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地球温暖化とは 地球温暖化は

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地球温暖化とは 地球温暖化は
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指標名
基準値
現状値
目標値
指標の説明
民生部門 (家庭系)
5.0t
における世帯当たり
(平成15年)
の二酸化炭素排出量
5.4t
(平成16年)
家庭における省エネルギー
3.8t
等の進ちょく状況を示す指
(平成22年)
標です。
運輸部門 (乗用車)
2.5t
における世帯当たり
(平成15年)
の二酸化炭素排出量
2.4t
(平成16年)
家庭での乗用車利用におけ
2.3t
る省エネルギーの進ちょく
(平成22年)
状況を示す指標です。
県民1人1日当たり
1,135g
1,139g
1,057g
一般廃棄物の減量化の進ちょ
のごみの排出量
(平成16年度) (平成17年度) (平成22年度) く状況を示す指標です。
【再掲】
1
地球温暖化とは
地球温暖化は、 人間の活動により発生する二酸化炭素 (CO2)、 メタン (CH4)、
により温室効果が強められ、 その結果、 自然の気候変動の範囲を超えて、 地表面の気
温が加速度的に上昇する現象です。
現在の状態で推移すると、 急激な気温の上昇が懸念され、 この影響として、 海面水
位の上昇に伴う陸域の減少、 豪雨や干ばつなどの異常気象の増加、 生態系への影響や
砂漠化の進行、 農業生産や水資源への影響、 マラリアなど熱帯性感染症の発生数の増
加といった問題が挙げられており、 私たちの生活へ甚大な被害が及ぶ可能性が指摘さ
れています。
2
地球温暖化の現状と将来予測
平成19年2月に公表された気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の第4次評
価報告書の第1作業部会報告書では、 気候システムに温暖化が起こっていると断定す
るとともに、 化石燃料の使用などの人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因と
ほぼ断定しており、 次のような観測結果や将来予測が報告されています。
・過去100年間に、 世界平均気温が長期的に約0.74℃上昇。
・20世紀後半の北半球の平均気温は、 過去1,300年間のうちで最も高温で、 最近12年
(平成7年∼平成18年) のうち、 平成8年を除く11年の世界の地上気温は、 1850年
以降で最も温暖な12年の中に入る。
・今後も化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では、 21世紀末
までに地球の平均地上気温は約4.0℃ (2.4∼6.4℃)、 平均海面水位は26∼59cm上昇
すると予測。
一酸化二窒素 (N2O)、 代替フロン等の温室効果ガスの大気中の濃度が上昇すること
3
日本における影響
①
砂浜の浸食と低地の水没
四方を海に囲まれた日本においては、 温暖化による海面上昇の影響により砂浜の
浸食が懸念されています。
また、 海面が上昇すると、 浸水等の被害を受ける可能性がある地域が広がり、 堤
防や護岸の補強など、 その対策には多額の資金が必要となります。
②
水不足や水害の深刻化
温暖化により降雪が雨になったり融雪時期が早まるようになると、 河川の流量が
冬場に増加し春先に減少するようになり、 農業利水などで水不足が発生すると予測
されています。
また、 温暖化は気候の極端化を招くとされていますが、 近年は全国的に渇水の発
生が増加しています。
③
食料不足の懸念
温暖化により世界の農作物の需給がひっ迫すると、 食料の多くを輸入に依存する
日本にとって大きな影響が考えられます。
二酸化炭素の増加や気温の上昇が生じると、 米の生産にとって耕作適期が広がる
などプラスの効果もありますが、 国内では東北地方以外では減収や収量の不安定化
が予測されています。 また、 西南日本では、 米の品種をインディカ米に切り替える
必要が生じたり、 米の食味が落ちることが予想されています。 ムギやトウモロコシ
については、 北海道で増収になるものの、 その他の地域では減収する地域が増える
と予測されています。
④
健康への影響
日平均気温が27℃、 日最高気温が32℃を超えると、 熱射病などの患者が急増する
とともに、 高齢者の死亡率が増加することが分かっています。
また死亡率の高い熱帯性マラリアについて、 最悪の場合、 2100年に西日本一帯が
流行危険地域に入る可能性が指摘されています。
4
青森県における影響
地球温暖化による日本への影響は、 そのまま青森県への影響であると考えることが
できます。
例えば、 海面上昇による砂浜の浸食は、 三方海に囲まれ、 美しい海岸線を有する本
県にとっては大きな損失です。
また、 温暖化による気象の変化は市民生活、 そして本県の主要産業である農業をは
じめとする第一次産業へ大きな影響を与えるとともに、 急速な温暖化による生態系の
崩壊により貴重な自然資源が失われていくなど、 地球の温暖化は本県にとっても大き
な影響を与えることになります。
5
青森県における温室効果ガス排出量の現況
2004年 (平成16年) における本県の温室効果ガス排出量は、 図2−5−1のとおり
17,716千t−CO2であり、 物質別の寄与率では、 二酸化炭素が94.5%で、 エネルギー
消費に伴う排出が大部分を占めています。
なお、 青森県からの温室効果ガス排出量は、 全国排出量1,357百万t−CO2 (平成
19年5月公表値) の1.3%を占めています。
人口1人当たりの温室効果ガス排出量について比較すると、 図2−5−2のとおり
であり、 青森県は12.2t−CO2/人で全国10.6t−CO2/人の1.15倍となります。
温室効果ガス排出量の推移については、 図2−5−3のとおりであり、 2004年 (平
成16年) の排出量は、 前年より364千t−CO2減少し、 1990年 (平成2年) の1.20倍
となっています。
!
