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スマートコミュニティで築く豊かな未来

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スマートコミュニティで築く豊かな未来
トレンド
SPECIAL REPORTS
スマートコミュニティで築く豊かな未来
Creation of Affluent Future with Smart Communities
広岡 浩一
伏屋 信宏
■ HIROOKA Koichi
■ FUSHIYA Nobuhiro
二十世紀後半からの世界の急激な人口増加とそれに伴う大量エネルギー消費は,地球の環境収容力及び,生命維持のため
の自然資本を消耗させ,その持続可能性を損ないつつある。その結果として,地球温暖化問題や,資源・エネルギー問題,水・
食糧問題など様々な問題が現れている。更なる人口増加が予測されるなか,人々のニーズを満たしながら自然資本の消耗を防
ぐことが,希望ある未来を築くうえでわれわれに求められる二律背反の課題である。これを解決していくためには,エネルギー
や資源の利用技術や生産,流通などの社会システムをこれまで以上に効率化させることに加え,ライフスタイル変革を促進する
新しい価値観や社会ビジョンをコミュニティ内に醸成していくことが必要である。
東芝は,このようなスマートコミュニティ実現のためのソリューションを,長年にわたり培ってきた社会インフラや,医療・家庭
など幅広い分野の様々なソリューションを融合させ,クラウド上で統合して提供する。
The rapid growth in population and associated increase in energy consumption since the mid-20th century have depleted both the capacity to
withstand severe natural phenomena and the natural capital necessary for life on Earth.
As a result, Earth's sustainability is becoming degraded
and various problems including global warming, shortages of resources and energy, and drought and famine have appeared.
With further growth
in population anticipated, preventing the depletion of natural capital while meeting the needs of the population is a trade-off that must be resolved
in order to create an affluent future.
To meet this challenge, it is necessary to develop more efficient social systems including technologies for
the production, distribution, and utilization of energy and resources.
In addition, it is important to foster a new vision and social values within the
community that promote changes in lifestyles.
Toshiba is providing solutions for the realization of smart communities by integrating various solutions accumulated over many years in a wide
range of fields, including medical, home, and social infrastructures, and unifying them in the cloud environment.
時代の流れと
スマートコミュニティ
倍になると予測されている⑶。
関する課題への対応も必要になってく
原子力や再生可能エネルギーなどの利
る。グローバルにはこのほか,食料不足
