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技術解説書
技術解説書 簡易版 目次 知識 1.ウイッグに関する基礎知識 a 試着時におけるウイッグの合わせ方 b 毛質について c ベースネット(構造)について d 毛色について e 取り扱いについて ・ 洗い方 ・ 乾かし方 ・ 保存方法 ・ 外し方 2.備品類に関する基礎知識 a 整髪料に関して b その他備品類に関して 技術 1.ウイッグの基礎セット a 根元矯正 b アイロンの使い方 c スタイリング 2.ウイッグの基礎カット a 毛量調整 b カット c 仕上カット 1 知識 1.ウイッグに関する基礎知識 a 試着時におけるウイッグの合わせ方 ・ つける前にトップピースの前後を確認します ・ ストッパーを開いておきます ・ ボリュームを出したい位置を決めます(基本は、生え際から3~4cm後ろ) ・ ストッパーのくしを頭皮に対して垂直に当て、そのまま地肌沿わせる様にして自毛に 差し込みます ・ ピンはまずフロントから留めてその後、右・左・後ろの順で留めていきます (最後に後ろを留めることで、フィット感が出ます) ・ ブラシを使い、スタイリングをしてみる 注釈 初めてウイッグを使う方には、いきなりウイッグを被らせないで商品の説明を行っ た後にスタイルを選んで頂き試着に入ります。 選ぶスタイルに関しては、ご本人の現在または直近の髪型に近いところから選択 することをお勧めいたします。しかし、ご本人が希望のスタイルを決めている場 合はご意思を尊重した方が良いでしょう。 ただし、よほどの場合を除き過去の髪の長さよりも長いスタイルはあまりお勧め 出来ません。これは、髪が長くなればなる程お手入れが難しくなるからです。 さて、実際の装着ですが担当者がお客様の後ろに立ちウイッグを被せます。 お客様から見ると、被った後の自分は今までの自分とは別人の様に見えることが 殆どなので、気になる部分やスタイルに関して意見を良く聞くことから始めまし ょう。(10分から20分程度被っていると、被っている自分に慣れてきます) b 毛質について ・ 加工人 毛 とは、人間の髪をウイッグ用に加工した毛髪です。 長所は、自然感が高くアレルギー等も起きにくいことです。 短所は、シャンプーをするたびにきちんとセットを行わないと形になりにく い為、お手入れが大変である。 ・ 化 繊 とは、アクリル繊維を人間の髪の毛に見えるように加工した繊維です。 長所は、非常に軽く軟らかくさらさらと風になびきます。 短所は、熱に対し非常に弱く40℃程度の温度でもセットが崩れつぶれたス タイルになってしまいます。強度も弱く、すぐに切れてしまいます。 ・ 耐 熱 性 形 状 記 憶 毛 とは、ポリエステル繊維を人間の髪の毛に見えるように加 工した繊維です。 長所は熱に対して非常に強く、お湯で洗ったり温泉等に入ったりしてもセッ トが崩れません。シャンプーを行い、乾かすだけで元のスタイルに戻ります。 また、強度も強く簡単には毛が切れません。 短所は強度が強い為、毛が切れずに縮れが出る点です。この縮れを放置する と、毛が固まりくしも通らなくなってしまいます。 ・ M i x 毛 とは、例えば人毛と耐熱性形状記憶毛を3:7でミックスした物で 説明をします。 長所は、人毛の良いところと耐熱性形状記憶毛の良いところを相互に引き出 しお互いの短所もカバー出来るところです。 短所は、それぞれ単体での使用と比較した場合特にありません。 2 c 毛色に関して 現在は、ナチュラルブラック(5トーン)・ナチュラルブラウン(6トーン)・ ブラウン(7トーン)ライトブラウン(8トーン)の4色です。 白髪は10%と30%で合計6色です。 d ・ ・ ・ 取り扱いに関して 洗い方 シャンプーを手のひらに 500 玉大程度の量取り、手の中でよく泡立てます。 その泡を、そっと毛髪に揉み込む様に全体に広げます。 ウイッグを裏返し、ベースネットをやさしく洗います。 泡が完全に切れるまで、お湯を使いよくすすぎます。 シャンプー後はタオルにくるみ、1 分程度脱水機にかけるとほとんど乾き その後のお手入れが楽になります。 乾かし方 脱水をかけた後のウイッグを粗めのブラシでブラッシングし、仕上たいスタイ ルに整え自然乾燥をいたします。 急いで使用したい場合には、ベースの裏側からドライヤーの風を送りベース ネットを乾かします。ベースネットが乾く頃には、毛髪はほとんど乾いて居 りますのでブラシを使いセットをして下さい。 あまり、ドライヤーを近づけ過ぎない事がポイントです。 保存方法 しばらく使用しない時や長期間保存する場合には、特に良くシャンプーをし た後(2 度洗い)完全に乾かしてからほこり等がつかないようにした上で保存 します。 出切る限り通気性を確保した方が良いので、時折風を通してあげてください。 そうすることで、長持ちします。 ・ ウイッグの外し方 ウイッグのピンを両方の人差し指と親指で挟み、ピンのセンター部分を軽く押すと ピンが開きます。 ピンは、後ろ・両サイド・フロントの順で外します。 (櫛状のピンですので、櫛を自毛から引き抜くようにずらして外します) 決して強く引っ張ったりしないで下さい、自毛を痛める事があります。 