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尿路 感染症 患者分 離Proteus rniyabilisの 病 原性 発現 因子 の解析

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尿路 感染症 患者分 離Proteus rniyabilisの 病 原性 発現 因子 の解析
岡 山 医 誌(1991)
103,
963∼972
尿 路 感 染 症 患 者 分 離Proteus
rniyabilisの
病 原性 発 現 因子 の解析
岡 山大 学 医 学 部 細 菌 学 教 室(指
室
谷
導:金
勝
久
(平成3年5月13日
Key
words:
P. mirabilis,尿
緒
路 感 染,病
政 泰 弘 教 授)
受 稿)
原 因 子,走
化 性,ウ
レ ア ー ゼ,付
着性
を解 析 した 研 究 は, Peerbooms等
言
50%致
一 般 に 単 純 性 尿 路 感 染 症 の 起 因菌 の 多 くは腸
死 量(LD50)測
に よ るマ ウ ス
定 と腎 障 害 性 に 関 す る研
究14)以外 ほ とん ど行 わ れ て い な い.
管 に そ の 由 来 を有 す る と考 え られ て い る. Proteus
本 研 究 に お い て は,尿
路 感 染 症 患 者 由来 株 お
属 細 菌 は,健 康 人 の 腸 管 常 在 菌 で あ り,単 純 性
よ び そ の 対 照 と して 教 室 保 存P.
尿 路 感 染 症 の 起 因 菌 と して はE.
coliに 次 ぐ頻
い て,各 菌 株 の 有 す る 総 合 的病 原 性 を ラ ッ トの
度 で分 離 さ れ て い る.中 で もP.
mirabilisは 他
逆 行 性 尿 路 感 染 モデ ルお よびマ ウスに対 す るLD50
のProteusやMorganella,
Providencia等
の類
に よ り解 析 を加 え る と共 に,前
mirabilisを 用
述 した4因
子に
縁 の 細 菌 に 比 較 して も特 に 高 い 分 離 頻 度 を有 し
解 析 を加 え,各 病 原 性 発 現 因 子 の 役 割 に検 討 を
て い る1). E. coli感 染 の ほ とん ど は 膀 胱 感 染 で
加 え た.
あ るが, Proteusの
感染 は上部尿 路特 に腎臓 に障
害 を与 え る傾 向 が あ る点 でE.
材 料
coliと 大 き く異
1.
な っ て い る2)-4).
P. mirabilisの
病 原 性 発 現 因 子 と し て は, (1)
と 方 法
供試菌 お よび培養
供 試 菌 と し て は,教
1)お
mirabilis
ATCCI9906
路 上 皮,特
尿 器 科 学 教 室 に お い て 尿 路 感 染 症 患 者 よ り分 離
に 腎 臓 の 障 害 と尿 の ア ル カ リ化 に よ
(No.
室保 存 株P.
尿 中 の 尿 素 を分 解 して ア ン モ ニ ア を遊 離 し,尿
る尿 路 結 石 の 形 成 を促 進 す るウ レアー ゼ 産 生3),5),
さ れ た4株(No.
(2)上 部 尿 路 へ の 感 染 に 関 わ る強 い 運 動 性6), (3)尿
のP.
路 上 皮 細 胞 へ の 付 着 性 と それ に 関 わ る付 着 因子
ら な い か ぎ リ トリプ テ ィ ケ ー ス ソ ィ プ ロ ス 培 地
(線 毛, Pili, Fimbriae)7)-12),
(4)血 清 お よび 尿
2,
よ び 岡 山大 学 医 学 部 泌
No.
6,
mirabilisを 用 い た.供
(以 下TSB)に
No. 25, No. 30)
試 菌 は特 に こ と わ
て37℃ 一 夜 培 養 し た もの を 用 い
中 の 殺 菌 作 用 に 対 す る抵 抗 性13)等の 諸 要 因 が 考
た.菌
え られ る.
上 昇 で 判 定 し た,生 菌 数 の 測 定 は, Proteusが
過 去 に お け るP.
の 解 析 研 究 は,本
し い 運 動 性 を有 す る の で,運
mirabilisの 病 原 性 発 現 機 構
CLED培
菌 の もつ ウ レア ー ゼ に よ る 腎
2.
障 害 の 研 究 に 重 点 が お か れ て い た3),5).し か し な
が ら, P. mirabilisの
の 増 殖 は,光 電 比 色 計 を用 い てOD650の
もつ 著 しい 運 動 性 お よ び
著
動 阻 止性 の あ る
地 を用 い て 測 定 した.
