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制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び 契約等に関する
平成24年度老人保健健康増進等事業 制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び 契約等に関する調査研究 報告書の公表について 平成 25 年 3 月 社団法人 全国有料老人ホーム協会 この度、 「 平成 24 年度制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び契約等に関す る調査研究報告書」がまとまりましたので、ご報告いたします。 上記の調査報告書に関するお問合せ等は、以下までご連絡ください。 ◆◇◆ 報告書内容 ◆◇◆ 第1編 有料老人ホームに関する実態調査報告 研究要旨: 平成23年度は有料老人ホームの届出件数が7,000 件を超える中で、事業形態の 変化、要介護者専用ホームの急増や費用・サービス等の幅も広く分布するようになった。 平成24年度は、有料老人ホーム一覧及び重説を基礎データとする経年調査に加え、補完 調査としてアンケートを実施し、有料老人ホームの実態をより多面的に把握した結果、 今後の調査検討課題として、①消費者向け説明媒体としての重要事項説明書のあり方に 関する検討、②ホームのサービスと対価としての費用の関係性の明確化に向けた評価指 標の作成、③上記を含めた有料老人ホームあるいは高齢者向け住宅全体のグループ化の 必要性等を確認した。 調査概要:① 平 成 24年度の 有料 老人 ホー ムの 概況整 理 各自治体で公表され てい る「有料老人ホーム 一覧 」を基礎データとし 、平 成 24 年度 の有料老人ホーム件 数等 の概況把握を行った。(平 成 24 年 7 月 1 日時点、分析対象数: 7,484 件) ② 平成 24 年度 有料 老人 ホー ムア ンケ ート 調査 既存データでは実態 把握 が困難な項目につい て基 礎情報を得ることを 目的 に、アンケ ート調査を行った。( 調査 期間:平成 24 年 12 月 1 日~31 日、有効サン プル 数:1,858 件、有効回収率 37.0%) ③ 平成 23 年度 の重 要事 項説 明書 から みる 有料 老人ホ ーム 事業 実態 整理 重要事項説明書を基 礎デ ータとし、類型区 分に加 え、事業特性を示 す分析 軸を用い表 示事項、入居者状況 等の 集計を行った。(平成 23 年 7 月 1 日時点、分析対 象数:4,788 件) 第2編 契約等に関する調査報告 研究要旨: 有料老人ホーム入居契約において、消費者保護の観点で注意が必要と考えられ る契約条件(特に、事業者からの契約解除)に焦点を当て、その実態を調査するととも に、具体的に事業者がどのようなことに留意すべきかを明らかにしようと試みた。 調査概要:有 料 老 人ホ ーム 入居 契約 にお ける 事業者 の解 除権 の実 態調 査(契 約書 実態 調査 ) 平成 23 年度 「多様化す る有料老人ホームの 契約 等に関する調査」に おい て、アンケー ト調査票とともに収 集し た入居契約書 665 件を対 象とし、事業者からの解 除要件につい て整理を行った。 ◆お問合わせ・ご連絡先 (社)全国有料老人ホーム協会 担当:灰藤 五十嵐 渡辺 古川 〒104-0028 東京都中央区八重洲 2-10-12 国際興業第二ビル 3 階 電話:03(3272)3781 FAX:03(3548)1078 1 調 査 結 果 の 概 要 ※本稿は、 「平成 24 年度制度改正後の有料老人ホームに関する実態調査及び契約等に関する調査研究報告 書」より調査結果を抜粋し、概要としてまとめたものです。 第1編 有料老人ホームに関する実態調査報告 1.自治体公表データからみる平成 24 年度の有料老人ホームの概況 (1)平成 24 年度の有料老人ホームの状況 ①ホーム数 調査時点(平成 24 年 7 月 1 日現在)の有料老人ホーム件数は、7,484 件である。類型別にみると、特定施 設入居者生活介護の指定を受けない住宅型有料老人ホーム(以下「住宅型ホーム」 )が、ホーム数の 6 割弱を 占めている。 ②定員数 同時点の定員数総数 313,844 人のうち、62%を介護付有料老人ホーム(以下「介護付ホーム」 )が占めてい る。これは、介護付ホームでは 50 人規模前後のホームが中心となっているのに対し、住宅型ホームでは 19 人以下のホームが半数以上を占めるなど、小規模のホームが多くなっているためである。 