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各種方式携帯電話の植込み型医療機器および病院内医用機器に対する

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各種方式携帯電話の植込み型医療機器および病院内医用機器に対する
電波の医用機器等への影響に関する
調査研究報告書
平成14年3月
社団法人
電波産業会
はじめに
電波利用が急速に発展する中、携帯電話端末等の無線設備から発射される電波が医用機器
等に誤動作を引き起こす可能性については、医療関係者のみならず、国民の関心が高まって
いる。しかし、最近の技術の進歩に伴う医用機器自身の妨害電波排除能力の向上により、医
用機器が誤動作を起こす可能性が減少していると考えられる。このため、最新の実証実験に
よる正しい情報を国民に提供し、電波に対する不安を解消することが必要となっている。
携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響については、不要電波問題対
策協議会が、平成7年度から平成8年度にかけて詳細な実証実験を実施し、その調査をもと
に平成9年3月に「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用等
に関する指針」を策定し、平成9年4月に詳細な調査結果等を調査報告書「携帯電話端末等
の使用に関する調査報告書∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼」として取り
まとめている。
その中で、医用電気機器等への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関す
る指針として、病院内での携帯電話端末等の使用や植込み型心臓ペースメーカ装着者に対す
る指針などが示され、国民が安心して携帯電話端末等を利用できる電波環境の確保に大きく
寄与しているところである。しかしその後、符号分割多元接続(CDMA)方式の新しい携帯
電話サービスが開始されていること、病院内においても情報化の要求の高まっていること、
心臓ペースメーカ始め医用機器自身の妨害電波排除能力が向上していること、さらに、植込
み型除細動器についても、装着者が徐々に増加しつつあることなど、携帯電話端末等の無線
設備及び心臓ペースメーカ等の医用機器の双方において状況が変化している。
このような状況の下、総務省(旧郵政省)は、新型端末を含む携帯電話端末等から発射さ
れる電波が医用機器等に及ぼす影響に関する調査研究をすることとし、その調査研究を社団
法人電波産業会に委託した。
当会では、携帯電話端末等から発射される電波が医用機器等に及ぼす影響について調査研
究を行い、その調査研究の結果から新たな指針等の策定に資することを目的として、平成1
2年度に「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」を設置した。当調査研究会では、
携帯電話端末等を利用する電波環境の状況の変化を考慮して、平成12年度及び平成13年
度に植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器について、従来のPDC方式携帯電話、
PHSに加えて、CDMA方式による新しい携帯電話に対する調査研究を行うこととした。
また、平成13年度には、病院内で情報化の要求の高まり及び新方式の携帯電話を始めと
する各種小電力無線システムの発展、等を考慮し、病院及び電波暗室において、旧型及び新
型の医用機器への、低出力電力に設定可能な新方式の携帯電話端末を主とした無線システム
の電波の影響についても調査研究を行うこととした。
新たに試験対象とした植込み型除細動器及び新方式の携帯電話端末については、現在の指
針が妥当であることの確認、及び不要電波問題対策協議会による前回の実証実験以降に発売
された新機種の植込み型心臓ペースメーカについては、現在の指針の下で安心して携帯電話
端末等を利用できる電波環境が維持されていることの再確認、さらに病院内における医用機
器について、最近の無線システムに対しても、現在の指針の下で十分に安全が確保されてい
ることの確認、及び病院内における無線システム導入の可能性を検討することを目的として、
調査研究を行った。
本報告書は、これら平成12年度及び13年度の調査研究結果を取りまとめたものである。
電波の医用機器等への影響に関する調査研究報告書
目
次
はじめに
第Ⅰ編
携帯電話端末等の電波が心臓ペースメーカへ及ぼす影響の検討
第1章 携帯電話端末から発射される電波による心臓ペースメーカへの電磁干渉実験
1.1
試験方法
1.2
試験装置の構成
1.2.1
人体ファントムと被試験ペースメーカ(植込み型除細動器)の設置法
1.2.2
ペースメーカ(植込み型除細動器)の動作監視および信号注入用の電極
1.2.3
携帯電話及び標準ダイポールアンテナの設置法と動作
1.2.4
その他測定機器
1.3
試験手順
1.3.1
被試験ペースメーカおよび除細動器のプログラム設定
1.3.2
被試験ペースメーカおよび除細動器の動作状態
1.3.3
照射電波と変調フォーマット
1.3.4
アンテナとペースメーカの位置関係
1.3.5
干渉の有無の判定
1.3.6
試験手順のフロー
参考文献
第2章 試験結果に基づく心臓ペースメーカの誤動作の分析
2.1
ペースメーカが受ける影響
2.1.1
干渉の観測例
2.1.2
800MHz帯PDC携帯電話による試験結果
2.1.3
1.5GHz帯PDC携帯電話による試験結果
2.1.4
PHS携帯端末による試験結果
2.1.5
FOMA携帯電話による試験結果
2.1.6
cdmaOne及びCDMA2000
1x携帯電話による試験結果
2.1.7
2.2
電波照射方法と干渉の発生距離の関係
除細動器が受ける影響
2.2.1
2.2.2
干渉の観測例
800MHz帯PDC携帯電話による試験結果
2.2.3 1.5GHz帯PDC携帯電話による試験結果
2.2.4
PHS携帯端末による試験結果
2.2.5
FOMA携帯電話による試験結果
2.2.6
cdmaOne及びCDMA2000
2.2.7
電波照射方法と干渉の発生距離の関係
1x携帯電話による試験結果
第3章 障害発生防止のための対応について
3.1
心臓ペースメーカへの電波の影響を防止するための指針
3.2
着目すべき電波環境等の変化
3.3
今回の調査結果
3.4
現行指針の妥当性
第Ⅱ編
病院内での医用機器と無線システムとの共存の可能性の検討
第1章 病院内医用機器のイミュニティ試験
1.1
試験方法
1.2
医用機器障害の分類(カテゴリー)
1.3
医用機器
1.4
電波発射源
第2章 医用機器の使用される環境を考慮したイミュニティ評価と無線機器使用可能範囲
の検討
2.1
概要
2.2
病院内の医用機器
2.2.1
対象病院
2.2.2
対象医用機器
2.2.3
干渉試験結果
2.3
日医機協各社提供の医用機器(植込み型医用機器を除く)
2.3.1
対象医用機器
2.3.2
干渉試験結果
2.4
今回の調査結果
2.4.1
新無線通信サービスが医用機器に及ぼす影響
2.4.2
電波発射源毎の影響総合評価
第3章 医療機関における無線システム導入に向けた検討課題
3.1
障害事例
3.2
本調査結果と不要協調査結果の関係
3.3
現行指針との整合
3.3.1
現行指針の内容
3.3.2
現行指針の妥当性
3.4
医療機関における無線通信システム導入に向けた検討課題
参考文献
付録 補聴器の干渉試験
おわりに
付属資料
(1)「∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼携帯電話端末等の使用に関
する調査報告書」(不要電波問題対策協議会)抜粋 pp.3-8
(2)「∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼携帯電話端末等の使用に関
する調査報告書」(不要電波問題対策協議会)抜粋 pp.46-48
(3)ペースメーカモードの説明
(4)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」設置要綱
(5)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」ペースメーカ分科会設置要綱
(6)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
会設置要綱
(7)審議経過
病院内無線システム利用分科
第Ⅰ編
携帯電話端末等の電波が心臓ペースメーカへ及ぼす影響の検討
携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響については、不要電波問
題対策協議会が、平成7年度から平成8年度にかけて詳細な実証実験を実施し、その調査
をもとに平成9年3月に「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等
の使用等に関する指針」を策定し、平成9年4月に詳細な調査結果等を調査報告書「携帯
電話端末等の使用に関する調査報告書∼医用電気機器への電波の影響を防止するために
∼」として取りまとめている。
その中で、植込み型心臓ペースメーカに対しては、「携帯電話端末の使用及び携行に
当たっては、携帯電話端末を植込み型心臓ペースメーカ装着部位から22cm程度以上離
すこと。」などの指針が示され、国民が安心して携帯電話端末等を利用できる電波環境の
確保に大きく寄与しているところである。しかしその後、符号分割多元接続(CDMA)方
式の新しい携帯電話のサービスが開始されたこと、心臓ペースメーカ等の医用機器自身の
妨害電波排除能力が向上していること、さらに、植込み型除細動器についても、装着者が
徐々に増加しつつあることなど、携帯電話等の無線設備及び心臓ペースメーカ等の医用機
器の双方において状況が変化している。
このような状況の下で、携帯電話端末等から発射される電波が植込み型心臓ペースメー
カ及び植込み型除細動器に及ぼす影響について、新方式携帯電話サービスの開始等の電波
環境の変化も考慮した調査研究を行い、不要電波問題対策協議会による前回の実証実験以
降に発売された新機種の植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器について、「2
2cm」の指針が妥当であることの確認、及び現在の指針の下で安心して携帯電話端末等を
利用できる電波環境が維持されていることの再確認を目的として、調査研究を行った。
具体的には、平成12年度には、不要電波問題対策協議会による実証実験以降に発売さ
れた新機種の植込み型心臓ペースメーカと、植込み型除細動器について、従来のPDC方
式携帯電話、PHSに加えて、信号発生器及び標準ダイポールアンテナを用いて発生させ
たCDMA方式による新しい携帯電話の電波に対しても試験を実施した。
平成13年度は、引き続き平成12年度の試験以降発売された新機種についての試験及
び新方式の携帯電話端末実機についての試験を行い、試験データの蓄積及び新方式携帯電
話端末実機による確認試験を実施した。
本編は、携帯電話端末等の電波が植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器に及
ぼす影響に関する調査研究結果を取りまとめたものである。
- 1 -
第1章
携帯電話端末から発射される電波による心臓ペースメーカへの
携帯電話端末から発射される電波による心臓ペースメーカへの電磁干渉試験
ペースメーカへの電磁干渉試験
携帯電話による植込み型心臓ペースメーカ(以下ペースメーカと呼ぶ)および植込み型
除細動器への影響調査を行なう方法を以下のように定める。今回の調査では、平成9年4
月の「不要電波問題対策協議会」の報告書で扱われているデータとの整合性が失われない
よう注意が払われたものとなっている。
すなわち、ペースメーカが人体内に装着されたのと同等の環境を再現するため、前回、
海外での同様の調査試験の方法を参考に、それらと互換のデータが採取できるように製作
した人体ファントムを今回も使用する。また、携帯電話の実機のアンテナは、標準ダイポ
ールアンテナと比較すると、電波の放射効率が低く、携帯電話の機種によっても、実際の
効率が異なっていることから、前回、最悪条件を設定するため採用した、標準ダイポール
アンテナによる試験を、今回も行うこととする。
また上記報告書での調査対象はペースメーカのみであったが、今回は植込み型除細動
器の試験も含めて行うこととする、また同様に、携帯電話の方式として、PDC、PHS
に加え、W-CDMA、CDMAおよびCDMA2000
1x(800MHz帯)によ
る試験も追加する。
1.1
試験方法
通信中の携帯電話は、基地局からの指令により、出力が通信に必要十分な電力に制御さ
れる。このため、通常の通信状態では、必ずしも最大電力の電波を発射しているとは限ら
ず、電力が毎回一定となる保証も無い。このため、本調査では試験データの再現性を確保
するため、専用の制御器を用いて送信条件を一定にし、常に最大電力を発射させることに
する。この携帯電話の電波が外部に漏れると、現実の携帯電話の回線に無用の混乱を招く
おそれがあるため、外部に電波が漏れない施設内で試験を行うこととする。
また、最悪条件を設定するために、携帯電話実機より高い利得を有する標準ダイポール
アンテナを用いて、高周波発生器で携帯電話と同一の変調フォーマットの高周波を発生さ
せ、高周波パワーアンプで所定の電力まで増幅して給電する方法での試験も行う。実機に
- 2 -
よる試験は、この方法で干渉を受けたペースメーカに対して行う。
1.2
試験装置の構成
1.2.1
人体ファントムと被試験ペースメーカおよび植込み型除細動器の設置法
被試験ペースメーカあるいは植込み型除細動器は、人体組織による電波の減衰、電磁干
渉に起因する人体内での電流の誘起等をシミュレーションするため、図1. 1に示すよう
な 0.18重量% の食塩水を満たした人体ファントム(水槽)内に設置する。ペースメーカ
および植込み型除細動器には、通常通り電極を接続し、水深 18mm に置かれたペースメー
カ保持板上に設置する。また電極は、それぞれ専用電極の使用を原則とし、専用電極を有
していない機種の場合は Medtronic 社の電極を使用することとする。
1.2.2
ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作監視および信号注入用の電極
ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作状況の監視、記録、さらにペースメーカお
よび植込み型除細動器に擬似心電位信号を入力するために、図1. 1に示すようなペース
メーカ保持板上に設置した、ステンレス・ボルトによる電極を用いる。
(1) ペースメーカおよび植込み型除細動器のの動作状況の監視、記録用電極
心房、心室、両ペーシング電極の先端部の中間に一つの検出電極を設置し、ペースメー
カおよび植込み型除細動器が双極の場合は、同じく両不関電極の中間にもう一つの電極を
設置し、ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作状況の監視、記録を行う。ペースメ
ーカおよび植込み型除細動器が単極の場合は、第2の電極の代りに、ペースメーカおよび
植込み型除細動器本体近くに設置した電極を使用する。
(2) 擬似心電位入力用電極
ペースメーカおよび植込み型除細動器が双極の場合は、心房用ペーシング電極の近くの、
心室電極と反対側の電極先端部近くに設置した一つの電極と、不関電極の近くに同様に設
置したもう一つの電極を用い、ペースメーカおよび植込み型除細動器が単極の場合は、こ
の電極の代りに、先に述べたペースメーカおよび植込み型除細動器本体近くの動作監視用
電極を共用する。これらのステンレス・ボルト電極は、ペーシング電極と直接接触しない
よう配置する。
- 3 -
単極用検出電極
動作監視用電極
250
擬似心電位注入用電極
ペースメーカ保持板
500
18
70
0.18重量% 食塩水
単位 mm
ペースメーカ協議会
図1. 1
人体ファントム
- 4 -
提供
1.2.3
携帯電話及び標準ダイポールアンテナの設置法と動作
電波発射源としては市販されている携帯電話を用いることを基本とするが、参考として
標準ダイポールアンテナについてもデータを取得する。
(1) 携帯電話
携帯電話は、市販されているいくつかの機種から最も放射効率の良いものを各方式毎に
1機種選定して使用している。実際の携帯電話のアンテナ利得は、-2dBd(完全半波長ア
ンテナに対する相対利得)程度とされている[1]。携帯電話の送信出力、周波数の設定は、
基地局シミュレータおよび外部制御器(送受信動作を制御するもので、ケーブルを用いて
携帯電話と外部制御器を接続する)で行う。なお、断続で電波を照射する場合は、外部制
御器を用いる。
(2) 標準ダイポールアンテナの基本諸元
使用した標準ダイポールアンテナの基本諸元を表1. 1に示す。
(3) ポジショナー
ダイポールアンテナまたは携帯電話は、塩化ビニール製のポジショナーに固定する。こ
のポジショナーは x、y、z の各方向に 1mm の単位で携帯電話の位置を固定でき、これによ
りペースメーカとの距離を調節することができる。
- 5 -
表1. 1 試験に使用した標準ダイポールアンテナ
名称
VSWR
製造メーカ
中心周波数 最大利得
(中心周波数)
型名
帯域幅
接栓および公称入
利得校正
力インピーダンス
900MHz帯ダイポ 電気興業製
ールアンテナ
DP-900
948MHz
2.4dBi
1.45
40MHz
(VSWR1.5以下)
N型、50Ω
米国NIST
1.5GHz帯ダイポ 電気興業製
ールアンテナ
DP-1500
1441MHz
1.9dBi
1.3
100MHz
(VSWR1.5以下)
N型、50Ω
米国NIST
1.9GHz帯ダイポ 電気興業製
ールアンテナ
DP-1900
1906MHz
2.0dBi
1.3
100-150MHz
(VSWR1.5以下)
N型、50Ω
米国NIST
2GHz帯ダイポー 電気興業製
ルアンテナ
DP-1920
1920MHz
2.0dBi
1.1
100-200MHz
(VSWR1.5以下)
N型、50Ω
米国NIST
- 6 -
1.2.4
その他測定機器
図1. 2は、今回使用する試験装置の全構成を示したものである。今回の試験のために
使用する測定器とその使用目的は次のようなものである。
(1) 波形発生器1:NF回路設計ブロック製、モデル1920/1940
擬似心電位信号としてペースメーカおよび植込み型除細動器に入力する Sine 二乗波を
発生するために使用する。
(2) オシロスコープ
ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作監視および Sine 二乗波の監視に使用する。
(3) 直記式記録計
ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作記録に使用する。
(4) 波形発生器2
携帯電話が基地局に対して位置登録要求を行なう等、携帯電話の電波の発射を制御する
ために使用する。
(5) 高周波発生装置(疑似携帯電話信号発生器)
疑似携帯電話信号発生器としては、アンリツ社製Model 3660A、アジレントテクノロジ
ー社製Model E4437Bを用いている。携帯電話と同一の変調フォーマットの高周波を発生さ
せるために使用する。
(6) 高周波パワーアンプ
高周波を所定の電力まで増幅し、標準ダイポールアンテナに給電するために使用する。
- 7 -
波形発生器2
高周波発生装置
直記式記録計
高周波パワーアンプ
波形発生器1
オシロスコープ
標準ダイポールアンテナ
Z+
Y+
X+ 被試験ペースメーカ
(除細動器)
人体ファントム(水槽)
ペースメーカ保持板
ペースメーカ協議会
図1. 2
試験装置の構成
- 8 -
提供
1.3
試験手順
1.3.1
試験ペースメーカおよび植込み型除細動器のプログラム設定
(1) 感度設定を最大感度、レート設定は 60ppmとし、その他はそのペースメーカおよび植
込み型除細動器の標準設定とする。
(2) 電極を単極と双極にプログラム出来る機種では、もっとも高い感度を採用できる極性
で試験を行う。
(3) DDD/DDDR モードの機種では、電極接続は通常の DDD 接続とし、試験は結果判定を
容易にするため AAI、VVI、またはAAIR、VVIR の両方のモードで行うこととする。
1.3.2
被試験ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作状態
(1) ペースメーカおよび植込み型除細動器が無信号入力で、設定レートでパルスを発生し
ている状態で電波を照射(Inhibition 試験)。ペースメーカが電波の干渉を受けないで
正常に動作しているときに試験系で観測されるペーシングパルスを図1. 3に示す。
