトメータ関係、◎セルソータ関係)
No 公報番号
(*)
特許番号 出願人
名称
要約(公開公報より抜粋)
53 特開平07-35694 東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【目的】 流動粒子を2方向から撮像し、その粒子画像をシ
ャッター付きメガネをかけて立体的に見ることができるよ
うにする。
【構成】 試料液中に存在する被検粒子を分離状態で流動さ
せる光透過性のフローセルと、フローセル内を流動する被検
粒子に光を照射するフラッシュランプと、光の照射された被
検粒子を両眼で目視することが可能な視差範囲内の2方向
から撮像するビデオカメラと、撮像された被検粒子を立体視
可能に画像として再生する画像処理装置と、画像処理装置に
よって再生された画像を表示するモニターテレビと、制御装
置から構成する。
54 特開平07-270302 東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
55 特開平07-286953 分
類
●
●
【目的】 位相差方式で粒子の透過光像をコントラストよく
撮像する。
【構成】 粒子を含む試料液が内部に流動される光透過性の
フローセルと、フローセルの撮像領域に光を照射するレーザ
光源と、照射された光によって、フローセルの撮像領域に存
在する粒子の透過光像を撮像するビデオカメラと、レーザ光
源からフローセルに至る光路中に設けられた位相差用のリ
ングスリットと、フローセルからビデオカメラに至る光路中
に設けられた位相差用の対物レンズを備えた構成とする。
●
東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
【目的】 一つの粒子に対して、異なる複数の蛍光像を撮像
することにより、粒子内に三次元的に分布している発光点を
もれなく撮像する。
【構成】 粒子を含む試料液が内部に流動される光透過性の
フローセルと、フローセルの撮像領域に存在する粒子の発光
像を撮像する撮像手段を備え、撮像手段が、一つの粒子に対
して、異なる像を撮像する。
参考 2−46
図表31 イメージフローサイトメータ、セルソータに関する代表的な出願の要約(続き)
(特許庁電子図書館データを基に作成。(*)
:番号は図表32の番号に対応する。
分類の欄の記号:●イメージングフローサイトメータ関係、◎セルソータ関係)
No 公報番号
(*)
特許番号 出願人
名称
要約(公開公報より抜粋)
123 特開平06-288896 日本分光
セルソ−タ
125 特開平06-109617 分
類
◎
【目的】 比較的簡単で、実際の測定中であっても所定の液
滴を帯電させるためのタイミング(遅延時間)を求めること
ができるセルソータを提供すること【構成】 レーザー光1
4の照射位置から、混合液9が液滴化されて形成された所定
数の液滴17までを同時に撮像可能にビデオカメラ30を
設置し、撮像した画像データをカーソル線生成装置32を介
してビデオモニタ33に表示するようになっている。カーソ
ル線生成装置では、撮像下画像データにカーソル線Lをはめ
込み合成するもので、しかも、カーソル線の表示位置は、図
示省略の入力装置を介して、作業者が設定する。よって、作
業者はモニタを見ながらカーソルの位置をレーザー光照射
位置,液滴生成点9a,所定の液滴上に順に合わせ、その時
のカーソル線の存在位置座標を、生成装置から遅延時間算
出・設定部34に送り、遅延時間を求めるとともにディレイ
タイマ21にセットする。
日本分光、水野彰
◎
セルソ−タ
【目的】 植物プロトプラストのようにたとえ機械的強度の
弱いものであっても確実かつ迅速に選別・捕集することので
きるセルソータを提供すること。
【構成】 細胞を含むサンプル液を搬送射出する噴射管20
の先端が下方に向けて折曲した状態で配置され、この噴射管
の先端の周囲を囲繞するように円筒状のノズル22を配置
している。このノズルは、その下端が徐々に縮径された円錐
状となっており、その最下端部が開口されて射出口22aと
なっており、ノズル内には生理食塩水が順次供給されるよう
なっている。さらに、上記ノズルの下方部を囲繞するように
してガスシース用ノズル24が配置されている。このガスシ
ース用ノズルは、上方が円筒状で下方が縮径された円錐状か
ら形成されており、上記噴射管並びにノズルと同心円上に配
置されている。そして、このガスシース用ノズル内に供給さ
れるガスによってノズルから噴射された混合液が縮径され
る。
参考 2−47
図表32 抽出した特許出願のリスト
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
1 特開平06-207942 シスメツクス
2 特開平04-81640
2939647 シスメツクス
2
3
3 特開平06-58928
3215175 シスメツクス
4 特開平10-339729 シスメツクス
血液分析方法
フロ−イメ−ジングサイトメ−タにおける
●
自動焦点調整方法
粒子分析装置
○
赤芽球の分類計数用試薬及び分類計数方法
5 特開平10-307135 シスメツクス
赤血球形態異常の検出方法
6 特開平11-75892
シスメツクス
マラリア原虫の検出方法
7 特開平11-6831
シスメツクス
未熟網血小板を含む血小板の検出・測定方法
及び該方法の臨床への適用
8 特開2001-242168 シスメツクス
精子計数方法及び試薬
9 特開平11-326323 シスメツクス
赤芽球の分類計数方法
○
10 特開2001-149091 シスメツクス
微生物測定方法及び装置
○
11 特開平06-43091
3165254 シスメツクス
粒子の多次元分布の表示方法
12 特開平04-188042
2874746 シスメツクス
フロ−イメ−ジングサイトメ−タにおける
フロ−セル機構
フロ−イメ−ジサイトメ−タ
フロ−イメ−ジサイトメ−タ
フロ−イメ−ジサイトメ−タ
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
光学情報計測装置
尿中の細胞分析装置および方法。
尿中の細胞分析装置
尿中の細胞分析装置
粒子分析装置
粒子計数装置
尿中有形成分の分析方法及びその分析試薬
粒子分析装置
粒子分析装置
粒子分析装置
フロ−サイトメ−タ
フロ−サイトメ−タ
フロ−サイトメ−タ
白血球分析用試薬及び白血球の分類方法
新規化合物とその用途
赤芽球の分類計数用試薬及び分類計数方法
尿中の細胞分析用試薬及び方法
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
特開平04-270962
特開平04-270963
特開平04-270940
特開平05-119035
特開平05-142137
特開平05-346392
特開平06-235691
特開平07-43307
特開2000-186999