病 原性 の判定
病 原 性 の解 析 は,ラ
ッ トの逆 行 性 尿 路 感 染 モ
感 染 成 立 の 初 期 過 程 に お け る宿 主 細 胞 表 層 へ の
デ ル を用 い て 行 っ た.動
細 胞 付 着 因 子 も病 原 性 発 現 機 構 の 解 析 に は 不 可
代 目 の培 養 菌1×109cells/mlを
欠 の 要 因 で あ る と考 え ら れ る.と
ころが現 在 ま
齢 雌 ウ イ ス タ ー ラ ッ ト外 尿 道 口 よ り,静 脈 留 置
解 析 を加 え個 々 の 病
針 の プ ラ ス チ ッ クガ イ ドを用 い て100μl注 入 し,
原 因 子 の 軽 重 と各 菌 株 の 有 す る 総 合 的 な病 原 性
尿 道 口 を30分 間 ク ラ ン プ し て 注 入 菌 液 の 漏 出 を
で に こ れ ら の 要 因 にA的
963
物 通 過 後TSBに
一 群8匹
て3
の6週
964 室
防 い だ 後,ラ
ッ トを 一 週 間 飼 育 し た.途
谷
中死亡
勝
久
ム緩 衝 液(pH
7.7)に て 洗 浄 後,菌
体 を50mMリ
した ラ ッ トお よ び 一 週 間 飼 育 後 の ラ ッ トを剖 検
ン酸 カ リウム 緩 衝 液 に再 懸 濁 して 酵 素 液 と した.
し,各 尿 路 臓 器 に お け る 組 織 障 害 お よ び尿 路 結
Kmお
石 の 有 無 に検 討 を加 え た.
け る活 性 をLineweaver-Burkプ
本 実 験 に 供 試 し たP.
定 は,一
mirabilisのLD50の
測
夜 培 養 菌 を集 菌 洗 浄 後PBSに
て各種
菌 濃 度 に 調 製 した もの0.1mlを 一 群5匹
の6週 齢
よ びVmaxの
5.
P. mirabilisの
mmのU字
れ(培
3.
方 法15)に し た が っ て 算 定 した.
運 動 性 は,長
さ45cm,内
形 ガ ラ ス 管 に0.14%寒
地 全 長35cm),一
出液 ま た はPBSを0.1ml上
ラニ ー
ル 酢 酸 に て ネ ガ テ ィ ブ染 色 を 施 して 行 っ た.ま
径8
天 加TSBを
入
端 に菌 液(109cells/ml)
0.2mlを 他 端 に蛋 白量0.4mg/mlに
付着 因子 の解析
各 菌 株 の 線 毛 の 観 察 は,菌 体 を2%ウ
にて 測 定 した17).
運動 性 お よび走化性 の測 定
の マ ウ ス の 生 死 を 確 認 し て 行 い, Reed
Muenchの
ロ ッ ト して 求
め た.タ ンパ ク質 量 は, Lowry法
雄 ス ィ ス マ ウ ス尾 静 脈 よ り注 入 し, 4日 目 ま で
and
測定 は各種 基質 濃度 にお
調 製 した組 織 抽
層 し た 後37℃ で 静
置 し,培 地 中 の 濁 りの 移 動 を経 時 的 に 測 定 す る
事 に よ り判 定 した.組
織 抽 出 液 に 対 す る走 化 性
た 各 菌 株 に お け る 線 毛 の タ イ プ の判 定 と線 毛 保
は,各 供 試 菌 株 の 組 織 抽 出 液 側 で の運 動 性 の促
有 菌 の 割 合 は,ネ ガ テ ィ ブ 染 色 菌 体100個 を無 作
進 に よ り判 定 した.
為 に 抽 出 し て 調 べ た.
走 化 性 試 験 の た め の 組 織 抽 出 液 は,正 常 ラ ッ
供 試 株 の ラ ッ トお よ び マ ウ ス 膀 胱 上 皮 細 胞 へ
ト各 種 臓 器 を摘 出 し, PBS中
に て細切 洗浄後 ポ
の 付 着 能 の 測 定 は,剥 離 した 膀 胱 上 皮 細 胞 へ の
ッ タ ー 型 テ フ ロ ン ホ モ ジナ イ ザ ー に て組 織 懸 濁
付 着 菌 数 に よ り求 め た.ラ
液 と し, 10,000xg,
胱 上 皮 細 胞 は,膀
ッ トお よ び マ ウ ス膀
胱 を摘 出,切
開 後,膀
を上 に して 虫 ピ ン で 伸 展 し,ス
て 上 皮 細 胞 をPBS中
胱腔側
ラ イ ドグ ラ ス に
に剥 落 し, 1回PBSで
ポ リ-L-リ ジ ン(平 均 分 子 量20,000)塗
壊 の 組 織 を 除 去 した 上 清 を0.45μmフ
P. mirabilisの
血 清 お よび マ ウ ス尿 中 で の
生存性 の測定
布 ス ライ
ドグラスに 付 着 させ,残 存 の ポ リ-L一リジンはBSA
ィル ター
に て ろ 過 滅 菌 し て 調 整 し た.
6.
