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症 例 66 歳女性 既往歴,家族歴に特記事項なし 現病歴 2000 年 9 月

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症 例 66 歳女性 既往歴,家族歴に特記事項なし 現病歴 2000 年 9 月
症 例 66 歳女性
既往歴,家族歴に特記事項なし
現病歴
2000 年 9 月より顔面のむくみと視野の
かすみに気がついた.近医にて高血圧,高脂血症
を指摘され治療されたが改善せず.
さらに 11 月になって腰痛出現.
11 月 9 日当院整形外科で第三腰椎圧迫骨折を
指摘された.
術前精査のため行った頭部 MRI にて異常を指
摘された.
1
単純
単純 CT
CT
造影
造影 CT
CT
造影
造影 CT(
CT( 骨条件
骨条件 ))
5
単純
単純 T1
T1 強調像
強調像 (( 冠状断
冠状断 ))
単純
単純 T2
T2 強調像
強調像 (( 冠状断
冠状断 ))
造影
造影 T1
T1 強調像
強調像 (( 冠状断
冠状断 ))
単純
単純 T1
T1 強調像
強調像 (( 矢状断
矢状断 ))
造影
造影 T1
T1 強調像
強調像 (( 矢状断
矢状断 ))
出題はここまでです.
入院後経過
顔面のむくみ,高血圧に対し内科的精査を行ったところ
低タンパク血症(Alb 2.7g/dl),低カリウム血症(2.2mmol/l),
肝障害(GPT 71U/l, ChE 176U/l, γ -GTP 110U/l, ALP 357U/l,
LDH 853U/l)が認められた.
また,コルチゾール (30.8g/dl),17-OHCS(13.9mg/日 ) と上昇して
おり,Cushing 病が疑われた.
デキサメサゾン抑制試験では1mgで抑制なく ,8mgで抑制効果
が得られた.
頭部 MRI で腫瘤性病巣についての確定診断が困難であっ
たことより,経鼻内視鏡生検を行った後,経蝶形骨洞手術
による腫瘍摘出術が施行された.
術中所見として白色軟性の腫瘍組織 ( 矢印 ) を認めた.
Diagnosis:
Ectopic pituitary adenoma
病理組織学的所見
類縁形の核を持つN/C比の高い腫瘍細胞が充実性増殖を
しており,その間には血管の発達した間質組織が見られ
た.細胞質には好酸性顆粒が認められずbasophilic
adenomaに合致する像であった.
酵素抗体法ではACTHが軽度陽性でGH,PRLは陰性で
あった.
異所性下垂体腺腫
異所性下垂体腺腫
好発部位
1)咽頭蝶形骨発生:鋤骨蝶形骨関節正中粘膜に異所性
下垂体組織(咽頭下垂体)が剖検例の32.7%に認められる.
( Carmichael, HT. J Otolarygol. 26: 966-975 1931 )
2)鞍上部発生:75%の正常脳組織で下垂体と連続性を持たない
異所性組織が漏斗周囲の軟髄膜組織内に認められている.
( Hori, A. J Neurosurg 63: 113-115 1985 )
3)その他:鼻腔や第三脳室に発生した症例では下垂体腺腫の
播種や異所性組織の迷入が原因と推察されている.
症例の48%はホルモン活性を有し,その過半数はACTHである.
画像所見
鞍上部,蝶形骨洞腫瘤,Empty sella
(17%) 鞍底の破壊,
頭蓋底破壊等.
T1強調像で灰白質と等信号,造影後は不均一な増強効果あり.
T2強調像では様々な信号強度.
腫瘍進展度や骨破壊の程度とホルモン活性の程度は相関しない.
蝶形骨洞病変の鑑別:扁平上皮癌,悪性リンパ腫,悪性黒色腫,
転移性腫瘍,感染症
治 療
手術療法が主.補助療法として,薬物療法,放射線治療など.
異所性腫瘍が非機能性腺腫で下垂体内にmicroadenomaが存在
した症例あり.
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