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DOWNSTREAM No.30(要約版) PDF:65KB

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DOWNSTREAM No.30(要約版) PDF:65KB
DOWNSTREAM No.30
日本語版・要約編
DOWNSTREAM No.30 本編
p.3∼4
p.8∼10
p.11
p.12∼13
p.15∼17
p.18∼20
p.22∼23
p.24∼25
p.28∼29
FDAに承認されたSTREAMLINE工程
Sephadex40周年記念
新しいヒトIgGの生産工程
Fast Trakのコース紹介
Contract Manufacturing−Covance Biotechnology Serviceの話
Contract Manufacturing−工程改善による12倍の生産性向上
大規模モノクローナル抗体精製工程の強化
カスタマイズリガンドを作成するための業務提携
HiPrep 26/10 脱塩カラム
DOWNSTREAM No.30 Meeting Reports
p.5
p.14
p.21
p.26
Plasama Products Biotechnology Meeting, Australia
Recovery of Biological Products IX, Canada
The 4th Waterside Monoclonal Conference, USA
The 16th ESACT Meeting, Switzerland
でさえ非常に苦労していた遠心分離・膜ろ過の前
処理工程と最初のキャプチャー工程を省略するこ
p. 3∼ 4
とができました。さらに濃縮効果による溶出液量
STREAMLINE in FDA-approved process の低減、そして次クロマトグラフィー工程への
0.22µmろ過を容易にすることも可能となりまし
FDAに承認されたSTREAMLINE工程
た。また、NaCl/NaOH溶液によるCIPで少なくと
も40サイクルの再利用が可能でした。
ワクチン製造の大手、Smithkline Beecham社が、 Smithkline Beecham社のSTREAMLINE工程の特
STREAMLINE工程を含むヒトワクチンの承認を 徴は、アップフローでのCIP段階で生じるDNA微
粒子がアダプター側のネットを通らないので、ア
FDAから受けました。
このワクチンの原料となるE.coli細胞ホモジナイズ ダプターネットを使用していない所にあります。
中 の リ ポ プ ロ テ イ ン の 精 製 に 、イ オ ン 交 換 流速を正確に制御することにより、流動床形成時
STREAMLINEを導入することで、ラボスケール の担体のリークは予防でき、また、パックベッド
p.5-Meeting Reports
Plasma Products Biotechnology
Meeting Queensland, Australia
1999年3月26日∼31日
安全かつ有効な血液製剤製造という共通の目標を
持つ本会議に先立って、メルボルンのCSL社工場
見学会が行われました。CSL社は、Amersham
Pharmacia Biotechが手がけた世界最大規模のカラ
ムクロマトグラフィーによる血液製剤生産工場で、
1989年より稼動しています。
会議では、アルブミン製剤、凝固因子、IgGや病
原体の除去/不活化、レギュラトリーの考え方など
のテーマについて口頭発表やポスターセッション
が行われました。
アルブミン製剤に関しては、特に活発な討議がな
されました。古典的手法(Cohn法)の支持派
(Baxter Immuno-Hyland社)、クロマトグラフィー
推進派 (CSL社)
、組換えアルブミン製造者(吉富製
薬)の発表がありました。またトピックとして
CLB社のHIV治療薬の開発がありました。
市場の需要が高まっている静注用IgG製剤に関し
て も 、よ り 効 果 的 な 精 製 方 法 (H e m a S u r e 、
溶出段階でのアダプターの送液分散が乱れること
はありませんでした。FDAによる承認がその技術
を証明しているのではないでしょうか。
本精製工程はSTREAMLINE工程に引き続き、
Sepharoseイオン交換クロマトグラフィー2工程、
ならびに最終工程としてのSephacrylゲルろ過を行
い、それぞれにUNICORNソフトウェア制御によ
るクロマトグラフィー装置:BioProcess System、
プロセス用カラム:STREAMLINE 400カラム、
BPGカラム、CHROMAFLOWカラムが使用され
ています。
スケールアップ、バリデーションに関してのデー
タなどは本文をご参照ください。
BayerCorp.) や液剤としての安定性(BioProducts
Laboratory)などについて発表されました。
病原体の除去/不活化については、CSL社のクロマ
トグラフィー工程でのウィルス不活化、CLB社の
ナノフィルター、Boehringer Ingelheim Pharmaの
マイクロウェーブ、Pentose Pharmaceuticals Inc.