洗 浄 し て 破 壊 細 胞 を除 き調 製 し た.剥 離 細 胞 は,
30分 間 の 遠 心 分 離 に て 未 破
供 試菌株 の血清 お よび尿 中での 生存性 の測定
は,一
夜 培 養 菌0.5ml
(1×109cells/ml)を
それ
に て ブ ロ ッ ク し た.膀 胱 上 皮 細 胞 へ の 付 着 菌 数
ぞ れ 等 量 の ヒ ト血 清,子
は,
合 後37℃ に て イ ン キ ュ ベ ー トし,経 時 的 に菌 数
Pmirabilis菌
液(1×109cells/ml)を
記 ス ラ イ ドグ ラ ス に 滴 下, 37℃,
で ィ ン キ ュ ベ ー ト後,未
上
30分 間 湿 箱 中
結 合 の 菌 体 をPBSに
の 測 定 を行 っ た.マ
ウ ス尿0.45mlに
牛 血 清,ウ
ウ ス 尿 中 で の 生 存 性 は,マ
一 夜 培 養 菌50μl (5×109cells/
て 十 分 に 洗 浄 除 去 した プ レパ ラ ー トを ギ ム ザ 染
ml)を
色 を 施 した 後,検
時 的 に菌 数 の 測 定 を行 っ た.供
鏡 下 で 算 定 した.各
菌株 の細
胞 付 着 性 は, 20個 の剥 離 膀 胱 上 皮 細 胞 に 付 着 し
た 菌 数 の 平 均 を求 め て 比 較 を行 っ た.
各 菌 株 の 赤 血 球 凝 集 は,市
血 をPBSに
球 浮 遊 液 と して, 1×l09/mlの
合 後,
4℃,
20℃,
て4%赤
地 に 所 定 濃度
殖 に よ り調 べ た.
結
菌 懸 濁 液 と等 量 混
37℃ の 各 温 度 条 件 で 各 々10
1.
供 試P.
mirabilis (No.
. 25, No. 30)お
よ り改 良 さ
果
mirabilisの 病 原性 の 判 定
臨 床 分 離P.
ウ レ アー ゼ 活 性 の 測 定
ウ レ ア ー ゼ 活 性 は, Akamatsuに
試菌 の培養 にお
よぼ す 尿 素 添 加 の 影 響 は, TSB培
血
分 間 の微 弱 振 盪 撹 拌 後 判 定 した.
4.
混 合 後, 37℃ に て イ ン キ ュベ ー トし,経
の 尿 素 添加 を行 い, 37℃ 弱 振 盪 条 件 で の 菌 の 増
販 の各種 動物脱繊
て 数 回 洗 浄 後, PBSに
マ 血 清 と混
2,
常 に 弱 い と考 えられ る教 室 保 存P.
6,
No
mirabilis(No.
れ たis)イン ドフ ェ ノー ル法 に よ り測 定 した.一 夜
1)を
TBSに
10分 間 の遠
逆 行 性 尿 路 感 染 モ デ ル 実 験 に よ る致 死 活 性 お よ
ン酸 カ リウ
び 腎 膿 瘍 と尿 路 結 石 形 成 の 有 無 に よ り,ま た マ
て培 養 し た菌 液 を6,000xg,
心 分 離 に よ り集 菌 し, 2回100mMリ
用 い て,各
No.
よ び実 験 の 対 照 と して毒 力 の非
菌 株 の 毒 力 の 判 定 を テ ッ トの
P. mirabilisの
Table
1 Analysis
of pathogenecity
mirabilis
of various
病 原 性 発 現 因 子 の解 析 P.
Table
965
2 Distribution
strains.
of piliated
cells in various
P. mirabilis.
Data
were expressed
P. mirabilis
as % of each category
of
cells.
25お よびNo.
30で は 各 々1.7×107お
106と 強 力 な 毒 性 を示 した. No.
よ び3.5×
1で は4.3×109
で あ っ た.以 上 の よ うに 臨 床 分 離 株 は 比 較 的 高
い病 原 性 を有 す る こ とが 明 か と な っ た の で 以 下
の 実 験 に お い て これ らの 菌 株 に お け る個 々 の 病
原 性 発 現 因 子 へ の 解 析 を加 え た.
2.
P. mirabilisの
近 年,付
付 着 因 子 の解 析
着 に 関 与 す る菌 体 側 因 子 と して 線 毛
の 存 在 が 重 要 視 され て い る の で、 臨 床 分 離P.
mirabilisに お け る 線 毛 と各 種 細 胞 に 対 す る付 着
活 性 に解 析 を加 え た. Fig. 1に 代 表 的 な 菌 株 に
み られ る線 毛 の ネ ガ テ ィ ブ 染 色 像 を示 した.す
Fig.
1
Electron
micrographs
of two
types
of
pili observed
in clinically
isolated
P.
mirabilis strains. A: 7 P pili of No. 25,
B:
な わ ち,線 毛 の 径 が7nm,中
1A)と,線
5 P pili of No. 30. Bar, 100nm.
空 の ため 線 毛 の 中
へ 染 色 液 の 侵 入 が 認 め ら れ る直 線 的 な7 P(Fig.
毛 の径 が4-5nm,線
毛 内に染 色
液 の 侵 入 が 認 め ら れ な い 曲 が り くね っ て い る5
ウ ス に 対 す る致 死 活 性 をLD50の
め た. Table
1に 示 した ご と く,臨 床 分 離 株 は
全 て ラ ッ トの 致 死 活 性,腎
形 成 を 示 し た.特 にNo.
の 形 成 を認 め,そ
4-5mm径
測 定 に よ り求
膿瘍 お よび尿路 結石
6株 は 高 率 に 尿 路 結 石
の うちの膀胱 結石 の大 きさは
P
(Fig. 1 B)に
大 別 さ れ た.
