...

EDX(INCA)操作マニュアル

by user

on
Category: Documents
497

views

Report

Comments

Transcript

EDX(INCA)操作マニュアル
ENCA x-act EDS 使用方法
1.電源 ON
モニター下部にある電源を入れる。
警告音とともに立ち上がり、
PC~ソフトまで自動で起動する。
2.分析エリア・加速電圧の設定(SEM 側での操作)
(1)加速電圧の設定
●ターゲットとなる元素が分かっている場合
<例>ルテニウム
元素番号
:特性 X 線の発生エネルギー×1.5 の電圧
元素質量
●構成元素が不明の場合:20kV
特性X線エネルギー(KeV)
Kα:K殻からの発生エネルギー
Lα:L核からの発生エネルギー
密度(g /cm3)
【ワンポイント】
加速電圧が高いほど重元素が検出されるが、電子散乱領域が大きくなるため、空間分解能は低下
する ⇒点分析やマッピング等、座標情報がほしい場合はできるだけ低い加速電圧が良い
(2)分析エリアの設定
分析エリアを決めて、倍率、フォーカス調整を行う。
【ワンポイント】
倍率は、できるだけ1000倍以上で行うこと(特に定量分析をする場合)
3.分析方法の選択
分析手法は、大きく分けて以下の3種類がある。
分析手法
定性分析
内容
エリア内全体に含まれる元素分析
(アナライザ)
時間
短い
(100 秒程度)
部分分析
エリア内の特定ポイントの元素分析
短い
(ポイント&ID)
点や線、方形エリアの分析が可能
(100 秒程度)
面分析
エリア内のどの位置にどのような元素が
長い
(マッピング) 含まれているかの分析
ソフト上でアイコンをクリックして選択する。
(200 秒以上)
以降は、画面に表示されるフローチャートに従って操作を行う。
【共通】赤色
4.プロジェクト、
5.サンプル
6.電子顕微鏡設定
13.レポート
【
“ポイント&ID 及びマッピング】黄色
7.分析領域
【アナライズ及びポイント&ID】緑色
8.スペクトル収集
9.定性
10.定量
【マッピングのみ】桃色
11.Smart Map
12.マップ
4.
5.
4.
6.
5.
4.
6.
5.
6.
7.
7.
8.
8.
11.
11.
9.
9.
12.
12.
10.
10.
10.
10.
13.
13.
13.
13.
13.
13.
4.プロジェクト
画面に以下のウィンドウが表示されているので、
プロジェクト名を入力する。
その日の分析結果は、このプロジェクト名で
すべて保存される。
5.サンプル
サンプル名を入力する。
サンプルが C や Pt や Os でコーティング
されている場合、コーティングにレ点を入れ、
元素を選択し、おおよその厚さを入力する。
測定が完了し、新しいサンプルに切り替える場合は、
ボタンを押して新しいサンプル名を入力する。
6.電子顕微鏡設定
(1)プロセスタイムの選択
プロセスタイムとは、1 個の X 線が検出器に
飛び込んだ時のコンピューター内での処理時間。
当然、時間が長いほうが分解能は高くなる。
入力係数率はプロセスタイムによって変わる。
<プロセスタイム一覧表>
プロセス No.
1
2
3
4
5
6
プロセスタイム(μS)
2.5
5.0
10.0
20.0
40.0
80.0
分解能(eV)
220
180
152
138
133
130
定量分析目的以外でピークの重なりが問題にならない場合、プロセスタイムは短めを選んだほうが効率
の良い測定が可能になる。
<適正プロセス(メーカー推奨値)>
分析方法
元素ピークの重なり
定性分析
プロセス No.
有
2~4
無
4~6
定量分析
‐
4~5
部分分析
‐
2~4
マッピング
‐
1~3
(2)収集係数率、デッドタイムの調整
ボタンを押して X 線収集を開始し、収集係数率とデッドタイムを確認して適正値になるように
SEM 本体側の照射電流を調整する。
収集係数率(kcps)
内容
適正値
適正値以下の対処方法
