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市長記者会見記録 日時:2004年11月30日(火) 場所:本庁舎2階 午後1時20分∼2時13分 会議室 議題:アジア起業家村への入居企業について < 内 容> 司 会 : それでは、これより市長記者会見を行います。 本日の議題は、「アジア起業家村への入居企業について」でございます。本日は入 居企業の皆様にご出席をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきます。 VTECMATE(ブイテックメイト)創業者のグェン・ミン・ドウック様でござい ます。共同創業者のホー・フィ・クーン様でございます。エコトロニクス株式会社代 表 取 締 役 社 長 の 成 美 叔 ( ソ ン ミ ス ク )様 で ご ざ い ま す 。 それでは幹事社さん、よろしくお願いします。 幹 事 社 : では市長、お願いします。 《アジア起業家村への入居企業について》 市 長 : アジア起業家村への入居企業の第一弾が決まりましたので、発表させていた だきたいと思います。 アジア起業家村は、アジアのパワーを活かして、ベンチャーの創業や国際的な企業 の立地を図りまして、川崎を拠点として、 世界に貢献する新しい産業を育てていくと いうものでございます。今回、ベトナムと 韓国からベンチャーや企業が、アジア起業 家 村 の 拠 点 で あ る T H I N K( テ ク ノ ハ ブ イノベーション川崎)に入居することとなり ました。 入居企業のプロフィールがございますが、 はじめに、ベトナムのグェン・ミン・ドゥックさんです。日本に留学して、日本の企 業で技術者として働いておられましたけれども、仲間のホー・フィ・クーンさんと一 緒に会社をスピンアウトして、共同で電子機器に情報を組み込むソフトウェア会社を 1 アジア起業家村にて設立しようとするものでございます。 次に、韓国のエコトロニクス社です。代表者は成美叔さんでございます。韓国本国 で大きく事業を展開しておられるわけですけれども、これまで魚群探知機や航空管制 システムなど電子通信機器を製造・輸出してこられました。新たな事業分野に進出す るべく、日本の技術を応用して、携帯電話のCCDカメラモジュールの開発を行うた めに、アジア起業家村に研究開発拠点を置くこととなったものでございます。 これらの2社は、アジアの若い世代による会社でございまして、日本の高度な技術と アジア諸国との連携を川崎の地で行おうとするものでございます。文字通り、アジア 起業家村構想の理念に沿うものと受けとめているわけでございます。 本市といたしましては、こうしたベンチャー企業を支援するために、今年度は入居 1年間は賃料を無料にするなど早期に入居される企業にはメリットがあるようなイン センティブ(誘因)を提供いたします。 17年度以降も、一定期間の賃料軽減措置や創業支援を実施することにより、川崎 市に進出するベンチャー等を支援していく予定でございます。 本市といたしましては、「アジア起業家村構想推進機構」と協働しながら、中国、 韓国などアジア諸国の様々なチャンネルを通じて、川崎のポテンシャルを幅広くアピ ールすることによってアジア起業家村への入居を積極的に働きかけていきたいと思い ます。 グ ェ ン ・ ミ ン ・ ド ゥ ッ ク 氏 : ベトナムのグェンと申します。ホー君は大学時代、同 じ大学で勉強していた後輩です。私は、現在、東芝に在籍しておりますが、来年1月 末に東芝を退社いたしまして、VTECMATE(ブイテックメイト)という会社をつ くりまして、携帯電話をはじめ、デジタル電子機器に搭載されるソフトウェアを開発 する企業をつくっていきます。 携帯電話には、非常にいろいろな品種がありまして、今後その市場が大きく発展し ていきます。携帯に載せるソフトウェアですけれども、組み込み系ソフトウェアと言 いますが、それをつくる技術には二つの重要なファクターがあります。一つは技術、 もう一つはコストです。技術と申し上げますのは、普通のパソコンとかサーバーに搭 載されるソフトウェアだとだれでも簡単につくれるのですけれども、携帯電話だと簡 単にはできません。特殊な技術ノウハウとハードウェアとソフトウェアの両面の知識 を持っていないとできません。私は大学時代からソフトウェアとハードウェアの両方 を専攻しておりまして、東芝でも5年間、その開発に携わってきましたので、技術・ 技量を持っております。 2 もう一つは、組み込み系のソフトウェアは1回出荷しますと回収できないのです。 アップデートが効かないので、ものすごいテスト工程が必要です。そこで多くの人手 が必要になります。我々がベトナムに開発拠点を置くことによって、コスト面の問題 が解決します。