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戦略的基盤技術高度化支援事業 研究開発成果事例集

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戦略的基盤技術高度化支援事業 研究開発成果事例集
戦略的基盤技術高度化支援事業
研究開発成果事例集
平成20年度∼平成22年度採択事業
関東経済産業局
− 製 造 産 業 課 −
Contents
分野
●
金型
●
電子部品・
デバイスの実装
●
鋳造
●
鋳造
●
鋳造
●
金属プレス
加工
●
金属プレス
加工
●
切削加工
●
切削加工
●
切削加工
●
溶接
●
めっき
●
真空の維持
●
織染加工
2
戦 略 的基盤技術高度化支援事業
研 究 開発成果事例集
研究開発プロジェクト名
事業管理者名
採択
年度
ページ
省資源、短納期、高機能放電電極の開発
特定非営利活動法人
JRCM 産学金連携センター
20年度
4_5
貫通電極形成技術対応耐熱薄ウェハーサポート治具の
開発
財団法人埼玉県中小企業振興公社
22年度
6_7
鋳鉄金型によるアルミニウムダイカスト法の開発
財団法人埼玉県中小企業振興公社
20年度
8_9
アルミ基複合材鋳物のハイブリッド砂型低圧鋳造法の
開発
社団法人日本鋳造協会
20年度
10_11
自動車車体駆動系&家電用、
超大型中空Al合金LPD鋳物の開発
学校法人早稲田大学
20年度
12_13
財団法人日立地区産業支援センター
20年度
14_15
高強度アルミニウム合金の
ハイドロフォーミング技術高度化開発
株式会社協栄製作所
22年度
16_17
航空機エンジン部品等一体部品・複雑形状部品の
加工技術高度化の研究開発
農工大ティー・エル・オー株式会社
20年度
18_19
超音波振動を援用した難削材への
小径穴あけ加工技術の開発
財団法人長野県テクノ財団
22年度
20_21
液晶光学素子を2層2重構造とし、
レンズ効果を高める高精度・微細な切削技術開発
株式会社びにっと
22年度
22_23
鉛フリーソルダーペーストの
ぬれ性評価装置の研究開発
特定非営利活動法人
ものづくり支援機構
20年度
24_25
ナノ粒子を用いた高機能複合めっき加工技術の開発
財団法人長野県テクノ財団
20年度
26_27
高真空から大気圧までの広帯域真空計の開発
株式会社テムテック研究所
22年度
28_29
次世代ニードルパンチ技術の開発
富士吉田商工会議所
22年度
30_31
圧造成型順送プレス工法による
LED用機能部品の製造技術開発
中小ものづくり高度化法の体系
自動車、情報家電、
ロボット、燃料電池など我が国を牽引する製造業の競争力を支える中小企業の持つ基盤技術を支援する
「中
小企業ものづくり高度化法」
が平成18年に策定された。
この法律は、国が策定した20の特定ものづくり基盤技術における
「特定ものづくり基盤技術高度化指針」
に沿って、中小企業が
作成した特定研究開発等計画を国が認定し、
研究開発委託費、政府系金融機関の低利融資などの支援策を展開する。
研究開発支援
戦略的基盤技術高度化支援事業(研究開発支援事業)
資金面の支援
中小企業信用保険法の特例
中小企業投資育成株式会社法の特例
特許料等の特例
(株)日本政策金融公庫の低利融資
研究開発計画の認定︵国︶
研究開発計画の作成・申請︵中小企業︶
特定基盤技術の指定、技術高度化指針の策定︵国︶
認定を受けた中小企業への支援
モノ作り基盤技術高度化のための環境整備
事業者の
「出会い」
促進
川上・川下ネットワーク構築支援事業
人材育成の支援
高専等を活用した中小企業の人材育成を支援
知的財産の活用支援
計量標準供給基盤の強化
技術継承の円滑化支援 ほか
特定モノ作り基盤技術高度化指針とは
組込ソフトウェア、
金型、
電子部品・デバイスの実装、
プラスチック成形加工、
粉末冶金、
溶射、
鍛造、
動力伝達、
部材の結合、
鋳造、
金属プレス加工、
位置決め、
切削加工、
織染加工、
高機能化学合成、
熱処理、
溶接、
めっき、
発酵、
真空の維持
上記20の基盤技術を活用し、
今後中小企業が目指すべき技術開発の方向と将来ビジョン
戦略的基盤技術高度化支援事業のスキーム
戦略的基盤技術高度化支援事業
モノ作り基盤技術の高度化に向けて、
中小企業が川下発注企業、研究機関等と協力して行う研究開発を支援。
中小企業は
「中小企業ものづくり高度化法」
に基づく認定を受けた研究開発計画について、
プロジェクトの公募に提案し、研究開発
の支援を受けることができる。
経済産業局
③委託
②提案
①公募
共同研究体
(コンソーシアム)
事業管理機関
中小企業
中小企業
認定を受けた
中小企業
大企業
研究機関
(大学・公設機関)
委託金額
4,500万円以内/テーマ
(H22年度)
研究期間
2年度または3年度
応募資格
事業管理機関、研究実施機関、総括研究代表者
(プロジェクトリーダー)
、
副総括研究代表者
(サブプロジェクトリー
ダー)
によって構成される共同体(コンソーシアム)
を基本とし、