動 物 通 過 後TSBに
お け る 線 毛 の種 類,線
毛 密 度 は,ネ
作 為 に 各 々100個 選 び,電 子 顕 微 鏡 観 察 に よ り調
べ た.結 果 をTable
30は 他 の2株
P線 毛 保 有 菌 が23%,
の臨床分 離株 に比べや
や 高 い 致 死 活 性 を示 し た.ま
た, No. 30に お い
て は 腎 膿 瘍 が 高 率 に観 察 され た.一
に お い て は1匹
て い た が,致
だ け 約1mm径
方, No.
1
の 膀 胱 結 石 を有 し
死 活 性 お よ び 腎 膿 瘍 は 全 く観 察 さ
マ ウ ス に お け るLD50の
測 定 か ら,臨 床 分 離
株 は 全 て108オ ー ター 以 下 の菌 数 を示 し,特 にNo.
2に 示 し た. No.
2は,
5
7 P線 毛 保 有 菌 が2%で,
各 線 毛 の 密 度 は 非 常 に低 か っ た. No.
P線 毛 保 有 菌 の 割 合 が88%と
菌 は 存 在 しな か っ た.ま
6は,
5
高 く, 7 P線 毛 保 有
た, No.
6はNo.
2と
同 様 菌 の 個 体 当 りの 線 毛 密 度 は低 か っ た. No. 25
は, 98%が7
れ なか っ た.
目の各菌株 に
ガ テ ィブ 染 色 を施 し た各 菌 株 を無
に達 す る もの が 多 く存 在 した. No. 25
お よ びNo.
て 継 代3代
毛保 有菌 の割合 お よび線
P線 毛 を保 有 して お り,線 毛 保 有
菌 の 線 毛 密 度 も非 常 に 高 か った(Fig.
30は,
45%の
1 A). No.
菌 が5 P線 毛 を有 し,線 毛 保 有 菌
966 室
Table
*:
**:
3 Adherence
of various
谷
P. mirabilis
勝
久
to bladder
epitherial
Distribution
of adherent bacterial
numbers among 20 bladder
Mean of adherent bacterial
numbers on one bladder epitherial
cells
epitherial
cell .
of mice and rats.
cells .
に お け る 線 毛 密 度 は 非 常 に 高 か っ た(Fig. 1 B).
ま た,
2%の
菌 は7 P線 毛 を保 有 して い た が,
こ れ らの 菌 にお け る線 毛 密 度 は著 し く低 か っ た.
い ず れ の 菌 株 に お い て も同 一 菌 体 に2種 類 の 線
毛 を有 す る も の は な か っ た.な
毛保 有 菌 の 割 合 が10%以
お, No.
1は 線
下 で あ り,保 有 菌 に お
け る 線 毛 密 度 も著 し く低 か っ た.
Table
3に は 各 菌 株 の 剥 離 した マ ウ スお よび
ラ ッ ト膀 胱 上 皮 細 胞 へ の 付 着 性 を ま とめ た.い
ず れ の 菌 株 に お い て も膀 胱 上 皮 細 胞 へ の 付 着 菌
数 に は 大 きな ば らつ きが 存 在 した.単
一の 細胞
当 りの付 着 菌 数 を比 較 して み る と,線 毛 の タ イ
プ に 関係 な く,線 毛 密 度 の 高 い菌 株(No.
よ びNo.
25お
Fig.
2
Micrograph
of piliated
P. mirabilis
ad
herence
to exfoliated
mouse
bladder
epitherial
cell. The adherence pattern is
30)に お い て 高 い 付 着 菌 数 を 示 し た.
そ れ ぞ れ の 菌 株 で マ ウ ス と ラ ッ トの 膀 胱 上 皮 細
obtained
by No. 25. Bar, 0.1mm.
胞へ の 付 着 性 に有 意 差 は 殆 ど認 め られ な か っ た.
な お,こ れ らの 菌 の 付 着 性 は反 応 液 中 に0.1Mマ
哺 乳 動 物 赤 血 球 に 広 く凝 集 を示 し,差 と して は,
ン ノー ス の 添 加 を行 っ て も阻 止 さ れ な か っ た.
前 者 の み が 羊 と家 兎 の 赤 血 球 凝 集 性 を示 し た.
Fig. 2は,マ
ウ ス 膀 胱 上 皮 細 胞 へ 最 も 良 く菌 が
付 着 した 例 を 示 した.
線 毛 の レ セ プ タ ー 認 識 能 の特 異 性 に 解 析 を加
え る ため,各
こ れ ら菌 株 に お い て 観 察 さ れ た赤 血 球 の 凝 集 性
は い ず れ も反 応 液 へ の マ ン ノー ス の 添 加 で 阻 害
菌 株 に お け る各 種 動 物 赤 血 球 凝 集
性 に検 討 を加 え た.血 球 凝 集 能 は4℃,
37℃ の 各 温 度 条 件 で 調 べ た. Table
20℃,
4に 示 さ れ
を受 け なか っ た.
3.