国境をまたがって仕事をしますので、どうしてもコミュニケーション を円滑に行わなければなりません。日本に留学しているベトナム人の留学生は、ほと んど私たちの後輩です。この人脈を生かしまして、今後、日本で設計を行いまして、 実際のソフトウェアの製造をベトナムでやるような会社をやっていきます。 アジア起業家村を選んだ理由ですが、私たちは技術を持っていますけれども、会計 とか法律などに関する知識はほとんど持っておりません。川崎市では、こういった行 政面の支援をいただけますので、ぜひともアジア起業家村の施設に入居しまして、そ の制度を利用したいと思います。もう一つは、私は5年前から川崎市に住んでいまし て、とても川崎市には親近感を感じておりまして、仕事をやる場所としても非常にや りやすいと思います。 最後になりますけれども、これまで中小企業サポートセンターをはじめ、川崎市経 済局の多くの方々にお世話になっており、支援をしていただいてきております。この 場をおかりしまして深く感謝をいたします。今後ともよろしくお願いいたします。 成 美 叔 氏 : 韓国エコトロニクス株式会社代表取締役社長の成美叔です。このほど、 川崎市経済局の皆様方のご支援をいただき、川崎市アジア起業家村に入居することが できました。まことに光栄に存じ上げます。経済局の皆様方、そして、ご推薦くださ いましたパイオニア・ベンチャー・グループの方々に心から深くお礼申し上げます。 さて、エコトロニクス株式会社は、日本において、設計、開発された電子機器を韓 国で部品調達、生産し、輸出することで、微力でありながら韓国中小企業の発展に寄 与してまいりました。 今後、政治、経済の発展により、日本、中国、韓国は、FTA協定を交わして、経 済統合へ向かうであろうと確信しております。3国の経済統合というキーワードをも とに、私は国際経済動向を学び、エコトロニクスの目指すべき方向性を模索してまい りました。その答えの一つが、川崎市アジア起業家村での活動だと確信しております。 かつて我が国の経済発展は、漢江(ハンガン) の奇跡と呼ばれたように、首都ソウ ルには大河が流れています。私の住む町にも、漢江に流れ込む支流で ある南漢江があ りますが、週末の夕暮れ時に散策すると、国鳥のカササギ、カモ、ハト、アヒルなど が河面で舞を踊る風景をよく見かけます。川崎市は、京浜工業地帯の中核都市で、公 害を克服されて、見事に自然と共生された都市と聞いております。これからはぜひ、 3 多摩川沿いを散策させていただき、より自然とのかかわりを深めたいと思っておりま す。 最後になりますが、私どもは韓国ベンチャー企業を積極的にご紹介し、川崎アジア 企業家村で、川崎市の人たちとともに、共同研究、開発起業を推し進めることが、地 域 社 会 に 貢 献 す る こ と が で き 、 私 ど も の夢 で あ る 中 国 進 出 に も つ な が る も の と 確 信 し ております。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。 《質疑》 記 者 : 成さん、どうしてアジア起業家村に入ろうと思ったのか、その理由を、どう いうところが魅力だったのかをちょっとお話ししてほしいのですけれども。 成 美 叔 氏 : 今、韓国では、例えばカメラモジュールのことなのですけれども、 500万画素のカメラを三星電子で出荷しました。でも、その技術もすべて韓国の技 術ではなく、日本の技術を導入してやった結果なのです。韓国の企業も、今すごく進 んでいまして、世界のトップ何位を占めているところもあるのですけれども、日本の 技術を借りないとできないところがあります。そこで、韓国エコトロニクスの中にも 中央研究所があるのですけれど、その分室研究所を利用して共同研究でもっとレベル の高い技術を創出していきたいと思いまして、そういうことになりました。 記 者 : ベンチャー企業向けのサイエンスパークというのは、ほかにもあるわけです が、なぜ川崎なのですか。 成 美 叔 氏 : パイオニア・ベンチャー・グループのご紹介、推薦がありまして、いい 機会だなと思いまして、早速、動くことになりました。 記 者 : お知り合いの紹介という。 成 美 叔 氏 : はい、そうです。 記 者 : グェンさんと成さんにお伺いしますけれども、かなり日本語が流暢でいらっ しゃいますが、大体滞日、在日というのでしょうか、日本に来られて何年ぐらいです か。 会計と法律面でのバックアップに期待しているとのことですが、例えばどういった ことが皆さんにとって障壁というのでしょうか。 グ ェ ン ・ ミ ン ・ ド ゥ ッ ク 氏 : まず、最初、実績がない会社なので、なかなか専門の 法律事務所とかにお願いしてやっていただけないところがあるのです。市の経済局を 介して紹介していただいたりしております。そういうところが一番大きいかなと思い 4 ます。