6
青森県における二酸化炭素排出量
本県の二酸化炭素排出量の推移については、 図2−5−4、 図2−5−5及び表2−
5−1のとおりであり、 2004年 (平成16年) の排出量は、 1990年 (平成2年) の排出
量と比較すると、 1.22倍となっています。
部門別に見ると、 排出量の割合及び1990年 (平成2年) 比の伸び率の大きい部門は、
産業部門、 運輸部門、 民生 (業務) 部門、 民生 (家庭) 部門となっており、 工場の他、
家庭やオフィスなど日常生活におけるエネルギー消費も排出量増加の要因となってい
ます。
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(#
区
分
エネルギー
転 換 部 門
産 業 部 門
運 輸 部 門
民生(業務)
部
門
民生(家庭)
部
門
工
業
プ ロ セ ス
廃
棄
計
排出量 (千t−CO2) 及び構成比
1990年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
73
68
62
55
57
44
40
43
0.53%
0.45%
0.39%
0.33%
0.34%
0.27%
0.23%
0.26%
6,498
7,080
7,537
7,956
8,047
8,110
8,271
7,943
47.44% 46.99% 47.39% 47.70% 48.57% 48.69% 48.45% 47.45%
2,055
2,606
2,734
2,704
2,729
2,763
2,722
2,621
15.00% 17.29% 17.19% 16.21% 16.47% 16.59% 15.94% 15.66%
1,202
1,380
1,395
1,411
1,358
8.78%
9.16%
8.77%
8.46%
8.19%
2,211
2,489
2,588
2,922
2,877
1,603
1,836
1,822
9.62% 10.76% 10.88%
2,631
2,580
2,808
16.14% 16.52% 16.27% 17.52% 17.37% 15.80% 15.11% 16.78%
1,518
1,254
1,389
1,429
1,313
1,311
1,400
1,285
11.09%
8.32%
8.73%
8.57%
7.93%
7.87%
8.20%
7.68%
139
192
198
203
188
196
221
217
1.02%
1.28%
1.25%
1.22%
1.13%
1.18%
1.29%
1.29%
13,696
15,068
15,903
16,679
16,569
16,658
17,070
16,738
基準年比
伸び率
0.59
1.22
1.28
1.52
1.27
0.85
1.56
1.22
1
国際的な動き
平成9年12月、 京都において、 「気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国
会議 (COP3)」 が開催され、 先進国における二酸化炭素などの温室効果ガスの削
減目標を定める 「京都議定書」 が採択されました。
「京都議定書」 では、 先進38ヶ国全体で温室効果ガスの2008年 (平成20年) から
2012年 (平成24年) の5年間の平均排出量を1990年 (平成2年) に比べて5%削減す
ることを目標にしており、 日本は6%の削減目標を割り当てられました。
しかし、 運用ルールについては平成13年1月に米国が交渉から離脱するなど、 難航
しましたが、 同年11月にモロッコのマラケシュで開催された第7回締約国会議 (CO
P7) において、 ようやく最終合意案 (マラケシュ合意) に達しました。
その後、 平成16年11月にロシアが京都議定書を批准したことにより、 京都議定書は
平成17年2月にようやく発効し、 先進各国に割り当てられた温室効果ガス削減目標は
正式に法的拘束力を持つものとなりました。
議定書発効後の平成17年12月には、 第11回締約国会議 (COP11) ・京都議定書第
1回締約国会合 (COP/MOP1) がカナダのモントリオールで開催され、 マラケ
シュ合意の採択により京都議定書の運用ルールが確立されました。 更に、 京都議定書
未批准のアメリカや削減義務のない発展途上国も含めたすべての国の参加による長期