ウ レ ア ー ゼ 活 性 お よび ウ レ ァ ー ゼ 阻 害 剤 の
影響
ウ レ ア ー ゼ は, Proteus属
細 菌 に お い て は その
る ご と く,各 菌 株 共 反 応 温 度 の上 昇 に 伴 っ た 凝
産 生 量 が 高 い こ とか ら有 力 な病 原 因 子 と考 え ら
集 活 性 の 増 加 と凝 集 赤 血 球 の ス ペ ク トル の 広 が
れ て い る.臨 床分P. mirabillisの
りが 観 察 さ れ た.ま
活 性 の 測 定 を行 っ た 結 果,培
た,臨
床 分 離 の4株
類 の 赤 血 球 を最 も良 く凝 集 し た. No.
6は ほ ぼ 同 一 の 成 績 を示 した.そ
血 球 の ス ペ ク トル が 広 いNo.
共 に烏
2とNo.
し て,凝 集 赤
25とNo.
30で は
ウレアーゼ
地 中に尿素 が存在
し な い場 合 に は 菌 株 に 関 係 な くウ レア ー ゼ 活 性
の80-85%が,
に は90-95%が
0.6%尿
素 存 在 下 で 培 養 した 場合
菌 体 画 分 に 活 性 が 存 在 した .そ
P. mirabilisの
Table
4 Agglutinabilities
of various
病 原 性 発 現 因 子 の 解 析 P. mirabilis
against
the red blood
Table
967
cells of different
5 Summary
of urease
animal
species.
activity
kinetics
grown
in media
of various P. mirabilis
with or without urea.
こ で,菌 体 を用 い て,各 種 基 質 濃 度 に お け る ウ
レ ア ー ゼ 活 性 の 測 定 を行 っ た. Fig. 3に1例
と
し て,尿 素 有 無 の 条件 で培 養 したNo.
25に お け
る ウ レ ア ー ゼ 活 性 とLineweaver-Burkプ
ロッ
ト図 を示 した.供
成 績 をTable
試 菌5株
のKmとVmaxの
5に 示 し た が,培 養 時 に お け る 尿
素 の 存 在 の 有 無 に 関 係 な くKm値
22.2mMの
は18.4か
ら
範 囲 に 存 在 して お り,各 菌 株 の ウ レ
ア ー ゼ は ほ ぼ 同 一 の 性 質 を有 す る も の で あ る こ
Fig. 3
Urease activities of P. mirabilis (No. 25)
grown in media with and without urea
(A) and those kinetics analysis (B) .
とが 明 か と な っ た. Vmax値
は尿素 非存在下 で
培 養 した 場 合, 0.44-0.49の
範 囲 内 に あ り,臨
床 分 離 株 で ほ ぼ 同一 の 成 績 を示 し た.ウ
レア ー
ゼ は 尿 素 存 在 下 で そ の 産 生 が 誘 導 さ れ る の で,
968 室
谷
勝
久
Table
6 Summary
of chemotaxis
assay of P.
mirabilis to various rat tissue extracts.
*: Chemotaxis to rat tissue extracts was measured by U
-tube method .
**:
Concentration of tissue extracts adjusted to 0.4mg/
ml and 0.1ml of each used chemotaxis experiments.
組 織 抽 出物 を 入 れ た 側 ま で 移 動 して か ら典 型 的
な運 動 「
生の 差 が 観 察 さ れ た.他
端 にPBSの
み
を 入 れ て あ る場 合 に は い ず れ の 菌 株 に お い て も
4時 間 目か ら17時 間 目 ま で は菌 の 運 動 速 度 は ほ
ぼ 一 定 で あ り, No.
mm/h,
Fig. 4
Analysis of swarming ability and chemo
taxis of P. mirabilis No. 25 to tissue
extracts. The tissue extracts put on ter
minal side of medium in U-shape tube
were abbriveated as kidney (K), ureter
(U), spleen (S), liver (L), bladder
(B) and PBS (N) .
No.
1で8.4mm/h,
6で9.1mm/h,
No. 30で11.8mm/hで
No.
No.
2で9.0
25で10.5mm/h,
菌 株 に よ る差 は ほ とん ど無
か っ た.各 菌 株 に お い て,運 動 速 度 の 増 大 が観
察 さ れ た場 合 を走 化 性 陽 性 と して, Table
そ の 結 果 を ま とめ た. No.
1お よびNo.
6に
2は,
いか な る 組 織 抽 出 物 に 対 し て も走 化 性 を示 さ な
か っ た.一 方, No.
6は 尿 管 抽 出 物 に, No. 25
は尿 管 と腎 臓 抽 出 物 に, No. 30は 膀 胱,尿 管,
尿 素 存 在 下 で培 養 した5株 共 にVmaxの
上昇 が
腎臓 抽 出物 に走 化 性 を示 し た.な
観 察 さ れ た.Kmが
上昇 は
臓 抽 出 物 に 対 して は い ず れ の 菌 株 も走 化 性 を示
同 じ場 合Vmaxの
酵 素 量 の 増 加 と考 え ら れ る の で 尿 素 存 在 下 で培
さ な か っ た.
養 し た菌 に お け る ウ レ ア ニ ゼVmaxの
5.
差 は,各
菌 株 の 産 生 す る酵 素 量 の 差 と考 え られ る.ウ
ア ー ゼ 産 生 量 は, No.
2,
No.
ま た,ウ
6,
1の 順 で あ っ た.