ホーム件数[類型別] (百件) 50 40 30 20 10 定員数[類型別] 0 3,115件(41.6%) 0 50 100 150 117,654人(37.5%) 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 総数(ホーム数) =7,484件 17件(0.2%) 健康型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム 29件(0.4%) 複数類型併設ホーム 複数類型併設ホーム 250 (千人) 192,863人(61.5%) 介護付有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム 4,323件(57.8%) 200 752人(0.2%) 2,575人(0.8%) 総数(定員数) =313,844人 定員規模分布[類型別] ホーム数(件) 1293件 (17.3%) 1,400 1,200 →H18法改正前の下限 951件 (12.7%) 1179件 (15.8%) 26.6 940件 (12.6%) 1,000 21.5 19.6 800 構成比(%) →地域密着型特定施設上限 831件 (11.1%) 14.0 783件 (10.5%) 18.0 15.9 600 400 10.4 11.5 4.4 0 0.6 ~9人 25 20 480件 (6.4%) 15 290件 (3.9%) 11.5 178件 (2.4%) 7.7 200 30 全体(総数=7,484:左軸) 介護付ホーム(総数=3,143:右軸) 住宅型ホーム(総数=4,324:右軸) 7.2 4.9 4.2 128件 (1.7%) 123件 (1.6%) 226件 (3.0%) 41件 (0.5%) 41件 (0.5%) 5.8 3.2 0.6 0.7 2.9 0.3 0.9 0.2 1.0 1.0 ~19人 ~29人 ~39人 ~49人 ~59人 ~69人 ~79人 ~89人 ~99人 ~109人 ~119人 ~129人 130人~ 2.8 1.5 2 1.0 10 5 0 (2)有料老人ホームと類似高齢者施設・住宅等との比較 ①施設・住宅件数及び定員数 類似する特性を持つ下記 6 施設・住宅の中で、有料老人ホームの施設・住宅数は、認知症対応型共同生活 介護(9,484 件)に次いで多く、定員数でみても介護老人福祉施設(427,634 人) 、介護老人保健施設(318,091 人)に次ぐ規模となっている。 ②65 歳以上の人口 10 万人に対する 6 施設・住宅の定員数(サービス付き高齢者向け住宅は戸数) 65 歳以上人口 10 万人に対する 6 施設・住宅の定員数をみると、最も多い徳島県と最も少ない宮城県では、ほぼ 倍の開きがある。6 施設・住宅の定員の構成割合は都道府県ごとに異なっており、神奈川県、東京都等の大都 市圏では、有料老人ホーム割合が高い傾向にある。一方、富山県、福井県、徳島県、山梨県では有料老人ホ ーム割合は 1 割に満たず、自治体間で施設・住宅の整備状況に差がみられる。 有料老人ホームと類似高齢者施設・住宅等の施設・住宅数、定員数 施設・住宅数 (件)1000 0 8000 6000 4000 2000 定員数 0 0 7484 100 200 300 有料老人ホーム 有料老人ホーム 5953 313.844 介護老人福祉施設 介護老人福祉施設 3533 介護療養型医療施設 介護療養型医療施設 9484 3261 ※サービス付き高齢者向け住宅の定員 数は「戸数」となっている 427.634 介護老人保健施設 介護老人保健施設 1711 (千人) 500 400 318.091 75.991 認知症対応型共同生活介護 認知症対応型共同生活介護 141.941 サービス付き高齢者向け住宅 105.108※ 【出典】 ・介護保険 3 施設、認知症対応共同生 活介護:平成 23 年度「介護サービ ス施設・事業所調査(厚生労働省) 」 ・サービス付き高齢者向け住宅:サー ビス付き高齢者向け住宅情報提供 システム (平成 25 年 3 月 16 日時点) 65 歳以上の人口 10 万人に対する 6 施設・住宅の定員数[都道府県、施設類型別] 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 宮城県 滋賀県 栃木県 福島県 山梨県 東京都 京都府 愛知県 千葉県 奈良県 埼玉県 岐阜県 兵庫県 大阪府 岩手県 静岡県 長野県 茨城県 三重県 秋田県 広島県 新潟県 和歌山県 