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Title 大腸菌におけるGC-CG transversion型突然変異の抑制機構 の

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Title 大腸菌におけるGC-CG transversion型突然変異の抑制機構 の
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大腸菌におけるGC-CG transversion型突然変異の抑制機構
の研究( Dissertation_全文 )
中原, 岳久
Kyoto University (京都大学)
2000-07-24
https://doi.org/10.11501/3172785
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
author
Kyoto University
主論文
学位申請論文
大 腸 菌 に お け る GC-CGtransversion型 突 然 変 異
の抑制機構の研究
中原岳久
要旨
GC-CG ト
塩基置換型の突然変異のうち、 GC塩基対から CG塩基対への突然変異 (
ランスパージョン型)の自然発生頻度はその他の トランスパージョン、
トランジショ
ンに比べて低いことが知られている。しかし、 このタイプの突然変異は活性酸素や
UV-B、 γ線などで処理すると発生頻度が上昇する。このこ とは、 GC-CG トランス
ノてージョンを起こす原因となる塩基の損傷(修 飾)が存在すること、この修飾塩基
は DNA上に生成しでも通常は修復されることを示してい る。ところが、このタイプ
の損傷を修復するシステムに欠損の生じた細胞 、つまりこの突然変異を特異的に上
C-CGトランスパージョンを抑制
昇させるミューテーター株は見つかっていない。 G
する機構の解明を目的として、二つの方向から のアプローチを行った。一つはこの
突然変異が生じる中間段階のミスマッチを特異 的に認識するタンパクを探すことで
あり、もう一つはこれまで分離されていなかっ た大腸菌のミューテータ一変異株を
分離することである。まず、ゲルシフト法を用 いて大腸菌中でのミスマッチ認識タ
Cのミスマッチ
ンパクを探したところ、シトシン (C) を含むミスマッチ、特に C
を強く認識する活性が 2つ検出された。うち一つは、様々な変異株およ びクローニ
ングした遺伝子を用いた実験の結果、 MutMタンパクであることが分かった。酵母
Cミスマッチに結合するこ
) の Ogglタンパクも同様に C
e
a
i
s
i
v
e
r
e
sc
e
c
y
m
o
r
a
c
c
a
S
(
とが分かつた。一方、もう一つのタンパクを精製 し、その N 末端のアミノ酸配列か
ら大腸菌 ORFデータベースを検索したところ、 FabAタンパクであることが分かっ
Cミスマッチの修復に関与しているものと考え
た。これらのタンパクは DNAの C
られる。
次に、
CGト
トランスポゾンをランダムにゲノム中に組み込む 方法を用いて、 GC
ランスバージョンのミューテーター株を分離す ることができた。このトランスポゾ
ンの末端配列を利用して変異している遺伝子の配 列を調べたところ、 mutY遺伝子で
-オキソグアニンとアデニンの
あることが分かつた。精製した MutYタンパクは、 8
-オキソグアニンとグアニンのミスマッチも認識し て修復
ミスマッチだけでなく、 8
することが分かつた。
目次
序論・・・・・・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .1
材料と方法・・・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .・・・・ 5
1、 本研究に用いた大腸菌株
2、 本研究に用いた合成 DNA
3、 出芽酵母 Oggl遺伝子のサブクローニン グ
4、
大腸菌 mutY遺伝子のサブクローニン グ
5、 大腸菌粗抽出液の調整
6、 出芽酵母粗抽出液の調整
7、
ゲルシフトアッセイ
8、 GST融合タンパクの精製
cミスマッチ結合タンパク の精製
9、 c
cミスマッチ結合タンパク のアミノ酸配列の決定
10、 c
1 1、
ミューテーター株の探索
12、
自然突然変異頻度の算出
13、
ミューテーター遺伝子の マッピング
14、 mut3及:Tnl0遺伝子のサブクローニン グ
15、 ニッキングアッセイ
結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .・・・
12
1、 GC-CGの突然変異の原因となり うるミスマッチを認識す るタン
パクの探索と解析
1- 1、
C-Cや G-Gのミスマッチを言志識するタンパクの検出
1-2、 様々な変異株中の C-Cミスマッチ結合タンパク の有無の確
刃
三
1-3、
Cミスマッチ結合タンパク の精製
もう一つの C
Cミスマッチ認識
1-4、 MutMタンパクの機能ホモログ での C
能の確認
2、 GC-CGの突然変異のミューテーター株の探索と解析
2- 1、
ミューテーター株の探索
2-2、 GC39株におけるミューテーター遺伝子のマッピング
2-3、 mut3ヌ:miniTnlO遺伝子のサブクローニング
2-4、 MutYタンパクを用いたゲルシフトアッセイ
2-5、 ニッキングアッセイ
考察・・・・・・・・. . . . . . . . . . . . . . .. . . . .・・・ 19
1、 大腸菌野生株でのミスマッチ認識活性の検出
2、 大腸菌 MutMタンパクの機能の解析
3、 C
-Cミスマッチ認識タンパクの同定
4、
大腸菌以外の生物における C
-Cミスマッチ認識機構
5、 真核生物における MutMホモログの C
Cミスマッチ認識能力の
確認
6、
大腸菌の GC-CGの変異を特異的にもたらすミューテーター遺伝
子の同定
7、 大腸菌の 8ーオキソグアニンに対する防御機構である GOシステム
との関連
8、 GC-CG変異の発現の特異性
9、 他の生物の MutYホモログについて
謝辞・・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .・・・・・・・ 28
引用文献・・・・・・. . . . . . . . . . . .. . . .. . . . . . .29
図と表・・・・・・・. .. . . . . . . . . . . . . . . . . .・・・ 42
序論
突然変異はま れにしか起こ らない現象で ある。しかし 、その生物学 的な意義
は大きい。プ ラスの面では 、長い進化の 過程において 、様々な突然 変異の蓄積と 選
択によって現 在のような多 様な生物種を 生み出してき たという点が あげられる 。す
なわち、突然 変異は進化の 原動力である ということが できる 。 しかし、個々 の個体
にとっては、 ほとんどの突 然変異は役に 立たないか、 有害であると 考えられる。 こ
のように、突 然変異は起こ りすぎても種 の維持に困難 を来す 。そのため、 生物は突
然変異を抑制 する機構を発 達させてきた 。このような システムを、 複雑さや構成 因
.
1
ta
g e
r
e
b
d
e
i
r
P
子の数などの違いはあるが、ウイルスからヒトまで、が持っている (
)。
5
9
9
1
点突然変異の原因としては、 DNA複製時のエラ ーや損傷塩基 による誤った 対
合の形成、相 同だが完全に は一致しない 配列間での組 み換えなどで 生じるミスマ ッ
h
t
i
m
1,S
9
9
1,Modrich1
9
9
.1
1
ta
se
l
o
h
c
7,Dra1991,E
8
9
.1
1
ta
re
e
p
a
a
h
c
S
チがあげられ る (
) 。このような ミスマッチを 修復す
7
9
9
e1
c
a
l
l
a
W
.1996,
1
ta
Modrich e
2,
9
9
r1
e
l
l
i
M
2,
9
9
1
6,
9
9
2,1
9
9
r 1
e
l
l
i
M
ることは突然 変異の抑制や ゲノムの安定 化にとって重 要である (
) 。現在まで、 様々な生
9
9
9
n1
e
s
i
7,Mol1999,E
9
9
e1
c
a
l
l
a
6,W
9
9
.1
1
ta
8,Modriche
9
9
1
1,
9
9
h1
c
i
r
d
o
M
物種で、点突 然変異を抑制 する機構に関 する研究が行 われてきた (
) 。点突然変異 の抑制には DNAポ
9
9
9
.1
1
ta
ne
e
s
i
9,E
9
9
1
.
1
ta
6,Mol e
9
9
.1
J
ta
Modriche
リメラーゼの 校正機能やミ スマッチ修復 系が関与して いることが明 らかにされて き
) 0 DNAポリメラーゼ 自身の突然変 異頻度はおよ そ
3
9
9
r,1
e
p
a
a
h
c
S
た (
-4/塩基対/
0
1
複製と見積も られている。 これをポリメ ラーゼの校正 機能やミスマ ッチ修復系な ど
) 。ミスマッチ 修復系
3
9
9
r,1
e
p
a
a
h
c
S
-10/塩基対/複製まで減少させている (
0
を用いて 1
は大腸菌から ヒトまで、生 物種を越えて 基本構成が保 存されている DNA修復系であ
8,Mol
9
9
6,1
9
9
r1
e
l
l
i
11996,M
.
ta
1,Modrich e
9
9
h1
c
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r
d
o
M
る (
1
.
ta
ne
e
s
i
.1999,E
1
ta
e
hタンパ
1999) 。主な構成タンパクは、 G-Tのようなミスマッチを認 識する MutSMs
hタンパクと結合する MutL/
クと、機能の詳細は明ら かになっていないが MutS/Ms
Pmsタンパクである。また、 大腸菌では GATC配列のアデニンのメチル 化を指
l
Mlh
標として鋳型鎖と新生鎖 を識別し、新生鎖のみこ の配列部分を切断する MutHタン
6) 。
9
9
1
.
l
ta
r1992,1996,1998,Modrich e
e
l
l
i
1,M
9
9
パクも同定されている (Modrich1
これらミスマッチ修復系 の遺伝子の機能が失われ ると、自然突然変異頻度 が上昇す
)。
6
9
9
.1
l
ta
r1992,1996,1998,Modriche
e
l
l
i
M
る (
大腸菌では、早くから簡 便に点突然変異を検出す るシステムが開発されて き
rらが開発した CCシリーズと呼ばれるもの である
e
l
l
i
た。 その代表的なものが M
) 。大腸菌の F 因子上の戸
9
8
9
.1
l
ta
.1988,Cupplese
1
ta
Nghieme
.1988,
l
ta
ae
r
e
r
b
a
C
(
ーガラクトシダーゼ遺伝 子中にーカ所だけ、六つ の塩基置換型変異のうち 一つの変
) 。この変異が野生型に復 帰する現象を観察
9
8
9
.1
l
ta
se
e
l
p
p
u
C
異が導入されている (
することで突然変異の頻 度や傾向を知ることがで きる 。
このシステムなどを用い て様々な変異株の突然変 異の自然発生頻度が調べ ら
れてきたが、 CC103株の突然変異頻度を特異 的に上昇させる大腸菌の 変異株は発見
)0
8
9
9
r1992,1
e
l
l
i
M
されなかった (
c103株は GCから
c
CGへの突然変異が生じた
ときに野生型に復帰する 株である。このことは、 これまで述べてきた様々 な DNA修
復機構は GCから CGへのトランスバージョン を抑制しないということ を意味して
いる 。 しかし、突然変異を誘発 する処理、たとえば一重 項酸素や UV-B、 γ線などの
. 1991,
1
ta
MacBride e
処理によってこのトラン スパージョンの頻度が上 昇する (
) 。 また、 mutHLSミスマッ
5
9
9
.1
l
ta
.1994,Buchkoe
1
ta
ie
n
i
t
n
e
g
r
a
.1994,S
1
ta
ae
k
a
s
Aka
チ修復機構は、 GCから CGへの突然変異の中間段階 で発生することが予想さ れるミ
スマッチのうち、 G-Gのミスマッチを効率よく修復するが、 C-Cのミスマッチは修
Su
. 1984,
l
ta
復効率が低いことが知ら れている (Kramer e
Schaaper
. 1988,
l
ta
e
1993) 。 この原因は、ミスマッチ を認識する MutSタンパクがほとんど C-Cのミス
2
c
bi
,Ba
95
9
. 1
l
ta
re
e
n
g
a
W
マ ッチを認識し ないことだと 考えられてい る (
.
