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マザーグループにおける関係性の発達

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マザーグループにおける関係性の発達
J
青野 ・松 島 :マザーグループにおける関係性 の発達
- 6
9-
大阪市立大学生活科学部紀要 ・第4
9
巻 (
2
01
)
マザーグループにおける関係性の発達
-グループ過程 と1メンバーの過程か ら青野明子 ・松島恭子
ADevel
opmentoft
her
el
at
ednessi
nMot
herGr
oup
-Focusedont
hegr
oupandamember
'
spr
ocess-
AKI
KOAONOa
ndKYOKOMATSUSHI
MA
は じめに
うことがあ る」 と答 え、.
7
8
.
4
%が 「子 どもがかわい く思
平成 1
2
年度大阪市立大学生活科学部紀要 において筆者
えないことがある」 と回答 している。育児にい らだつ母
は、人間の発達 を 「
個」としての発達 と 「由係性」の発
親の中には 「
可愛 く思 えない」程度が異常 と思 われる者
達 に分けて考 え、 また 「関係性」 の発達 を さらに、「
子
が急増 し、「
思 わず手 をあげて しまう」が5
5
.
1
%、「あん
ども-養育者関係」に代表 される 「
二者関係」 における
たなんか嫌 い、い らない と言 う」が4
9
.
7
%となっている。
「関係性」 の発達 と、「
子 ども一子 ども関係」 に代表 され
1
9
9
7
)
(
大 日向.
る 「
仲間関係」 における 「関係性」 の発達 に分けて考え
情報化社 会の中での子育 てはマニュアル世代の母親た
る視点 を里示 した。 また、特 にエ ン、
カウ ンターグループ
ちの不安 を煽 り、 自分の子 どもを 「よ り良 く」育てるこ
(
Ro
ge
r
s
,
C.
R.
,
1
9
7
0
)での経験 について と りあげ、エ ンカ
とが 自分の評価 に繋が る ような錯覚 を与 える。上述の調
ウンターグループでは 「
子 ども一養育者関係」 に代表 さ
査 による と育児 をつ らく思 う理 由 として、「自分の時 間
二者関係」による
れる 「
育て られる者 一育てる者」の 「
が ない」、 「子 どもが思 い通 りにな らない」、「夫の非協
「関係性 」 の発達 と、「
子 ども一子 ども」 関係 に代表 され
力 ・無理解 」な どと並 んで、「マニュアルが欲 しい」が
-プの
る 「
仲間関係」 による 「関係性 」の発達が、 グル_
挙げ られている。泣 いた ときに抱 くべ きか否かに迷 って
展開に従 って同時に相互作用的に積み重 なることで人間
育児書 を読みあ さ り、・ミル クの量 に一喜一憂 し、大脳生
の心理的成長 に対 してアプローチ している と した。
理学的な知識 を・
集めて、お もちゃ選びや言葉がけに神経
本稿では、 この視点 に基づ き母親の心理的成長 と 「
子
を尖 らせている。母親の責任 を完壁 に果たさねば と思 い
ども一母親」間の関係性の発達 を目的 として、大学の相
つめて育児書 どお りにな らない育児 にい らだつ。「赤 ち
談所 において実施 されたマザーグループの一事例 を取 り
ゃんに使用説明書がついていた らいいのに」とため息 を
上げ、その グループ過程 と- メンバーの過 程 を通 して、
ついた母親 もいた とい う。育児 に使用説明書 を求める母
マザー グループにおける関係性 の発達 について考察 を試
親は失敗 を恐 れているのであ り、子 どもも親 も失敗 を繰
みたい。
り返 しなが ら試行錯誤の中で共 に育つ とい う 「ゆ とり」
がないこと、子 どもの成長 に もあるべ き一つの正解 を求
問題 と目的
め、その⊥点にいかに効率 よ く間違 うことな く到達す る
かに苦心す るのは、 自分で考え、間違いなが ら自分な り
現代 は …
普通の子育て"が難 しい といわれ る。少子化
の波の中で母親 自身が母 となる以前 に子 どもと接す る機
の解答 を見出す余地 を十分 に与 えない 日本の教育のあ り
会を持たず、 自分の子 どもを産んで初めて子 どもとじっ
方か ら再検討 されねばない と大 日向は指摘 している。
この ような指摘 をされる現代の母親だが、彼女たちな
くり関わる とい うのが現状である。 また母親自身が自分
の両親 との間で 自立 と依存の発達課題 を成 し遂げていな
りにとて も育児 に対 して真筆に向 き合 っている と筆者は
いことが多 く、親に 「
育て られる もの」 であ るままの状
感 じている。種 々催 されている子育てについての講演会
態で母親 となることが増 えて きているようである。
に足 を運 び、育児 に関す る本や新聞記事 に も精通 し、現
1
.
9
%の母親が 「育児がつ らい と思
ある調査 に よる と9
代の子育て事情や諸問題 に関 してはスペ シャリス トであ
(
1
)
- 7
0-
人 間 福 祉 学 科
録音 を行 った。 グルー プの内容 は非構 成的 なエ ンカウ ン
った りもす る。皆 難 しい社 会の中で何 とか 自分の子 ども
を育 て上 げ よう と必死 なのではないか と思 う。 この よう
ター グループであったが、 メ ンバーにはエ ンカウ ンター
な母 親 た ちに向 けて多様 な角度かや の子 育 て支環 が実施
グルー プの説 明 は特 にせず に、 "臨床心 理士 を交 えての
され始 めている今、筆者 は 自分が で きる子 育 て支援 の一
フリー トー クの グルー プ" と して募集 した。 グルー プの
つ と して、マザ ー グルー プを考案 した。
中で は、フ アシ リテ一 夕-か らの話題の提 供や助言 な ど、
本稿 で扱 うマザ ー グループの特徴 は、 グルー プの オ リ
グループを方 向付 けす ることは極力少 な くした。母子 分
エ ンテー シ ョンがエ ンカウ ンター グルー プであ り、臨床
離の醜 しい子 どもにつ いては、 グルー プの部屋へ の出入
心理士 であ る筆 者が世話 人 をす る こ とで あ る。エ ンカウ
1
ンター グループ につ いて は後 に詳 し く述べ るが、一番め
りを 自由にす るこ とに した。毎 回 グループ終 了後 に 自由
記述 で感想 を書 いて もらった。
特徴 は世話 人が リー ダー シ ップを とらず 、簡単 に言 うと
「
何 も しない」こ とであ る。筆 者 は 自分 自身が専 業主婦
3
.
継続的 な非構成的 エ ンカウンターグル ープ とは
を した時 に、専 業主婦 の母親 は話 が した くなる とい うこ
臨床心理学 や精神医学 、教育や企業研修 の分野 におい
とを実 体験 と して経験 している。 日ごろ2
4
時 間営 業で頑
対1
で はな く小集 団 を用い、何 らかの活動 を しなが
て、 1
張 って いる母親が、 グルー プに参加す る こ とで一時子 ど
ら人間の心理 的成長 に対 して アプローチす る方法が数多
もと離 れ 自分 を振 り返 る時 間 を もっ こ と、講座 や講演の
く実施 されて きている。 それ らは 「グループ ・アプ ロ「
ようにあ る 「
権威者」か ら何 か をト
教 え られ るので はな く、
チ」、「集 団精 神療法
同 じ立場 の母親 同士 が感 じた こ と、考 え る こ とを話 し合
呼 ばれ多様 な流派、理論的背 景があ り、例 えば以下の よ
う・
こ とで、上記 に指摘 されていた現代 の母親 に とって経
うに分類 で きる (
中村,
1
9
9
8
)
。
験 不足 であ る ところの 「試行錯誤 の中で共 に育つ とい う
(
Gr
o
u
pPs
y
c
h
o
t
h
e
r
a
py
)
」な どと
まず、 グループでの活動が構 成的であるか、非構 成的
であ るか につ いて分 け られる。
ゆ と り」 や 「自分 で考 え、間違 い なが ら自分 な りの解答
を見 出す 」経験 が で きるのでは ないか と考 えた。
・そ して
"
構 成 的 " とは、 グルー プで の活動 にお いて ス タ ッフ
そ こで の経験 はお互 いの 関係性 の発達 を促進 し †それは
が何 らかの プ ログラムや課題 を用意 し、それにつ いて作
それぞ れの子 どもた ち との関係性 の発達 をサポー トして
業や討議 をす る ものである。例 えば、医療現場 で主 に精
い くこ とに もつ なが るので はないか と考 える。
神疾患 を抱 える患 者 に対 して行 われる 「
作業療 法」、「レ
本稿 で は、実 際に行わ れたマザ ー グルー プの一事例 を
構 成的 グルー プ ・エ ンカ
ク リエ ー シ ョン療法 」等や、 「
取 り上 げその グループ過程 を概 観 し、参 加者 の中で特 に
ウ ンター」(
国分 、
1
9
9
2
)
、サ イ コ ドラマ、音楽 や絵 画 な
活発 な動 きのあ った一人の母親 の グルー プ過程 を追いな
どを用いなが らグループで進 め る 「
音楽療法」 や 「
芸術
が ら_
、マザー グループの 中での 関係性 の発達 につ いて考
療法」 も構 成 的 なグループ ・アプ ローチの中に含 まれ る
察す る こ とを 目的 とす る。
であ ろ うし、児童 ・生徒 に対す る 「治療 キ ャンプ、療 育
キ ャ ンプ」な ども含 まれ よう ,
(山口 ら、
1
9
8
7
)
.
