Comments
Transcript
研究室ニュース No. 42 (2014.Sep.) - 化合物バンク NPDepo
Antibiotics Laboratory 抗生物質研究室ニュース Antibiotics Laboratory News No. 42: September 2014 http://www.antibiotics.riken.go.jp 〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1 TEL: 048-467-9542 EDITORS: 二村,加藤,天貝,阿部,伊藤 Contents トピックス 新メンバーの紹介 新ケミカルバイオロジー棟、竣工 引っ越し 抗生物質研究室設立60周年記念祝賀会 特別寄稿 抗生物質研究室設立60周年記念祝賀会を終えて 川谷 誠 MPI便り 竹本 靖 研究成果 学会発表 誌上発表 記念祝賀会集合写真 (撮影日 2014年9月6日) トピックス 新メンバーの紹介 7月から,由田和津子さん(ポスドク),酒井優一くん、馬場希くん(修士課程,和田チーム),9月から衣笠清美 さん(パートタイマー,加藤チーム)の4人がラボに加わりました。4人からメッセージを頂いております。 皆様,どうぞよろしくお願い致します! 長田研の一員になれたこと 大変光栄に思います。 まだ研究室の全体像が見え ていない私ですが,頑張り ますので何卒よろしくお願 いします。 由田 和津子さん 横浜市立大学大学院から 来ました。わからないこ とも多いですが,頑張り ますのでよろしくお願い します。 酒井 優一くん この度,縁あって,皆様と お仕事をさせて頂くことに なりました。 お役に立てるよう,頑張り ますので,よろしくお願い いたします。 衣笠 清美さん 横浜市立大学から研修生と して参りました馬場希です。 未熟な所があるかと思い ますが,早く理研の一員と なれるように頑張ります。 よろしくお願いいたします。 馬場 希くん CB棟増築工事完了! 昨冬より進められていたケミカルバイオロジー研究棟(CB棟)の増築工事 が6月末に竣工し,検査を経て7月末に引き渡しされました。2階建てだっ た建物は4階建てになり,念願(?)の内階段,エレベーターが設けられま した。以下の写真は,生物科学棟4Fのバルコニーから工事の様子を定点 観察した様子です(写真提供:渡辺信元ユニットリーダー)。 新CB棟への引っ越し! 新CB棟の完成に伴い,8月4日 13日の日程で移転作業が行われました。今回は,ほとんどの室員がCB棟 へ移るとのことで,昨夏以上の大仕事になりました。大型機器は生物科学棟,CB棟を仮設橋梁を渡して搬出 しました。9月末にはすべての作業が完了し,新しい環境で皆さんはりきっています! ↑N401、S402→ もぬけの殻です 引越に使った段ボール1000個以上! 主な移転先 402: 長田副センター長室 403: 斎藤UL、高橋UL 404-7:生合成チーム 408: 会議室 202: 天然物チーム 203: 連携センター室 204-5: 精製室 302: 渡辺UL、アレイチーム 303: 細胞室 304-7: 活性評価チーム 308: セミナー室 102: 培養室 103: NPDepo 104-5: アレイチーム 抗生物質研究室設立60周年記念祝賀会 9月6日にホテル椿山荘東京にて「抗生物質研究室設立60周年記念祝賀会」が開催されました。OB/OG,企業 やアカデミアからの来賓,現室員が150名近く参集し,抗生物質研究室の足跡を振り返りました。一準備係とし て働いた私(二村)は,参列者の顔ぶれに,理研・抗生物質研究室が農芸化学,ケミカルバイオロジーの発展 にいかに貢献してきたのか,その一端を垣間みれた思いが致しました。 会は磯野清先生からのお手紙紹介,長田先生のスピーチに始まりました。慶應大名誉教授・梅澤一夫先生 からは幼少時の住木諭介先生とのジベレリンにまつわるエピソードを交えたご祝辞・乾杯のご発声を頂きまし た。また会の途中では3名の歴代副主任研究員(浦本昌和先生,生方信先生,掛谷秀昭先生)からご祝辞を賜 り,往時をしのびました。さらに会の終盤には,長田先生の還暦をお祝いする余興が催されました。 抗生物質研究室設立60周年,長田裕之先生還暦,CB棟竣工,誠におめでとうございます。社会に還元でき る有用生物活性物質の『発明』を目指して,我々一同,より一層尽力致します! (次頁には同会発起人代表・川谷 誠専任研究員より「祝賀会を終えて」をご寄稿頂きました。) 梅澤先生 浅見さん 宮澤君 浦本先生 生方先生 似顔絵入りの傘↑をプレゼント! 