l
ta
e
6)。 これらの現象から、 GCから CGへの突然変異 を抑制し てい る機構が存在 す
9
9
1
ると 予想される 。私は、その 機構を解明す るべく本研究 を行った 。
本研究では、 2つの方向から この機構の解 明を試みた 。 1つは 突然変異 の中
Cや G-Gのミスマッチ を認識するタ ンパ ク
間段階で形成 される、何ら かの形での C
CI03株で自然発生 突然変異頻度を
が存在するか どうかの確認 である 。 もう 一つは C
上昇させる変 異株(ミュー テーター株) を分離するこ とである 。
-Cミスマッチを 認識するタン パクが存在す るかどうかを 大腸菌の粗
まず、 C
抽出液を用いたゲルシフト法で検討した 。 この方法によってすでに分裂酵母の
) 。 この実験の結果、 C-Cを主に認識する
4
9
9
.1
l
ta
ke
c
e
l
F
Cmblが発見されている (
-Cのほかに C-Aや
タンパクが存 在することが 確認できた。 また、このタ ンパクは C
Tといったシト シンを含むミ スマッチを認 識することが 分かった 。 このタンパク
C
を同定するた め、様々な変 異株から得ら れた粗抽出液 を用いたゲル シフト法で検 討
した 。その結果、 ゲルシフト法 で検出される 二本のバンド のうち、より シフトする
ST-MutMタンパ
無くなること が分かった 。 さらに、精製した G
方が mutM欠損株で、
Cのミスマッチ に結合するこ とが
クを用いた実験の結果、 MutMタンパク自身が C
分かった 。 しかし、この方法ではもう 一方のバンド を形成するタ ンパクは同定 でき
なかった 。 そこで、この タンパクを精 製し、そのア ミノ酸配列か らタンパクを 同定
s
y
L
r
h
-T
r
y
T
?
u
l
G
g
r
A
s
y
L
p
s
A
l
a
した 。 アミノ末端のアミノ酸配列を調べた結果、 V
uであった 。 これを国立遺伝学研究所の大腸菌 ORFデータベースで調べた結果、
l
G
FabAタンパクのアミノ末端の配列と 一致した。ま た、大腸菌 fabA変異株から調 整
した粗抽出液を用いたゲルシフトアッセイでは、 MutMとは違う方の バンドが消失
することも分 かった 。
次に、 GCから CGへのトランス パージョンの ミューテータ ー株を作成し た 。
CI03 株のゲノムに 挿入する操作 を行った 。約
トランスポゾンをランダムに大腸菌 C
3
4万個のコロニーを P-Galと X-Galを含んだグルコース最小 培地プレートにレプリ
カし、親株である CCI03株よりパビーレを明らか に多く生じるコロニーを 選択した 。
eを調整し、もう一度 CCI03株に感染させる事でゲノ ム内に
t
a
s
y
1
l
選択した株から P
一つのトランスポゾンの みを含む株にし、なおか つ、そのトランスポゾン の挿入に
よって GCから CGへのトランスパージョン の発生頻度が上昇するこ とを確認した。
この結果、ミューテータ ー株を五つ得ることがで きた。
五つのミューテーター株 の突然変異スペクトルを みたところ、 GC39株だけが
GCから CGへのトランスパージョン のみを上昇させることが 分かった。それ以外の
株はすべての種類の塩基 置換型の突然変異が反映 されるリファンビシン抵 抗性への
突然変異頻度が GCから CGへのトランスバージョン の発生頻度を大きく上回 って
いる。そこで、本研究では、 GCから CGへのトランスパージョン の発生頻度のみを
上昇させる GC39株について詳しく調べる ことにした。この株から ゲノム DNAを回
収し、
トランスポゾン内部の抗 生物質耐性遺伝子を指標 にして、この遺伝子を含 む
周辺配列をクローニング した。
トランスポゾンの末端配 列を利用してその境界部 分
の塩基配列を調べたところ、 mutY遺伝子で、あることが分かった。そこで、 MutYタ
ンパクを精製し、 GCから CGへのトランスパージョン の抑制との関係を生化学 的に
調べてみた。ゲルシフト 法による検討の結果、 MutYタンパクは今まで知られ ていた
8ーオキソグアニンとアデ ニンの塩基対だけでなく 、 8ーオキソグアニンとグア ニ
ンの塩基対も認識することが分かった。さらに、 MutYタンパクは
8-オキソグアニ
/7の効率であるが、明ら
ンとアデニンの塩基対か らアデニンを除去する効 率の約 1
かに 8ーオキソグアニンとグア ニンの塩基対からグアニ ンを除去することが分か つ
。
た
4
材料と方法
g
n
i
n
o
l
rC
a
l
u
c
e
l
o
基本的な分子生物学的実 験は、プロトコール集で ある M
t
r
o
h
9) に、大腸菌の基本的操作 は同じくプロトコール集 である AS
8
9
.1
l
ta
he
c
s
t
i
r
F
(
) に従った 。
2
9
9
r1
e
l
l
i
M
s (
c
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t
e
n
e
lG
a
i
r
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t
c
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nB
ei
s
r
u
o
C
l、本研究に用いた大腸菌 株
表 lに本研究に用いた大腸菌 株を記した 。
2、本研究に用いた合成 DNA
表 2に本研究に用いた合成 DNAを記した 。
3、出芽酵母 Oggl 遺伝子のサブクローニン グ
) に従った 。放射線医学総
7
9
9
.1
l
ta
de
r
a
r
i
G
dらの方法 (
r
a
r
i
基本的な操作は G
e) ゲノムラ
a
i
s
i
v
e
r
e
.c
S
合研究所の味村正博博士 より分与していただいた 出芽酵母 (
イブラリーを鋳型とし、 表 2の 9番のプローブと 10番のプローブをプライマ ーと
して PCRを行い、出芽酵母の
Oggl遺伝子を増幅した 。用いた酵素は KOD
s
u
l
P
1kbの断片を制限酵素処理 後
.
DNAポリメラーゼ (TOYOBO) である。増幅された 1
) にクローニングした 。 このプラ
h
c
e
t
o
i
aB
i
c
a
m
r
a
h
プラスミド pKK223-3 (AmershamP
) を大腸菌 CC104mutMmutY株に導入し、自然突然変 異
スミド (pKK223-3-YOGG1
頻度を野生株レベルにま で低下させることを確認 した 。
5
4、大腸菌 mutY 遺伝子のサブク ローニング
) を鋳型
2
9
9
.1
J
ta
ae
r
u
m
i
h
s
i
N
大腸菌 mutY遺伝子を含むプラ スミド pLC20-5 (
とし、表 2の 12番のプローブと 13番のプローブをプ ライマーとして PCRを行い、
JIで制限酵素処理を 行
大腸菌 mutY遺伝子を増幅した 。この PCR断片を EcoRIと Sa
T-3引;にこクロ一ニングし
灯
ぬalI でで、制限酵素処理を行つたフプ。ラスミド pGEX-4
~J と S
支
い、 EccR
pGEX
た O 得られたプラスミド(ゆ
然突然変異頻度を 野生株レベルにま で低下させること を確認した O
5、 大 腸 菌 粗 抽 出 液 の 調 整
大腸菌の終夜培養 菌液を 6000rpm、 15分の遠心操作にか けて、菌を回収し
0、 1m MEDTA) に溶かし、
.
pH8
l,
C
H
i
r
0m MT
5
A(
r
e
f
f
u
9あたり 3mlのb
た。沈殿 1
Aで 3倍希釈し、氷水中 で超音波処
r
e
f
f
u
0Cで保存した。この サンプルをさらに b
8
0
理を行った。この後、 8000rpmと 12000叩m で 4 C、 30分ずつ遠心操作にかけ、
0
その上清を粗抽出液として、以後の実験に用いた。
6、 出 芽 酵 母 粗 抽 出 液 の 調 整
出芽酵母の培養菌 液を 6000叩 m、 5分の遠心操作にかけて、菌を回収した。
s
i
r
0m MT
2
さらに冷やした滅菌蒸留水で、菌を洗った。この菌に抽出バッファー (
l
o
t
i
e
r
h
t
o
i
h
t
i
nA、 1mMPMSF、3m Md
i
t
a
t
s
p
e
mlp
/
5、5m MMgCl 2、1μg
.
HCl,pH7
(DTT)) を加え、ボルテックスミキサーをイ吏って菌を溶かした。ここにガラスビーズ
5mm) を加えさらにボル テックスミキサー を使って撹持した 。撹祥終了後、
.
(直径 0
0%になるように 加え、ボルテック スミキサー
飽和硫酸アンモニ ウム溶液を最終濃 度 1
6
を使ってゆ るやかに撹 持した。こ の溶液を 14600rpmで 30分遠心操作 にかけ、そ
の上清を粗 抽出液とし て、以後の 実験に用い た O
7、 ゲ ル シ フ ト ア ッ セ イ
) に従った 。合成 DNAを T 4
4
9
9
11
.
ta
ke
c
e
l
F
kらの方法 (
c
e
l
基本的な操 作は F
哉し、相補鎖とアニーリングさ
]ATPを用いて標 i
_32p
y
ポリヌクレ オチドキナ ーゼと [
5
.
) 、0
0
.
l (pH8
C
H
i
r
5m MT
せたものを プローブと して用いた 。反応液の 組成は 2
l、25mMNaCl、25mM
o
r
e
c
y
l
0% g
e、0.5mMEDTA、 1
n
i
d
i
m
r
e
p
mMDTT、4m Ms
5m Mの dATP、dCTP、dGTP、dTTP、そして 5mgの超音
2
1
.
1m MZnC12、0
0
.
KCl、0
波処理済み の子牛胸腺 DNAという条件で、行った。二重鎖のオリゴヌクレオチドと粗
2%の未変性 ポリアクリ ルアミドゲ ルで電
抽出液を混合し、 4 C、 30分反応後、 1
0
0 Cで感
8
吋iRX) にF
気泳動を行 った。泳動 後、ゲルを 乾燥させて X線フィルム (
0
光させた。
8、 GST 融 合 タ ン パ ク の 精 製
GST-MutMタンパクは 、国立ガン センターの 横田淳博士 から分与し ていただ
) を、大腸菌 BL21株に導
7
9
9
11
.
ta
.1997,Shinmurae
1
ta
いたプラス ミド (Nagashimae
入した株か ら回収した 。この株の 終夜培養液 を 100倍希釈し、 j7C、 2時間培養後、
最終濃度 lmMの IPTGを加え、さらに 37
0
C、 8時間培養した。また、 GST-MutY
タンパクは プラスミド pGEX-MutYを大腸菌 BL21株に導入し た株から回 収した。こ
1m Mの IPTGを
.
8になったと きに最終濃 度 0
.
