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がん領域における臨床試験の特徴 (福田治彦)

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がん領域における臨床試験の特徴 (福田治彦)
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
トピックス:がん臨床試験の特徴
1. 背景・位置付けの特徴
がん領域における臨床試験の特徴
2. 臨床的特徴
3. 統計的特徴
4. 研究組織の特徴(Cooperative Group)
福田治彦
5. データマネージメント的特徴
国立がんセンター がん予防・検診研究センター情報研究部
/JCOGデータセンター
トピックス:がん臨床試験の特徴
がん治療の特徴:集学的治療
Multi-modality therapy
1. 背景・位置付けの特徴
早期胃癌
2. 臨床的特徴
3. 統計的特徴
5. データマネージメント的特徴
悪性新生物
その
他
眼疾患
4.3%
2兆0913億円 8.7%
呼吸器疾患
8.3%
筋骨格系・膠原病
8.0%
高血圧 7.7%
尿路系疾患
6.4%
心血管系 計
5兆3708億円 /22.4%
外傷・中毒
6.8%
精神疾患 6.9%
代謝性疾患 7.0%
放射線治療
早期
頭頚部癌
医薬品薬効大分類別生産金額(2001年)
計 : 23兆9608億円, 厚生労働省
皮膚
2.1%
術前化学
放射線療法
化学放射線療法
薬物治療
Chemoradiation
(化学療法・遺伝子治療)
食道癌
肺癌
小児白血病・リンパ腫
疾患別国民医療費(2000年)
神経疾患 2.5%
心虚血
3.1%
感染症
3.2%
心血管系その他
4.2%
術後補助照射
術前補助化学療法
術後補助化学療法
adjuvant therapy
4. 研究組織の特徴(Cooperative Group)
乳癌
外科的切除(手術)
乳癌
脳血管疾患 7.5%
消化器疾患 7.2%
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
腫瘍用薬
1532億円
2.4%
(第16位)
循環器官用薬
1兆2438億円
19.1%
消化器官用薬
滋養強壮薬 2.8%
5608億円
8.6%
感覚器官用薬 3.6%
ビタミン剤 3.7%
その他の代謝性医薬品
アレルギー用薬 3.8%
5576億円
8.6%
生物学的製剤 3.9%
血液・体液用薬 4.6%
外皮用薬 5.8%
中枢神経系用薬
5514億円
8.5%
抗生物質製剤
4104億円
6.3%
1
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
2001年医薬品生産額/ 2000年国民医療費
心血管系
悪性新生物
循環器官用薬
7.3%
消化器官用薬
1,000
代謝性医薬品
売上︵億円︶
23.2%
医薬品国内売上高上位50品目(2002年3月決算)
1,200
中枢神経系用薬
800
7 リュープリン(非がん疾患にも適応あり)
腫瘍用薬
15 ユーエフティ
600
50 ノイトロジン
46 フルツロン
400
消化器疾患
代謝性疾患
32.4%
33.4%
200
ノイ ト ロジ ン
ク ラ リ シ ッド
メ イ アク ト
テオ ドー ル
フルツロン
パ ンスポ リ ン
ア ル フ ァ ロー ル
ボ ルタ レ ン
ラ ジ カ ット
ア レジオ ン
ジ フ ルカ ン
塩 酸 バ ン コマイ シ ン
ゾ ビ ラ ック ス
カ ルデ ナ リ ン
イ ト リゾ ー ル
エ ルシ ト ニン
テオ ドー ル
フ ル マリ ン
オ ノン
キ ネ ダ ック
エパデ ー ル
クラ リス
タ ケプロン
ム コス タ
レ ニ ベー ス
セ フゾ ン
メ チ コバ ー ル
ロキ ソ ニ ン
コ ニー ル
セ ル ベ ック ス
フ ロ モ ック ス
イオ パ ミ ロ ン
アダ ラ ー ト
ア ム ロジ ン
オ ム ニパ ー ク
ユー エ フ テ ィ
ハルナー ル
モー ラ ス
パ ナ ルジ ン
リピ トー ル
ベイ ス ン
ク ラ ビ ット