用も進むと考えられるが,主要なエネル
や,水不足,交通渋滞,防犯,防災,情
世 界 は 現 在,人 口 増 大 や,エネル
ギー源は依然として化石燃料で,需給逼
報セキュリティなど多くの課題が顕在化
ギー需要拡大,資源不足,地球温暖化
迫(ひっぱく)による価格高騰や資源国
している。これらの課題を解決し,人々
など,様々なかつ困難な課題に直面して
と非資源国の格差拡大が懸念される。
が安全・安心に生活できる,循環型で
いる。世界の総人口は,2011年10月末
⑴
化石燃料の使用はCO(二酸化炭素)
2
に70 億人を突破した 。人口増加は今
の排出を伴うので,地球温暖化が進展
後も継続し,2050 年には 90 億人を超え
したり異常気象や気候変動が引き起こ
ると予測されている⑵。
されたりするおそれがある。
持続可能な社会の実現を目指すのがス
マートコミュニティである。
スマートコミュニティと
クラウドサービス
特に増加が著しいのはアジア,アフリ
新興国を中心としたこのような課題を
カの新興国で,2011年の約1.5 倍にまで
解決するためには,持続可能な形での
増加する。人口増加とともに,都市集
エネルギー及び資源の利用が必要にな
スマートコミュニティとは,持続可能
中化も進展し,2050 年には世界の都市
る。先進国では現在でも1人当たりの
な社会を実現するため,
「電気の有効利
人口比率は約 70 %となる。新興国の都
エネルギー消費 量は高い水 準にあり,
用に加え,熱や未利用エネルギーも含
市人口は 50 億人を超える見込みである。
再生可能エネルギーの導入や省エネ対
めたエネルギーを地域単位で統合的に
人 口 増 加と都 市 集 中 化 は,エネル
策などエネルギー利用形態の転換が必
管理し,交通システム,市民のライフス
要なのは同様である。
タイルの転換などを複合的に組み合わ
ギー 需 要 の 増 大を招く。 一次エネル
ギー需要はアジアを中心に増加し,世
更に先進国では,高齢化による医療
せた」社会と定義されている⑷。地域に
界全体では 2005 年から2030 年で約1.5
費の増加や介護問題など生命や健康に
よって抱える課題はそれぞれ異なるの
2
東芝レビュー Vol.67 No.9(2012)
は,電力余剰時に蓄電池に電力を蓄積
工場
ソリューション
ソリューション
化や,逆に供給力に合わせて需要家側
ソリューション
セキュリティ・
防災
の電力消費を調整するなどの仕組みが
ビル
必要になる。
ソリューション
ソリューション
当社は,工場やビル,家庭などの需要
家側でエネルギーの見える化や省エネ
水
ホーム
ソリューション
ソリューション
化を行うエネルギーマネジメントシステム
(EMS)と,電力系統内の監視・需給制
御システムを組み合 せ,地 域のエネル
交通
医療
ソリューション
ソリューション
店舗
コンテンツ
ソリューション
ソリューション
ギー利用を効率化するソリューションを
提供する。ビル群のエネルギー管理を
実現する次世代のビルエネルギーマネジ
メントシステム(BEMS)技術について,
図1.東芝が提供するスマートコミュニティソリューション ̶ 様々なソリューションの組合せで個の快
適性と持続可能な社会を両立させる。
この特集の p.7−10 で紹介する。
Concept of smart communities proposed by Toshiba
一方,こうした高度な情報システムが
安定的に稼働するためには,高品質な
で,実現のための手段もその地域に適
したものでなければならない。
中心となるのは,やはりエネルギー
電源の存在が不可欠である。万一自然
関連のソリューションである。CO2 排出
災害や障害などにより停電が発生する
東芝は,これまでエネルギーを中心
量の削減 策の一つとして太 陽 光発 電
と,社会に甚大な影響を及ぼすおそれ
に,交通,水などの社会インフラから,
(PV)や風力発電など再生可能エネル
がある。当社は,ユーザーの要求品質
医療や家庭など幅広い分野の事業に取
ギーの導入が進んでいるが,これらは
に柔軟に対応できる高品質電源ソリュー
り組んできた。これらの領域で培って
天候や自然条件により出力が間欠的に
ションにより,ICT化社会を支える基盤
きた様々な製品とサービスを融合させ,
変動する。これらを有効に活用するに
。
を提供している(p.17−20 参照)
地域に合ったソリューションを提供する
ことで,個の快適性と持続可能な社会
分析エンジン,最適化エンジン
。
の両立を目指している(図1)
東芝
社会インフラ
クラウド