仰が0
の株を 22-24 Cで培養し、 OD
0
4
2
2
加え、さら に 2
0
Cで 8時間培養し た。これら の培養液か ら遠心操作 によって大
7
腸菌を回収し、超音波処理後、遠心操作を行ってその上清を回収した。その上清か
h) を用いて GST融
c
e
t
o
i
AmershamPharmaciaB
e4Bカラム (
s
o
r
a
h
p
e
S
e
n
o
i
h
t
a
t
u
l
らG
合タンパク を回収した 。操作など はカラムの 取扱説明書 に従った。 回収した GST融
合タンパク はトロンピ ンプロテア ーゼ処理に よって GST-tagをはずし、 以後の実験
に用いた。
9、 C-C ミ ス マ ッ チ 結 合 タ ン パ ク の 精 製
大 腸 菌 mutM欠損株から 調整した粗 抽出液を硫 酸アンモニ ウム沈殿法 によっ
て 40-60%で沈殿す る分画を回 収した。こ の分画を bufferAに溶かした後、 bufferA
を外液とし て透析した (分画 1)。分画 lを HiTrapQ陰イオン交 換カラム
0、 150mM
.
pH8
0m MTri-HCl,
2
B(
r
e
f
f
u
) に通し、 b
h
c
e
t
o
i
(AmershamPharmaciaB
NaCl) で カ ラ ム を 洗 浄 し た と き に カ ラ ム に 結 合 し な い 分 画 を 回 収 し た ( 分 画 2)。
6、 150m MNaCl) で平衡化し た HiTrap.
pH7
0m MHepes,
2
C(
r
e
f
f
u
分 画 2を b
) で分画した (分画 3) 。 さ ら に 、 分
h
c
e
t
o
i
Heparinカラム (AmershamPharmaciaB
慮、過カラム (AmershamPharmacia
lS-200HRゲル j
y
r
c
a
h
p
e
0S
6
/
6
p1
e
r
P
画 3を Hi
Bで溶出した (分画 4)。すべて の段階でゲ ルシフト法 によ
r
e
f
f
u
) にかけ、 b
h
c
e
t
o
i
B
る確認を行 って、活性 のある分画 を回収した 。
10、 C-C ミ ス マ ッ チ 結 合 タ ン パ ク の ア ミ ノ 酸 配 列 の 決 定
5%の SDS-PAGEによって分 離し、セミ ドライエレ クト
.
7
精 製 し た 分 画 4を 1
SQ
) に
e
r
o
p
i
l
l
i
M
ロブロッテ イング法で 分離したタ ンパクを Immobilon-p メンブレン (
ブロッテイ ングした。 このメンブ レンをクマ シーブルー で染色し、 約 20kDaのタン
パクのバンドを切り取り、気層アミノ酸シークエンサーによってアミノ末端の
8
10
アミノ酸残基を決 定した。この配列 を元に国立遺伝学 研究所の大腸菌 ORFデータベー
スで検索した。
11、 ミ ュ ー テ ー タ ー 株 の 探 索
s法を用いた 。
i
s
e
n
e
g
a
t
u
nm
o
i
t
r
e
s
n
ミューテーター株 の作成には RandamTn10i
) に従ったので、概 略
2
9
9
r1
e
l
l
i
M
s(
c
i
t
e
n
e
lG
a
i
r
e
t
c
a
nB
tCoursei
r
o
h
方法の詳細は AS
のみを記す 。
t トラ
e
-t
0
) を CC103株に感染させ、 miniTn 1
8
7
9
.1
1
ta
lecknere
K
8(
9
0
Aファージ入 1
ンスポゾンを大腸 菌ゲノム内にラン ダムに挿入した。 これを lymプレート
5Cで 2 0時間ほど培養した 。約 4
.
9
) にプレーティングし、 3
8
7
9
.1
1
ta
re
e
n
k
c
e
l
K
(
0
3
o
r
o
l
h
c
4
o
m
o
r
万個のコロニーを 15μg/mlのテトラサイクリン、 40μg/mlの ふ B
l) を含むグ
a
G
P
e(
d
i
s
t
c
a
l
a
g
D
-s
l
y
n
e
h
) と 500μg/mlの P
l
a
G
X
e(
d
i
s
t
c
a
l
a
g
D
l
y
l
o
d
n
i
ルコース最小培地 にレプリカした 。これ らのコロニーのう ち明らかにパピー レの出
eを用いた P1 トランス
t
a
s
y
eを調整した。この l
t
a
s
y
1
l
現頻度の高いもの を選抜し、 P
ダクション法でも う一度 CC103株にトランスポゾ ンを移し、各変異 株にトランスポ
ゾンが l個のみ入っている ようにした。
12、 自 然 突 然 変 異 頻 度 の 算 出
nを行い、得られた コロニーをグルコ ース最小
o
i
t
a
l
o
s
yi
n
o
l
o
ec
l
g
n
i
各変異株で s
1mlをラクトース最小 培地にプレーテイ
.
7Cで終夜培養した。 この菌液 0
培地中、 3
0
1mlを 100 μg/mlのリファン
.
ングし、 37Cで 10日間培養した。ま た、この菌液 0
0
ピシンを含む LBプレートにプレーテイングし、 3アCで 24時間培養した。培養後、
生育してきたコロ ニー数を数え、自 然突然変異頻度を 求めた。
9
13、 ミ ュ ー テ ー タ ー 遺 伝 子 の マ ッ ピ ン グ
eを調
t
a
s
y
) から P1l
9
8
9
.1
l
ta
re
e
g
n
i
S
rの P1マッピング キットの大腸 菌 (
e
g
n
i
S
整し、 GC39株に形質導入 した。カナマ イシンやクロ ラムフェニコ ール耐性コロ ニー
をテトラサイ クリンを含む
LBプレートにレ プリカし、そ れらのうちで テトラサイ
) 。カ
6
9
9
.1
l
ta
. 1996,Singer e
l
ta
ne
y
l
r
e
B
クリン感受性 のコロニーの 割合を求めた (
ナマイシンも しくはクロラ ムフェニコー ル耐性でかつ テトラサイク リン感受性の コ
lと X-Galを含むグル コース最小培 地にレプリカ し、パピーレ の出方
a
G
ロニーを P
を観察した。
ω宣 伝 子 の サ ブ ク ロ ー ニ ン グ
Tn1
ni
mi
:
39:
14、m ut
大腸菌 GC39株のゲノム DNAを回収し、
BamHI処理後、 pUCl18の BamHI
サイトにサブ クローニング した。このプ ラスミドを大 腸菌 JM109株に導入し、 テト
ラサイクリン とアンビシリ ンを含む
LBプレートにプ レーテイング した。ここで 生
えてきた菌からプラスミドを回収し、 mut39 と miniTnlO の境界部分を BcaBest™ シー
) を利用したプ ライマー
2
8
9
l1
.
ta
ge
n
i
l
l
a
H
クエンスキッ トと miniTn10の末端配列 (
表 2の 11番)を利用し てシークエン スした。電気 泳動は 6 %変性アクリル アミ
(
8ぴCで X線フィルムに感光させた。
ドゲルで行い、ゲルを乾燥後、 -
15、 ニ ッ キ ン グ ア ッ セ イ
配列中に 8-オキソグアニ ンを lカ所で含む標 識 2本鎖 DNA20fmolに様々
0
5mgBSA、 1
.
) 、0
6
.
l (pH7
C
H
s
i
r
0mlの 20m MT
な量の MutYタンパクを加え、 1
10
5Cで 5分
5M NaClを加え、 9
.
7 Cで反応させた。反応後、 2mlの 2
mMEDTA中で 3
0
0
1%ブロモフェノールブ
.
5%ホルムアミド、 0
インキュベートした。その後、 9
レ一、
j
Cで 5分イン
8 o
1%キシレンシアノール、 20mMEDTA溶液を加え、更に 9
.
0
キュベートした。このサンプルを冷却し、 7 M尿素を含む 20%アクリルアミドゲル
0oCで X線フィルムに感光させた。
8
で、電気泳動を行った。ゲルを乾燥後、 -
11
結果
1- 1、 C-Cや G-Gのミスマッチを認 識するタンパクの 検出
GC-CGのトランスパージ ョンは、その中間 段階で何らかの形 での C-Cや G-G
ミスマッチを経ることが予想、される。しかし、これまでのところ、 GC-TAの突然変
異における
8-オキソグアニンのような、 GC-CGの突然変異を誘発 すると思われる
損傷塩基は
5-ハイドロキシシ トシンが報告さ れているが、未 だ確実とは言い 難い
) 。初期の大腸菌 MutYタンパクの活性検 出法は、現在知ら
a,b
4
9
9
.1
l
ta
le
a
m
r
u
P
(
れている
8-オキソグアニンと アデニンの塩基対 からではなく、単 なるグアニンと
a
l
e
l
u
o
b
A
アデニンのミス マッチからアデ ニンを切り出さ せるという方法 であった (
) 。このことから、 損傷塩基を含むミ スマッチを認識す る活性を正常な塩
5
8
9
1
.