的協力に関する対話を行うことについての合意がなされるなど、 実効ある将来枠組の
構築に向けて道筋がつけられました。
物
2
国の動き
国内では、 平成14年3月に 「地球温暖化対策推進大綱」 を見直し、 また、 マラケシュ
合意を受けて、 平成14年6月には京都議定書を批准し、 これを担保するための 「地球
温暖化対策の推進に関する法律」 の改正を行いました。
そして、 平成17年2月の京都議定書発効後には、 日本の6%削減目標が国際的に法
的拘束力を持った約束となりました。 これを受けて、 国では、 京都議定書の目標を確
実に達成するために必要な措置を定めるものとして、 また、 平成16年に行った地球温
暖化対策推進大綱の評価・見直しの成果として、 平成17年4月に 「京都議定書目標達
成計画」 を閣議決定しました。
この計画に基づき、 国では、 地球温暖化防止国民運動 「チーム・マイナス6%」 を
展開するなど、 国、 地方公共団体、 事業者、 国民が一体となった取組を推進していま
す。
更に、 事業者の温室効果ガス排出抑制対策を促進し、 国民各界各層の地球温暖化防
止に向けた気運の醸成、 理解の増進を図るため、 平成17年度に地球温暖化対策推進法
を改正し、 平成18年4月から温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度が施行される
こととなりました。
国では、 平成19年度中に、 京都議定書目標達成計画の評価・見直しを行い、 来年か
ら始まる京都議定書の第一約束期間を見据えて、 対策の強化を検討しています。
3
県の取組
①
青森県地球温暖化防止計画
青森県では地球温暖化対策を地域レベルにおいて計画的・体系的に推進するため、
平成13年4月に 「青森県地球温暖化防止計画」 を策定しました。
本計画では、 県民、 事業者、 行政のパートナーシップの下、 地球温暖化対策を進
めていくことにより、 青森県における2010年 (平成22年) の温室効果ガス排出量を
1990年 (平成2年) 比で6.2%削減することを目標としています。
図2−5−6は計画の目標達成のイメージです。 対策を講じない場合、 2010年
(平成22年) の本県の温室効果ガス排出量は、 1990年 (平成2年) 比で24.9%増加
すると予測されていますが、 図2−5−7にある削減シナリオを全て実施すること
により、 将来予測から4,561千t-CO2の温室効果ガスを削減し、 1990年 (平成2
年) 比で6.2%の削減を図ることとしています。 図2−5−8は、 削減シナリオを
実現するための地球温暖化対策の体系を表しています。
また、 計画の推進組織として、 平成13年7月に、 県民、 事業者、 有識者等からな
る 「青森県地球温暖化対策推進委員会」 を設置し、 計画の進捗状況の評価や対策の
検討を行っています。
②
青森県地球温暖化防止活動推進員
地球温暖化対策推進法に基づく制度として、 平成14年4月に青森県地球温暖化防
止活動推進員 (通称:あおもりアースレンジャー) を委嘱しています。
現在、 平成18年4月に委嘱した第3期目となる推進員57名が、 県内各地域におい
て普及啓発活動を行っています。
③
青森県地球温暖化防止活動推進センター
京都議定書発効後の平成17年5月には、 県民の関心をより一層深め、 地球温暖化
防止に向けた取組を促進していくため、 地球温暖化対策推進法に基づき、 県内の地
球温暖化対策の拠点となる青森県地球温暖化防止活動推進センターとして県内のN
PO法人を指定し、 センターとの協働による普及啓発を実施しています。
平成17年度から平成18年度にかけて、 同センターでは、
・電気を消して、 ろうそくの灯りの中で地球温暖化について考えるキャンドルナイ
トのイベントの開催
・消費者が省エネルギー型家電を購入する際に参考にしてもらうための省エネラベ
ルに関するシンポジウムの開催
・住宅を断熱化することで暖房に要するエネルギーを少なくできる省エネ住宅を周
知するためのフェアの開催
・持続可能な交通の実現に向けた公共交通の利用促進のためのテレビ番組の制作・
放映
など、 県民の省エネルギー意識を高めるための事業を実施しました。
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既に計画・実施されている対策の徹底
■経団連環境自主行動計画等業界団体
の計画