ニ ュー ロ タ ン
リ ュー プ リ ン
リポ バ ス
ブ ロプ レス
エポ ジ ン
ノ ルバ スク
ガ スタ ー
メ バ ロチ ン
0
74 タキソール、92 スミフェロン
国内主要製薬企業売上高(2001年度)
一般薬の治療開発
前臨床研究
武田薬品工業
臨床導入
三共
単剤第Ⅰ相
山之内製薬
●
エーザイ
単剤第Ⅱ相
塩野義製薬
●
藤沢薬品工業
●
●
中外製薬
田辺製薬
万有製薬
大日本製薬
●
住友製薬
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
● 抗がん剤あり
がんの治療開発
億円
新しい標準治療
のひとつ
研究者主導臨床試験
第Ⅳ相
市販後調査
後期開発
治験
臨床導入
市販後再審査
手術・
放射線治療
単剤第Ⅰ相(患者)
•
単剤第Ⅱ相
実地医療での使用
併用第Ⅰ相・第Ⅰ/Ⅱ相
集学的治療
第Ⅰ相
第Ⅰ/Ⅱ相
併用第Ⅱ相
単剤第Ⅲ相
市販後臨床試験
•
集学的治療
第Ⅱ相
併用第Ⅲ相
集学的治療
第Ⅲ相
市販後調査
市販後臨床試験
公費臨床試験・自主研究
医局主導臨床試験
治療の最適化
- 患者選択
- 用量
- スケジュール
(個別化?)
まとめ:背景・位置付けの特徴
早期開発
前臨床研究
市販後再審査
RCTによる
レベル1の
エビデンス
Investigator-initiated trial
小野薬品工業
販売承認
治験
販売承認
三菱ウェルファーマ
実地医療での使用
●
単剤第Ⅲ相
第一製薬
Registration trial
IND (Investigational New Drug) trial
Industry-sponsored trial
•
抗がん剤開発は製薬企業のすきま産業
–
医薬品としての市場規模は小さい
–
開発リスク大
–
投資効率悪く、大資本は手を出さない
集学的治療が主体
–
薬物療法・手術・放射線治療
–
抗がん剤販売承認後の治療開発も重要
研究者主導臨床試験(治療開発)が不可欠
研究者主導臨床試験
新しい標準治療
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
2
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
がんの多施設共同臨床試験グループ
Cooperative Group
1. 背景・位置付けの特徴
NCIC
SWOG
MRC
1950年代後半∼
CALGB
EORTC
ECOG
NSABP NCCTG RTOG
GOG
トピックス:がん臨床試験の特徴
1962年∼
WJTOG
JFMC
2. 臨床的特徴
NSAS
JCOG
3. 統計的特徴
1990年∼
COG ACOSOG
4. 研究組織の特徴(Cooperative Group)
・集学的治療(後期治療開発)の研究者主導試験を行う
・試験ごとの組織ではなく恒常的な機構を持つ
・米国ではすべての「がん臨床試験」参加患者のうち60%が
Cooperative Group の試験に参加
・米国臨床腫瘍学会(ASCO)の全員セッション(plenary session)
の発表の約6割がCooperative Group
・「がん」では一般的、がん以外ではまだ?一般的ではない
がん臨床試験の臨床的特徴
•
–
2. 臨床的特徴
支持療法・併用療法もプロトコールに組み込まれる
症状改善効果も評価したい(Patient-reported outcome: PRO)
3. 統計的特徴
治療による毒性がつきもの
–
なし/あり だけではなく、種類・程度・重篤度の評価も不可欠
4. 研究組織の特徴(Cooperative Group)
有害事象と治療の因果関係の判断が困難
–
•
有害事象と毒性(薬物有害反応)の区別・データの慎重な取扱い
5. データマネージメント的特徴
治療レジメン・治療変更規準が複雑
–
–
•
1. 背景・位置付けの特徴
真のエンドポイント(死亡)が検証的試験(第Ⅲ相試験)のプライマ
リー・エンドポイント
原疾患による症状がキツい・つらい
–
–
•
トピックス:がん臨床試験の特徴
予後が悪い・試験参加患者さんの大部分はがんで亡くなる
•
•
5. データマネージメント的特徴