1 秒間に検出器に入ってくる
1.0~2.0
SEM 側の照射電流を上げ
X 線カウント数
デッドタイム
調整後は
取り直す。
検出器に X 線がはいってきた
る
20%以下
SEM 側の照射電流を下げ
後に、次の X 線を受け入れる
る。但し、収集係数率が適
ことができるようになるまで
正値である場合はそちら
の待ち時間
を優先する。
ボタンを押して収集を停止する。照射電流を変えた場合は、SEM 側でフォーカスを
7.分析領域(“ポイント&ID”および“マッピング”)
ボタンを押して分析領域の画像を取り込む。
同サンプル中で新たな領域を取得・分析する場合は、
ボタンを押して“分析領域2”と表示
されてから再び画像を取り込む。
8.スペクトル収集(“アナライザ”および“ポイント&ID”)
8-1
アナライザの場合
(1)収集条件の設定
①ライブタイム[秒]が100で
選択されていることを確認
②プロセスタイムを選択。顕微鏡設定
時と同じ設定にする。
③収集スペクトルレンジを設定。
絞る必要がなければ“0-20”
で OK。
④チャンネル数とは、波形分解能を差す。
1K と2K があり、1K は S/N 比が大きく微量元素の検出向きであるが、2K に比べて
波形分解能が 1/2 となる。
(2)収集開始
ボタンを押して X 線収集を開始する。
途中で止める場合は
ボタンを押す。
(3)収集完了
100 秒後、収集が完了する。
この後、違う分析領域のスペクトルを
撮りたい場合、SEM 側で新たな分析領域
を選択し、
ボタンを押して新たな領域
を追加してから収集を開始する。
8-2
ポイント&ID の場合
(1) 収集条件の設定
収集設定
にてアナライザ
と同様に設定する。
(2) 検査エリアの設定
必要に応じたエリア設定を行うと検査が開始される。
点
矩形
同明度部
自由領域
ライン上の等間隔の点
グリッド上の等間隔の点
【ワンポイント】
ボタンを押すと、X 線発生領域(電子線の試料内部拡散領域)
が表示される。
9.定性(“アナライザ”および“ポイント&ID”)
基本的に自動定性される。しかし、自動定性から漏れて表示されない元素は以下の方法で同定する。
A)オーバーレイ機能
重ね合わせ表示するスペクトルの種類を選択し、元素の検出漏れ等がないかを確認する機能
[なし]
指定なし(デフォルト)
[再構成]
定性元素リストのスペクトルを再構築して赤のラインで表示し、得られたスペクトルと比較。
元素周期律表から自動定性漏れの元素をダブルクリックして元素リストに加えた後、再構成を
選択する。定性忘れの元素の検出に便利。
[ピークのみ]
連続 X 線成分を除いた特殊 X 線スペクトルのみをピンク色ラインで表示。
微小ピークの同定に便利。
[パイルアップ補正なし]
パイルアップとは、通常、検出に飛び込む特殊 X 線スペクトル一個当たりで行われる演算が、
複数の同じ X 線が検出器に同時に飛び込んでしまうことにより X 線エネルギーの整数倍のとこ
ろにピークが発生する現象(サムピーク)を言う。この自動補正を切ることにより、サムピー
クの影響が確認できる。
C)マニュアル定性
A)オーバーレイ機能
D)元素登録
B)チェックトータル
B)チェックトータル表示
オーバーレイ機能を使用すると、得られたピークに対して元素の同定の精度がパーセンテージで
表示される。100±10%が精度の目安。
C)マニュアル定性
ウィンドウ右上の
ボタンを押すと、マニュアル定性を実行できる。
このボタンを押して目的のピークをクリックすると、候補元素のリストが表示される。
D)元素登録
“マーカー表示”でピークに適合する元素を同定し、元素ボタンをダブルクリックするとその元
素が登録され、ピーク図やマップに表示される。
【ワンポイント】
・ピークのスケーリング変更方法
X 方向:マウスの左ボタンを押しながら、マウスを上下に動かす
Y 方向:ピーク上でマウスのトラックボールを回す
・ノイズピーク(一番左側に洗われる強いピーク)の消し方