■改正省エネ法の適用
■青森県地域新エネルギービジョンの
推進
'()*+,-./012
県民・事業者の取組の促進
■エコドライブの実践
■エコライフの実践
■エコオフィスの実践
?@?ABCD0
EFGCD0
将来予測値(2010年)から
(90年比 −6.2%)
34#5./012
青森県の地域特性から特に積極的に取
り組むべき対策を推進
■建築物の断熱化推進
■コージェネレーション (熱電併給シ
ステム) の普及
6789:;<$=>
青森県の地域特性の一つである森林の
育成による対策
■植林によるCO2吸収量を算入
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9:;<JKLM"#
NOP)QR"#S
◆新エネルギーの導入等による排出係数
の低減
NYZQR"#S
◆省エネ型生産構造への転換
◆環境マネジメントシステムの導入等
NTUQR"#S
◆低公害車の普及
◆物流効率の向上
◆エコドライブの普及等
N([QR\]^_ `ab"#S
◆省エネ型ライフスタイルへの転換
◆省エネ型機器の購入
◆省エネ型事業活動の推進
◆建物の断熱化
◆コージェネレーションの導入
◆新エネルギーの利用等
NVWXQR"#S
◆廃棄物の発生抑制
◆リサイクルの推進等
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◆エネルギー消費量の削減
◆農業部門対策
◆廃棄物部門対策
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◆代替フロン等の回収、 適正処理
◆代替物質の利用
789:;<=>"#
◆計画的な植林等森林の保全・整備
◆都市の緑化、 木材資源の活用等
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◆環境教育・学習、 普及啓発活動の推進
◆地域の環境保全活動の促進等
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ABCD6EFGH
このまま地球温暖化が進行すれば、 本県の農林水産業はこれまでにない気温変化など
により、 かなりの影響を受けることが予想されることから、 県では、 平成18年度に、 今
後の地球温暖化が本県農林水産業に与える影響を把握し、 その対応方向を検討するため、
地球温暖化に関する研修会の開催や先進的な研究に取り組んでいる機関への調査を実施
しました。
農林水産業の各分野・作目ごとに、 概ね100年後の年平均気温が現在よりも2∼3℃
上昇した場合を想定し、 そのことが本県農林水産業に及ぼすと考えられる影響を推定し
たところ、 農業分野では、 水稲や果樹などにおいて東北中南部で栽培されている品種が
栽培可能となったり、 作期拡大によって総体的に耕地の利用率が高まるなどの効果が期
待されますが、 高温によって農産物の品質や収量が低下したり、 病害虫の発生量が増加
するなどの影響が懸念されます。 また、 水産分野では、 暖水性の魚類は、 分布域が拡大
して既存の魚種の漁獲量が増えたり、 新たな魚種も漁獲対象となる可能性がある一方で、
冷水性の魚類については、 分布域の北上や産卵場の消失などの影響が懸念されます。
これらの影響に対応するためには、 本県より気温の高い東北南部などにおける農業等
の情報収集とその解析に努めながら、 高温に強い品種の育成や温暖化に適応した栽培体
系の組み立てに取り組むなど、 地球温暖化を視野においた技術蓄積に努めていくことが
重要となります。
!"#$%&
空港では、 航空機騒音、 排水による下流域河川の富栄養化、 離着陸時に排出する大気
汚染物質、 大量の電気利用・水利用及び一般廃棄物の排出など、 様々な環境負荷が発生
します。
このため、 空港関係者が一体となって、 青森空港で実施可能な環境負荷軽減策を検討
しています。
'()!"*+,-./01234
指標名
基準値
県全体の二酸化炭素 17,070千t
排出量
(平成15年)
5
現状値
16,738千t
(平成16年)
目標値
指標の説明
省エネルギーの推進状況や
13,116千t
新エネルギーの導入状況を
(平成22年)
表す代表的な指標です。
6789:;<=>
本県は、 全域が積雪寒冷地であり、 冬の暖房や給湯、 消融雪のため、 燃料や電力など
のエネルギー消費量が多くなっています。 また、 今後も恒久的な雪対策としての融雪設