の試薬INACTINEなどの発表がありました。
レ ギ ュ ラ ト リ ー に 関 し て は 、 Robert Koch
Institute、Paul-Ehrlich Insitutによる報告、そして
組換え技術やトランスジェニック動物の利用が進
むことにより新たなガイドラインの必要性が論じ
られました。詳しくは、本文をご参照ください。
DOWNSTREAM No. 30
p. 8∼ 10
The 40th anniversary of
Sephadex
Sephadex40周年記念
スウェーデンの2人の科学者、PorathとFoldinが
Sephadexによるゲルろ過法を開発して今年で40年
になります。Sephadexの開発は今日の数多くのゲ
ル担体の開発のすべての基礎となりました。この
記事はスウェーデンウプサラ大学のJan-Christer
Janson博士が2人の科学者の業績と開発にまつわ
る事柄をふりかえったものです。
"We wish to report a simple and rapid method
for the fractionation of water soluble substances"
この文章で始まる歴史的なゲルろ過法に関する論
p.11
New production scale process
for human IgG
新しいヒトIgGの生産工程
ヒト血中のイムノグロブリン(IgG)はHIVを含む
幅広い免疫不全病への治療薬として使用されてい
ます。 過去20年間にわたって医薬品としてのIgG
の需要は増加してきました。現在ではこの需要を
満たすためバイエル社などいくつかの製薬企業が
より高い回収効率を得るための新しい工程開発の
研究を行っています。
バイエル社が最近開発したクロマトグラフィー法
では、従来の製品と同等の純度と50%の回収率の
改善を達成しました。この回収工程の開発の過程
でこの企業は42種類ものクロマトグラフィー担体
をテストし、Sepharoseイオン交換担体が最もよい
結果を得ました。
新しい精製工程の開発を行う上で、いくつか考慮
すべき点がありました。バイエル社では現在市販
文が発表されたのは1959年のことでした。この研
究は生化学におけるもっとも偉大な進歩の1つであ
ると言われています。ゲルろ過法は従来の生化学
的分離手法と比較して、速度、簡便性といった点の
みならず、商業的にも極めて大きな衝撃的でした。
められた、架橋デキストラン担体を使用したとこ
ろ再び顕著な分子ふるい効果を観測しました。前
回のデンプンとは異なり、架橋デキストランは物
理的特性と、担体の多孔性を正確にコントロール
できる点が優れていました。
1920年代から30年代にかけてウプサラ大学の物理
化学教室のSvedbergと彼の生徒であったTiseliusは
超遠心分離法の生化学分野における応用を研究し、
その後1940年代になってTiseliusの研究は電気永動
法とクロマトグラフィー法による生体成分の分析
となっていきました。このTiseliusのもとで電気泳
動法の改良に取り組んだPorathとFoldinがデンプ
ン中での分子ふるい(Gel Filtration)効果を発見
しました。
2人の研究者はすぐさまこの架橋デキストランの持
つ科学的および商業的可能性に注目し、特許の申
請を行いました。そして1958年にPharmacia社は
世界初のゲルろ過担体の製品開発の開始を決定し
ました。
こうしてSephadexと呼ばれるゲルろ過担体が1959
年にアメリカで販売開始されました。Sephadexは
Separation、Pharmacia、Dextranのそれぞれの言
葉から命名されました。
1 9 5 4 年 に F o l d i n は T i s e l i u s の も と を 離 れ 、 それから40年、Sephadexで培われてきた技術は
Pharmacia社に移りました。大学で電気泳動の研 様々な新しいゲル担体の開発に現在でも引き継が
究を続けたPorathは泳動状態の安定化担体として れています。
セルロースを使っていましたが、Foldinからすす
している精製IgG画分はヒト血清の中間精製画分
から精製しており、今回もこの画分が精製開始の
原料とされました。精製工程中でいかにウィルス
の不活性化を行うかも重要な検討事項でした。そ
して1回の精製工程は200kg以上の大量原料を処理
する能力が要求されていました。
今回検討された方法ではクロマトグラフィー工程
は目的のIgG画分を素通りさせ、不純物をカラム
に吸着させるようにデザインされました。
イオン交換クロマトグラフィー工程でIgGを吸着さ
せると、溶出に高塩濃度が必要になり、このよう
な高塩濃度はしばしばIgGの凝集を引き起こすこ