もう一つの理由ですが、私たちは事務所を借りるとき、多大な初期投資費用が かかるのです。保証金とかそういったところが一番大きなハードルだったのです。ア ジア起業家村の施設を利用すれば、全く保証金が必要ないので、最初は小さく始める ということがあります。 日本には、92年に来まして、最初は国費留学生という形で来たのですけれども、 電気通信大学に留学して、そこでホー君に知り合ったのですが、当時から、一緒にい つか日本で起業して、ベトナムと日本の両方でビジネスをやりたいというふうに考え ていました。その後、東大大学院の方に行って東芝に入ったのです。 実際に組み込み系のソフトウェアを開発しているとつくづくと感じます。物すごいコ ストがかかることと、特殊な技術が必要なことを。この二つを解決できるのが恐らく ベトナムではないかと思います。なぜかと申し上げますと、日本では最近理系離れと いう現象があると思います。ベトナムでは逆で、理系が一番人気のある分野なのです。 ですから、技術の開発をやるのでしたら、間違いなくベトナムでやるべきでしょう。 記 者 : では、日本で開発した技術をベトナムへ持って行ってという。 グ ェ ン ・ ミ ン ・ ド ゥ ッ ク 氏 : いいえ、日本で企画と設計とサポート、この三つを集 中してやりたいと思っております。実際の開発とテストは、すべて向こうでやりたい と思います。これが一番コストのかかる作業で、しかも手順がわかってしまえば簡単 にできるのです。そのノウハウを私たちは持っています。 もう一つ、ベトナムと日本の間で頻繁にやりとりが発生すると思います。どうして もお客様の方で、こういうふうに直してくださいとか、やはりこういう機能を追加し てほしいとか。今まで多くの日本の企業が向こうに進出していますけれども、この問 題は全く解決できておりません。なぜかといいますと、日本とベトナムの両方をよく 理解している人間がいないからです。私たちはそういう人脈を持っております。日本 語ができる留学生は全部私たちの後輩なので、声を掛ければ一斉に集まってきます。 これが私たちの一番大きなところです。 記 者 : 成さんは日本にいついらして、どういったかかわりがあるのか。ちょっと教 えてもらえますか。 成 美 叔 氏 : 私は大学を卒業して、今のエコトロニクスの前身の日本の商社の韓国事 務所に初めて就職したのです。留学した経験はございませんが、仕事をするために一 生懸命勉強しまして、日本に来たりして皆さんとお話ししたりしております。 記 者 : 留学経験がないということなのですか。 成 美 叔 氏 : そうです。大学では応用統計学を専攻しまして、大学院では国際経済学 5 を専攻いたしました。 記 者 : グェンさんは、アジア起業家村に新しい会社を置きますね。そこで何人の方 が働くようになるのですか。 グ ェ ン ・ ミ ン ・ ド ゥ ッ ク 氏 : 目標としては、来年の2005年末あたりで、日本で は10人、ベトナムでは80人という規模を目指しております。 記 者 : 成さんは、日本の事務所には何人の方を駐在させるのですか。 成 美 叔 氏 : 開発を担当する日本の方一人と事務をする人を一人を、今スタートとし ています。 記 者 : 今回、この2社の方が入居に至った経緯というのは。2社の方が決まった経 緯は。 ア ジ ア 起 業 家 支 援 推 進 室 主 幹 : アジア起業家村推進機構のチャンネルを通じまして、 ベトナムのグェンさんとか、韓国のエコトロニクスの成さんをご紹介いただいたとこ ろでございます。川崎市の中では、入居選定要綱とか、入居審査委員会、そういった ものを設けておりまして、その中で会社の事業評価性とか将来性、そういったものを 判断いたしまして、今に至ったところでございます。 経 済 局 長 : いろいろとチャンネル、ネットワークを使ってやっているわけです。こ れまで例えば、中国の科学者が集まって、大体1,000人ぐらいの中国科学技術者 連盟という団体が在日でありまして、そういうところに呼びかけたり、例えば韓国の 中小企業振興公団の日本事務所に呼びかけたり、そのほか関係の機関が幾つかありま す。また、こちらから中国の瀋陽市に行ってプレゼンテーションしたり、上海に行っ てプレゼンテーションしたり、いろいろな機会をとらえて、またいろいろな人材、人 を介して紹介し、入居について説明をして、その結果、いろいろなネットワークから 今回、2社の企業が入居するというような結果だということでございます。 記 者 : KSP−TINK(インキュベート施設)ができて2カ月になっていないぐらい ですけれども、早々と入居が決まったかと思いますが、市長ご自身がアピールしてこ られて、こういう結論が出たということについてのご感想はどのように。 市 長 : これからいろいろなリスクがあるだろうと思うのだけれども、こういう具合 にどんどん発展して、次々に出てくる可能性を示唆していると思うのです。