備の導入が進むと考えられることから、 将来にわたるこれらの潜在的な熱需要をも考慮
に入れた省エネルギー対策が求められています。
このため、 県では、 平成15年3月に 「青森県地域省エネルギービジョン」 を策定し、
省エネルギー対策の普及啓発を行っています。
指標名
風力発電導入量
基準値
現状値
目標値
指標の説明
本県の代表的な地域新エネ
178,385kW 178,625kW 300,000kW
ルギーである風力発電の導
(平成17年度) (平成18年度) (平成22年度)
入量を示す指標です。
特区内において、 環境エネ
環境・エネルギー産
2件
4件
4件
ルギーに係る先駆的プロジェ
業創造特区による取
(平成17年度) (平成18年度) (平成20年度) クトが実用化・企業化に結
組の実用化件数
び付いた件数です。
バイオマスの総発生
地域新エネルギーとして注
1.8%
1.8%
9.0%
量のうちエネルギー
目されるバイオマスのエネ
として利用された量 (平成17年度) (平成18年度) (平成21年度) ルギー利用量の割合を示す
の割合
指標です。
本県では、 原子力関連施設の立地に加え、 風力発電施設の立地やバイオマス資源の活
用など、 複合的エネルギー開発・供給拠点が形成されつつあり、 世界的にも稀にみるエ
ネルギー分野での豊かなポテンシャルを有しています。
そこで、 県では、 このエネルギー分野のポテンシャルを、 我が国の持続可能な社会の
先進地域の形成、 ひいては本県独自の新たな産業クラスターの形成と県全域の産業振興
に結びつけていくための具体的な取組方針・方策を体系化・戦略化した 「青森県エネル
ギー産業振興戦略」 を、 平成18年11月に策定しました。
本戦略では、 本県のエネルギー需給構造の将来像を設定するとともに、 県内を 「津軽
エリア」 と 「県南・下北エリア」 とに分け、 各地域の特性とポテンシャルを踏まえ、 重
点的に振興を図る産業分野をそれぞれ定めています (図2−5−9)。
関係各界の参画を得て 「青森県エネルギー産業振興戦略推進会議」 を設置・開催するほ
か、 環境・エネルギー関連の展示会への出展等、 県内外への情報発信を積極的に行い、
県内各地における新たなエネルギープロジェクトの創出や主体の参画を促進します。
なお、 戦略に関連する、 現在進行中の主なプロジェクトとしては、 次のようなものが
あります。
1
「環境・エネルギー産業創造特区」 における取組 (構造改革特区制度の活用)
国の構造改革特区制度を活用し、 むつ小川原地域を中心とするエリアが有する環境・
エネルギー分野のポテンシャルを活用しながら、 他の地域に先駆けて思い切った規制
緩和の導入を実現し、 先駆的なプロジェクトの導入を推進しています。
◆規制の特例措置
①電力の特定供給事業の許可対象の拡大
②国有林野を自然エネルギー発電の用に供する場合の貸付要件の緩和
③一般用電気工作物への位置付けによる小規模ガスタービン発電設備の導入
④特定埋立地の所有権移転制限期間の短縮
◆進行中のプロジェクト
<十和田湖地域コジェネレーション新電力供給事業> (①を活用)
熱需要の大きなホテルにコジェネレーション設備を設置して、 熱供給を行うとと
もに、 電力をホテル及び周辺の民宿と協同組合へ供給する事業
<八戸市新エネルギー等地域集中実証研究> (①を活用)
八戸市庁舎や小中学校に設置された太陽光発電、 風力発電、 更に下水終末処理場
今後は、 戦略の着実な推進を図るため、 戦略の推進母体として産学官及び金融機関や
の下水汚泥を活用したバイオガスエンジンなど、 様々な新エネルギーを組み合わせ
て安定した電力供給を行う 「マイクログリッド」 と呼ばれるシステム実証研究事業
◆計画中のプロジェクト
<六ヶ所地域次世代型大規模風力発電事業> (②を活用)
六ヶ所村二又地区において、 全国でも初めてとなる蓄電池を併設した出力一定制
御型の大規模風力発電事業
<八戸港ポートアイランド大規模リサイクル事業> (④を活用)
八戸港ポートアイランドにおいて、 汚泥等の中間処理施設である焼却施設を建設
し、 廃棄物の処理、 熱回収・熱供給を行う事業
2
地域未利用エネルギー活用推進事業
津軽海峡における強い潮の流れを利用した潮流発電の実現に向けて、 本格的な調査・
検討を進めています。 また、 県内に広く分布する地熱資源について、 暖房・融雪・冬
