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新規POPsによる日本およびアジア地域の汚染実態

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新規POPsによる日本およびアジア地域の汚染実態
内分泌かく乱作用が疑われる
生物蓄積性化学物質の野生生物汚染
新規POPsによる日本およびアジア地域の汚染実態
田辺 信介
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
o
Clm
m + n = 1 ~ 10
Cln
Brm
m + n = 1 ~ 10
Europe
Asia
?
Brn
North
America
POPs および候補物質の生産・利用・規制に関する推移と現状
既存のPOPs
POPs候補物質
PFOS
PCBs
PBDEs
F2 F2 F2 F2
Clm
m + n = 1 ~ 10
Cln
 日本:1970年代に生産・使用禁止
 ストックホルム条約(POPs条約)等
による国際的な規制・対策
 汚染レベルの漸減
汚染
レベル
F3
F2 F2 F2
R Brm
m + n = 1 ~ 10
Brn
 近年における汚染レベルの上昇
が欧米で指摘
 POPs 条約締約国会議で規制が
検討/開始
 一部製剤の使用継続
POPs候補物質
?
既存POPs
過去
o
現在
未来
PBDEs
PBDEs:: Polybrominated Diphenyl Ethers
(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)

家電やOA機器など、プラスチック製品に難燃剤と
して添加

構造・物理化学性がPCBsやDDTsなどの有機塩素
化合物と類似しているため、環境汚染や生物影響
が懸念

一部の製剤は今なお使用、近年まで環境汚染レ
ベルが上昇

ペンタ製剤等はPOPROC4/RoHS指令により規制

報告されている毒性
–甲状腺ホメオスタシス撹乱
–神経行動学的異常
–発ガン性
m + n = 1-10
HBCDs
HBCDs:: Hexabromocyclododecans
(ヘキサブロモシクロドデカン)
Br
• 断熱材用のポリウレタンフォームや室内装飾
の繊維製品に難燃剤として添加
Br
Br
Br
• ヨーロッパでの使用が顕著
• アジアでは日本の消費量が多い
• 今なお使用量が増加(22,000トン/年)
• -HBCDが工業製剤の主成分(80%)
• 生体中には-HBCDが主に残留
• 難分解・生物蓄積性
• 化審法第一種監視化学物質(2004年)
• 鳥類の生殖機能に影響
Br
Br
臭素系難燃剤の地域別年間需要量と割合
世界
アジア
%
% 日本
日本
56,150
56,150 tt
23,000
23,000 tt
10%
10%
3,790
3,790 tt
1,500
1,500 tt
0%
0%
7,500
7,500 tt
150
150 tt
0%
0%
その他
Deca-BDE
アジア
Octa-BDE
アジア
北米
Penta-BDE
HBCDs
ヨーロッパ アジア
16,700
16,700 tt
3,900
3,900 tt
56%
56%
TBBPA
アジア
119,600
119,600 tt
89,400
89,400 tt
31%
31%
0%
50%
100%
アジアの途上国に PBDEs の汚染源存在?
HBCDs の主要な発生源は先進国(日本)?
(BSEF and Watanabe & Sakai, 2003)
既往研究の結果:アジア諸国のヒト母乳中の PBDEs 濃度
韓国
韓国
日本
日本
中国
中国
インド
インド
フィリピン
フィリピン
ベトナム
ベトナム
カンボジア
カンボジア
マレーシア
マレーシア
途上国
≒ 先進国
途上国≒
2 ng/g lipid
wt.
Fig. 2. Geographical distribution of PBDEsインドネシア
in milk from Asia.
インドネシア
既往研究の結果:ヒト母乳中 PBDEs 濃度の国際比較
78
74
アジア地域 ≒ ヨーロッパ諸国
≪ 北米地域
4
0
(6)
ng/g lipid
(12)
(8)
(9)
(7)
(4)
(12)
(5)
Europe
(12)
(10)
Asia
(3)
North
America
(1)
(2)
(11)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
She et al., 2004
Schecter et al., 2003
Ohta et al., 2000
Olga et al., 2004
Schumahcher et al., 2004
Fangstrom et al., 2004
Kalanzi et al., 2004
Noren and Meironyte,
Meironyte, 2000
Strandman et al., 2000
Ryan and Patry,
Patry, 2000
Lopez et al., 2004
Ryan, 2004
途上国にもBFRsの汚染源が存在
グローカルな汚染の現状と推移に影響?