特開平04-337460
特開平05-322885
特開平05-322883
特開平05-79970
特開平10-332568
特開平11-83849
特開2000-275163
特開2001-50887
特開2001-74643
特開2001-281132
特開2001-281133
特開2001-281135
特開平07-294518
特開平09-104683
特開2000-162209
特開平04-337459
3084295
3121849
3084296
3212647
3102935
3145486
3218108
3213333
3213334
3098273
3102925
3070968
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
参考 2−48
4
○
○
○
○
○
○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
38
39
40
41
特開平05-34342
3067849
特開2001-258590 特開2001-91513 特開平04-184168 2941041
2
43 特開平10-132811 44 特開平09-274035 東亜医用電子
東亜医用電子
白血球分類計数用試料調製方法
細菌の染色方法及び検出方法
白血球の分類計数方法
フロ−サイトメトリ−による白血球の分類
方法
フロ−サイトメトリ−による赤芽球の分類
方法
細胞材料の染色方法及び分析方法
コントロ−ル物質およびその染色方法
45 特開平10-260129 東亜医用電子
粒子計数方法
○
46 特開平09-196916 47 特開平10-260130 東亜医用電子
東亜医用電子
フロ−サイトメ−タ用標準液
分布デ−タ生成装置
○
48 特開平09-218147 東亜医用電子
分布デ−タ計測装置
○
49 特開平06-300753 東亜医用電子
マラリア感染細胞の検出方法及び試薬
○
50 特開平08-338839 東亜医用電子
網状赤血球測定用試薬及び測定方法
○
51 特開平09-26388
東亜医用電子
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
特開平04-270961
特開平07-35694
特開平07-270302
特開平07-286953
特開平06-186155
特開平06-186156
特開平08-178829
特開平08-178826
特開平08-240520
特開平10-10035
特開平10-73528
特開平06-11506
1998424
1987131
64 特開平06-194364
1978056
42 特開平04-268453
2927979 東亜医用電子
65 特開平08-170960 66
67
68
69
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
シスメツクス
特開平09-329596 特開平05-34251
3048260
特開平10-206423 特開平02-103464 2620810
粒子分析装置および分布デ−タ相違度評価
装置
東亜医用電子
フロ−イメ−ジサイトメ−タ
東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
イメ−ジングフロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
粒子分析装置
東亜医用電子
粒子分析装置
東亜医用電子
フロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
フロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
尿中赤血球の鑑別装置
東亜医用電子
粒子分析装置
東亜医用電子
撮像機能付きフロ−サイトメ−タ
東亜医用電子
白血球測定用試薬及び白血球測定用試料調
製方法
東亜医用電子
フロ−サイトメトリ−による白血球分類試
薬
東亜医用電子
尿中有形成分分析用試薬及びその試薬を用
いた有形成分分析方法
東亜医用電子
尿中の有形成分分析方法および試薬
東亜医用電子
白血球分類計数用試料調製方法
東亜医用電子
幼若白血球の分類計数法
ベクトンデイツ サンプル中の損傷細胞及びインタクト細胞
キンソンアンド を識別するための方法
CO(米国)
参考 2−49
3
4
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
●
●
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
70 特開平02-16978
71 特開平06-221988
72 特表平08-501396
73 特表2000-511276
74 特開平05-113396
75 特開平04-252953
76 特開平06-27017
77 特開平05-133957
78 特開平04-252957
79 特開平08-33500
80 特開平03-221838
2
2059182 ベクトンデイツ 白血球の活性化を監視するためのモノクロ
キンソンアンド −ナル抗体
CO(米国)
2525123 ベクトンデイツ 負圧フルイデイツクスを備えたフロ−サイ
キンソンアンド トメ−タの制御装置及び制御方法
CO(米国)
2680931 ベクトンデイツ 希少細胞の絶対数を数える方法
キンソンアンド
CO(米国)
ベクトンデイツ 造血始原細胞の識別方法
キンソンアンド
CO(米国)
2030427 ベクトンデイツ フロ−サイトメ−タ−の洗浄サイクル
キンソンアンド
CO(米国)
ベクトンデイツ デ−タ変換法
キンソンアンド
CO(米国)
2104080 ベクトンデイツ 多元的細胞識別分析法
キンソンアンド
CO(米国)
2573757 ベクトンデイツ 細胞分析における対照または標準としての
キンソンアンド 細胞の保存
CO(米国)
2061274 ベクトンデイツ 絶対カウントのための一段試験
キンソンアンド
CO(米国)
ベクトンデイツ 鎖置換増幅による細胞中の核酸の検出
キンソンアンド
CO(米国)
、マ
サチユ−セツツ
大学メデイカル
センタ−(米国)
キヤノン
検体測定方法及び検体測定装置
3
4
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
81 特開平06-194299 キヤノン
82 特開平06-178699 キヤノン
83 特開平05-157599 3088528 キヤノン
84
85
86
87
88
89
90
91
特開平05-340865
特開平07-92076
特開平07-83819
特開平07-140148
特開平07-136633
特開平04-258763
特開平05-34263
特開平05-60750
3092232
キヤノン
キヤノン
