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第7回目 花き産業の現状と今後の展望

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第7回目 花き産業の現状と今後の展望
2011/10/20
花き産業の現状と今後の展望
岐阜大学応用生物科学部
福井 博一
博
日本とアメリカの
花き生産・消費動向の比較から
日本の現状と将来を分析する
1
2011/10/20
8,000,000
2,000,000
7,000,000
1,600,000
6,000,000
5,000,000
1 200 000
1,200,000
4,000,000
800,000
3,000,000
2,000,000
400,000
1,000,000
,
,
カーネーション バラ
その他切花
鉢物
国産切花
花壇苗
日本の花き生産量の推移
国産鉢物
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1991
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
キク
1993
0
0
花壇苗
アメリカの花き生産量の推移
8,000,000
7,000,000
6,000,000
5,000,000
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
,
,
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
0
日本の花き生産の予測?
日本の花き生産量の推移
アメリカの花き生産量の推移
2
2011/10/20
2,000,000
生産量(x1000)
1,600,000
1 200 000
1,200,000
800,000
400,000
国産切花
国産鉢物
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
0
花壇苗
USDA: Briefing rooms Archiveより
合(%)
国産切花割合
切花本数(x100万本)
アメリカの切花・鉢物・花壇苗の推移
US国内
コロンビア
エクアドル
その他
国産割合
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカにおける切りバラ流通量の推移
3
2011/10/20
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカのカーネーション生産量の推移
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカのキク生産量の推移
4
2011/10/20
4,000
6,000
5,000
金額(x1000,000$)
4,000
2,000
3,000
2,000
1,000
1,000
0
キク
カーネーション
バラ
その他切花
鉢物
花壇苗
日本の花き卸売金額の推移
輸入花き
切花
観葉植物
花壇苗
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
0
1992
鉢花物
アメリカの花き流通金額の推移
日本は切花生産が主体 = 花壇苗の生産が極端に少ない
アメリカは海外からの輸入の影響を受けて切花生産が崩壊した
切花生産を補う形で花壇苗生産が急増!
アメリカも1970~80年代は切花生産が多くを占め、日本と類似した生産状況
その後、コロンビアからの切花輸入が急増し、切花生産が崩壊
切花産業は国際流通が基本になり始めている
日本の花き産業、特に切花産業が受ける影響は極めて大きい
2,000,000
8,000,000
7,000,000
1,600,000
6,000,000
5,000,000
1,200,000
4,000,000
800,000
3,000,000
2,000,000
400,000
1,000,000
0
2005
2003
2001
1999
1997
1995
1993
1991
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
0
1990
卸売金額(億
億円)
3,000
5
2011/10/20
海外から日本への切花輸入の増加
50,000,000
45,000,000
切花輸入量(t)
40,000,000
第2次
輸入増加期
35,000,000
30,000,000
第1次
輸入増加期
25,000,000
20,000,000
15,000,000
10,000,000
5,000,000
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1972
1970
0
4,500
4,000
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
韓国
インド
ベトナム
オランダ
ケニア
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
0
1995
切花数量(万本
本)
3,500
エチオピア
バラ切花の輸入国の推移
6
2011/10/20
60,000
50,000
切花数量(万本
本)
21.7%
40,000
30,000
20,000
10,000
国産バラ
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
0
輸入バラ
バラの国内生産量と輸入量の推移
250,000
コロンビア
150 000
150,000
100,000
中国
50,000
ベトナム
中国
ベトナム
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
0
1995
切花本数(x1000本)
200,000
コロンビア
カーネーション切花の輸入国の推移
7
2011/10/20
70,000
46.2%
切花数量(x100
00本)
60,000
50,000
40 000
40,000
30,000
20,000
10,000
国内カーネーション
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
0
輸入カーネーション
カーネーションの国内生産量と輸入量の推移
180,000
160,000
マレーシア
120,000
100,000
80,000
60,000
中国
40,000
ベトナム
20 000
20,000
中国
ベトナム
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
0
1995
切花本数(x1000本
本)
140,000
マレーシア
キク切花の輸入国の推移
8
2011/10/20
43.6%
500,000
切花数量(x1000本)
400,000
300 000
300,000
200,000
100,000
国内産スプレーマム
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
0
輸入スプレーマム
スプレーマムの国内生産量と輸入量の推移
22.6%
1,000,000
600,000
,
400,000
200,000
国内産スプレーマム
国産小ギク
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
0
1995
切花数量(x1000本)
)
800,000
輸入スプレーマム
小ギクとスプレーマムの国内生産量と輸入量の推移
9
2011/10/20
1,400,000
1,200,000
5.2%
切花数量(x1000本)
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
国産輪ギク
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
0
輸入輪ギク
輪ギクの国内生産量と輸入量の推移
日本とアメリカの切花流通の相違
USA:
コロンビアからの輸入が第1位
【コロンビアの主な輸出国はUSA】
エクアドルが第2位
【エクアドルの主な輸出国はUSA】
USAの国策として輸入を促進
国内の
切花生産業が
完全に崩壊
【コカイン密輸対策としてのアンディアン政策】
【フロリダ州マイアミが国内中継基地として機能】
アメリカのためにコロンビアは切り花を生産している!