対象 と分析方法
これに対 して "
非構 成的" なアプ ローチ は、時 間や場
1.
対象
所等 の枠 はス タ′
ツフの側 で決 め られるが、予 め用意 され
たプ ログラムや課題 はない もの を指す。何かの作業や制
大学 内の相談所 において実施 した、母 親 を対象 とした
継続 的 な非構 成 的エ ンカウ ンター グルー プの一事 例。
作 をす るこ とはな く、 グルー プの参加 者 は殆 どの場合室
グルー プの構 成 メ ンバ 」 は就 学前 の子 どもを持 つ母親
内でお互 いに話 し合 うことに よって過 ご してい くこ とが
で相談所 主催 の親子教室 の参加 者 な どか ら募集 した。対
多い。 この アプローチ として は、臨床心理学者 ロジ ャー
(
Ro
g
e
r
s
,C
.
R.
)に よって創始 され た 「(
ベ ー シ ック)
象事 例 の メ ンバ ーには、子 どもの発達 の遅 れや母子 関係
ス
での問題 を感 じている母親 はい なか った。就学前 の子 ど
エ ンカウ ンター ・グルー プ」、社 会心 理学者 で あ る レヴ
もは母 親が グループに参加 してい る間、 別室 にて保育士
イン
(
Le
vi
n,K.
)が きっか け とな っ た 「
Tグ ル ー プ
」、 そ して精神分析学 を源流 と
(トレーニ ンググルー プ)
と大学 生 ボ ラ ンテ ィアに よる保 育 を実施 した。
する 「
精神分析 的集 団心理療 法」があ る。
2
.
グル ープの構造
回、6
回で 1
クー ル終 了 と した。 1
回1
時 間3
0
概 ね 隔週 1
り参加者 が活動 に迷 うことが少 ない。 また比較 的短時 間
分 の 1セ ッシ ョン。 フ アシ リテ一 夕- と して筆 者 が グル
での実施が可能であ る。一方 "
非構 成 的" なグルー プ ・
ー プに毎 回参加 した。 メ ンバ ーの許可 を と り毎 回 テープ
アプ ローチ は、宿泊 晶
…構 成的" なグルー プ ・ア プ ローチ は課題が 明確 で あ
(2)
った り数 日間通 った りしなが ら
青野 ・松島 :マザーグループにおける関係性 の発達
- 71-
長時間行 うのが一般的である。 また実習やゲームなどの
プは、継続的 (
分散型) ・非構成的グループ ・アプロー
課題が ないため、必然的に参加者 自身の ことやお互いの
チ としてのエ ンカウンター グループと分類 される。
エ ンカウ ンター グループ (
Enc
ount
e
rGr
o
up;「出会い
関係 につ いて コ ミュニケー シ ョンが な され る こ とにな
集 団」 の意) とい う用語 は、三つ の意味に 用 い られる
る。
(
村 山,
1
9
7
7)
0
次 に一連のプログラムが分散的に行われるか、集中的
(
彰 人間性 回復運動 (
HumanPo
t
e
nt
i
a
lMove
ment
)と
に行われるか とい う点で分けることがで きる。
呼ばれ、 1
9
6
0年代後半か らアメリカを中心 に盛 んになっ
"
分散型'
'は各 回に一つのプログラムが組 まれてお り、
た動向全体 を指 して用い られることがある。 この場合 は
参加者 は一つのプログラムを定期的、継続的 に体験 して
い く。 …
分散型 "の代表 として医学領域 にお ける集団精
「エ ン カ ウ ン タ ー ・ム ー ブ メ ン ト (
Encounter
神療法があげ られる。西村 ら (
1
9
9
5)はその定義 として、
」と同義である。
Mo
ve
me
nt
)
1
名以上の訓練 を受 けた治療者 と1グループ7-1
0名の患
I
nt
e
ns
i
veGr
o
upExpe
r
i
e
nc
e)
② 集中的 グループ体験 (
者で構成 され、週 1
-3回実施されること、治療者は一定
と同義語 と して使 われ る。 Tグループ、サ イコ ドラマ、
の治療計画 を持 ち治療 目的の共有が患者 との周 になされ
感受性訓練、人間関係 ラボ、ゲシュ タル トグループ、交
てお り、治療者 との関わ
】 りや患者同士の対人相互作用や、
流分析 な ど理論 は様 々であるが、数時間か ら数週間にわ
患者の感情 を治療素材 とすることな どをあげている。
たる集中的 ない し宿泊 を伴 うグループ体験 を総称 した意
味で用い られることがある。
また大学 な どの教育現場 において、通常の授業の枠内
で行われている実習 を用いた グループ ・アプ ローチ (
野
③ 基本的出会い グループ (
ベー シック ・エ ンカウ ンタ
島,
1
9
98a) も ー分散型"に含 まれ よう。
ーグループ;
Ba
s
i
cEnc
ount
e
rGr
oup) と して使 われる。
これに対 して `
●
集中型"は、宿泊 を伴 うな どしなが ら
日本では、.
集中的 グループ体験の一形態で、米国の臨床
連続的に集中 してグループを体験 してい く。
心理学者 ロジャース (
Roge
r
s
,C.
R.
)の理論 と実践 に基
"
集 中型 "の代表 としては、非構成的 なグループ ・ア
プ ローチ が あ る
づ くグループを指 している。
た とえば 人 間 関係研 究 会 (
村 山他
日本において、エ ンカウ ンターグループ とい うとき、⑨
偏,
1
991
)が実施 しているエ ンカウ ンター ・グループは
の意味 を指すのが一般的である。本稿では③ の意味 にて
一泊二 日一五泊六 日である。 また宿泊 を伴わず通い型で
用いてい くこととす る。
。
数 日間集中的に行われることもある。
Rbge
r
s、
.
1
9
7
0)一における参
エ ンカウ ンター グループ (
精神分析的集団精神療法では、患者の治療 を目的とす
加者は通常 、 クライエ ン トや母音ではな く一般健常者で
る場合ではな く治療者の教育 ・研修 を 目的 とす る場合 に
あ り、治療 を求めてではな く心理的成長 を目的 として参
集中型が とられることがある。
加す る。 自発参加が基本であるが、教員、養護教諭、大
"
集中型 '
'の グループ ・アプローチ は、 日常生活 をあ
学院生、 カウ ンセ ラー、看護士 な どの研修 として実施 さ
る程度切 り離す ことが で き、 グループの開始か ら終了 ま
グループは7
-8名前後の メンバ
れているこ とも多い。 1
で参加者の入れ替わ りがない場合が多 く、固定 された参
、2
名 の フ アシ リテ一 夕- (
f
ac
i
l
i
t
at
or
,「
促進者」
ー と1
加者 との間での深い関わ りが可能になって くる。 また連
の意) と呼 ばれる世話 人か ●
らなる。 ロジャースの来談者
続性 が強い こ とか ら、「今 ・ここ」 での対 人関係 に、 よ
中心療法 を概念的な支柱 に してお り、世話人をリー ダー
り集中 しやす い とい うメリッ トがある。 しか し集中的で
や トレーナー と呼 ばないのは、 フアシリテ一 夕-が メ ン
あるが故 に 日程の調整が困難で参加 しに くい ことや、宿
バーの成長 を促進 し、やがてはフアシリテ一 夕- 自身 も
泊 を伴 う場合 はコス トの問題 な どもある。
メンバーの一月 となってい くようなグループ運営が理想
とされているためである。
一方 ▲
`
分散型 "のグループ ・アプローチは、 日常生活
の中に研修 ・教育 ・治療 などを組み込むことが可能であ
エ ンカウ ンターグループには予め用意 された課題やプ
り少ない コス トで体験す ることがで きる。 しか し体験が
ログラムはな く、話 したい ときに話 したい人が話 してい
限 られた時間内であ り、集中型 に比べて深 い関わ りが生
くことになる。 このため参加者 自身のことや、お互いの
じに くいこと、欠席 な どで参加者の入れ替わ りが生 じる
関係 について コ ミュニケーシ ョンがなされ、その結果 と
こと、間に日常生活が入ることによ り切 り替 えを頻繁 に
して他者や一
日分 自身 との深 い出会いが生 じて くることが
す る必要性が出て くるなどの問題があるだろ う。
多い。
エ ンカウ ンターグ ループについては、 日本で も1
9
7
0年
以上の ように多岐にわた り実践が積 み重ね られている・
グループ ・アプローチの中で、本稿で扱 うマザー グルー
に初めて実施 されて以来多 くの実践 と研 究が積み重ね ら
(3)
- 7
2-
人 間 福 祉 学 科
れて きている (
村 山他 1
991;
村 山,
1
993;
野 島.
坂 中,
1
997).