■社会インフラのクラウド化
電気
水
交通
医療
ビル
住宅
大容量 分散
リアルタイム DB
エネルギーやビルなどのソリューショ
大量 分散
データ処理
セキュリティ
ンは,各種のセンサやネットワーク,及
インテグレーションサービスバス
び情報処理・制御システムで構成され
る。これらの技術と大量データ処理を
ICT 技術
ソリューション群
BEMS
HEMS
省エネ空調制御
EV 充放電制御
上下水道
制御技術
交通
行うICT(情報 通信技術)を組み合わ
せ,クラウド上で統合して社会インフラ
。これにより
クラウドを実現する(図 2)
最適水運用
ATO
交通システムや上下水道システムと電力
医療
店舗
センシング
技術
系統のデータを連携させ,コミュニティ
全体でのエネルギーの最適化と効率化
を図ることができる。
■エネルギークラウドサービス
スマートコミュニティに関する期待は
大きく,その世界市場規模は,2015 年
で約163 兆円に上ると推定されている
人感センサ
スマートメータ
MPレーダ雨量計
DB :データベース
HEMS:ホームエネルギーマネジメントシステム
EV :電気自動車
ATO :自動列車運転装置
MP :マルチパラメータ DSRC,ITS
CT,MRI
カートPOS
DSRC:専用狭域通信
ITS :高度道路交通システム
CT :コンピュータ断層撮影
MRI :磁気共鳴イメージング
POS :販売時点情報管理
図 2.社会インフラクラウドの概念 ̶ 社会インフラで培ったセンシング技術及び制御技術と,大量
データ処理のICT 技術を融合して,社会インフラクラウドの基盤を実現する。
Concept of social infrastructure applying cloud services
(囲み記事参照)。
スマートコミュニティで築く豊かな未来
3
特
集
して不足時に放出する電力供給の平準
電気
熱
スマートコミュニティのタイプと世界のスマートコミュニティ市場
世界のスマートコミュニティの市場規 模
は,計画から,設計,製造,建設,サービス
まで含め,2015 年で約163 兆円と推定さ
を図る再開発型(ブラウンフィールド)が求
クトに参 画し,これら地 域 ごとに 異 なる
められている。
ニーズに適応するソリューションを提供して
東芝は,世界各地で実証・商用プロジェ
いく。
れている(図 A)。最大の市場は中国で,欧
州と北米がこれに次ぐと見られている。
欧州:41 兆円
中国:57 兆円
一口にスマートコミュニティと言っても,
その内容は地域によって特徴があり,米国
55
59
36
37
日本:5 兆円
75
1
64
3
ポンスなど電力エネルギーの活用を高度化
するスマートグリッド型が多い。中国や,イ
52
中東:7 兆円
では電力網の更新及び整備やデマンドレス
4
アフリカ:3 兆円
1
2
ンド,東南アジアでは,未利用地に電力や,
5
20
北米:35 兆円
中南米:4 兆円
8
8
7
インド:4 兆円
水,交通などの社会インフラとオフィス,住
15
3
15
2
13
アジア・オセアニア:7 兆円
宅,工場などの施設から成る低炭素都市を
新たに構築する新規開発(グリーンフィー
ルド)型の比 率が 高い。日本や欧 州では,
既存のインフラをベースに,再生可能エネ
スマートグリッド型(再生エネ含む)
【217 件】
スマートコミュニティ
(再開発型)
【195 件】
スマートコミュニティ
(新規開発型)
【73 件】
*円の大きさは市場規模,数字は案件数を示す。日経 BP 社「世界スマートシティ総覧 2012」⑹ を元に作成
ルギーや省エネ技術などを適用し低炭素化
図 A.世界のスマートコミュニティ市場規模
いる。専門病院や地域診療所,薬局,
ロジェクトや,既存の街を環境配慮型に
介護施設,自治体,個人宅など医療に
転換する再開発型,未利用地に新たな
関わる機関をネットワークで結び,診断
都市や工業団地を建設するような新規
庭が占める割合は約14 %である 。し
データや疾病履歴データの共有をはじ
開発型プロジェクトなど,国や地域によ
かし,産業用のエネルギー消費の増加
め健診や治療の紹介と予約,リハビリ
り様々なパターンがある。多くのプロ
が比較的緩やかなのに対し,家庭のエ
支援などのサービスを行うのが医療クラ
ジェクトに参画し,技術やノウハウを蓄
ネルギー消費は年々急激に増加してお
ウドサービスである。これにより,地域
積することで,ソリューションの幅を広
り,家庭の省エネ化が急務となってい
の医療レベルの向上が期待できる。ま