始めてこ のように早くすんなり決まるということは、大変すばらしいことだと思って歓迎して おります。 ベトナムですと、まさしく我々がねらっていたとおりの結果になってきているわけ です。日本からある程度の大手の企業が行って何かやろうと思っても、現地の壁にぶ 6 つかってなかなかうまくいかない、結局、現地で大きくしていくためには、その土地 の人が日本に来て、日本の技術を吸収したり、あるいは中小企業との連携をしてやっ ていくことが一番いいのです。そういう意味では、グェンさんとかホーさんというの は、まさしく理想どおりのベトナムと日本との架け橋になる。しかも第1号で。非常 に将来性のある事業の立ち上げという形になっていると思います。 それから成さんの方も、もともと日本の企業との交流で育ててきている企業なのだ けれども、韓国本社とこちらと行ったり来たりしながら、事業を新たな分野に拡大し て、それぞれの本社と川崎の拠点とをうまく結びつけて、中国市場という話があった のですけれども、アジアをターゲットに、あるいはもっと広くターゲットを広げてい くというような可能性が広がってくるわけです。恐らく成さんのところでは、これか ら中国展開するということになったら、中国人の技術者とか、中国の関係者を韓国の 方 に お 呼 び にな る の か 、 川 崎 に お 呼 び に な る の か 、 い ろ い ろ な 事 業 展 開 が 考 え ら れ る のだろうと思うのです。 記 者 : いろいろな打診があると思うのですが、まだまだ予備軍といいますか。候補 者は潤沢なのでしょうか。 経 済 局 長 : 今日は、たまたま中国の企業がないのですが、いずれ近々、今、申請書 が挙がってきていますので、中国の企業の方もご報告できると思うのです。今、中国、 韓国、ベトナムと大体9社の話がありまして、いろいろな条件がありますので、なか なか最終的に入居に結びつくのは難しいと思いますから、その中で、今回とりあえず 2社が出てきたということです。近々もう1社、多分出てくると考えております。余 りたくさん出てくると受け皿もそれほど用意していないので、つまり、いろいろな形 で支援をセットにしてやっていますので。大きいしっかりした企業であれば、支援な しで入っていただくということもあり得ると思いますが、今回のベンチャー型は、今 年度の中では、もう一社程度と一応考えています。 《市政一般》 (川崎縦貫高速鉄道について) 記 者 : 市長、地下鉄なのですけれども、昨日のヒアリングの結果をお聞きになった と 思 い ま す け れ ど も 、 国 は 全 く 別 計 画 な の で 、 1 か ら や り 直 し て ほし い と い う お 話 で 、 そうすると、次の運政審(運輸政策審議会)が平成27年頃なので、その後だねという 話だったのですけれども、昨日のヒアリングの結果というか、国の見解についての今 後の対応も含めたご見解をお願いします。 7 市 長 : 昨日は、将来について、大分厳しい発言が国の幹部の方から出たように伺っ ておりますけれども、まず、基本的に大きな事業ですから、とにかく最終的にいろい ろな検討をして、川崎市政運営上、最もいい案として実施したいというのが私どもの 第一の希望です。それと財政的に大変厳しい中でやっていくわけですから、できるだ け効率的に、それから将来の財政負担がないようにやっていくということであります。 あくまでも今回のアセスメントは、新百合ヶ丘から元住吉について行うのですが、そ れとの比較でもっといい方法がないかということを検討して、小杉ルートはその可能 性があるという段階で、まだ厳密に検討した結果、それでいくのだという結論を出し ているわけではないのです。 したがいまして、今回、補正予算で追加した事業で市のアセスメントをやりまして、 それから先の判断になるわけです。今回、国土交通省の鉄道局長さんから、それを先 取りするような形で発言があったということについては、本当に国としてきちんと固 まった方針として出ているものではないという具合に我々は理解しておりますので、 運政審にかかる、かからないの話もありますけれども、解釈の問題がかなりあるよう に思っております。これが第1点。それと第2点は、今、こういう大変な激動の時代 でありますので、いろいろな可能性を検討して、そしてこれまでの計画と比較して最 善の案であった場合に、あえて国は、昔からの手続がこうですからという形で、実現 不可能になるまで先に延ばすとかという判断を、国民のための行政をやる役所がする のかどうか疑問を持っております。私は本当にいいものであれば、それを支持しなが ら実行にこぎつけていくというのが、責任ある人たちの良識的な対応であるという具 合に理解しております。 