掛谷先生 抗生物質研究室60周年記念祝賀会を終えて 川谷 誠 去る9月6日(土),ホテル椿山荘東京において,「理化学研究所抗生物質研究室設立60周年記念祝賀会」が開 催され,私は発起人代表として本会の準備・運営に携わりました。当日はおよそ150名の方にご参加いただき, また多くの方々のご支援とご協力により,盛会裡に終了することができました。ご参加並びにご支援いただきま した皆様方に心より御礼申し上げます。 1953年に発足した抗生物質研究室は,4名の主任研究員 (住木諭介先生,鈴木三郎先生,磯野清先生,長田裕之先 生)によって引き継がれ,昨年設立60周年を迎えました。祝 賀会には,磯野研・長田研時代のOB・OGや現室員だけでな く,抗生物質研究室に縁の深い大学・企業の方々にも多数ご 参加いただきました。当時の思い出話に花を咲かせたり,新 たな交流の場となったようで,大変嬉しく思いました。また本 年8月に長田先生が還暦を迎えられたことから,祝賀会の後 半では長田先生の還暦お祝い会を行いました。秘密裡に進 めたサプライズ企画も非常に喜んでいただけたようで大成功 でした。 磯野先生はお手紙で,「発見は易し発明は難し」という初代 住木先生の言葉を引用して人の役に立つ研究の重要性を, また長田先生も,薬を開発して社会貢献を目指す強い思いを 述べられていました。会の準備を通じて伝統ある抗生物質研 究室の長い歴史の一端をふれることができただけでなく,今 後の自分自身の研究の糧になるような祝賀会となりました。 MPI便り 竹本 靖 皆様,こんにちは。お元気でしょうか?私がドイツ,ドルトムントのMPIに参りまして,早くも7ヶ月半が経ちました。 ドイツの夏は短く,8月の中旬には肌寒くなり,長袖のシャツに上着を一枚羽織るという服装が続いています。た だ,特に急な冷え込みというのは今のところなく,日本人の感覚からすると,さわやかな秋が早めにやってきた という感じです。ところで,ある日にふと思ったのですが,ドイツでは夏の真っ盛りでも蝉の鳴き声が全くありませ んでした。やはり日本とは気候が全く違うのだなと実感した次第です。 さて,今回は9/15-17に行われましたWaldmann研のretreatについてご紹介したいと思います。3日間,毎日 11時からの招待公演で始まり,その後5-6名のprogress reportが行われ(この通常のprogress reportがあるた め,conferenceではなく,retreatというくくりになっているようです),その後,夕方に招待公演が1題行われた後, 19時くらいからみんなでの夕食となります。例年は古城ホテル等,場所を移動しての開催が多いようですが,今 年はドルトムントのMPIで行われました。外部での開催でなかったのは少し残念でしたが,今回は私もprogress reportで発表する機会を頂けましたので,発表に集中する意味ではMPIでの開催でよかったかなとも思ってい ます。また私の研究発表に対して,Waldmann先生をはじめ,様々な方から建設的な意見を頂け,本当に良い 機会を頂けたと思っております。 このretreatでユニークだなと思ったことがありましたので,ご紹介したいと思います。それは,この会の最中に 化合物の名前を決めるコンテストがあるということです。ご承知の通り,Waldmann研はケミストが多数在籍して おり,様々な化合物が合成されています。多くの場合,これらの化合物には便宜上,合成したケミストの名前の イニシャルと通し番号を併せた名前が付けられています。そういった化合物の中で,特に有用な生理活性が見 出された化合物に対して固有の名前が募集され,投票により名前が決定されます(ちなみにその名前を考案し た人に対してはWaldmann先生からプレゼントの贈呈がありました)。この方法は私にとりましては斬新で,いい 方法だなと思いました。 あと2ヶ月半程度で日本へ帰国の予定です。長いと思っていたドイツ生活も,もうまもなく終わろうとしておりま す。残りの期間,精一杯頑張って,少しでも得るものを増やして日本へ帰りたいと思います。 