(2) ペースメーカおよび植込み型除細動器がレート 80ppm の Sine 二乗パルスを感知し、
出力パルスが抑制されている状態で電波を照射する。この時、Sine 二乗波のパルス幅は
25ms、周期を 0.75s (1.33Hz)とし、振幅は、ペースメーカおよび植込み型除細動器が反
応する最小振幅の約2倍とする(Asynchronous 試験)。ペースメーカが電波の干渉を受
けずに正常に動作しているときの試験系でペーシングパルスが抑制されている様子を図
1.4(a)に示す(記録されている波形はSine二乗パルスである)。同図(b)と(c)はそれ
ぞれ注入したSine 二乗パルスの電圧軸および時間軸を拡大したものでる。
- 9 -
電圧振幅
時間 [秒]
電圧振幅
図1. 3 ペーシングパルス観測波形(レート設定:60ppm)
時間 [秒]
電圧振幅
(a) Sine二乗パルスを注入した際の記録
(Sine二乗パルスのみ記録されている)
時間 [秒]
電圧振幅
(b) 注入したSine二乗パルスの電圧軸拡大図
時間 [秒]
(c) 注入したSine二乗パルスの時間軸拡大図
図1. 4 疑似心電位注入時のペーシングパルス観測波形
- 10 -
1.3.3
照射電波と変調フォーマット
前回からの調査により、干渉はペースメーカ本体のコネクター部での照射電波の強さ、
発射条件(連続照射、断続照射等)、偏波方向、搬送波周波数、変調フォーマット、に依
存することが報告されている。今回のこれらの条件は次の通りである。
(1) 電波は、ポジショナーに固定された標準ダイポールまたは携帯電話から照射する。人
体が近傍にある場合、その吸収効果により、放射方向でのアンテナ利得は自由空間の場
合より数十%以上低下することが確認されている[1]。従って、通常の通話状態で人体が
近傍に無い条件は、過大側の評価を可能にする。また、直方体の人体ファントムは過大
側の評価を与える[2]
(2) 電波照射がペースメーカの動作周期(心拍周期)やそれに近い周期で断続する場合に、
電磁干渉(EMI)が大きくなることが確認されている。そこで、図1. 5(a)、(b)に示
すように連続照射と、周期 0.6 秒から 1.2 秒で照射を断続する断続照射の二つの条件を
設定している。
(3) アンテナ給電電流方向が、ファントムに平行(x-y)面で x 軸に平行(ペースメーカ
端子軸方向)、y 軸に平行(ペースメーカリード軸方向)およびその中間方向となるよ
うに設定する(図1. 2)。
(4) 電波の搬送波周波数については、各帯域内において、周波数による干渉影響の差がほ
とんどみられないことから、携帯電話実機では、帯域内の一つの周波数で試験を行う。
また、標準ダイポールアンテナは、利得が最大となる中心周波数で試験を行う。
(5) 変調信号フォーマットとして、電波産業会(ARIB)の標準規格(STD-27、STD-28、
STD-T63、STD-T53)に定められた方式諸元を適用する。表1. 2に各方式の変調信号の
諸元を示す[3][4][5]。図1. 6は各方式における送信信号の時間波形例(連続照射)を示
している。PDC 携帯電話、PHS 端末はバースト波であり、バースト内の包絡線は変動し
ている。W-CDMA 携帯電話、CDMA 携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz 帯)携帯電話は連続波で
あり、包絡線は変動している。
- 11 -
電波の振幅
時間
電波の振幅
(a) 連続照射
時間
約1秒
(b) 断続照射
図1. 5 電波の照射方法
- 12 -
表1. 2 本調査研究の対象とした携帯電話・PHS端末の無線諸元
ARIB標準規格名
(規格番号)
デジタル方式自動車
電話システム
(STD-27)
第二世代コードレ
ス電話システム
(STD-28)
IMT2000 DS-CDMA
System
(STD-T63)
CDMA方式携帯
自動車電話システム
(STD-T53)
方式名
PDC
PHS
W-CDMA
CDMA/CDMA2000 1x
(800MHz帯)
サービス名または通称
PDC
PHS
FOMA、他
cdmaOne
本報告書携帯端末名
PDC携帯電話
PHS端末
W-CDMA携帯電話
CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
送信周波数帯域
800MHz帯
1.5GHz帯
1.9GHz帯
2GHz帯
800MHz帯
アクセス方式
デュープレクシング
TDMA/FDMA
FDD
TDMA/FDMA
TDD
CDMA
FDD
CDMA
FDD
4
可変
64/128
1キャリア当たりのチャ 3(full rate CODEC)
ネル数
6(half rate CODEC)
TDMAフレーム周期
20ms(full rate
CODEC)
40ms(half rate
CODEC)
5ms
------
------
キャリア占有帯域幅
25kHz
300kHz
5MHz
(200kHz単位で可変)
1.25MHz
変調方式
π/4シフトQPSK
π/4シフトQPSK
1次変調 : PSK
2次変調 : 直接拡散
1次変調 : PSK
2次変調 : 直接拡散
キャリア変調速度
42kbps
384kbps
3.84Mcps
(チップレート)
1.2288Mcps
(チップレート)
バースト出力
800mW
80mW
250mW
200mW
平均出力
266mW(full rate
CODEC)
133mW(half rate
CODEC)
10mW
250mW
200mW
送信電力制御
-4dBステップ
最大-20dB
無し
(一部で-10dB)
定常送信時
包絡線
基本周波数
50Hz(full rate
CODEC)
25Hz(half rate
CODEC)
200Hz
- 13 -
-1dBステップ
-1, -2, -3dBステッ
73dB以上/0.5dBステップ
プ65dB以上
最大73dB
------
------
6.7ms
振幅
0.625ms
10ms
振幅
10ms
200µs
20µs
(a) PDC携帯電話の送信波形
(フルレートの場合)
振幅
振幅
(b) PHS端末の送信波形
4µ s
4µs
(c) W-CDMA携帯電話の送信波形
(d) CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)
携帯電話の送信波形
図1. 6 試験に用いた携帯電話の送信波形例(連続照射)
- 14 -
1.3.4
アンテナとペースメーカの位置関係
ダイポールアンテナが電波を照射している場合、アンテナには定在波がたち、アンテナ
の給電点(中央部)では磁界、アンテナの先端部では電界の、それぞれがもっとも強くな
る。前回の調査では、磁界の影響が支配的であったため、今回はアンテナ中央部での結合
に着目して試験を行った。
(1) 磁界試験では、標準ダイポールアンテナ、実機とも、給電点(ダイポールアンテナで
は中央部、実機ではアンテナの付根近辺の筐体表面で、磁界強度を実測して決定)を基
準点とする。また、アンテナとペースメーカおよび植込み型除細動器の角度を 0 度(ペ
ーシング電極走行方向に平行)から90 度(電極走行方向に直角)の範囲で行う。
(2) ペースメーカおよび植込み型除細動器では、単極コネクターの場合は、電極リードの
ピンとコネクターの接続部。双極コネクターの場合は、2つの接続部の中央を基準点と
する。
(3) ペースメーカおよび植込み型除細動器とダイポールアンテナおよび実機の距離を表す
ために、図1. 2に記入した方向に X、Y、Z の各座標を設定した。原点はペースメー
カおよび植込み型除細動器基準点の直上の水表面に一致させる。
(4) ダイポールアンテナ、および実機が、ペースメーカおよび植込み型除細動器に干渉を
生じる距離は上記座標内のアンテナとペースメーカおよび植込み型除細動器両者の基準
点間の距離を測定して記録する。
1.3.5
干渉の有無の判定
(1) Inhibition試験では、被試験ペースメーカおよび植込み型除細動器に所定のフォーマッ
トの電波の照射を開始して、25∼30 秒間ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作
を記録し、この観察期間内にパルスの抑制、あるいはパルス間隔の延長が 1 パルス で
も認められた場合、再度同一条件で試験を行い、再現性があれば干渉されたと判定する。
(2) Asynchronous試験では、所定のフォーマットの電波の照射を開始して、やはり 25∼30
秒間ペースメーカおよび植込み型除細動器の動作を記録し、観察期間内に、パルスの発
- 15 -
生が 1 パルス でも認められた場合、再度同一条件で試験を行い、再現性があれば干渉
されたと判定する。
(3) 植込み型除細動器の試験では、上記Inhibition /Asynchronous 試験において、ショック電
流のための、コンデンサーの充電が開始された場合、あるいはそのショック電流が放電
された場合は干渉されたと判定することとする。
1.3.6
試験手順のフロー
携帯電話端末がペースメーカ及び植込み型除細動器に与える影響の試験手順のフローを
図1. 7∼図1. 12に示す。以下に各試験に共通の要点を記す。
① ペースメーカ、植込み型除細動器を無信号入力状態にする。
② 試験しようとする形式の電波をダイポールアンテナで、再接近距離から照射す
る。
③ 刺激出力が1パルスでも抑制、周期延長が認められたら(植込み型除細動器で
は、ショックの発生の有無を確認する)、アンテナまでの距離を変え、影響の
出なくなる距離を求める。
④ ペースメーカ、植込み型除細動器に感度閾値の2倍の振幅のサイン二乗波を入
力する。
⑤ 試験しようとする形式の電波をダイポールアンテナで、再接近距離から照射す
る。
⑥ 刺激出力が1パルスでも発生されたら(植込み型除細動器では、ショックの発
生の有無を確認する)、アンテナまでの距離を変え、影響の出なくなる距離を
求める。
⑦ 上記で影響があったペースメーカ、植込み型除細動器については、実機で①∼
⑥の試験を繰返す。
- 16 -
開始
ペースメーカ動作条件を設定
注1: 800MHz帯PDCの場合は、800MHz帯ダイポール、
1.5GHz帯PDCの場合は1.5GHz帯ダイポール
電波発射条件の設定
アンテナ:注1
方式:PDC
アンテナ入力:0.8W
連続/断続:断続
注2: INの発生とはInhibition試験におけるパルス抑制およびパルス間
隔延長の発生
ASの発生とはAsynchronous 試験におけるパルスの発生
: 繰り返す手順
INとAS発生の観測(注2)
INの発生
Yes
No(発生無し)
(注2)
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
INの発生
No
Yes
発生距離を測定
Sine二乗波 を注入してペーシ
ングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
No
ASの発生
(注2)
Yes
電波発射条件の設定
アンテナ:携帯電話実機
方式:PDC
アンテナ入力:0.8W
連続/断続:断続
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
INとASの
発生の観測
No
ASの発生
Yes
発生距離を測定
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 7 800MHz帯・1.5GHz帯PDC携帯電話がペースメーカに与える影響の試験手順
- 17 -
開始
ペースメーカ動作条件を設定
電波発射条件の設定
アンテナ:1.9GHz帯ダイポール
方式:PHS
アンテナ入力:80mW
連続/断続:断続
INとAS発生の
観測(注)
INの発生
No(発生無し)
注: INの発生とはInhibition試験におけるパ
ルス抑制およびパルス間隔延長の発生
ASの発生とはAsynchronous 試験における
パルスの発生
Yes
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
INの発生
No
Yes
発生距離を測定
Sine二乗波 を注入してペーシ
イングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
ASの発生
No
Yes
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
ASの発生
No
Yes
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
発生距離を測定
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 8 PHS端末がペースメーカに与える影響の試験手順
- 18 -
開始
ペースメーカ動作条件を設定
電波発射条件の設定
アンテナ:注1
方式:W-CDMA、
CDMA/CDMA2000 1x(800MHz帯)
アンテナ入力:注2
連続/断続:断続
INとAS発生の
観測(注3)
INの発生
No(発生無し)
注1: W-CDMAの場合は、2GHz帯ダイポー
ル、CDMA/CDMA2000 1x(800MHz帯)
の場合は800MHz帯ダイポール
注2: W-CDMAは、250mW
CDMA/CDMA2000 1x(800mHz帯)は、200mW
注3: INの発生とはInhibition試験におけるパ
ルス抑制およびパルス間隔延長の発生
ASの発生とはAsynchronous 試験における
パルスの発生
Yes
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
INの発生
: 繰り返す手順
No
Yes
発生距離を測定
Sine二乗波 を注入してペーシ
ングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
ASの発生
No
Yes
電波発射条件の設定
アンテナ:携帯電話実機
方式:W-CDMA、
CDMA/CDMA2000 1x(800MHz帯)
アンテナ入力:注2
連続/断続:断続
発生距離を測定
INとASの
発生の観測
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
ASの発生
No
Yes
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
発生距離を測定
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 9 W-CDMA携帯電話、CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話が
ペースメーカに与える影響の試験手順
- 19 -
開始
除細動器動作条件を設定
疑似細動心電図の注入
注1: 800MHz帯PDCの場合は、800MHz帯ダイポール、
1.5GHz帯PDCの場合は1.5GHz帯ダイポール
ショック電流発生を確認
疑似細動心電図の注入停止
注2: INの発生とはInhibition試験におけるパルス抑制およびパルス間
隔延長およびショック電流の発生
ASの発生とはAsynchronous 試験におけるパルスおよびショック電
流の発生
: 繰り返す手順
電波発射条件の設定
アンテナ:注1
方式:PDC
アンテナ入力:0.8W
連続/断続:断続
IN、AS、ショック電流
発生の観測(注2)
No(発生無し)
IN、ショック
電流の発生
(注2)
Yes
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
IN、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
No
Sine二乗波 を注入してペーシ
ングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
AS、ショック
電流の発生
No
Yes
電波発射条件の設定
アンテナ:携帯電話実機
方式:PDC
アンテナ入力:0.8W
連続/断続:断続
発生距離を測定
IN、AS、ショック電流
発生の観測
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
AS、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
No
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 10 800MHz帯・1.5GHz帯PDC携帯電話が植込み型除細動器に与える影響の試験手順
- 20 -
開始
除細動器動作条件を設定
疑似細動心電図の注入
IN、AS、ショック電流
発生の観測(注)
ショック電流発生を確認
疑似細動心電図の注入停止
電波発射条件の設定
アンテナ:1.9GHz帯ダイポール
方式:PHS
アンテナ入力:80mW
連続/断続:断続
No(発生無し)
IN、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
注: INの発生とはInhibition試
験におけるパルス抑制、パ
ルス間隔延長およびショッ
ク電流の発生
ASの発生とはAsynchronous
試験におけるパルスおよび
ショック電流の発生
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
IN、ショック No
電流の発生
Yes
発生距離を測定
Sine二乗波 を注入してペーシ
ングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
AS、ショック
電流の発生
No
Yes
発生距離を測定
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
AS、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
No
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 11 PHS端末が植込み型除細動器に与える影響の試験手順
- 21 -
開始
除細動器動作条件を設定
疑似細動心電図の注入
IN、AS、ショック電流
発生の観測(注3)
ショック電流発生を確認
疑似細動心電図の注入停止
電波発射条件の設定
アンテナ:注1
方式:W-CDMA、
CDMA/CDMA2000 1x(800MHz帯)
アンテナ入力:注2
連続/断続:断続
No(発生無し)
IN、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
注1: W-CDMAの場合は、
2GHz帯ダイポール、
CDMA/CDMA2000 1x(800MHz
帯)の場合は
800MHz帯ダイポール
注2: FOMAは、250mW
cdmaOneは、200mW
注3: INの発生とはInhibition試
験におけるパルス抑制、パ
ルス間隔延長およびショッ
ク電流の発生
ASの発生とはAsynchronous
試験におけるパルスおよび
ショック電流の発生
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
IN、ショック No
電流の発生
Yes
: 繰り返す手順
発生距離を測定
Sine二乗波 を注入してペーシ
ングパルスを抑制
電波発射条件の設定変更
連続/断続:断続
AS、ショック
電流の発生
No
Yes
電波発射条件の設定
アンテナ:携帯電話実機
方式:W-CDMA、
CDMA/CDMA2000 1x(800MHz帯)
アンテナ入力:注2
連続/断続:断続
発生距離を測定
IN、AS、ショック電流
発生の観測
電波発射条件の設定変更
連続/断続:連続
AS、ショック
電流の発生
Yes
発生距離を測定
No
干渉の有無と
干渉発生距離を記録
Sine二乗波の注入停止
終了
図1. 12 W-CDMA携帯電話、CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話が
植込み型除細動器に与える影響の試験手順
- 22 -
参考文献
[1] TOKIO TAGA, KOUICHI TSUNEKAWA, “Performance Analysis of Built-In Planer
Inverted F Antenna for 800MHz Band Portable Radio Units”, IEEE Journal on
Selected Area in Communications Vol. SC-5, No. 5, 1987.
[2]
大島
健史, 王
建青, 藤原
修, “半波長ダイポールアンテナで心臓ペースメーカ
に生ずる干渉電圧の人体全身 MRI 数値モデルによる FDTD 計算”, 電子情報通信学会,
総合大会論文集, B-4-75, 2001.