J
a
t
e
基同士のミスマッ チでも検出できる かもしれない考え 、様々なミスマッ チ、特に C-
C や G-Gを認識するタンパ クが大腸菌野生株 中に存在するかど うかをゲルシフト 法
を用いて検討した (図 1)。この実験の結 果、レーン lの C-Cのミスマッチに 2本
のバンドが確認された。 G-Cやそれ以外のミス マッチにはほとん ど結合しないこと
も分かった。別の配列を用いた同様の実験でも、 c-Cのミスマッチに 2本のバンド
)。
n
w
o
h
ts
o
an
t
a
d
が確認された (
さらに、 c-Cのプローブに対す るコンペテイショ ンアッセイを行っ た(図
2)。コンペティタ ーの量はプローブ の 50倍を加えた。この 条件では、レーン lの
c-Cのコンペティターを加えたレーンのみ、
2本ともバンドが消 失している。これ
らのことから、大腸菌には、 C-Cに結合するタンパ クが lつ以上存在するこ とが分
かった。今回の実験条件では、 G-Gに結合するタンパクは検出できなかった。
C-C以外にも弱いなが ら、アフイニティ ーのある組み合わ せがある。 C-C以
外のシトシンを含むミスマッチ、 C-Tや C-Aなどである。これ らを比較してみた (図
2
1
iC-A、 13か ら 16カぎ
'
カ C-C、 9から 12カ
3)。 プロープはレーンの 5から 8ぎ
C-Tである 。 アフイニティーの強さは C-Cが最も強く、次に C-T、 C-Aの順番にな っ
ている 。 しかし、レーンの 10や 14で C-Cのコンペティターを加えるとノてンドが
消失することから、 c-Cに比べて、かなりアフイニティーが弱く、これら の活性の
主要な基質ではないだろうと思われる 。
1- 2、 様 々 な 変 異 株 中 の C-C ミスマッチ結合タンパクの有無の確認
次に、これらの C-C結合タンパクが今までに確認されているミューテ ーター
遺伝子などの産物なのかどうかを検討してみた。
図
様々な変異株から得られた粗抽出液を使ってゲル シフトアッセイを行った (
4)。 その結果、レーン 3の mutM以外の変異株には 2本ともバンドがあり、これ
らの遺伝子産物は今回解析しているものではない ことが分かつた 。 また、レーン 3
の mutM欠損株で、 2本あるバンドのうち、バンド lだけが消失した 。 このことか
ら、この 2本のバンドは同じ種類のタンパクが 2つ結合したものではなく、異なる
タンパクが結合していることが予想された 。
そこで、 MutMタンパクが直接このバンド lを形成しているのかどうかを調
べるため、 MutMタンパクを精製してゲルシフトアッセイを行っ た。発現系として、
)。
7
9
9
.1
l
ta
.1997,Shinmurae
l
ta
GST-fusionのシステムを用いた (Nagashimae
その結果、 GST-tagを除去した MutMタンパクが mutM変異株で消失するバ
ンド lとほぼ同じ位置にバンドを形成することが分かっ た(図 6)。また、その結
。
合の特異性も同じであることが分かつた(図 7)
以上のことから、このバンド 1は MutMタンパク自身が結合したものである
ことが分かった。しかし、もう一つのタンパクは この実験では明らかにできなかっ
た。
13
1-3、もう 一 つの
c ミスマッチ結合タンパクの精製
c
また、今回の研究で用いた様々な変異株でも結合活性の残っている、バンド
2に 関 し て 、 コ ー ド し て い る 遺 伝 子 や 生 化 学 的 な 性 質 な ど 、 詳 し い こ と を 明 ら か に
するため、このタ ンパクの精製を行 った 。
それぞれのステッ プでのサンプルを SDS-PAGEで確認したものが 図 8である 。
このように、最後 のサンプルはほぼ 単一のバンドにな っている 。 このバンドからタ
ンパクを PVDFメンブレンにブロットし、 N 末端のアミノ酸配 列の解析を行った 。
N 末端の配列を 10残基分調べたところ、 VDKRE?YTKEというようになっ
た(図 9) 0 ?は解析できなか ったものである 。 この配列を元に、 遺伝学研究所の
大 腸 菌 の ORFデータベースを検 索したところ、大 腸菌の FabAタンパクの N 末端の
アミノ酸配列と 一致することが分 かった 。
そこで、大腸菌 fabA温度感受性変異株 から粗抽出液を調 整し、ゲルシフト 法
c
o
7 で培養したところ 、図 9のレーン 2のように FabA
で確認してみた( 図 9) 0 3
のバンドが消失す ることが分かった 。
1- 4、 MutM タ ン パ ク の 機 能 ホ モ ロ グ で の
c ミ ス マ ッ チ 認i哉能の石在言志
c
大 腸 菌 MutMタンパクの機能ホ モログは出芽酵母 やヒトなどで発見 されてい
.1997,
l
ta
se
a
r
o
.1997,Bj
1
ta
ye
k
s
r
u
g
i
d
n
a
6,S
9
9
.1
l
ta
he
s
.1996,Na
l
ta
rKempe
e
る (vand
) 。しかし、これら のタンパクと大腸 菌 MutMタ
9
9
9
.1
1
ta
a e
d
i
h
s
9,I
9
9
.1
l
ta
ne
i
r
e
h
D
t
he
s
Na
. 1996,
l
ta
rKemp e
e
nd
a
v
ンパクとの聞には これといったホモ ロジーは無い (
) 。 これらのタンパク に大腸菌 MutMと同じように
6
9
9
1
.
l
a
cの ミ ス マ ッ チ を 認 識
c
gglやヒ
する能力があるか どうかを確認して みた(図 10、 11) 。 出芽酵母の O
14
トの
Ogglのいくつかのタイプをク ローニングしたプラスミ ドを導入した大腸菌
mutM欠損株の粗抽出液を用い たゲルシフト法で調べた 。その結果、出芽酵母の
0001、およびヒトの 0001の lつのタイプが C-Cのミスマッチに結合する ことが
分かった。
図 10で示したように、出芽酵 母の 0001タンパクは大腸菌 MutMとほぼ同じ
選択制を示したが、図 11で示したヒトの 0001は結合能が弱いためもし くは発現
量が少ないためか、 C-Cのミスマッチに対する結合しか確認できなかった。また、
出芽酵母野生株から得ら れた粗抽出液を用いたゲ ルシフトアッセイも行っ てみた(図
) 。すると、 0001タンパクとは異なる位置 にかなり強いバンドを形 成すること
12
が分かった。このバンドのミスマッチ認識の特異性は、 0001タンパクや MutMと
ほぼ同じでシトシンを含 むミスマッチを主に認識 している。さらに、アデ ニン同士
のミスマッチも認識できることも分かった。
2- 1、 ミ ュ ー テ ー タ ー 株 の 探 索
) に直接トランスポゾ
図 13
) (
9
8
9
.1
l
ta
se
e
l
p
p
u
C
次に、大腸菌 CC103株 (
ンを導入することで、ラ ンダムに遺伝子を破壊し た菌株を作成し、その中 から OC-
CO トランスパージョンの自 然突然変異頻度が高くな るような菌株(ミューテ ーター
株)を探索した。現在までに大腸菌で、見つかっている様々なミューテーター株には、
CC103株の自然突然変異頻度だ けを上昇させるようなも のは見つかっていない。 約
4万個のトランスポゾン挿 入コロニーを調べた結果 、 5つ の 候 補 が 得 ら れ た ( 図
14)。これらをさらに調べ た結果、 3つ の グ ル ー プ に 分 け る こ と が で き た ( 表
3)。グループ lはパピ ーレを多く発生させ、 Laどへの復帰突然変異とリ ファンピ
シン耐性の突然変異の数 がほぼ同じものである (OC39株)。グループ 2はパピー
+への復帰突然変異とリフ ァンピシン耐性の突然変 異の
c
a
レを多く発生させるが、 L
15
数が大きく違うものであ る (GC9、GC24株)。グループ 3はパピーレをあまり多
+への復帰突然変異とリフ ァンピシン耐性の突然変 異の数が大き
c
a
く発生させず、 L
く違うものである (GC40、GC41株)。これらのうち、グ ループ 2と 3はリファン
どへの復帰突然変異よりもかなり多く発生することから、
ピシン耐性突然変異が La
GCから CGへの突然変異以外の突然 変異が多く起こっている ものと考えられる 。
そのため、純粋に GCから CGへの突然変異のみが多く なっていると思われる GC39
株を解析することにした。
2-2、 GC39 株 に お け る ミ ュ ー テ ー タ ー 遺 伝 子 の マ ッ ピ ン グ
retaL1989) から P1ファージ
e
g
n
i
S
1マッピングキットの大腸 菌 (
rの P
e
g
n
i
S
eを調整し、 GC39株に感染させた 。得ら れたカナマイシンやクロ ラムフェニ
t
a
s
y
のl
コール耐性コロニーをテ トラサイクリンを含む LBプレートにレプリカし、 それら
t
n e
y
l
r
e
B
のうちでテトラサイクリ ン感受性のコロニーの割 合を求めた。この方法 (
) は、カナマイシンやクロラムフェニコール市引生とテトラ
6
9
9
.1
1
ta
re
e
g
n
i
S
6,
9
9
.1
1
a
サイクリン感受性が同時に成立する割合が高ければ高いほど、 GC39株のミューテー
ター遺伝子 (mut39)と薬剤耐性遺伝子が同 時に形質導入される、す なわち両遺伝
子聞の距離が近いという 性質を利用したものであ る 。 この実験の結果、大腸菌 ゲノ
9%のコロニー
0分で 1
.
6
、 6
3%
9分で 2
.
7
9分のトランスポゾンで 90%、6
.
6
ム上の 6
がテトラサイクリン感受 性でカナマイシン耐性で あった 。 このことから、 mut39遺
7分付近に存在することが 分かった 。
伝子は大腸菌ゲノム上の 6
2-3、mut39::miniTn10遺 伝 子 の サ ブ ク ロ ー ニ ン グ
iniTn10 トランスポゾンの末端の 配
次に、 mut39遺伝子内に挿入されている m
16
2) を利用して、挿入された 部分の周囲の塩基 配列を 決定するこ
8
9
.1
1
ta
ge
n
i
l
l
a
H
列 (
::miniTnlO 遺伝子をシークエンスし た 結果
とに した 。サブクローニングした mut39
を遺伝学研究所の大腸菌 データベースで検索した 結果、大腸菌の mutY遺伝子の配
1) 。 また、 GC39
9
9
.1
1
ta
-Wu e
i
a
s
T
. 1990a,
1
ta
se
l
e
a
h
c
i
M
列であることが分かった (
株に
十 をコードする遺伝子をの せたプラスミドを導入し たところ、 GC から
mutY
0 遺伝子を
n1
T
i
n
i
m
::
9
3
t
u
。 さらに、 m
CG への変異頻度が大きく減 少した(表 4)
8) とほ
8
9
.1
1
ta
Nghieme
) に導入すると mutY変異株 (
9
8
9
.1
1
ta
se
e
l
p
p
u
C
CCI04株 (
ぼ同じくらいの突然変異 頻度を示した 。以上のことから、 mut39遺伝子は
mutY遺
伝子であることが分かっ た 。
2- 4、 MutYタ ン パ ク を 用 い た ゲ ル シ フ ト ア ッ セ イ
GC39株で変異している、 GC-CGの突然変異を誘発するミ ューテーター遺伝
子 が mutY遺伝子で、あることが分かったので、プラスミド pGEX-4T-3 (Amersham
)に
h
c
e
t
o
i
PharmaciaB
mutY遺伝子をクローニングしたものを構築し、 GST-MutY
タンパクを精製した。ト ロンビンプロテアーゼ処 理によって GST-tagをはずした
MutYタンパクを以下の実験に 用いた 。
MutYタンパクは、
8-オキソグアニンとアデニ ンの塩基対からアデニン を
除去する酵素として知ら れている 。 MutYタンパクが 8-オキソグアニンとグアニ
ンの塩基対を認識するこ とができるかを調べるた め、ゲルシフトアッセイ を行った
図
(
) 。 その結果、 MutYタンパクの量にほぼ比例して、 8-オキソグアニン
15
とアデニンの塩基対だけ でなく 8ーオキソグアニンとグア ニンの塩基対も認識でき
ることが分かった 。 また、 8-オキソグアニンを含まな い塩基対は殆ど認識しな い
t
o
an
t
a
d
ことも分かった 。 また、その結合効率はほ ぼ同じであることが分か った (
shown) 。
17
2- 5、 ニ ッ キ ン グ ア ッ セ イ
さらに、 MutYタンパクが 8-オキソグアニンと グアニンの塩基対 からどち
らかの塩基を除去 することができる のかどうかを調べ るために、ニッキ ングアッセ
イを行った(図 16) 。プローブはゲル シフトアッセイと 同じものを利用し た。そ
の実験の結果、
8ーオキソグアニン とグアニンの塩基 対の場合、グアニ ンが除去さ
れることが分かっ た。これは、 8ーオキソグアニン とアデニンの塩基 対からアデニ
ンが除去されるの と同じ選択性を示 している。ただし 、その除去の反応 速度は 8ー
) 0 8ー
オキソグアニンと アデニンの塩基対 の場合よりも遅く なっている(図 17
オキソグアニンと グアニンの塩基対 では約 8時間でほぼ完全に 切断されているが 、
同じ条件下では 8ーオキソグアニン とアデニンの塩基 対はほぼ 1時間で完全に切断
) 。その結果、
される。さらに、 それぞれの塩基対 に対する比活性を 求めた(図 18
mg、
/
7nmol
.