成果発表 学会発表 シオノギ未来創薬セミナー、札幌、7月10日 医薬農薬を志向したケミカルバイオロジー 長田 裕之 日本きのこ学会25周年記念大会(第18回大会)、京都、9月10 12日 Flammulina velutipesおよびF.rossicaの抗菌物質enokipodinsA-Dにおける生産性と各種生理活性評価 田淵 諒子、作野 えみ、岡 久美子、二村 友史、本山 高幸、長田 裕之、Noemia Kazue Ishikawa、長澤 栄史、時本 景亮 第66回日本生物工学会、札幌、9月9 11日 上下動撹拌による CHO-S 細胞の培養 丹生 徳行、植木 雅志、荻原 正章、佐藤 誠、金森 久幸、加藤 好一 第73回日本癌学会学術集会、横浜、9月25 27日 細胞周期阻害剤のケミカルバイオロジー 長田 裕之 ChemProteoBaseを用いたcollismycin Aの標的同定 川谷 誠、室井 誠、二村 友史、青野 晴美、長田 裕之 TACC3を標的とした低分子化合物の開発と応用 八尾 良司、長田 裕之、吉田 稔、野田 哲生 誌上発表 “Polarization of osteoclasts on dental implant materials is similar to that observed on bone.” J. Oral Biosci., in press. Nakayama T, Thirukonda GJ, Nagasawa S, Kawahara I, Udagawa N, Yagami K, Kawatani M, Osada H, Doi Y, Yoshinari N, Takahashi N. “RK-270A−C, new oxindole derivatives isolated from a microbial metabolites fraction library of Streptomyces sp. RK85-270.” J. Antibiot., in press. Jang J-P, Nogawa T, Uramoto M, Okano A, Futamura Y, Shimizu T, Takahashi S, Jang J-H, Ahn JS. Osada H. “Structure-function analyses of cytochrome P450 revI involved in reveromycin A biosynthesis and evaluation of the Biological Activity of Its Substrate, Reveromycin T.” J. Biol. Chem., in press. Takahashi S, Nagano S, Nogawa T, Kanoh N, Uramoto M, Kawatani M, Shimizu T, Miyazawa T, Shiro Y, Osada H. “A small molecule that induces reactive oxygen species via cellular glutathione depletion.” Biochem. J., 463: 53-63 (2014) Kawamura T, Kondoh Y, Muroi M, Kawatani M, Osada H. “Alkyldihydropyrones, new polyketides synthesized by a type III polyketide synthase from Streptomyces reveromyceticus.” J Antibiot., in press. Aizawa T, Kim SY, Takahashi S, Koshita M, Tani M, Futamura Y, Osada H, Funa N. “Terpendole E and its derivative inhibit STLC- and GSK-1-resistant Eg5.” Chembiochem, 15: 934-8 (2014) Tarui Y, Chinen T, Nagumo Y, Motoyama T, Hayashi T, Hirota H, Muroi M, Ishii Y, Kondo H, Osada H, Usui T. 編集後記 この夏は、研究室の引っ越し、抗生物質研究室設立60周年祝賀会一色でした。 祝賀会の記念品として、OB/OGや室員が研究室での思い出を綴った文集「探索と 思索の日々」と赤ワインOSADIA(註:偶然見つけた市販品だそうです。長田 (OSADA)の中に愛(I)がある!)を頂きました。ワイン片手に文集をめくると、 研究室の先達がどんなことを考え、どんな試行錯誤を重ねて、これまでの偉大な業績 を残してきたのか、琴線に触れました。これから一層精進しなければなりませんね! なお、杉野さんの退職に伴い、新たに伊藤吹夕さんがニュース係に加わりました。 今後ともどうぞよろしくお願い致します。(Y.F.)