[3] デジタル方式自動車電話システム, ARIB 標準規格, RCR STD-27 I 版, 平成 12 年
[4] CDMA 方式携帯自動車電話システム, ARIB 標準, ARIB STD-T53 2.0 版, 平成 11 年
[5] IMT-2000 DS-CDMA 標準規格, ARIB 標準規格, ARIB STD-T63 1.00 版, 平成 12 年
- 23 -
第2章
試験結果に基づく心臓ペースメーカの誤動作の分析
2.1ペースメーカが受ける影響
試験を行ったペースメーカの機種数(同一モデルのペースメーカで動作条件が異なる場
合は別機種としてカウントした)、このうち干渉を受けた数、最大の干渉距離を表2. 1
に示す。
2. 1. 1
干渉の観測例
800MHz 帯 PDC 携帯電話の電波が DDD 型ペースメーカに与えた影響観測例を図2. 1に示
す。図2. 1(a)は Inhibition 試験における干渉例であり、1秒周期で電波を断続的に照
射している全ての間、ペーシングパルスが抑制されている(断続照射において同様の抑制
が起きるとは限らない、ペースメーカに依存する)
。図2. 1(b)は Asynchronous 試験に
おける干渉例であり、
電波を照射している間に非同期のペーシングパルスが発生している。
調査したペースメーカの数に対してこのような干渉の発生した割合[%]と干渉発生距離
の関係を図2. 2から図2. 6に示す。
2.1.2
800MHz 帯PDC携帯電話による試験結果
(1) 干渉発生の割合は、ダイポールアンテナで 21%、実機で 6.5%であった(平成 9 年度報
告:ダイポールで 37.3%、実機で 19.3%)。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールアンテナで 15.5cm、実機で 11.5cm(平成 9 年度報告:
実機で 14cm(特殊な1機種を除く)
)であった。
2.1.3
1.5GHz 帯PDC携帯電話による試験結果
(1) 干渉発生の割合は、ダイポールアンテナで 20.2%、実機で 1.8%であった(平成 9 年度
- 24 -
報告:ダイポールで 25%、実機で 4.4%)。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールアンテナで 6cm、実機で 4cm(平成 9 年度報告:実機で
15cm)であった。
2.1.4 PHS携帯端末による試験結果
(1) 干渉発生の割合は、ダイポールアンテナで 2.4%であった(平成 9 年度報告: 2.6%)。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールで 2.5cm であった(平成 9 年度報告:7cm)。
2.1.5
W-CDMA携帯電話による試験結果
(1) 干渉発生の割合は、ダイポールアンテナで 7.1%(800MHz 帯 PDC 方式では 21%)
、実機
で 3.6%であった。実機でのペースメーカの調査機種数は 56 であり、PDC 方式携帯電話
実機での調査機種数 124 より少なかった。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールで 3.5cm、実機で 1cm であった。
2.1.6
CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話に
よる試験結果
(1) 干渉発生の割合はダイポールアンテナで 3.7%、実機で 3.6%であった。実機でのペー
スメーカの調査機種数は 56 であり、PDC 方式携帯電話実機での調査機種数 124 より少な
かった。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールで 6cm、実機で 1.8cm であった。
- 25 -
2.1.7
携帯電話の影響の分布
今回試験したペースメーカ 124 機種が、各方式の携帯電話から受けた影響の大きさの分
布を示したものが表2.2である。この表は、何らかの影響を受けたペースメーカの各々
が、影響を受けなくなる距離の中央値 2cm を境界として、区分けして示してある。
- 26 -
表2. 1 携帯端末による植込み型ペースメーカへの影響
方式名
PDC
PHS
W-CDMA
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
送信周波数
800MHz帯
1.5GHz帯 注1
1.9GHz帯
2GHz帯
800MHz帯
アンテナ入力
(バースト出力)
800mW
800mW
80mW
250mW
200mW
電波発射源
ダイポ
実機
ール
ダイポ
実機
ール
ダイポ
実機
ール
ダイポ
実機
ール
ダイポ
注2
ール 実機
ペースメーカ
試験対象機種数
124
124
124
109
124
--
99
56
81
56
干渉を受けなかっ
た機種数
98
116
99
107
121
--
92
54
78
54
干渉を受けた
機種数
26
8
25
2
3
--
7
2
3
2
最大干渉距離
[cm]
15.5
11.5
6
4
2.5
--
3.5
1
6
1.8
注1:1.5GHz帯PDCの試験において、ダイポールでの影響発生距離5cm以下を「影響なし」とする
スクリーニングにより、実機15機種については試験を省略した。
注2:CDMA携帯電話実機のみについて試験を実施。
- 27 -
出力電圧
5秒
ペーシングパルス
電波の振幅
時間 [秒]
電波の発射
電波照射開始 電波照射停止
(a) Inhibition試験における干渉発生例
出力電圧
5秒
ペーシングパルス
電波の振幅
時間 [秒]
電波の発射
電波照射開始
電波照射停止
(b) Asynchronous試験における干渉発生例
図2. 1 PDC携帯電話によるペースメーカ干渉発生例
- 28 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
800MHz帯ダイポール
(試験対象機種数 124)
800MHz帯実機
(試験対象機種数 124)
40
30
アンテナ入力 800mW
21
20
10
6.5
5.6
1.6
0.8 0.8
0.8
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
干渉距離
20.1-25cm
25.1-30cm
図2. 2 800MHz帯PDC携帯電話におけるペースメーカ干渉発生割合
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
1.5GHz帯ダイポール
(試験対象種数 124)
40
1.5GHz帯実機
(試験対象機種数 109)
30
アンテナ入力 800mW
20
20.2
10
1.8
0.8
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 3 1.5GHz帯PDC携帯電話におけるペースメーカ干渉発生割合
- 29 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
1.9GHz帯ダイポール
(試験対象機種数 124)
40
アンテナ入力 80mW
30
20
10
2.4
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 4 PHS端末におけるペースメーカ干渉発生割合
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
40
2GHz帯ダイポール
(試験対象機種数 99)
30
2GHz帯実機
(試験対象機種数 56)
アンテナ入力 250mW
20
10
7.1
3.6
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 5 W-CDMA携帯電話におけるペースメーカ干渉発生割合
- 30 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
40
800MHz帯ダイポール
(試験対象機種数 81)
30
800MHz帯実機
(試験対象機種数 56)
アンテナ入力 200mW
20
10
3.7 3.6
1.2
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 6 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話における
ペースメーカ干渉発生距離 (実機は、CDMA携帯電話のみについて実施)
- 31 -
表2.2
携帯電話の影響(1)
ペース
メーカ
機種
通番
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
PDC 800M帯
DP
IN
IN
2cm 以下で影響、
PDC 1.5GHz帯
実機
AS
影響なし、
AS
DP
IN
PHS
実機
AS
IN
AS
DP
AS
実機
DP
実機
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
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/
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/
/
/
/
/
/
/
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
W-CDMA
DP
IN
2cm を超えて影響
DP:標準ダイポール、IN:Inhibition 試験、AS:Asynchronous 試験、/:試験を行っていない機種
- 32 -
表2.2
携帯電話の影響(2)
ペース
メーカ
機種
通番
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
PDC 800M帯
DP
IN
IN
2cm 以下で影響、
PDC 1.5GHz帯
実機
AS
影響なし、
AS
DP
IN
PHS
実機
AS
IN
/
AS
/
DP
AS
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
W-CDMA
DP
IN
2cm を超えて影響
IN
実機
AS
DP
実機
IN
AS
IN
AS
IN
AS
/
/
/
/
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/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
DP:標準ダイポール、IN:Inhibition 試験、AS:Asynchronous 試験、/:試験を行っていない機種
- 33 -
表2.2
携帯電話の影響(3)
ペース
メーカ
機種
通番
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
118
119
120
121
122
123
124
PDC 800M帯
DP
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2cm 以下で影響、
PDC 1.5GHz帯
実機
AS
影響なし、
DP
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
PHS
実機
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
W-CDMA
DP
AS
2cm を超えて影響
DP
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
実機
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
DP
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
実機
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
IN
AS
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
DP:標準ダイポール、IN:Inhibition 試験、AS:Asynchronous 試験、/:試験を行っていない機種
- 34 -
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2.2
植込み型除細動器が受ける影響
試験を行った植込み型除細動器の機種数(同一モデルで動作条件が異なる場合は別機種
としてカウントした)
、このうち干渉を受けた数、最大の干渉距離を表2. 3に示す。
2. 2. 1
干渉の観測例
800MHz 帯 PDC 携帯電話の電波がデュアルチャンバー型植込み型除細動器に与えた影響観
測例を図2. 7に示す。図2. 7(a)は Inhibition 試験における干渉例であり、電波照射
開始直後からペーシングパルスが抑制されている。さらに照射開始約5秒後にショック電
流が発生している。電波照射停止後に振幅の大きなペーシングパルスが約10秒続いた後
に、正常なペーシングパルスにもどっている。図2. 7(b)は Asynchronous 試験における
干渉であり、電波照射開始約5秒後にショック電流が発生している。電波照射停止後は、
ペーシングパルスは抑制状態を維持している。なお、疑似心電位の注入を停止すれば、ペ
ーシングパルスが正常に発生することを確認している。
調査した植込み型除細動器の数に対してこのような干渉の発生した割合[%]と干渉発生
距離の関係を図2. 8から図2. 12に示す。
2.2.2 800MHz 帯PDC携帯電話による試験結果
(1) 干渉が発生した割合は、ダイポールアンテナと携帯電話実機ともに 19%であった。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールアンテナで 6.5cm、実機で 5cm であった。
2.2.3
1.5GHz 帯PDC携帯電話による試験結果
(1) 干渉が発生した割合は、ダイポールアンテナで 19%、実機で 9.5%であった。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールアンテナで 2.5cm、実機で 1cm であった。
- 35 -
2.2.4
PHS端末による試験結果
ダイポールアンテナを使用した試験で干渉の発生した植込み型除細動器は1機種も無か
った。
2.2.5
W-CDMA携帯電話による試験結果
ダイポールアンテナおよび実機を使用した試験で干渉の発生した植込み型除細動器は1
機種も無かった。
2.2.6
CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話に
よる試験結果
(1) 干渉発生の割合は、ダイポールアンテナで 23.5%であった。実機で 12.5%であった。
(2) 最大干渉距離は、ダイポールアンテナで 3cm、実機で 2cm であった。
2.2.7
携帯電話の影響の分布
表2.4は今回試験した植込み型除細動器が、各方式の携帯電話から受けた影響の大き
さの分布を示したものである。この表は、何らかの影響を受けた植込み型除細動器の各々
が、影響を受けなくなる距離の中央値 1.5cm を境界として、区分けして示してある。
- 36 -
表2. 3 携帯端末による植込み型除細動器への影響
方式名
PDC
PHS
W-CDMA
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
送信周波数
800MHz帯
1.5GHz帯
1.9GHz帯
2GHz帯
800MHz帯
アンテナ入力
(バースト出力)
800mW
800mW
80mW
250mW
200mW
電波発射源
ダイポ 実機
ール
ダイポ 実機
ール
ダイポ 実機
ール
ダイポ 実機
ール
ダイポ
実機注
ール
除細動器
試験対象機種数
21
21
21
21
21
--
20
8
17
8
干渉を受けなかっ
た機種数
17
17
17
19
21
--
20
8
13
7
干渉を受けた
機種数
4
4
4
2
0
--
0
0
4
1
最大干渉距離
[cm]
6.5
5
2.5
1
--
--
--
--
3
2
注:CDMA携帯電話実機のみについて試験を実施。
- 37 -
電圧振幅
10秒
時間 [5秒/div]
電波の振幅
ショックパルス
電波照射開始
電波照射停止
(a) Inhibition試験における干渉発生例
電圧振幅
10秒
時間 [5秒/div]
電波の振幅
ショックパルス
電波照射開始
電波照射停止
(b) Asynchronous試験における干渉発生例
図2. 7 PDC携帯電話電波が植込み型除細動器に与えた影響の例
- 38 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
40
800MHz帯ダイポール
(試験対象機種数 21)
30
800MHz帯実機
(試験対象機種数 21)
アンテナ入力 800mW
20
19
19
10
4.8
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm
15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 8 800MHz帯PDC携帯電話における植込み型除細動器干渉発生割合
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
40
1.5GHz帯ダイポール
(試験対象機種数 21)
30
1.5GHz帯実機
(試験対象機種数 21)
アンテナ入力 800mW
20
10
19
9.5
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm
15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 9 1.5GHz帯PDC携帯電話における植込み型除細動器干渉発生割合
- 39 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
1.9GHz帯ダイポール
(試験対象機種数 21)
40
アンテナ入力 80mW
30
20
10
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 10 PHS端末における植込み型除細動器干渉発生距離
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
2GHz帯ダイポール
(試験対象機種数 20)
40
2GHz帯実機
(試験対象機種数 8)
30
アンテナ入力 250mW
20
10
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 11 W-CDMA携帯電話における植込み型除細動器干渉発生距離
- 40 -
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
50
40
800MHz帯ダイポール
(試験対象機種数 17)
30
800MHz帯実機
(試験対象機種数 8)
アンテナ入力 200mW
23.5
20
12.5
10
0
1-5cm
5.1-10cm
10.1-15cm 15.1-20cm
20.1-25cm
25.1-30cm
干渉距離
図2. 12 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話における
植込み型除細動器干渉発生距離 (実機は、CDMA携帯電話のみについて実施)
表2.4
携帯電話の植込み型除細動器に対する影響
影響なし、
1.5cm 以下で影響、
除細
動器
通番
PDC 800M帯
DP
PDC 1.5GHz帯
実機
DP
PHS
実機
1.5cm を超えて影響
CDMA/CDMA2000
1x(800MHz帯)
W-CDMA
DP
DP
実機
DP
実機
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
IN
AS
1 0
2 0
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
/
0
/
0
/
/
/
/
/
/
/
/
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/
/
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/
/
/
/
DP:標準ダイポール、IN:Inhibition 試験、AS:Asynchronous 試験、/:試験を行っていない機種
- 41 -
第3章
障害発生防止のための対応について
3.1
植込み型心臓ペースメーカへの電波の影響を防止するための指針
ペースメーカへの電波の影響を防止するための対応策については、不要電波問題対策
協議会がまとめた報告書に詳述されている。またそこでは、「携帯電話端末の使用及び携
行に当たっては、携帯電話端末をペースメーカ装着部位から22cm程度以上離すこ
と。」などの指針が示されている。
この指針は、前回の実証実験結果を踏まえ、「携帯電話、PHS端末実機における最
大干渉距離15cmに対して、電磁界の電力密度が距離の2乗に反比例することより最大
干渉距離に安全マージンを考慮し強度が半分になる22cmを使用上の安全距離と定め
た。」ものであり、 安全マージンが考慮されている。
3.2
着目すべき電波環境等の変化
上記の指針が定められた時点以降、符号分割多元接続(CDMA)方式の新しいCDM
A携帯電話やW−CDMA携帯電話のサービスが開始されたこと、また近々CDMA20
00
1x(800MHz帯)方式のサービスが開始される予定であること、ペースメーカ等
の医用機器自身の妨害電波排除能力が向上していること、さらに、植込み型除細動器につ
いても、装着者が徐々に増加しつつあることなど、携帯電話端末等の無線設備及びペース
メーカ等の医用機器の双方において状況が変化してきている。
3.3
今回の調査結果
本調査報告書の「第2章
試験結果に基づくペースメーカの誤動作の分析」で示した
ように、今回は、携帯電話側に符号分割多元接続(CDMA)方式を、ペースメーカ側に
は植込み型除細動器を加え、さらに、前回の実証実験以降に発売されたペースメーカの新
機種についての試験を行った。
800MHz帯及び1.5GHz帯PDC方式携帯電話、並びに新方式携帯電話(W-CDMA、CDMA/CD
MA2000 1x(800MHz帯)の各方式)に対し、ペースメーカ延べ124機種及び植込み型除細動
器延べ21機種について試験を行った結果、前回の実証実験での実機による最大干渉距離
- 42 -
である15cmを越えて影響を受けた機種はなかった。
3.4
現行指針の妥当性
3.3
の調査結果から、新しい方式の携帯電話端末及び植込み型除細動器について
上記指針の適用は妥当であり、また、前回の実証実験以降に発売された新機種のペース
メーカについても現行の指針が妥当であることが確認できた。
また、前回の実証実験と同条件のPDC方式携帯電話及びPHSに関する実験結果
(2.1.2∼2.1.4)では、干渉発生の割合及び最大干渉発生距離は、前回の結果
より概して良い値が得られており、イミュニティの改善傾向が見られる。
さらに、新方式(CDMA)の携帯電話によるペースメーカ及び植込み型除細動器へ
の干渉発生の割合及び最大干渉発生距離は、PDC方式に比して小さい値となっている。
従って、以上を総合すると、今回の実験結果から、
(1) ペースメーカでは、新方式の携帯電話を加えても「22cmの現行指針」は有
効である、
(2) 植込み型除細動器でも「22cmの現行指針」を守れば問題ないが、5cm以
内の距離では、ショックを放電する可能性が示唆されており、より注意が必要
である、
(3) 新方式(CDMA)の携帯電話は影響の軽減傾向が見られる、
ことが明らかとなった。
全体を通じて、携帯電話の影響が小さくなっている傾向は認められた。しかし、この
事から直ちに現行指針の見直しにはつながらない。何故なら、前回、実証実験を行い、現
行の指針を決定した時のペースメーカは現在も使用されており、この以前の機種が使用さ
れなくなるまでは現行の指針を変更することは適当でないと思慮される。
以上により、新たに調査対象となったCDMA方式の携帯電話端末及び除細動器を含
めても、現行の指針を変更する必要性は認められない。
- 43 -
第Ⅱ編 病院内での医用機器と無線システムとの共存の可能性の検討
病院内での医用機器と無線システムとの共存の可能性の検討
携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響については、不要電波問題
対策協議会(以下「不要協」という)が、平成7年度から平成8年度にかけて詳細な実証
実験を実施し、その調査をもとに平成9年3月に「医用電気機器への電波の影響を防止す
るための携帯電話端末等の使用等に関する指針」を策定し、平成9年4月に詳細な調査結
果等を調査報告書「携帯電話端末等の使用に関する調査報告書∼医用電気機器への電波の
影響を防止するために∼」として取りまとめている。
その中で、病院内での携帯電話端末の取扱いに関しては、手術室、集中治療室(ICU)
、
冠状動脈疾患監視病室(CCU)等においては、携帯電話端末を持ち込まないこと、やむ
を得ず持ち込む場合は電源を切ること、検査室、診察室、病室及び処置室等では携帯電話
端末の電源を切ること、その他の区域においては、医療機関側が特に使用を認めた区域に
おいてのみ携帯電話を使用すること、などの指針が示され、病院内で患者が安全に治療を
受けられる電波環境の確保に大きく寄与しているところである。
しかし、近年の携帯電話等の爆発的な普及に伴い、病院においても情報化の要求が高ま
っていること、また医療関係者間の連絡のみならず患者のQOL(quality of life)を考慮
するなかで外部との連絡等が重要となってきていること、さらに符号分割多元接続(CDM
A)方式の新しい携帯電話のサービスが開始され、病院内での携帯電話端末の出力を低く制
御し、設定することが可能となってきていること、医用機器自身の妨害電波排除能力が向
上していることなど、携帯電話等の無線システム及び医用機器の双方において状況が変化
している。
このような状況の下で、携帯電話端末等から発射される電波が病院内の医用機器に及ぼ
す影響について、新方式携帯電話サービスの開始等の電波環境の変化も考慮した調査研究
を行い、不要協による前回の実証実験以降に発売された新機種の医用機器や旧型の機種が
新しい携帯電話等に対しても、現在の指針の下で安全であることの確認、及び病院内にお
ける無線システム導入の可能性を調査することを目的として、調査研究を行った。
具体的には、平成13年度に、病院内及び電波暗室において、旧型及び新型の医用機器
を対象として、新方式の携帯電話等の無線システムについて一部出力電力を変更して試験
を行い、電波の医用機器等への影響に関する調査研究を行った。
本編は、これらの携帯電話端末等の電波が医用機器に及ぼす影響と病院内での無線シス
テム導入の可能性に関する調査研究結果を取りまとめたものである。
- 44 -
第1章
病院内医用機器のイミュニティ試験
各種の電波発射源(機器)を医用機器に近づけたときの医用機器の動作状況を観察・評
価する方法で医用機器の電波に対するイミュニティを評価する試験(以下「干渉試験」と
いう)を、病院内や電波暗室において実施した。今回の調査では、平成9年4月の不要協
の報告書[1]に記載されている試験方法との整合性に注意を払った。すなわち、病院内で
使用されている医用機器や日本医療機器関係団体協議会(以下「日医機協」という)が提
供する医用機器を調査対象とし、病院内や外部との電磁遮蔽が十分にとれた電波暗室内で、
標準ダイポールアンテナや携帯電話等の実機を用いた調査試験を行う。また、第Ⅰ編で述
べられているCDMA方式による新しい携帯電話や 5GHz帯の無線LAN等の電波に対
する試験を追加した。
1.1 試験方法
本調査では、病院内で使用している医用機器は病院内で、日医機協各社が提供する医用
機器は電波暗室で試験を実施した。病院内での試験は、医用機器が実際に使用されている
状態に近いものであり、医用機器の経年変化的要素等も含まれている試験と考えられる。
一方、電波暗室での試験は、日医機協各社が提供する医用機器が対象でその機種も多く、
調査対象を広げる意味を持っている試験と考えられる。
携帯電話の出力は、基地局からの指令により通信に必要十分な電力に制御されるため、
通常の通信状態では最大電力の電波を発射しているとは限らず、電力が一定となる保証も
無い。このため、本調査では試験データの再現性を確保するため、電波発射源として送信
条件が一定になるようにした携帯電話端末実機や高周波発生器で携帯電話と同一の変調フ
ォーマットの高周波を発生させ高周波パワーアンプで所定の電力まで増幅して標準ダイポ
ールアンテナに給電する機器等を用いて試験を実施した。なお、これら電波発射源の電波
が外部に漏れて現実の携帯電話の回線に混乱を招かないように、実験局免許を取得するな
どした。
干渉試験の概要を以下に述べる。
①
試験は病院内や外部との電磁遮蔽が十分にとれた電波暗室で実施する。
②
試験は動作状態(模擬動作を含む)にした医用機器に電波発射源を用いて電波を照
- 45 -
射する方法で実施する。
③
最初に、電波発射源を医用機器に密着させた状態で観察する。その結果動作等に異
常が発生した医用機器については、電波発射源を医用機器から徐々に遠ざけたり近づ
けたりしながら医用機器の状態を観察する。その際、電波発射源(アンテナ)の向き
を変化(電波の偏波面を変化)させ、最も影響が大きい状態を見出し、設定する。
④
大部分の試験は電波発射源から電波を連続して発射させた状態と0.5秒間隔で断
続(ON-OFF)させた状態で実施する。ただし、無線LAN方式に係わる2つの電
波発射源では起動後に電波を連続発射させた状態で実施する。
⑤
影響が生じた距離と当該医用機器の回路部位および影響の具体的内容(波形ぶれ、
動作停止等具体的な干渉現象)を記録表に記入する。距離は主として影響を受けると
思われる医用機器外側の個所との距離。
⑥
影響度合いは障害の分類(カテゴリー)
(後述する)に基づいて判定、記録する。
干渉試験の実施イメージを図1-1-1に示す。
いろいろな部分に
密着させる
電波発射源
動作状態(模擬動作を含む)
にした医用機器
影響が現れた場合
遠ざける
動作状態(模擬
動作を含む)
にした医用機器
近づける
電波発射源
