Comments
Description
Transcript
ケースPCブレスト
乳腺疾患における画像検査の役割とその実際評価 -フィードバック評価北福島医療センター 画像センター ○平井 和子 宗田 忍 (Hirai Kazuko) (Sohta Shinobu) 小池 沙織 (Koike Saori) 北福島医療センター 乳腺疾患センター 君島 伊造 (Kimijima Izoh) 【目的】 近年の検査機器の発達により、乳腺疾患における画像検査の担う役割が広がりつつある。今回、乳癌術 後結果と画像診断による術前予測とを比較検討し、その内容を基に、マンモグラフィ(MMG)・超音波検査 (US)・マルチディテクタローCT(MDCT)・MRI における描出・診断能の特徴とその検査役割について検討 を行ったので報告する。 【方法】 実際に手術を行った乳腺専門医の協力を得て、乳癌の術後結果から、術前に行なわれた各モダリティ ごとの画像診断の予測を対比し、どの程度一致していたのか、検討した。 【機器】 CT Siemens Sensation Cardiac 16 MR Philips GyroScan Nova Dual MMG Siemens MAMMOMAT3000 Nova US Siemens Acuson Sequoia 512 【対象】 平成 14 年 12 月~平成 15 年 4 月に乳癌手術を行ない、MMG・US・MDCT・MRI のすべての検査を行っ た23症例。平均年齢53歳。 【比較検討内容】 <MMG・US> 術後標本画像とほぼ同等の腫瘤や石灰化像をその術前画像に確認することができたかどうか? MMGのCC画像。右乳房にスピキュラを伴う腫 瘤が確認でき、明らかに悪性を疑う US 画像。辺縁不整、内部不均一、 縦横比等から、明らかに悪性を疑う <MDCT・MRI> 乳管内進展や多発性病変などの広がり診断が術後結果とどの程度一致したか? MDCT VR 画像 MDCT:souse 画像の他にボリュウムレンダリング画像も 含めた評価。 乳房内の腫瘤とそこに伸びる腫瘍血管が明瞭。また、腋窩リン パ節の転移も明らか。 当センターでは、手術担当医師の手元のPCで、この画像を自 由に確認できるネットワークを整備。術前のシミュレーションとし て不可欠と評価されている。 MR MIP 画像 MRI:souse画像の他にMIP画像も含めた評価。 乳房内の腫瘤とそこに伸びる腫瘍血管が明瞭。 【結果】 MMG と US で病巣を同定できた割合 MMG US MMGとUS 83% 91% 100% MMGとUSのどちらかの検査で必ず同定できたことがわ かる。MMGはデンスブレストで腫瘤が同定できない、 USは微細石灰化のみのため同定できないなどが、主な 要因。 術後結果と MDCT/MRI の造影範囲の比較 MDCT=MRI MDCT>MRI MDCT<MRI 70% 13% 17% MDCTとMRIは、全症例病巣が造影され、術後結果と比 較し、CTとMRがほぼ一致していた例が70%、CTの方 が有用だった例が13%、MRの方が有用だった例が 17%であった。 [ケース1] MDCT>MRI (MDCTの方が有用であった例) MMG US MDCT MRI 微細石灰化のみ、分布は区域性 同定不可 充分な浸潤範囲を描出 病巣の1部のみ濃染 MRI の T1、T2 強調画像で病巣が同定されなかったため造影の際の撮影位置が特定できなかっ たことによるものと思われる。MDCT は、MR に比べ、最適な造影タイミングをとりやすく、空間分解 能に優れていると思われる。 [ケース2] MMG US MDCT MRI MDCT<MRI (MRI の方が有用であった例) スピキュラを伴う腫瘤、線状に分布する微細石灰化 辺縁不整、内部不均一、豊富な血流 スピキュラの1部が胸壁の筋に達していることが確認できた そのスピキュラに約 5mm の結節を伴い、大胸筋に接していることが確認できた MRI は、コントラスト分解能に優れ、広がり診断や多発性病変に有効であることが確認認できた 症例である。 【考察・まとめ】 ○MMG や US は、その形状から、良悪性の判断をすることが可能なため、乳腺の画像診断の中心的役 割を担っている。 ○コントラスト分解能に優れる MRI と空間分解能に優れる MDCT は、乳腺領域にそれぞれ有用であると 思われるが、その特性を充分に把握し、適切な画像を提供しなくてはならない。 ○MDCT の撮影体位が手術体位に近いため、MDCT の広がり診断を有用にするとともに手術シミュレー ションに大きく貢献している。 今回のフィードバック評価によって、それぞれのモダリティによる“視点”を把握することができた。各モダ リティの持つ役割・分担の把握は、患者さんへの重要な情報提供であるとともに、確実な縮小手術に貢献 するものと期待できる。 【参考文献・図書】 1) 映像情報Medical Vol.35 No.8 産業開発機構株式会社