① ピーク上でマウスの右ボタンを押し、現れたウィンドウから
“ノイズピーク(N)”を選択する。
②“スケーリングを外して隠す”を選択して“OK”を押す。
10.定量(“アナライザ”および“ポイント&ID”)
(1)定量設定
にて、以下のように設定する。
“すべての元素”を選択
“定量結果のノーマライズ”にレ点
“すべての元素”以外の選択肢は以下の通り
ディファレンス元素:指定した元素の定量値を残差で求める方法。一つだけ分析できない元
素が含まれる場合に用いる。
ストイキオメトリ元素:化学量論法。指定した元素の酸化物、硫化物等の分析をするときに
用いる。結果は元素と化合物両方で表示される。
(2)定量結果
質量濃度[%] :各元素の重量濃度(wt%)
原子数濃度[%]:各元素の原子濃度(Atomic%)
11.Smart Map(“マッピング”のみ)
(1)Smart Map 設定
にて、解像度、条件の設定を行う。
初期値は以下の通り。
解像度:512×384
収集時間:20 フレーム
プロセスタイム:3
スペクトルレンジ:0-20
チャンネル数:2K
元素の検出具合により、これらのパラメータ
の変更を行う。
(2) 収集開始
ボタンを押して、スペクトル収集開始。
自動停止しない場合、自分で
ボタンを押して
停止させなければならない。
目視により停止させる基準はサンプルや目的によるが、
マッピング画像において十分なカウントが
視覚的に得られている場合や、フレーム数で
10以上になった場合などに停止させる。
微量元素検出が目的なら 100 フレーム以上行うこともある。
経過時間:収集開始からの時間
カウント:スペクトルの総カウント数
フレーム:指定領域内でのスキャン回数
12.マップ(“マッピング”のみ)
自動検出された元素のマップが表示される。
不要な元素マップがある場合は、
にて削除または追加を行う。
【マップの画質調整】
(1) マップの選択
画質を調整したいマップをクリックして選択する。一括で行いたい場合は、
(2) 色彩の選択
<マップ一括で行う場合>
①
ボタンを押すと、右のウィンドウが
表示される。
②
ボタンを押すと、各マップ
全てに自動で色が表示される。
<各マップごとに色を選択したい場合>
① マップ画面上で右クリックし、出てきたウィンドウから
“コントラスト”選択する。
② 右のウィンドウが出たら、色を選択する。
所望の色がない場合、“指定した色”を選択し、
または
のボタンを押すと、
下のウィンドウが表示されるので、色を選んで
追加する。
を押す。
③ ブライトネス、コントラストの調整
マップを見ながら十字の中心を動かして調製する。
調整をリセットする場合は、
を押して
各マップの値をノーマライズする。
【マップの SEM 画像の重ね合わせ】
SEM 画像に重ね合わせたいマップを選択し、
を押すと、SEM 画像との合成画像となる。
マップの複数選択も可能。
13.レポート
(1) テンプレートの種類
各種結果は、各テンプレートを選択して出力する。テンプレートには大きく分けて 5 種類ある。
SmartMap:マッピングの画像を並べて表示
画像
:SEM 画像やマッピング画像を個々に表示
スペクトル:スペクトルデータを表示
定量結果 :定量結果データを表示
プロジェクトおよびサンプルの詳細
(2) 推奨テンプレート
① SmartMap・・・X 線マップ(横)
② スペクトル・・・スペクトル/測定条件(横)
③ 定量結果・・・定量結果(横)
(3) ワード形式での出力
ボタンを押すと選択したフォーマットがワードで表示される。
このワード文書を所定のフォルダに保存する。
14.プロジェクトの保存
プロジェクトをセーブすることで全てのデータが一括保存され、レポート形式や
スペクトル、マップの画像調製等をいつでも行うことができる。
プロジェクトは必ず保存すること。
15.装置のシャットダウン
①プロジェクト保存の後、ソフト立ち下げ
②PC 立ち下げ
③モニター下部にある電源 OFF
以上
Fly UP