8ーオキソグアニン とアデニンの塩基 対からアデニンを 除去する活性は 0
mg
/
1nmol
.
8-オキソグアニンと グアニンの塩基対 からグアニンを除 去する活性は 0
であった。
18
考察
大腸菌野生株での ミスマッチ認識活 性の検出
cや G-Gのようなミスマッ チ生成の潜在的な 一要
DNA複製時のエラーは c
) 。相同であるが同 一ではない
8
9
9
r1
e
l
l
i
6,M
9
9
r1
e
l
l
i
6,M
9
9
h1
c
i
r
d
o
M
因である (
.1994,
J
ta
xe
o
4,F
9
9
.1
l
ta
ke
c
e
l
F
DNA配列問での組換え もミスマッチの要 因である (
)
4
9
9
.1
1
ta
he
t
r
o
W
0
cのミ
DNA中のミスマッチは ミスマッチ修復の 基質となる 。 c
.
l
ta
a e
l
e
l
u
o
b
A
スマッチはその他 のタイプのミスマ ッチに比べて不安 定なので (
) 、ミスマッチ修復のよい基質であると考えられる。しかし、 mutHLSミスマッ
5
8
9
1
チ修復系は
cのミスマッチ
) 。もし c
8
9
9
r1
e
l
i
i
M
cのミスマッチを認 識しない (
c
が修復されなければ、 GC-CGの突然変異の原因となるはずである。しかし、 GC-CG
) 。そ
8
9
9
r1
e
l
i
i
M
の突然変異の自然 発生頻度はきわめ て低いことが知ら れている (
-Cのミスマッチに対 する特異的な修復 系が無ければなら ない
のため、大腸菌で は C
-Cのミスマッチを含むオリ
と考えた。本研究 では、大腸菌野生 株の粗抽出液中に C
ゴヌクレオチドを 認識する 2つのタンパクが存 在することを確認 した(図 1)。さ
Tの
-Cのミスマッチを含 むオリゴヌクレオ チドが C-Aや C
らに、標識してい ない C
。
ミスマッチに対す る複合体の形成を 阻害することも分 かつた(図 2、 3)
大腸菌 MutMタンパクの機能の 解析
-Cミスマッチに特異 的に結合するこ
本研究では、大腸 菌 MutMタンパクが C
とができることを 示した(図 4) 。この結論は mutM欠損株の粗抽出液 を用いたゲ
ルシフトアッセイ の結果、移動度の より低い方の複合 体がなくなるとい う事実から
-Cのミスマッチに直 接結
導いたものである 。さらに、精製し た MutMタンパクが C
9
1
o でホル
r
t
i
nv
合することができ ることも分かつた (図 5、 6)0 MutMタンパクは i
FaPy) 、 8-オキソグアニン、
ムアミドピリミジ ン (
5ーヒドロキシシト シン、チ
1,
9
9
l1
ta
Tchoue
.1994,
1
ta
te
e
h
a
t
a
H
ミングリコールな ど幅広い損傷塩基 を認識する (
)
8
9
9
.1
1
ta
Davide
.1994,
1
ta
Tchoue
0
MutMタンパクはこれら の酸化的損傷塩基 を除
去する DNAグリコシラーゼ活 性とその後の DNAを切断する APリアーゼ活性 を持
1.
ta
Tchou e
ta11991,
Tchoue
.1994,
1
ta
te
e
h
a
t
a
H
.1999,
1
ta
ne
e
s
i
E
.1999,
1
ta
Mole
つ (
cのミスマ ッチ
c
c
MutMタンパクは c
) 。本研究では精製 した MutMタンパクは
8
9
9
.1
1
ta
Davide
1994,
tshown) 。 そのため、
o
an
t
a
d
を切断しないこと が分かった (
ミスマッチを認識 して結合すること ができるが、ミス マッチを修復する ために DNA
を切断する他の酵素が必要で、あることを示唆している 。 MutMタンパクはいくつ か
のタンパクで構成 される
第 2の
cミスマッチの修復機構の 一要素だと考えている。
c
c ミスマッチ認識 タンパクの同定
c
さらに本研究では
cのミスマッチに特 異的に結合する第 2のタンパクが大
c
腸菌の FabAタンパクであるこ とを示した(図 7、 8)。精製した FabAタンパクが
ミスマッチを含む オリゴヌクレオチ ドに結合してより 移動度の高い方の 複合体を形
図
成することができ る 。 さらに、 fabA欠損株の粗抽出液 中にはこの結合活 性が無い (
9) 0 FabAタンパクは大腸菌 の脂肪酸合成系の 酵素の 一つであり、飽和 脂肪酸に二
重結合を導入する
s-hydroxydecanoyl-acylcarrierproteindehydrase であることが知ら
.
1
ta
o e
t
i
a
S
. 1993,
1
ta
Magnuson e
. 1967,
1
ta
t e
r
e
b
l
i
S
.1988,
1
ta
ne
a
n
o
r
C
れている (
) 。 しかし、 FabAタンパクのアミノ 酸配列中には DNA結合ドメインは見 つかっ
5
9
9
1
) 。おもしろいことに、 S.pombeの脂肪酸合成酵素 であ
8
8
9
.1
1
ta
ne
a
n
o
r
C
ていない (
FAS) は l本鎖や 2本鎖の DNAに結合して大きな DNAの凝縮
190/210複合体 (
るp
.1994)。 さらに、
1
ta
ne
a
l
s
a
K
体を形成させるこ とができる (
20
l本鎖の相補 DNAの
) 。 このように、脂
4
9
9
.1
1
ta
ne
a
l
s
a
K
e活性を示す (
g
n
a
h
c
x
de
n
a
r
t
g活性や s
n
i
r
u
t
a
n
e
r
g活性も持っている。大腸菌での C-Cミス
n
i
s
s
e
c
o
r
p
A
N
肪酸合成系の酵素の一部は D
abAがどのように関わっているかを明らかにすること は
マッチの修千夏に MutMと F
今後の課題である。
大 腸 菌 以 外 の 生 物 に お け る C-C ミスマッチ認識機構
S.pombe には、少なくとも 2つのミスマッチ修復系が存在している。主要な
-C以外のミスマッチを認識する大腸菌の mutHLSシステムのようなも
システムは C
-Cのミスマッチを認識し、
のである。マイナーなシステムは C
mutHLSシステムよ
) 。さらに、
a,b
3
9
9
.1
l
ta
re
a
h
c
S
りもかなり短い DNAを除去する (
S.pombeには 2
-Cミスマッチ結合タンパク、 Cmb1と Cmb2の存在が報告されてい
つの異なった C
の分子量で、ある。予想さ
2ゆ a
) 。精製した Cmb1タンパクは 2
8
9
9
.1
1
ta
ke
c
e
l
F
る (
れるアミノ酸配列から、このタンパクは DNA結合モチーフの一つである HMGド
abAは HMGドメインを持って
メインを持っている。 Cmb1とは異なり、 MutMと F
) 0 Cmb1タンパクは C-Aや C-T の
7
8
9
.1
1
ta
xe
u
e
t
i
o
3,B
9
9
.1
1
ta
ne
o
s
u
n
g
a
M
いない (
!1のループ、
/
T、 C
イ也に、 T
o
6_メチルグアニンとシトシンのミスマッチ、シスプ ラ
k
c
e
l
F
チンによる GpGの分子内クロスリンクを認識することができる (
k
c
e
l
F
) 。それとは別に、 Cmb2は C-Cのミスマッチしか認識しない (
8
9
9
1
.
1
ta
e
.
1
ta
e
) 。さらに、 C-Cのミスマッチの修復系にヌクレオチド修復系の酵 素が関与し
8
9
9
1
9)。このことから、大腸菌でも
9
9
. 1
1
ta
k e
c
e
l
F
ていることも示唆されている (
mutHLS系以外の DNA修復系が C-Cのミスマッチの修復を行っていることが予想
abAはそのような修復系の一要素で、 MutSタンパクのようなミ
される 。MutMと F
スマッチを認識するタンパクなのかもしれない 。
1
2
真 核 生 物 に お け る MutM ホモログの C-C ミスマ ッチ 認 識 能 力 の 確 認
8) の粗抽
8
9
.1
l
ta
ye
n
c
i
r
i
J
) やヒト (
3
9
9
.1
J
ta
te
e
r
i
M
e(
a
i
s
i
v
e
r
e
.c
これまで、 S
出液中には C-Cのミスマッチを特異的に認識する活性はほぼない と報告されている o
e、ラット、ヒトでは、 OGG1 タンノてクカぎ 8-オキソグアニンーDNAグリ
a
i
s
i
v
e
r
e
.c
S
.
l
ta
he
s
Na
6,
9
9
.1
l
ta
rKemp e
e
nd
a
コシラーゼ/APリアーゼとして同定されている(v
.1997) 。 これらの酵素は大腸菌 MutMタンパクと同じように
l
ta
ye
k
s
r
u
g
i
d
n
a
S
6,
9
9
1
8-オキソグアニンとシトシンやグアニンの塩基対か ら 8ーオキソグアニンを除去
. 1996,
l
ta
h e
s
Na
6,
9
9
.1
1
ta
rKemp e
e
nd
a
v
9,
9
9
.1
1
ta
n e
e
s
i
E
9,
9
9
.1
J
ta
Mole
する (
) 。本研究で、
7
9
9
e1
c
a
l
l
a
W
7,
9
9
.1
l
ta
ye
k
s
r
u
g
i
d
n
a
S
e とヒトのこれらの酵
a
i
s
i
v
e
r
e
c
S.
素 が C-Cのミスマッチを認識できることを示した(図 10、 11) 。 これらのタン
van
パクはアミノ酸配列中に大腸菌 MutMタンパクとの明確なホモロジーはない (
) 。この事実は、これらのタンパクの C-Cのミ
6
9
9
.1
l
ta
6,Nash e
9
9
.1
l
ta
rKemp e
e
d
スマッチの認識と結合がアーキファクトではな く、必須の機能であることを示唆し
eの粗抽出液中には OGG1 とは異なると思われる、 C-C
a
i
s
i
v
e
r
e
.c
ている。さらに、 S
ミスマッチ結合タンパクの存在が確認された(図 12) 。 このタンパクは MutM/
OGG1 と同じように、シトシンを含むミスマッチに結合 することができる 。 さらに、
アデニン同士のミスマッチにも結合できることも 分かった 。
大 腸 菌 の GC-CG の 変 異 を 特 異 的 に も た ら す ミ ュ ー テ ー タ ー 遺 伝 子 の 同 定
現在までに大腸菌で見つかっている様々なミュー テーター株には、 CC103株
の自然突然変異頻度だけを上昇させるようなもの は見つかっていない 。 そこで、大
図 13) に直接トランスポゾンを導入するこ
) (
9
8
9
.1
l
ta
se
e
l
p
p
u
C
腸菌 CC103株 (
とで、ランダムに遺伝子を破壊した菌株を作成し 、その中から GC-CG トランスパー
22
ジョンの自然突然変異頻度が高くなるような菌株 (ミューテーター株)を探索した 。
約 4万個のトランスポゾン挿入コロニーを調べた結果 、
5つの候補が得られた (
図
14)。これらをさらに調べた結果、 3つ の グ ル ー プ に 分 け る こ と が で き た ( 表
3)。グループ lは GC-CG トランスパージョンが起こったことを示す CC103株で
のパピーレの発生頻度と、 6種類の塩基置換型突然変異をすべて含んでいると 考え
られるリファンビシン耐性菌の発生頻度がほぼ同 じである。これに対して、グルー
プの 2と 3はリファンビシン耐性菌の発生頻度が CC103株でのパビーレの発生頻度
を大きく上回っているため、 GC-CG以外の突然変異が多く起こっていることを示し
ている。このことから、今回求めている、 GC-CGの突然変異特異的なミューテーター
株はグループ 1の GC39株だけであると判断した。
次に、 S
i
n
g
e
rの P1マッピングキットの大腸菌 (
S
i
n
g
e
re
ta
1
.1
9
8
9
) を使って、
GC39株でトランスポゾンによって破壊されいる、ミュ ーテーター遺伝子 mut39の
位置をマッピングした。 mut39遺伝子と同時に遺伝子が移る割合は 6
7
.