レア ー ゼ の特 異 的 阻 害 剤 と して 知 ら
acid17),18)
を菌 液 と共 に 膀 胱 注 入 し た場 合 に は, No.
2お
6で は尿 路 結 石 と 腎 膿 瘍 の 形 成 は全 く
観 察 さ れ ず, No. 25お よ びNo.
30で は 小 さ い 腎
膿 瘍 の 形 成 が 観 察 され た.
4.
P. mirabilisの
P. mirabilisは
4株 の 臨 床 分 離 株 は,各
々50%の
ヒ ト血 清,
マ 血 清 と37℃ に て1時
間 インキュ
ベ ー トす る と,い ず れ の 株 に お い て も90%以 上
の菌 数 の 低 下 を観 察 し た が,臨
床 分 離4株
は 明 確 な差 異 を 認 め な か っ た.ま
間で
た,こ の 血 清
に よ る殺 菌 作 用 は 非 働 化 血 清 に お い て もほ ぼ 同
じ成 績 が 得 ら れ た.
上 記 と同 様 に し て マ ウ ス 尿 と イ ン キ ュベ ー ト
運 動 性 と走 化 性
し た 場 合 に お い て は,菌 数 の 減 少 は70-80%程
腸 内細 菌 科 の 中 で も最 も活 発
な 運 動 能 を有 して い る. Fig. 4にNo.
血 清 お よ び 尿 に対 す る抵 抗
性 の解析
子 牛 血 清,ウ
れ て い る2mg/mlのacetohydroxamic
よ びNo.
レ
No. 30, No. 25, No.
P. mirabilisの
お,肝 臓,脾
25のU
字 管 で の 運 動 能 測 定 結 果 の 一 例 を示 し た.約15
cmの とこ ろ まで 組 織 抽 出物 の 影 響 が 認 め られ ず,
度 で あ っ た が,
2%の
た場 合 に は,著
しい増殖 阻害 が全 ての供試菌 に
お い て 観 察 さ れ た.
尿 素 存 在 下 で菌 を培 養 し
P. mirabilisの
考
病 原 性 発 現 因 子 の 解 析 969
す る菌 体 の 多 いNo.
察
は,強 いHAお
宿 主 一寄 生体 関係 の解析 は感染症 発 症機 序 を
解 明 す る上 で 不 可 欠 な 条 件 で あ り,多
くの研 究
25お よ びNo.
付 着 性 が 観 察 され た(Table
5Pお
30に お い て
よ び 剥 離 し た膀 胱 上 皮 細 胞 へ の
よ び7P線
3).以 上 の よ うに,
毛 の レ セ プ タ ー 認 識 能 は,羊
者 が 種 々 の 寄 生 体 を 用 い て 解 析 を行 っ て い る.
お よ び 家 兎 赤 血 球 凝 集 性 に 差 が 認 め られ る 以 外
P. mirabilisは,尿
に 明確 な差 は 認 め ら れ ず,こ の 結 果 はAdegbola
路 感 染 に お い て,上
部 尿 路,
特 に 腎 臓 に 障 害 を与 え る傾 向 が あ る点 で 大 き な
特 徴 を有 して い る.本 菌 で は, Seniorの
グルー
等8)の報 告 と も よ く一 致 して い た.
Pazin
and
Braude6)は,
Proteus菌
を鞭 毛 ま
プ が 積 極 的 に 解 析 を行 っ て お り,本 菌 の 病 原 性
た は菌 体 に 対 す る抗 体 で 処 理 す る こ とに よ り,
発 現 因 子 と し て ウ レ ア ー ゼ が 重 要 で あ る と報 告
菌 の 膀 胱 か ら 腎臓 へ の上 行 が 阻 止 され る の で菌
し て い る1),3),
4). Pazin
の 上 行 感 染 に は 運 動 性 が 重 要 で あ る こ と を指 摘
and
Braude6)に
よれ ば,
菌 体 特 に 鞭 毛 に 対 す る抗 体 が上 部 尿 路 へ の 菌 の
して い る.本 実 験 に お い て は,軟 寒 天 培 地 を 入
移 行 を阻 止 す る こ とか ら,上 部 尿 路 で の 病 原 性
れ たU字
管 に お け る各 供 試 菌 株 の 運 動 性 を調 べ
の発 揮 は,強
た が,い
ず れ の 株 も強 力 な 運 動 性 を示 し,各 株
い 運 動 性 に起 因 す る と して い る.
他 方, Adegbolo等8)やWray等9)は,線
毛 の種
間 の 運 動 性 に ほ とん ど差 を認 め なか っ た.し か
類 と尿 路 上 皮 へ の 付 着 性 に 解 析 を加 え て,本 菌
し,組 織 抽 出物 に 対 す る 走 化 性 に 検 討 を加 え た
において は腎臓 細胞 表面 の レセプ ター を特 異的
結 果,特
に 認 識 して 付 着 す る 線 毛 の 存 在 は 明 か で な い と
るNo.
述 べ て い る.彼 等 と は逆 に, Sareneva等
は,組
す る走 化 性 が 観 察 され た.この こ とは, P. mirabilis
mirabilisの 結 合 能 の 観 察 よ り,
が 高 頻 度 に 腎臓 感 染 を起 こ す 一 因 と して こ の 走
織 切 片 へ のP.