キヤノン
キヤノン
キヤノン
立石電機
立石電機
立石電機
フロ−セル装置
生標的個体の検出方法およびプロ−ブ
微小液体流量検出素子、及び同素子を用いた
微小液体供給装置
測定装置
粒子解析装置
粒子測定装置
微生物計数方法
土壌浄化法
細胞分析装置
細胞分析装置
細胞分析装置
参考 2−50
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
92
93
94
95
96
特開平05-60748
特開平05-60751
特開平05-180831
特開平07-27693
特開平08-136440
特許番号
出願人
名称
分類
1
細胞分析装置
細胞分析装置
細胞分析装置
流れ式粒子分析装置
流れ粒子分析装置及びその装置の光軸の位
置合せ方法
97 特表平09-508703 2963541 アボツトLAB フロ−サイトメトリツク血液細胞分析器用
(米国)
の擬似テレセントリツク光学設計
98 特表2000-501838 アボツトLAB 細胞生存率、有核赤血球、および白血球分類
(米国)
の同時分析方法
99 特開平06-109725 100 特表平11-508353 101 特表2001-506686 102 特開平11-83724
103 特開平10-90164
104 特開平10-132732 105 特開平10-82730
106 特開平08-308593 107 特表平11-513486 108 特表平10-507524 立石電機
立石電機
立石電機
立石電機
立石電機
アボツトLAB
(米国)
アボツトLAB
(米国)
アボツトLAB
(米国)
バイヤ−COR
P(米国)
ワシントン大学
(米国)
109 特表平10-507525 ワシントン大学
(米国)
110 特表平10-507526 ワシントン大学
(米国)
111 特開平04-126066 1989048 ピ−シ−シ−テ
クノロジ−
112 特開平04-126081
113 特開平04-365498
114 特開平07-35754
高速フロ−サイトメ−タ液滴形成システム
3
○
○
○
フロ−サイトメトリ−用試薬
網状赤血球を迅速に分析するための組成物
及び方法
ハロレピジンから誘導できるヘリウム−ネ
オン励起性網状赤血球染色用色素
フロ−サイトメトリ−の標準およびキヤリ
ブレ−タ−として使用するための合成ポリ
マ−粒子
バイヤ−COR 血液分析装置用光学システム
P(米国)
バイヤ−COR 分析装置のための統合流体回路アセンブリ
P(米国)
バイヤ−COR 分析装置のための電気的システム
P(米国)
バイヤ−COR 白血球の内因性ペルオキシダ−ゼ活性に基
P(米国)
く、新鮮並びに時間を置いた全血試料につい
ての白血球分画計数を実施するための改良
された方法と試薬組成物
ワシントン大学 シリコンマイクロチヤネル光学フロ−サイ
(米国)
トメ−タ
2
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
フロ−サイトメ−タジエツトモニタシステ
○
ム
フロ−サイトメ−タにおける液滴形成時間
○
遅延を検知するシステム
プロトプラスト撹拌装置並びにそれを含む
細胞融合装置及びフロ−サイトメ−タ−装 ○
置
1996615 ピ−シ−シ−テ 細胞融合及び融合細胞選別システム
○
クノロジ−
2064695 ピ−シ−シ−テ 色素生産細胞の選抜方法
クノロジ−
2989429 神奈川科学技術 細胞診断用合成マ−カ−
アカデミ−
参考 2−51
○
○
4
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
115 特開平08-320321
3200607 神奈川科学技術
アカデミ−
116 特開平08-319300 3139957 神奈川科学技術
アカデミ−
117 特開平09-56384 東レ
118 特開平09-67400 東レ
125 特開平06-109617 細胞診断用標識剤及びそれを用いた細胞診
断システム
レクチンの固定化法及びそれを用いた細胞
用基材
細胞の標識方法
モノクロ−ナル抗体、該抗体を産生するハイ
ブリド−マ及びその利用
東レ
新規CTLA−4リガンド
日本光電工業
粒子及び細胞測定用シ−ス液
日本光電工業
レ−ザ光照射装置
○
日本光電工業、
富 セルソ−タ
◎
士電機
日本分光
セルソ−タ
◎
日本分光
花粉,ダニ,ハウスダスト等の空気中の浮遊
粒子状物の分析方法
日本分光、水野彰 セルソ−タ
◎
126
127
128
129
130
日立製作所
日立製作所
日立製作所
武田薬品工業
武田薬品工業
119
120
121
122
特開平10-17592
特開平08-122327
特開2000-258334
特開平04-204254
123 特開平06-288896 124 特開平06-34518 特開平05-256757
特開平05-333286
特開平07-63665
特開平07-79795
特開平08-109200
131 特開2000-217595
132 特開平03-266999
133 特開平04-230854
134 特開平10-54831
135 特開2001-149098
136 特表平07-503795
137 特表平08-510051
138 特表平09-509250
139 特表平02-503747
細胞画像解析装置
○
光束平坦化光学系
○
フロ−式粒子画像解析装置
○
ヒトモノクロ−ナル抗体産生株の製造法
抗C5aレセプタ−抗体、その製造法および
用途
武田薬品工業
CD14アゴニストまたはアンタゴニスト
のスクリ−ニング方法
2920690 アベイクス(フラ 全血からの少なくとも一つの白血球のサブ
ンス)
−ポピユレ−シヨンの自動フロ−サイトメ
トリ−測定用の試薬及び該試薬を用いた測
定方法
3049371 アベイクス(フラ 試薬及び抵抗率の変化を測定する装置で血
ンス)
液中の好塩基球を自動的に計数するために
該試薬を使用する方法
オリンパス光学 免疫学的分析装置
○
工業
オリンパス光学 小核試験のための小核陽性標本
工業
ク−ルタ−CO フロ−サイトメ−タにおいて粒子カウント
RP(米国)
の決定に用いる方法および材料
ク−ルタ−CO 保存対照細胞を蛍光および光散乱測定の校
RP(米国)
正において用いる方法
ク−ルタ−IN マルチパラメ−タフロ−サイトメトリ−に
TERN CO よる充実性腫瘍の分析
○
RP(米国)
シユムネ
(フラン 微生物の定性および/または定量試験方法
ス)
およびその方法を実施するための装置
140 特開平09-119926 シユムネ
(フラン 尿検体の分析方法
ス)
参考 2−52
2
3
4
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
141 特表平07-507877 142 特表平09-509496
143 特表2000-516345