毒性が出たら即中止・・・ではない・・工夫して続ける
コース開始規準・休止/延期規準・再開規準・減量規準・etc.・・・
逸脱が多い:「それじゃあ危ない逸脱」「それじゃあ効かない逸脱」
–
モニタリング(central, site-visit)や監査で最小化する努力が重要
真のエンドポイントと代わりのエンドポイント
真の(true)
エンドポイント
がん
延命効果
(生存期間・生存率)
真の“Quality of Life” の改善
中間・二義的
再発抑制効果
(無再発生存期間
・再発率)
死亡率
心筋梗塞発症割合
頻度低い
長期観察必要
目的
腫瘍縮小効果
(奏効率)
QOLスコア
モルヒネ必要量
疼痛スコア
真の除痛・症状改善割合
がん以外
相ごとの 方法論のエッセンス
代わりの(surrogate)
エンドポイント
平均拡張期圧
低下割合
自覚症状改善効果
不整脈死亡発生割合
安静時の不整脈頻度
糖尿病性網膜症
発症割合
HbA1c改善割合
尿糖消失割合
試験デザイン、rationale(研究を実施する正当性)、結果の解釈に関係
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
主たる
Endpoint
Phase I
Phase II
Phase III
Phase II に進むか
どうかを決める
Phase III に進むか
どうかを決める
標準治療を決める
次は日常診療
安全性のスクリーニング
Phase II でのレジメン
(用量/用法)を決める
有効性のスクリーニング
毒性プロファイルの充実
治療変更規準等の最適化
総合的な Benefit
/ Risk 評価
標準治療とのランダム化比較
・毒性(MTD・DLT) ・有効性の短期的な
・有効性の長期的な
surrogate endpoint
true endpoint
・探索的な有効性
(効きそうな薬かどうか) ・毒性
・毒性
対象
広い
− 疾患要因
(がん種/stage)(がん種を問わない)
狭い
− 宿主要因
(年令/臓器機能) (正常臓器機能)
> 狭い(特定) =
狭い(特定)
<
やや広い
<
もっとも広い
事前の安全性
情報の蓄積
ほとんどなし
(リスク大)
<
少ない
(リスク中)
<
多い
(リスク小)
単施設
<
<
(一般病院主体)
参加施設
(∼少数の専門施設)
中規模
(専門病院主体)
大規模
3
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
必要被験者数(sample size)と必要イベント数
JCOG9511(肺がん内科) Scandinavian Simvastatin Survival Study (4S)
進展型小細胞肺癌
70才以下
狭心症or心筋梗塞の既往
35-70才
ランダム割付
ランダム割付
イリノテカン +
シスプラチン
エトポシド+
シスプラチン
プラセボ
Lancet 344, 1994
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
循環器の研究者主導研究の国内例
• CASE-J研究(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)
– 福井次矢:臨床研究・生物統計研誌 23 (1) 2003
– 対象:高血圧症の20∼84才男女
より抜粋
目標4000例
– 収縮期>140mmHg( 70y∼:>160mmHg)or 拡張期>90mmHg
• 心血管系リスク因子1つ以上
シンバ
スタチン
– 重症高血圧:収縮期>180mmHg or 拡張期>110mmHg
– II型糖尿病:FBS≧126mg/dl, BS≧200mg/dl, 血糖降下薬, インスリン
– 脳血管障害の既往:脳出血・脳梗塞・TIA
– 心肥大・心虚血:左室肥大、狭心症、心筋梗塞既往
– 腎障害:蛋白尿 or Cr≧1.3mg/dl
など
0.80
– 治療:アンギオテンシンII拮抗薬 vs. カルシウム拮抗薬
をランダム割付
– エンドポイント:心血管系イベント
• 突然死、脳卒中・TIA、心筋梗塞・狭心症、腎障害、解離性大動脈瘤 etc.