記 者 : まともに考えれば、やはり小杉を入れるのなら一回廃止手続をしてやり直す というのが必要かもしれないのですけれども。 市 長 : 手戻りがあることは間違いないのです。それがどこまでさかのぼるのかとい う問題なのです。ですから許可の取り直しということなのか。その許可というのは、 あくまでも新百合ヶ丘から元住吉までの許可ですから。新百合ヶ丘から小杉というこ とになったら、許可の取り直しということはあり得るのですけれども、それすらまだ これからの検討課題なので、別に決めたわけでも何でもないので仮定の話になってし まうわけです。 それと事業としては、新百合ヶ丘から川崎駅までの事業でありますので、新百合ヶ 丘から川崎までで運政審は通っているのではないかと思うのです。その事業として、 その中の途中という形だろうと思うのです。ですからその辺の、15年に一度とかそ 8 ういうような手続の中で、これだけ激動の時代を乗り切っていこうという、そういう 考 え 方 で 時 の ア セ ス メ ン ト を 導 入 し て きた 趣 旨 と 合 う の か ど う か 。 国 の 判 断 の 内 容 と しての整合性が問われるのではないのかなという気がしているのです。 記 者 : 平成12年の現行運政審への再位置づけというのでしょうか。次を待ってい ると10年になってしまうのですけれども。 市 長 : 運政審がどこまで拘束するものなのか、どうかということがよくわからない ところがあるのです。 記 者 : 市長ご自身は、次期運政審まで待たなくてもいいという。 市 長 : 私はそう思っていますけれど。運政審が細かいところまで決めているとは思 え な い の で す け れ ど 。 事 業 と 経 営 主 体 は 同 じ で あ る し 、 事 業 そ の もの が 同 じ で す し 、 基本的なところはみんな同じでしょう。 記 者 : 市長、昨日の国の見解というのは、これまでに国からお聞きになっていたの でしょうか。 市 長 : 全然聞いていません。 記 者 : 全く接触していないのですか、国とは。 市 長 : いろいろな事務的な話とか、打ち合わせとか、そういうものはやっているし、 それは聞いているのですけれども、昨日みたいな話というのは初めてです。しかも直 接私が聞いたわけではありませんので、国会議員をはじめ、自民党の議員さんたちの ところにそういうお話をしたという形で間接的に伝わっております。ですから、半分 公式的な見解ではあるのでしょうけれども、形式的な話をすると、私は一言も聞いて いないということになるわけです。 記 者 : 事務方の人は聞いていらっしゃるのではないかと思いますが。 市 長 : 普通、国の役所というのは、これから行われている手続の先取りみたいな発 言など絶対しませんよ。責任ある国の役人だったら。私も経験があります。 記 者 : 先取りと言いますか。仮にこういう小杉ルートをやるとなればこうですよと いうふうな、そういう話もなかったのでしょうか。 市 長 : 一般的な法律解釈だとか行政のやり方とか、そういう話は聞いています。 記 者 : それでもあえて小杉ルートを検討されたというのはどういうお考えでしょう か。 市 長 : それは当たり前ではないですか。市政を責任持って預かる人間として、当然 のことをやっているだけです。やはり無駄使いをしたくないし、市民に多く利用して もらえる、そういう事業をやるのが市長として当然の責任です。 9 記 者 : 横須賀線新駅、昨日の議会の提案説明でも、かなり有望といいますか、一歩、 二歩踏み込んだ発言でしたけれども、どうなのでしょう。実行計画に盛り込みたいと いうようなところまでお話がありましたけれども、年度内に基本合意 というか、大筋 合意というのでしょうか、そういった方向まで持って行けそうな、風向きなのですか。 市 長 : まだ1カ月ありますから、これまた先々の話で、まだいろいろな話し合いの 余地がありますから。年内に合意に達する、達しないという話は今はできません。た だ、基本的に前向きに進んで協議をしていることは間違いありません。 記 者 : 実行計画に盛るとなりますと、着手が平成20年の3月までということにな りますね。そうなりますと、もし市長が小杉を入れると言うのであれば、大分切り回 しというのでしょうか、工事というのですか。そのあたりは。 市 長 : 全く別立てで、それは地下鉄を小杉ルートにするかどうかということであっ て、横須賀線新駅は全く独立して別です。 記 者 : 別で、地下鉄と工事というか、立体というのは。 市 長 : 地下鉄の方は、アセスメントをやるときは、それは重要な要素になってくる のです。地下鉄が元住吉に行ったとしても、小杉新駅はできる方に向かっているので す。 記 者 : 小杉に仮に地下鉄が来た場合に、その新駅の工事に、工法というのですかね、 それは川崎に影響はない。 