とが知られています。
IgA、IgMの一部が吸着されます。第二工程のカ
ラムには弱陰イオン交換体Sepharose Fast Flow担
体が用いられ、残存IgMとその他の不純物がカラ
ムに吸着されます。バイエル社ではさらに2つのよ
り小型のカラムを使用して精製を実施しました。
クロマトグラフィー工程後に回収されたIgG画分
は限外ろ過によって濃縮され、滅菌されました。
大いなる改善
バイエル社の報告によれば、今回のクロマトグラ
フィーを用いた精製方法の工程開発は従来のエタ
ノール分画による方法と比較して大きな改善が得
られました。目的物質の純度と回収率は向上し、
塩による溶出工程も必要なくなりました。
Sepharose Fast Flowイオン交換体は今回の工程開
発において最も優れた性能と再現性を示しました。
ゲル担体のスクリーニングは内径11mmのカラム
に充填されて条件を一定に設定して行われました。
各ゲル担体は得られた目的物質の純度と回収率を 今回のこのレポートは1998年9月にフランスのスト
もとに比較されました。
ラスブールで行われたSPICA 98でLebing, W.R.,
Lee D.C, Alred P.A., Paul H.I.,らによって発表さ
新しい精製工程
れ た 「Development of a production scale
クロマトグラフィーを用いた工程は、陰イオン交 chromatographic process for the purification of
換とそれに続く陽イオン交換です。最初の強陰イ human IgG」の要約です。著者らの好意によりご
オン交換Sepharose Fast Flow担体でアルブミンや 紹介させていただきました。
連の医薬品などに明るい兆しが現れており、この兆
候を維持するには利益率の維持や創薬の取り組み、
p.14-Meeting Reports
迅速な製品開発と規制のハーモナイゼーションが重
Recovery of Biological Products 要であると報告しました。
基礎科学的な発表としては、タンパク質の回収と精
IX, Whistler, Canada
製を目的とした結晶化プロセス(Dr. Carsten
Jacobsenら)
、充填床ストリームラインを使用した
1999年5月23日∼28日
TNFaの精製( Dr. John Pedersenら)などの発表が
ありました。
バリデーションやレギュレーション関係では、ICH
医薬品を取り巻く環境と将来として、 Centre for のウィルス安全性文書関係(早川先生)や論理的根
Medicines ResearchのWalker氏が発表しました。開 拠のある試験の進め方( Dr. Arindam Bose)の発
発財源がUKでもやや頭打ちの傾向にありますが、 表があり、マイクロウエーブを利用したウイルスの
今後の医薬品開発には、臨床試験の成功や遺伝子関 不活化に関する発表(Dr. Joachim Walter)なども
ありました。
さらに、生物製剤にためのアフィニティーリガンド、
クロスフローフィルター、水溶液による2液分離シ
ステムなど新しい技術の発表も盛り込まれた。
医薬品開発のケーススタディーとして、生物製剤の
開発と市場性への取り組みや、ÄKTAを使った組換
えタンパク質の精製モデルや、経済性を考慮した精
製モデルの構築や、ストリームラインを用いたコス
ト削減のモデルなど多岐に及ぶ発表がありました。
最近の話題として、トランスジェニックを用いたミ
ルクから抗TNFの精製と特性解析や製造工場のモデ
ルケース、さらにトランスジェニック植物からのタ
ンパク質精製など興味深い報告もなされました。
DOWNSTREAM No. 30
p.16∼ 17
A talk with Covance
Biotechnology Services
Contract Manufacturing
- Convance Biotechnology
Service の話
ゼネラルチームでは、バイオテクノロジーの企業
にどのようなプランを提案をしているのですか?
「お客様の実験室スケールの工程を、臨床試験用の
製品を製造するcGMP環境での製造工程までスケー
ルアップを行います。我々の目的は、お客様の要
求される時間内にできるだけ低い生産コストで、
できるだけ高い品質の製品を製造する工程を開発
することにあります。 我々は大規模なアプリケー
ション用に通常バイオプロセスシステム(APB社製)
を用いますが、最終的に最終工程と装置はお客様
が決定します。 また、Phase I での製造や更に大
規模な製造に使用するため、数台のバイオプロセ
スシステムを所有しています。
」
どのような規模でバイオプロセスを
デベロップさせるのですか?