の農業などの民生・産業分野での活用推進に向けたビジョンの策定を進めています。
3
運輸部門省エネルギー対策詳細調査
運輸部門の省エネルギー・脱化石燃料対策として、 家庭のコンセントから夜間電力
で蓄電池に充電し、 電力でより長距離を走行できる 「プラグインハイブリッド車」 の
導入を柱とする、 運輸部門省エネルギーモデルの構築を進めています。
4
水素・燃料電池ステップアップ事業
平成17年度において、 水素・燃料電池分野における技術開発や産業化の動向を踏ま
え、 本県のポテンシャルを生かし、 今後重点的に取り組むべき分野や推進方策等をと
りまとめた 「あおもり水素エネルギー創造戦略」 を策定しており、 この戦略に基づき、
本県が優位性を持つ分野における先駆的プロジェクトの具体化を推進し、 産学官の連
携による、 水素エネルギーを活用した新たな技術開発や新産業の創造を図っていくこ
ととしています。
5
青森県環境・エネルギー技術開発費補助金
県では、 平成18年度、 地域で未利用となっている様々なエネルギーポテンシャルを
有効利用する技術開発を進めるため、 県内の中小企業等が行う再生可能エネルギーや
省エネルギーに関する技術開発事業で、 県内の公設試験研究機関や大学等と連携して
実施する事業3件に対し、 「青森県環境・エネルギー技術開発費補助金」 を交付しま
した。
県では、 むつ小川原開発の新たな展開を図るため、 地球規模での資源・エネルギー問
題や環境問題などの重要課題への対応として、 水素を軸とし、 資源、 事業、 国・地域の
枠を超えた次世代エネルギーシステムの創出に向け、 水素に関連した研究開発や実証試
験等をむつ小川原開発地区 (六ケ所村) に集積させる 「むつ小川原ボーダレスエネルギー
フロンティア構想」 を平成14年7月に策定し、 その推進に努めています。
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風力発電は、 国の新エネルギー導入目標において、 平成12年度からの10年間で約40倍
)*
+,-./0+12345
と大きな伸びを期待されている分野で、 各種の支援措置や技術開発等導入促進に向けた
取組が行われています。
本県においては、 津軽、 下北両半島を中心に風況に恵まれていることから、 平成12年
2月に策定した 「青森県地域新エネルギービジョン」 において、 風力発電を 「重点導入
を図る種別」 と位置付け、 これまで導入促進に積極的に取り組んできたところであり、
平成18年度末の導入量は約17万8千キロワットと全国有数の導入量となっています。
このため、 県では、 高いポテンシャルを有する風力発電の一層の導入促進を図るため、
風力発電を取り巻く環境の変化や、 本県の地域ごとの特性、 導入課題等を踏まえ、 本県
で導入可能な新たな風力発電の事業モデルや推進方策の検討を行い、 平成18年2月に
「青森県風力発電導入推進アクションプラン」 を策定しました。
現在、 蓄電池併設ウィンドファームが建設されるなど、 風力発電の更なる導入促進に
向けて積極的な取組を進めています。
融雪施設や照明等の道路施設の稼働に必要な維持管理コストの縮減及び地球環境負荷
の軽減を目的として、 既存の道路施設へのエコエネルギー (風力、 地熱、 太陽光等) 導
入可能性のデータを整理し、 他の道路施設及び今後整備される道路施設へのエコエネル
ギー導入検討の基礎となるガイドラインを作成します。 また、 エコフレンドリーロード
推進プランを策定し、 具体的に道路施設への導入を計画し、 環境負荷の少ない循環型社
会への意識向上を図るものです。
指標名
基準値
!"#
現状値
目標値
指標の説明
有害大気汚染物質の
100%
100%
100%
大気環境の保全状況を表す
環境基準達成率
(平成17年度) (平成18年度) (平成21年度) 指標です。
【再掲】
大気汚染防止法及び青森県
ばい煙規制対象施設
100%
100%
100%
公害防止条例に基づくばい
の排出基準適合率
(平成17年度) (平成18年度) (平成21年度) 煙関連施設の自主測定値に
【再掲】
おける排出基準適合率です。
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1
%
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(