MR/P保
有 菌 が 尿 細 管 上 皮 細 胞 に, MR/K保
に 腎 臓 に 対 す る病 原 性 の 強 い と思 わ れ
25お よ びNo.
30で は,腎
臓抽 出物 に対
化 性 の 強 さが 重 要 な 因 子 とな っ て い る可 能 性 を
有 菌 が 糸 球 体 と尿 細 管 基 底 膜 に そ れ ぞ れ特 異 的
に結 合 す る と報 告 して い る12).さらに, Peerbooms
強 く示 唆 して い る.
ウ レ アー ゼ は 以 前 よ り良 く知 られ たProteus属
等14)は,血 清 の 有 す る殺 菌 作 用 に 対 す る抵 抗 性 の
細 菌 の 病 原 性 発 現 因子 で あ るが3),5),こ れ が 最 重
差 も病 原 性 発 現 に 関 係 す る と報 告 して い る.こ
要 の組 織 障 害 因 子 で あ る可 能 性 はTable
れ らの 報 告 の 何 れ に お い て も本 菌 の 特 異 的 感 染
びTable
様 式 を十 分 に 説 明 で きな い で い る.
あ る.ウ レ ア ー ゼ 産 生 量 の 高 いNo.
Proteus属
細 菌 に お け る付 着 因 子 と して は,マ
ン ノー ス の 添 加 に よ り赤 血 球 凝 集(HA)が
さ れ な いMR/P線
毛 ま た はMR/K線
ン ノー ス 添 加 に よ りHAが
阻害
毛 と,マ
阻 害 さ れ るMS線
毛 とが知 ら れ て い る10).大 腸 菌 で はMS線
MS線
毛 は ほ と ん ど観 察 さ れ ず,本
5の 結 果 を比 較 す る こ とに よ り明 か で
レアーゼ が尿路特 に
は
実 験の供 試
よ る結 石 形 成 に 関 与 して い る事 は 明 か で あ る.
な お,腎
局所 で の ウレアーゼ の関与 は明確 に で
きな か っ た が,ウ レア ー ゼ の 特 異 的 阻 害 剤aceto
hydroxamic
Proteusに 存 在 す る4-5㎜
が 著 し く軽 減 し た こ とやGriffith
1B)は,形
と同 一 と考 え られ,
毛(Fig.
1A)は,
の 径 を 有 す る5P
態 学 的 にMR/K線
7nmの
MR/P線
れ らは ほ
とん どが 膀 胱 結 石 で あ り腎 臓 組 織 中 で の 結 石 形
成 は 認 め ら れ なか っ た.ウ
菌 株 に お い て も全 く観 察 さ れ な か っ た,他 方,
線 毛(Fig.
6に お い て
高 頻 度 に 尿 路 結 石 が 形 成 さ れ るが,こ
膀 胱 内 で の 尿 素 分 解 に 伴 っ た尿 の ア ル カ リ化 に
毛が
尿 路 感 染 に深 く関 わ っ て い るが11),Proteusで
1お よ
acidの
注 入 実 験18)で 腎 膿 瘍 の 形 成
and
Musher
毛
の報 告 よ り19),本酵 素 の 腎 障 害 へ の 関 与 は 明か な
径 を有 す る7P線
もの と考 え られ る.ウ
毛 に 相 当 す る と思
る菌 に よ る組 織 障 害 は,胃 潰 瘍,十 二 指 腸 潰 瘍,
レ ア ー ゼ を強 力 に 産 生 す
わ れ る10).菌が 保 有 す る線 毛 の 種 類 の 違 い は,剥
あ る い は慢 性 胃 炎 患 者 か ら高 頻 度 に検 出 さ れ る
離 し た膀 胱 上 皮 細 胞 へ の 付 着 性 やHAに
Helicobacter
ど影 響 し な か っ た(Table
3,
Table
ほ とん
pyloriに お い て よ く研 究 され て い
4)陰 さ
る. Hazell等20), 21)は,本 菌 ウ レア ー ゼ と消 化 性
らに,線 毛 の種 類 は 異 な る が 線 毛 を 高 密 度 に 有
潰 瘍 と の 関 連 を 強 調 して い る.し か し本 実 験 に
970 室
お い て,直
谷
接 的 に組 織 障 害 性 とP. mirabilisウ
勝
久
もの と考 え る.
レ ア ー ゼ の 関 係 は 明 瞭 に 出来 なか っ た.
Table
結
1に 示 した 総 合 的 な 病 原 性 判 定 結 果 と
個 々 の 因 子 に 関 す る解 析 結 果 の 関 連 を 各 菌 種 に
論
本 研 究 で は,病
原 性 の 異 な る 臨 床 分 離P.
つ い て ま とめ る と次 の 如 くな る. No. 30は,付
mirabilisを
着 性,ウ
mirabilisの 病 原 性 発 現 過 程 に, 1)
レ ア ー ゼ,走
い 活 性 を示 し,ラ
化 性 い ず れ を と っ て も強
ッ トで の 高 率 の 膿 瘍,結
石形
成 お よび マ ウ ス で の 致 死 活 性 の 高 い こ と と も よ
く一 致 して い た. No. 25は,付
着 性 と走 化 性 は
No. 30と ほ ぼ 同 じで あ っ たが,ウ
が 低 か っ た た め 結 石 は2/7に
6に お い て は,ウ
レア ー ゼ 活 性
と ど ま っ た. No.