アジア途上国における廃棄物問題
急速な工業化に伴う環境汚染や公害の発生、廃棄物投棄量の増加、
急速な工業化に伴う環境汚染や公害の発生、廃棄物投棄量の増加、
電子・電気機器廃棄物(
waste)等の輸入・不適正処理・・・
電子・電気機器廃棄物(ee--waste)等の輸入・不適正処理・・・
地球規模での POPs 動態にみるアジア地域の重要性
Mid-latitudes
Mid-latitudes
High
High latitudes
latitudes
Global
Global distillation
distillation
Deposition > evaporation
with fractionation
according to global mobility
Seasonal cycling of
deposition and
evaporation
High mobility
Relatively
high mobility
Long-range
atmospheric
transport
Low
Low latitudes
Evaporation > deposition
Relatively low
mobility
?
Low mobility
Cited from Wania and Mackay (1996)
アジア地域における急速な人間活動・産業活動の進展は
地球汚染の大きな発生源であり負荷源となる可能性大
アジア地域の BFRs 汚染実態に関する情報は少ない
目 的
 日本を含むアジアー太平洋地域における POPs および
候補物質(BFRs)の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
について解析した。
生物環境試料バンク(es-BANK)
平成17年11月竣工(764m22)
超冷凍試料保管液体窒素タンク
冷凍試料保管室(-25℃)
愛媛大学の生物環境試料バンク (es
-BANK)
es-BANK
過去半世紀の間、世界各地で環境調査を実施
多様な生物・環境試料を採取し冷凍保存
約
1,300種類・11万試料
約1,300種類・11万試料
BFR 汚染の時空間分布解明研究に活用
(2008年12月現在)
爬虫類
鳥類
鳥類
水棲哺乳類
陸棲
哺乳類
ヒト その他
試料
魚介類
種数
765
9
364
50
16
39
1
試料数
17511
2237
28287
29913
9355
3332
7514
鯨類
鰭脚類
総計
1294
9571 107720
50
分析法
Biological Tissue (20-30g)
PBDEs: 14 congeners
o
Soxhlet Extraction (Hex/DEE = 1:3)
Brm
Clean-up spike
Gel Permeation Chromatography
m + n = 1~10
Brn
PCBs: 62 congeners
Silica Gel Chromatography
Clm
5% DCM/ Hexane
25% DCM/ Hexane
m + n = 1~10
HBCDs: 3 isomers
Syringe spike
GC-MS
Cln
Br
LC-MS/MS
Br
Br
PCBs•PBDEs
HBCDs
Br
Br
Br
目 的
 日本を含むアジアー太平洋地域における POPs および
候補物質(BFRs)の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
について解析した。
アジア海域における二枚貝イガイ(
Mussel)の PBDEs 汚染
アジア海域における二枚貝イガイ(Mussel)の
240
120
180
420
250
Japan
China
China
Hong Kong
Korea
India
India
Philippines
Vietnam
Cambodia
Malaysia
新興国で高濃度
Indonesia
10
20 ng/g
ng/g lipid
lipid wt
アジア海域における二枚貝イガイ(
Mussel)の HBCDs 汚染
アジア海域における二枚貝イガイ(Mussel)の
1400
1400
980
980
900
900
660
660
240
Korea
China
Hong
China Kong
Japan
India
India
Philippines
Vietnam
Cambodia
Malaysia
Indonesia
先進国(日本と韓国)で高濃度
10
ng/g
200 lipid wt.
ng/g lipid
鯨類の脂皮から検出された
PBDEs
の濃度分布
鯨類の脂皮から検出された
PBDEs
の濃度分布
鯨類の脂皮から検出されたPBDEsの濃度分布
6000 2600
スナメリ
スジイルカ
沿岸性鯨類
外洋性鯨類
200 ng/g
lipid wt
カズハゴンドウ
日本
イシイルカ
香港
シナウスイロイルカ
オウギハクジラ
ハシナガイルカ他
インド
途上国≒日本
フィリピン
Data cited from Kajiwara et al. (2006)
鯨類の脂皮から検出された HBCDs の濃度分布
100 ng/g
lipid wt.