• 仮説:全体でいずれかが他方よりイベントが40%少ない → 3200例必要
N Engl J Med 2002
必要イベント(死亡)数:183
必要被験者数
:230
まとめ:がん臨床試験の統計的特徴
•
•
• ACE拮抗薬の方がよい患者集団とCa拮抗薬の方がよい患者集団を分別する?
トピックス:がん臨床試験の特徴
検証的試験(第Ⅲ相試験)では真のエンドポイント
かそれに近いエンドポイントを使う
1. 背景・位置付けの特徴
–
–
全生存期間(死因を問わない死亡がイベント)が基本
無再発(無増悪)生存期間でもよいか?はがん種による
2. 臨床的特徴
•
3. 統計的特徴
FDAが認めるのは・・乳がん>大腸がん>>>肺がん・胃がん
第Ⅲ相試験でも中規模
–
–
•
– リスク因子別のサブグループ解析にむしろ主たる関心がある
必要イベント(死亡)数:440
必要被験者数
:4444
4. 研究組織の特徴(Cooperative Group)
通常は数百例:予後が悪い=イベントが多いため
予後のよい対象(術後補助療法etc)では数千例
標準治療 vs. 新治療 の決着を付けるのががんの第Ⅲ
相試験(一発勝負?)
–
–
サブグループ解析を初めから主とはしない
標準治療Aと標準治療Bのよりよい使い分けの試験はまれ
–
「標準治療は何か?」の議論がより重要
臨床試験に必要な組織(共通)
• 3つの基本要素
スポンサー
(企業・国・医局)
5. データマネージメント的特徴
大規模多施設共同試験の仕組み(一般論)
• 試験ごとに組織− 循環器・代謝疾患・がん予防
– Essential Components
主任研究者/
研究代表者
¥
各種委員会
(第三者的監視機構)
Committee
プロジェクトマネージャー
Data & Safety
Monitoring
Committee
試験統計家
Data
coordinating center
データ
マネージャー
Treatment
coordinating center
Central Labo.
Reading Center
モニター
臨床研究者集団
(診療・研究の主体)
Investigators
中央
モニタリング
データ管理・統計解析
(支援機構)
医学的検討
有害事象報告
監査
担当者
画像の読影
病理中央診断
ECG、眼底写真
Data Coordinating Center
施設訪問
モニタリング
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
参加医療機関
施設訪問
監査
4
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
がんの Cooperative Group の仕組み
米国のがんの臨床試験グループの歴史(1)
• 試験ごとではない恒常的な組織(複数の試験を同時並行で実施)
代表:MD
代表:統計家
Statistical/Data
Center
Operations
Office/Center
統計家:数がん種に1人
データマネージャー:がん種ごと
システム担当:数名∼10数名
中央
モニタリング
管理者のMD数名
プロトコールコーディネーター数名
有害事象報告担当
医学的検討
放射線治療
品質保証センター
監査担当者
がん種別のサブグループ
サブグループごとの責任者
Data & Safety
Monitoring
Committee
試験ごとの責任者
• 1946-1948
原則グループ全体でひとつずつ
Protocol Review
Committee
Group Chair
– 世界初の RCT の成功(イギリス)
– 結核 – streptomycin vs. 床上安静
• 1940年代後半∼1950年代前半
– がんに対して「抗がん剤が有効らしい」というデータが蓄積
– 「化学療法」に対する期待が高まる
・施設訪問モニタリングはしない
・Central Labo. は使わない
・グループ全体が年2回一同に
• 1954
– 小児の急性リンパ性白血病に対してがんで最初のRCT
会して会議
参加医療機関
施設の研究責任者
• NCI - Dr. Gordon Zubrod (結核のRCTの影響を受けた)
施設訪問監査
(MDは相互に訪問する
グループもある)
米国のがんの臨床試験グループの歴史(2)
• 1955
• 6-mercaptopurine, methotrexate
米国のがんの臨床試験グループの歴史(3)
• 1955
– NCIが「臨床試験パネル (Clinical Studies Panel)」会議
– Acute Leukemia Group A, B が組織
• 小児血液病での多施設共同 RCT の「成功」
• 1976年、Cancer and Leukemia Group B (CALGB)へ
• 「化学療法」に対する期待
– Zubrod が Eastern Solid Tumor Group を組織
• 固形がんで最初のRCT
• のちに Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG) へ
• 多施設共同研究グループ(Cooperative groups)という研究方法支持
• 1958
– 臨床試験共同研究グループプログラム(Clinical Trials
Cooperative Group Program)が予算化
• 1956
• 当初の主目的は NCI の薬剤開発プログラムによる新規抗がん剤の評価
– Southwest Cancer Chemotherapy Study Group
• 500万$/年(約 6.5 億円)
(SWCCSG)
• 現在、9000万$/年(約 115 億円)9 の臨床試験グループを支援
米国NCI体制
• Adult, multi-modality (“Big 4”)
ACF
– National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project
(NSABP)
– Gynecologic Oncology Group (GOG)