2.備品類に関する基礎知識 a 整髪料に関して スタイルをキープするためのスプレーや、質感を調整するためのジェルやワッ クス等の整髪料をお使い頂く事が出来ます。 油分の多いタイプの使用は、あまりお勧めいたしません。 また、整髪料をお使いになった時はその日のうちにシャンプーをする事をお勧 め致します。自分が思ったよりも、汚れがついてしまうためです。 ブラシ類 : 静電気の起き難い、目の粗いタイプのブラシをお勧めします。 3 技術 1.ウイッグの基礎セット a 根元矯正 根元矯正とは、毛流を整えることです。 ウイッグの場合、ネットに植毛してある毛を流したい方向へ根元の向きを整える 必要があります。必要なボリュームにあわせて、フォワード・リバース等に毛 流を整えます。これはスタイルをイメージして、方向性(毛流れ)と、立ち上 がり(スチームの角度)を考えます。 ・スチームまたはドライヤーを使用し、根元に流れを作って行きます。 ・毛の流れが出来た後、立ち上がりを作ります。 ・ブラシを使用し、ボリュームや毛流れを確認いたします。 ※熱は根元にしっかりとあて、良く冷まします。 一例として、左からの自然な 毛流れの平面図。 横から見た毛の立ち上がり。 (毛流れとボリュームの図) 4 b アイロンの使い方 アイロンは、毛に流れを付けたりシルエットを作るために使用します。 求めたいカールの大きさに合わせて、アイロンの太さを選びます。 38mm・32mm・25mm・19mm・16mm、などの太さがあります。 根元矯正で整えた毛流れに、毛先の動きやボリュームを付けていきます。 アイロンは、根元まで巻き込まず毛に折れ目をつけないように注意しながら丁 寧に巻いていきます。アイロンの温度は120℃~140℃に設定してください。 求めるスタイルに合うように、スライスの厚さとステムの角度を考えます。 アイロンを巻く際のステムの図。 (ボリュームの出し方の基本) c スタイリング 根元矯正後アイロン処理を行い、スタイルを確認します。 ポイントは、全体のシルエットです。この時、カールの強さやボリューム等も あわせて確認いたします。また、フロントやフロントサイドの生え際が浮いて、 ベースラインが見えていないかも確認します。 一度お客様に仮合せを行い、気になる部分等を確認し最終的に、ボリュームや 毛流れをスチームやドライヤーを使用し整えます。 約1ヶ月はセットが持つように、しっかりとセットが出来ているかを確認いたします。 5 2.ウイッグの基礎カット a 毛量調整 毛量調整とは、製品の毛量のバランスを整えることです。 スタイルにより、ボリュームが必要な場代が変わります。 毛量を減らす場合は、根元からすきを入れ毛の量を元から減らします。 ボリュームを調整する場合は、毛流れの中間から毛先の毛量をすきボリューム を調整します。 ※毛束の根元から毛先までを3等分にし、地肌に近い方から元・中・先と考えます。 仕上がり感のイメージとして、元にハサミを1回、中にハサミを2回、先にハサ ミを3回入れると図のような毛量になります。 元 1/3 中 1/3 先 毛先毛量 大 中 小 b カット ノーカットからのスタイルカットの場合は、求めるスタイルに必要な長さよりも 約2cm程度長めにカットをし先にセットを行います。 それから求めるスタイルに、セニングを使いカットをします。これは、毛先が 揃わない様にするためにセニングを使用しカットすることをお勧めします。 セニングを縦に使い、横一線でカットラインが入らないようにします。 レザーの使用は人工毛髪には、あまりお勧めいたしません。(毛が痛むため) 6 基本的には、通常の人間のカットと同じですが毛先を軽くし不揃いにします。 大きく異なるところは、人間の髪ほど融通が利かないところです。 ベースネットに毛を植えているため、毛量がそれほど多くなくても非常に多く 見えます。またベースネットの厚さ分、頭が一回り大きくなるためボリューム 感を調整する必要があります。 一度切り過ぎると、二度と伸びないので慎重にカットすることが必要です。 ※カットを行う時の注意点ですが、毛を強く引っ張ってしまうとネットが伸びて離 した時にその部分だけが短くなってしまうことがあるので注意が必要です。 (オールウイッグやソフトネットの製品の場合) カットライン 手を離すと カット時に、テンションをかけすぎ カットが終わり手を離すと、テンシ るとネットが伸びてしまう。その時 ョンがなくなりネットが元に戻りま のカットラインは、まっすぐに見え す。その時のカットラインは、コン る。 ケーブが入ってしまいます。 c 仕上カット 実際にお客様に装着し、髪の長さを調整します。 毛先がぶつ切りにならない様に、セニング等を使用し不揃いになるように調整をし ます。 全体の毛量等を調整する時も、装着したままカットします。 かなりの毛量を再調整する時や、スタイル自体を調整する場合はお客様から外しボ ーズの上でカットをします。 これは、毛量の調整後にボリューム調整やセット直しが必要になることが多い為です。 スチームやアイロンを使用する場合、高熱となりますのでボーズの上で作業をします。 とにかく、お客様が納得し似合うスタイルに仕上げる 事が重要です。 7