げる一方,共通化と標準化を進め,地域
る。家電製品の省エネ化も進んでいる
た,診断と治療だけでなく,食事や運動
ごとに異なるニーズに適確かつ迅速に
が,それをむだなく効率的に使うことも
のアドバイスなど疾病予防及び健康増
応えられる体制を整えている。
重 要である。 ホームクラウドサービス
進に関するサービスを提供することで,
は,エネルギーの利用状況をリアルタイ
生活の質の向上とともに医療費の抑制
ムで示すことで節電を促す“見える化”
にもつなげることができる。
■ホームクラウドサービス
わが国のエネルギー消費の中で,家
⑸
当社が参画しているプロジェクトにつ
いて,2 例を以下に述べる。
⑴ 宮古島プロジェクト 沖縄県
と,PVや蓄電池などの新エネルギー機
医 療クラウドの 一環として,当 社は
宮古島市におけるEMS 実証の例
器の制御を行って,家庭におけるエネル
2012 年 4月から医 用画像の 外 部 保 管
を図 4に示す。宮古島は,沖縄本
ギー利用を最適化するサービスである
サービスの 提 供を開始した(p.21− 24
島の南西約 300 kmに位置する離
参照)
。
島であり,エネルギーの地産地消
(p.11− 16 参 照)。 また,将 来 的 に は
ショッピングやヘルスケア,セキュリティ
などのライフデザインサービスも取り込
み,総合的な生活の質向上と持続可能
化が課題となっている。そこで,太
スマートコミュニティ事業への
取組み
性の両立を図る。
ギーの導入拡大と効率的利用に向
け,EMSを構築するための実証事
当社は,世界各地でスマートコミュニ
■医療クラウドサービス
陽 光 や風 力など 再 生可能エネル
業を全島で進めている。
ティに関わる実証・商用プロジェクトに
当社は,2011年にこの事業の委
高齢化の進展に伴い,適切な医療を
参画している(図 3)
。送配電や需給調
託先として宮古島市から採択を受
誰もが受けたいというニーズが高まって
整などスマートグリッドを中心としたプ
け,設計検討を行った。2012 年度
4
東芝レビュー Vol.67 No.9(2012)
蓄熱設備などを用いて,消費電
中東欧
① スマートコミュニティ
事業調査 PJ
① スマートコミュニティ
事業 FS
① 低炭素インフラ普及モデル FS
② 共青城市スマートコミュニティ実証事業
③ 天津市環境都市 PJ
③ 広州南沙 PJ
③ 錦州市スマートコミュニティ PJ
③ 温州市・東営市環境都市整備計画
③ ハノイ・ソフトウェア技術パーク
③ ホーチミン・バソン地区再開発
震災復興 PJ
① ニューメキシコ州
日米スマートグリッド
実証 PJ
① インディアナ州
越谷市
Energy Systems
Network PJ
①スマートハウス実証
タイ
英国
① ブリストル市
スマートホーム
に関する EU_PJ
① ワイト島 PJ
米国
② 石巻市 PJ
② 南相馬市 PJ
② 飯舘村 PJ
② アマタサイエンス
シティ PJ
フランス
イタリア
インド
川崎市
デリー・ムンバイ間
産業大動脈構想
② マネサール PJ
② ハリアナ PJ
ディング)の開発
⒝ PVとEV(電 気自動 車)カー
シェアリングを組み合わせた交
通システムの展開
⒞ 家 庭 内エネルギーモニタリン
東京都港区
② EV バス導入実証
② リヨン市スマート
コミュニティ実証 PJ
力以上のエネルギーを創出する
PEB(ポジティブ エナジー ビル
② 環境技術産学公民連携 PJ
② 川崎駅前周辺 PJ
横浜市
② ジェノバ市スマート
宮古島
シティ推進計画
② 横浜スマートシティ PJ(YSCP)
マレーシア
① 離島独立型系統連系
(ACEA)社向け
① アチア
新エネ導入実証 PJ
② グリーンタウン
スマートグリッド
茨木市
① 宮古島全島 EMS
シップ構想
① 宮古島市来間島 PJ ③ 茨木市スマートコミュニティ PJ
グシステムの構築
⒟ 地域エネルギーに関する情報
のカスタマイズと指標化を行うコ
ミュ ニティマネジメントシステム
(CMS)の構築
特に,⒟の CMS 構築では,コミュ
ニティみずからの行動変革を促す
① :スマートグリッド型(再生エネ含む)
(再開発型)
② :スマートコミュニティ
(新規開発型)
③ :スマートコミュニティ
PJ :プロジェクト
FS :フィージビリティスタディ
仕組みが重要なポイントである。
スマートコミュニティの本質は,その
図 3.東芝が取り組むスマートコミュニティプロジェクト ̶ 地域ごとの優先課題に対応したスマート
化を展開している。