富山県 福井県 山形県 神奈川県 山口県 島根県 北海道 群馬県 岡山県 香川県 愛媛県 高知県 佐賀県 熊本県 長崎県 福岡県 鹿児島県 鳥取県 石川県 宮崎県 沖縄県 大分県 青森県 徳島県 全国 0 有料老人ホーム 介護老人福祉施設 サービス付き高齢者向け住宅(戸数) 介護老人保健施設 認知症対応型共同生活介護 介護療養型医療施設 ※サービス付き高齢者向け住宅の定員数は「戸数」となっている 【出典】 ・介護保険 3 施設、認知症対応共同生活介護:平成 23 年度「介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省) 」 ・サービス付き高齢者向け住宅:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(平成 25 年 3 月 16 日時点) 注:介護保険3施設、認知症対応型共同生活介護は、平成 23 年度データとなっている。 3 2.重要事項説明書及びアンケートからみる有料老人ホームの概況 (1)入居及び入居者の状況 *文中、特に記載のないものは重要事項説明書の整理結果 ○ホームの入居時要件:介護付ホーム(全体)では 47%、住宅型ホームでも 42%が要介護認定者のみを対象 とするホームであった(図略) 。定員規模が小さいホームほど「要介護」を入居時要件とする割合が高まっ ている。 ○ホーム入居者:入居者の平均年齢では 84 歳~85 歳で、類型や定員規模等による大きな差はみられない(図 略) 。他方入居者の状況においては、住宅型ホームの方が要介護度の高い入居者、認知症の入居者(疑いを 含む)割合が高いことが明らかになった。さらに、両類型とも、居室数が小さくなるほど、重度の要介護 者や認知症高齢者(疑い含む)の割合も高まることが確認できた(図略) 。 入居時要件〔類型別定員規模別〕 介護付 100% 0.9% 8.0% 90% 80% 32.0% 60% 33.7% 20.0% 55.7% 不明・記載なし 50% 要介護 40% 要支援/要介護 30% 50.4% 0.9% 10% 10.5% 0.2% 0.2% 30~79人 0.0% 0.0% 10~29人 20% 自立/要支援 0% 80人以上 90% 14.3% 80% 70% 14.0% 90% 17.0% 70% 23.0% 13.2% 23.8% 15.8% 50% 18.9% 40% 17.6% 0.1% 5.8% 6.3% 16.9% 14.7% 4.3% 3.8% 6.7% 介護付 住宅型 0% 認知症なし 22.0 13.8 認知症なし 17.5 8.9 0.1% 不明・記載なし 71.1% 要介護 61.8% 要支援/要介護 自立/要支援/要介護 41.4% 45.0% 1.0% 0.7% 0.4% 10~29人 自立/要支援 1.2% 9人以下 5.0% 6.6% 1.1% 0.9% 30~79人 自立 80人以上 要介護5 要介護4 要介護3 要介護2 要介護1 経過的要介護 要支援2 要支援1 自立 10.3% 20.5% 11.7% 16.3% 18.7% 14.3% 19.9% 18.4% 5.8% 6.8% 19.1% 20.5% 20% 10% 0.0% 0% 10.3% 16.6% 19.2% 40% 30% 8.3% 13.1% 14.4% 23.6% 60% 18.3% 50% 単位:% 平均値 中央値 13.6% 19.3% 80% 14.1% 60% 単位:% 平均値 中央値 3.3% 0.8% 100% 11.3% 10% 3.1% 介護付のみ 100% 20% 25.4% 10% 自立 要介護度別の入居状況 30% 27.5% 30% 自立/要支援/要介護 41.6% 0.0% 9人以下 4.1% 70% 40% 0% 80% 42.7% 40.0% 5.1% 90% 28.3% 60% 20% 100% 23.8% 70% 50% 住宅型 0.0% 4.0% 0.5% 5.9% 0.1% 19.9% 18.9% 0.1% 6.0% 6.2% 3.4% 0.1% 9.3% 1.2% 1.2% 3.7% 4.0% 3.7% 1.8% 9人以下 10~29人 30~79人 入居者の認知症の状況〔アンケートから〕 〔介護付ホーム:総数=653〕 認知症判定 認知症判定あり 内訳 あり ランクⅠ ランクⅡ ランクⅢ ランクⅣ 69.6 11.6 26.2 20.2 9.0 79.7 10.3 26.3 18.4 6.7 〔住宅型ホーム:総数=382〕 認知症判定 認知症判定あり 内訳 あり ランクⅠ ランクⅡ ランクⅢ ランクⅣ 71.8 10.2 26.1 23.1 9.4 85.7 6.0 25.0 21.3 0.0 32.3% 要介護5 要介護4 要介護3 要介護2 要介護1 経過的要介護 要支援2 要支援1 自立 80人以上 ランクM 2.6 0.0 認知症の疑 いあり 8.4 0.0 ランクM 3.0 0.0 認知症の疑 いあり 10.7 0.0 ※「認知症高齢者の日常生活自立度」について、 “要介護認定を受けている入居者はすべて把握している” “要介護認定を受けて いる一部の利用者は把握している”と回答したホームで、かつ入居者の認知症の状況について回答しているホームを集計対象 とした。 