カズハゴンドウ
スジイルカ
JAPAN
シナウスイロイルカ
スナメリ
HONG KONG
日本>途上国
カツオから検出された PBDEs の濃度分布
カツオ
(Katsuwonus pelamis)
PBDEs
PBDEs
東シナ海
東シナ海
近海・外洋汚染の指標生物
日本
日本
インド
インド
ブラジル
ブラジル
nd
ng/g
ng/g
10
10 脂肪重当たり
脂肪重当たり
東シナ海で高濃度・途上国に汚染源
カツオから検出された
カツオから検出された HBCDs
HBCDs の濃度分布
の濃度分布
カツオ
HBCDs
(Katsuwonus pelamis)
nd
nd
nd
nd
nd
nd
55
ng/g
ng/g
lipid
lipid wt
wt
nd
nd
日本近海で高濃度・日本に汚染源
カツオから検出された
カツオから検出された BFRs
BFRs および
および POPs
POPs の濃度分布の比較
の濃度分布の比較
PBDEs
PBDEs
HBCDs
nd
nd
nd
10
10 ng/g
ng/g
脂肪重当たり
脂肪重当たり
PCBs
PCBs
nd
nd
nd
nd
55 ng/g
ng/g
脂肪重辺り
脂肪重辺り
nd
nd
PCDDs
PCDDs
nd
nd
nd
nd
nd
nd nd
nd
nd
nd
15
ng/g
15 ng/g
脂肪重当り
脂肪重当り
nd
nd
nd
nd
nd
nd
nnd
d
33 pg/g
pg/g
脂肪重当り
脂肪重当り
BFRs は外洋のカツオに残留(
PCBs に類似)
は外洋のカツオに残留(PCBs
BFRs
BFRs および
および POPs
POPs の環境挙動
の環境挙動
PCDD/DFs,DDTs
PBDEs,HBCDs,PCBs,HCHs
PBDEs,HBCDs,PCBs,HCHs
発生源
DDTs, PCDD/DFs
地域汚染型
陸上
PBDEs, HBCDs,PCBs, HCHs 沿岸
地球汚染型
外洋
PBDEs および HBCDs は長距離輸送型(地球汚染型)の化学物質
カツオから検出されたPBDEs濃度の南北変化
北方海域
T3BDE(28)
T4BDE(47)
H6BDE(154)
北太平洋-1
北太平洋-1
日本沖-1
日本沖-1
日本沖-2
日本沖-2
東シナ海-1
東シナ海-1
東シナ海-2
東シナ海-2
台湾沖
台湾沖
南方海域
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
5
10
15
濃度
濃度 (ng/g
(ng/g 脂肪重当たり)
脂肪重当たり)
20
0
5
10
15
20
カツオから検出された PBDEs 組成の南北変化
北方海域
BDE28
BDE28
BDE15
BDE15
BDE47
BDE47
BDE100
BDE100 BDE99
BDE99 BDE154
BDE154 BDE153
BDE153
BDE183
BDE183
北太平洋-1
北太平洋-1
日本沖-1
日本沖-1
日本沖-2
日本沖-2
東シナ海-1
東シナ海-1
東シナ海-2
東シナ海-2
台湾沖
台湾沖
南方海域
00
25
25
50
50
75
75
100
100
組成
組成 (%)
(%)
低臭素化 PBDEs の割合が北方海域ほど増大
カツオから検出された HBCDs 組成の南北変化
γ-HBCD
α-HBCD
北方海域
北太平洋-1
日本沖-1
日本沖-2
日本海
北太平洋-2
東シナ海-2
東シナ海-1
台湾沖
香港沖
フィリピン沖
南方海域
0
25
50
75
100
組成
組成 (%)
(%)
α--HBCD
HBCD の割合が北方海域ほど増大
カツオから検出された HBCDs 組成の南北変化
γ-HBCD
α-HBCD
北方海域
北太平洋-1
日本沖-1
HBCD は
低臭素化PBDEs(2~4
Br)およびα--HBCD
日本沖-2
選択的に大気輸送
日本海
北太平洋-2
東シナ海-2
東シナ海-1
台湾沖
北方の寒冷な海域に集積
香港沖
フィリピン沖
南方海域
0
25
50
75
100
組成
組成 (%)
(%)
α--HBCD
HBCD の割合が北方海域ほど増大
目 的
 日本を含むアジアー太平洋地域における POPs および
候補物質(BFRs)の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
について解析した。