Toshiba's participation on smart community projects
地域の住民や事業者,行政など主体と
なるステークホルダーが協力し合い,豊
かで持続可能なコミュニティを創造し恒
常的に維持していくことにある(図 6)。
そのためには,様々なステークホル
ビジネスモデルの構築
再生可能エネルギーの地産地消
火力
発電所
スマートボックス
EV
PV
全島
EMS
住宅
充電
ステーション
BEMS
業務ビル
風力発電
蓄電池
農業
揚水ポンプ
ホテル
通信網
実証事業期間:
2011 年度∼ 2014 年度
【実施主体:沖縄県】
実証項目
・再生可能エネルギーの
最適消費,優先利用実現
・エネルギー消費の見える
化を通じた省エネ実現・
サービスモデルの検討
・需要と供給が協調した
エネルギーの面的マネ
ジメントの事業化モデル
構築
電力網
ダーの立場の違いから生まれるニーズと
ポテンシャルの両方を可視化したうえで,
コミュニティの目指すビジョンや戦略と
して共通認識を醸成し具現化するため
の最適なサービスソリューションを,そ
の時々の状況に応じて導き出していくた
めの仕組みが必要である。当社はその
基盤となる情報提供や制御の仕組みを
用意している。それが社会インフラクラ
ウドの中枢とも言えるスマートコミュニ
図 4.宮古島全島 EMS 実証プロジェクト ̶ 島しょ型スマートコミュニティの事業モデルとして,再生
可能エネルギーの地産地消とビジネスモデルを構築する。
ティ統合管理システムである(p.25 −28
参照)。
Concept of community energy management system demonstration project in Miyakojima
は,実証設備のシステム設計と製
作を実施中である。
に実証準備を進めている。
ラーニングコミュニティと
豊かな未来の構築に向けて
このプロジェクトでは,EU(欧州
⑵ フランス リヨンスマートコミュニ
連合)の 20−20−20ターゲット(注 1)の
人類史上初の百万都市アレクサンド
ティプロジェクト 独 立行政 法
前倒し達成を目標に,次の四つを
リアが誕生したのが今からおよそ 2,300
人 新エネルギー・産業技術総合開
実証している。
年前と言われている。それに対し,鉄
発機構(NEDO)がフランス リヨン
⒜ 省エネ設備やPV 設備,蓄電・
道や電気エネルギーなどの社会インフラ
市で実施している都市再開発プロ
ジェクトの例を図 5に示す。当社は
この事業をNEDO から受託し,現
在現地企業を含むパートナーととも
スマートコミュニティで築く豊かな未来
システムは産業革命以降,自動車に関し
(注1) EU 加 盟 国で 2020 年までに 温 室 効 果
ガス の 20 % 削 減,エネルギ ー 消 費 の
20 % 削減,再生可能エネルギー比率の
20 % 確保を目指す。
ては 20 世紀から本格普及したことを考
えると,コミュニティ関連システムの歴
史は意外と浅く,これからの大胆な革
5
特
集
ベトナム
中国
を目指していただけではなかった。
“人々
PEB
家庭用エネルギーモニタ (一般住宅)
スマートバッテリー
PCS
PV
屋上,壁面
エネルギー
モニタ
LED 照明
(既設 PV)
PCS
BEMS
PCS
CMS
μEMS
エネルギー管理
PV-EV バランス調整
発電予測
設備遠隔管理
(PV,センサなど)
エネルギー監査システム
見える化
データ収集
通信網
実証項目
・省エネ+創エネ
(PV+
コージェネレーション)
→ 消費電力量
以上のエネルギー創出
・再生可能エネルギー+
EVカーシェアリング→
ゼロエミッション化
・地域エネルギー全体の
利用状況見える化
(家庭,ビル,交通)
電力網
EV 充電インフラ
PV
EV カーシェアリング
配電系統システム連系
スマートメータ
充電コントロール
認証,課金
スケジュール最適化
認証,課金
電力
の役にたち,かつ新しいものを作り続け
る”という創業者の熱き想い(おもい)を
引き継ぎ,これからも当社は,世界の
様々な人々との協力関係を速やかに構
築し,地球内企業としてスマートコミュ
ニティ創りに正面から挑戦していく。
文 献
⑴
国連人口基金.世界人口白書 2011.<http://
www.unfpa.or.jp/cmsdesigner/data/entry/
publications/publications.00031.00000005.
pdf>,
(参照 2012-07-26)
.