144 特開平07-5172
145 特開平07-294523
146 特開平08-176200
バイオラツドL
AB SRL(イ
タリア)
バイオラツドL
AB SRL(イ
タリア)
バイオラツドL
AB INC(米
国)
3212428 ポ−ラ化成工業
ポ−ラ化成工業
ヤトロン
2
○
核DNAを染色するための調製物の製法、そ
れにより得られた調製物及びその使用のた
めのキツト
固相として磁性粒子を用いる多重フロ−免
疫検定
○
○
CD18抗原発現の判定法
化粧仕上がりの満足度測定法
c−erbB−2遺伝子産物の細胞内ドメ
インに特異的に反応するモノクロ−ナル抗
体及びそれを分泌するハイブリド−マ
147 特開2001-56338 ヤトロン、東京都 経皮的冠動脈形成術後の冠動脈再狭窄の可
医学研究機構、
笠 能性を検出する方法
貫宏
148 特開平06-7198
カリフオルニア レ−ザ−誘導された蛍光によるDNA断片
大学(米国)
のサイジングおよびソ−テイング
149 特表2001-520895 カリフオルニア フロ−サイトメトリ−を用いるDNA多型
大学(米国)
の同定方法抄録
150 特開平10-313868 3070913 科学技術振興事 膜局在型ZAP−70を用いた免疫賦活剤
業団
151 特開2001-37478 科学技術振興事 遺伝子増幅細胞の迅速選択法
業団
152 特開平04-363663 住友電気工業
物質検出法
153 特開平09-96603
154 特開平03-290185
155
156
157
158
住友電気工業
3029635 森永製菓
特開平10-75791 特再平09-808549
特開2000-136138 特開2000-19179 森永製菓
生化学工業
生化学工業
大塚東京アツセ
イ研究所
流動細胞分析装置
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
抗体産生変異株の取得方法
○
抗体軽鎖
腎疾患の検知法、診断薬及び診断用キツト
非正常細胞自滅増強剤
末梢血幹細胞採取物中の微小残存病変の検
出方法
○
○
○
○
159 特開2000-241427 160 特開平08-313528
大塚東京アツセ 細胞表面抗原発現量を用いた白血病細胞の
イ研究所
検出方法
3170176 大塚製薬
薬剤耐性獲得癌細胞の検出方法
161 特開平07-294524 162 特開2000-135089 163 特開平04-1568
中外製薬
中外製薬
富士電機
3
流動式サイトメ−タ−用測定チヤンバ−
細胞の解析方法
顆粒球コロニ−刺激因子受容体の測定方法
セルソ−タ
参考 2−53
○
○
○
○
◎
4
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
164 特開平02-103465 味の素
165 特開2000-197479 味の素、
バイオイ 微生物の単離方法
ンダストリ−協
会、独立行政法人
産業技術総合研
究所
エイジ−ン研究 ヒト由来不死化B−リンパ芽球様細胞株
所
オルガノ
細菌の検出方法及び装置
166 特開平10-248577 167 特開平11-318499 2
インタ−ロイキン2受容体の測定方法
3
○
○
168 特開平09-145593 169 特開2001-174458 ニコン
フロ−サイトメトリ−装置
パスケンプロダ 非特異的細胞傷害活性の測定方法
クツ
170 特開平05-3784
171 特開平10-33165
ヒト−ヒトハイブリド−マ作製用親細胞株
造血未分化細胞の選択的分離方法及び分離
装置
セルソ−タ
◎
細胞周期制御因子
単クロ−ン性抗体及びこれを用いた診断方
法
新規なヒアルロン酸合成酵素のポリペプチ
ド及びそれをコ−ドするDNA
海洋科学技術セ フロ−サイトメトリ−による微生物検出方
ンタ−
法
協和醗酵工業
テロメラ−ゼ活性の測定法
金田次弘、医学生 細胞の増殖能測定方法
物学研究所
177 特開平10-28600
178 特開平04-12273
179 特開平11-180893 180 特開平10-232232 181 特開平08-143598 182 特開平11-308995
183 特開平09-145714
184 特開平07-265096
185 特開平03-175362
三井石油化学工
業
山口英世、奥富隆
文、末柄信夫
山之内製薬
○
gp34結合阻害物を有効成分として含有
する医薬組成物
微生物感染診断用キツト
○
○
○
○
○
○
187 特開平10-160733 188 特開平11-146798 大阪バイオサイ
エンス研究所
大日本製薬
鉄道総合技術研
究所
細胞性免疫に関与するマクロフア−ジの表
面抗原
肥大型心筋症の判定方法
微生物細胞迅速識別法と微生物細胞用識別
キツト
参考 2−54
○
○
○
○
○
抗Tieモノクロ−ナル抗体及びハイブリ
ド−マ
住友製薬
新規なタンパク質C16N−1およびC1
6N−2、あるいはこれらをコ−ドする遺伝
子
出光興産
血球付着性抗原の測定方法
2807775 水産庁南西海区 藻類のシストの定量方法
水産研究所長
千代田製作所
自動細胞処理装置
○
186 特開平10-179163 ○
○
ミドリ十字
旭化成、
旭メディ
カル
172 特開平03-59455 井関農機
173 特開平11-206384 栄研化学
174 特開平04-346793 3072919 化学及血清療法
研究所
175 特開平09-224674 2942813 科学技術庁
176 特開2000-69995
○
○
○
4
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
189 特開平04-356183 2669192 島津製作所
190 特開平09-299086 東亜合成化学工
業
191 特開平05-107249 東洋紡績
192 特開平06-27112 日東電工
193 特開平09-313192 日本碍子
光圧力式セルソ−タ
オリゴヌクレオチド細胞内導入試薬
リガンド・レセプタ−反応の高感度検出法
免疫学的測定方法
DNA及びm−RNA標識プロ−ブを用い
た微生物の測定方法
194 特開平08-119994 2660175 北海道
キクイモ由来のレクチンおよびその分離精
製法
195 特開平09-59275 理化学研究所
新規物質トリプロスタチン、その製造方法、
細胞周期阻害剤および抗腫瘍剤
196 特開平09-98798 和光純薬工業
微生物の検出方法
197 特開平08-12595 アクゾノ−ベル 慢性関節リウマチ治療薬
NV(オランダ)
198 特表平06-510663 199 特開平10-59996
200 特表2000-503545 アンスチ.ナシオ ヒトチトクロ−ムP45011D6由来ペ
ナルドラサンテ プチド断片、抗ペプチド断片抗体、及びそれ
エドラルシエル らの自己免疫性肝炎の診断における応用
シユメデイカル
(フランス)
イスチ.
