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「喜んでもらう喜び 己もよろこびたい」 これがビッグサンズの社是である
【最終回】夢は“アジアビジョン” 「喜んでもらう喜び 己もよろこびたい」 これがビッグサンズの社是である。 人に喜んでもらうのが嬉しい。それをみて自分も喜びたい。いい語句だが、世知がらい競争社 会では、痛々しすぎるほどの、やさしさである。現実の企業に、そういう心情がなじんでいけ るのだろうか。 大阪・西天満の満電ビル内にある技術部門の部屋を訪ねた。数人の社員がパソコンに向かって いる。壁に絵が数枚。手書きのようなコンピューターグラフィックのような。 「これは技術向上のためにそれぞれ自由に描いたものです」という。室内は温かい緊張感に包 まれていた。 本店第1営業所の片山所長、第2営業所の島所長に聞く。片山所長は社歴が長い。島所長は若 く第一線で活動している。それぞれ、資料を用意し説明が的確である。 質問を試みるうちに、「ここに入って、やりがいのある仕事だと思いました」と島所長がいう 。なぜなら「扱うものが単なる品物ではない。喜びを伝えるものだ とわかったからです」。その横で片山所長もうなずく。売れば売るほど喜びが広がるのならば 、営業も明るい表情になる。 20年目の節目を迎え、ビッグサンズは、どこを目指すのか。「基本的には専門メーカーにこ だわりたい」と村田社長。「情報サービスとかメンテナンスとかを ひっくるめてお客さまに満足していただけることをしようと思う」。IBM流だと「ソリュー ションメーカー」になる。ハード・ソフト・メディアセンターを総 合的に融合させた産業である。 1 / 2 【最終回】夢は“アジアビジョン” 遠くをみつめた話になった。手近に移す。いま全社で熱中しているのは、電子ディスプレーを おしゃれにすることだ。看板は角張ったデザインが多い。寿司屋な らトロのデザイン。犬猫病院なら動物の絵。産婦人科ならコウノトリ。見て楽しく、そしてそ のお店のイメージが看板になる。デザイン(形状)と同時に文字や 映像ももっとアニメ化・ボキャブラ化する。見て楽しく、しかも自己主張のできるものを作り たい。 今年度の下半期には登場させることで、準備が進んでいる。 ここで、遠くをみつめる話に戻る。 「情報産業としての夢ですが、アジアを情報ネットワークで結ぶ"アジアビジョン"をやりたい 。いま情報に過密の差がありすぎる。だから国家間、地域間で誤解や悲劇が起きる。情報の過 疎地をなくせば、楽しい21世紀になりますよ」 最近、シベリアやサハリンを視察して、それが確信に近いものになった。こんなに近い国が情 報世界では遠い所にいる。それを近づけて、平等な幸せをもたらしたい。 そう語る村田社長を見ていると、なるほど「喜んでもらう喜び」が生きている。社是を生かし ているのは、やさしさでもあるが、それに加えて、強靭な精神力かもしれない、と感じた (村上順一郎) 2 / 2