図1-1-1 試験の実施イメージ
- 46 -
電波の振幅
また、電波の照射方法を図1-1-2に示す。
時間
電波の振幅
(a)連続照射
約0.5秒
時間
約1秒
(b)断続照射
図1-1-2 電波の照射方法
干渉試験は図1-1-3に示すように、最初に 1 機種目の電波発射源を用いて実施し、そ
の試験が終了した後に2機種目の電波発射源を用いて実施する方法で行った。2機種以上
の電波発射源を用いて複数の電波を同時に医用機器に照射することはしなかった。
開始
【電波発射源 #1 】
①電波を照射
②干渉の内容と干渉発生距離等を記録
【電波発射源 #2 】
①電波を照射
②干渉の内容と干渉発生距離等を記録
【電波発射源 #n 】
①電波を照射
②干渉の内容と干渉発生距離等を記録
終了
図1-1-3 干渉試験実施フロー
- 47 -
1.2 医用機器障害の分類(カテゴリー)
医用機器は医療現場で検査や診断、治療等さまざまな目的で使用される。検査、診断用
医用機器の障害は誤診につながる可能性があり、治療用機器の障害は治療ミスに直結する
恐れがある。そこで、医用機器の障害状態(機器障害の物理的状態)と診療における様々
な状態(診療障害の状態)を関連付けた医用機器障害の分類(カテゴリー)表を作成し、
それに基づいて医用機器障害をランク付けすることとした。なお、医用機器障害の分類(カ
テゴリー)に関する基本的な考え方は不要協報告書[1]に基づいているが、診療障害の状態
のクラス分けが一部異なっており(注)カテゴリーのナンバー付けを見直したので注意を
要する。
(注)従来は、正常、診療擾乱状態、誤診療状態、致命的状態、破局的状態の5段階であ
ったが、同じ誤診療状態で、致命的とはならないまでも病態悪化を招く場合もある
ことから、これを病態悪化状態とし、今回新たに誤診療状態と致命的状態の間に付
け加えた。したがって、今回の医用機器障害の分類(カテゴリー)は、正常、診療
擾乱状態、誤診療状態、病態悪化状態、致命的状態、破局的状態の6段階である。
A
医用機器障害状態の物理的分類
・可逆的状態
:医用機器における何らかの障害が、その原因となる携帯電話を離せば(あ
るいは医用機器を遠ざければ)
、医用機器が正常状態に復帰する状態。
・不可逆的状態:医用機器における何らかの障害が、その原因となる携帯電話を離しても
(あるいは医用機器を遠ざけても)、その障害が消失せず、何らかの人的
操作あるいは技術的手段を施さなければ、正常動作状態に復帰し得ない
状態。
B 診療障害状態の分類
・診療擾乱状態:医用機器本来の診療目的は維持されているが、診療が円滑に行えない状
態(微小な雑音混入や基線の動揺、不快音の発生、文字ブレ等)
。
・誤診療状態:医用機器の誤動作状態が誤診を招いたり、誤治療が遂行されている状態、
適正な診療状態ではないが、患者に致命的障害を及ぼさない状態(無視で
きない雑音混入や基線の動揺、表示値の異常、アラームの発生による停止
等)。
- 48 -
・病態悪化状態:医用機器の誤動作状態により、誤治療が遂行されている状態、すぐに対
応しないと病態が悪化する可能性がある状態(設定値の大きな変化、生
命維持管理装置の停止、アラームの発生がない停止等)
。
・致命的状態:医用機器の誤動作状態により、誤治療が遂行されている状態、すぐに対応
しないと致命的になる状態。
・破局的状態:医用機器の破壊等による動作不能状態により、患者が死亡したり周囲のス
タッフが重篤な障害となる状態。
医用機器障害の説明を表1-2-1に、その分類(カテゴリー)を表1-2-2示す。
表1-2-1 医用機器障害の分類(カテゴリー)の説明
カテゴリー
医用機器の障害の程度
10
医用機器の障害が不可逆的で、修理が必要となり機器を交換しない
と破局的状態となる障害。
9
医用機器の障害が不可逆的で、機器を操作しないと破局的状態とな
る障害。
8
医用機器の障害が可逆的で、破局的状態に陥る可能性がある障害。
または医用機器の障害が不可逆的で、修理が必要となり機器を交換
しないと致命的状態となる障害。
7
医用機器の障害が不可逆的で、機器を操作しないと致命的状態とな
る障害。
6
医用機器の障害が可逆的で、致命的状態に陥る可能性がある障害。
または医用機器の障害が不可逆的で、修理が必要となり機器を交換
しないと病態悪化状態となる障害。
5
医用機器の障害が不可逆的で、機器を操作しないと病態悪化状態と
なる障害、または修理が必要となり機器を交換しないと誤診療状態
となる障害。
4
医用機器の障害が可逆的で、病態悪化状態となる障害。または医用
機器の障害が不可逆的で、機器を操作しないと誤診療状態となる障
害、もしくは修理が必要となり機器を交換しないと診療擾乱状態と
なる障害。
3
医用機器の障害が可逆的で、誤診療状態となる障害。または医用機
器の障害が不可逆的で、診療擾乱状態となる障害。
2
医用機器の障害が可逆的で、診療擾乱状態となる障害。
1
携帯電話機等が何らの障害も医用機器に与えない状態。
- 49 -
表1-2-2 医用機器障害の分類(カテゴリー:1∼10)
機器障害の物理
的状態
不可逆的
正常
診療障害の状態
正常
診療擾乱状態
誤診療状態
病態悪化状態
致命的状態
破局的状態
可逆的
1
−
−
−
−
−
−
2
3
4
6
8
機器を操作
修理
−
3
4
5
7
9
−
4
5
6
8
10
【参考】
前述したように、今回調査と不要協調査[1]とではカテゴリーのナンバー付けが異なっ
ている。今回調査と不要協調査におけるカテゴリー対応表を下表に示す。
今回調査と不要協調査におけるカテゴリー対応表
機器障害の物理
的状態
不可逆的
正常
診療障害の状態
正常
診療擾乱状態
誤診療状態
病態悪化状態
致命的状態
破局的状態
(
1(1)
−
−
−
−
−
可逆的
−
2(2)
3(3)
4(3)
6(5)
8(8)
機器を操作
修理
−
3(3)
4(4)
5(4)
7(6)
9(8)
−
4(4)
5(5)
6(5)
8(7)
10(9)
)内は不要協調査のカテゴリー[1]
- 50 -
1.3 医用機器
干渉試験は病院で使用されている医用機器と日医機協の各社が提供する医用機器を対象
として実施したが、それらの装置分類や装置内訳(医用機器名)
、台数等については本編第
2章で述べる。
1.4 電波発射源
干渉試験に用いた電波発射源(機器)は、電波出力の比較的小さい無線方式を中心に現
在実用化されているシステム端末や近い将来実用化が見込まれるシステム端末を選定した。
具体的には、PHSを含む携帯電話4方式と無線LAN2方式であり、それらをまとめて
表1-4-1に示す
表1-4-1 本調査で用いた電波発射源一覧
電波発射源種別
周波数帯
W-CDMA携帯電話
2GHz帯
CDMA2000 1x(2GHz帯)
携帯電話
CDMA携帯電話/CDMA2000 1
x(800MHz帯)携帯電話
PHS端末
2.4GHz無線LAN端末
5GHz無線LAN端末
備 考
第Ⅰ編参照
2GHz帯
800MHz帯
第Ⅰ編参照
1.9GHz帯
第Ⅰ編参照
2.45GHz帯
5GHz帯
電波発射源において、W−CDMA携帯電話、
CDMA携帯電話/CDMA2000 1
x(800MHz帯)携帯電話、PHS端末の無線諸元については、第Ⅰ編を参照された
い。
- 51 -
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話と無線LANの主な無線諸元[2][3][4]
を表1-4-2、表1-4-3にそれぞれ示す。
表1-4-2 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の主な無線諸元
ARIB標準規格名
(規格番号)
IMT-2000 MC-CDMA System
(STD-T64)
方式名
サービス名又は通称
本報告書携帯端末名
送信周波数帯域
CDMA2000 1x(2GHz帯)
−
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話
2GHz帯
アクセス方式
デュープレクシング
CDMA
FDD
1キャリア当たりのチャ
ンネル数
128
キャリア占有帯域幅
1.25MHz
変調方式
1次変調:PSK
2次変調:直接拡散
キャリア変調速度
1.2288Mcps
(チップレート)
バースト出力
平均出力
10mW又は200mW
10mW又は200mW
送信電力制御
0.5dBステップ
最大73dB
表1-4-3 無線LANの主な無線諸元
通 称
2.45GHz帯無線LAN
5GHz帯無線LAN
準拠規格
ARIB STD-T66
IEEE802.11b
ARIB STD-T70
IEEE802.11a/IEEE802.11
本報告書端末名
使用周波数帯
変調方式
伝送速度
平均出力
2.4GHz無線LAN端末
2.40-2.48GHz及び2.47-2.49GHz
DS−SS
11Mbps以下
10mW/MHz以下
5GHz無線LAN端末
5.15-5.25GHz
OFDM
54Mbps以下
10mW/MHz以下
- 52 -
W-CDMA携帯電話、CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話、PHS端末に
係わる電波発射源としては、標準ダイポールアンテナや高周波発生装置(擬似携帯電話信
号発生器、アジレントテクノロジー社製 Model E4432B)等から構成される装置を用いた。
使用した標準ダイポールアンテナの基本諸元を表1-4-4に示す。
表1-4-4 標準ダイポールアンテナの基本諸元
製造メーカ
型名
ダイポール アンリツ
アンテナ
MA5612B2
名称
周波数範囲
1700−1950MHz
利得
接栓及び公称入力
VSWR
(公称)
インピーダンス
SMA-J
2dBi
2.0 以下
50Ω
また、CDMA携帯電話と無線LAN端末に係わる電波発射源としては、それぞれ市販
等されている端末機(実機)を用いた。干渉試験に用いた電波発射源(機器)の基本的な
諸元を表1-4-5に示す。
表1-4-5 干渉試験に用いた電波発射源(機器)の諸元
電波の発
射形態
10mW
連続およ
DP
(注2)
び断続
W−CDMA携帯電話
2GHz帯
250mW
連続およ
DP
(注2)
び断続
10mW
連続およ
DP
(注2)
び断続
CDMA2000 1x
2GHz帯
(2GHz帯)携帯電話
200mW
連続およ
DP
(注2)
び断続
連続およ
CDMA携帯電話/CDM
実機
10mW
10mW
び断続
A2000 1x(80
800MHz帯
0MHz帯)携帯電話
連続およ
実機
200mW
200mW
(注3)
び断続
10mW
80mW
連続およ
PHS端末
1.9GHz帯
DP
(注2)
(注2) び断続
20mW
起動後ほ
2.4GHz無線LAN
2.4GHz帯
実機
10mW/MHz以下
(注4) ぼ連続
端末
5GHz無線LAN
32mW
連続およ
実機
10mW/MHz以下
(注5) び断続
端末Ⅰ
5GHz帯
5GHz無線LAN
16mW
起動後ほ
実機
10mW/MHz以下
(注6) ぼ連続
端末Ⅱ
注1:DPは標準ダイポールアンテナを用いた装置、実機は市販等されている端末機
注2:平均出力及びバースト出力はアンテナ入力電力
注3:CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話は、試験に必要な無線諸元が
CDMA携帯電話と同じことからCDMA携帯電話の実機での測定で代用した。
注4:アンテナ入力電力。アンテナ利得は2dBi。
注5:アンテナ入力電力。アンテナ利得は4dBi。
注6:アンテナ入力電力。アンテナ利得は2dBi。
電波発射源(機器)種別 周波数帯
発射源の形
態(注1)
- 53 -
平均出力
バースト出
力
10mW
(注2)
250mW
(注2)
10mW
(注2)
200mW
(注2)
第2章
医用機器の使用される環境を考慮したイミュニティ評価と
無線機器使用可能範囲の検討
2.1 概要
病院内および電波暗室内で実施した干渉試験結果について、①現在病院内で使用されて
いる医用機器、②医用機器メーカ提供の医用機器(植込み型医用機器は第Ⅰ編で実施して
いるため除く)に分けて述べる。
2.2 病院内の医用機器
電波発射源を病院内の医用機器に近づけたときの医用機器の動作状況を観察・評価する
試験(干渉試験)を病院内において実施した。同干渉試験は本編第 1 章で述べた試験方法
に従って実施した。
2.2.1 協力病院
干渉試験は以下に示す4病院内でその協力の下に実施した。
(1)三井記念病院
(2)東京慈恵会医科大学附属病院
(3)順天堂大学附属病院
(4)東京女子医科大学附属病院
- 54 -
2.2.2 対象医用機器
病院内で実施した干渉試験では各病院が用意した医用機器を用いた。一部の病院では過
去の調査[1]で対象となった医用機器も用意された。4病院での干渉試験に用いた医用機
器の一覧を表2-2-2-1に示す。
表2-2-2-1 干渉試験に用いた医用機器一覧
装置分類
台数
生体物理現象検査用機器
2
生体現象監視用機器
12
採血・輸血用、輸液用器具及
び医薬品注入器
20
血液体外循環機器
18
生体機能制御装置
29
手術用電気機器及び関連装置
合 計
1
82
装置内訳(医用機器名)
電子血圧計
ドプラ血流計
医用テレメータ
パルスオキシメータ
ベッドサイドモニタ
患者監視装置
シリンジポンプ
輸液ポンプ
大動脈バルーンポンプ(IABP)
透析装置
人工心肺装置
補助人工心臓
人工呼吸器
体外型心臓ペースメーカ
超音波ネブライザ
除細動器
麻酔器
麻酔用ポンプ
加温加湿器
電気メス
台数
1
1
5
5
1
1
10
10
4
12
1
1
12
5
1
6
3
1
1
1
82
なお上表以外に、医用機器ではないが透析時に患者の体重を計測するスケールベッド2
台についても干渉試験を実施した。
- 55 -
2.2.3 干渉試験結果
4病院で実施した干渉試験の結果について以下に述べる。
(1)試験結果の概要
今回の干渉試験において、密着状態など最悪の条件下で何らかの影響が現れた医用機器
台数(影響発生機器台数)を電波発射源種別毎に取りまとめたものを下表に示す。
表2−2−3−1 影響が現れた医用機器台数
①
②
影響発生機器台数
電波発射源
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
①
②
①
②
①
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
0
12
8
2
6
2
6
3
8
3
0
0
0
採血・輸血用、輸液用
器具及び医薬品注入器
20
6
1
4
1
4
1
6
2
0
0
0
血液体外循環機器
18
6
1
4
1
4
2
5
1
0
0
0
生体機能制御装置
29
16
1
7
1
6
7
16
1
0
0
0
手術用電気機器及び関
連装置
上段:合計台数(台)
下段:割合(%)
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
82
100
37
45
6
7.3
22
27
6
7.3
21
26
14
17
36
44
8
9.8
1
1.2
0
0.0
0
0.0
計
装置分類
生体物理現象検査用機
器
2
生体現象監視用機器
計
Ⅰ
Ⅴ
①
Ⅵ
①
Ⅶ
①
電波発射源 ( )内はバースト出力
Ⅰ①:W-CDMA携帯電話(10mW)
Ⅰ②:W-CDMA携帯電話(250mW)
Ⅱ①:CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(10mW)
Ⅱ②:CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(200mW)
Ⅲ①:CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話(10mW)
Ⅲ②:CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話(200mW)
Ⅳ①:PHS端末(80mW)
Ⅴ①:2.4GHz無線LAN端末(20mW)
Ⅵ①:5GHz無線LAN端末Ⅰ(32mW)
Ⅶ①:5GHz無線LAN端末Ⅱ(16mW)
また参考として、スケールベッドの干渉試験で少しでも影響の現れたスケールベッド台
数を表2-2-3-2に示す。
表2-2-3-2 影響が現れたスケールベッド台数
装置内訳
(医用機器名)
スケールベッド
計
2
計
2
Ⅰ
①
1
②
2
影響発生機器台数
電波発射源
Ⅳ
Ⅱ
Ⅲ
①
②
①
②
①
1
2
1
2
1
電波発射源は前表と同じ
- 56 -
Ⅴ
①
0
Ⅵ
①
0
Ⅶ
①
0
(2)電波発射源毎の影響現象
干渉試験において、各電波発射源でどのような医用機器(スケールベッドは医用機器で
はないので以下のデータでは全て除かれている)がどのような影響を受けたかについての
詳細を以下に述べる。
ア
W-CDMA携帯電話の場合
W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWおよび 250mWの場合において、幾つかの
医用機器に影響が現れた。影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-2-3-3、表2-23-4に示す。
表2-2-3-3 W-CDMA携帯電話(バースト出力:10mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ 輸液ポンプ IABP 人工呼吸器 距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
1以下
1以下
3
1以下
1以下
1以下
ビープ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
アラーム後停止
動脈圧表示変化
回路表示値上昇
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
2
2
2
4(5)
3(4)
3(4)
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
なお、カテゴリーについては上表で述べたように、通常普通と考えられる状態(条件)
を想定した時の数値(以下代表値という)を示し、最悪の状態を想定した時の数値を括弧
内に示した。以下全てこの表記方法で表した。
- 57 -
表2-2-3-4 W-CDMA携帯電話(バースト出力:250mW)で影響が現れた医用機器
距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
7
9
19
24
2
1以下
1以下
2
10
12
10
11
1以下
1以下
1以下
3
24
16
8
60
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
心拍音が変化
測定不能
波形のリズム乱れ
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
動脈圧表示変化
静脈圧表示値変化
気泡誤検知後停止
気泡誤検知後停止
呼気換気量表示変化
回路圧表示値上昇
ペースリズム乱れ
ペース抑制
波形の小さい乱れ
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
3
2
2
2
2
3
2
4(5)
4(5)
4(5)
4(5)
3(4)
3(4)
4(5)
4(5)
4(6)
3(4)
4(6)
4(6)
2
除細動器 8
波形の小さい乱れ(プ
リントアウトも)
可逆
2
除細動器 7
波形の小さい乱れ(プ
リントアウトも)
可逆
2
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ 医用テレメータ パルスオキシメータ パルスオキシメータ ベッドサイドモニタ
シリンジポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ IABP 透析装置 透析装置 透析装置 人工呼吸器 人工呼吸器 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 除細動器 (注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
表2-2-3-3及び表2-2-3-4に示すように、W-CDMA携帯電話でバースト出力が
10mWの場合、可逆的影響が観察された医用機器が5台、不可逆的影響が観察された医用
機器が1台でカテゴリー2以上の医用機器は合計6台であった。一方 250mWの場合、可
逆的影響が観察された医用機器が16台、不可逆的影響が観察された医用機器が6台で合
計22台の医用機器で何らかの影響が確認された。
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話でバースト出力が 10mWおよび 200m
Wの場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-2-3-5、表2-2-3-6に
示す。
- 58 -
表2-2-3-5 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(バースト出力:10mW)
影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ 輸液ポンプ IABP 人工呼吸器 距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
2
1以下
2
1以下
3
2
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
アラーム後停止
動脈圧表示変化
回路圧表示値上昇
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
3
2
2
4(5)
3(4)
3(4)
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
表2-2-3-6 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(バースト出力:200m
W)影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ 医用テレメータ パルスオキシメータ パルスオキシメータ ベッドサイドモニタ
シリンジポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ IABP 透析装置 透析装置 透析装置 人工呼吸器 人工呼吸器 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 除細動器 除細動器 距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
5
9
18
20
3
1以下
1以下
1以下
10
7
9
10
1以下
1以下
1以下
7
22
18
9
20
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
心拍音が変化
測定不能
波形のリズム乱れ
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
動脈圧表示変化
静脈圧表示値変化
気泡誤検知後停止
気泡誤検知後停止
呼気換気量表示変化
回路圧表示値上昇
ペースリズム乱れ
ペース抑制
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ(プ
リントアウトも)
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
3
2
2
2
2
3
2
4(5)
4(5)
4(5)
4(5)
3(4)
3(4)
4(5)
4(5)
4(6)
3(4)
4(6)
4(6)
2
可逆
2
3
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
表2-2-3-5及び表2-2-3-6に示すように、CDMA2000 1x(2GHz帯)
携帯電話でバースト出力が 10mWの場合、可逆的影響が観察された医用機器が5台、不可
逆的影響が観察された医用機器が1台でカテゴリー2以上の医用機器は合計6台であった。
- 59 -
一方 200mWの場合、可逆的影響が観察された医用機器が15台、不可逆的影響が観察さ
れた医用機器が6台で合計21台の医用機器で何らかの影響が確認された。
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合は、バー
スト出力が 10mW及び 200mWの場合で医用機器に影響がでた。バースト出力が 10mWの
場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-2-3-7に示す。
表2-2-3-7 CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
(バースト出力:10mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ パルスオキシメータ 輸液ポンプ IABP 透析装置 人工呼吸器 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 除細動器 距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
8
2
3
5
1以下
3
1以下
15
2
2
1以下
1以下
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
心拍音が変化
アラーム後停止
動脈圧表示変化
静脈圧表示値変化
アラーム後停止
ペースリズム乱れ
ペース抑制
ペースリズム乱れ
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ(プ
リントアウトも)
波形の小さい乱れ
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
3
2
2
2
4(5)
3(4)
3(4)
5(7)
4(6)
4(6)
4(6)
2
可逆
2
可逆
2
除細動器 12
除細動器 6
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
表2-2-3-7に示すように、CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MH
z帯)携帯電話でバースト出力が 10mWの場合、可逆的影響が観察された医用機器が12
台、不可逆的影響が観察された医用機器が2台でカテゴリー2以上の医用機器は合計14
台であった。
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話でバースト出力
が 200mWの場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-2-3-8に示す。
- 60 -
表2-2-3-8 CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
(バースト出力:200mW)で影響現れた医用機器
距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ 医用テレメータ 60
10
50
1以下
可逆
可逆
可逆
可逆
医用テレメータ 1以下
可逆
2
パルスオキシメータ パルスオキシメータ パルスオキシメータ ベッドサイドモニタ
シリンジポンプ シリンジポンプ シリンジポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ 輸液ポンプ 25
1以下
1以下
2
1以下
1以下
2
1以下
10
5
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
不可逆
不可逆
不可逆
不可逆
2
3
3
2
4(5)
4(5)
4(5)
4(5)
4(5)
4(5)
IABP 1以下
不可逆
5(7)
IABP 15
可逆
3(4)
透析装置 1以下
不可逆
4(5)
透析装置 補助人工心臓
人工呼吸器 人工呼吸器 2
1以下
8
49
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
紙切れランプ点灯(プ
リントできず)
心拍音が変化
測定不能
測定不良
波形のリズム乱れ
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
オートフィル不良後停
止
動脈圧表示変化
静脈圧表示値変化後停
止
気泡誤検知後停止
血圧表示異常
換気量表示値変化
アラーム後停止
カテゴリー
(注)
3
2
2
2
不可逆
可逆
可逆
不可逆
4(5)
4(6)
4(6)
5(7)
人工呼吸器 3
呼気換気量表示値変化
可逆
4(6)
人工呼吸器 4
回路圧表示値変化/自
発呼吸検知
可逆
4(6)
人工呼吸器 47
不可逆
6(8)
不可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
5(7)
5(7)
5(7)
4(6)
4(6)
4(6)
2
2
可逆
2
可逆
可逆
2
2
装置内訳(医用機器名)
人工呼吸器 人工呼吸器 人工呼吸器 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 体外型心臓ペースメーカ 除細動器 除細動器 1以下
1以下
14
95
39
19
180
22
除細動器 55
除細動器 除細動器 18
17
アラーム後停止(3回目
の停止で故障)
アラーム後停止
アラーム後停止
アラーム後停止
ペース抑制
ペース抑制
ペース抑制
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ(プ
リントアウトも)
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
- 61 -
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話でバースト出力
が 200mWの場合は表2-2-3-8に示すように、可逆的影響が観察された医用機器が22
台、不可逆的影響が観察された医用機器が14台で合計36台の医用機器で何らかの影響
が確認された。
エ
PHS端末
PHS端末の場合は表2-2-3-9に示す医用機器で影響がでた。