オゾン層破壊問題とオゾン層保護対策
「フロン」 は、 20世紀の人類が発明した、 自然界には存在しない人工物質です。
昭和3年、 冷蔵庫などの冷媒に理想的な気体として開発され、 断熱材やクッション
の発泡剤、 半導体や精密部品の洗浄剤、 スプレーの噴射剤 (エアゾール) など様々な
用途に使用され、 1960年代以降先進国を中心に消費されるようになりました。
しかし、 昭和49年、 フロンが大気中に放出されると上空の成層圏まで昇り、 オゾン
層を破壊してしまうというメカニズムが発見されました。
オゾン層の破壊により紫外線が増加すると、 皮膚ガンや白内障など健康に悪影響を
もたらすばかりでなく、 動植物の遺伝子を傷つけ、 生存を妨げるおそれがあります。
昭和60年に南極でオゾンホールが発見され、 実際にオゾン層が破壊されている証拠が
確認されると、 世界中で大問題となりました。
そして、 「オゾン層保護に関するウィーン条約」 (昭和60年) に基づき、 フロン規制
のための国際枠組として 「モントリオール議定書」 (昭和62年) が採択され、 世界的
にオゾン層破壊物質(特定フロン等)の規制が始まりました。
我が国では、 フロンガスの規制のための国際枠組 (モントリオール議定書) に基づ
き、 昭和63年に 「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」 を制定して、
平成元年7月からオゾン層破壊物質の生産・輸出入の規制を開始するとともに、 その
需要を円滑かつ着実に削減していくための施策を行っています。
一方、 特定フロン等の代替物質として、 オゾン層を破壊しないフロン (代替フロン:
HFC) が開発・普及してきましたが、 代替フロン等には地球温暖化をもたらすとい
う新たな問題が出てきました。
平成4年に締結された地球温暖化を防止するための 「気候変動枠組条約」 に基づい
て、 具体的な温室効果ガスの排出抑制対策として 「京都議定書」 (平成9年) が採択
され、 平成17年2月16日に発効、 4月28日に 「京都議定書目標達成計画」 が閣議決定
されました。 この計画には、 我が国における温室効果ガスの6%削減約束を確実に達
成するために必要な措置が定められています。
2
冷媒用フロンの回収等の推進
オゾン層破壊物質の排出抑制については、 特定物質の規制等によるオゾン層の保護
に関する法律による生産規制等によって行われてきました。 しかし、 オゾン層の保護
を進めるためには、 既に生産された製品中に含まれるオゾン層破壊物質の排出を抑制
することも必要です。 また、 地球温暖化の防止の観点からは、 オゾン層は破壊しない
ものの温暖化効果を有する代替フロンの排出も抑制しなければなりません。
このため、 平成13年6月、 「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保
等に関する法律」 が制定され、 業務用の冷凍機器、 カーエアコンなどに使用されてい
る冷媒フロンの放出禁止、 回収破壊が義務づけられ、 廃棄される業務用冷凍空調機器
に充てんされているフロン類を回収する者 (第一種フロン類回収業者)、 廃棄される
使用済自動車から冷媒として充てんされているフロン類の回収を行おうとする者 (第
二種フロン類回収業者) は、 それぞれ都道府県知事等の登録を受けることとされまし
た。
さらに、 業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収を徹底するため、 平成18年6月
に制定された改正法では、 機器の廃棄等を行う際に、 フロン類の回収行程を管理する
制度の導入や、 整備時の回収義務の明確化等が盛り込まれ、 平成19年10月1日より施
行されています。
なお、 第二種特定製品引取業者及び第二種フロン類回収業者については、 平成17年
1月から 「使用済自動車の再資源化等に関する法律」 に基づく引取業者及びフロン類
回収業者に移行しています。
また、 青森市の中核市移行に伴い、 平成18年10月1日より 「使用済自動車の再資源
化等に関する法律」 に係る登録許可業務が青森市に移行しています。
平成19年3月末における登録事業者数は表2−5−2のとおりです。
区分
登録数
県
合計
市
第一種フロン類回収業者登録事業者数
212
−
212
第二種特定製品引取業者登録事業所数
1,339
208