汚染の過去復元に用いた試料(es--BANK
BANK 保存試料)
キタオットセイ
堆積物柱状試料
(東京湾)
バイカルアザラシ
1972~1998
1972~1998
♀
♀ nn=35
=35
1992-2005
1992-2005
♂
30
♂ nn=
=30
日本
カズハゴンドウ
中国
中国
南シナ海
1982~2011
1982~2011
♂
♂ nn=20
=20
スナメリ
1990・
・2000/01
1990
1990・2000/01
♂
=12
♂ nn=12
スジイルカ
1978~2003
1978~2003
♂
=20
♂ nn=20
目 的
 アジアー太平洋地域における POPs および候補物質(BFRs)
の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
(先進国・途上国の実態:ローカル・リージョナル)
について解析した。
汚染の過去復元に用いた試料(es--BANK
BANK 保存試料)
キタオットセイ
堆積物柱状試料
(東京湾)
バイカルアザラシ
1972~1998
1972~1998
♀
♀ nn=35
=35
1992-2005
1992-2005
♂
30
♂ nn=
=30
日本
カズハゴンドウ
中国
中国
南シナ海
1982~2011
1982~2011
♂
♂ nn=20
=20
スナメリ
1990・
・2000/01
1990
1990・2000/01
♂
=12
♂ nn=12
スジイルカ
1978~2003
1978~2003
♂
=20
♂ nn=20
東京湾堆積物柱状試料
PCBs
・PBDEs・DeBDE・HBCDs濃度の鉛直プロファイル
PCBs・PBDEs・DeBDE・HBCDs濃度の鉛直プロファイル
PBDEs
(1-9Br)
PCBs
210Pb年代測定
2000
DeBDE
(10Br)
HBCDs
0
0
0
0
5
5
5
5
10
10
10
10
15
15
15
15
20
20
20
20
25
25
25
25
30
30
30
30
35
35
35
35
40
40
40
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
0 10 20 30 40 50
1988
1982
1975
堆積深度 (cm)
1995
0
50 100 150 200
40
0.0
1.0
2.0
濃度 (ng/g dry wt)
PCBs の汚染は改善
BFR とくに HBCDs の汚染が進行
三陸沖キタオットセイ
BFRs
およびPOPs濃度の経年変化
BFRsおよびPOPs濃度の経年変化
120
30000
PBDEs*
80000
PCBs*
DDTs*
60000
20000
80
40000
10000
40
濃度 (ng/g lipid wt)
20000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
80
60
0
1970
1975
1980
1985
1995
2000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
15
2500
HBCD
HBCD
1990
HCB*
HCHs*
2000
10
1500
40
1000
5
20
nd
0
1970
1975
500
1980
1985
1990
1995
2000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
0
1970
1975
1980
1985
1990
調査年
沿岸の PCBs 汚染は低減:規制の効果
BFR とくに HBCDs による汚染の進行が顕著
1995
2000
国内のPBDEs・HBCDs消費の推移
12000
HBCDs
Deca-BDE
消費量 (t)
10000
8000
6000
4000
2000
0
1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008
年
Data from Watanabe and Sakai (2003) and FRCJ (2006)
• テトラ製剤は
1991年、オクタ製剤は1998年に使用規制
テトラ製剤は1991年、オクタ製剤は1998年に使用規制
• デカ製剤は
1991年以降使用量減少