シ リテ一 夕- として グループの責任 を取 るこ とがで きた
ロジャース (
1
97
0) は、エ ンカウ ンター グループの 目的
とい うことも挙げ られるであ ろ う。
を 「個 人の成長、個人間 コ ミュニケー シ ョン、お よび対
4.
主 なメンバ ー
人関係 の発展 と改善」 とし、エ ンカウ ンター グループの
効果 を 「
心理的成長促進効果」 と呼 んでいる。
本稿で取 り上げるマザー グループの主 な参加 メ ンバ ー
は以下の通 りである。
マザ ー グループの グループ形態 として、多様 なグルー
A (
31
歳。 1
0歳女児 と4歳男 児 の母親。離婚歴 が あ り女
プ ・アプローチの中か ら継続的 な非構 成的エ ンカウンタ
児 は前夫 との子。男 児 は現 夫 との子。 第三子 を妊娠 中。
ー グループを選んだ理 由 として、
母親側 の両 親 と二世帯住宅 で 同居。 男児 を連 れて来所 。
1回欠席。)
① フ アシ リテ一 夕-は リー ダー シップを とらない ことが
B(
3
0歳。4歳幼稚園児 と2歳男 児の母 親。
-男児 を連れ て
特徴 であるため、情報化社会のマニュアル世代 と言われ
来所。 1回欠席。)
る現代 の母親 に他か ら与 え られた正解 で はな く、 自分 自
身で 自らの "
正解 "に.
気づ いてい く場 を捷供す ることが
で きる。
`
C(
29歳。4歳 と2歳 の女児の母親。看 護婦 免許 を もって
いるが現在 は専業主婦。姉妹 を連れて来所。全 回参加。)
t
D (
31
歳。 4歳幼稚園児 と3歳男児の母 親。男児 を連れて
② メ ンバー同士 の相互作用が活発 に起 こる形態であるの
来所。2回欠席。)
で、普段 トラブルを未然 に防 ぐことに神経 を使い、衝突
E(
32歳。 3歳女児 の母親。 女児 をつ れて来所。 妊娠 を
,
を避 けが ちで ある母親 たちに、「今 ・こ こ」 での 自分 を
きっか けに退職 したが今で も仕事 に未練 を持 ってい る。
他者 にス トレー トに伝 える経験 が促進で きる。
2回欠席。)
③ 上記 の 「
心理的成長促 進効果」 に よ り、母親 が成長
F(
3
6歳。 7歳女児 と5歳女 児 と2歳女 児の母 親。母子 で
す るこ とは、子 ども-母親間における関係性 の発達 を促
通 う幼稚 園へ次女 を通 わせ ている.
。次女 と三女 を連れて
進す る ことにつ なが る。
来所。2
回 欠席。)
④ 集 中型 は効果的であ るが、宿泊 を伴 うか又 は長時間
にわた るので小 さな子 どもを持つ母親 に とっては参加す
開始時点 では他2名の参加 申 し込みがあったが、 この2
るのに困難が多 い。
名は欠席が 多か ったため、本稿 では上記 6名 につ いての
経過 を中心 に検討す る。
以上四点の理 由が挙げ られる。 その他 に筆者 自身が土 ン
各回の参加者 を表 1に示 した。
カウ ンターグループの トレーニ ングを受 けてお り、 フア
秦 - 1 各回の参加メンバー
回数
#1
#2
#3
#4
#5
人数
7
-5
4
4
5
参加メンバー
ABCDEF他1
ABCDF
ABC他 1名
BCDF
ACE他 2名
5.
分析 方法
グルー プの経 過 を概 観 し (
青 野,
2001
a)、 グループの
A
○
○
○
○
B
○
○
○
・○
C
○
○
○
○
○
D
○
○
○
E
○
○
F
○
○
○
グル ープの経過
1
.
グループ全体 の過程
中で と くに積極 的な動 きのあった メ_
ンバ ーについて、実
#1: (
参加者7
名。) フ アシリテ一 夕- (
以下FA-筆
際の グループでの言動 ・他の メ ンバーへ の関わ り ・フア
者)の 自己紹介。 グループには予め設定 された 目的や課
シ リテ一 夕-へ の関わ り ・子 ど もとの関係性 とい う4つ
題 はな く、 メ ンバーの 自由なや りと りを大切 に してい く
の観点 か ら分析 してい く。
ことを説明す る。FAの捷案 で メ ンバ ーの 自己紹 介 と参
加動機 につい て。 B 「
仕事 を していたので この ままでい
いのか とい う焦 りもあ ったが、今は落 ち着いて 1
0年 ぐら
(4)
青野 ・松 島 :マザーグループにおける関係性 の発達
- 7
3-
いは子 どもとべ った り過 ご したい と思 う。4
0くらいか ら
ンバーか ら出 して欲 しい と提案。A 「
公園デ ビュー とい
」C 「フ リー トー クでみんな
自分育 てを してい きたい。
う言葉 に惑わ されている感 じがす る。 ここの親子教室で
」
のいろんな意見が聞けた ら嬉 しいな と思 って参加 した。
は言いたいことが言 えるけ ど地域 では難 しい。皆バ リア
E「
妊娠 をきっかけに仕事 をやめたが今で もその ことに
母親同
を張 っている ように思 う。皆 どうしてる ?」D 「
未練 を もってい る。子 どもと二 人でいるの も しん どい。
士で年代層の違いがある。学校 とか企業 にいた頃の人間
ママ友 を作 って出かけるタイプで もない。 ここの親子教
関係 とは全然違 う難 しさが ある。」育児サ ー クルな どに
室 に参加 して気負いな く専業主婦 を している人たちに出
興味はあるが地域 での繋が りを深めてい くのが大変 とい
会い、少 し楽 になって きた。
」A 「仕事 をや めて焦 って
う話。D 「ここへ行けば何 か して くれる とい う他人任せ
いたが、子 どもと居 られる時間は今 しかない と思 い、今
」A 「育児サ ー クルを実際 に立 ち上げた人
の人が多い。
」F 「次女 とともに週 に1度母子で通
は子育てが楽 しい。
の話では預か って くれるのか、資格 はあるのか等の問い
う幼稚園に行 っている。いつ も同 じ仲間 といるので違 っ
合わせが多か ったそ う。 自分 もやってみ ようか とも思 う
」一通 り自己紹介が終
た場所 も体験 した くて参加 した。
がいろいろ迷 う。バ イ タリテ ィもって どん どん子育て も
毎 日子 どもに早 くしなさい
わる と沈黙。照 れ笑い。A 「
」B
や ってい きたいけ ど、仲 間が集 ま らない と難 しい。
と叱 って しまう。 ひ どい親だ と思 う。
」D 「人の子育て
「
地域 の公園で育児サー クルに参加 したけ ど、 自分の思
の話 を聞 くといつ もいいな一、真似 しようってゆ らゆ ら
いが空回 りして うま くいか なかった。一人で背負い込む
して しまう。マ ンシ ョンのお母 さんたち とも子育ての考
ような ものはやっぱ り違 うと思 うし、一旦手 を引いて ま
え方が違 って戸惑 う。子 どもの喧嘩 をどう止めていいわ
た別 な形で何 か してい きた い と思 ってい る。
」C 「自分
か らない と言 って傍観す る人がいてびっ くりした。その
は リー ダー シップを取 る方 じゃないので引 っ張 る人に付
お母 さんに どう伝 えていいか わか らず迷 っている。
」B
いて行 って意見 を言 った り手伝 った りす るのはで きるけ
「自分は5人兄弟で育ったので トラブルの解決 は身体で覚
ど、中心 となるのは無理 と思 う。周 りに もそ うい う人が
えている。だか ら自分の子の喧嘩 もなるべ く手 を出さず
」F 「私 は年がいっているので世
多 いん じゃないか な。
に見ている。痛 い思いを した方がいい と思 う。ただ相手
代間のギ ャップがあって、やっぱ り近所づ きあいは希薄
」D 「子 どもを見
の親が嫌 と思 いそ うな ら止めている。
になる。 もっ と仲良 くなれれば とも思 うけ ど、入 り込ん
ていない親が多 くて心配。
」A 「今の子.