市 長 : 川崎駅はターミナルのところですから、小杉駅そのものの条件というのは限 られてしまうわけです。それは地下鉄とは関係なく、小杉駅は小杉駅で進めているの です。ですから地下鉄は、新百合ヶ丘から元住吉をアセスメントする過程で、代替ル ートもあり得るのではないかと検討をします。検討するときに、小杉新駅が確定的に なって決まっていれば、そことの乗り継ぎの問題とか、いろいろな条件が新しく付加 されてくるということなのです。 記 者 : 昨日の国の見解では、仮に小杉ルートになればやり直しと。その辺で、市長 が逆転をする、どういう手法をお考えなのか。 市 長 : ど う い う 手 法 で は な く て 、 と に か く い い も の を つ く る と い う こ と に行 政 と い うものは賛成するものなのだという確信です。 記 者 : それは考えはわかるのですが、具体的な戦略といいますか。そういうものを 聞かせていただかないと。 市 長 : 要するに、もし仮に元住吉ルートは今までの延長線で財政的に成り立たない、 だめだという話になって、では地下鉄そのものをやめてしまうのか。私はそうではな 10 いのです。元住吉ルートがだめだった場合でも、もっと乗客が乗るようなほかのルー トがあり得るのではないかという段階が。ですから元住吉ルートが本当にだめだとい うことが明確になったら、当然そちらの方を重点に考えざるを得ないのでしょう。そ れ以外もっといいのがあったらそれも考えます。 記 者 : その段階で、国が昨日言ったのは、やり直してくれというふうなことを言っ ているわけなので、それを見越してどういうふうなことをお考えなのか。 市 長 : それは国の方でそういう手続が必要だとおっしゃるならば、それに従って、 一生懸命汗かいて努力するしかないでしょう。 記 者 : そうすると、かなり時間がかかるのではないかという。 市 長 : そういった見通しの話を、まだ具体的に始まってもいない段階から言っても しようがないと言っているのです。要するにこれだけ金かけるのですから、民間会社 だったら最善の方策を選ぶのは当たり前ではないですか。 記 者 : それは最もだと思うのですが、それを実現させるために、やはりある程度の ノウハウといいますか、それは必要だと思いますので。 市 長 : いや、真正面から、市の行政として最善でありますということで、実はこう こうこういうことで、最善の案でございますということを真正面からぶつけていって、 堂々と真正面から説明をして、理解してもらうしかありません。ですから、もし、そ うでないということであれば、それなりの論拠、その方が有利である、市民のために プラスになる、そういうことを明確にしてもらわないと困ります。 記 者 : 今回の武蔵小杉ルートと呼ばれているものと、今の現行ルートなんですけれ ども、現行ルートは、今、何も鉄道もないところに鉄道を引くような趣旨のもので、 もし武蔵小杉ルートとなると、今南武線があって、どちらかというと交通渋滞をより 緩和するような形の、人が今もう集まっているところの交通を緩和するという点で、 結構鉄道そのものの趣旨が随分変わるかと思うのですが、そこら辺は同じ事業という ふうにおっしゃっている市長は、どのように受けとめられているのでしょうか。 市 長 : 世の中が変わっているからですね。昔、高度成長期に田舎の町をつくるとき に、スーパーマーケットや道路をどんどん郊外に郊外に出したでしょう。それで広が ったところに後からバス路線をつくり、道路をつくって発展してきましたね。今、縮 小過程に入って、世の中どうなっていますか。そういうところがみんな、中心市街地 ががらがらになってしまって、周辺のところも住宅が少なくて人が通らない状態にな っています。今、街全体をコンパクトにして効率化していかないと、日本の都市がも たないのです。そういう具合に時代が変わったのです、ここ15∼6 年の間で。新し 11 い時代に対応して、いい仕事をやっていくのがアセスメントの一番大事なポイントで はないんですか。 記 者 : 今、市長がお話になった話を聞くと、元住吉側には市長は余り乗り気ではな いのかと。 市 長 : 元住吉案で、5年程度着工を延期と決定しているのです。まだ着工延期期間 中なのです。ですから、それを今すぐいいと言える条件が出てきていないのですよ。 事業延期を決定して、まだ延期して1年半です。5年程度延期という決定をしてから。 それを今すぐやりますという話にならないのです。アンケート調査をとって、それで あそこまでの結 果をいただいて判断してきているわけですから。 記 者 : そうすると、事業再評価を得て、現行計画をやりますという答えにはならな いということですか。5年間着工を延期しているというふうにおっしゃっていますけ れど。 市 長 : 財政状態だとか、そういうものももう一回精査すると言っているだけです。 