9分の遺伝子
で2
3%
、 6
6
.
0分の遺伝子で 1
9%
、 6
6
.
9分の遺伝子で 90%であった。このことから、
mut39遺伝子は大腸菌ゲノム上の 6
7分付近にあることが分かった。 6
7分付近には
DNA修復酵素として知られている、 mutY遺伝子もマップされている (N
g
h
i
e
me
ta
1
.
1
9
8
8
) 。そこで、 m
i
n
i
T
n
l
Oの末端領域の配列を利用して、 トランスポゾンが挿入さ
れている部分の周囲の DNA配列をシークエンスしてみた。得られたシークエ ンス
で遺伝学研究所の大腸菌の ORFデータベースを検索したところ、
mutY遺伝子中に
存在していた。このことは mut39変異は mutY遺伝子のアリルであることを示して
いる。また、大腸菌 CC104mut39株で、 CC104mutY株と同じように GC-TAの突然変
異頻度が上昇することもその事実と矛盾しない( 表 4)。その上、 CC103mutY株で、
もL
a
c
+の復帰突然変異の頻度が上昇することも分かった (表 4)
。
大 腸 菌 の 8ーオキソグアニンに対する防御機構である
23
GO シ ス テ ム と の 関 連
プリン塩基は環状部分の 酸化によって様々な化学 的修飾を 受 ける 。 それら の
l
.
aa
t
se
e
g
d
i
r
B
中で、高い突然変異源性 を持つ 8ーオキソグアニンは生成 量が多い (
2)。様々な DNAポリメラーゼが 8-オキソグアニンの向かい
9
9
.1
1
ta
6,Chenge
9
9
1
.
1
ta
i e
n
a
t
u
b
i
h
. 1990,S
1
ta
Wood e
に高 い確率でアデニンを挿入 することができる (
3)。 そのため、鋳型鎖中に
9
9
.1
1
ta
Tchou e
1,
9
9
1
8-オキソグアニンが存在す ると
2,
9
9
.1
1
ta
Cheng e
3,
9
9
.1
1
ta
Moriyae
5,
9
9
.1
1
ta
ie
r
句i
T
GC-TAの突然変異が生じうる (
) 。大腸菌での研究では、 MutM、MutY、MutTの3つの修復酵素
3
9
9
.1
1
ta
Grollmane
が共同して 8ーオキソグアニンから生 じる突然変異を抑制して いることがわかって
いる 。MutMタンパクは開環したり、開環していないが酸化したプリン塩基、 FaPy
t
Demple e
塩基や 8ーオキソグアニンを DNAから除去するグリコシラ ーゼである (
) 0 MutYタンノてクは
7
9
9
.1
1
ta
1,Rabowe
9
9
.1
1
ta
se
l
e
a
h
c
i
1,M
9
9
.1
1
ta
.1994,Tchoue
1
a
Demple
8ーオキソグアニンと対合 したアデニンを除去する グリコシラーゼである (
) 。 このミス
2
9
9
.1
l
ta
se
l
e
a
h
c
i
.1990b,M
1
ta
se
l
e
a
h
c
i
.1990a,M
1
ta
se
l
e
a
h
c
i
.1994,M
1
ta
e
マッチは、鋳型鎖に
8-オキソグアニンが残って いるときに DNA複製が起こると
.
1
ta
ae
l
e
l
u
o
b
A
生じる 。 また、 G-Aミスマッチからもアデニ ンを効率よく除去する (
) 0 MutTタンパクは、 DNA複製時に取り込まれるのを防ぐため、 8-オキソ
5
8
9
1
デオキシグアノシン 3リン酸を 8-オキソデオキシグアノシ ン lリン酸に加水分解
) 0 mutMmutYの 2重変異株では GC-TAの突然変
2
9
9
.1
1
ta
する酵素である (Makie
3)。
9
9
.1
1
ta
Moriyae
ta11995,
ie
r
T勾i
8,
8
9
.1
1
ta
Nghieme
異頻度が上昇する (
今回の実験で mutY変異株で、 GC-CGの突然変異頻度が上昇す ることが示され
、 8-オキソグアニ
表 4)。 この結果から 2つのモデルを考えてみた 。 第 lに
た (
ンのような損傷塩基がグルコース飢餓状態の細胞に生じ、 mutY欠損時に多くの GC-
CGの突然変異を発生させる というものである 。定常期の細胞は増殖期 の細胞より
6)。すなわち、
9
9
.1
1
ta
se
e
g
d
i
r
B
も約 3倍の 8-オキソグアニンを産生し ている (
24
8-オキソグアニンは大腸菌の定常期の突然変異の重 要な構成要素であるのかもし
れない 。 DNA複製時に 8-オキソグアニンの向かいに dAMPだけでなく dGMPも
) によって示唆されている 。 8ーオ
7
9
9
.1
l
ta
ne
u
a
r
B
挿入されうることが Braunら (
キソグアニンとグアニンの塩基対が修復されなけ れば、 GC-CGの突然変異の原因と
なる。第 2に、大腸菌において、 MutYタンパクが DNA中の 8ーオキソグアニンと
グアニンの塩基対を認識、修復する事でき、 GC-CGの突然変異の発生を押さえてい
るというものである。事実、精製した MutYタンパクは、
8-オキソグアニンとグ
アニンの塩基対に、 8ーオキソグアニンとアデニンの塩基対と同じくら い強く結合
することができ(図 15) 、またグアニンー DNAグリコシラーゼ活性も持っている
図 16) 。しかし、その除去の反応速度は 8ーオキソグアニンとアデニンの塩基
(
)0
対の場合よりも遅くなっている(図 17、 18
mutM変異を導入した CC103株や CC103mutY株で、は Lac+の復帰突然変異の
oで 8-オキソグアニンとグア
r
t
i
nv
頻度は上昇しない(表 4) 0 MutMタンパクは i
ニンの塩基対から 8-オキソグアニンを除去することができることが示 されている
) 。 しかし、 MutMタンパクが 8-オキソグ
1
9
9
.1
l
ta
Tchou e
.1992a,
l
ta
se
l
e
a
h
c
i
M
(
アニンとグアニンの塩基対から 8-オキソグアニンを除去すると、 GC-CGの突然変
異の原因となるかもしれない。なぜ、なら、 DNA合成時に 8-オキソグアニンに向か
いに dGMPが挿入された箇所では、修復合成の時に DNA中に残っているグアニン
の向かいに dCMPが挿入されるからである。そのため、大腸菌にお いて MutYタン
パ ク が 8-オキソグアニンとグアニンの塩基対からグアニン を除去することで、同
じ塩基対から MutMタンパクによる 8ーオキソグアニンの除去を抑制することは合
理的である。このような MutMタンパクの活性の制御に MutYタンパクが関係して
s
e
g
d
i
r
B
sら (
e
g
d
i
r
いる可能性を B
) が示唆している 。 また、 Braunら
6
9
9
. 1
l
ta
e
) はヌクレオチド除去修復系が酸化的損傷を受けた グアニンと正
7
9
9
.1
l
ta
ne
u
a
r
B
(
常なグアニンの塩基対から損傷したグアニンを除 去することができ、 GC-CGの突然
25
変異の原因となっていることを示唆している 。
GC-CG 変異の発現の特異性
Nghiemらはパビーレを作らせる方法を用いて(図 13、 14)、 mutY変異
によって GC-TAの自然突然変異頻度は上昇するがその他の突然変 異の頻度は上昇
) 。彼らの実験では、大腸菌をグル
8
8
9
.1
1
a
t
しないことを報告している (Nghiem e
コース最小培地で 3日培養してパビーレを観察している 。本研究では大腸菌を 10
日培養している 。 このような条件下では、多少の代謝回転とゆっく りとした細胞数
) 0 GC-CGの突然変異が遅れて増えて
6
9
9
.1
J
ta
se
e
g
d
i
r
B
の増加が観察されている (
) 0 8ーオキソグアニンな
4
9
9
.1
1
ta
くる現象は Mackayらも報告している (Mackaye
どの損傷は常に生成し続けており、鋳型 DNA上の損傷に dCMPだけでなく dAMP
や dGMPが間違って挿入されていると考えられる 。 しかし、 MutYタンパクによる
8-オキソグアニンとグアニンの塩基対の修復は 8-オキソグアニンとアデニンの
' 18)。そのため、 GC-TAの突然変異よ
塩基対の修復よりも効率が低い(図 17¥
りも GC-CGの突然変異の方が表現型として現れるのに時間が かかると考えられる 。
他の生物の MutY のホモログについて
大腸菌 MutY遺伝子のヒトホモログ( hMYH) がクローニングされて塩基配
) 0 hMYH遺伝子は 535アミノ酸のタンパク
6
9
9
.1
J
ta
ae
k
s
p
u
l
S
列が決定された (
をコードしている 。 この大きさは抗大腸菌 MutY抗体による交差反応で HeLa細胞
5)。
9
9
.1
1
ta
から得られるポリペプチドの大きさとよく一致している (McGoldricke
1%の相向性があり、 DNAの酸化的
ヒト hMYH遺伝子は大腸菌 MutYタンパクと 4
損傷の修復と酸化的損傷による突然変異の抑制に対する重要な機能を示唆している 。
26
ASで示されたような、機能 の相向性の有無は今後の 検討課
F
/
MutM/OGGlや FabA
題である。
27
謝辞
本研究を行うにあたりご協力いただきました以下 の皆様に深く感謝し 3たしま
す。様々な大腸菌の変異株やプラスミドを分与し ていただいた、国立癌研究所の横
田淳博士、放射線医学総合研究所の味村正博博士、東北大学理学部の山本和生教授、
ミシガン大学の B
.Weiss博士、 J
.H.M
i
l
l
e
r
博士、国立遺伝学研究所の西村昭子助教授、
ハーバード大学の M.M.Wu博士、カロリンスカ大学の A.Holmgren博士、エール大学
のB
.Bachmann
博士に深くお礼を申し上げます。
また、京都大学放射線生物学研究センターの藤堂 剛助教授にはゲルシフトアッ
セイなどについてご助言をいただき、深く感謝し 3たします。
指導教官として、また共同研究者として様々なご 指導とご助言をいただき、
さらに本稿の精読と批評をしていただきました米 井惰治教授、張秋梅助手に心より
お礼を申し上げます。最後に、実験の指導をして いただいたり、研究内容について
議論していただいた動物学教室放射線生物学講座 の皆様、また当研究室の卒業生の
皆様に深くお礼を申し上げます。
28
引用文献
A
b
o
u
l
e
l
a,
F
.,
Koh,
D
.,
T
i
n
o
c
o,
,
.