表2-2-3-9 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
医用テレメータ 医用テレメータ パルスオキシメータ 輸液ポンプ 輸液ポンプ IABP 体外型心臓ペースメーカ 距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
28
1以下
1以下
1以下
1以下
1以下
2
1以下
ノイズ音発生
波形の小さい乱れ
波形の小さい乱れ
心拍音が変化
アラーム後停止
アラーム後停止
動脈圧表示変化
センスランプ点灯
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
3
2
2
2
4(5)
4(5)
3(4)
3(4)
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
PHS端末の場合、可逆的影響が観察された医用機器が6台、不可逆的影響が観察され
た医用機器が2台で合計8台の医用機器で何らかの影響が確認された。
オ
無線LAN端末の場合
今回の調査では、無線LAN端末として、2.4GHz無線LAN端末1機種と5GH
z無線LAN端末2機種、合計3機種の無線LAN端末を用いて干渉試験を実施した。そ
の結果、5GHz無線LAN端末2機種では医用機器に影響はなかったが、2.4GHz
無線LAN端末の場合において表2-2-3-10のように1台の医用機器に影響がでた。
表2-2-3-10 2.4GHz無線LAN端末で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ血流計
距離[cm]
7
影響現象
ノイズ音発生
- 62 -
可逆/不可逆 カテゴリー
可逆
3
(3)電波発射源毎の干渉距離特性
ア
W-CDMA携帯電話の場合
図2-2-3-1に示すように、W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWの場合は1
0cm以下の距離でのみ約7%の医用機器で影響がでた。またバースト出力が 250mWの
場合は10cm以下の距離では約26%の医用機器で何らかの影響があり、60cm程度
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
45
40
35
30
25
:10mW
20
:250mW
15
(試験対象機種数 82)
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
70.0
80.0
90.0
100.0
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
干渉距離(cm)
図2-2-3-1 W-CDMA携帯電話における干渉距離特性
- 63 -
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話では図2-2-3-2に示すように、バー
スト出力が 10mWの場合は10cm以下の距離でのみ約7%の医用機器で影響がでた。ま
たバースト出力が 200mWの場合では10cm以下の距離では約25%の医用機器で何ら
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
かの影響があり、30cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
45
40
35
30
25
20
15
10
5
:10mW
:200mW
(試験対象機種数 82)
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-2-3-2 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話における干渉距離特性
- 64 -
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合は図22-3-3に示すように、バースト出力が 10mW及び 200mWの場合で医用機器に影響がで
た。バースト出力が 10mWの場合は10cm以下では約17%の医用機器で何らかの影響
があり、20cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。一方バースト
出力が 200mWの場合では10cm以下の距離では約43%の医用機器で何らかの影響が
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
あり、最大干渉距離は約2mであるとの結果が得られた。
45
40
35
30
25
:10mW
20
:200mW
15
(試験対象機種数 82)
10
5
∼
∼
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
|
180.0
干渉距離(cm)
図2-2-3-3 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話
における干渉距離特性
- 65 -
エ
PHS端末
PHS端末の場合は図2-2-3-4に示すように、10cm以下の距離で約10%の医用
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
機器で影響が現れ30cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
45
40
35
(試験対象機種数 82)
30
25
20
15
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-2-3-4 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)における干渉距離特性
オ
無線LAN端末の場合
2.4GHz無線LAN端末の場合に10cm以下の距離でのみ約1%(1台)の医用
機器で影響が現れた。これ以外の5GHz無線LAN端末2機種では影響がでた医用機器
はなかった。
- 66 -
(4)電波発射源毎のカテゴリー別発生割合
ここでは、電波発射源毎のカテゴリー別の発生割合について述べる。ただし、ここでの
カテゴリーは、通常普通と考えられる状態(条件)を想定した時の値、すなわち代表値で
ある。
ア
W-CDMA携帯電話の場合
図2-2-3-5に示すように、W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mW及び 250m
Wの双方でカテゴリー2∼4の範囲で影響がでている。ただし、全般的にバースト出力が
大きい 250mWの方が発生割合は大きく、例えばカテゴリー4で比較すると 10mWでは約
1%であるのに対し 250mWでは約10%である。
100
発生割合 (%)
80
60
40
:10mW
:250mW
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
カテゴリー
7
8
9
10
図2-2-3-5 W-CDMA携帯電話の場合におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 67 -
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話におけるカテゴリー別発生割合を図22-3-6に示す。バースト出力が 10mWと 200mWの双方で共にカテゴリー2∼4の範囲
で影響がでているが、その発生割合は 200mWの方が大きい。
100
発生割合 (%)
80
60
40
:10mW
20
:200mW
0
影響
無し
2
3
4
5
6
カテゴリー
7
8
9
10
図2-2-3-6 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話における
カテゴリー(代表値)別発生割合
- 68 -
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話におけるカテゴ
リー別の発生割合を図2-2-3-7に示す。バースト出力が 10mWの場合はカテゴリー2
∼5の範囲で影響が出ている。一方、200mWの場合は1つ上のカテゴリー6が発生してお
り、各カテゴリーにおける発生割合も 10mWに比較して大きい。
100
発生割合 (%)
80
60
40
:10mW
:200mW
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
カテゴリー
図2-2-3-7 CDMA携帯電話/CDMA2000
7
9
10
1x(800MHz帯)携帯電話
におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 69 -
8
エ
PHS端末
PHS端末の場合は図2-2-3-8に示すように、カテゴリー2∼4の範囲で影響が出て
いる。
100
発生割合 (%)
80
60
40
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
カテゴリー
7
8
9
10
図2-2-3-8 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)のカテゴリー(代表値)別
発生割合
オ
無線LAN端末の場合
5GHz無線LAN端末では医用機器に影響はなかったが、図2-2-3-9に示すように
2.4GHz無線LAN端末の場合においてカテゴリー3が約1%(1台)発生した。
100
発生割合 (%)
80
60
40
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
カテゴリー
7
8
9
10
図2-2-3-9 2.4GHz無線LAN端末におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 70 -
(5)電波の連続照射と断続照射の影響
本編第 1 章で述べたように今回の調査では、電波を連続して医用機器に照射する条件と
断続的に照射する条件で試験を行った。そこで、電波の連続照射と断続照射が医用機器に
及ぼす影響について評価するために、電波発射源(電波を断続発射していない無線LAN
端末2機種を除く)と医用機器の組み合わせにおいて、電波の連続照射と断続照射とで影
響が発生した回数をそれぞれ求めた。その結果を図2-2-3-10に示す。
120
影響発生回数︵回︶
100
(27)
(1) 80
60
40
断続・連続両方で発生した回数
(86)
20
0
連続照射
断続照射
注1:括弧内数字は影響発生回数(回)を表す
図2-2-3-10 電波の連続照射と断続照射の影響
電波を連続的に照射した時に影響が発生した回数は87回であるのに対して、断続の場
合は113回であった。
- 71 -
(6)製造年と影響の出方
今回の調査で用いた医用機器の製造年と影響が現れた医用機器台数との関係を図2-23-11に示す。
(台)
25
20
(10)
15
(14)
(8)
:影響あり
10
5
0
:影響なし
(4)
(10)
(8)
(4)
(2)
89
93
97
01
∼
98
∼
94
∼
90
∼
86
製造年
(注)括弧内数字は医用機器台数を表す
図2-2-3-11 製造年と干渉の関係
図2-2-3-11から、1998年から2001年に製造された医用機器の影響発生割合
は、他のものに比べてやや小さいようにみえるが、サンプル数が小さいため、今回の調査
結果で製造年と影響の出方(製造年とイミュニティ)の関係について明確な結論を出すの
は困難と思われる。
- 72 -
2.3 日医機協各社提供の医用機器(植込み型医用機器を除く)
日医機協の各社から提供された医用機器に電波発射源を近づけたときの医用機器の動作
状況を観察・評価する試験(干渉試験)を電波暗室内において実施した。同干渉試験は、
本編第 1 章で述べた試験方法に従って実施した。
2.3.1 対象医用機器
この調査は電波暗室内で実施した。対象医用機器は、日医機協の各社から提供された延
べ179台の医用機器である。干渉試験で用いた医用機器(植込み型医用機器を除く)の
一覧を表2-3-1-1に示す。
- 73 -
表2-3-1-1 干渉試験に用いた医用機器一覧
台数 装置内訳(医用機器名)
1 X線診断装置
2 超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
血圧計
脳圧モニタ
生体物理現象検査用機器
19 インフレーションモニタ
インフレーションデバイス
超音波血流計
レーザ血流計
連続心拍出量計
3 心電計
生体電気現象検査用機器
分娩監視装置
ベットサイドモニタ
生体現象監視用機器
14 パルスオキシメータ
体温モニタ
テレメータ
新生児無呼吸モニタ
オージオメータ
3 眼圧計
生体検査用機器
角膜形状屈折力解析装置
超音波内視鏡
医用内視鏡
5 その他の内視鏡用医用電気機器
電子内視鏡
2 血糖測定リーダ
臨床化学検査機器
血液分析装置
7 免疫化学発光測定装置
血液検査機器
免疫測定装置
加温器
輸液ポンプ
シリンジポンプ
採血・輸血用、輸液用器具及び
30 採血機
医薬品注入器
遠心ポンプ
補液ポンプ
輸血ポンプ
その他の処置用機器
2 超音波スケーラー
気腹装置
3 低圧持続用吸引器
医療用吸引器
1 電動ベット
診療施設用機械装置
透析装置
血漿交換装置
持続的血液濾過装置
血液体外循環機器
24 人工心肺装置
自己血回収装置
心筋保護液冷却装置
血液成分分離装置
大動脈バルーンポンプ
閉鎖循環式保育器
酸素濃縮器
生体機能制御装置
11 人工呼吸器
除細動器
麻酔器
腹膜灌流関連器具
腹膜灌流用機器及び関連器具
4 無菌接合装置
自動灌流装置
1 その他のマッサージ器(段階的空気圧迫システム)
その他の生体機能補助・代行
家庭用低周波治療器
電位温熱組合せ治療器
家庭用電位治療器
理学療法用器械器具
29 空気圧式マッサージ器
冷却療法用装置
超短波治療器
マイクロ波治療器
電気手術器
手術用電気機器及び関連装置
9 超音波手術器
眼科用レーザ手術器
根管長測定器
家庭用連続式イオン生成機
その他
9
絶縁監視装置
家庭用気泡浴装置
179
合計
装置分類
診断用X線装置
超音波画像診断装置
- 74 -
台数
1
2
1
7
1
2
1
1
5
1
3
1
4
4
2
2
1
1
1
1
3
1
1
2
4
1
2
2
17
6
2
1
1
1
1
1
3
1
10
4
3
3
1
1
1
1
1
1
5
2
2
1
1
2
1
6
3
15
2
1
1
1
7
1
1
1
3
2
3
179
2.3.2 干渉試験結果
(1)試験結果の概要
今回の干渉試験において、密着状態など最悪の条件下で何らかの影響が現れた医用機器
台数(影響発生機器台数)を電波発射源毎に取りまとめたものを表2-3-2-1に示す。
表2-3-2-1 影響が現れた医用機器台数
装置分類
計
①
②
影響発生機器台数
電波発射源
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
①
②
①
②
①
計
Ⅰ
Ⅴ
①
Ⅵ
①
Ⅶ
①
診断用X線装置
1
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
超音波画像診断装置
2
2
1
1
1
1
1
2
0
0
0
0
19
6
1
3
1
3
3
6
1
1
0
1
3
3
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
生体現象監視用機器
14
3
1
3
1
3
1
3
2
0
0
0
生体検査用機器
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
医用内視鏡
5
3
1
3
1
2
0
1
2
1
1
1
臨床化学検査機器
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
血液検査機器
7
4
0
0
0
0
0
4
1
1
0
0
採血・輸血用、輸液用
器具及び医薬品注入器
30
3
0
1
0
1
0
3
0
0
0
0
その他の処置用機器
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
医療用吸引器
3
2
0
2
0
1
0
2
0
0
0
0
診療施設用機械装置
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
血液体外循環機器
24
5
1
4
1
5
1
4
1
0
0
0
生体機能制御装置
11
4
0
3
0
2
1
3
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
理学療法用器械器具
29
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
手術用電気機器及び関
連装置
9
2
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
その他
9
1
1
1
0
1
0
1
1
1
1
0
179
100
40
22
6
3.4
21
12
5
2.8
20
11
7
3.9
36
20
8
4.5
4
2.2
2
1.1
2
1.1
生体物理現象検査用機
器
生体電気現象検査用機
器
腹膜灌流用機器及び関
連器具
その他の生体機能補
助・代行機器
上段:合計台数(台)
下段:割合(%)
電波発射源 (
)内 は バ ー ス ト 出 力
Ⅰ ① :W -C D M A 携 帯 電 話 (10m W )
Ⅰ ② :W -C D M A 携 帯 電 話 (250m W )
Ⅱ ① :CDM A2000 1x(2GH z帯 )携 帯 電 話 (10m W )
Ⅱ ② :CDM A2000 1x(2GH z帯 )携 帯 電 話 (200m W )
Ⅲ ① :CDM A携 帯 電 話 /CDM A2000 1x(800M H z帯 )携 帯 電 話 (10m W )
Ⅲ ② :CDM A携 帯 電 話 /CDM A2000 1x(800M H z帯 )携 帯 電 話 (200m W )
Ⅳ ① :PH S端 末 (80m W )
Ⅴ ① :2.4G H z無 線 LAN 端 末 (20m W )
Ⅵ ① :5G H z無 線 LA N 端 末 Ⅰ (32m W )
Ⅶ ① :5G H z無 線 LA N 端 末 Ⅱ (16m W )
- 75 -
(2)電波発射源毎の影響現象
干渉試験において、各電波発射源でどのような医用機器がどのような影響を受けたかに
ついての詳細を以下に述べる。
ア
W-CDMA携帯電話の場合
W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWおよび 250mWの場合において、幾つかの
医用機器に影響が現れた。影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-3-2-2、表2-32-3に示す。
表2-3-2-2 W-CDMA携帯電話(バースト出力:10mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
テレメータ
超音波内視鏡
4
4
5
1以下
透析装置
1以下
根管長測定器
10
影響現象
可逆/不可逆
輝線の変動
心拍表示の異常
画像ノイズ
画像ノイズ
気泡検知回路異常
警報
可逆
可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
2
2(4)
2
2
不可逆
4(5)
可逆
2
メータ指示値のわずか
なずれ
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
なお、カテゴリーについては上表で述べたように、通常普通と考えられる状態(条件)
を想定した時の数値(以下代表値という)を示し、最悪の状態を想定した時の数値を括弧
内に示した。以下全てこの表記方法で現した。
- 76 -
表2-3-2-3 W-CDMA携帯電話(バースト出力:250mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
血圧計
インフレーションデバイス
分娩監視装置
テレメータ
テレメータ
超音波内視鏡
超音波内視鏡
超音波内視鏡
加温器
低圧持続用吸引器
低圧持続用吸引器
透析装置
距離[cm]
影響現象
可逆/不可逆
20
7
6
4
15
20
6
1以下
30
13
1以下
20
5
12
輝線の変動
心拍表示の異常
指示値の変動
圧力表示がばらつく
心拍表示の異常
画像ノイズ
記録の停止
放射状ノイズ
画像ノイズ
放射状ノイズ
温度表示の異常
過剰陰圧
実測圧値の異常
気泡検知回路異常警報
気泡検知回路異常警
報、漏血警報
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
カテゴリー
(注)
2
2(4)
2
2
2
2
3
2
2
2
3(4)
3(4)
3(4)
4(5)
不可逆
4(5)
可逆
4(5)
可逆
可逆
可逆
可逆
2
4(6)
4(6)
3
可逆
2
透析装置
2
血漿交換装置
2
人工心肺装置
人工呼吸器
人工呼吸器
人工呼吸器
1以下
11
3
2
根管長測定器
10
加温器温度の小さい変
化
画面に小さいノイズ
トリガ発生
トリガ発生
気道内圧のふらつき
メータ指示値のわずかな
ずれ
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWの場合、可逆的影響が観察された医用機
器が5台、不可逆的影響が観察された医用機器が1台でカテゴリー2以上の医用機器は合
計6台であった。一方 250mWの場合、可逆的影響が観察された医用機器が18台、不可
逆的影響が観察された医用機器が3台で合計21台の医用機器で何らかの影響が確認され
た。
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話でバースト出力が 10mWおよび 200m
Wの場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-3-2-4、表2-3-2-5に
示す。
- 77 -
表2-3-2-4 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(バースト出力:10mW)
影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
テレメータ
超音波内視鏡
透析装置
3
4
7
5
2
影響現象
可逆/不可逆
輝線の変動
心拍表示の異常
画像ノイズ
画像ノイズ
気泡検知回路異常警報
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
カテゴリー
(注)
2
2(4)
2
2
4(5)
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
表2-3-2-5 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(バースト出力:200m
W)影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
血圧計
インフレーションデバイス
分娩監視装置
テレメータ
テレメータ
超音波内視鏡
超音波内視鏡
加温器
低圧持続用吸引器
透析装置
40
19
13
1以下
70
27
3
26
26
2
1以下
4
影響現象
可逆/不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
不可逆
カテゴリー
(注)
2
2(4)
2
2
2
2
2
2
3
3(4)
3(4)
4(5)
不可逆
4(5)
可逆
3(4)
透析装置
2
血漿交換装置
5
輝線の変動
心拍表示の異常
指示値の変動
圧力表示がばらつく
心拍表示の異常
画像ノイズ
記録の停止
画像ノイズ
画像ノイズ
温度表示の異常
過剰陰圧
気泡検知回路異常警報
気泡検知回路異常警報、
漏血警報
補充液センサー警報
血漿交換装置
7
加温器温度の小さい変化
可逆
4(6)
人工心肺装置
人工呼吸器
人工呼吸器
2
12
3
可逆
可逆
可逆
2
4(6)
4(6)
超音波手術器
26
画面に小さいノイズ
気道内圧メータ振動
トリガー発生
わずかに吸引圧表示上
昇
可逆
3(4)
根管長測定器
9
可逆
2
メータ指示値のわずかな
ずれ
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話でバースト出力が 10mWの場合、可逆
的影響が観察された医用機器が4台、不可逆的影響が観察された医用機器が1台でカテゴ
リー2以上の医用機器は合計5台であった。一方 200mWの場合、可逆的影響が観察され
- 78 -
た医用機器が17台、不可逆的影響が観察された医用機器が3台で合計20台の医用機器
で何らかの影響が確認された。
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合は、バー
スト出力が 10mW及び 200mWの場合で医用機器に影響がでた。バースト出力が 10mWの
場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-3-2-6に示す。
表2-3-2-6 CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
(バースト出力:10mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
血圧計
血圧計
分娩監視装置
血漿交換装置
人工呼吸器
16
16
2
4
12
5
1
影響現象
可逆/不可逆
管面表示がひずむ
心拍表示の異常
圧力が2mmHg変動
圧力が2mmHg変動
心拍表示の異常
加温器温度の変化
トリガー発生
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
カテゴリー
(注)
2
2(4)
2
2
2
4(6)
4(6)
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話でバースト出力
が 10mWの場合、全てが可逆的影響でカテゴリー2以上の医用機器は7台であった。
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話でバースト出力
が 200mWの場合において影響が現れた医用機器と影響内容等を表2-3-2-7に示す。
- 79 -
表2-3-2-7 CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
(バースト出力:200mW)で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
X線診断装置
超音波画像診断装置
超音波画像診断装置
ドプラ胎児診断装置
血圧計
血圧計
血圧計
血圧計
インフレーションデバイス
心電計
心電計
心電計
分娩監視装置
テレメータ
テレメータ
超音波内視鏡
血液分析装置
血液分析装置
免疫化学発光測定装置
免疫測定装置
加温器
輸液ポンプ
シリンジポンプ
低圧持続用吸引器
低圧持続用吸引器
透析装置
透析装置
血漿交換装置
40
62
50
475
25
6
24
35
9
22
5
6
98
13
2
5
1以下
4
26
28
17
6
4
1以下
2
1以下
2
3
血漿交換装置
55
人工呼吸器
人工呼吸器
人工呼吸器
電位温熱組合せ治療器
電気手術器
15
15
4
4
13
超音波手術器
48
根管長測定
6
影響現象
可逆/不可逆
結果表示不良
管面表示のひずみ
輝線の変動
心拍表示の異常
圧力が20mmHg変化
圧力が3mmHg変化
圧力が15mmHg変化
指示値の変動
圧力表示がばらつく
基線ずれ
ノイズ
ノイズ
心拍表示の異常
画像にノイズ
記録の停止
微少な同期ずれ
計数値異常
検体液面検知エラー
制御用PC用画面のゆれ
制御用PC用画面のゆれ
温度表示の異常
気泡警報
閉塞警報
吸引メータの過剰反応
実測圧値の異常
気泡検知回路異常警報
気泡検知回路異常警報
補充液センサ警報
加温器温度の小さい変
化
トリガー発生
トリガー発生
トリガー発生
画面が暗くなる
ノイズ音
吸引圧力表示が100mm
Hg上昇
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
可逆
可逆
不可逆
不可逆
可逆
カテゴリー
(注)
2
2
2
2(4)
3
2
3
2
2
2
2
2
2
2
3
2
3
2
2
2
3
3
4(5)
3(4)
3(4)
4(5)
4(5)
3(4)
可逆
4(6)
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
4(6)
4(6)
4(6)
2
2
可逆
3(4)
可逆
2
メータ指示値のわずかな
ずれ
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話でバースト出力
が 200mWの場合は上表に示すように、可逆的影響が観察された医用機器が31台、不可
- 80 -
逆的影響が観察された医用機器が5台で合計36台の医用機器で何らかの影響が確認され
た。
エ
PHS端末の場合
PHS端末を用いた干渉試験では表2-3-2-8に示す医用機器で影響がでた。
表2-3-2-8 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)で影響が現れた医用機器
影響現象
可逆/不可逆
心拍表示の異常
心拍表示の異常
スパイクノイズ
画像ノイズ
放射状ノイズ
検体液面検知エラー
気泡検知回路異常警報
メータ指示値のわずかな
ずれ
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
可逆
不可逆
カテゴリー
(注)
2(4)
2
2
2
2
2
4(5)
可逆
2
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
ドプラ胎児診断装置
分娩監視装置
テレメータ
超音波内視鏡
超音波内視鏡
血液分析装置
透析装置
2
20
6
3
3
1以下
1以下
根管長測定器
1以下
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
PHS端末の場合、可逆的影響が観察された医用機器が7台、不可逆的影響が観察され
た医用機器が1台で合計8台の医用機器で何らかの影響が確認された。
オ
2.4GHz無線LAN端末の場合
2.