日本:
バラ:インドからの輸入が第1位
【インドの輸出マーケットはEU・ロシアと日本】
カーネーション:コロンビアからの輸入が第1位
【コロンビアの輸出マーケットはUSAと日本】
【コ
ンビアの輸出マ ケットはUSAと日本】
スプレーマム:マレーシアからの輸入が第1位
【マレーシアの主な輸出国は日本】
輪ギク:中国からの輸入が第1位
【中国は国内消費が増加しており、輸出能力は減退】
日本の切花生産業は崩壊するのか?
日本のために切り花を生産しているわけではない!
10
2011/10/20
アメリカには切花育種会社はない!
バラ Meiland(フランス)、Kordes(ドイツ)、Tantau(ドイツ)、de Ruiter(オランダ)
カーネーション Hilverda(オランダ)、Barberet & Blanc (スペイン)、Selecta(スペイン)
キク Deliflor(オランダ)、Dekker(オランダ)、Fides(オランダ)、 Royal Van Zanten(オラン
ダ)、精興園(日本) ・・・・
国際的種苗会社は生産国にこだわらない!【種苗の国際販売】
輸入切花の主なニーズは?
花束加工→スーパーで販売されるパック花束
→ 消費者に対する切花購買意欲の拡大
=切花消費の底辺の拡大
国産切花の有利性は?
新規育種!
花保ち?花型? → 日本・アジアの感性の重要性!
伊勢撫子、古典菊、中国古老月季
撫
季
香り!
種間雑種、属間雑種の活用!
国際流通できない切花を育種する
生産コスト競争から離れる
→ 生産コスト競争では熱帯高地の生産国には勝てない!
アメリカで流通している切り花の種類と割合(2006年)
切り花供給を海外に依存した結果、
アメリカの消費者は欲しい花を飾れない
【アメリカの生花アレンジは「文化」か?】
20%
10%
46%
15%
19%
バラ
カーネーション
キク
チューリップ
ガーベラ
ユリ
グラジオラス
アイリス
スナップドラゴン
デルフィニウム
リシアンサス
アルストロメリア
ラン
11
2011/10/20
アメリカでは、
バラ、キク、カーネーションで80%を占める
チューリップ、ガーベラ、ユリの6品目で90%
切り花販売はスーパーマーケットが主体
花束加 業が大きな力を持
花束加工業が大きな力を持つ
コロンビア・エクアドルは熱帯高地
年中気候が同じ = 季節感がない
アメリカ国民は切り花で季節感を味わえない
20%
バラ
カーネーション
キク
10%
チューリップ
ガーベラ
46%
46
%
15%
ユリ
グラジオラス
日本もアメリカのように
切り花を海外に依存して
良いのか?
アイリス
スナップドラゴン
19%
デルフィニウム
アメリカでは80%がバラ、カーネーション、キク
販売はスーパーマーケットが主体
日本は47%がバラ、カーネーション、キク以外!