デカ製剤は1991年以降使用量減少
• HBCDs は使用量増加
日本の HBCDs 汚染が顕在化した主要因
目 的
 日本を含むアジアー太平洋地域における POPs および
候補物質(BFRs)の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
(先進国・途上国の実態:ローカル・リージョナル)
について解析した。
汚染の過去復元に用いた試料(es--BANK
BANK 保存試料)
キタオットセイ
バイカルアザラシ
堆積物柱状試料
(東京湾)
1972~1998
1972~1998
♀
♀ nn=35
=35
日本
日本
カズハゴンドウ
1992-2005
1992-2005
♂
30
=30
♂ nn=
中国
中国
南シナ海
1982~2011
1982~2011
♂
♂ nn=20
=20
スナメリ
1990・
・2000/01
1990
1990・2000/01
♂
=12
♂ nn=12
スジイルカ
1978~2003
1978~2003
♂
=20
♂ nn=20
南シナ海沿岸のスナメリ
BFRs および
POPs 濃度の経年変化(
1990 -- 2000/01
)
およびPOPs
濃度の経年変化(1990
2000/01)
10000000
HBCDs
HBCDs
PBDEs
PBDEs
PCBs
PCBs
DDTs
DDTs
CHLs
CHLs
HCHs
HCHs
:1990
:2000/01
1000000
濃度 (ng/g lipid wt)
100000
10000
HCB
HCB
***
***
1000
100
10
1
0.1
過去10年間で…
***: p < 0.001
途上国での利用が急速に進展
PBDEs: 10 倍以上に増加
途上国での利用は未だ進行していない
HBCDs: 2倍程度
PBDEs の汚染が進行、HBCDs は低レベル
目 的
 アジアー太平洋地域における POPs および候補物質(BFRs)
の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
(先進国・途上国の実態:ローカル・リージョナル)
(遠隔海域の実態:グローバル)
について解析した。
汚染の過去復元に用いた試料(es--BANK
BANK 保存試料)
キタオットセイ
バイカルアザラシ
堆積物柱状試料
(東京湾)
1972~1998
1972~1998
♀
♀ nn=35
=35
日本
カズハゴンドウ
1992-2005
1992-2005
♂
30
=30
♂ nn=
中国
中国
1982~2011
1982~2011
♂
♂ nn=20
=20
スナメリ
スジイルカ
南シナ海
1990・
・2000/01
1990
1990・2000/01
♂
=12
♂ nn=12
1978~2003
1978~2003
♂
=20
♂ nn=20
カズハゴンドウ
BFRs および POPs 濃度の経年変化(
1982, 2001, 2006, 2011
)
濃度の経年変化(1982,
2011)
1000000
HBCDs
HBCDs
PBDEs
PBDEs
PCBs
PCBs
*
濃度 (ng/g lipid wt)
100000
DDTs
DDTs
HCHs
HCHs
HCB
HCB
**
*
10000
1000
CHLs
CHLs
**
**
100
10
:1982
:2001
:2006
:2011

 1982:
1982: HBCD<<PBDEs
HBCD<<PBDEs

 2000s:
2000s: HBCD>PBDEs
HBCD>PBDEs
1
過去30年間で…
*: p < 0.05; **: p < 0.01
PBDEs: 約10倍に増加
HBCDs: 約50倍に増加
日本+途上国での暴露
日本での暴露
スジイルカ
BFRs
BFRs および POPs 濃度の経年変化
1000
800
1200
PBDEs
80000
600
400
400
40000
200
200
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
50000
1000
800
HCHs
800
600
濃度 (ng/g lipid wt)
1000
DDTs
120000
HBCDs
40000
600
30000
400
20000
200
10000