「我々のチームは広範囲規模の精製工程をデベロッ
プした経験があります。 我々はÄKTAexplorerで
HiTrap のようなカラム(1ml や5ml)を用いてml
スケールの分取からバイオプロセスシステムへの
スケールアップを行うこともあります。我々が
ÄKTAexplorerを使用する理由は、柔軟で、速い
という他に、大規模なcGMP設備を使用した場合
p.18∼2 0
Re-designed process increases
productivity 12-fold
Contract Manufacturing
わずか9ヶ月での精製スキームの再設計
Aveciaでは、フェーズIでは回収率25%と極端に低
かったものをフェーズIIとIIIに進むためにロバスト
ネス、スケールアップができることと純度の3点に
主眼を置いて改善をすすめ、製造日数の向上と生
産性の向上を成し遂げました。
主眼点は、以下の3つに絞り、フェーズIIとIIIに向
p.21-Meeting Reports
The Fourth Waterside
Monoclonal Conference,
Norfolk, Virginia, USA
1999年4月12日∼15日
細胞培養
Catherine Bentley(Glaxo Welcome)とJeremy
Wayte(Lonza Biologics)は、早期フェーズでの治
験薬のすばやい供給を確実にするための工程の重
要性を強調し、セルライン改善、および培養メデ
ィアの開発などの工程の最適化に必要な戦略につ
にかかる費用と比較すると、高価でないからです。 いる科学者は、テンプレートとして提供されるメ
我々はプロセス開発用に25台のÄKTAexplorerを ソッドを用いるだけで、UNICORNを動かすこと
使用しています。
」
ができ、初心者でも容易に使用できます。
」と述べ、
彼も同じくÄKTAの柔軟性を高く評価しています。
なぜÄKTAexplorerの速さと柔軟性は
プロセス開発に役立つのですか?
Covanceは、Scot Shepardがかかえていた組換え
「マーケットへ導入する早さは、医薬品の開発にお タ ン パ ク 質の 大規模な バ ッ チ 精製の 問題を 、
ける重要な要素であり、お客様は短時間で高品質 STREAMLINE技術を用いて解決しました。
の製品を導入できることを期待します。 通常、お
客様の工程は、数ヶ月以内に評価、最適化、デベ 開発工程では、ロバストネスで総容量の45%の回
ロップを行わなければなりません。ÄKTAexplorer 収率を得ることを課題としました。お客様によっ
の柔軟性は操作効率の改善に役立ちます。 例え て開発された工程は、ベンチスケールの遠心分離
ば、 ÄKTAexplorerのプログラミングの特徴とし の後に、続いて多くの膜工程とクロマトグラフィー
て、一連の異なるカラムを終夜運転にてスクリー 工程でした。医薬品製造ともなると、2000リット
ニングを行い、翌朝には全ての解析を完了させる ル規模の醗酵液を処理しなければならなくなるで
ことが可能となります。
」
あろうことが予測でき、その大量処理の問題は
STREAMLINE SPを用いることで解決できまし
ÄKTAについて他に気に入るところは?