は痛 い思 い とか
だ ら怖 いか な とも思 う。
」C 「自分では子 どもとず っ と
いろんな経験が少ない と思 う。 トラブルになる前 に親が
遊んでいるつ も りだったけ ど、今か ら思 うと別の ことを
止めす ぎじゃないか と思 う。 うちの子 も トラブルが多い
考えなが ら一緒 にいたなあと思 う。人か ら見た らどう見
方だったが、少 しずつ手加減 を覚 えて きた ように思 う。
えるかわか らないけ ど、 これでいいのか なってい うのは
子 どもの喧嘩で親が代わ りに仕返 しす ることがあ り、そ
」D 「毎 日子 どもと一緒 にはいるけ ど、生
いつ もあ る。
れには驚 いた。
」E 「うちの子 はお とな しいが 、いつ も
活のスケジュールに追われていて本当にゆっ くり話 を聞
何かある と '
'
お まえのせいだ'
'と言 う友達が いて親がそ
」A 「私 は長女で育 っ
いてあげるっ てい うこ とが ない。
」A 「その場 で両方の話 を
う言 っているのか な と思 う。
たか ら親に甘 えきれない。 自分の娘 に同 じ事 を している
」E 「うちはいつ もい じめ ら
良 く開 くこ とも大切 か な。
ん じゃないかな と思 う。離婚後二人で生活 していたこと
れる方 なの●
で絶対 に目は離 さない。喧嘩 に親が入ること
もあるか ら `
`
強 くなれ'
'と育てて きたか もしれない。話
」B 「自分 は小
です ご く大 きな問題 になるこ ともあ る。
を聞いてや って いない。娘 には指示 しか していない と思
学生の頃い じめ を経験 したが、それ も親があの子 と遊ぶ
う。娘 はア トピーが ひ どいけ ど、その薬 を塗るの もスキ
な と言 い始 めたの きっかけだ った。
」p 「子 どもが トラ
ンシップか なと最近思 う。凄 く厳 しい母親だけ どこの ご
ブルを起 こ した ときに親が どう受 け止めて軌道修正す る
ろち ょっ と考えることも多い。大 きくなるとだんだん話
」B 「親子 でべ った りす る機会が多い
かが大事 と思 う。
を しな くなるか ら話せ る関係 を築いてい くのは大事 と思
か ら、親の世界 と子 どもの世界が ごちゃごちゃになって
う。 自分 の親 に ももっ と甘 えた ら良か ったな。
」B 「今
」
しまう。 もっ と大人だけの時 間が欲 しいな あ と思 う。
か らで も遅 くない と思 うよ。
」A 「今 は親が弱 くなって
C 「親同士が もっ と話せ るようになれば、いろんなこと
きていて、自分が相談相手 になる関係 にはなれる と思 う。
が うま くい くようになるのか なあと思 った。」
娘 には厳 しいだけの'
お母 さんを崩 してい こうと思 うけ ど
難 しい。息子 と違 って娘 は 自分の分身の ような気が して
#2: (
参加者5名)前 回、 テーマ を決めて は どうか と
いて、無理や りして しまうごとがあるか な。
」FA<起 こ
Aよ り、 テーマはメ
い う感想があ った ことにつ いて。 F
私 もお姉 ち
って くる気持 ちが違 うので しょう・
か。 >D 「
(5)
- 7
4-
人 間 福 祉 学 科
\
やんには きつい と思 う。何か 自分の嫌 な ところを見てい
で良かった と思 うか ら子 どもも叩 く。夫 もそれでいい と
るようで、それを正 しているような気持 ちになる。一つ
思 っている し。
」A 「うちは叩かない家庭 で育 ったけ ど、
で きた ら次 は これ した らと言 って しまう。 しん どいやろ
下の子 は初めての男の子です ご く乱暴 だか ら、他の子 を
うな と思 う。私 は高校 1年の冬 に父親 を亡 くして、母親
怪我 させそ うになった ときは叩 くようになった。無意識
が倒 れ まい として頑張 っているのを見て育 った。母親は
の うちに叩 ぐ癖がつ いて しまった。自分で もはっ とす る。
自分の叶 え られなかった夢 を私 に託 しているのがわかっ
FAは どうですか。
」
ー
FA<今 のお話 を聞いている と、相
たか ら、それに応 えようとしたし
もしか した ら自分 も
手のお母 さんに対 しての気持 ちか ら叩 いているのかな と
母親 と同 じ事 を してるのか もと今思 った。それを苦痛 に
い う気が しました。 >A 「
相手のお母 さんに よって見 て
感 じさせ ない ように したい。
」F 「うち も娘が3人いるけ
い られ る範 囲が変 わ るの はあ るな あ。
」B 「娘 の友達 は
ど、長女 は私が下 には甘いよと言 う。 上 の人に対 しては
一人っ子が多 くす ぐ親が入 って 自分の子 を叱 る。私は放
しっか りしな さい とい う気持 ちがやっぱ りある。思わず
ってお きたいけ ど、その グループにいる限 り叱 らない と
期待 を して しまう。個性があるか ら親の思 いを押 し付け
いけない ような無言のルールみたいな ものがで きていて
て はだめ と本 に書 いて あ るめで、いけ ない とは思 うけ
窮屈 。
」Aが 、娘が い じめ られてい る話 を し始 め る。 A
ど。
」B●
「私 は皆 さん と逆 で上 の女 の子 が かわい い。 ど
「
転居 してか らい じめにあっている。今の地域 は閉鎖 的
」C「うちは女の子二 人だけ ど上 は怒 る事
う してか な。
で入 りに くい。子 どもはす ご くしん どそ う。
」B 「私 も
が少 ない。夫 は子 どもにいろいろ期待 しているけ ど、私
昔 い じめにあった。兄弟が多かったか ら救 われた。学校
はあ ま りしない。私は一度事務 をやっていて事務がで き
では誰 とも話 さず、家で遊 んだ。 中学校でいい友達がで
ない と思 って看護婦 になったので、挫折 もいいか なと思
きたか ら良かった。 も.
し自分 の子がそ うい う目にあった
っている。」
」A 「B
ら、転校 しようかって言 ってあげ られ ると思 う。
さんがそ う言 って くれて、
す ご く私は救 われる気がす る。
#3: (
参加者4名)C「
今 まで2回いろんな意見が開け
自分 にはそ うい う経験が なかI
ったか ら、Bさんの話 を聞
て良か った と思 うけ ど、 こうや ってか しこまる と何 を話
かせ て も らって娘 の気 持 ちが わ か る よ うに思 う。
」B
せ ばいいのか な と思 った りす る。F
Aか らの意見が開け
「
その頃 は頭 の中で理想の友達 を作 った りしてた。便所
る と思 っていたので。
」FA<期待 されていた ものは どう
呼び出 しとか、閉 じこめ られた り、びんた とかいろいろ
何か話題が あ ってF
Aか ら答
い う もので したか。 >B 「
あった。地域 の友達 だけが全 て じゃない と思 うと安心で
」FAは 1メ ンバー
え じゃないけ ど何か もらえるのか と。
きた。 自分 もいろいろあって大 きくなって きたけ ど、子
として参加す ること、何か聞 きたい ことがあれば、その
育てって 自分育てだ と思 う。 自分 も成長 しない と子 ども
娘が話 を
都度訊 いて貰 って もいい ことを確認す る。A 「
」A 「母親が広 い世界 を もたな
も成長 しない と思 う し。
あ ま りしないので不安。いつ も早 く早 くと急 き立 ててい
い と、子 ど もも広 い世界 に行 け ない ような気 がす る。
」
るが、そ うす る と自分で 目標 を持 たない子 になる とい う
Aが 、離婚歴があることにつ いて話す。A 「信 頼が な く
プ リ ン トを学 校 か らも らって、そ うだ な あ と思 った。」
なって しまった。存在 自体が嫌 になって しまった。子 ど
B 「うちは親が だ らだ らしているか ら娘 は 自分で起 きて
もが笑わな くなったので離婚 した。別れてお互い幸せ に
自分で幼稚 園の準備 をす る。」 メ ンバ ーか ら羨 ま しい と
なれた と思 う。再婚す る ときは娘 に決めて もらった。 よ
言 わない と絶対 に しないか ら全部親
い う声が 出る。 C 「
く友達か ら離婚の相談 を受 けるけ ど、少 しで もここが好
が してい る。幼稚 園 に行 けるのか な あ と思 う。
」B 「自
きと思 える ところがあるのな ら、頑張 ってみた らって言
分でで きるようになったな と思 った時点で任せていった
」FA<お話 を伺 っていて、お母 さん も自分の
っている。
のが良か ったのか な あ。
」A 「今か ら思 えば反省点 山ほ
人生 を選択 しなが ら .