• Specific types
– American College of Surgeons Oncology Group (ACOSOG)
エイコソッグ
– Radiation Therapy Oncology Group (RTOG)
Office for Human
Research Protection
HCFA HRSA IHS
Health Care
Financing
Administration
NIH
National Institute
of Health
PSC SAMHSA
Clinical center
NCI
– North Central Cancer Treatment Group (NCCTG)
• Disease-oriented
FDA
Food & Drug
Administration
– Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) イーコグ
OHRP
DHHS
Department of Health & Human Services
AOA AHCPR CDC
– Cancer and Leukemia Group B (CALGB) シーエーエルジービー
– Southwest Oncology Group (SWOG) スウォッグ
17 の臨床試験グループが成立
• その後、目的が「集学的治療の評価」へと拡大
• 1973年、The Southwest Oncology Group(SWOG)へ
NCI-sponsored Cooperative Groups
5施設による共同試験
NCI-Frederick
NEI NHLBI NHGRI NIA NIAAA NIAID
NNIAMS NICHD NIDCD NIDCR NIDDKD NIDA NIEHS
NIGMS NIMHNINDS NINR
NLM
CC
CIT NCCAM NCRR
FIC CSR
National Cancer
Institute
約4000人(full time約2000人)
IND(治験届)
DCTD Division of Cancer Treatment and Diagnosis
DTP
Discovery, screening,
manufacturing
Research Bases
________________________
____________ _________
_________
____________
Jonsson
____________
Univ.
Wisconsin
Kimmel__________
Kaplan
Yale Univ. Fred Hutchinson Duke Univ.
Roswell Park Dana-Farber MD Anderson
Fox Chase Johns Hopkins Epply
– Children’s Oncology Group (COG)
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
NCI-sponsored
Cancer Center : 60
translational - phase I - phase II
CTEP
Cancer Therapy
Evaluation Program
CTC(AE)
SWOG NSABP ECOG
RTOG CALGB GOG
NCCTG COG ACOSOG
NCI-sponsored
Cooperative Group : 9
phase II - III, prevention
DCP
Division of
Cancer Prevention
CCOP: 50
Community Clinical
Oncology Program
患者
登録
CRCの
人件費
Community
Hospitals
/Oncologists
5
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
いずれも人的インフラ整備が目的・試験ごとではない
NCIの主要がん研究プログラム
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
がん治療開発における NCI の主な役割
1. がん治療開発全体を推進・管理
• Clinical Trials Cooperative Group Program
– 1958∼
約9000万ドル/年
1グループあたり平均13億円/年
– 「がん治療研究のための臨床試験を継続的に実施するための研究機構を
サポートする」:データセンター・運営事務局のスタッフを雇用
– 1963∼:P30 Cancer Center Support Grant
– 約2億ドル/年 1医療機関あたり平均3億円/年
–
–
製薬企業と対等の「スポンサー」:自ら薬剤開発(製造工場を持つ)
FDA に治験届(IND application):phase I∼phase II
–
有望な薬剤は製薬企業に無償提供:企業が phase III (例:Taxol)
–
ベンチャー企業の抗がん剤開発支援
•
– 医療機関の研究インフラのための研究費 個々の研究課題に依存しない
– 統計家、データマネージャー、CRC、事務員、臨床医を雇用
NCI 指定の各がんセンターが実施
3. 抗がん治療の後期開発
• Community Clinical Oncology Program(CCOP)
1983∼
地域のオンコロジストがNCIの治療試験・予防試験に参加可能
50 CCOPs 13 Minority CCOP: 415医療機関 3675人の医師
1900ドル(20万円強)/登録患者 → CRCを雇用
NCI-CTEPの治療研究全体の約3分の1の患者を登録
(がんの)Cooperative Group の使命
がん研究費の一元管理:基礎∼臨床
研究者の管理:登録・資格剥奪
2. 新規抗がん剤開発 = 抗がん治療の早期開発
• Cancer Center Program
–
–
–
–
–
巨大な国営
製薬企業!