4GHz無線LAN端末を用いた干渉試験において表2-3-2-10に示すような影
響がでた。
表2-3-2-9 2.4GHz無線LAN端末で影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名) 距離[cm]
ドプラ胎児診断装置
5
超音波内視鏡
13
血液分析装置
1以下
根管長測定器
3
影響現象
可逆/不可逆
心拍表示の異常
可逆
画像ノイズ
可逆
検体液面検知エラー
可逆
メータ指示値のわずかな
可逆
ずれ
カテゴリー
2(4)
2
2
2
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
2.4GHz無線LAN端末の場合、可逆的影響が観察された医用機器が4台であり、
不可逆的影響は観察されなかった。
- 81 -
カ
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合
5GHz無線LAN端末Ⅰを用いた干渉試験において表2-3-2-10に示すような影
響がでた。
表2-3-2-10 5GHz無線LAN端末Ⅰで影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
超音波内視鏡
根管長測定器
距離[cm]
7
2
影響現象
画像ノイズ
メータ指示値のわずか
なずれ
可逆/不可逆
可逆
カテゴリー
2
可逆
2
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合、可逆的影響が観察された医用機器が2台であり、不
可逆的影響は観察されなかった。
キ
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合
5GHz無線LAN端末Ⅱを用いた干渉試験において表2-3-2-11に示すような影
響がでた。
表2-3-2-11 5GHz無線LAN端末Ⅱで影響が現れた医用機器
装置内訳(医用機器名)
ドプラ胎児診断装置
超音波内視鏡
距離[cm]
2
15
影響現象
心拍表示の異常
画像ノイズ
可逆/不可逆
可逆
可逆
カテゴリー
2(4)
2
(注)数値は代表値、括弧内数値は最悪状態を想定した値
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合、可逆的影響が観察された医用機器が2台であり、不
可逆的影響は観察されなかった。
- 82 -
(3)電波発射源毎の干渉距離特性
ア
W-CDMA携帯電話の場合
図2-3-2-1に示すように、W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWの場合は1
0cm以下の距離でのみ約4%の医用機器で影響がでた。またバースト出力が 250mWの
場合は10cm以下の距離では約12%の医用機器で何らかの影響があり、30cm程度
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
25
20
15
10
:10mW
:250mW
(試験対象機種数 179)
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-1 W-CDMA携帯電話における干渉距離特性
- 83 -
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話では図2-3-2-2に示すように、バー
スト出力が 10mWの場合は10cm以下の距離でのみ約4%の医用機器で影響がでた。ま
たバースト出力が 200mWの場合では10cm以下の距離で10%強の医用機器で何らか
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
の影響があり、70cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
25
20
15
:10mW
10
5
0
:200mW
(試験対象機種数 179)
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-2 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話における干渉距離特性
- 84 -
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合は図23-2-2に示すように、バースト出力が 10mW及び 200mWの場合で医用機器に影響がで
た。バースト出力が 10mWの場合は10cm以下では約4%の医用機器で何らかの影響が
あり、20cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。一方バースト出
力が 200mWの場合では10cm以下の距離では約20%の医用機器で何らかの影響があ
25
20
:10mW
15
:200mW
(試験対象機種数 179)
10
5
∼
∼
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
り、最大干渉距離は5m程度であるとの結果が得られた。
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1 100.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0
470.1
|
480.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-2 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話
における干渉距離特性
- 85 -
エ
PHS端末の場合
PHS端末の場合は図2-3-2-4に示すように、10cm以下の距離で5%弱の医用機
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
器で影響が現れ20cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果が得られた。
25
(試験対象機種数 179)
20
15
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-4 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)における干渉距離特性
- 86 -
オ
2.4GHz無線LAN端末の場合
2.4GHz無線LAN端末の場合は図2-3-2-5に示すように、10cm以下の距離
で5%弱の医用機器で影響が現れ、20cm程度以上離れると影響がでなくなるとの結果
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
が得られた。
25
(試験対象機種数 179)
20
15
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-5 2.4GHz無線LAN端末における干渉距離特性
- 87 -
カ
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合は図2-3-2-6に示すように、10cm以下の距離で
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
のみ5%弱の医用機器で影響が現れた。
25
(試験対象機種数 179)
20
15
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
70.0
80.0
90.0
100.0
60.0
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-6 5GHz無線LAN端末Ⅰにおける干渉距離特性
- 88 -
キ
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合は図2-3-2-7に示すように、20cm以下の距離で
干渉の発生する機種数の割合 [%:累積値]
5%弱の医用機器で影響が現れた。
25
(試験対象機種数 179)
20
15
10
5
0
0.0 10.1 20.1 30.1 40.1 50.1 60.1 70.1 80.1 90.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
70.0
80.0
90.0
100.0
60.0
50.0
10.0 20.0 30.0 40.0
干渉距離(cm)
図2-3-2-7 5GHz無線LAN端末Ⅱにおける干渉距離特性
- 89 -
(4)電波発射源毎のカテゴリー別発生割合
ここでは、電波発射源毎のカテゴリー別の発生割合について述べる。ただし、ここでの
カテゴリーは、通常普通と考えられる状態(条件)を想定した時の値、すなわち代表値で
ある。
ア
W-CDMA携帯電話の場合
図2-3-2-8に示すように、W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mW及び 250m
Wの双方でカテゴリー2∼4の範囲で影響がでている。
100
発生割合 (%)
80
60
:10mW
40
:250mW
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
7
8
9
10
カテゴリー
図2-3-2-8 W-CDMA携帯電話の場合におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 90 -
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話におけるカテゴリー別発生割合を図23-2-9に示す。バースト出力が 10mWの場合はカテゴリー2、3で影響がでているが、
200mWの場合はカテゴリー2∼4の範囲で影響がでている。
100
発生割合 (%)
80
60
40
:10mW
:200mW
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
7
8
9
10
カテゴリー
図2-3-2-9 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話における
カテゴリー(代表値)別発生割合
- 91 -
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話におけるカテゴ
リー別発生割合を図2-2-3-10に示す。バースト出力が 10mWと 200mWの双方で共に
カテゴリー2∼4の範囲で影響がでているが、その発生割合は 200mWの方が大きい。
100
発生割合 (%)
80
60
40
:10mW
20
:200mW
0
影響
無し
2
3
4
5
6
7
8
9
10
カテゴリー
図2-3-2-10 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電
話におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 92 -
エ
PHS端末の場合
PHS端末の場合は図2-3-2-11に示すように、カテゴリー2の医用機器が数%の割
合で出ている。
100
発生割合 (%)
80
60
40
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
7
8
9
10
カテゴリー
図2-3-2-11 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)のカテゴリー(代表値)
別発生割合
- 93 -
オ
無線LAN端末の場合
2.4GHz無線LAN端末1機種及び5GHz無線LAN端末2機種では図2-3-212に示すようにカテゴリー2が約1%(2∼3台)発生した。
100
発生割合 (%)
80
60
:2.4GHz無線LAN端末
:5GHz無線LAN端末Ⅰ
40
:5GHz無線LAN端末Ⅱ
20
0
影響
無し
2
3
4
5
6
7
8
9
10
カテゴリー
図2-3-2-12 無線LAN端末におけるカテゴリー(代表値)別発生割合
- 94 -
(5)電波の連続照射と断続照射の影響
電波の連続照射と断続照射が医用機器に及ぼす影響について評価するために、電波発射
源(電波を断続発射していない無線LAN端末2機種を除く)と医用機器の組み合わせに
おいて、電波の連続照射と断続照射とで影響が発生した回数をそれぞれ求めた。その結果
を図2-3-2-13に示す。
100
影響発生回数︵回︶
80
(10) (14)
60
40
断続・連続両方で発生した回数
(78)
20
0
連続照射
断続照射
(注)括弧内数字は影響発生回数(回)を表す
図2-3-2-13 電波の連続照射と断続照射の影響
電波を断続的に照射した時に影響が発生した回数は88回で、断続の場合は92回であ
った。
- 95 -
2.4 今回の調査結果
本節では、今回の調査で得られた主な結果をまとめて以下に述べる。
2.4.1 新無線サービスが医用機器に及ぼす影響
新しい携帯電話サービスや5GHz帯無線LANの端末機が医用機器に及ぼす影響につ
いて考察した結果を以下に述べる。なお、対象とした医用機器は、現在病院で使用されて
いる医用機器、および日医機協各社から提供された植込み型医用機器を除く医用機器であ
る。
(1)新方式携帯電話サービス関連
符号分割多元接続(CDMA)方式の新携帯電話サービスが開始された。これら、WCDMA携帯電話およびCDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話のバースト出力
10mWでの干渉試験では、3∼7%の医用機器(植込み型医用機器を除く)で影響(カテ
ゴリー2以上)があらわれた。この数値は、今回調査のPHS端末の5∼10%に比べや
や小さいか同等である。また、周波数や変調方式、標準ダイポールアンテナと実機等異な
る点があるで単純な比較はできないが、CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(80
0MHz帯)携帯電話のバースト出力 10mWでの干渉試験結果の4∼17%と比較しても
やや小さいか同等である。さらに、不要協調査[1]におけるPHS端末の数値である4∼8%
とほぼ同等の数値である。
W-CDMA携帯電話のバースト出力 250mWおよびCDMA2000 1x(2GHz
帯)携帯電話のバースト出力 200mWでの干渉試験では、11∼27%の医用機器で影響
(カテゴリー2以上)があらわれた。この値は、今回のCDMA携帯電話/CDMA200
0
1x(800MHz帯)携帯電話のバースト出力 200mWでの20∼44%と比較し
て小さい値である。なお、不要協調査[1]における携帯電話(800MHz, 1.5GHz で 600mWも
しくは 800mW)の値は52∼66%である。
以上のことから、新サービスの携帯電話端末が医用機器(植込み型医用機器を除く)に
与える影響は、バースト出力 10mWの場合はPHS端末とほぼ同等、バースト出力が 200
又は 250mWの場合は従来の携帯電話端末よりやや小さいと考えるのが妥当であると考え
る。
- 96 -
(2)5GHz無線LAN関連
今回の調査では、無線LAN端末として新たに開発された、5GHz無線LAN端末2
機種の無線LAN端末を用いて干渉試験を実施した。その結果、約1%の医用機器(植込
み型医用機器を除く)で影響(カテゴリー2以上)があらわれた。この数値は、今回調査
でのPHS端末を用いた場合の4∼10%や、W-CDMA携帯電話、CDMA2000
1x(2GHz帯)携帯電話およびCDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800M
Hz帯)携帯電話のバースト出力 10mWでの2∼17%と比較しても小さい。また、不要
協調査[1]における2.4GHz無線LAN端末の数値である1.9%とほぼ同等である。
以上のことから、5GHz無線LAN端末が医用機器(植込み型医用機器を除く)に与
える影響は2.4GHz無線LAN端末と同等であり、PHS端末やバースト出力が 10
mWである携帯電話端末より小さいと考えるのが妥当であると考える。
- 97 -
2.4.2 電波発射源毎の影響総合評価
本小節では、影響の発生した医用機器の割合(影響発生割合)
、カテゴリー、干渉距離の
3項に注目して、電波発射源毎のレーダチャートを作成した。レーダチャートでは、カテ
ゴリー(代表値)が最大となる医用機器の場合、干渉距離が最大となる医用機器の場合、
カテゴリー(代表値)と干渉距離が共に最大となる線、最悪状態を想定したカテゴリーの
場合をそれぞれプロットした。なお、対象とした医用機器は、現在病院内で使用されてい
る医用機器及び日医機協各社から提供された植込み型医用機器を除く医用機器である。
(1) W−CDMA携帯電話
バースト出力が10mWのW−CDMA携帯電話についてレーダチャートを図2-4-2
-1に示す。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
1.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
7
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-1 W−CDMA携帯電話(10mW)のレーダチャート
干渉距離が最大となった医用機器は根管長測定器で、カテゴリー(代表値)が最大の4
- 98 -
であった医用機器は輸液ポンプと透析装置であった。
バースト出力が250mWのW−CDMA携帯電話についてレーダチャートを図2-42-2に示す。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
1.0
7
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-2 W−CDMA携帯電話(250mW)のレーダチャート
干渉距離が最大となった医用機器は除細動器で、カテゴリー(代表値)が最大の4とな
った医用機器の中で干渉距離が最も大きかった医用機器は体外型心臓ペースメーカであっ
た。
- 99 -
(2)CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話
バースト出力が10mWのCDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話についてレ
ーダチャートを図2-4-2-3に示す
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
1
0.2
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
7
1.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
干渉距離(m)
8
カテゴリー
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-3 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(10mW)のレーダチ
ャート
干渉距離が最大となった医用機器はテレメータで、カテゴリー(代表値)が最大の4と
なった医用機器の中で干渉距離が最も大きかった医用機器は透析装置である。
- 100 -
バースト出力が200mWのCDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話について
レーダチャートを図2-4-2-4に示す。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
7
1.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-4 CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(200mW)のレーダ
チャート
干渉距離が最大となった医用機器は分娩監視装置で、カテゴリー(代表値)が最大の4
となった医用機器の中で干渉距離が最も大きかった医用機器は体外型心臓ペースメーカで
ある。
- 101 -
(2) CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話
バースト出力が10mWのCDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz
帯)携帯電話についてレーダチャートを図2-4-2-5に示す
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
1.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
7
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-5 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話
(10mW)のレーダチャート
干渉距離が最大となった医用機器は超音波画像診断装置等で、カテゴリー(代表値)が
最大の5となった医用機器は人工呼吸器である。
- 102 -
バースト出力が200mWのCDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MH
z帯)携帯電話についてレーダチャートを図2-4-2-6に示す。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
7
1.0
5.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-6 CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話
(200mW)のレーダチャート
干渉距離が最大となった医用機器はドプラ胎児診断装置で、カテゴリー(代表値)が最
大の6となった医用機器は人工呼吸器である。
- 103 -
(4)PHS端末
図2-4-2-7は、バースト出力が80mWのPHS端末のレーダチャートである。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
1.0
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
7
8
カテゴリー
干渉距離(m)
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-7 PHS端末(標準ダイポールアンテナを使用)のレーダチャート
干渉距離が最大となった医用機器はドプラ血流計で、カテゴリー(代表値)が最大の4
となった医用機器は体外型心臓ペースメーカ、輸液ポンプ、透析装置である。
- 104 -
(5)無線LAN端末
2.4GHz無線LAN端末および5GHz無線LAN端末2機種のレーダチャートを
図2-4-2-8∼図2-4-2-10に示す。
レーダチャートから明らかなように、いずれの無線LAN端末においても、その他の無
線システム端末に比べて医用機器に及ぼす影響が小さいといえる。
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
1
0.2
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
1.0
7
:カテゴリー(代表値)が
最大となる医用機器
干渉距離(m)
8
カテゴリー
:干渉距離が最大
となる医用機器
:カテゴリー(代表値)と干渉
距離が共に最大の場合
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-8
2.4GHz無線LAN端末のレーダチャート
- 105 -
干渉発生割合(%)
50
40
30
※ カテゴリーが最大
となる医用機器が
干渉距離も最大と
なる医用機器であ
った
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
7
1.0
8
カテゴリー
干渉距離(m)
図2-4-2-9 5GHz無線LAN端末Ⅰのレーダチャート
影響発生割合(%)
50
40
30
20
10
0.2
1
2
3
0.4
4
5
0.6
6
0.8
7
1.0
:カテゴリーが最大となる医用
機器が干渉距離も最大
干渉距離(m)
8
カテゴリー
:最悪状態を想定したカテゴリー