豊富な花の種類を消費者に提供
季節感を重要視
生花店の販売額は65%(スーパーは12%)
バラ
キク
カーネーション
カーネーション
キク
バラ
チューリップ
その他切花
ガーベラ
46%
46
%
15%
ユリ
グラジオラス
38%
38
%
47%
47
%
アイリス
スナップドラゴン
19%
デルフィニウム
リシアンサス
アルストロメリア
7%
8%
ラン
12
2011/10/20
総消費量が増加
カーネーション
70,000
スプレーギク
500,000
60,000
400,000
50,000
300,000
40,000
30,000
200,000
20,000
100,000
10,000
国内産スプレーマム
輸入カーネーション
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
国内カーネーション
1995
0
0
輸入スプレーマム
総消費量が減少
輪ギク
1,400,000
バラ
60,000
1,200,000
50,000
1,000,000
40 000
40,000
800,000
30,000
600,000
20,000
400,000
10,000
200,000
輸入輪ギク
国産バラ
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
国産輪ギク
1995
0
0
輸入バラ
アメリカには切花育種会社はない!
バラ Meiland(フランス)、Kordes(ドイツ)、Tantau(ドイツ)、de Ruiter(オランダ)
カーネーション Hilverda(オランダ)、Barberet & Blanc (スペイン)、Selecta(スペイン)
キク Deliflor(オランダ)、Dekker(オランダ)、Fides(オランダ)、 Royal Van Zanten(オラン
ダ)、精興園(日本) ・・・・
国際的種苗会社は生産国にこだわらない!【種苗の国際販売】
輸入切花の主なニーズは?
花束加工→スーパーで販売されるパック花束
→ 消費者に対する切花購買意欲の拡大
=切花消費の底辺の拡大
国産切花の有利性は?
新規育種!
花保ち?花型? → 日本・アジアの感性の重要性!
伊勢撫子、古典菊、中国古老月季
撫
季
香り!
種間雑種、属間雑種の活用!
国際流通できない切花を育種する
生産コスト競争から離れる
→ 生産コスト競争では熱帯高地の生産国には勝てない!
13
2011/10/20
ケニアの大規模バラ生産農場「Oserian社」
東京デズニーランドと
デズニーシー
(130ha)
ケニア・Oserian社の温室(350ha)
【国内のバラ総面積:550ha】
国策としての切花生産(外貨獲得)
優先的なインフラ整備(充実した道路網、貨物空港の整備)
優先的なインフラ整備(充実した道路網 貨物空港の整備)
年間一定した気温(熱帯高地):無暖房、軽装備(低額の設備費)
低人件費:ケニア(1~2$/日)、 エチオピア(0.5~1$/日)
広大な生産面積+企業資本(高度な生産技術と製品管理)
岐阜大学
65ha
同じ品種,同じ規格の生産では勝負にならない!
アメリカには切花育種会社はない!
バラ Meiland(フランス)、Kordes(ドイツ)、Tantau(ドイツ)、de Ruiter(オランダ)
カーネーション Hilverda(オランダ)、Barberet & Blanc (スペイン)、Selecta(スペイン)
キク Deliflor(オランダ)、Dekker(オランダ)、Fides(オランダ)、 Royal Van Zanten(オラン
ダ)、精興園(日本) ・・・・
国際的種苗会社は生産国にこだわらない!【種苗の国際販売】
輸入切花の主なニーズは?
花束加工→スーパーで販売されるパック花束
→ 消費者に対する切花購買意欲の拡大
=切花消費の底辺の拡大
国産切花の有利性は?
新規育種!
花保ち?花型? → 日本・アジアの感性の重要性!
伊勢撫子、古典菊、中国古老月季
撫
季
香り!
種間雑種、属間雑種の活用!
国際流通できない切花を育種する
生産コスト競争から離れる
→ 生産コスト競争では熱帯高地の生産国には勝てない!
14
2011/10/20
なぜユリは輸入が少ない?