可能性はないわけではないのです。元住吉ルートでやるという可能性、あと二、三年 以内に着工するという結論を出す可能性はゼロではありませんけれども、それはアセ スメントの事業で精査した結果どうなるかです。ただ、少なくとも5年程度延期を決 定したときの状況と比べて、財政的にはそんなには楽になっていません。 記 者 : そうしますと、今度の予算が通ったらの話ですけれども、アセスをしたとし て、考えられる選択肢は何がありますか。現行計画をやらないというものと即着工と いうもの、選択肢にあるのですか。 市 長 : 選択肢は10通りか、15∼6通りあるのではないですか。まず、とにかく アセスするのは小杉ではなくて元住吉ルートですから。まずこれが核です。ですから そこから出発すると、元住吉ルートで今着工というのが一つあります。それから期間 を延長して着工というのがあります。元住吉ルートをやめるという選択があります。 記 者 : ではすぐ着工もあり得るということですか。 市 長 : まだ結論を出していないのですから、まだアセスメントでそういう具合にな ってくる可能性がゼロではないです。しかし、それは今までの流れからいって、非常 に可能性は低いのではないですか。財政状態はそんなに好転していないし、そういう 具合に言う人の数が急に増えたのですか。1年半前のアンケート調査をとったときに は、即着工の人は15∼6%。延期派が40%、中止派が33∼4%という状態です。 ですから、より多数の方が元住吉ルートで早くやるべきだという具合に、世の中が変 わったのでしょうか。 12 記 者 : そうしますと、着工延期を決めた根拠がアンケートとなりますと、代替計画 をもし検討するという場合は、やはり市民アンケートにかけるということですか。 市 長 : そこまでは決めておりません。そこまでは決めておりませんけれども、いろ いろなご意見を伺って、アンケートをやった方がいいかどうかというのは、また改め て判断したいと思うのです。 ただ、アンケートをとるまでもなく、小杉ルートについては、かなり多くの方々か らいい感触をいただいているのです。まだやるとも、やらないとも決めていないのに、 そういうご意見がたくさん来ている状態なのです。しかし、反対に、着工延期だとい って、もうやらないのかと思っていたのに、小杉ルートで急にやるといって、一体阿 部市長は何を考えているのだという手紙をいただいています。 記 者 : 今、小田急とか、京急とか、関係の鉄道会社等と調整というのはどういう状 況なのですか。 市 長 : 小田急とは、元住吉ルートで新百合ヶ丘で乗り入れという話は前から進めて いるのですけれども、小杉ルートの話は小田急とは全然話をしておりません。まだ、 市として方針を決めているわけでも何でもないですから。 記 者 : 今、鉄道事業許可を得ている現行計画なのですけれども、工事施工認可の申 請期限が切れている状況で、事業許可の規準に違反している状況なのですが。 市 長 : あれは平成17年、時のアセスメントにかかるので、5年程度延期していて、 今、着工することを前提に1年先に延ばすと、時のアセスメントにかかるから出さな かったのです。ですから、出していないからやめるつもりだと言われるのは全くの心 外です。延期期間中でアセスメントにかかるという前提に出していないわけですから。 ですから出さないのがいかにも市長は地下鉄をやらない意思表示だとかいったら、完 全な誤解です。ですから、時のアセスメントできちんとした説明をするということな ので、時のアセスメントにかかるまでの間、とりあえず着工はしないのですから、施 行認可の申請はしないということです。 記 者 : もし今回、補正予算が通らなかった場合というのは、どのように考えられて いますか。 市 長 : 補正予算が通らなかった場合は、考えませんでした。 記 者 : 今のところ考えていない。 (排ガス浄化装置(DPF)について) 記 者 : 市 長 、 デ ィ ー ゼ ル 車 の P M ( 粒 子 状 物 質 )除 去 の 話 で 、 三 井 物 産 が デ ー タ を 捏 13 造していまして、東京都は告発するやのようなことを聞いているのですが、川崎市と してのこれまでの三井物産側からの報告ですとか、今後の方針等含めてちょっと。 市 長 : 基本的には8都県市共同で対応するということです。今、打ち合わせや何か をやっています。三井物産の謝罪については、11月26日午前10時に神奈川県庁 で開催した、神奈川県と横浜市と川崎市の担当課長会議の席上で、物産の幹部が謝罪、 経過報告があったという具合に聞いておりまして、社長さんがあちこち謝罪行脚に歩 いておられるという話は聞いておりますが、そのうち川崎市にも来るのではないかと 思っています。 基本的に8都県市で共同歩調で進めるということになっていますので、早期の認定 取り消しだとか、あるいは損害賠償とか、いろいろそういう問題が出てくる可能性が あるのですが、それは8都県市共同歩調をとろうということです。