1J
randM
a
r
t
i
n,
F
.H
.(
19
8
5
)
.B
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b
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m
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.
Thermodynamicso
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b
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rdCA3XA3G+dCT3YT3G(X,
Y=
A,
C,
G,
T
)
.N
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cA
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3,
4
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4
8
2
4
.
.
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dYamamoto,K
.(
19
9
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)
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sG:Ct
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2 3 4 5 6 7 8 9101112131415
図 1.大腸菌野生株の粗抽出液中に存在するミスマ ッチ結合活性の確認。
lを
o
m
32pでラベルした様々なミスマッチを含む 2本鎖のオリゴヌクレオチド 23.5f
大腸菌野生株の粗抽出液に加え、
4Cで 30分反応させた。反応液を 12%の非変性ポ
0
リアクリルアミドゲル、 1XTBEバッファー上で 100Vで電気泳動した。ゲルを乾燥
80Cで X線フィルムに感光させた。各レーンに用いられているプローブは、レ
させ、 0
ーン 1, C/C、レーン 2, T/C、レーン 3, A/C、レーン 4, C/丁、レーン 5,
C/A、レーン 6, C/G、レーン 7, A/A、レーン 8, A/G、レーン 9, A/丁、レ
ーン 10, G=C、レーン 11, G/A、レーン 12, G/G、レーン 13, G/丁、レ
ーン 14, T=A、レーン 15,丁 /G、レーン 16,丁/了。ラベルした DNAとその
相補鎖の組み合わせば以下の通り。レーン 1 、
4~6 は図 2 の 1 の DNA をラベルし、
5~8 の DNA とアニールさせた。レーン 2 、
14~ 16は 4の DNAをラベルし、 5
~8 の DNA とアニールさせた。レーン 3 、
7~9 は 2 の DNA をラベルし、
DNAとアニールさせた。レーン 10~ 13 は 3 の DNA をラベルし、
アニールさせた。
5~8 の
5~8 の DNA と
shiftedband1 一一主r
shiftedband2 一一主=
freeprobe
.
.
ヶ
C
12 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516
図 2. C/Cミスマッチに対する特異性をコンペティション アッセイで確認。
32pでラベルした C/Cミスマッチを含むプロープを含む反応液に、その 50倍量の
ラベルしていないプローブをコンペティターとして加え、電気泳動した。泳動の条
件は図 3と同じである。各レーンに加えられたコンペティターは、レーン C,コンペ
ティターなし、レーン 1, C/C、レーン 2, C/A、レーン 3, C=G、レーン
4, C/丁、レーン 5, A/C、レーン 6, A/A、レーン 7, A/G、レーン 8, A
=丁、レーン 9, G=C、レーン 10, G/A、レーン 11, G/G、レーン 12, G
/丁、レーン 13, T/C、レーン 14, T=A、レーン 15, T/G、レーン 16,
T/T。各組み合わせのコンペティターの作り方は図 1を参照。
shiftedband1一一主ニ
ニ
shiftedband2
freeprobe
T
1234
56 78
9101112
13141516
図 3. シトシンを含むミスマッチ聞の親和性の比較
C/C以外のシトシンを含むミスマッチと C/Cのミスマッチとの親和性の違いを
比較した。各レーンのプローブは、レーン 1, C/A、レーン 2, C/丁、レーン
3, A/C、レーン 4, T/C、レーン 5"'8, C/C、レーン 9"'12, C/A、
レーン 13"'16, C/了。また、レーン 6、 10、 14には C/C、レーン 7、
11
.
. 15には C/A、レーン 8、 12、 16には C/Tのコンペティターがプロ
ープの 50倍加えられている。反応や電気泳動の条件は図 1と同じ。
shiftedband1
..
shiftedband2
..
freeprobe-....
1 2 3 4 5 6 7 8 910111213
14151617181920212223
図 4. 様々な変異株の粗抽出 液中の C / Cミスマッチ結合活性の確認。
C/Cのミスマッチに結合する 2つのタンパクを同定するために、まず様々な大腸菌の変異株の粗抽出液を用いたゲルシフト
アッセイを行い、シフトしたバンドが無くなるような変異株を探した。プローブはすべて C/Cのミスマッチのものを用いた。
各レーンで用いた変異株で欠損している遺伝子は、レーン 1,mutD
、レーン 2,mutL、レーン 3,mutM
、レーン 4,
mut了、レーン 5,muty
.
、レーン 6,ung
、レーン 7,vs
に レ ー ン 8,uvrD
、レーン 9,adaogt
、レーン 10,xthn
fo、レ
ーン 11,a
l
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A、レーン 12,hupAhupB
、レーン 13,dps
、レーン 14,mfd
、レーン 15,n
thn
e
i
、レーン 16,
recA、レーン 17,mutH
、レーン 18,mutS
、レーン 19,recBrecCsbcB
、レーン 20, topA、レーン 21,umuC
umuD
、レーン 22,uvrA、レーン 23,topB
。電気泳動などの条件は図 1と同じ。
shiftedband1 -1惨'
shiftedband2 .
.
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1 2 34
567 8
9101112 13
141日 6
図 5. 精製した大腸菌 MutM タンパクのミスマッチ認識の特異性の確認
大腸菌 BL21株に GST-MutM融合遺伝子を持つプラスミドを導入し、 IPTG処理で過
剰発現させた。この融合タンパクを Glutathione-Sepharose4Bカラムを使って精
製した。精製した GST-MutMタンパクをトロンビンプ口テアーゼで分解して GST-
tagをはずした。この MutMタンパクを用いて図 3と同じ実験を行った。各レーン
に用いられているプロープは、レーン w, C/Cのプローブに大腸菌野生株の粗抽出
液を加えたもの、レーン 1, C/C、レーン 2, C/A、レーン 3, C=G、レーン
4, C/丁、レーン 5, A/C、レーン 6, A/A、レーン 7, A/G、レーン 8, A=
丁、レーン 9, G=C、レーン 10, G/A、レーン 11, G/G、レーン 12, G/
丁、レーン 13, T/C、レーン 14, T=A、レーン 15, T/G、レーン 16,丁
/了。電気泳動の条件などは図 1と閉じ。
MutMBand
1
1
1234
図 6. 精製した MutMの C / Cのミスマッチに対する 結合
大腸菌 MutMタンパクを GST融合タンパクとして発現させ、回収したタンパク
を用いてゲルシフトアッセイを行った。それぞれのレーンのサンプルは、レー
ン 1,大腸菌野生株の粗抽出液、レーン 2,大揚菌 mutM欠損株の粗抽出液、
レーン、 3,精製した GST-MutMタンパ夕、レーン 4,精製した GST-MutMタ
ンパクからトロンビンプ口テアーゼ処理によって GST-tagを除去した MutMタ
ンパク。プロープはすべて C / Cのミスマッチを含むもの。レーン 4のバンド
が少しネイティブの MutMタンパクよりも移動度が下がるのは、 GST-tagを除
去してもアミノ酸が 8分子余分に結合しているためだと恩われる。 MutMタンパ
。電気泳動の条件などは図 1と
くDa
クの分子量は約 31kDa、GST-tagは約 261
同じ。
(kDa)
55.6
39.2
26.6
1
.
0
2
且一一一一
『司
4
.....
14.3
M
1
2
3 4 M
図 7. 二つ自の C/Cミスマッチ結合タンパクの精製。
各精製段階のサンプルを 17.5%の SDS-PAGEで電気泳動し、クマシー
ブルーで染色した。各レーンのサンプルは、レーン M,分子量マーカー
. 14.3kDa) 、レーン 1,硫酸ア
.
1
.
0
(上から 55.6、39.2、26.6、2
ンモニウム 40-60%飽和分画、レーン 2,HiTrapQ陰イオン交換カラ
ム分画、レーン 3,HiTrap-Heparinカラム分画、レーン 4,ゲル漉過分
。
画
dprotein
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お1VDKRESYTKEDLLASGRGELFGAKGPQLPNH2ー
図 8. 精製したタンパ クの N末端配列と大腸 菌 FabA タンパクの N 末端配列の比較
精製したタンパクのアミノ酸配列を国立遺伝学研究所の大腸菌 ORFデータベースで検索した
ところ、大腸菌 FabAタンパクの N末端の配列とほぼ一致した。図中の精製タンパクの配列の
中の?はシークエンス時に解析できなかったものである。
ー
・
圃
MutMband-
ー
・
圃
・
FabAband
freeprobe 田~
123
図 9. fabA変異株と mutM変異株の C / Cミスマッチ結合能の確 認
これまでの実験の結果、 C/Cのミスマッチを認識するタンパクが MutMと FabA
とわかったので、これらの変異株から粗抽出液を取り、 C/Cのミスマッチに結合
するバンドが無くなるかどうかを確認した。各レーンの組抽出液は、レーン 1,大
腸菌野生株、レーン 2, fabA変異株、レーン 3, mutM変異株。電気泳動の条件な
どは図 1と同じ。
OGG1 band
.
.
.
・圃・
MutMband
FabABand-1惨ー
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..
C 1 2 345678910111213141516
. 大腸菌内で発現 させた出芽酵母 の OGG1 タンパクのミス マッチ結合
図 1o
能の確認
大腸菌 MutMの機能ホモログである出芽酵母 OGG7遺伝子をク口一二ングしたプラ
スミドを作成し、大腸菌 mutM欠損株に導入した。この株から得られた粗抽出液を
用いて、様々なミスマッチに対する結合能力の特異性を調べた。各レーンで用いら
れているのプロープは、レーン C,大腸菌野生株の粗抽出液に C/Cのプロープを加
えたもの、レーン 1, C/C、レーン 2, C/A、レーン 3, C=G、レーン 4, C/
丁、レーン 5, A/C、レーン 6, A/A、レーン 7, A/G、レーン 8, A=丁、レ
ーン 9, G=C、レーン 10, G/A、レーン 11, G/G、レーン 12, G/丁、レ
。
丁
ーン 13, T/C、レーン 14,丁 =A、レーン 15,丁 /G、レーン 16, T/
電気泳動の条件などは図 1と同じ。
OGG1 band ..
MutMband-圃~
'
・
-
FabABand
freeprobe
T
16
1415
13
C 1 2 3 4 56 7 8 9101112
図 11. 大 腸 菌 内 で 発 現 さ せ た ヒ ト の OGG1 タ ン パ ク の ミ ス マ ッ チ 結 合 能 の
確認
大腸菌 MutMの機能ホモログで あるヒト OGGl遺伝子をク口一ニングしたプラスミ
ドを大腸菌 mutM欠損株に導入した 。この株から得ら れた粗抽出液を用 いて、様々
なミスマッチに対 する結合能力の特 異性を調べた。各 レーンで用いられ ているプロ
ープは、レーン C,大腸菌野生株の 粗抽出液に C/Cのプローブを加え たもの、レー
ン 1, C/C、レーン 2, C/A、レーン 3, C=G、レーン 4, C/丁、レーン 5,
A/C、レーン 6, A/A、レーン 7, A/G、レーン 8, A=丁、レーン 9, G=
C、レーン 10, G/A、レーン 11, G/G、レーン 12, G/丁、レーン 13,
T/C、レーン 14, T=A、レーン 15, T/G、レーン 16,丁 /T。電気泳動の
条件などは図 1と同じ。
惨・
OGG1 band惨・
MutMband_
Unknownband ..