"人生 って こうや って生 きるの よ"
ど。娘 はマ イペ ースな人。私はイライラす るか ら性格が
って子 どもに見せていってい るような気が しま した。 >
違 う。」B 「
似 ていて もイライラす る よ。 自分 もお しゃ
べ りなのに娘 に うるさいって言 って しまう。気分の波で
#4: (
参加者 4名)C 「
長女が絵 で黒 ばか り使 うのが
」A 「親 も人間だ
怒 って しまう。 だめな母親だ と思 う。
心配。黒 ばか り使 う子 は心 に何 かある とか よ く聞 くので。
か ら感情 を出す の も七 万 ないのか な。
」B 「子 どもは賢
顔 も笑 って い る顔 を描 か ない。 どうなんで し ょうか。」
いか ら空気 を読み取 る と思 う
。
自分では これ以上 した ら
FA<他 に何 か心 配 な こ とはあるんですか ?>C 「特 に
」A 「叩
虐待 になるわ と思 って怒 るのや めた りして る。
は何 もないんです け ど。上の子 には我慢 させているか ら
くのは どうして る ?」B 「自分 は叩かれて育 って、それ
か と思 う。下 の子 中心 になって しまっていたか と思 う。
(6)
青野 ・松 島 :マザー グループにおける関係性 の発達
- 7
5-
知人 に表情が ない と言 われた。
」B 「子 どもの絵 は どん
イライラす ることの方が子 どもに良 くない と思 って、こ
どん変 わって くる。子 どもって毎 日 くらい変 わる よ。
」
れか ら 10年 はキ ャンプ と思お うと割 り切 ってか らは楽
Bが下の子 とのエ ピソー ドを話す。ち 「ジュースを自分
」C「子
になった。 で もそれ まで は凄 くしん どか った。
㌔
どもは自分が ここが限界 と思 っていたことを、 ビーつて
●
広げて くれるね。」
で入れ ようとして こぼ して、その ときひ ど く叱 った ら、
す ご く反抗 して性格が変わって しまった。全然言 うこと
をさかな くなって、夜鳴 きもひどくなって しまった。怒
り過 ぎたかなと反省 してる。私 に怒 られる夢 を見て泣い
#5:
.(
参加者5名) E 「子 どもが今す ご く反抗期 でひ
」C「うち も下 の子 は上 の まね を して何
ている と思 う。
どい ときには足 を踏み鳴 らして怒っている。私が怒ると
で もや りたが っては怒 られて る。
」D 「うち も一度 ひ ど
今度はそれが 怖い と言 って泣 く。 2歳 くらいの ときは一
く怒った とき凄 い夜泣 きをした。 子 どもな りの言い分が
緒 にキ レて一
一緒 に泣 いた りしていた。
.最近 は少 し自分の
あるのを抑 え込 んで しまったのかな と思 った。その時近
」A 「周 り
方が コン トロールで きる よ うになって きた。
所のお母 さんが助け舟 を出 して くれた。 ち ょっ と離れて
に大人が多かったか らもあるん じゃないか な。 うちも上
みる ?と言 って何時間か預か って くれて気分転換 を して
の子がそ うだったd子 ども同士の関わ りの中で勉強 して
」C「子 どもに、 どうなった ?って い うの を聞
くれた。
いてあげた らいいんだろ うね。
」B 「自分の 中で も下の
け どここか らはだめ とい うの を何度 も繰 り返す しかない
子は どこか赤 ちゃんみたいな ところがあるのかな。今 日
」E 「自分 と夫で も基準が違 うし、祖 父
のか な と思 う。
」F 「うち も下の子 は よ く上
はここで遊べ て嬉 しそ う。
」A 「うちは祖 父母 は子
母 とは もっ と違 うか ら疲 れ る。
に怒 られている。夫 もあ まり気 に しないのでだんだん許
育てに関 しては夫婦 に任せ て くれている。そ こは楽 なと
容範囲が広 くなって、だか ら家の中は ぐちゃ ぐちゃだけ
ころか な。
」E 「自分で も今が一番大変 な ときか な とは
ど結構親 も楽 しんでいる。 自分では的 を射て怒っている
思 っているけ どしん どい。何で もす ぐ泣 く。泣かれる と
つ もりだけ ど、それが理詰めになって くる と子 どもたち
には応 えるみたい。そこにお父 さんが登場す る と、私 も
」C「私 は子 どもが泣 いて
責 め られて いる気分 になる。
●
もあ ま り気 にな らない。放 っておける。
」E 「放 ってお
」B 「夜子 どもの寝
子 どももお互 い助 かった あと思 う。
くと自分で も何 を泣 いて い るか わか らな くなって きて
顔 を見てか らち ょっ と今 日は怒 ったなあ、だめな母親だ
"
お母 さん、 ごめんな さい'
'って泣 く。 そんなこと言 わ
ったなあと思 う。明 日か ら頑張ろ うと思 う。娘 は食事が
れると虐待 してるみたいだか らやめてって また替って
し
′
遅いのが心配占何 とか してや りたいのが今の課題. ゆっ
まう。それで半 日けんかになったこともある。
」A 「
Eさ
」C「私 も私 自身が好 き
た りした母親 にな りたいけ ど。
んは優 しい よね。 うちは泣 いてて も放 ってる。そ した ら
」D
嫌 いが 多 いか ら、 食べ られ ない気 持 ちが わか る。
」E・
「一度 そ ろそ ろ大丈夫か な と思 って
あ きらめて る。
「
毎 日ご飯 をきっち り食べ させ るために必死 になってい
夫に預けてパー トに出 ようと思 った ら、 3 0分で手がつ
る。 時 間 との戦争。負 ける もんか と思 って ?
」(隻) D
け られないか ら帰 って きてって電話があった。 これはだ
「うちの子やる気がない。何で もやって、や って と言 う。
めだ と思 った。
」A 「今 はそ うで も、絶対離れてい くん
自分がで きないことを許 されない。 こっち もイライラ し
」E 「そ うだ とは思 うんだけ ど。幼稚 園大丈夫
だか ら。
てつい、へ た■
くそ とか言って しまう。何か一つ達成 させ
ヽ
ようと した ら凄 く大変。
」C「うち も上 の子 は何 で もど
」子 どもの怒 り方 につ いて。C「怒 られて
か な と思 う。
うした らいいか きいて来る。下の子 は.
tにか く何で もや
」E 「うちはその逆か
私が怒 る と凄 くシ ョックみたい。
ってみ る。
」F 「上の子 って しくじった経験 があん ま り
」A 「怒 る とき
な。お父 さんの こ とを友達 と思 ってる。
た らそれに慣 れて くるみたい。 うちは夫が怒る役 なので
ないか らかな と思 う。下の子 はいつ もで きないことに慣
で も一方が フォロー した り、お父 さん との役割交代が大
れているか ら。だか ら同 じ療境 で育てたつ もりで も性格
」Cさんはのんび り子育 て している
事 か もしれ ないね。
が全然違 う。
」B 「今の話 を聞いてい る と、 うちは従兄
と思 うとい う意見が出る。C「あん ま り子 どもの こと気
弟が多いので上の子 も昔の長屋みたいな状態 で操 まれて
にな らないのか な。で も下の子が小 さい ときはずーっと
育 って る。夫 とも恵 まれて る よな あって言 っている。」
抱 っこで本 当に大変だった。上の子 も保育所 に慣 れず に
D 「よその子 だった ら気 を使 うけ ど従兄弟が 多い といい
」C
の保育所の話か ら、
しば らく親 も一緒 に通 ってた よ。
」F 「うちの上 の子は学校で もか しこ まっている。
よね。
Eが 自分が営業職 として頑張 って仕事 を していた頃の話
なるべ く早 め に挫折 を経験 しておいて欲 しい な とも思
をす る。
う。私 自身 も始めはいろいろ格好が気 になっていたけ ど、
(7)
- 7
6-
人 間 福 祉 学 科
#6: (
参加者5
名)子 どもにいろいろ・
な体験 をさせた
話す と絶対 に違 う話がで きていい と思 う。普段 決 まった
いけ ど具体的 に何 をすれがいいのか とい う話。B 「
味覚
友達 と話 していると考え方 も似通 って くるけ ど、違 う場
」C「動物 を飼 いたい
狩 りな ど親子 で よ く行 っている。
」
所 に出て来 ることって大事だなと思 った。
け ど無理なので、植物 で もと思 うけ ど、ベ ランダも狭 く
2.
メンバーAのクループでの様子
て難 しい。」公 園の砂場 さえ小動物の死骸があった りし
て不潔でなかなか触 らせ られない。B 「昔 は近 くに原っ
4つの側面か ら見たAさんの経過 につ いては表2に示す
通 りである。
ぱがあって公園なんかな くて もそこで何 で もで きた。今
は原 っぱが全部 ガ レー ジになって しまった。
」Aの子 ど
犯人探 しをす
もの物が学校で失 くなった とい う話。A 「
考察
るつ も りはないけ ど、 もし取 った子がわかっているなら
1.
メンバーAの グループ経過 か ら
その子 にはちゃん と話を して欲 しい と思 った。で も先生
前述 の通 り、Aは31
歳で 1
0歳女児 と4歳男児の母親で
は変に親に気 を使 って何 も言わなかったか ら余計 にこじ
ある。一度離婚歴があ り女児 は前夫 との子で男児は規夫
れた。先生す らも戸惑 っているのが ひ しひ しとわか っ
との子である。第三子 を妊娠 中であ り、母親側の両親 と.