ビオキミ 白血病性芽細胞のアポト−シスをもたらす
コイタリア−ノ 分化誘導物質と結合した、人のc−fesプ
ジヨバンニロレ ロト癌遺伝子の一次転写に相補的なアンチ
ンツイ−ニSP センスオリゴヌクレオチド及びその用法
A(イタリア)
イデエムイミユ 新規な抗原提示細胞、その調製方法、および
ノデジネモレキ 細胞性ワクチンとしてのその用途
ユル(フランス)
エヌイ−エヌラ 細胞計数イムノアツセイ
イフサイエンス
プロダクツIN
C(米国)
202 特開平09-188700 3043629 エベルハルトカ 抗体103B2
ルルス大学、テユ
−ビンゲン大学
クリニクム(ドイ
ツ)
203 特表平04-502855 エ−ル大学(米 正常部位抑制ハイブリダイゼ−シヨンおよ
国)
びその使用
204 特開平02-31892 オルペゲンメデ 好気性活性汚泥型の排水処理工程の制御法
イチニツシユモ
レクラ−ルビオ
ロギツシエフオ
ルシユングスG
MBH(ドイツ)
205 特表平04-500907 2907473 カイロンCOR 細胞選別技術及びその利用
P(米国)
2
3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
201 特表平11-511851 参考 2−55
4
◎
○
○
○
○
◎
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
206 特表2000-514922 2
カンジINC(米 ウイルスの感染性を測定するための方法
国)
グロ−バルヘモ 止血活性の分析のための方法、試薬およびキ
ステイシスIN ツト
STエムジ−ア
−ルAB
(スウェ
ーデン)
208 特表平04-507040 2992298 サイトガムIN 性関連膜タンパク質および子が所望の性を
C(米国)
有する確率を増大させるための方法
209 特表平09-502794 ジエルスネスオ 液体フロ−サイトメ−タ−
ツドジエ−ンNO○
タンゲンライダ
−(ノルウェー)
3
4
○
○
207 特表平10-509514 ○
210 特開平06-209789 211 特開平10-295386
212 特表平07-503127
213 特開平08-291199
214 特開平11-164689
215 特開平07-146296
216 特開平03-65653
217 特表平09-508784
ステフアノブツ 刺激リンパ球形質転換試験の実施方法
サIT-カルロルミ
(イタリア)
スミスクライン 新規aroE
ビ−チヤムCO
RP(米国)
セルプロINC 幹細胞を選択的に増加する方法
(米国)
デイアクロンS 抗gp130モノクロ−ナル抗体及びその
Aアデイレクト 使用
ワールエコンセ
イユドウスルベ
イヤンス
(フラン
ス)
3128544 テイ−セルサイ γ,δT細胞レセプタ−および検出方法
エンシスINC
(米国)
、ダナ−
フア−バ−キヤ
ンサ−研究所(米
国)
、ハ−バ−ド
大学(米国)
テクニオンリサ 多重抗癌剤耐性を検定する方法
−チアンドDE
Vフアンデ−シ
ヨンLTD(イタ
リア)
テクニコンイン 自動血液分析機器用の光学的標準
ストルメンツC
ORP(米国)
デユ−ク大学(米 CD6リガンド
国)
、ブリストル
マイヤ−ズスク
イブCO(米国)
○
218 特表平06-509417 トランスメツド 多重検体の同時分析の方法と構成
バイオテツクI
NC(米国)
参考 2−56
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表32 分析対象とした特許出願のリスト(続き)
(1=装置改良(データ処理法含む)
;○=FCM関係;●=特にイメージングフローサ
イトメータ関係;◎=特にセルソータ関係、2=関連試薬(およびその使用法・用途)関係、
3=利用(測定・選別用装置として)
、4=微生物測定・感染診断関係)
No
公報番号
特許番号
出願人
名称
分類
1
219 特表2001-504686 ビオメリユウ(フ
ランス)
220 特表平09-503861 3115604 フロリダ大学(米
国)
221 特表2001-511518 米国農務長官(米
国)
222 特開平10-72498 ベ−リンガ−マ
ンハイムGMB
H(ドイツ)
223 特表2001-509266 ホ−テイカルチ
ヤ−アンドフ−
ドリサ−チIN
STオブニユ−
ジ−ランドLT
D(ニュージーラ
ンド)
グリオトキシツクフアクタ−の検出および
/または定量方法
患者の急性心筋梗塞症の検出
2
3
○
○
高効率な細胞選別向けのフロ−型サイトメ
○
トリ−用のノズル
対照サンプルとしての抗HIV抗体
○
光学装置
○
参考 2−57
4
参考資料 3
周辺動向調査(説明資料)
微量細胞情報検出システム周辺動向調査
(株)旭リサーチセンター
2002年1月24日
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況
(1)開発対象装置の市場環境及び社会的ニーズ
(2)当該技術分野の開発トレンド
(3)開発された時の波及効果
2.類似研究開発の状況
(1)論文・特許
(2)国内の研究開発動向
(3)外国の研究開発動向
1
1.医療機器産業と開発対象
装置の周辺状況
(1)開発対象装置の市場環境
及び社会的ニーズ
2
参考3-1
国民医療費、疾病に関する概況
• 国民医療費の総額は、90年以降においても
年々増加の傾向
• 対国民所得においても95年には7%を越え増
加し続けている
• 近年の疾病構造
– がんや循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病が増加
• 特にがんは、早期発見早期治療が重要
– 早期発見に資する診断法、診断機器は医療に貢献す
ると考えられる
3
350.0
300.0
250.0
200.0
150.0
100.0
50.0
0.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
対国民所得(%)
総額(千億円)/一人当たり(千円)
国民医療費の推移
206.1 218.3 234.8 243.6 257.9 269.6 285.2 290.7 298.3