空輸の運賃は,容量と重量の最大値に従う
切花は重量が軽いため,箱にできる限り詰め込む
ユリやガーベラは,箱に詰め込んで輸送できないため,
空輸に適さない
15
2011/10/20
バラの消費構造の模式図
香り、色、
花型に だわり
花型にこだわり
オールドローズが好き
庭や鉢でもバラを栽培している
バラは花の女王で、大好きな花
バラは花保ち剤を使えば最後まで楽しめる
バラは花保ちが悪いし・・・
バラは高くてなかなか手が出ない人
バラどころか、花をほとんど買ったことのない人
バラの消費構造の模式図
バラ好きの購入者
装飾用途などでの利用
国産の切りバラ
特別なバラ愛好家の購入者
ブライダルなどの特殊利用
最も普及的なバラの購入者
【高芯剣弁、赤・ピンク・黄】
輸入の切りバラ?
16
2011/10/20
国際流通できない切花を育種する
国際流通できない切花を育種する
17
2011/10/20
新規切花品種の育種の活性化!
日本・アジアの感性に基づいた新しい花型
古典品種の活用
種間雑種、属間雑種の活用!
香りに重点をおいた新しい育種
販売チャンネルとの連携!
国際流通できない切花の育種・生産
流通
立て箱輸送
コールドチェーンの徹底
鮮度保持剤の開発・効果の検証
花壇苗・鉢物生産・消費の強化
18
2011/10/20
2,000,000
生産量(x1000)
1,600,000
1 200 000
1,200,000
800,000
400,000
国産切花
国産鉢物
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
0
花壇苗
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカの切花・鉢物・花壇苗の推移
8,000,000
7,000,000
5,000,000
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
,000,000
キク
カーネーション
バラ
その他切花
鉢物
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
0
1990
生産量(x1
1000)
6,000,000
花壇苗
日本の花き生産量の推移
19
2011/10/20
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカの鉢花物の種類別生産量の推移
800,000
600,000
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
ベゴニア
インパテェンス
マリーゴールド
野菜類
ゼラニウム(栄養系)
ニューギニアインパチェンス
パンジー
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
0
1988
花壇苗生産量
量(x1000)
700,000
ゼラニウム(種子系)
ペチュニア
その他
USDA: Briefing rooms Archiveより
アメリカの花壇苗の種類別生産量の推移
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2011/10/20
アメリカの花壇苗生産・鉢物生産が強い理由
アメリカの種苗会社
Ball Horticultural Company 【一年草・宿根草種子(苗・鉢物)】
Paul Ecke 【ポインセチア】
PanAmerican Seed 【一年草(苗・鉢物)】
Y d B
Yoder
Brothers(Syngentaに吸収)
th (S
t に吸収) 【キク鉢物】
Proven Winners 【一年草・宿根草種子(苗・鉢物)】
Sakata America 【一年草・宿根草種子(苗・鉢物)】
American Takii 【一年草・宿根草種子(苗・鉢物)】
ALL-AMERICA SELECTIONS
世界最大 最高の 年草 宿根草などの品評会
世界最大・最高の一年草・宿根草などの品評会
アメリカで高い評価を受けることが、
種苗会社の世界戦略に重要な意味を持つ!
国内育種事業・品評会(Japan Flower Selection)の充実
国内の花壇苗・鉢物生産業の活性化
花き研究の課題
1.民間の花き育種開発を支援するための育種研究
・ 世界各地の植物園を通じた野生植物の導入
・ 倍数性育種などを含めた属間・種間雑種の育成
・ 国策としての育種の推進
(都道府県研究機関で育成された品種を国内で広く育種に活用)
2.花きの流通・消費に関する研究の強化
・ 花き消費動向などの社会科学系分野の研究の強化
・ 10年後を見通した政策方針の立案支援
3.生産現場と連携した支援研究
・ 応用研究の充実(論文投稿だけが目的ではない!)
『農学さかえて農業滅ぶ』
公的研究費が減少するなかで、花き業界との連携研究を進める
【オランダの事例を参考にできないのか?】
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