4 (2)居住環境 ○個室化、居室面積:住宅型ホームに比べ介護付ホームの方が平均値としては高い傾向にあること、最小居 室面積では、介護付ホームでほぼ半数が 18 ㎡以上であるのに対し、住宅型で 18 ㎡以上のホームは 2 割程 度に留まった。 介護居室区分(表示事項) 〔類型別〕 最小居室面積〔類型別〕 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 100% 18.3% 80% 5.8% 18㎡未満 42.8% 18~25㎡未満 44.1% 42.6% 70% 60% 25㎡以上 4.4% 一般居室18㎡以上、 介護居室13㎡以上 4.7% 不明・記載なし 4.0% 不明・記載なし 相部屋あり 全室個室 12.6% 50% 40% 介護付 90% 0% 75.9% 10% 20% 30% 40% 13㎡未満 50% 60% 住宅型 30% n=2299 41.4% 44.8% 20% 26.7% 13~18㎡未満 10% 18㎡以上 0% 介護付 相部屋のみ 住宅型 19.5% 5.0% 不明・記載なし n=2305 7.4% (3)職員の状況、職員の研修機会 ○直接処遇職員の配置状況:特定施設入居者生活介護の指定を受けている介護付ホームが手厚い傾向にある が、特に定員規模が大きくなるほど、手厚い体制になっている様子がうかがえた。 ○職員の研修機会の確保:特に「虐待防止や利用者の権利擁護」の研修実績、 「資格取得のための支援」 (図 略)などで介護付ホームと住宅型ホームで 30 ポイント程度の差がみられた。住宅型ホームの入居者の状態 像が重度の傾向にあることを考えると、これらへの対応が喫緊の課題であることがうかがえる。 直接処遇職員(常勤換算)1人あた り要介護者数〔類型別〕 100% 2.0% 90% 80% 介護にかかわる職員体制(表示事項) 〔介護付のみ、定員規模別〕 100% 3.5% 4.9% 90% 25.0% 70% 32.6% 70% 60% 72.0% 60% 39.0% 50% 36.4% 80% 20.9% 11.9% 20.5% 不明・記載なし 3.0:1以上 2.5:1以上 2.0:1以上 1.5:1以上 46.5% 50% 40.1% 不明・記載なし 40% 30% 20% 2.5:1以上 7.9% 28.7% 11.2% 22.3% 16.0% 14.8% 11.1% 2.0:1以上 10% 10% 1.5:1以上 0.0% 0% 0% 介護付 31.1% 30% 3.0:1以上 9.0% 20% 43.4% 40% 3.0:1未満 7.8% 住宅型 8.0% 4.0% 9人以下 6.6% 2.4% 7.9% 2.8% 9.6% 10~29人 30~79人 80人以上 直接処遇職員を対象としたホーム内研修実施実績〔類型別、平成 23 年度〕 (複数回答) 〔アンケートから〕 介護付ホーム n=1222 0 20 40 摂食・嚥下、移動介護、コミュニケーションなど、介 護技術の基礎・更新 80 100 40 60 経管栄養やたんの吸引などの医療的ケア について 39.3 無回答 2.9 5 80 67.6 64.9 50.2 虐待防止や利用者の権利擁護について 80.0 虐待防止や利用者の権利擁護について 20 認知症の病状理解や適切な対応について 84.5 経管栄養やたんの吸引などの医療的ケア について 0 摂食・嚥下、移動介護、コミュニケーションなど、介 護技術の基礎・更新 89.1 認知症の病状理解や適切な対応について 無回答 60 住宅型ホーム n=636 % 21.2 16.5 100 % (4)利用料 ○利用料の支払い方式:重要事項説明書の記載では例年同様無回答が多く、アンケート結果でも同様の傾 向がみられた。こうした限定つきではあるが、介護付ホームでは「一時金方式」と「月払い方式」とが 拮抗、住宅型ホームでは「月払い方式」を採用しているホームが多いこと、両類型ともに定員規模が大 きくなるほど「一時金方式」の割合が高まることが確認された。 ○介護居室または要介護者向け居室の最多面積の居室に入居する場合の費用例:代表的な1プランにつ いて回答してもらったところ、次頁の分布となった。前払金の総額は、類型の違いよりも、利用料の 支払い方式による違いが大きく、金額が高くなる程“入居一時金方式(全部) ”割合が高くなる。た だし前払金の総額には、家賃相当額以外の費用も含まれており、償却期間による違い等も考えられる。 家賃相当額の設定には、居室面積やホームの所在地等さまざまな要因が影響しているため、今回の分 析結果においては、そのような点を留意する必要がある。 利用料の支払い方式〔類型別〕 100% 90% 28.6% 80% 48.0% 70% 12.5% 60% 不明・記載なし 選択方式 月払い方式 一時金方式 2.4% 50% 29.1% 40% 30% ※ここでは、 「表示事項」中の利用 料の支払い方式の記載状況を集 計した。 41.7% 20% 29.8% 10% 7.9% 0% 介護付 住宅型 参考 アンケートからみた介護居室または要介護者向け居室への入居にかかる費用〔アンケートから〕 前払金の総額 <介護付ホーム> 0 10 20 50万円未満 30 50~250万円未満 500~1000万円未満 29.4 30.9 50~100万円未満 n=561 13.0 9.3 3.1 無回答 家賃相当額(月払い費用) <介護付ホーム> 10 20 30 5.4 3万円未満 21.0 3~5万円未満 19.7 0.0 10 20 30 40 n=610 無回答 50 % 23.4 ※ここでは、前払金の家賃相当分以 外に、月々に支払う家賃相当費用 を集計した。 (月単位) 44.9 24.3 5~7.5万円未満 10万円以上 入居一時金方式(全部) 入居一時金方式(一部) 月払い方式(前払金あり) その他 <住宅型ホーム> 0 入居一時金方式(一部) 月払い方式(前払金なし)+日払い 5.0 7.5~10万円未満 15.1 10万円以上 n=162 3~5万円未満 38.9 7.5~10万円未満 50 % 3万円未満 5~7.5万円未満 無回答 40 % 3.1 500万円以上 1.1 40 ※前払金の総額には、家賃相当額以 外の費用も含まれている。 ※前払金は、費用額だけではなく償 却方法も含めた分析が必要である が、本サマリーでは、紙面の都合 上割愛した。 (詳細は報告書参照) 19.8 100~500万円未満 6.4 0 30 21.0 25~50万円未満 12.8 無回答 20 10~25万円未満 20.0 2000万円以上 10 10万円未満 13.0 1000~2000万円未満 0 40 % 17.3 250~500万円未満 <住宅型ホーム> 2.4 0.0 6 n=423 月払い方式(前払金あり) その他 第2編 契約等に関する調査報告 1.調査の趣旨・概要 本協会では、あるべき有料老人ホームの入居契約書の姿を示すため、標準入居契約書を作成し、 これまでその普及に努めてきた。ところが、昨年度の「多様化する有料老人ホームの契約等に関 する調査」で収集した入居契約書を見ると、本協会の指導が及んでいない非会員の事業者を中心 に、消費者契約法等の観点から検証が必要なのではないかと思われるものが一部に存在する。 そこで、今年度の契約等に関する調査委員会では、標準入居契約書による適切な契約モデルの 提示という従来の取組みから一歩進め、様々なバリエーションの中で、不当性が疑われるのはど のような条項かについて検討を行うこととした。特に今年度は、一般的にも消費者契約法を巡る 論議において焦点が当たる事項の一つであり、かつ本協会でも苦情受付の事例がある問題である、 事業者の解除権を取り上げた。 事業者からの解除事由は、大きく分けて、月額利用料滞納など入居者の債務不履行を理由とす るものと、それ以外の事業運営上の理由によるものとがある。 債務不履行があった場合には、民法 541 条等においても相手方には解除権が認められており、 あまり大きな問題にはならないと考えられる。本協会がこれまで受け付けた事業者の契約解除に 関する苦情でも、入居者の債務不履行を理由とする解除についての苦情は見当たらない。 一方、事業運営上の理由に基づく解除事由については、そのような解除事由を設定することの 合理性やアカウンタビリティの問題となり、事業者としては十分にそれらに注意しなければ、入 居者との間でトラブルとなる。