総額(千億円)
一人当たり(千円) 167 176 189 195 206 215 227 230 236
対国民所得(%) 5.96 6.01 6.36 6.54 6.9 7.08 7.28 7.41 7.86
年 度
日本製薬工業協会資料をもとに作成(原資料 : 厚生省「国民医療費」、経済企画庁「経済要覧」)
4
参考3-2
推計患者数の年次推移
(千人)
450
脳血管疾患
400
悪性新生物
350
300
糖尿病
250
200
150
虚血性心疾患
100
肝疾患
50
肺炎
結核
0
昭和 54年
55年
56年
57年
58年
59年
62年
平成 2年
5年
8年
資料:厚生省患者調査
5
医療機器産業全体の市場環境
世界の医療機器市場規模
•
•
主要国医療製品市場規模(1999年)は
約1,580 億ドル
日本は国別では世界第2位で、234億
ドルであり全世界の約15 %
(医療機器に関する技術動向調査(平成13年5月
31日特許庁技術調査課)より抜粋)
参考3-3
6
医用検体検査機器の生産・輸入・出荷・輸出・12月末
在庫の推移
薬事工業生産動態統計年報を基に作成
1,200
1,000
億円
800
600
400
200
0
生産・輸入計
生産
輸入
出荷計
国内
輸出
12月末在庫
1990
年
1991
年
1992
年
1993
年
1994
年
1995
年
1996
年
1997
年
1998
年
1999
年
912
796
117
927
746
181
117
896
788
108
932
748
184
89
907
728
179
932
739
193
103
829
648
181
816
685
131
102
797
637
161
818
718
100
98
822
704
118
836
736
100
83
921
754
167
917
744
172
90
1,117
895
222
1,138
904
234
89
1,004
839
164
1,022
853
169
85
1,074
851
223
1,040
842
198
117
7
プロジェクト対象機器の市場環境
平成11年の薬事工業生産動態統計年報より「セルアナライザー」という
z
小分類が設けられ統計数値が現れた。(年間約100台程度が全て輸入)
セルアナライザーの生産・輸入・出荷・輸出(平成11年)
(薬事工業生産動態統計年報 平成11年を基に作成)
個数
計
生産
金額(百万円)
101
-
輸入
101
904.95
44
272.25
出荷計
国内
z
904.95
-
44
272.25
輸出
-
-
12月末在庫
-
-
「医療機器総覧’99」によれば、セルアナライザーの項目では外資系
2社のみの製品が記載。
参考3-4
8
フローサイトメーターが使われ得る検体検査
・ 「細胞機能検査」に属する。
a.フローサイトメトリー法によるT細胞・B細胞百分率検査
(330点)
b.モノクローナル抗体によるT細胞サブセット検査
(一連につき)(340点)
c.モノクローナル抗体法による造血器悪性腫瘍細胞検査
(一連につき)(1600点)
(括弧内の点数は診療報酬点数表平成12年10月版に基づく)
9
フローサイトメ-タが使用され得る主な検査項目の
社会保険点数推計の推移(6月審査分)
社会医療診療行為別調査報告 各年より作成、96~98年6月審査分は政府管掌健康保険、
国民健康保険を合わせた全国推計値、99年6月審査分では組合管掌健康保険が追加されている
14,000,000
12,000,000
点数
10,000,000
8,000,000
6,000,000
4,000,000
2,000,000
0
1996年6月審査分 1997年6月審査分 1998年6月審査分 1999年6月審査分
モノクローナル抗体造血器悪性腫瘍細胞検査
フローサイトメトリー法T細胞・B細胞百分率検査、モノクローナル抗体によるT
細胞サブセット検査
10
参考3-5
10
フローサイトメ-タが使用され得る主な検査項目の
検査回数推計の推移(6月審査分)
社会医療診療行為別調査報告 各年より作成、96~98年6月審査分は政府管掌健康保険、国民
健康保険を合わせた全国推計値、99年6月審査分では組合管掌健康保険が追加されている
18,000
16,000
14,000
回数
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1996年6月審査分 1997年6月審査分 1998年6月審査分 1999年6月審査分
モノクローナル抗体造血器悪性腫瘍細胞検査
フローサイトメトリー法T細胞・B細胞百分率検査、モノクローナル抗体によるT
細胞サブセット検査
11
11
フローサイトメーターでの測定に用いられる検査用試薬の例
( (社)日本臨床検査薬協会編集「体外診断用医薬品集’97」を基に作成)
例
免疫学的
検査用試
薬
T細胞・B細胞百分率
測定用試薬
製造or販売会社
オーソミューン OKT3 PE標識抗体
オーソ
コールタークローンB1-FITC
コールター
(現ベックマン・コールター)
ダコデュアルカラー CD3/FITC+CD19/RPE
ダコ・ジャパン
Leuシリーズサイマルテスト
サイマルテストT/B細胞テスト
日本ベクトン・ディッキンソン
NU-TER FITC標識抗体
ニチレイ
B細胞表面免疫グロブ
リン測定用試薬
Leuシリーズサイマルテスト 抗Kappa/抗Lambda
日本ベクトン・ディッキンソン
HLA-DR測定用試薬
抗白血球-FITC標識抗体液
日本ベクトン・ディッキンソン
ダコフローサイトメトリー抗体
HLA-DR(CR3/43)/FITC
ダコ・ジャパン
ビオチン標識抗体「イムノテック」
HLA-DR IOT2a
コールター
(現ベックマン・コールター)
オーソミューン OKDR FITC標識抗体
オーソ
抗LeuM3モノクローナル抗体
抗LeuM3-FITC標識抗体液
日本ベクトン・ディッキンソン
コールタークローン12-FITC
コールター
(現ベックマン・コールター)
ダコデュアルカラー CD4/FITC+CD8/RPE
ダコ・ジャパン
ファーミンジェン抗ヒトCD2-PE
藤沢薬品工業
抗リュウモノクローナル抗体