」B 「私 も自分がい じめ られた とき、先生が味方で
た。
二世帯住宅で同居 している。男児 を連れての来所であっ
はなか った。一 人で戦お うと思 った。」 ひ きこも りのテ
た。男児は相談所主催の親子教室 に も通っているため相
レビを見た とい う話。A 「
子 どもにとって居心地のいい
談所 と保育室 に良 く馴染んでお り、 グループの部屋 に母
家庭 を作 って あ げ ない とだめ なん じゃ ないか な。
」B
親を求めて入室す ることは殆 どなかった。
#1
では部屋 の一番前方の、FAに一番近 い席 につ き、
「で もそ うやって頑張 りす ぎるとまたお母 さんが疲 れる。
頑張 る ときもあればだめなときもあってそ うい うのを隠
はきはきと身振 り手振 りを交 えて話す様子が印象的であ
さず見せ ていけばいいん じゃないのか な。
」C「本 なん
った。見るか らに有能でエ ネルギ ッシュな感 じのす る女
か にこ うい うときはこ うす ればいいって書 いてあるけ
性 で、現在は専業主婦であるが仕事 を辞めてか らはこれ
ど、 うちの子にはそれが ぴった りこな くて居心地悪い思
でいいのか と焦 っていた と話す。今は子育てが楽 しい と
いを しているか もしれな くて、や っぱ り自分の子 を しっ・
言いなが ら、 グループが進む と他の メンバーの話 を聞 き
」A 「いろいろあって
か り見 ない とだめだなって思 う。
なが ら自分は子 どもを叱ってばか りの ひどい母親である
大変な世の中だけ ど、や っぱ り強 く育てる しかないかな
と、子 どもや母である自分に対す る両価的な感情 を語 る。
と思 う。 どの くらい守 って どの くらいや らせ るか、その
メ ンバー との関わ りにおいては優等生的な態度が 目立
バ ランスがす ご く難 しいけ ど。
」 グループに参加 してみ
ち、誰かが話す と応答することが多いが、 自分の経験か
知 っている人が多いのに、最初 はす ご く緊張 し
て。B 「
ら話 し始めるためグループに対 して促進的な発言になる
たの を覚 えてい ます。今 日はとて もリラ ックス して話 し
ことが多い。 自分の話 をす る ときはFAを見なが ら話す
ていてそれ も成長だったかな と思 い ます 。
」A 「プライ
ことが多 く、FAが うなず きなが ら聞いていることで安
ベー トな話 をいっぱい聞いていただいて、す ご くす っき
心 して話せているようであった。
#2では、FAに対す る依存欲求が メ ンバーの中か ら表
りしま した。皆 にた くさんパ ワー もらった し、これか ら
ももう一人産 まなきゃいけない し、がんばろって思いま
出され、何か話題 を提供 して欲 しい、答が欲 しい という
」E 「自分で口に出 して話 した こ とで、そ うか私
した。
意見が出 され る。FAが テーマ はメ ンバーか ら出て くる
はこうい う風 に思 ってるって 自分のことが 自分で再確認
もの に意味がある と思 うと伝 える と、Aは真 っ先 に育児
で きるんだなと思 った。普段の雑談では、私はこう思 う
サー クルにつ いての話題 を提供 し、 ここで も優等生的な
」C
の よって い う話 をす る こ とは少 ない と思 うか ら。
態度が見て取 れた。 しか し話題q
)中心 になってい くこと
「自分の子育て とい うのは どこが 間違 って るかはわか ら
でだんだん と自分につ いて語 り始や、長女 との関係 と自
ない し、悩 むことはす ご くある し、こうい う場でいろん
分 と親 との関係 を対比 して考 える。 ここではBが合いの
な人の話 を聞いて、自分 も迷ってることを、皆 は どんな
手を入れ、 フアシリテ一 夕-の ような役 をし始める。
」●
F「
最 初はす
風 に しているかがわか って安心 で き・
た。
#3では、前 回の続 きの ように、 さらにAが 自分の話 を
ご く緊張 したけ ど、いろいろお話 してい くうちに結構突
深めてい き、Bはそれ に対峠 す るように応答 してい く。
っ込んだ話で も、深い話がで きたのでそれが良かった と
Aの長女の話か らBは 自分がい じめ られた体験 を語 るこ
思 う。 いつ もな ら子 どもが一緒 なので、子 どもには聞か
とがで き、AはBの話 を開 くことで長女 に対す る理解 を
せた くない話 もある し、 こうやって母親だけで集 まって
深める経験がで きたようである。離婚歴についての話 を
(8)
- 7
7-
青野 ・松 島 :マザー グループにおける関係性 の発達
秦 - 2 Aさんの経過
回 数
クやルーフ○での言動
他 のメンハ;
l-- の
関わ り
FA - の
子 ども との
関係性
る「
仕事 を辞 めて焦
自分 の経 験 か ら話
Aを見な
ときには F
い う気 持 ち と叱 つ
つていた.
子 育てが
し始 め る.
メンハ〇一の
が ら話 す こ とが 多
て ば か りで ひ どい
関わ り.
#1 一
前」
方「
の席
に座 ルバー
の話答
を受
けて
A
が楽
楽番
しい
ひ どい親
問 い に応
する
よ F
し
ヽ の随 に座 り話す 子
親育
だて
と思
う しい
とい と
う
#2
か
ど と思
ら語
も との経
る
験の中
だ
う」自分の子
うな印象
難 しいo育児 サー ク
ての B の応答 に助
気持 ちを話す
が 出す とい う提 案
と 自分 と長 女 との
ル を 立 ち 上 げ た け られ て長 女 との に対 して す ぐに話 関係 を照 ら し合 わ
「
地 域 で の 関係 が 親 との 関係 につ い F
A の、テーマはメンバ- 自分 の親 との 関係
いo
関係
について話す
」、長女
自分 の親
との関係
との
関係
く に気 づ い て い 題 を提供 す る
せ て考 える
.
てい ること、自分 が
りを通 して 自分 と す ときは F
Aを見つ
て 長 女 の気 持 ち を
離 婚 した こ とに つ
長 女 との 関係 と離
めで話す. F
A か ら 垣 解 す る経 験 をす
他
いて話す
のメ
かぜ
ンバー
で欠席
に対す る 婚
話す
主に
の経
につ
いて F
E験
に対
して応
も応答す
A の方 はあま
る
り見
メ
る
ンバーに助言す る と
応 答 が 多 くな り 自 答 した り助 言 した ず話 してい るルバー き に 自分 と子 ど も
分
ない.
る発言
自分
の話
の子
話題
もある
は育
あ
をて
ま を話
とめ
りし メ
りする
ンバーの話を受
こr
tが多けな
い
参
増
を克
加
える
の感
て話想
す を言
こ とが
う 係
との
を話す.
同
じよ
ク
や
ル
うな
関
長
話
つい
女
のて気づ
の
中い
で
叱
じめ
く
り方
-7
を話
○の
に
す.
9°ル-7○で 自分 の
が ら も 自分 の子 育
ときだ け F
Aの顔 を 題 に しな が ら も答
話 を した こ とで 第
て につ い て の 意 見
見て話す
●
(9)
を求 め るの で は な
- 7
8-
人 間 福 祉 学 科
す る ときはFAの 目を見て話す。他 の メ ンバ ーには離婚
な くともメ ンバー よ りは経験 豊富 な専 門家 であ り、 メ ン
歴のある人が いなかったためか皆黙 り込 んで応答があ ま
バーの心理 的成長 に関わるためにグループに参加 してい
りな く、FAは応答の必要 を感 じて時 間終 了時 にAに対
る。またメ ンバーの方 も初期 にはグループが非構成的で
して はっ きりとした応答 を返す。
あ るが故 に、 "
何 とか構成 して欲 しい'
◆とい うフ アシ リ
#4で は一段 落 とい う感 じでかぜ を引 いて欠席 し、以
テ一 夕-へ の依 存 度 が 高 く (
平山 1
998)、表 面 的 に は
降は主 に他の メ ンバー (Eな ど) に対す る援助の姿勢が
「育 て られ る者」と しての意 識が高い と言 える。 その意
目立 った。
味で グルー プの開・
始 時 に.
おい て は、明確 に両者 には対等
#5で はAは フ アシ リテ- クーの よ うな応 答 が 多 く、
で ない関係があ り 「育て られ る者 一育 てる者」 としての
FAが フ アシ リテ- クーの役割 を とる こ とは少 な くなっ
要素が あ る。 また:
す で に述べ た ように、 メンバ ー8
-1
0
ていった。場 の意見 をまとめる ような発言 もで きるよう
名 に対 して フ アシリテ一 夕- は1
-2
名であることが多い
にな り、それが 自分の体験 か らの意見 なので他の メンバ
が、 メンバ ーはそれぞれ心理 的にフアシ リテ一 夕- との
ーの耳 に も心地 よ く響 いている ようだらた。 Aは 自分が
「
二者 関係」 を築 いて いる と考 え られ る。 これ は保育場
長女 に対 して叱 りす ぎる とい うテーマ を初 回か らもって
面 に お け る 「子 ど も 一養 育 者 (保 育 士 )」関 係 (
蘇
いたが、 この回で他の メ ンバーの話 を まとめる・
形 で子 ど
岡,
1
99
8)や 十生徒 -教 師」 関係 と通 じる もの で はない
もの叱 り方 につ いて、 ひ とつの 自分 な りの答 を得 た よう
か と思 われ る。 ところが前述 の ように フ アシリテ一 夕-
であった。 メ ンバーの話 を聞 きなが ら連想 した こ と」
を言
が リー ダーや トレーナー と呼 ばれないの は、最終的 にフ
語化す ることで 自らも新 しい気づ さを得 ることは、 フア
アシ リテ一 夕-が メ ンバ ーの一 員 となる こ とを 目指す
シ リテ 一 夕- を してい て筆者 自身 もよ く
.
経験 す る こ と
(
Roge
r
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.