1,547
第二種フロン類回収業者登録事業所数
402
67
469
(注) 第一種フロン類回収業者は事業者ごと、 第二種特定製品引取業者及び第二種フロン類回収業者は
事業所ごとの登録となっている。
1
酸性雨の現況
酸性雨とは、 工場、 事業場から排出されるばい煙や自動車の排出ガス中に含まれる
となり、 それが雲を作っている水滴に溶け込んで霧や雨、 雪などの形で沈着 (湿性沈
着) し、 pHが5.6以下となった場合をいいます。 また、 ガスや粒子状の形で地上に
沈着 (乾性沈着) したものも酸性雨の分析対象としています。
世界で最初に確認された酸性雨による影響は、 昭和40年代初めにスウェーデンにお
いて発表されたものでしたが、 日本では昭和40年代末に被害が確認されており、 その
時の雨水のpHは2∼3.5でした。
環境省 (庁) では、 昭和58年度から第1次酸性雨対策調査を開始し、 平成12年度に
第4次調査を終了するまで、 大気、 土壌、 植生 (主に樹木の影響について着目)、 陸
水 (現在は影響の出やすい湖についてモニタリング) の各分野においてモニタリング
を実施してきました。 その結果、 日本も欧米並の酸性雨が見られ、 冬季には日本海側
で酸性成分が増加傾向にあることが分かっています。
大気汚染がまだ問題化していない1960年代末に、 スウェーデンやノルウェーの湖沼
の水が酸性化し多くの魚が死滅した例は、 他国における大気汚染物質が運ばれたこと
を示すことから、 地球環境問題としてとらえられています。 そのため日本においても、
東アジアにおける酸性雨対策等、 国際的な取組を実施しています。
本県でも酸性雨の実態を把握するために、 昭和58年から調査を実施しており、 平成
18年度は、 環境省からの委託を受けている国設竜飛岬酸性雨測定所 (外ヶ浜町) 及び
本県独自に県環境保健センター (青森市) においてモニタリング調査を実施しました
(図2−5−10、 表2−5−3、 資料編表98)。
硫黄酸化物、 窒素酸化物等の大気汚染物質が、 大気中で化学変化を起こして酸性物質
調査地域
調査地点
青 森 市 県環境保健センター
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
−
−
−
−
4.8
(3.8∼7.5)
4.8
4.7
4.8
4.9
(4.0∼7.0) (4.1∼6.4) (4.1∼6.8) (4.0∼7.2)
−
4.8
4.7
4.6
4.6
岩 崎 エ コ ミ ュ ー
ジ ア ム セ ン タ ー (4.2∼7.2) (4.4∼6.5) (4.0∼6.9) (4.2∼6.8)
−
5.1
5.0
4.9
5.0
(4.0∼6.9) (4.2∼7.4) (4.3∼6.5) (3.9∼6.9)
−
青 森 市 県
深 浦 町
!"#
南 部 町 名
青
川
年
配
の
水
家
池
外 ヶ 浜 町 竜飛岬 (国設測定所)
4.7
4.7
4.6
4.6
4.6
(4.0∼6.8) (3.9∼6.4) (3.8∼6.0) (3.8∼6.2) (3.7∼5.9)
(注)国設竜飛岬酸性雨測定所の結果は確定前の値で、平成18年1月から12月までのデータである。
2
酸性雨対策
これまでのモニタリング結果等を受けて、 環境省では、 酸性沈着物 (湿性沈着物及
び乾性沈着物) による影響の早期把握や将来の酸性雨の影響を予測するために、 広域
的かつ長期的な 「酸性雨長期モニタリング」 を実施することとし、 平成13年1月から
本格的に稼働させています。
この 「酸性雨長期モニタリング」 には、 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク
(EANET) が組み込まれており、 国内測定所をEANET測定所遠隔地測定所及び都市・都
市近郊測定所の3つに分けて長期モニタリングを実施することになっています。 また、
EANETには現在13か国が加盟し、 47地点でモニタリングされ、 その活動として、 東ア
ジア各国と連携した酸性雨原因物質の長距離輸送シミュレーションモデルの検討、 酸
性雨発生源情報整備、 生態影響評価手法の検討等を実施することとしています。
本県の竜飛岬測定所は、 EANET測定所の一つに位置付けられています。
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