抗Leu-2aビオチン標識抗体液
日本ベクトン・ディッキンソン
ダコデュアルカラー HLA-DR/FITC+CD3/PRE
ダコ・ジャパン
ビオチン標識抗体「イムノテック」
CD57 IOT10
コールター
(現ベックマン・コールター)
12
BM-1「JIMRO」
大塚製薬
リンパ球サブセット
検査用試薬
リンパ球表面マーカー
測定用試薬
参考3-6
12
社会的ニーズに関連する公的報告書
• 国家産業技術戦略 分野別産業技術戦略(医療
福祉分野のうちの医療機器産業技術戦略;平成
12年4月報告)
–「日本は診断機器は強い」旨の一般論に言及
–同時に「我が国の医療機器産業の競争力を一律に論
ずることはできない」とも述べている
本プロジェクトの対象機器は診断機器ではあるが、現
状の市場を見る限り、日本は弱い分野と言えよう。
13
1.医療機器産業と開発対象装
置の周辺状況
(2)当該技術分野の開発トレンド
14
参考3-7
当該プロジェクトの技術的特徴
• デスクトップ型サイズでサイズの大き
な高位機種セルソーター並の性能を持
たせた診断装置の開発
15
当該技術分野の開発トレンド
“New Flow Cytometric
Technologies for the 21st
Century”(総説)
(Roslainiec MC et al. HUMAN
CELL Vol.10 No.1, 3-10, 1997)
用途に応じて装置付加・改
変などをおこなった研究
• Stopped flow mixing and
rapid kinetic flow
cytometry
• Phase sensitive
fluorescence lifetime
measurements
• DNA fragment analysis
• Optical chromosome
selection
• Single cell flow
karyotype analysis
「FACSフローサイトメーター
システム」
(生井(日本ベクトン・ディッ
キンソン(株)、細胞工学
別冊 フローサイトメトリー
自由自在 秀潤社 p94-95、
1999)
「時代はデジタルフローサイト
メーターへ 」
(江川、藤巻(ベックマン・コー
ルター(株)、細胞工学 別冊
フローサイトメトリー自由自在
秀潤社 p96-97、1999)
「オプションを追加装
備することにより機能
を拡張する」というコ
ンセプト→
FACSCaliburを開発
高感度フローセル技術を
開発
z低出力空冷レーザーでも
十分な感度
z高感度・高速ソーティン
グが実現
検出系のデジタル処理化
z1レーザーで4カラー光
学系のシグナル処理を可
能
代表的な市販セルソータ、フローサイトメータの希望小売価格: 1,500~8,300万円程度16
参考3-8
16
製品の性能例
(ベックマン・コールター株式会社カタログ・主な仕様より作成)
機種
励起レーザー
EPICS ALTRA System TypeⅡ高速自動細胞解析分取システム
搭載可能レーザー
最大4種類のレーザーを搭載可能
超高感度クオーツ
フローセル
低出力空冷ガスレーザー(Arガス、488nm)
低出力空冷ガスレーザー(He-Neガス、633nm)
低出力空冷ガスレーザー(He-Neガス、543nm)
検出光
前方散乱光、側方散乱光、蛍光4種類(ディレイタイムゲート対応)
同時測定パラメー
タ
11パラメータ同時測定
蛍光検出感度
蛍光感度
200MEFL, 100MEPE
蛍光検出分解能
蛍光分解能
ニワトリ赤血球核PI染色時でCV値1%以下(クオーツフローセル使用
時)
分離速度
ソーティング方式
液滴荷電方式
ソート速度
10,000個/秒
分離純度
ソート純度
99%以上
分離回収率
分離回収率
95%以上(カタログ中記載)
光軸調整
光軸調整
確認/微調整のみ
サイズ
サイズ
1778mm(W)x1981mm(D)(L字型)x1321mm(H)機器背面のスペース
は不要
17
検出パラメータ
17
プロジェクト終了後から企業側で商品化
検討し販売するまでの工程例
市場調査
・ニーズと市場の大きさの再調査
・成果報告書 ・類似品の仕様性能と付加価値機能及び買換え頻度
入力 ・事後モニタ ・類似品の販売価格
リング報告書
する
商品化検討会
役員会
・課題の解決方
法の検討と改
商品提案書
NEDOの
良方法の検討
の説明、審
プロジェクト
提案
(試作)
議
完了
・仕様検討
・コスト洗い
出し
断念
・提案書作成
出力 解決すべき課題
改良すべき項目
・改良を含む基本仕
様と改良試作費を含
む目標コストを設定
した事業化計画の役
員会提案書
する
薬事関係作業
-業許可
-品目承認
など
商品化
諸活動
承認
発売
しない
商品化関連の主な法令等:
特許法(特許権)
薬事法
薬事法施行規則
関連省令・通知等
法令・申請関連の参考書の例:
医療用具の製造申請の手引き(薬事日報社)
医療用具関係法令通知集(薬事日報社)
18
医療用具規格基準2001(じほう)
参考3-9
18
1.医療機器産業と開発対象装置の周辺状況
(3)開発された時の波及効果
開発品に十分な競争力があれば:
•セルアナライザー市場での競争効果
– 価格の低下、サービスの向上、輸出品目
•医療における波及効果
– リンパ腫、白血病、免疫不全疾患の診断を中心とする血液
系疾患の診断分野の発展
– さらに子宮頸部癌などの他の癌の診断分野、感染症の診断
分野の発展
•その他の波及効果
– 研究用機器として、生物学などの学術研究、および測定分
析機器(微生物検査など)としての利用・貢献
19
2.類似研究開発の状況
(1)論文・特許
20
参考3-10
関連文献数の推移
データベース=JICST; キーワード=サイトメトリ
or サイトメータ or セルソータ or FCM
1400
1200
1000
文献数
800
600
400
200
19
90
19 年
91
19 年
92
19 年
93
19 年
94
19 年
95
19 年
96
19 年
97
19 年
98
19 年
99
20 年
00
年
0
公表年
21
セルソーター、フローサイトメーター関連
特許の件数推移
データベース:PATOLIS(公開・公表・再公表);キーワード:フローサイトメータ? サイトメータ?