FabABand・~
16
15
134
C 1 2 34 5 67 891α112
図 12. 出 芽 酵 母 野 生 株 の ミ ス マ ッ チ 結 合 タ ン パ ク の 確 認
出芽酵母野生株から得ら れた粗抽出液を用いて、 様々なミスマッチに対す る結合能力の
特異性を調べた。各レー ンで用いられているプロ ーブは、レーン C,大腸菌野生株の粗
抽出液に C/Cのプロープを加えたもの 、レーン Y,大腸菌 mutM欠損株に出芽酵母
OGG1 を発現させるプラスミド を導入した株から得た粗 抽出液に C/Cのプロープを加
、
. C/C、レーン 2, C/A、レーン 3, C=G、レーン 4, C/丁
えたもの、レーン 1
レーン 5, A/C、レーン 6, A/A、レーン 7, A/G、レーン 8, A=丁、レーン 9,
G=C、レーン 10, G/A、レーン 11, G/G、レーン 12, G/丁、レーン 13, T
. T/G、レーン 16, T/T。電気泳動の条件な
/C、レーン 14. T=A、レーン 15
どは図 1と同じ。
102
T
101
ーす
e 461Glu
s
a
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t
c
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l
a
g
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104
が¥T
A 4llc
G /A
ぺ
6
0
1
A
5
0
1
. Millerの CC シ リ ー ズ の 概 要
図 13
Z変異
c
a
Z遺伝子が欠失しており、 F 因子上に l
c
a
これらの株は、染 色体上の l
1番目のアミノ酸が 変異しており、こ
6
遺伝子が存在する 。 この遺伝子産物は、 4
のままでは活性が ないため、ラクト ース最少培地上で はコロニーを形成 しない
-CC106株でそれぞれ特定 の塩基置換が生じ ると、
、 CC101が
s-galactosidase
活性を回復するの で、ラクトース最 少培地上でもコロ ニーを形成できる 。塩基
GC-CG,
AT-CG,CC102:GC-AT,CC103:
置換の種類は以下 の通り 。 CC101:
CC104:GC-TA.CC105:AT-TA.CC106:AT-GC
B
図 14. パピーレのによるミューテーター表現型の確認 の例。
lを含むグル
a
G
l、 P
a
G
、 CC103mut39の各株を X
CC103、 CC103mutM
コース最小培地に滅菌爪楊枝を使って拡げた。このプレートを 37Cで 6日
0
、, C,CC103mut39。
培養したもの。 A,CC103、 B,CC103mutM
G/C
GO/A
G/G
GO/G
G/A
4
咽砕 band1
4
・昨 band2
コ.
freeprobe
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 13 1415
図 15. MutYタンパクの様々なミスマ ッチに対する結合活性の 確認。
10fmolの 2本鎖 D N Aと MutYタンパクを反応させた。プロープは、レーン 1
。レーン 7'"9,G/G。レーン 10"'12,
"3,G/C。レーン 4"'6,GO/A
'
A。また、レーン 1、 4、 7、 10、 13, MutY
GO/G。レーン 13'"16, G/
を加えずに反応させたもの。レーン 2、 5、 8、 11、 14,40ngの MutYタ
ンパクを加えて反応させたもの。レーン 3、 6、 9、 12, 160ngの MutYタ
ンパクを加えて反応させたもの。
G
/
女G
substrates
products
安
/A
安G
G安女GO/GGO/G安GO/A
/
G
.
=
ニ
.
二
1 2 3 4 5 6 7 89101112
図 16. MutYタ ン パ ク に よ る 8 ー オ キ ソ グ ア ニ ン を 含 む オ リ ゴ D N A
の切断活性の確認。
lを420ngの MutYタンパクと 37Cで 14時間反応さ
o
m
基質 DNA 20f
0
せた。レーン 1、 3、 5、 7、 9、 1 1,MutYを加えず反応させたもの。レ
ーン 2、 4、 6、 8、 10、 12,MutYを加えて反応させたもの。安のつい
ている方の D N A鎖を標識している。
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r
h
time(
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24-mer_ _
=
16-mer_ _
.
.
.
14-mer.
M
。
2
3
4
6
8
10
図 17. 8ーオキソグアニンとグアニンのミスマッチに 対する MutY
タンパクのグリコシラーゼ反応のタイムコース。
8-オキソグアニンとグアニンのミスマッチを含む 2本鎖 DNA20fmolを
60ngの MutYタンパクとともに 37 Cで O,_10時間反応させた。
0
GO/G会
GO/A*
mer_ =
24-
16-mer_ =
=
ご
.
.
.
14-mer.
M
12345678
141516
13
12
91011
図 18. 8ーオキソグアニンとグアニンやアデニンのミ スマッチに対
する MutYタンパクの比活性の測定。
lの 8ーオキソグアニンとグアニン(レーン 1"'8) 8ーオキソグ
o
m
20f
アニンとアデニン(レーン 9"'16) のミスマッチを含む 2本鎖 DNAを
様々な量の MutYタンパクと反応させた。 MutYタンパクの量は、レーン
2ng、レーン 3、 11,
.
1、 8、 9、 16,0ng、レーン 2、 10, 1
4ng、レーン 4、 12, 6ng、レーン 5、 13, 30ng、レーン 6、 1
.
2
4, 45ng、レーン 7、 15, 60ngo 安のついている方の DNA鎖を標識
している。
AB1157
wild-type
CC103
n
i
a
r
t
rs
e
t
a
c
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GC-CGi
CC104
n
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GC-TAi
BL21
Jon,ompT
21336
uvrD260::Tn5markersofAB1157
BW313
1,reJA1,spoT1
t
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ung-1,d
RPC501
fAB1157
nfo-1::kan,~(xth-pncA) 90marlerso
JC7623
fAB1157
recB21,recC22,sbcB15markerso
WD8014
,rpsL
mutD
CC104mutM
mutM::Tn10
CC104mutMnlutY
mutM::Tn10,mutY::kan
SYT5
mutT::Cm
CC104mutL
mutL::kan
BMH71-18
Tn10
mutS215::
CSH117
mutY::Tn10
NJK2004
nmarkersofSY5
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k
:
:
i
e
nth::Cm,n
GC4468hupAB
hupA16(kan),hupB(Cm)
WU3610-45
mfd
IC3126
~(umuD C) ::Cm ,
MS23
aJkA1
CS101
Tn10,ruv-51,rpsL31
recA269::
CH1692
::Tn10,rpsL
C
J
o
topA57(Am),t
N3055
uvrA277::Tn10
MG1655
dps::kan
TM41
fAB1157
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B
p
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RP4182
~(dcm ,
C218
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1
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B
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J
(ada25a
GW3773
mutH471::kan,rpsL31
uvrA115,Jon11
),rpsL
r
s
v
表 1.本研究で使 用した大腸菌 株。
変異箇所につ いては主なも ののみしめし た 。
1
.AGCTTGGCTGCAGGTCGACGGATCCCCGGGAATT・3
1:51
1
.AGCTTGGCTGCAGGTAGACGGATCCCCGGGAATT.3
1
:5
2
1
.AGCTTGGCTGCAGGTGGACGGATCCCCGGGAATT・3
3:51
1
1ーAGCTTGGCTGCAGGTTGACGGATCCCCGGGAATT・3
:5
4
1
.AATTCCCGGGGATCCGTCCACCTGCAGCCAAGCT・3
5:51
1
1 AATTCCCGGGGATCCGTCAACCTGCAGCCAAGCT・3
:5
6
1
1 AATTCCCGGGGATCCGTCGACCTGCAGCCAAGCT・3
:5
7
1
.AATTCCCGGGGATCCGTCTACCTGCAGCCAAGCT・3
8:51
1
・3
1・CCGGAATTCATGTCTTATAAATTCGG
:5
9
1
1ー GCCCAAGCTTCTAATCTATTTTTGCTTC・3
:5
0
1
1
・3
11:5'.CCAAAATCATTAGGGGATTCATCAG
.AACAACAGTGAATTCGGTGACCAT・31
12:51
.ATATAGTCGACGTTGCAGGAAAGTA・31
1
:5
3
1
1
・3
.GAACTAGTGCATCCCCCGGGCTGC
1
:5
4
1
圃
圃
.GAACTAGTGGATCCCCCGGGCTGC・31
1
:5
5
1
1
・3
1ーGAACTAGTGOATCCCCCGGGCTGC
:5
6
1
1
・3
.GCAGCCCGGGGGATGCACTAGTTC
1
:5
7
1
1
・3
1 GCAGCCCGGGGGATACACTAGTTC
:5
8
1
圃
.GCAGCCCGGGGGATCCACTAGTTC・31
1
:5
9
1
表 2. 今 回 の 実 験 に 用 い た 合 成 DNA。
1--8は C/Cミスマッチな どのゲルシフ トのプローブ に用いた 。 9、 10は yOGGl遺伝
ut39遺伝子のシー クエンス用の プライマーと して用い
子のクローニ ングに用いた 。 11は m
た。
12、 13は mutY遺伝子のクロ ーニングに用 いた 。 14--19は MutYタンパクに関
するゲルシフ トアッセイや ニッキングア ッセイのプロ ーブとして用 いた 。 図中の下線は 相補
鎖、と組み合わせたときにミスマッチを形成する部分 。 16の下線部
ニンを示す 。
Jは 8-オキソグア
O
I
Group
1
1
1
1
1
Strain
Papi1
1a
t
ion
Mutants per 108cells
Lac+
Ri
f
r
GC39
++
148
188
GC9
++
125
1550
GC24
++
101
1460
GC40
+
15
1280
GC41
+
28
2560
3
11
CC103
表 3. 得られた 5つの変異 株のミュ ーテータ ーとして の性質の 解析
各変異株及び野生株のパピーレの出方、 Lac+
への復帰変異の頻度、 R
if
rへ
の変異頻度を測定した。 P
a
p
i1a
t
ionはパピーレの出方を観察したもの。
++,多くでる、+,でる、ー,ほとんどでない。
n
i
a
r
t
S
sper
t
n
a
t
r
e
v
e
NumberofLac+r
s
l
l
e
108c
CC103
CC103mutY
CC104mutY/pGEX-MutY
120
18
CC103mutM
2
CC103mut39
146
CC103mut39/pGEX-MutY
CC103mutMmut39
CC104
3
1
149
6
CC104mut39
232
CC104mutY
204
CC104mutY/pGEX-MutY
18
、 mut39の 変 異 と プ ラ ス ミ ド pGEX-MutYの CC103 や
、 mutY
表 4. mutM
CC104の Lac+へ の 復 帰 変 異 頻 度 に 対 す る 影 響 。
各株の終夜培養菌液をラクトース最小培地にまき、 37 Cで CC103株由来のもの
0
、 CC104株由来のものは 2日培養した。また 、ベクターである
は 6~ 10日
PGEX-4T-3を導入しでも Lac+への復帰変異頻度に影響はなかった。
:灯台包えよ
cAcidsRes.
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Sakyo-ku,
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