図2-4-2-10 5GHz無線LAN端末Ⅱのレーダチャート
- 106 -
第3章
医療機関における無線システム導入時事前調査の検討
本章では、電波による医用機器の障害事例や今回の調査結果と不要協調査[1]との整合
性、現行指針の妥当性、医療機関における無線システム導入に向けた検討課題について述
べる。
3.1 障害事例
電波による医用機器の障害事例やその障害が医療にどのような影響を及ぼすかは重要で
ある。本節では、今回の調査で発生した各種医用機器(植込み型医用機器および補聴器を
除く)の障害事例を中心に、カテゴリー毎にそれぞれ数例を選び出し障害内容について以
下に紹介する。なお、カテゴリーは、通常普通と考えられる状態(条件)を想定した時の
カテゴリー(代表値)であり、表1-2-1及び表1-2-2によるものである。
(1)カテゴリー6
①
人工呼吸器:人工呼吸器は、患者の気道に接続し、患者の換気を調節または補助す
る働きをする装置である。今回の調査では、人工呼吸器が故障状態になり、修
理が必要となる障害が発生した(最悪の状況ではカテゴリー8もあり得る)
。
(2)カテゴリー5
①
人工心肺装置:人工心肺装置は、患者心臓のポンプ作用が停止している間、全身の
臓器への血流灌流を行い、同時に肺の呼吸機能を代行して血液のガス交換を行
う装置である。人工心肺装置がアラーム発生で停止する障害が報告されている
(最悪の状況ではカテゴリー7もあり得る)
。
②
体外型心臓ペースメーカ:体外型心臓ペースメーカは、心臓の洞結節での刺激生成
異常や刺激伝動系の異常の際に、心筋を周期的に電気刺激して正常なリズムで
心臓を拍動させるために用いられる。アラーム発生で停止する障害が報告され
ている(最悪の状況ではカテゴリー7もあり得る)
。
③
人工呼吸器:今回の調査では、人工呼吸器がアラーム発生で停止する障害が発生し
た(最悪の状況ではカテゴリー7もあり得る)。
- 107 -
④
IABP:IABP(大動脈内バルーンパンピング)は患者の心臓の仕事量軽減と
冠状動脈血流量を増加させる働きをする装置である。今回の調査では、IAB
Pがオートフィル不良後停止する障害が発生した(最悪の状況ではカテゴリー
7もあり得る)
。
(3)カテゴリー4
①
輸液ポンプ:輸液ポンプは一定の速度で薬液を投与するのに用いられる。今回の調
査では、輸液ポンプが滴下異常アラーム発生で停止する障害が発生した(最悪
の状況ではカテゴリー5もあり得る)。
②
シリンジポンプ:シリンジポンプは一定の速度で薬液を投与するのに用いられる。
今回の調査では、シリンジポンプがシリンジサイズ検出不能でアラームが発生
し停止する障害が発生した(最悪の状況ではカテゴリー5もあり得る)。
③
透析装置:透析装置は、回復不能な腎機能障害患者の血液中の老廃物を透析液の中
に析出し、血液を浄化する働きをする。今回の調査では、透析装置が気泡アラ
ーム発生で停止する障害が発生した(最悪の状況ではカテゴリー5もあり得
る)。
④
人工呼吸器:今回の調査では、人工呼吸器にトリガーが発生する障害や呼気換気量
表示が変化する障害、自発呼吸を誤検知する障害が発生した(最悪の状況では
カテゴリー6もあり得る)
。
⑤
体外型心臓ペースメーカ:今回の調査では、体外型心臓ペースメーカのペーシング
が一時的に抑制される障害、ペースリズムが乱れる障害が発生した(最悪の状
況ではカテゴリー6もあり得る)。
(4)カテゴリー3
①
除細動器:除細動器は、細動を起こした心室に大電流を加えることによって心室の
すべての心筋をいったん収縮させて、元の拍動に戻す働きをする装置で、心電
図波形を表示するモニタ装置を有する。今回の調査では除細動器のモニタ装置
の心電図波形が大きく乱れ診断不能になる障害が発生した。
②
体外型心臓ペースメーカ:今回の調査では体外型心臓ペースメーカのセンスランプ
が点灯する障害が発生した。
③
透析装置:今回の調査では、透析装置の表示が誤った値になる障害が発生した。
- 108 -
(5)カテゴリー2
①
除細動器:今回の調査では、除細動器のモニタ装置の心電図波形に小さいレベルで
雑音が混入する障害が発生した。
②
超音波画像診断装置:超音波画像診断装置は、生体に超音波(数MHz)を投射し、
生体からの反射速度や強度を検出して超音波画像を作る装置である。今回の調
査では、超音波画像診断装置の超音波画像が若干乱れる障害が発生した。
③
テレメータ:医用テレメータの画像にノイズが入る障害が発生した。
3.2 本調査結果と不要協調査結果の関係
今回調査と以前に実施された不要協調査[1]との整合性について述べる。不要協での調
査は現行指針策定の根拠となった実態調査であり、本節はそれに対して今回の調査結果を
踏まえた場合の現行指針の見直しの有無に関わる根拠を検討するものである。
不要協調査では次のように報告書のまとめで整理している。
①
延べ727機種(病院内調査108機種、電波暗室内調査366機種など)の調査を
したが、それは現在市販され、医療機関で使用される機器のほんの一部である。
(事実、
年間数千の新医療用具(一部変更も含む)が承認され続けている)
②
医療機器のイミュニティの経年劣化状態を考慮する必要がある。
今回の調査も、医療機関内現行使用医用機器82台、日医機協各社提供による医用機器
179台である。その数は前回同様「一部」を調査したことにとどまるものである。さら
に、今回調査対象とした医用機器は不要協調査で用いた医用機器と異なる。不要協調査で
用いた医用機器が多少とも含まれていること、また病院内で実際に稼動している等の理由
から、病院内の医用機器の調査結果について相互の比較検討した。さらに、表3-2-11で示すように、今回と過去の調査で用いた電波発射源が同一でないため、周波数や電波
出力が同程度とみなせる電波発射源(PHS端末と2.4GHz無線LAN端末)を用い
た調査結果のみを抽出し、比較検討した。
- 109 -
表3-2-1-1 今回調査と不要協調査で用いた電波発射源の対応表
電波発射源(機器)種別
W−CDMA携帯電話
CDMA2000 1x(2GHz帯)
携帯電話
CDMA携帯電話/CDMA2000
1x(800MHz帯)携帯電話
バースト出力
(mW)
10
250
10
200
10
200
80
20
32
16
本調査
不要協調査
DP
DP
DP
DP
実機
実機
DP
実機
実機
実機
−
−
−
−
−
−
実機
実機
−
−
PHS端末
2.4GHz無線LAN端末
5GHz無線LAN端末Ⅰ
5GHz無線LAN端末Ⅱ
【備考】
・DPは標準ダイポールアンテナを、実機は端末実機を用いて試験を実施、
−は試験を実施せず
(1)通信方式別影響発生割合
今回のPHS端末(標準ダイポールアンテナ使用)を用いた調査では9.8%の医用機
器で影響が現れたのに対し、不要協調査(実機)では3.7%であった。今回の発生頻度
が過去のそれに比しやや多い理由として標準ダイポールアンテナと実機の相違等が考えら
れるが、今回の影響発生率9.8%と過去の3.7%の差が有意かどうかについては不明
である。また、2.4無線LAN端末関連では、今回1.2%に対し過去は1.9%であ
り、ほぼ同等であった。
(2)通信方式別最大干渉距離
今回の調査ではPHS端末での最大干渉距離は28cm(カテゴリー2)であった。一
方不要協調査では、60cm(カテゴリー2)である。また、2.4無線LAN端末関連
では、それぞれ7cm(今回調査)と15cm(不要協調査)であり、カテゴリーはいず
れも2であった。
(3)電波出力別影響発生割合
今回の調査結果と不要協調査を電波出力に注目して比較すると、電波出力が 200∼250m
W(今回調査)では26∼44%の医用機器で影響が現れたのに対し、600∼800mW(不
要協調査)では52.7%の医用機器で影響が現れたと報告されている。このことから、
電波出力が 200∼250mWの電波発射源を用いた今回の調査結果は妥当だと考えられる。
- 110 -
上述の(1)∼(3)から、今回調査と不要協調査には整合性があり、今回得られた調
査結果は不要協調査で得られたものと同列に取り扱っても問題が無いと考える。
3.3 現行指針との整合
携帯電話端末等の使用に関する指針として、平成9年4月の不要協報告書[1]の “2 医
用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針”に記載
されている指針がある。本節では、今回の調査で得られた結果と同指針の内容を比較し、
同指針の妥当性について検討した。
3.3.1 現行指針の内容
前述の指針のうち以下の部分(抄録)が本編での調査研究に関連する。そのため次項で
は、これら関連する部分(以下単に現行指針)の妥当性について考察した。
(1)“Ⅰ 医療機関の屋内における無線設備の利用”の携帯電話端末の項
①
手術室、集中治療室(ICU)及び冠状動脈疾患監視室(CCU)等には携帯電話端
末を持ち込まないこと、持ち込む場合は電源を切ること、これらの部屋の周囲におい
ても電源を切ること
②
検査室、診療室、病室及び処置室等では携帯電話端末の電源を切ること、これらの部
屋の周囲においても電源を切ること
③
その他待合室など医療機関側が携帯電話端末の使用を特に認めた区域でのみ携帯電
話を使用すること
(2)“Ⅰ 医療機関の屋内における無線設備の利用”のPHS端末(PHS基地局をの
ぞく)の項
①
医療機関内で使用するPHS端末は識別すること
②
PHS端末を医用機器に近づけないこと
③
手術室、集中治療室(ICU)及び冠状動脈疾患監視室(CCU)等においてはPH
S端末の電源を切ること
(3)“Ⅰ 医療機関の屋内における無線設備の利用”の無線LANの項
①
無線LANを医用機器に近づけないよう注意すること
- 111 -
3.3.2 現行指針の妥当性
今回の調査結果(3.2節)から、新しい方式を含む携帯電話端末やPHS端末、新し
い方式を含む無線LAN端末に関して、前小節の(1)∼(3)で述べた、“Ⅰ 医療機
関の屋内における無線設備の利用”の携帯電話端末、PHS端末(PHS基地局をのぞく)
及び無線LANに関する上記現行指針を適用することは妥当であると考える。
3.4 医療機関における無線システム導入に向けた検討課題
無線システムの病院内への導入は、院内でのスタッフ相互間連絡や患者と家族の連絡、
LANによる医療データ記録や参照、病院内事務処理等、医療や患者のQOL(quality of
life)の向上に寄与すると考えられている。一方、今回の調査結果等で示されているように、
無線システムによって医用機器が影響を受けるリスクがあることも事実であり、現行指針
は妥当であると考える。したがって、医療機関は、現行指針の内容を十分理解したうえで、
無線システムの導入等について検討することが望ましい。
無線システムを病院内へ導入することに関連して、今後検討が必要と考える課題を以下
に述べる。
①
無線システムの導入を考える医療機関は、現在使用中の医用機器についてEMCチェ
ックを実施し、その結果を踏まえた対策(注意喚起用ステッカーの掲示や識別された使
用可能無線システム端末の使用等)を実施したり、医用機器の新規購入の際には医用機
器に関する国内外の規格類、特にイミュニティ規格に注意を払うことや医療機関内部で
のEMC教育、人材確保等に努めることが望まれる。さらに、このような医療機関をサ
ポートする外部機関や医用機器のイミュニティ評価が可能な簡易な計測器の開発等も
必要と考える。
②
医用機器が無線システムによって影響を受けるリスクを軽減するためには、医用機器
が具備すべき適切なイミュニティレベルの検討やイミュニティ評価方法、対策技術等に
ついても検討する必要があると考える。
③
医用機器のイミュニティに関する国内外の規格類の整備等についても今後取り組む必
要があろう。例えば、1993年に刊行された IEC60601-1-2 の第1版とその改訂版で
2001年11月に刊行された第2版で要求される試験レベルを図3-4-1及び図34-2にそれぞれ示すが、周波数範囲の上限が第1版では1GHz、第2版では2.5
GHzであって、いずれの場合においても無線システムの中にはその周波数を超えるも
のがあり、このような点を含めた取り組みが必要であると考える。なお、第2版の適用
- 112 -
は、EUでは3年後の2004年11月が予定されている。
20
電界強度 [V/m]
10
個別規格のある
一部の医用機器
5
全ての医用機器
2
1
10
100
1000
周波数
[MHz]①
10000
②③④
①:CDMA携帯電話/
CDMA2000 1x
(800MHz帯)携帯電話
②:PHS端末
④:2.45GHz無線LAN端末
⑤:5GHz無線LAN端末
⑤
③:W-CDMA携帯電話
図3-4-1 IEC60601-1-2 の第1版で要求される試験レベル
- 113 -
20
電界強度 [V/m]
10
生命維持機器
5
非生命維持機器
2
1
10
100
1000
周波数
[MHz]①
10000
②③④
①:CDMA携帯電話/
CDMA2000 1x
(800MHz帯)携帯電話
②:PHS端末
④:2.45GHz無線LAN端末
⑤:5GHz無線LAN端末
⑤
③:W-CDMA携帯電話
図3-4-2 IEC60601-1-2 の第2版で要求される試験レベル
④
無線システムについては、医用機器への影響を軽減しうる無線パラメータや方式構成
等についても検討することが望まれる。
⑤
無線システムが今後より一層病院内へ普及し、発展していくためには、医療現場にお
ける電磁環境の両立性確保が重要である。そのためには、新たに実用化された医用機器
や無線システムに対する電磁干渉調査を今後も継続的に実施することが必要と考える。
- 114 -
参考文献
[1] 不要電波問題対策協議会、
“∼医用機器への電波の影響を防止するために∼ 携帯電話端末等の
使用に関する調査報告書”
、1997
[2]
IMT―2000 MC―CDMA 標準規格, ARIB標準規格, ARIB STD
−T64 1.0版, 平成12年
[3]
第二世代小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステム標準規格, ARI
B標準規格, ARIB STD−T66 1.0版, 平成11年
[4]
小電力データ通信システム/広帯域移動アクセスシステム(HiSWANa)標準規
格, ARIB標準規格, ARIB STD−T70 1.0版, 平成12年
- 115 -
付録
補聴器の干渉試験
日医機協の各社から提供された補聴器に電波発射源を近づけたときの補聴器の動作状況
を観察・評価する試験(干渉試験)を電波暗室内において実施した。
1.試験評価方法
デジタル携帯電話等から補聴器が影響を受ける現象に対する試験、評価方法については、
“IEC60118−13補聴器 第13部補聴器EMCの製造規格”で規定(注)され
ており、不要協調査ではその方法に沿った試験・評価がなされている[1]。本調査研究に
用いた電波発射源はIEC規定の試験方法のものと異なっていることから、今回の補聴器
に対する干渉試験、評価は以下に述べる方法で実施した。
(1)基準状態の測定
補聴器のマイク音口を塞ぎ、電波を照射しない状態での補聴器からの音出力を周波数
分析器にかけ、そのときの暗騒音レベル並びに周波数分布レベルを測定し、
(電波の影響
のない)基準状態とする。なお、補聴器とカプラは導音パイプで連結した。
(2)暴露状態の測定
次に補聴器の近傍から電波発射源を用いて電波を照射し、そのときの補聴器からの音
出力を周波数分析器により(1)と同様に、ノイズレベル(オールパスレベル)と周波
数分布レベルを測定する。
(3)影響の判定
(2)の状態より、電波発射源を遠ざけていくと、補聴器からのノイズレベル、周波
数分布レベルが下がり(1)の状態に近づいていく。そして、
(1)の暗騒音レベル並び
に周波数分布レベルとほぼ等しくなった時の補聴器と電波発射源の距離(干渉距離)を
測定し、その値を記録する。
今回の調査は、日医機協の各社から提供された延べ28個の補聴器を対象に電波暗室内
で実施した。
(注)IEC測定法の概要は、
“1kHz、80%の振幅変調した電波を照射し、補聴器か
ら出力される1kHzの信号を測定する”、である。
-116-
2.干渉試験結果
28個の補聴器を対象とした干渉試験の結果について以下に述べる。
(1)試験結果の概要
今回の干渉試験において、雑音が観測された補聴器個数(影響発生機器個数)を電波発
射源毎に取りまとめたものを表付録-1に示す。
表付録-1 雑音が観測された補聴器個数
計
①
②
影響発生機器台数
電波発射源
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
①
②
①
②
①
計
Ⅰ
Ⅴ
①
Ⅵ
①
Ⅶ
①
補聴器個数
(個)
28
23
11
17
12
18
3
10
17
17
8
18
割合(%)
100
82
39
61
43
64
11
36
61
61
29
64
電波発射源
(
)内はバースト出力
Ⅰ①:W-CDMA携帯電話(10mW)
Ⅰ②:W-CDMA携帯電話(250mW)
Ⅱ①:CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(10mW)
Ⅱ②:CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話(200mW)
Ⅲ①:CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話(10mW)
Ⅲ②:CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話(200mW)
Ⅳ①:PHS端末(80mW)
Ⅴ①:2.4GHz無線LAN端末(20mW)
Ⅵ①:5GHz無線LAN端末Ⅰ(32mW)
Ⅶ①:5GHz無線LAN端末Ⅱ(16mW)
なお、今回の試験の評価は、暗騒音レベルと同等の状態を影響無しとしているので、
極めて厳しいものである。そのため、多くの補聴器で影響が現われているが、その影響は
会話の妨げになるものではなかった。
(この影響についてあえてカテゴリー付けをするとカ
テゴリー2の状態に相当すると思われる)
(2)電波発射源毎の干渉距離特性
ア
W-CDMA携帯電話の場合
W-CDMA携帯電話でバースト出力が 10mWの場合は約40%、250mWの場合は約6
0%の補聴器で雑音が観測された。また、10mWの場合は40cm程度、250mWの場合は
倍の80cm程度以上離れると雑音がなくなるとの結果が得られた。
イ
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話の場合
CDMA2000 1x(2GHz帯)携帯電話では、バースト出力が 10mWの場合は
-117-
40%強、250mWの場合は60%強の補聴器で雑音が観測された。また、10mWの場合は
60cm程度、250mWの場合は倍の80cm程度以上離れると雑音がなくなるとの結果が
得られた。
ウ
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合
CDMA携帯電話/CDMA2000 1x(800MHz帯)携帯電話の場合は、バー
スト出力が 10mWの場合は約10%、250mWの場合は35%程度の補聴器で雑音が観測
された。また、10mWの場合は20cm程度、250mWの場合は倍の40cm程度以上離れ
ると雑音がなくなるとの結果が得られた。
エ
PHS端末の場合
PHS端末の場合は、60%強の補聴器で雑音が観測された。また、約2m以上離れる
と雑音がなくなるとの結果が得られた。
オ
2.4GHz無線LAN端末の場合
2.4GHz無線LAN端末の場合は、60%強の補聴器で雑音が観測された。また、
約1m以上離れると雑音がなくなるとの結果が得られた。
カ
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合
5GHz無線LAN端末Ⅰの場合は、30%弱の補聴器で雑音が観測された。また、約
1m以上離れると雑音がなくなるとの結果が得られた。
カ
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合
5GHz無線LAN端末Ⅱの場合は、60%強の補聴器で雑音が観測された。また、約
30cm以上離れると雑音がなくなるとの結果が得られた。
-118-
(3)電波の連続照射と断続照射の影響
電波の連続照射と断続照射が医用機器に及ぼす影響について評価するために、電波発射
源(電波を断続発射していない無線LAN端末2機種を除く)と医用機器の組み合わせに
おいて、電波の連続照射と断続照射とで雑音が観測された回数をそれぞれ求めた。その結
果を図付録-1に示す。
100
影響発生回数︵回︶
80
(19)
(5)
60
40
断続・連続両方で発生した回数
(72)
20
0
連続照射
断続照射
(注)括弧内数字は影響発生回数(回)を表す
図付録-1 電波の連続照射と断続照射の影響
-119-
おわりに
本調査研究会は、不要電波問題対策協議会が、調査報告書「携帯電話端末等の使用に関す
る調査報告書∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼」をまとめた平成9年4月
以降の携帯電話端末等を利用する電波環境の状況の変化に着目し、植込み型心臓ペースメー
カに対する現行の指針の妥当性の確認、また病院内における医用機器について、最近の無線
システムに対しても、現在の指針の下で十分に安全が確保されていることの確認及び病院内
における無線システム導入の可能性を検討することを目的として調査検討を行った。
今回の調査検討において、新しい方式の携帯電話端末、新機種の植込み型心臓ペースメー
カ及び植込み型除細動器、さらに病院内の医用機器について、現行の指針の下で安心して携
帯電話端末等を利用できる電波環境が維持されていることが確認できた。また、今後病院内
において無線システムを導入するために必要な課題についても明らかにした。このように、
携帯電話端末等の利用に関する安全性を示す調査検討結果を得たことで、国民の不安を軽減
し、安心して携帯電話端末等を利用できる電波環境の確保に寄与できれば幸いである。
最後に、本調査研究会の座長を務めていただいた東京女子医科大学 高倉学長を始めとす
る各委員の方々に厚く御礼申し上げる次第である。
付属資料
(1)「∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼
携帯電話端末等の使用に関する調査報告書」抜粋
(不要電波問題対策協議会)pp.3-8
(2)「∼医用電気機器への電波の影響を防止するために∼
携帯電話端末等の使用に関する調査報告書」抜粋
(不要電波問題対策協議会)pp.46-48
(3)ペースメーカモードの説明
(4)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
設置要綱
(5)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
ペースメーカ分科会設置要綱
(6)「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
病院内無線システム利用分科会設置要綱
(7)審議経過
付属資料(3)
ペースメーカモードの説明
1. AAI
心房電極を使用、設定された期間内に心房自己リズムがない場合電気刺激を発生し心房
の収縮を促す。心房自己リズムがあった場合 P を感知し刺激を発振することを抑制する。
2. AAIR
AAI モードの状態で作動する。センサーが患者さんの負荷を感知した場合、リセットタ
イミングが短縮しペーシングレートを短縮させ心拍数を増加させることができる。
3. VVI
心室電極を使用、設定された期間内に心室自己リズムがない場合電気刺激を発生し心室
の収縮を促す。心室自己リズムがあった場合 QRS を感知し刺激を発振することを抑制す
る。
4. VVIR
VVI モードの状態で作動する。センサーが患者さんの負荷を感知した場合、リセットタ
イミングが短縮しペーシングレートを短縮させ心拍数を増加させることができる。
5. DDD
心房及び心室の電極を使用、AAI と VVI が合わさった機能をもち。AV ディレイと呼ばれ
る心房心室のタイミングのずれを有した状態で作動する。複雑な作動状態を示すが、生
理的ペーシングが可能である。
6. DDDR
DDD モードの状態で作動する。センサーが患者さんの負荷を感知した場合、リセットタ
イミングが短縮しペーシングレートを短縮させ心拍数を増加させることができる。DDD
と同様に複雑な作動状態を示すが、生理的ペーシングが可能である。
参考文献
田中茂夫 編集,"心臓ペースメーカ", メジカルビュー社発行, 目でみる循環器病シリーズ,
1992 年.