フローサイトメトリ? サイトメトリ? セルソータ? FACS;検索後、標題・内容検討で関係のあるものを選択
35
30
20
15
10
5
年
01
00
年
20
年
20
年
99
19
年
98
19
年
97
19
年
95
96
19
94
年
19
93
年
19
92
年
19
年
19
91
19
90
年
0
19
件数
25
22
参考3-11
2.類似研究開発の状況
(2)国内の研究開発動向
23
日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入
研究・プロジェクト(1/2)
(資料:NACSIS検索 キーワード:(サイトメトリー or サイトメーター or セルソーター or サイトメトリ or サイトメー
タ or セルソータ) and 開発;国の試験研究業務計画 H9年度版、「文部省科学研究費補助金採択課題一覧」「文部省科
学研究費補助金採択課題・公募審査要覧」)
期間(年度) 1986-1987
1
課題名
ソフトライディング型マルチ・ソート細胞選別装置の開発研究
研究代表
水野 彰
所属
豊橋技科大・工学部・講師
配分予定額
950万円
期間(年度) 1986-1988
2
課題名
デュアルレ-ザ-を利用した染色体ソ-ティング技術の開発
研究代表
室津 知明
所属
阪大・国立大学(その他)・助教授
配分予定額
3,670万円
期間(年度) 1990-1991
3
課題名
フローサイトメトリーのための多目的自動細胞処理装置の開発
研究代表
福田 優
所属
福井医科大学・医学部・教授
配分予定額
720万円
24
参考3-12
24
日本におけるセルソーター、フローサイトメーター関連の公的資金投入
研究・プロジェクト(2/2)
(資料:NACSIS検索 キーワード:(サイトメトリー or サイトメーター or セルソーター or サイトメトリ or サイトメー
タ or セルソータ) and 開発;国の試験研究業務計画 H9年度版、「文部省科学研究費補助金採択課題一覧」「「文部
省科学研究費補助金採択課題・公募審査要覧」)
4
期間(年度)
1996-1997
課題名
セルソ-タ-顕微鏡の開発
研究代表
桂樹 徹
所属
奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科・助教授
配分予定額
80万円
期間(年度)
1995-2000
通商産業省・医療福祉機器技術研究開発制度
5
総合的研究開発
課題名
微量細胞情報検出システム
研究費
H7年度~H8年度 研究費合計:7,405万円
研究内容
採取した微量な血液細胞及び組織をもとに、感染後直ちに現れる細胞の表面・内
部の分子レベルの変化、細胞の形態の変化(画像情報)を検出することにより、
疾病診断システムの研究開発を行う。
25
2.類似研究開発の状況
(3)外国の研究開発動向
26
参考3-13
フローサイトメータ・セルソータの初期開発
河本の総説(脳外 23巻12号p1059-1068, 1995年12月)
– 「フローサイトメーターはNIHを通しての巨額の援助金を
もとに1969年、カリフォルニア州のStanford大 学の
Herzenbergら免疫学を研究するグループと、ニューメキ
シコのCalifornia大学Los Alamos科学研究所のVan
Dillaらのcell kineticsを研究するグループによって同
時期に細胞自動解析装置」として開発された。
– そして、「Herzenbergらは、Beckton-Dickinson社製の第
1号機である“FACS Ⅰ”を製作した。」
27
米国の状況
米国ではNIHの援助(National Flow Cytometry and
Sorting Research Resourceプロジェクト)の下にLos
Alamos National LaboratoryのBioscience Divisionにお
いてフローサイトメーター、セルソーターに関する先端機
器、技術開発、およびフローサイトメトリー技術(プロト
コルなど)の民間・生物医学研究コミュニティーへの流布、
学生へのトレーニングなどが、1982年以来、運営継続され
てきている。
(http://bdiv.lanl.gov/NFCR/Frame302450303.html)
28
参考3-14
フローサイトメーター、セルソーターが関係する
NIH研究グラント数検索結果
(検索サイト:http://commons.cit.nih.gov/crisp3/Crisp_Query.Generate_Screen)
キーワード
件数
①flow & cytometer
16
②cell & sorter
24
③flow & cytometry
1328
④flow & cytometry &
development
570
⑤flow & cytometry &
development & instrument
16
⑥flow & cytometry &
development & equipment
30
29
フローサイトメーター、セルソーターの装置開発に関係する主なNIH研究グラントの要旨
(検索サイト:http//commons.cit.nih.gov/crisp3/Crisp_Query.Generate_Screen;(*)キーセンテンスのみ抜粋)
1
1992 1
1993
1994
1995
1996
1997 2
1998
3
1999
2000
4
2001
5
2002
2003
2004
2005
2
3
4
5
Grant Number
5R01RR007855-09
PI Name (Institution)
STEINKAMP, JOHN A. (UNIVERSITY OF CALIF-LOS ALAMOS NAT LAB )
Project Title
FLOW CYTOMETER FOR QUANTIFYING FLUORESCENCE LIFETIME
Abstract(*)
The long-term goal of this project is to develop advanced flow cytometric methods to measure
phase-resolved florescence emissions and excited-state lifetimes of fluorescent probes bound to
macromolecules in cells and chromosomes by phase-sensitive detection.
Project Start~End
Project Start~End
1992/9/30~2002/8/31
Grant Number
5R44RR012271-03
PI Name (Institution)
WALLING, JOHN C. (LIGHT AGE, INC.)
Project Title
IMPROVING UV AND VIOLET SOURCES OF CYTOMETRY
Abstract(*)
The proposed Phase II work focuses on applications in cytometry and UV and two-photon
microscopy where it is believed that these new laser sources might catalyze the development of
new techniques and make these important but expensive diagnostics more widely available.
1997/5/1~2002/8/31
Grant Number
5R44RR013252-03
PI Name (Institution)
SHAPIRO, HOWARD M. (HOWARD M. SHAPIRO, MD, P.C.)
Project Title
INEXPENSIVE MODULAR FLOW CYTOMETERS : A NEW GENERATION
Abstract(*)
This project will develop and test a low-cost flow cytometer, and evaluate optical and electronic
approaches to improving performance of such instruments.
Project Start~End
1998/3/15~2002/5/31
Grant Number
5R01CA089499-02
PI Name (Institution)
HERZENBERG, LEONORE A. (STANFORD UNIVERSITY)
Project Start~End
2000/8/1~2005/7/31
Project Title
MULTI COLORS FACS--ADVANCEMENT FOR EXTENDED APPLICATIONS
Abstract(*)
We will develop a FACS yielding at least 20 times the signal levels we obtain with the current
system.
Grant Number
1R43RR015981-01
PI Name (Institution)
KARGER, ARIEH M. (RADIATION MONITORING DEVICES, INC.)
Project Title
LOW-COST, GEIGER-MODE MUAPD ARRAYS FOR CYTOMETRY
Abstract(*)
We propose to conduct the research and development necessary to implement photon counting,
Geiger-mode uAPD arrays for flow cytometry.
参考3-15
Project Start~End
2001/2/1~2003/1/31
30
30
Fly UP