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APT第8回太平洋地域政策・規制フォーラムの結果 - ITU-AJ
会合報告 APT第8回太平洋地域政策・規制フォーラムの結果 総務省 情報通信国際戦略局 国際協力課 1.はじめに アジア・太平洋電気通信共同体(Asia Pacific Telecommunity:APT)は、主にアジア・太平洋地域における電 気通信及び情報基盤の均衡した発展を目的として1979年 に発足した国際機関(本部:バンコク)であり、研修やセ ミナーを通じた人材育成、標準化や無線通信等の地域的 政策調整等を行っている。現在の加盟国数は加盟国38、 準加盟国・地域は4であり(図1参照) 、賛助加盟員(民間 企業等)は2015年8月時点で136となっている。 事務局は、局長のアリーワン・ハオランシー氏(タイ) 、 次長は近藤勝則氏(日本) 、その他職員21名で構成される。 ■写真.第8回太平洋地域政策・規制会合の模様 (2)ワークショップの主な結果 各セッションのテーマは、以下のとおり。各会合では以 下のセッションに分かれ、プレゼンテーション及び質疑が 行われるとともに、最後にパネルディスカッションが行わ れた。 セッション1:大臣級会合の結果等(APT事務局) 、大洋 州地域における最近の取組み等 セッション2:大洋州地域の政策及び規制の動向 セッション3:大洋州地域におけるICTビジネス環境及び ■図.APT加盟国エリア 持続可能な開発 セッション4:サイバーセキュリティ及び新たなインター 2.第8回太平洋地域政策・規制フォーラム(PRFP-8) (1)概要 ネット政策課題 セッション5:周波数関連 セッション6:国際接続性の強化 太平洋地域政策・規制フォーラムは、各国の政策立案者 セッション7:規制機関によるクローズドセッション 及び規制機関担当者間において、政策・規制に関するベ セッション8:電気通信技術関連 ストプラクティスや知見等の意見交換、情報共有等を行う セッション9:パネルディスカッション:将来展望 ことを目的として2009年より毎年開催されている会合であ セッション10:今後に向けて る。2015年次の第8回会合は、 6月15日から17日までの3日間、 トンガ(ヌクアロファ)において開催され、APTに加盟す ○オープニングセッション る16の国・地域の通信担当省及び電気通信機関、賛助加 (ア)アリーワン・APT事務局長より、トンガ政府への 盟員等約70名が参加した。 日本からは、 総務省及びスカパー 謝辞、PRFP及び開発プロジェクトを通じた大洋 JSATが出席。 州地域への支援、サイクロン被害を被ったバヌア ツへの継続的な支援等について述べられた。 50 ITUジャーナル Vol. 45 No. 10(2015, 10) (イ)シャオシ・ソヴァレニ副首相(トンガ)より、初の (ア)トイモアナ・トンガ気象・エネルギー・情報・災害 女性局長であるアリーワンAPT事務局長への就任 管理・環境・気候変動・通信省(MEIDECC)情 祝辞、経済開発におけるICT及びブロードバンド 報課長及びアヒオ・同省技術担当官 の重要性、トンガにおける主要なICT施策等につ トンガにおける電子政府推進・戦略及び遠隔医療 いて述べられた。また、APT、日本及び豪州から 政策について の支援を含め、継続的なPRFP開催のための支援 の重要性についても述べられた。 ○セッション1: 「大洋州地域における最近の取組み等」 プラサド・PRFP副議長がセッション議長を務め、4者 が以下のとおり、プレゼンテーション等を行った。 (ア)アリーワンAPT事務局長 2014年に行われたAPT 大臣級会合、第 13 回総会、 (イ)ターンブル・O3bネットワークス社大洋州課長 大洋州地域におけるICTビジネス環境及び持続可 能な開発について (ウ)ハンセン・ネットワークストラテジーズ社課長 大洋州地域における携帯音声及びデータ通信サー ビスの比較について (エ)ベスコーナー・世界銀行シニアICT政策専門官 第38回管理委員会の結果及び大洋州地域におけるプ 大洋州地域におけるICTが可能とする開発の推進 ロジェクト及び研修について について (イ)ボール・オーストラリア通信省アシスタントディレ クター ○セッション4: 「サイバーセキュリティ及び新たなインター ネット政策課題」 データ政策、周波数、緊急通信等の分野における進 ミアケ・バヌアツICTプロジェクトマネージャーがセッ 展等のオーストラリアにおける情報通信事情について ション議長を務め、4者が以下のとおり、プレゼンテー (ウ)アイオルポテア・サモア通信情報技術省アシスタ ントCEO ションを行った。 (ア)ガザヴィ・オーストラリア首相内閣省アドバイザー サモアの国際接続性を改善するための接続性プロ オーストラリアにおけるサイバーセキュリティ課題 ジェクトについて に対するアプローチについて (エ)ミアケ・バヌアツICTプロジェクトマネージャー (イ)筒井総務省情報セキュリティ対策室課長補佐 バヌアツにおけるサイクロン被害からの復旧及び 近年の脅威に対応する日本政府の政策動向として 緊急通信戦略に関する将来計画について のサイバーセキュリティ基本法の設立や総務省にお ○セッション2: 「大洋州地域における政策・規制動向」 フィリッポ・マーシャル諸島交通通信省次官がセッ ける政策の方向性について (ウ)グズマン・ISOC地域プログラム調整官 ション議長を務め、3者が以下のとおり、プレゼンテー スパム等に対するベストプラクティスや政策アプ ションを行った。 