-10-
付属資料(4)
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会
設 置 要 綱
平成12年11月13日
社 団 法 人 電 波 産 業 会
1 名
称
本会は、電波の医用機器等への影響に関する調査研究会(以下「調査研究会」とい
う。)と称する。
2 目
的
調査研究会は、携帯電話端末等から発射される電波が医用機器等に及ぼす影響につい
て調査研究を行い、その調査研究結果から新たな指針等の策定に資することを目的とす
る。
3 調査研究項目
次に掲げる項目について調査研究を行い、その結果を取りまとめる。
(1) 携帯電話端末(新型を含む。以下同じ。
)等から発射される電波の状況の調査及び医
用機器等の妨害電波排除能力の調査
(2) 携帯電話端末等と医用機器等との電磁干渉再現実験
(3) (2)の実験結果に基づく医用機器等の誤動作の分類及び分析
(4) 諸外国における電波と医用機器等との関係に関する動向の調査
(5) 医用機器等の電波障害発生防止のための対応策の検討
4 構
成
(1) 調査研究会は、座長、座長代理、委員及びオブザーバで構成し、その構成員は別
紙のとおりとする。
(2) 調査研究会は必要に応じて分科会(作業部会)を置くことができ、その構成員は
調査研究会において定める。
5 運
営
(1) 調査研究会は、座長が招集し、主宰する。
(2) その他調査研究会の運営に関する事項は、調査研究会において定める。
6 設置期間等
(1) 調査研究会は、社団法人電波産業会に設置する。
(2) 調査研究会は、設置の日から調査研究会で定める日までの間(2年間を予定す
るが、状況に応じて延長も考慮する。)設置する。
7 事 務 局
調査研究会の事務局は、社団法人電波産業会が行う。
8
そ の 他
(1) 調査研究会における調査研究会事項に関する成果を公表する場合には、原則とし
て社団法人電波産業会及び郵政省の承認を得るものとする。
(2) 調査研究会の報告書に関する全ての著作権は、郵政省に帰属する。
-11-
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
構成員等名簿
別
紙
(会社/機関名五十音順、敬称略)1/2
氏
名
長
高倉
公朋
座長代理
古幡
博
委
員
雨宮不二雄
NTTアドバンステクノロジ(株)電波事業部 EMCセンタ 所長
委
員
山尾
泰
(株)NTTドコモ ワイヤレス研究所 新世代方式推進研究室長
主席研究員
(平成14年1月以降)
委
員
野島
俊雄
(株)NTTドコモ 研究開発本部 電波環境特別研究室長
(平成13年12月迄)
委
員
大江
透
委
員
早野
幸雄
経済産業省 商務情報政策局 サービス産業課 医療・福祉機器産業
室 課長補佐
(平成14年3月以降)
委
員
高橋
康文
KDDI(株) 商品企画部長
委
員
井本
昌克
厚生労働省 医薬局 安全対策課 医療機器情報専門官
委
員
古賀
大輔
厚生労働省 医薬局 審査管理課 主査
(平成13年7月以降)
委
員
齋藤
充生
厚生労働省 医薬局 審査管理課 主査
(平成13年3月∼6月)
委
員
木下
勝美
厚生省 医薬品医療機器審査センター 審査第四部 主任審査官
(平成13年2月迄)
委
員
釘宮
豊城
順天堂大学 医学部 教授(麻酔科)
委
員
関口
潔
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課課長
(平成13年7月以降)
委
員
浅見
洋
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長(平成13年6月迄)
委
員
小松原道正
委
員
卜部
周二
委
員
山中
幸雄
独立行政法人 通信総合研究所 横須賀無線通信研究センター
電磁環境グループ グループリーダ
委
員
市野
芳明
(財)テレコムエンジニアリングセンター 電磁環境試験部長
委
員
笠貫
宏
委
員
谷川
廣治
座
所
属 ・ 役
職
東京女子医科大学 学長
東京慈恵会医科大学 助教授(ME研究室)
岡山大学 医学部 教授(循環器内科)
通信機械工業会移動通信委員会委員長
(ソニー・エリクソン モバイル コミュニケーションズ(株))
(平成13年7月以降)
通信機械工業会移動通信委員会委員長
(シャープ(株)情報家電開発本部 情報通信システム開発研究所
副所長)
(平成13年6月迄)
東京女子医科大学附属 日本心臓血圧研究所所長 主任教授(循環器
内科)
日医機協EMC分科会主査、EMCJIS作成委員
(オリンパス光学工業(株)内視鏡品質保証部 グループリーダー)
-12-
2/2
委
員
平野
知
日医機協EMC分科会副主査、EMCJIS作成委員
(フクダ電子(株)技術開発部 技術開発室 係長)
委
員
豊島
健
日本心臓ペーシング・電気生理学会:電磁波干渉対策委員会副委員
長(日本メドトロニック(株)CRM臨床応用開発部 次長)
委
員
加藤
哲夫
(財)日本品質保証機構 総合製品安全本部 安全・電磁センター
所長補佐
(平成13年7月以降)
委
員
岡村万春夫
委
員
鈴木
健次
委
員
中島
義昭
委
員
赤迫
哲也
委
員
富岡
隆広
委
員
野島
俊雄
委
員
加納
隆
委
員
内山
明彦
オブザーバ
矢島
潔
オブザーバ
土屋
正勝
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係長
(平成13年度)
オブザーバ
遠藤
鉄裕
総務省 総合通信基盤局 電波部電波環境課 電磁障害係長
(平成12年度)
オブザーバ
加賀谷清治
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係
(平成13年度)
オブザーバ
石丸
総務省 総合通信基盤局 電波部電波環境課 電磁障害係
(平成12年度)
晶子
(財)日本品質保証機構 顧問
(平成13年6月迄)
不要電波問題対策協議会イミュニティ委員会
(日本電気(株)知的財産部 標準化推進部 技術標準エキスパート)
ペースメーカ協議会 会長
((株)ゲッツブラザーズ 取締役 業務部長)
(平成13年7月以降)
ペースメーカ協議会EMC分科会
(ソーリン(株)マーケティング部 プロダクトマネージャー)
(平成13年3月∼6月)
ペースメーカ協議会 会長
(日本ライフライン(株)薬事部 部長)
(平成13年2月)
北海道大学
大学院工学研究科 教授
(平成14年1月以降)
三井記念病院 MEサービス部
早稲田大学理工学部電子・情報通信学科 教授
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 課長補佐
-13-
付属資料(5)
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会
ペースメーカ分科会設置要綱
平成12年12月8日
第1回調査研究会決定
1 設
置
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会の設置要綱4(2)の規定に基ずき、ペース
メーカ分科会(以下「分科会」という。
)を設置する。
2 審議事項
分科会は、携帯電話端末等から発射される電波がペースメーカ等に及ぼす影響について調査
検討及び報告書等の原案の作成を行う。
3 構
成
(1) 分科会は、主査、副主査、委員及びオブザーバで構成し、その構成員は別紙のとおりとす
る。
(2) 分科会は必要に応じて作業部会を置くことができ、その構成員は分科会において定める。
4 運
営
(1) 分科会は、主査が招集し、主宰する。
(2) その他分科会の運営に関する事項は、分科会において定める。
5 設置期間
分科会は、設置の日から調査研究会で定める日までの間(2年間を予定するが、状況に応
じて延長も考慮する。
)設置する。
6
事務局
分科会の事務局は、社団法人電波産業会に置く。
-14-
別
紙
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会
ペースメーカ分科会構成員名簿
(会社/機関名五十音順、敬称略)1/2
氏
名
査
笠貫
宏
東京女子医科大学附属 日本心臓血圧研究所 主任教授(循環器内科)
副 主 査
豊島
健
日本心臓ペーシング・電気生理学会:電磁波干渉対策委員会副委員長
(日本メドトロニック(株)CRM臨床応用開発部 次長)
委
員
雨宮不二雄
NTTアドバンステクノロジ(株)電波事業部 EMCセンタ 所長
委
員
寺田
矩芳
(株)NTTドコモ 研究開発本部 電波環境特別研究室 主幹研究員
(平成14年1月以降)
委
員
野島
俊雄
(株)NTTドコモ 研究開発本部 電波環境特別研究室長
(平成13年12月迄)
委
員
井本
昌克
厚生労働省 医薬局 安全対策課 医療機器情報専門官
委
員
古賀
大輔
厚生労働省 医薬局 審査管理課 主査
(平成13年7月以降)
委
員
齋藤
充生
厚生労働省 医薬局 審査管理課 主査
(平成13年3月∼6月)
委
員
木下
勝美
国立医薬品食品衛生研究所 医薬品医療機器審査センター
審査第四部 主任審査官
(平成13年2月迄)
委
員
山中
幸雄
独立行政法人 通信総合研究所 横須賀無線通信研究センター
電磁環境グループ グループリーダ
委
員
矢島
潔
委
員
長部
邦広
通信機械工業会移動通信委員会
(松下通信工業(株)技術本部企画管理部技術法規課 主事)
委
員
高橋
康文
(株)ディーディーアイ 商品企画部長
委
員
市野
芳明
(財)テレコムエンジニアリングセンター 電磁環境試験部長
委
員
古幡
博
委
員
鈴木
健次
委
員
中島
義昭
委
員
赤迫
哲也
委
員
富岡
隆広
委
員
野島
俊雄
委
員
加納
隆
委
員
内山
明彦
主
所
属 ・ 役
職
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 課長補佐
東京慈恵会医科大学 助教授(ME研究室)
不要電波問題対策協議会イミュニティ委員会
(日本電気(株)知的財産部 標準化推進部 技術標準エキスパート)
ペースメーカ協議会 会長
((株)ゲッツブラザーズ 取締役 業務部長)
(平成13年7月以降)
ペースメーカ協議会EMC分科会
(ソーリン(株)マーケティング部 プロダクトマネージャー)
(平成13年3月∼6月)
ペースメーカ協議会 会長
(日本ライフライン(株)薬事部 部長)
(平成13年2月迄)
北海道大学
大学院工学研究科 教授
(平成14年1月以降)
三井記念病院 MEサービス部 主任
早稲田大学理工学部電子・情報通信学科 教授
-15-
2/2
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係長
(平成13年度)
オブザーバ
土屋
正勝
オブザーバ
遠藤
鉄裕
総務省 総合通信基盤局 電波部電波環境課 電磁障害係長
(平成12年度)
オブザーバ
加賀谷清治
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係
(平成13年度)
オブザーバ
石丸
総務省 総合通信基盤局 電波部電波環境課 電磁障害係
(平成12年度)
晶子
-16-
付属資料(6)
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会
病院内無線システム利用分科会設置要綱
平成13年7月17日
1 設
置
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会の設置要綱4(2)の規定に基づき、病院内
無線システム利用分科会(以下「分科会」という。
)を設置する。
2 審議事項
分科会は、病院内における通信、病院内と病院外との通信等を行い、医療の迅速かつ適切な
対応を可能とするとともに患者の QOL(Quality of Life)の向上を図るために、病院内におけ
る無線通信システム導入の可能性と必要な諸条件について、調査検討及び報告書等の原案の作成
を行う。
3 構
成
(1) 分科会は、主査、副主査、委員及びオブザーバで構成し、その構成員は別紙のとおりとす
る。
(2) 分科会は必要に応じて作業部会を置くことができ、その構成員は分科会において定める。
4 運
営
(1) 分科会は、主査が招集し、主宰する。
(2) その他分科会の運営に関する事項は、分科会において定める。
5 設置期間
分科会は、設置の日から調査研究会で定める日までの間設置する。
6
事務局
分科会の事務局は、社団法人電波産業会に置く。
-17-
別
紙
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会
病院内無線システム利用分科会構成員名簿
(会社/機関名五十音順、敬称略)
氏
名
査
古幡
博
副 主 査
野島
俊雄
北海道大学
副 主 査
野島
俊雄
(株)NTTドコモ 研究開発本部 電波環境特別研究室長(平成13
年12月まで)
副 主 査
加納
隆
委
員
雨宮不二雄
委
員
寺田
矩芳
委
員
大江
透
委
員
高橋
康文
KDDI(株)商品企画部長
委
員
井本
昌克
厚生労働省 医薬局 安全対策課 医療機器情報専門官
委
員
古賀
大輔
厚生労働省 医薬局 審査管理課 主査
委
員
釘宮
豊城
順天堂大学 医学部 教授(麻酔科)
委
員
矢島
潔
委
員
長部
邦広
通信機械工業会移動通信委員会
(松下通信工業(株)技術本部企画管理部技術法規課 主事)
委
員
山中
幸雄
独立行政法人 通信総合研究所 横須賀無線通信研究センター
電磁環境グループ グループリーダ
委
員
平澤
弘樹
DDIポケット(株) 取締役 技術開発部 部長
委
員
市野
芳明
(財)テレコムエンジニアリングセンター 電磁環境試験部長
委
員
笠貫
宏
委
員
谷川
廣治
委
員
平野
知
委
員
鈴木
健次
オブザーバ
土屋
正勝
オブザーバ
加賀谷清治
主
所
属 ・ 役
職
東京慈恵会医科大学 助教授(ME研究室)
大学院工学研究科 教授(平成14年1月以降)
三井記念病院 MEサービス部 主任
NTTアドバンステクノロジ(株)ワイヤレスシステム事業部
EMCセンタ 所長
(株)NTTドコモ 研究開発本部 電波環境特別研究室 主幹研究員
(平成14年1月以降)
岡山大学 医学部 教授(循環器内科)
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 課長補佐
東京女子医科大学附属 日本心臓血圧研究所 所長 主任教授(循環器
内科)
日医機協EMC分科会主査、EMCJIS作成委員
(オリンパス光学工業(株)内視鏡品質保証部 グループリーダー)
日医機協EMC分科会副主査、EMCJIS作成委員
(フクダ電子(株)技術開発部 技術開発室 係長)
不要電波問題対策協議会イミュニティ委員会
(日本電気(株)知的財産部 標準化推進部 技術標準エキスパート)
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係長
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電磁障害係
-18-
付属資料(7)
電波の医用機器等への影響に関する調査研究会審議過程
以下に、電波の医用機器等への影響に関する調査研究会、ペースメーカ分科会、病院内
無線システム利用分科会及び各ワーキンググループの審議経過を示す。
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」審議経過
年度
平成12年度
平成13年度
開催日
会議
審議内容
平成12年
12月8日
第1回調査研究会
(1)調査計画について
(2)ペースメーカ分科会の設置につい
て
(3)不要電波問題対策協議会著作の報
告書について
平成13年
3月23日
第2回調査研究会
(1)前回議事録の確認
(2)ペースメーカ分科会の状況報告に
ついて
(3)調査研究報告書(案)について
平成13年
7月17日
第1回調査研究会
平成14年
1月30日
第2回調査研究会
(1) 平成13年度計画について
(2) ペースメーカ干渉実験現状報告
(3) 病院内無線システム利用に関する
検討の進め方
(4) 病院内無線システム利用分科会設
置について
(1) 調査研究報告書(案)
(ペースメーカ分科会調査研究報告)
について
(2) 院内分科会調査研究状況報告につ
いて
平成14年
3月14日
第3回調査研究会
-19-
(1)調査研究報告書(案)
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
ペースメーカ分科会審議経過
年度
開催日
会議
審議内容
平成12年度
平成13年度
平成12年
12月8日
第1回ペースメーカ分科会
(1)調査計画について
(2)調査方法について
平成13年
3月12日
第2回ペースメーカ分科会
平成13年
11月29日
第1回ペースメーカ分科会
(1)WGの進捗状況報告につ
いて
(2)電波の医用機器等への影
響に関する調査研究報告
書について
(3)今後の予定について
(1) 13年度計画について
(2) 電波の医用機器等への影
響に関する調査研究報告
書(案)について
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
病院内無線システム利用分科会審議経過
年度
開催日
平成13年
10月2日
平成13年度
平成14年
1月23日
平成14年
3月7日
会議
審議内容
第1回病院内無線システム (1) 調査研究の進め方について
利用分科会
(2) 干渉試験実施要領(案)につ
いて
第2回病院内無線システム (1)病院内干渉試験進捗状況報
利用分科会
告について
(2)院内への通信システム導入
方法の報告書記載の可否に
ついて
(3)今後の予定について
第3回病院内無線システム (1)電波の医用機器等への影響
利用分科会
に関する調査研究報告書
(案)について
-20-
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
ペースメーカ及びICDの試験方法、時期、等に関する検討を行う
ワーキンググループ(測定法WG)審議経過
開催日
会議
審議内容
平成12年
12月8日
第1回測定法ワーキング 検討事項の確認
グループ
平成13年
1月16日
第2回測定法ワーキング 試験の実施機関及び実施結果の取扱い
グループ
平成13年
2月16日
第3回測定法ワーキング 試験方法のまとめ方
グループ
平成13年
2月19日
第4回測定法ワーキング 試験結果のまとめ方等
グループ
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
医用機器に影響を与える病院内無線システムに関する検討を行う
ワーキンググループ(院内WG)審議経過
開催日
会議
審議内容
平成13年
4月26日
第1回院内ワーキンググ 調査研究目的及び内容について
ループ
平成13年
6月26日
第2回院内ワーキンググ 調査研究内容及び進め方について
ループ
-21-
「電波の医用機器等への影響に関する調査研究会」
病院内無線システム利用分科会
干渉試験統括ワーキンググループ審議経過
開催日
会議
審議内容
平成13年
11月29
日
平成13年
12月17
日
平成14年
1月17日
第2回統括ワーキンググ 試験実施状況及び試験スケジュールの検
ループ
討
平成14年
2月8日
第3回統括ワーキンググ 報告書作成方針、カテゴリー評価方法の検
ループ
討
平成14年
2月15日
第4回統括ワーキンググ カテゴリー分類(案)、試験結果のカテゴ
ループ
リー判定、報告書(案)の検討
平成14年
2月25日
第5回統括ワーキンググ 試験結果のカテゴリー判定
ループ
平成14年
3月4日
第6回統括ワーキンググ 調査研究報告書(案)審議
ループ
干渉試験統括ワーキング ワーキンググループ構成員の検討
グループ予備会議
第1回統括ワーキンググ 試験実施要領、試験用機器選定、試験スケ
ループ
ジュールの検討
-22-
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