C.
R.
,
1
97
0) ため であ る
で、 グループで学ぶ こ とが多い と感 じられる ものの一つ
て られる者 一育てる者」 とい う 「
子 ども一養育者」 関係
である。
に代表 され る 「
二者 関係」 であった 「メ ンバー ーフ アシ
。
グループ開始時 は 「
育
リテ一 夕-」 関係であるが、 グループが展開す るにつれ
#6で は グループの終 了に向けて まとめ に入 ってい・
き、
自分の子育てについて声 に出 して確認す る ような発言が
で フ アシリテ一 夕- はその機能 をメ ンバ ーに譲渡 してい
行 き交 った。 メ ンバーがそれぞれ 自信 を持 って語 るよう
き、 互い に対 等に 「育 ち合 う」 関係 を 目指 して い く。
になったのが印象的であった。 Aも#5の ように援助者 に
「メ ンバ ー ーフ アシリテ一 夕-」 関係 にお いて、それぞ
徹す る こともな く、 自然 に自分 について も話 し、 フアシ
れの メ ンバ ーは、「
育 て られ る者 一育 て る者」 関係か ら
リテ- トもす る といった ス タンスであった。 グループの
「
育 ち合 う者」へ と 「関係性」 の発達 を遂 げて い くと考
中 にあ って人 と関わる場面で、 『
場』を尊重 しなが らも
える ことがで きるだろ う。
『
個』と して ひ らかれて いるこ とを経験 と して学 んだ と
Aの経過 を見てい くとFAの隣 に座 りFAに向か っ●
て話
している ような段 階か ら、だんだん とグループの場 の動
い う印象であった。
きに 目が行 き始 め少 しずつ FAへ の依 存段 階か ら自立 し
てい く様子が伺 える。 最終 回 にいたっては、AはBとと
2.
エ ンカウンターグル ープにおける関係性 の発達
もに優秀 なFAであって、FAとしての筆者の役割 はあ ま
人間の発達 には 「
個」 の発達 と 「関係性」 の発達 を考
りなかった くらいであった。
える こ とがで き、「関係性」 の発達 には 「
子 ども 一養育
者 関係」 に代表 される 「
育て られる者 一育てる者」の二
つ ぎに 「メ ンバー -メンバ ー」 関係 についてみてい き
者 関係 に よる 「由係性 」 の発達 と、 「子 ども一子 ども」
たい。 グルー プ開始時 においてそれぞ れの メ ンバー は、
関係 に代表 され る仲間関係 による 「関係性」 の発達が考
フアシリテ一 夕- との 「
二者 関係」に 目がい きが ちであ
え られ る (
青野 ・
松 島2
0
0
0
b)
.
。
った り、 自分 自身の表現や内面 に集 中 している ことが多
いが 、 グルー プが発 達段 階 を進 んでい くに従 って、「大
エ ンカウ ンター グルー プは、 この二つ の関係性 の発達
が同時 に相互作 用的に積 み重 なることで、人間の心理的
人 一子 ども間の影響 の メカニ ズム (
Damon,
1
9
83)
」であ
成長 に対 してアプローチ している と筆者 は考 える。以下
る、 フアシリテ- クーの言動 に対す る `
`
観察 と模倣"な
グルー プ経過 とメ ンバーAの嘩過 に照 ら して考察 してみ
どか ら、 自然 に他の メ ンバー をサポー トした り、 フ アシ
リテ- トす る ような言動が とれるようになってい く。 グ
たい。
まず 「メンバ ー ーフアシリテ一 夕-」 関係 につ いて見
ルー プが進 む に従 って、互 い に対等 な仲 間関係 で あ る
てい きたい。エ ンカウ ンターグループにおけるフ アシリ
「メ ンバー ーメ ンバ ー」 関係 にお いて は、互 い に他 の メ
テ一 夕-は世話 人である と同時 に、 グループにおいて少
ンバーの成長 をフ アシ リテ- トす るようにな り、 フ アシ
(
1
0)
青野 ・松 島 :マザーグループにおける関係性 の発達
- 7
9-
リテ一 夕一に 「育て られ る者」 か ら、他 の メ ンバ ー を
レスをためて しまった り、急激 に表現 しす ぎて場 を壊 し
「育てる者」へ の関係性 の発達が進 んでい くといえるだ
て しまった りす る例 は一般 的 に よ く見 られ る こ とであ
ろう。
る。何 もか もが操作性 を追求 し、 よ り早 く、 よ り簡便 に
ー トされた りFAとの関わ りを通 じて他の メ ンバ ーをサ
もの ごとを進 めることこそ をよ しとす る現代 において、
人間関係ほ ど "
操作'
'しに くい ものはない と言 えるか も
ポー トした りで きるようになってい く様子が伺 える。
知れない。
●
Aの他の メ ンバーへ の関わ りを見てみて も、Bにサポ
L
でな
ここで注意 したいのは、Aは援助者であるばか り
前述の ように、・
現代の母親たちは自身の能力や個性 を
く、他の メンバーをフアシリテ- トしなが らも自分 もグ
伸ばす ことを周囲か ら要請 される中で育ち、子 どもを産
ループに対 して開かれてお り、 自分の体験 や気づ さをも
むやいなや今度は一旦 自分の能力や個性の追求 を全て置
って向 き合 うことで また新たな気づ きを得ていることで
いて子育てに没頭 し、良い母親になることが求め られる。
ある。 これが 「
育ちあ う」関係性 であ り、一方が与 え続
その生活環境 の変化の中で、周囲 との対人関係 も大 きく
け一方が享受 し続ける関係 との違いである と筆者は考え
様変わ りし、今 まで体験 を積 んで きた "
子 どもとしての
る。
自分'
●や、 …
学 生時代 の 自分"、●
`
社 会人 と しての 自分"
この ようにエ ンカウンター グループにおいては、「
子
だけでは対応 しきれ ない、`
`
母親 としての 自分"の人間
ども一養育者関係」 に代表 され る 「
育て られる者 一育て
関係でのあるべ き姿 を求めて、戸惑 うことがあって も不
る者」 の 「二 者 関係」 に よる関係性 の発 達 と、 「子 ど
思議ではないはずである。そ して母親が今 までの 自分 に
も 一子 ど も」 関 係 に 代 表 さ れ る 「仲 間 関 係 」(中
母親 としての 自分 を統合 してい く過程 に まつ わ る不安
谷,
1
98
8,
1
9
89,
1
991
) による関係性 の発達が、 グループの
や、 うまくいかない対人関係での葛藤は一番身近 な存在
展開に従 って同時に相互作用的に積み重 なることで、人
であ る子 ど もとの関係性 にす ぐに反映 され る と思 われ
間の心理 的成長 に対 して アプ ローチ してい る と思 われ
る。増加傾 向にある子 どもの虐待 はこれ らか ら生 まれる
る。集中的な時間制限法であ りなが ら、 またそれである
現象の一つ であろ う (
青野 .
2001
b)。虐待 までいかず と
がゆえに、エ ンカウンター グループが参加者 に、後の生
も、母親が 自己を表現 で きる開かれた人間関係 をもたな
活の指針お よび行動特性の岐路 につながる 自己認知の変
いために、 自分の個性や能力の追求 を子育てに求め、子
Roger
s
,
1
970) とい う大 きな影響 を も
化 を生 じさせ る (
どもへの評価 を自分の評価 と考えることな どか ら子 ども
た らす可能性 を秘めているのは、以上の ような関係性 の
発達 を参加者が短期間で集中的に体験す るか らではない
エ ンカウ ンターグループは、決め られた安全 な枠の中
か と考え られる。
で三者以上 の対 人関係 を実際 に体験 してみ る場のひとつ
であ る ともい える。 そ こには前述 の とお り、水面下 に
3.
子 ども との関係性の発達へのアプローチ
FAとの二者 関係 も存在 し、それが もう一つの守 りで も
あ り、 またFA- の依存 か らの 自立 はグループ内での メ
心理療法 における継続面接が有効であるの は、面接室
で起 こる二者関係の発達が クライエ ン トの現実場面に も
ンバー全員の発達課題で もあるのである。
影響 を及ぼ し、 クライエ ン トが カウンセ ラー との由係性
マザーグループで母親が FAとの二者関係 における自
の発達 を体験す ることで、 自身の現実の対 人関係での関
立 と集団の中での 自己表現 とい う二つの経験 をす ること
係性 をも育てることがで きる ようになるか らではないか
は、現実場面での一番直接 的な対人関係である子 どもと
2001
a)。 そ うであ る と仮定す る
筆者 は と考 える (
青野.