東京都が先行して いるのは、実はディーゼル車規制については、東京都が1年単独で先行していた経緯 があるのです。ですから東京都は自分の責任でとにかく先行していろいろなことをや っておられるのです。8都県市で共同歩調を合わせて、ユーザーに迷惑がかからない ように、早く処理できるようにというスタンスで協議を進めるつもりでおります。 (三位一体改革について) 記 者 : 三位一体改革、金曜日に大ざっぱなアウトラインが出ましたけれども、川崎 市には県ほどの影響はないのかなという感じもするのですが、今回の決着ぶりをどの ようにお受けとめなっていらっしゃいますか。 市 長 : とにかく中途半端な先送りですよ。金額的にはかなりの線にきているので、 そういう意味では、小泉首相のコメントに近いような努力というのは高く評価するの で、少なくとも地方自治体の気持ちをくんだ行動を総理にとっていただいたというの は感謝しているのですけれども、ただ結果は結局逃げ切られたという形で、三位一体 改革の基本理念から外れているのです。国が補助金をにぎって、強大な権限を持って、 大きな組織を持ってやっているから、国の方も組織が肥大化するし、受け手側の地方 公共団体も肥大化して、役人同士のやりとりで無駄使いがいっぱいあるわけです。電 話代だってそうです。出張費だってそうです。ですから、そういうのをなくして、地 方自治体にストレートでお金が入って、自己責任で仕事の処理をしましょうとすると 国の組織だって簡単になるし、国の役人とおつき合いしている分の地方自治体の事務 作業はうんと減らせるのです。その分が行財政改革で国の財政再建につながるので、 それが2割とか1割とかいっているわけです。今回は補助金は減らしたのですけれど 14 も、今度は財源配分をするときには2割カットしてやるというのでしょう。2割カッ トというのはどこから出てくるのですか。国の組織は温存、権限はそのままでしょう。 ですから合理化をして、経費が節減になる部分が出てこないにもかかわらず、地方自 治体の金は減らすという発想でやっているわけですから。基本的に地方分権を目指す 三位一体の改革の基本理念に反しています。 今回のは、市に対する具体的な影響というのは余りないのです。一番大きいのは、 今お話ししたように、地方自治体の財源2割カットという話です。この部分が影響し てくると思うのです。川崎市の場合は不交付団体ですから、どこがカットされるかと いうと臨時財政対策債。これは予算を組む上で非常に重要な財源になっているわけで すけれど、臨時財政対策債がまた減らされるだろうと。要するに市の一般会計の総額 を少し落とさざるを得ないという状況になっていきます。 今回の補助金の削減は、義務教育費については、これは県のお金なのです。ですか ら、国から県にいっていたお金が県に振りかわるということですから、県から市に送 るお金には影響ないのです。 それともう一つは、国民健康保険も国から直接市に入ってきたものの全体の、全体 というか、国から入ってくる金というのは4割なのですけれど、国民健康保険の経費 の4割で、その4割のうちの1割、残り3割は国から直接来るのですけれども、その 1割が県の財源になって、県からこちらに来るという形なのです。これはまた中途半 端な改革でしょう。国から直接市に入ってきたものの一部分が、今度県に肩がわりし て、県から市に入ってくるという話ですから、分権の名に値しないでしょう、基本的 に。金額的には影響ないですけれど、義務教育だってそうでしょう。 記 者 : そ う す る と 、 去 年 も 地 財 ( 地 方 財 政 計 画 )で 圧 縮 さ れ て 、 臨 時 財 政 対 策 債 カ ッ トされて、結構苦労しましたよね。 市 長 : 全国で反乱起こるぐらいの騒ぎでした。 記 者 : 今年はその三位一体プラス、谷垣財務大臣が、7∼8兆円多いではないかと いうことで、全部が全部とは言いませんけれども。ですから、その三位一体に上乗せ した形で、川崎市の場合、臨時財政対策債が出るのではないかと思いますけれども、 でもやはり一般会計の総額を来年度も相当程度落とさないといけないという考えです か。 市 長 : 川崎市は行財政改革をかなり進めてきている過程で、今までやった分の効果 が少しずつ出てきますから少しは対応できるのですけれども、日本全国の自治体は大 変です。 15 幹 事 社 : 他にはよろしいですか。では、市長ありがとうございました。 司 会 : では、以上をもちまして、市長記者会見を終了させていただきます。 (以上) この記録は、重複した言葉づかい、明らかな言い直しや質問項目などを整理した うえで掲載しています。 (お問い合わせ)総務局秘書部報道担当 16 電話番号:044(200)2355