た。従来36時間かかっていた工程が8∼12時間に
精製用の最適樹脂の見極めと、精製の最適条件の 短縮できました。
確立するための評価は2週間から2ヶ月あたりで 遠心分離法では相当量の上清液が沈殿物に付着し
出来ますが、それはすべてプロダクトの複雑さに てしまい、これが回収率を下げる原因になってい
よって決まります。イオン交換、疎水性相互作用、 ましたが、STREAMLINEによる吸着流動床技術
アフィニティー樹脂などさまざまなゲルでHiTrap により、平均95%という高い回収率を達成できま
カラムを使用した精製方法を評価している担当者 した。
の話によりますと、
「工程数を最少限にあさえたコ STREAMLINE 600を使用し、実際に1400リット
ストパフォーマンスの高い工程を持つことは重要 ルの培養液をアプライして150リットルまで濃縮し
です。 UNICORNソフトウェアによってÄKTAも ました。流速は15L/minで、純度は80%以上でし
バイオプロセスシステムも制御され、製造工程で た。
ももちろん作業用プロトコールは必要ですので、 医薬品製造工程にSTREAMLINEを適用するとい
ÄKTAを用いる段階で精製工程を時間をかけて洗 う良い経験を得ました。今後もこのような技術を
練しておけばよく、そこに同じソフトウェアを使う 求めるお客様を見つけると思います。
利点があるのです。
」
また、別の担当者は、
「限られた経験だけを持って
けての大量生産と品質の向上を目指しました。
1) 分析方法とアッセイのバリデーションパッケー
ジの改良
2) 培養プロセスの至適化と改良
3) 要求純度を満たすことができる頑強でスケール
アップできる精製工程開発
ストリームラインの導入
2つの膜処理工程を経てイオン交換クロマトグラ
フィーによる精製工程で70%の回収率であったも
のからSTREAMLINEを導入して3工程を1工程に
削減し、回収率95%に向上させることに成功しま
した。
HICの適用
中間精製のRPCの工程では、100Lの培養液を処理
いて述べました。
Kathie Fritchman(PharMingen)とBill Bucher
(Lampire Biological Laboratories)は、多様な培養
システムを利用したMAbsの高生産細胞培養を評
価しました。
工程開発
Helen Chadd(Abgenix)は、2つのXenoMouseTM
テクノロジーを利用してのヒトモノクローナル抗
体製品の工程開発、スケールアップ、製造、およ
び 特 性 試 験 に つ い て 発 表 し ま し た 。E r i c
Tsao(MedImmune)が初期の実現性段階から商用
スケールでの製造までの進める際の重要な問題(細
胞培養、精製工程、ウイルスクリアランス)を議論
するのに6バッチに別けて処理していましたが、そ
の工程をRPCに類似する分離モードで、かつ高分
離能をもつHIC(SOURCE PHE)を導入することに
より、1バッチで処理することができました。この
工程では、40%の回収率を85%までに引き上げる
ことに成功しました。しかも、従来の工程では
NaOHを使用できませんでしたが、変更後は
NaOHによるサニタイゼーションが可能になった
ことも大きな成果でした。
この改善をするために要した日数は約9ヶ月で、収
率や品質も申し分なく、現在は1000Lスケールの
培養を検討中です。この製造工程の改良で高圧装
置や有機溶媒の使用も必要なくなり、再現性が非常
に高い製造プロセスを構築することができました。
しました。その他にもSTREAMLINE ProteinAを
用いてのCHO細胞からの組換え抗体の精製につい
てGerardo Zepata(Genentech)が発表し、アフィ
ニティーを利用しないで抗体を精製する方法につ
いてGerry Bell(Boehringer Ingelheim)が発表する
など、さまざまなトピックの発表がありました。
レギュラトリー関連
Marjorie Winkler(Genentech)は、Lenercept回収
工程におけるプロセスバリデーションについて議
論 し ま し た 。 Paul Dal Monte(SmithKline
Beecham)は、臨床開発における治療用モノクロー
ナル抗体の一1回分の投薬量形式についての公式化
開発研究について発表しました。
DOWNSTREAM No. 30
p.22∼ 23
Intensification of a large scale
commercial monoclonal
antibodypurification process
大規模モノクローナル抗体
精製工程の強化
モノクローナル抗体(MAbs)医薬品への需要が
増えるに伴い、それを製造している製薬企業は製
造設備の強化を要求されています。オランダの
Centocor BV社では最新技術の導入により生産収
p.24∼ 25
Collaborations to generate
customized ligands
カスタムリガンドを作るための
業務提携
最近、ダウンストリームにおいて精製の初期段階
にアフィニティークロマトを用いるのがトレンドと
なっています。初期精製工程でアフィニティーを
p.26-Meeting Reports
The 16th ESACT Meeting,
Lugano, Switzerland
1999年4月25日∼29日
会議は9つのセクションで構成されていました。第
1は "Cell physiology, genetics, and vectors for
efficient product formation in animal cells" とい
うタイトルで、いかにして生産物の回収率と生産
性を上げるかについて議論されました。
第2のセクションでは、"Novel therapeutic and