情報
PCS:パワーコンディショナ LED:発光ダイオード μEMS:スマートグリッド監視制御システム
図 5.フランス リヨンプロジェクト ̶ EUの 20−20−20ターゲットの前倒し達成を目指す。
Concept of smart community demonstration project in Lyon, France
⑵ United Nations. World Population Prospects
The 2010 Revision Highlights and Advance
Tables. <http: //esa .un.org/unpd /wpp/
Documentation/pdf/WPP2010_Highlights.
pdf>, (accessed 2012-07-26).
⑶ 経済産業省 資源エネルギー庁.長期エネルギー
解と協力
需給見通し.<http://www.enecho.meti.go.jp/
リーダー
シップ
分析
市職員
政策への
理
首長,議員など
政策
本計画.<http://www.meti.go.jp/committee/
スマート市民
在住者
(市民,企業,通勤者)
誘致者
(企業,市民など)
CMS
水道メータ
μEMS
summary/0004657/energy.html>,
(参 照
2012-07-26)
.
経済産業省 資源エネルギー庁.エネルギー白
書 2011.<http://www.enecho.meti.go.jp/
topics/ ha kusho/2011energ yht m l /2-1-2.
html>,
(参照 2012-07-26)
.
⑹
日経 BPクリーンテック研究所.世界スマートシ
ティ総覧 2012.東京,日経 BP 社,2011,359p.
⑺
ピーター・M・センゲ.最強組織の法則−新時
代のチームワークとは何か.東京,徳間書店,
1995,404p.
ガスメータ
HEMS
EV カー
シェアリング
⑸
報の共有
都市の環境情
情報収集・発信
BEMS
topics/080523b.pdf>,
(参照 2012-07-26)
.
⑷ 経済産業省 資源エネルギー庁.エネルギー基
電気メータ
図 6.コミュニティマネジメント ̶ 東芝は,成長するための学習機能を持ったコミュニティマネジメン
トの仕組みを提案している。
Concept of community management proposed by Toshiba
新は十分可能である。
ティを持続させていくためには,これま
1990 年代の初めに米国から“ラーニ
でのようにプランニング主体のコミュニ
ング オーガニゼーション(学 習する組
ティ計画から,そこに暮らす人々が自律
⑺
織)”という概念が提唱された 。経営
的に変化に対応するマネジメントを実行
環境の複雑化に加えビジネスサイクルが
し,新しい価値創造ができる仕組みを
短縮化し,技術や知識の更新スピード
コミュニティの中に作り込んでおくこと
が高まったことから,企業が持続するた
が大事である。
めには従来のトップダウン型組織構造
そのために,成長するための学習機
から脱却し,自律的に変化を先取りして
能を持ったコミュニティマネジメント支援
価値を創造する組織が求められるよう
システムとして,スマートコミュニティ統
になったためである。現在のコミュニ
合管理システムを進化させていきたいと
ティ経営を取り巻く環境は,この状態と
考えている。
非常に似通っている。地球規模の課題
当社の創業者 田中久重は優れた技術
が山積するなかで,魅力的なコミュニ
者であったが,ただ高度な技術の開発
6
広岡 浩一
HIROOKA Koichi
スマートコミュニティ事業統括部 スマートコミュニ
ティ事業開発部長。スマートコミュニティに関わる
ソリューション開発に従事。
Smart Community Div.
伏屋 信宏
FUSHIYA Nobuhiro
スマートコミュニティ事業統括部 スマートコミュニ
ティ事業開発部参事。スマートコミュニティコンセ
プト開発に従事。
Smart Community Div.
東芝レビュー Vol.67 No.9(2012)
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