–
–
–
Cooperative groups を統括・管理(NCI-CTEP)
–
Community hospitals の研究参加支援(NCI-DCP)
•
•
•
プロトコール審査・承認
Cooperative groups の監査の情報を把握・監査に同行
CCOP(Community Clinical Oncology Program)
日本のがん研究体制
• 製薬企業がカバーしない治療開発
日本政府
厚生労働省
文部科学省
• 後期治療開発
– 多施設共同 phase II ∼ phase III
大臣官房
– 併用化学療法の開発評価(企業の市販後臨床試験にならなかったもの)
– 手術手技・放射線治療・集学的治療の開発評価
医政局
厚生科学課 研究開発 国立病院課
振興課
厚生労働科学研究
の企画立案
– 稀少がん種領域単独でそれぞれ組織/人の維持は困難・非効率的
– Disease-specific Group は米国でも乳癌・大腸癌・(婦人科)のみ
臨床医の片手間ではないデータセンターを有していると認知されているもの
WJTOG (肺癌)
JFMC (multi-disease)
- NPO
- 企業より寄付+会費
がん集学的治療財団
- 財団
- 企業より寄付
NSAS/CSPOR (乳癌)
-財団+NPO
-企業より寄付
Aの
審査管理課
役
割
独立行政法人
医薬品医療機器
総合機構
厚生労働科学研究費
の一部管理
第三次対がんなど
がん研究
助成金
国立がん
センター
JCOG
(旧審査センター
+医薬品機構)
がん専任の 政府機構(本省)技官(科学者)
日本ゼロ vs 米国2000人
Cooperative Group の試験と治験との違い
JMTO
(multi-disease)
-NPO
割
厚生労働科学研究費
の一部管理
– Multi-disease Group が基本
大学病院
FD
大規模治験ネットワークなど
– 「適応外使用」となるがん種への適応拡大
日本の Cancer Cooperative Groups
医薬食品局
生活習慣病
対策室
– Multi-modality Group が基本
• 稀少がん種の治療開発
健康局
NI
総務課 Hの役
JCOG (multi-disease)
-法人格なし
-厚生労働省研究班の集合体
-(財)日本公定書協会と連携
• Sponsor(治験依頼者) と investigator (治験責
任医師)との明確な区別がない
– 施設研究責任者、研究代表者、グループ代表者、委員会が、
ICH-GCPでの“sponsor-investigator”として責任分担
– 医療機関の長とCooperative Groupが試験単位で契約を
結ぶわけではない
• 施設訪問モニタリングはふつうやらない
– データセンターによる中央モニタリング:年2回が国際標準
– 「モニターさん」は居ない
• 施設訪問監査
その他、データセンターを持たないグループ 無数
(おそらく無数の小規模試験の無政府的重複)
– 試験ごとではない 複数の試験の同時監査
– 問題点は登録中の試験にフィードバック(QA + QC)
全体像を把握している人間は居ない・・
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
6
がん領域における臨床試験の特徴(福田治彦)
第11回CSPOR・CRCセミナー(2005/9/17∼9/18)
Cooperative Group の規模
Multi-disease group
なぜ Cooperative Group は低コストか?