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
PCB
12000
CHLs
8000
4000
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
0
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
採取年
既存POPsの濃度は減少または横ばい
PBDEsの濃度は1993年まで急速に、その後はゆるやかに上昇
HBCDsの濃度は1993年以降も上昇中
PBDEs の暴露: 日本+途上国
HBCDs の暴露: 日本
外洋域の汚染は先進国・途上国両方の影響を反映
目 的
 日本を含むアジアー太平洋地域における POPs および
候補物質(BFRs)の汚染調査を開始
 最近の調査で得た試料と es-BANK 保存試料を活用
1. 汚染の実態と分布の特徴
2. 経時的な汚染の推移
(先進国・途上国の実態:ローカル・リージョナル)
(遠隔海域の実態:グローバル)
(遠隔陸域の実態:グローバル)
について解析した。
汚染の過去復元に用いた試料(es--BANK
BANK 保存試料)
キタオットセイ
バイカルアザラシ
堆積物柱状試料
(東京湾)
1972~1998
1972~1998
♀
♀ nn=35
=35
日本
カズハゴンドウ
1992-2005
1992-2005
♂
30
=30
♂ nn=
中国
中国
1982~2011
1982~2011
♂
♂ nn=20
=20
スナメリ
スジイルカ
南シナ海
1990・
・2000/01
1990
1990・2000/01
♂
=12
♂ nn=12
1978~2003
1978~2003
♂
=20
♂ nn=20
鰭脚類に残留する PBDEs 濃度の地域比較
カリフォルニアアシカ / アメリカ沿岸
ゼニガタアザラシ / サンフランシスコ湾
ゼニガタアザラシ / セントローレンス川河口
アメリカ
ゼニガタアザラシ / ワデン海
ゼニガタアザラシ / オランダ沿岸
ハイイロアザラシ / バルト海
ワモンアザラシ / バルト海
バイカルアザラシ / 本研究
ヨーロッパ
セイウチ / グリーンランド沿岸
ワモンアザラシ / グリーンランド沿岸
バイカル湖 キタオットセイ / 三陸沖
北極域と同等の低レベル10
1
102
103
104
濃度 (ng/g 脂肪重当り)
105
水棲哺乳類に残留する HBCDs 濃度の地域比較
ネズミイルカ / イギリス沿岸
19000
ゼニガタアザラシ / ワデン海
ゼニガタアザラシ / オランダ沿岸
バイカルアザラシ / 本研究
ヨーロッパ
シナウスイロイルカ / 香港沿岸
スナメリ / 香港沿岸
キタオットセイ / 三陸沖
アジア
ベルーガ / カナダ極海
カリフォルニアアシカ / アメリカ沿岸
低い汚染レベル( ≒
極海)
≒極海)
アメリカ
100
101
102
濃度 (ng/g 脂肪重当り)
103
104
バイカルアザラシ(幼獣)
BFRs 濃度の経年変動
PBDEs
HBCDs
10
20
p<0.01
15
5
10
5
0
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
0
1990
濃度 (ng/g 脂肪重当り)
p=0.16
地球規模の汚染は進行中、
HBCDs 汚染の拡大顕著
地球規模の汚染は進行中、HBCDs
アジア地域の環境汚染レベル将来予測
ローカル・リージョナル
グローバル
汚染レベル
POPs
?
PBDEs
?
HBCDs
過去
現在
未来 過去
現在
未来
結 論
日本およびアジア地域におけるBFRs汚染の実態と経年変化
汚染の実態と分布の特徴
 途上地域(新興国)にPBDEs汚染が拡大
 HBCDs汚染は先進国で顕在化、途上国は低レベル
 広域拡散する地球汚染型の化学物質




経時的な汚染の推移
規制の進んでいる既存のPOPsに比べ、BFRsによる汚染レベ
ルは近年明らかに上昇
先進国のPBDEs汚染は低減傾向、一方HBCDs汚染は急増中
途上国のPBDEs汚染も増大、HBCDs汚染は低レベル・漸増で
あるが PBDEs 規制後に急増の可能性(代替としての利用拡
大)、今後要監視
遠隔地のBFRs汚染は進行中、汚染の長期化が懸念
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