ローチを援助するISOCのスパム対策プロジェクトに (ア)プラサド・フィジー通信省通信課長 フィジーにおける周波数オークション及び地デジ 放送移行について (イ)テアナキ・キリバス通信交通観光開発省ICT部担 当官 キリバスにおける民営化等の電気通信改革について (ウ)デフレイタス・PiRRCプロジェクト課長 ICTを推進するPiRRCの歴史及びビジョンについて ○セッション3: 「大洋州地域におけるICTビジネス環境及 ついて ○セッション5: 「周波数関連事項」 グロヴイ・パプアニューギニア国家情報通信技術庁 課長がセッション議長を務め、3者が以下のとおり、プ レゼンテーションを行った。 (ア)シーハン・APT事務局プログラムオフィサー WRC-15に向けたAPTの活動及び大洋州各国に関 連する事項について (イ)高橋総務省電波政策課周波数調整官 び持続可能な開発」 新たな移動通信周波数割当の方向性等の我が国の ボール・オーストラリア通信省アシスタントディレク 電波政策について ターがセッション議長を務め、4者が以下のとおり、プ レゼンテーションを行った。 (ウ)デイヴィス・APT事務局相談役 4Gや5Gを見据えた周波数管理の重要性、大洋州地 ITUジャーナル Vol. 45 No. 10(2015, 10) 51 会合報告 域にとってのCバンド保護について ○セッション6: 「国際接続性の強化」 (ウ)アイオルポテア・サモア通信情報技術省アシスタ ントCEO マウ・トンガMEIDECC CEOがセッション議長を務 (エ)ミアケ・バヌアツICTプロジェクトマネージャー め、3者が以下のとおり、プレゼンテーションを行った。 (オ)フォン・PITA会長 (ア)マッキャン・マッキャンコンサルティング社管理課長 ・パラオにおける国際接続性改善のための海底ケー ブル導入施策について ・大洋州地域における五つの海底ケーブル導入プロ ジェクト概要について (イ)アルマエ・ソロモン諸島電気通信委員会課長 ソロモン諸島におけるネットワーク環境及び海底 ケーブル・ハイスループット衛星導入計画について (ウ)サンフォード・MSコンサルティングマネージャー 国際接続性改善に向けた大洋州地域における課 題・機会について ○セッション7: 「規制機関によるクローズドセッション」 本会合に参加の各規制機関が参加・議論が行われ、 以下の事項について協力して取り組んでいくことが確認 された。 ・共通の関心・懸念事項に関する地域レベルの協力 ・大洋州各国に対するニーズの評価 ・規制機関間の知識開発・情報共有等の強化、政策・ 規制のベストプラクティスに関するワークショッ プの開催 等 ○セッション8: 「電気通信技術について」 ハリス・ナウル電気通信メディア省秘書官がセッショ ン議長を務め、2者が以下のとおり、プレゼンテーショ ンを行った。 (ア)パク・韓国情報化振興院相談役 ブルネイ宣言において規定された優先事項に基づき、 大洋州地域のICT開発について議論が行われた。各パネ リストからは地域における課題として、教育や医療分野 へのICT利活用、携帯通信トラヒック対処に関するICT 政策、インターネット接続性、ICTスキルのみに特化し ない幅広い分野における人材育成等が挙げられた。 ○セッション10: 「今後に向けて」 プラサドPRFP副議長が議長を務め、以下の事項につ いて議決がなされた。 (ア)APG15-5に向けたワーキンググループ(※)の設置 (イ)第7回太平洋地域政策・規制会合(PRFP-7)にお けるサマリーレコードの修正 (ウ)PRFP会合におけるワーキングメソッドの修正(副 議長を二名とする) (エ)次回(第9回)の太平洋地域政策・規制会合(PRFP-9) はパプアニューギニアで開催。 (オ)APG15-5に向けたワーキンググループ報告 ※2015年世界無線通信会議(WRC-15)の議題1.1(移 動業務への追加分配及びIMTへの特定)に係る決 議第233の寄書案の取りまとめを目的とするもの ○クロージング (ア)アリーワンAPT事務局長より、今会合における主 要な議論事項に関する総括があり、また、ホスト 国であるトンガ政府への謝辞、今会合開催におい 韓国におけるスマートスペースプロジェクト及び て財政支援を行ったオーストラリア政府及び日本 同プロジェクトの展開について 政府への謝辞が述べられた。 (イ)ハーウッド・グーグル社新興市場アクセスエヴァ ンジェリスト 太平洋地域におけるアクセスソリューションとし てのHAPS活用の概要について ○セッション9: 「パネルディスカッション:将来展望」 (イ)マウ・トンガMEIDECC CEOより閉会宣言がなさ れた。 3.おわりに 2015年2月より、近藤事務局次長を含む新たなAPT事務 シーハン・APT事務局プログラムオフィサーがファシ 局の体制がスタートしました。総務省では引き続き、域内 リテーターを務め、以下5者のパネリストが2014年のAPT のICT分野の持続的な発展のために、加盟国やAPTが取 大臣級会合において採択されたブルネイ宣言の実行及び り組む各種活動を支援するとともに、当該取組みが我が国 大洋州ICT大臣級会への貢献に関する議論を行った。 企業等の海外展開支援につながるよう尽力する所存でおり (ア)マウ・トンガMEIDECC CEO ますので、関係各位の積極的なご参加及びご協力を引き (イ)フィリッポ・マーシャル諸島交通通信省次官 続きよろしくお願いいたします。 52 ITUジャーナル Vol. 45 No. 10(2015, 10)