の関係 に少 なか らず影響 を与 えるはずである。
と、エ ンカウンターグループにおいては三者以上の関係
グループの経過の中でみてみる と、Aは初回では子 ど
について同 じ事がお こっている と言 えるので はないだろ
もに対す る両価的な感情 を語 っていたが、最終 回では長
うか。
女の問題 も含めて引 き受 けてい く印象が ある。Bは 自分
筆者 は心理臨床の場面で、子 どもに も成人に も二者関
のい じめ られた体験 を語 り、「自分 もいろいろあって大
係 と三者以上の人間関係の間でのつ まず きを感 じさせ る
きくなって きたけ ど子育て って 自分育てだ と思 う。 自分
事例が多い と実感 している。実際面接 を していて も、面
も成長 しない と子 どもも成長 しない と思 う。」 と話 して
接者 との二者関係 は うまくとれて も現実場面の集団には
いる。
中々入 っていけない クライエ ン トもいる。病 的ではな く
グループでの発言 にあった
ように 「
親子でべ った りす
一
現実適応 している人の中にも、集団の中で うま く自己表
る機会が多いか ら、親の世 界 と子 どもの世界が ごちゃご
現す ることがで きず、優等生 を して頑張 りす ぎてはス ト
ちゃになって しまう」状態 か ら、グループに入る間子 ど
31HE
- 8
0-
人 間 福 祉 学 科
い る。
もと離 れてみ るこ とで、少 し距 離 をお い て 自分 と子 ども
との 関係 を見つ め るこ とがで きる ようで あ る。 「
(
グルー
今 後 も改 善 を加 え なが ら実 践 と研 究 を続 け て い く中
プで)い っぱいパ ワー もらった し、 が ん ばろって思 う。」
とい う気持 ちで グルー プを離れ て、 また 自分の子 どもと
で、母 親 と子 どもた ちにエ ー ル を送 る とともに、 この よ
●
うな視点 か らも母子 に対す る社 会的支援 が広 く行 われ る
向 き合 うこ とが で きる こ とが大切 なので はないか と考 え
こ とを望 んでや まない。
る。
また多 くの メ ンバー は グルー プ参加後 、実際 の現実生
文
献
活 の 中で 自らの集 団 を求 めて動 き始 めて いる。集 団の形
青野 明子 :エ ンカウ ンター ・グルー プへ の継続 参加 の効
は幼 稚 園のPTA活 動 で あ った り、地域 で の コ ミュニ テ
果 に関す る考察 一個 人過 程測 定 尺 度 とPI
Lテ ス トか
ィグループで あ った り様 々であ るが、マザ ー グループで
らの比 較検討 -,大 阪市 立大学大 学 院生活科学研 究
の体験 をそ こに活 か してい って いるであ ろ うこ とは想像
99
8
科修士 論文, 1
に難 くない。 母親が この ように 自分 ら し く居 れる場 を見
青野 明子 :乳 児の仲 間関係 の発達 にお ける 『
個」 と 『
集
つ●
けてい くこ とは、更 なる関係性 の発達 を促進 し、以上
団』,大 阪市立大学生活科学部児童家族相 談所紀要 ,
述べ て きた よう に子 ど もとの間 に もその 関係性 の発達 は
2
0
0
0a
相互 的 に作用 してい くものであ ろ う。
青野明子 ・松 島恭子 : 「関係性 」の発 達 につ いて -エ ン
カウ ン ター ・グルー プにお け る体験 の観 点 か ら-,
まとめにかえて
大阪市立大学生 活科学 部紀要 ,2
㈱ b
本稿 で は、大学 の相談所 で行 われたマザ ー グループに
青野明子 :大学 の相談所 で実 施 されたマザ ー グルー プの
つ いて、 その グループ経過 と主 な メ ンバ ーの経過 か らエ
一事例 ,第回心理 臨床学 会発表論 文集,2
(
氾l
a
ンカウ ンター グループにお ける関係性 の発達 につ いて考
青野明子 :虐待 を主訴 とす る母 親の一事 例,大 阪市大学
児童家族相談所紀要,2
0
01
b
察 した。
現代社 会 における様 々な臨床心理学 的 問題 を考 える と
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き、以上見て きた●
ような関係性 の発達 とい う視点 が大切
なので はないか と筆者 は考 える。 人間の心理 的成長 に と
Damon.
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98
3
って、先 に述べ た二種類 の関係性 の発達 が相互 に相補的
(
山本多 幸 司編 訳 :社 令性 と人格 の発達心 理学 ,北
9
9
0)
大路書 房 , 1
に進 んでい くこ とが必 要 であ り、そのバ ラ ンスが 崩れた
ときに種 々の歪みが生 じて くるので はないか と筆 者 は考
える。
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人 と して育つ とい うこ とは 「育 て られ る者 」か ら 「
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て る者 」へ の変化 であ り、その 関係性 の発達 な くして は
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心理 的成長 もあ り得 ない。 マザ ー レス ・マザ ー とい うこ
とば を よ く耳 にす るが 、母親た ちは皆 一生懸命 に子 ども
平 山栄治 :エ ンカウ ンター ・グルー プ と個人の心理的成
9
9
8 風 間書房
長過程 , 1
と、 自分 自身 と向かい合 ってい る。 今彼 女 た ちに必要 な
の は、溢 れん ばか りの
「
∼して はいけない」情報 を さら
岩堂美智子 ・
松 島恭子 編 :発 達 臨床心 理学 ,創 元社 ,6
2
・
6
3,1
9
91
に増 やす こ とで はな く、一 人の 人間 と して成長 で きる場
で は ないだろ うか。
国分康 孝 :構 成南 グ ルー プ ・エ ンカ ウ ン ター
誠信 書
屠, 1
99
2
本箱 で提 出 した グルー プ事例 は回数 も少 な く、エ ンカ
ウ ン ター グループの発展段 階か ら考 える と、 まだ始 まっ
鯨 岡唆 :原初 的コミュニケーションの諸相.ミネルウ●ァ書房 , 1
9
9
7
たばか りとい うところなのか も しれ ないb また参加 費は
鯨 岡峻 :両義性 の発 達心理学 .ミネルウ小
ァ書房 , 1
9
9
8
無料 で はあ るが 、大学 の相談所 に通 って くる とい うだけ
鯨 岡唆 :関係発達論 の構築. ミ
ネルウ.
7書 房 , 1
9
99
a
で、あ る意味 で は生活 レベ ル も一定以上 の偏 った対象 に
鯨 岡唆 :関係発達論 の展 開. ミ
ネルウ.
ァ書房 , 1
9
99b
なって いる こ とも否め ない。 そ れ を前提 と して、実際 に
村 山正 治 :エ ンカウ ンター ・グループ
福村 出版 , 1
97
7
現実適応 で きている参加者 であ るので、発達段 階の最初
の部分 を提供 す る こ とで、後は 自 らの力 で現実生活の中
講座 心理療 法 7
村 山正治 ・野 島一彦 :キ ンカウ ンター ・グルー ププ ロセ
で子 どもとと もに育 ってい って くれ るで あ ろ うと願 って
スの発 達段 階
(
1
2)
九州大学 教育学部紀 要 (
教 育心理 部
青野 ・松 島 :マザー グループにおける関係性 の発達
門),2
1(
2)
,7
7
8
4,1
9
7
7
野島一彦 :大学 の授業 としての ミニ ・ベー シ ック ・エ ン
カウ.
ン タ- グループ, 日本人間性心理学会第 1
7回大
村 山正治 ・野島一彦 ・安部恒 久 ・岩井力 :日本 における
集 中的 グループ経験研究 の展望
- 81-
会発表論 文集,8
8
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9, 1
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9
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実験社 会心理学研
究, 1
8, 1
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1
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9
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9
村 山正治 :エ ンカウ ンター ・グルー プ
野島一彦 :グループ ・アプ ローチ,
現代 のエ スプ リ別冊 ,
心理面接 プラクテ ィス,至文堂, 1
1
6
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9
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季刊 精神療法 ,
1
0(
3
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大 日向雅美 :育 児 ス トレス ー 日本 とイギ リス を比較 し
て -, こころの科学 7
3発達障害, 日本評論者, 1
9
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村 山正治 他偏 :エ ンカウ ンター ・グルー プか ら学 ぶ 新 しい人間関係の探求 一 九州大学 出版 会, 1
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村 山正治 :エ ンカウ ンター ・グループ とコ ミュニテ ィー
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畠瀬直子 訳)エ ンカウ ンター ・グ
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良.(畠瀬実.
中村和彦 :非構 成的なグルー プ ・アプローチ の歴 史的理
論 的背景 に関す る検討 -Tグループ、エ シヵゥ ンタ
ル ー プ 一人 間 信 頼 の 原 点 を求 め て -
一 ・グルー プ、精神分析 的集 団精神療 法 を中心 に -
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中谷 (
青野).
明子 :乳児の仲 間関係 の発達 一保育所乳児
を中心 に -大阪市立大学 生活科学部卒業論文, 1
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青野)明子他 :乳児の仲 間関係 の発達 一保育所乳
児 を中心 に -乳幼児発達研究所紀要6
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中谷 (
青野)明子他 :乳児期 か らの仲 間関係 の発達 を育
創元社
氏原寛,
松 島恭 子,
千原雅代 (
蘇 ) :は じめ ての心 理 学 ,
創元社 ,2
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て る (岩 堂他編 ,発達臨床心理学 , 第2章 2,創元
社, 1
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)
山口隆,
増野 肇,
中川 賢幸 (
偏 ) :や さ しい集 団精神療 法
入門,星和書店, 1
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