レア ー ゼ 活 性 が 最 も 強 力 で あ
っ た の で 観 察 さ れ た膀 胱 結 石 は 極 め て大 きか っ
た.付
着 性 は 弱 く,走 化 性 も尿 管 に 対 して の み
示 すNo.
6に 腎 臓 に 対 す る病 原性 は 期 待 で きな
い はず で あ る に もか か わ らず,高
認 め た こ とは,膀
率 に腎膿瘍 を
胱 結 石 の た め 尿 の 滞 留 に伴 っ
用 い て,尿
路 感 染 症 に お け るP.
侵 入 後 尿 路 上 皮 へ の 付 着 ・定 着,
対 す る菌 の 抵 抗 性,
臓 へ の 上 行,
4)
3)
菌 の膀 胱 内
2)
尿成分 に
強 力 な 運 動 性 に よ り腎
腎 臓 へ の 上 行 後,菌
の産生 す
る強 力 な ウ レ ア ー ゼ に よ る組 織 障 害 の 進 行 等 の
観 点 か ら解 析 を加 え た.
そ の 結 果,高
い 病 原 性 を有 す るP. mirabilis
(No. 25, No. 30)は,
5 Pま
た は7 P線 毛 の
種 類 に は 関 係 な く,個 々 の 菌 体 に お け る線 毛 密
度 の 高 い もの が 尿 路 上 皮 へ の 高 い付 着 性 を示 し
た.こ
れ らの 強 病 原 性 発 現 株 で は,運
の 弱 病 原 性 株 と異 な ら な い が,尿
動 性 は他
路 臓 器 抽 出物
た 菌 の 腎臓 へ の 流 入 が あ っ た た め と考 え られ る.
に対 して 強 力 な 走 化 性 を示 す 点 で 異 な っ てい た.
ま た, No.
更 に,臨
1お よ びNo.
2の よ うに い ず れ も病
床 分 離P.
mirabilisに お け る病 原 性 の
原 性 が 弱 い か ま た は 無 い場 合 に は 全 て の 病 変 が
発 現 は,前 述 の 要 因 に,尿
ほ とん ど認 め られ な か っ た.
そ の 産 生 が 誘 導 さ れ る ウ レ アー ゼ に よ る尿 路 結
以上 の 点 か ら, P. mirabilisに
よ る尿 路 感 染
1)
石 形 成 と 腎臓 組 織 の 障 害 が 加 わ る こ と に よ り,
P. mirabilisに
時 に お け る病 原 性 発 現 過 程 ば,
菌 の 膀 胱 侵 入 後 膀 胱 上 皮 へ の付 着 定 着 の
中尿 素 の 存 在 に よ り
特 異 的 な 上 部 尿 路 で の 病 原性 が
発 現 さ れ る こ とが 明 か とな っ た.
た め の 付 着 因 子,
2)
膀 胱 内侵 入 後 の 尿 成 分 に 対 す る菌 の 抵 抗
3)
強 力 な 運 動1生 と走 化 性 に よ る腎 臓 へ の 上
り御 指 導頂 き ま した友近 健 一 講 師 に感謝 の 意 を表 し
ます.更 に,有 益 な る ご助 言 を頂 きま した平井 義一
行,
4)
稿 を終 え るに あた り御 指 導御 校 閲 を賜 りました恩
師金 政 泰 弘教 授 に深 謝致 し ます.な お,実 験 に あた
性,
腎 臓 へ の 上 行 後,強
力 な ウ レア ー ゼ 活 性
に よ る結 石 の 形 成 お よ び 組 織 障 害 の 進 行
よ りな り,こ れ ら諸 因 子 の 全 て あ るい は 一 部 の
助教 授 は じめ教 室 の 皆様,菌 株 の御 分 与並 びに数々
の御 助 言 を頂 きま した本学 泌 尿 器科 学 教室 大 森弘之
教授,公 文 裕 巳助 教 授 に厚 く感謝 致 します.
関 与 に よ り病 原 性 の 強 さ あ るい は病 態 が 異 な る
文
献
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972 室
Analysis
of pathogenic
谷
勝
factors
from
urinary
of Proteus
tract
Katsuhisa
Department
Okayama
mirabilis
isolated
infection
of Microbiology,
Okayama
Proteus
mirabilis
MUROTANI
University
(Director:
久
Medical School,
700, Japan
Prof. Y. Kanemasa)
has several pathogenic factors such as adherent ability to urinary tract
epitherial cells, urease, motility and resistance to urine. The pathogenic activities of clinically
isolated P. mirabilis were analyzed. Higher pathogenic strains (No. 25 and No. 30) which had
morphologically different pili but had a higher density of pili showed strong adherent activity
to bladder epithelial cells of mouse and rat. These strains also showed a clear chemotaxis to
urinary
tract
tissue extracts.
These findings indicate that the combination
of adherent,
chemotaxis and urease activities is essential for causing of tipical kidney infection by P.
mirabilis.
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