The 9th Korea-Japan Conference on Ferroelectrics に参加して
by user
Comments
Transcript
The 9th Korea-Japan Conference on Ferroelectrics に参加して
特集 学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 17 The 9th Korea-Japan Conference on Ferroelectrics に参加して 山 本 優 Yu YAMAMOTO 物質化学専攻修士課程 1年 より作製した.ALN 薄膜を作製する前に,(001), 1.はじめに (110),(111)STO 基板上に下部電極として SrRuO3 私は,2012 年 8 月 7 日から 8 月 10 日に韓国の蔚 (SRO)薄膜を基板温度 750℃,酸素分圧 200 mTorr 山で開催された「The 9th Korea-Japan Conference on の条件で作製した.それらの基板上に基板温度 700 Ferroelectrics」に参加しました.私はこの国際会議 ℃,酸素分圧 225 mTorr の条件 で ALN( x = 0.05, で「(Ag, Li)NbO3 thin films fabricated on( 001), 0.1)薄膜を作製した.上部電極として Pt 膜をスパ (110),and (111 )SrTiO3 substrates by pulsed laser ッタ法により作製した.結晶構造は X 線回折装置 deposition」という題目でポスター発表を行いまし (Rigaku RINT 2000)を用いた θ /2 θ 測定から,表 た. 面微構造は走査電子顕微鏡(SEM, KEYENCE VE9800)とラマン分光法(日本分光 NRS-2100)で, 2.研究概要 2. 1 電気特性は LCR メーターと強誘電体テスター(aix- 序論 act TF-ANALYZER 2000)で評価した. 現在,圧電材料として Pb( Ti, Zr)O(PZT)が広 3 く利用されている.しかし,PZT は鉛を含有して いるため人体や環境に対して悪影響を及ぼす可能性 2. 3 結果 ALN (x=0.05, 0.1)セラミックスはそれぞれ,相 があり,非鉛の圧電材料の開発が求められている. 対密度 93.7%,95.3% で,X 線回折から菱面体晶 和田研 究 室 で は ニ オブ 酸 系 化 合 物 の 一 種 で あ る 系であることを確認した.STO の基板上に形成し AgNbO(AN)を(001) ,(110),(111)SrTiO(STO) 3 3 た ALN (x=0.05, 0.1)薄膜は,(001)基板では ALN 基板上に配向成長させ,配向方位が薄膜に与える影 001 回折,(110)基板では ALN 110 回折,(111) 響について研究した.また AN は通常,フェリ誘 基板では ALN 111 回折が主要ピークとして観察さ 電体であるが,Li を固溶させると強誘電相に相転 れ,(001),(110),(111)STO 基板上に ALN 膜が 移することが知られている.本研究では,パルスレ 配向成長していることがわかった.拡大した ALN ーザー蒸着 ( Pulsed Laser Deposition : PLD) 法 で 002, ALN 220, ALN 222 ピークは,AN, ALN(x = (001),(110),(111)STO 基板上へ Ag1−xLix )NbO3 0.05),ALN(x=0.1)の順に高角度側にシフトして (ALN, x=0.05, 0.10)薄膜を成長させ,Li の固溶に いた.このことから ALN 薄膜で Li が固溶してい よる結晶構造,微構造,電気特性の変化を調べた. ると考えられる.ALN 薄膜の表面微構造を Fig. 1 に示す.(001)STO 基板上では格子状,(110)STO 2. 2 実験方法 基板上ではストライプ状,(111)STO 基板上ではピ ALN(x =0.05, 0.1)セラミックスターゲットは ラミット状になり,膜厚はどれも約 3∼4 μ m であ AgNO3, Li2CO3 , Nb2O5 ,を原料粉末として固相法に った.比誘電率 ε r および誘電損失 tan δ は(001)STO ― S-75 ― Fig. 1 (001),(110),(111)SrTiO3 基板上に配向成長した ALN (x=0.1)薄膜の表面微構造 Fig. 2 AN, ALN (x=0.05)および ALN (x=0.10)薄膜の P-E ヒステリシス 基板上に作製した ALN(x=0.1)薄膜が最も大きく り,相手に正確に伝えることが出来なかったりと自 ε r = 1920, tan δ = 0.08 だ っ た . Fig. 2 に ( 001 ), 分の英語力の無さを痛感しました.しかし,同時に (110),(111)STO 基板上に作製した AN[1],ALN 簡単な英語でも伝えようと努力すると,相手の方も (x=0.05),ALN (x=0.1)薄膜の P-E ヒステリシス 理解しようと努力してくださり,言葉が通じること を示す.AN 薄膜がフェリ誘電体に特徴的なダブル ループを示すのに対し,Li を 5%,及び 10% 固溶 した ALN 薄膜は強誘電体に特徴的な大きなシング の喜びを感じました. 4.おわりに ルループを示す.最も高い残留分極は(111)STO 私の所属する和田研究室では,学会へ参加する機 基板上に作製した ALN(x=0.1)薄膜で,残留分極 会を多くいただけます.特に今回のような大規模な Pr は 40.0 μ C/cm ,抗電場 Ec は 49.2 kV/cm である. 国際会議への参加は私にとって非常に有意義な経験 このことからも,AN に Li を 5% 以上固溶させる になりました.また,自分の研究発表に興味を持っ ことで薄膜でもフェリ誘電体から強誘電体が相転移 て聞いてもらえた事で,これから,研究を進めてい することがわかる. く上でさらに意欲的に進めて行けると思いました. 2 今回のように,国内外の大学の生徒や教授,研究者 3.発表について と関わり合い議論し合う機会をいただき,普段の生 私にとって初めての学会であったため,不安が大 活では絶対に味わうことのできない経験が得られた きかったです.私は今まで外国の方と英語で話した ことは,今後の自分にとって大きなプラスとなると ことがなく,研究内容をうまく伝えられるか自信が 思います.最後になりましたが,このような貴重な なかったからです.実際に発表してみると,相手の 機会を与えてくださった和田隆博教授や研究室の皆 質問に正確に聞き取りが出来ず何度も聞き直した 様方に深く感謝したいと思います. ― S-76 ―