Disease-oriented
SWOG
米
EORTC
欧
JCOG
日
NSABP
米
NSAS
日
13
22
13
2
1
医療機関数
550
700+
200
230
100+
登録中試験数
104
113
25
7
3
300+
?
70
40
3
30
24
10
1-2
1
臓器グループ数
管理試験総数
年間開始試験数
Phase IIIの
症例数
数百
85
145
メリット
Cons.
デメリット
ちなみに
私の印象
• プロトコール、CRF(Case Report Form)、データベース、各種手順
– 背景因子、手術フォーム、効果判定フォームはがん種単位で標準化
– がん種ごと・試験ごとの特異性はある程度切り捨て
• 後期治療開発のための仕組みである
– Phase II ∼ phase III を行う・・・未知の毒性は多くない
• 毒性関連情報の管理は治験より軽い
– Phase I、phase I/II は原則やらない(米:Cancer Centers)
35
50?
※ EORTC はやる(新薬開発のサブグループあり・モニターが居る)
Multi-disease
Group
• “sponsor”ではない(米国)
?
– 米国 Cooperative group のスポンサーは NCI
9.5
Multi-disease vs. Disease-specific
Pros.
– がん種によらず標準化
数千
登録中1試験あた
りのデータセンター経費 約250万円 約950万円 約550万円 約3600万円
HQスタッフ数
• 営利企業ではない:欧米でもNPO or 任意団体
• 「標準化」による効率化:特に multi-disease group
• 新薬開発治験の場合も FDA 対応は NCI、薬事関連業務は軽い
まとめ:Cooperative Group の仕組み
Disease-specific
Group
• Cooperative Group の構造はだいたい同じ
– 臨床家の集団・統計/データセンター・運営事務局
・異なる領域の専門家どうしの
・当該疾患に最適化した試験設定
相互批判(peer review)
可能
→ より客観的に科学性が担保
・他領域を気にしなくてよいので
・異なる領域のノウハウ共有
フットワークが軽い
・他領域専門家の理解を得る必要 ・独善に陥る危険あり
→フットワークが重い
(他領域から見れば非常識)
・当該疾患に最適とは言えない
・他領域のノウハウ利用できない
【 NSABP→SWOG批判】
【SWOG→NSABP批判】
「不親切・難し過ぎる」
「あんなスプーンフィーディング
「タカビー?(我々に従え)」
は要らない・やりすぎ」
・Cooperative Groupの統計家どうしはネットワークがあり、統計
的方法論は互いに理解している → 統計家のグループ間差は小さい
・CRCやDMもSoCRA等で横のつながりあり
・グループ間のやり方の違いは臨床医(のコミュニティ)の違いが大
トピックス:がん臨床試験の特徴
• Cooperative Groupの使命
– 製薬企業がカバーしない治療開発
– 後期治療開発・稀少がん種の治療開発
• 日本では
– 公認された仕組みではない(JCOGも含めて)
– Cooperative Groupの全体像を誰も把握していない
• Cooperative Group 試験の治験との違い
– 治験依頼者ではない・自ら実施する者の集団
– 高度に標準化・個々の試験に最適化されているわけではない
がん臨床試験:データマネージメント的特徴
1. 背景・位置付けの特徴
•
2. 臨床的特徴
3. 統計的特徴
4. 研究組織の特徴
5. データマネージメント的特徴
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁じる
•
国際レベルの標準化
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CTC(AE):毒性/有害事象の国際共通規準
RECIST:効果判定の国際共通規準
こんなのがあるのは「がん」だけ
Pros:他国と同じ土俵で議論ができる:データの比較可能性
Cons:従わなければならない(気に入らなくても)
Cooperative Groupにおける標準化
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プロトコール
Case Report Form:グループ共通・がん種ごと
データ定義・エンドポイント定義
データベースシステム
解析プログラム
レポート
品質管理・品質保証の方法
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現在NCIはグループ横断的な標準化を指向
•
モニタリング、施設訪問監査、効果の中央判定、病理中央診断、放治QA
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