prophylactic approaches based on cells and
p.28∼ 29
HiPrep 26/10 Desalting columns
HiPrep 26/10 脱塩カラム
バッファー交換および脱塩は、透析によって行う
率を25%改善し、製造工程時間も50%短縮するこ
とに成功しました。この工程改善は生産設備の有
効利用も可能にします。
回収率を25%増加させ、工程時間を50%短縮する
ことに成功しました。
彼らの改善の要点は以下のようなものです。
・膜透析のような希釈工程を排除した。
MAbの医薬品への応用は90年代初めから増加し、 ・QまたはSP Sepharose HPのような高吸着容量の
高純度のMAbへの要求はますます高まっていま
担体を使用し、カラムへの添加量を5倍にした。
す。当初、MAbの生産規模はmg∼g程度でしたが、 ・CHROMAFLOWカラムのような充填効率の良
高密度細胞培養技術の発達によりkgスケールでの
い内径1mの大型カラムを使用した。
生産も行われるようになりました。現在では低コ ・培養タンクから直接目的物質を回収できる
ストで大量のMAbを精製する技術が要求されてい
STREAMLINEを検討した。
ます。
これらの工程改善により1回の工程による処理量を
Centocor社では工程のスケールアップと精製方法 250mgから8∼16kgまで増大することが可能となり
の改善により、バッチサイズを300%、製造工程の ました。
使用することによって、高い回収率と十分な純度
を維持したままで続く工程スケールをコンパクト
にすることができるのです。
今年7月に開催されたアフィニティー技術に関する
第13回の国際シンポジウムでは、このような"デザ
イナー リガンド"について多くの議論がなされまし
た。 数多くのアプローチのうち、コンビナトリア
ル ライブラリーとファージ ディスプレイが魅力的
でした。ArQule Inc.(USA)は、生体分子に対する
アフィニティーを持った有機化合物をスクリーニ
ングし、合成することができます。また、Dyax
Corp. (USA)は、ファージディスプレイテクニック
を駆使し、リガンドとなるペプチドのライブラリ
ーを作成します。
有機化合物のリガンドもペプチドリガンドもいず
れも高い回収率、優れた純度、工程数の減少など
の優れた利点があります。そして、これらの会社
とアマシャム ファルマシア バイオテクは、業務提
携を行い、オリジナルのリガンドをもつアフィニ
ティー担体を安定供給することを可能にするので
す。ご興味のある方は、お問い合わせください。
nucleic acids" について、主に遺伝子治療などにつ
いて議論されました。
第3のセクションでは "New cell lines/technologies
for stable and transient production of proteins"
にフォーカスし、p35などを用いたバキュロウィル
スベクターなどの議論が展開されました。
"Cells and product of cells in biosensor
development and nanotechnology" は第4セクシ
ョンのタイトルで、ここではマクロファブリケーシ
ョンなどについての話がありました。
第 5の セ ク シ ョ ン で は 、 "Vaccines and
Immunologicals"として、抗体医薬やワクチン製
造における細胞についての論議がなされました。
"Animal or patient derived cells and tissues for
therapeutic applications"は、第6セクション、
"DNA sequesncing, genome analysis and animal
cells"は第7セクションのタイトルです。
第8セクションでは、"Cell Characterization,
validation, safety, adventitious agents"というタ
イトルで、ICHの状況なども含めた規制に関する
議論が繰り広げられました。
最 後 の 第 9セ ク シ ョ ン で は 、 "Integration of
biology and technology. Process development
and downstream processing" に関して、精製工程
の最適化や純度に影響を与える要因などについて
の議論がなされました。
次回のESACT Meetingは2001年にスウェーデンで
開催されます。
ことができますが、時間がかかり、サンプルが変
性してしまうという危惧があります。そこで、高
速で多量のサンプル処理が可能なHiTrap 26/10脱
塩カラムを4つ連結した状態で使用することによ
り、最大60mlのサンプルを20∼30分で処理するこ
とが可能になります。
HiPrep26/10 脱塩カラムは高分解能および高流速
を 得 る た め に 、強 化 デ キ ス ト ラ ン ビ ー ズ の
Sephadex G-25 Fineを充填しております。マトリ
ックスの分取限界を含む分子量1000∼5000の粒子
形タンパク、分子量5000以上のタンパク/ペプチド
を分子量1000以下のタンパク/ペプチドや塩から取
り除くことができます。詳しい実験データにつき
ましては本文をご参照ください。
内容に関するお問い合わせは、
アマシャム ファルマシア バイオテク(株)
インダストリー事業部 T
E
L
0
:3
5
3
3
1
9
3
1
6
までお願いいたします。
発行者:アマシャム ファルマシア バイオテク
(株)インダストリー事業部 バイオプロセスグループ
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