そこで、事業運営上の理由に基づく解除事由のうち、特に注意を 要すると思われる「①入院期間長期化を理由とする解除」 (重度の医療行為が必要となり有料老人 ホームのサービスの限界に至る場合ではなく、単純に入院期間が一定期間に至ることを解除事由 とする条件)と「②他の入居者等の生命・身体への危害の恐れを理由とする解除」について考察 し、整理を行った。 2.入院期間長期化を理由とする事業者の解除権に関する契約書実態調査及び考察 入院期間長期化を理由とする解除については、契約書実 長期入院や入院治療が必要になった場合による 態調査の結果、1 割のホームで入居契約において解除事由 解除条件の設定有無 に設定していることが判明した。 総数=665 不明 あり 0.0% 13.2% 入院期間長期化を理由とする解除権を事業者に留保する ことについては、前払金のある契約においては、次の点か ら、不当性を疑われる可能性があると考えられる。 ・前払金方式を選択する合理的理由は、想定を超えて長 なし 86.8% 生きしても家賃相当額の負担に一定のキャップがかか るメリットを期待していることにあること。 ・事業者の立場からすれば、前払金方式を設定する理由の一つは、そのようなメリットを入居 希望者にアピールすることにあること。 ・事業者からの解除権は、そのような期待及び事業者のアピールと対立関係にある契約条件で あるため、入居者側に相応の帰責事由がある等、必要最小限の場合に限定されるべきである が、入院期間長期化を理由とする解除が必要最小限の契約条件といえるのか、疑義が生じる 可能性があること。 7 3.他の入居者等の生命・身体への危害の恐れを理由とする事業者の解除権に関する 契約書実態調査及び考察 契約書実態調査によれば、97%弱のホームの入居契約において、他の入居者等の生命・身体への 危害の恐れを理由とする事業者の解除権を定めている。また、この解除権を定めている契約書の うち、約 8 割が、「他の入居者への生命・身体への危害の恐れ」に加え、入居者の行動がホームの 通常のサービスでは防止できないことを加重要件として定めている。 この解除権については、予告期間の設定等の一般的な解除手続きに加え、 「医師の意見聴取する こと」 「一定の観察期間を設定すること」を定めていることが多い。契約書実態調査によると、こ の解除権を定める契約書のうち 8 割がそのような手続きを定めている。 他の入居者等の生命・身体は、絶対的に保護されるべき法益であることから、その保護を優先 するという目的については、不合理はないと考えられる。ただし、他の入居者等の生命・身体へ の危害の恐れが生じるか否かについては、事業者の対処の度合いによっても違ってくるため、入 居契約において解除事由を単に「他の入居者等の生命・身体への危害の恐れがある場合」と定義 しただけでは、客観性に欠けるものと考えられる。 また、要介護者対応の有料老人ホーム事業者は、介護のプロフェッショナルとして認知症によ る入居者の行動・心理症状等にも対処できることが期待されることから、相応の対処をした上で もリスク回避ができないという場合に限って、解除権に合理性は認められるものと考えられる。 従って、解除条件としては、「通常の介護方法及び接遇方法ではこれを防止することができない」 等の要件も明記されるべきである。 更に、通常の介護方法等では防止できないか否かを判断するには、認知症の方の行動やそれに 対する対処方法についての専門的な知識を要するものと考えられる。すなわち、解除権実行の適 否を判断するための情報や知識が事業者側に偏在しており、その格差を埋めるための何らかの手 当てがなければ、その判断における交渉力の点においても事業者側に有利となってしまい、公平 な契約とはいえないものと考えられる。従って、その格差を埋めるために、弁明の機会付与や一 定の観察期間の設定に加えて、医師の意見を取り付ける等、中立な立場にあり、かつ一定の専門 性のある第三者を、解除権実行までのプロセスに介在させるよう定めるこがことが必要であると 考えられる。 「他の入居者等への危害やその恐れがある 場合」における解除手続きの設定有無 共同生活阻害行為(他の入居者等への生命・身体への 危害を含む。)による解除条件の設定有無 なし 3.2% 不明 0.0% 加重要件(通常のサービスでは 防止できない場合)の有無 なし 19.6% 総数=665 なし 20.3% 不明 0.0% あり 96.8% 総数=562 総数=644 不明 0.0% あり 80.4% ※対象は、 「共同生活阻害行為によ る解除条件の設定有無」につい て「あり」と回答した 644 件 8 あり 79.7% ※対象は、「他の入居者等への危 害やその恐れがある場合」を解 除要件として設定しているホ ーム 562 件