認定を受けた中小企業者を全て含む必要がある。
対象となる研究開発計画は法第4条第1項に基づき認定を受けた特定研究開発等計画とする。
お問合せ
関東経済産業局 製造産業課
3
Category
組込みソフトウェア
溶射
自動車、携帯電話、情報家電、ロボット等の機器の機能を実
基材に対して溶射原料としての、粉体若しくは棒・ワイヤー
現するソフトウェアであり、製品の製造段階で当該製品の製
にエネルギーを加えて溶融又は半溶融の状態にしながら高速
造業者によってROMなどに実装(内蔵)されている。原則、
で噴射し、基材上で衝突凝固させて密着・積層することによ
当該製品のユーザーによって追加・変更・削除が行えない。
り皮膜を形成する技術。
金型
鍛造
同一形状の製品(部品)を大量に生産する際に使用するツー
可鍛性(高温に加熱すると軟化して弾性を失い延性が大きく
ルであり、主として金属材料を加工して作る型の総称をいう。
なる性質)のある金属材料を高温に加熱して、ハンマやプレ
主な金型の種類として、プレス用、鍛造用、ダイカスト用、
スなどで大きな力を加えて所要の寸法形状に成形すると同時
プラスチック用、ガラス用、ゴム用、粉末冶金用等がある。
に、組織や性質を改良する加工方法。
電子部品・デバイスの実装
動力伝達
回路設計に基づいて部品間を接続するために必要な導体パ
輸送機械、産業技術等の各種機械・装置において、動力の伝達、
ターンを絶縁基板の表面又は表面とその内部に形成し、電子
回転軸の変換、回転速度の加・減速等に不可欠な基盤技術。
部品などの搭載やベアチップの接続などを行う装着技術。
プラスチック成形加工
部材の結合
成形機に金型を取りつけ、熱溶融又は計量したプラスチック
輸送機械・産業機械をはじめ、橋梁・時計・めがね等の各種
を金型内に圧入し、化学反応や冷却により固化することによ
の機械・設備・製品において2個以上の部材を結合する技術。
り所定の形状に成形する加工技術。
粉末冶金
4
鋳造
原料として金属粉末を用い、添加物と混合させ、金型中に充
鋳鉄・アルミニウム合金・銅合金等の材料を溶解し、砂型・
填し、圧縮成形(圧粉体)の後に焼結する技術。プレス成形
金型・プラスチック型等の各種鋳型に注湯・凝固させること
法と金属粉末射出成形法に二分される。
で、目的の形状に成形する加工方法。
金属プレス加工
熱処理
プレス機械に金型を取りつけ、金型を介して材料に力を加え
金属材料・製品に加熱、冷却の熱的操作を加え、金属組織を
て打ち抜き、曲げ、絞り等を行うことによって金属を成型す
変化させることにより、耐久性、耐摩耗性、耐疲労性さらに
る加工技術。
は耐食性、耐熱性を与える技術。
位置決め
溶接
工作物や加工工具等の位置を正確に定めて保持するととも
組み立てようとする部材の一部に、熱(摩擦熱を含む)、
に、連続した瞬間ごとにそれらの位置を正確に運転制御する
圧力若しくはその両者を加え(必要があれば溶接棒等も)、
ために必要となる工作機械等の部分品・付属品等によって実
その接合部が連続性を持つように部材を一体化する技術。
現する技術。
切削加工
めっき
工作機械と切削工具を使用して、被加工物の不要な部分を切
表面処理の一種で、鉄・真鍮・樹脂等の素材を、金・銀・銅・
屑として除去し、所要の形状や寸法に加工する除去加工技術
クロム・ニッケル等の金属で被覆することにより、耐腐食性、
の一種。
耐摩耗性、電気的特性、磁性等の機能や性質を付加する技術。
織染加工
発酵
糸加工、織編物製造、不織布、染色・機能性加工等における
酵母・細菌などの微生物が有機化合物を分解してアルコール、
繊維の高度な加工技術。
有機酸などを生ずる過程で、酒・醤油・味噌・ビタミン・抗
生物質等を製造する技術。
高機能化学合成
真空の維持
さまざまな有機化合物を原料とし、化学反応により、ディス
半導体、液晶パネル、光学部品、食品、医療品等の製造工程
プレイ、光記録、プリンタ、エネルギー変換等の分野で必要
等において、大気圧よりも低い圧力の気体で満たされている
不可欠な有機材料を化学合成する製造方法。
特定の空間状態(真空状態)を作りだし、その状態を維持す
る技術。
5
省資源、短納期、高機能放電電極の開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
金型
川下の抱える課題及びニーズ
◦その他
短納期化/低コスト化
高度化目標
金型の低コスト化や短期間製造等を可能とする新素材・新製造
技術の構築
研究開発の背景及び経緯
○冷間鍛造用金型製造に活用される放電電極
冷間鍛造用の金型素材には様々な材質が用いられる。
特に高精度の製品は、ヤング率が高く、耐摩耗性に優れる
超硬合金が採用されている。超硬合金の加工法としては、
ギア、等速ジョイントのような複雑な形状のものは放電加
工により生産する。放電加工は電極と金型素材間のアーク
放電による高熱で、タングステンカーバイド(WC)を主
体とする金型素材の表面を瞬間的に溶融・除去し、目的の
形状を得る方法である。この放電加工における電極の消耗
は激しく、高精度の金型を製作する場合、一つの金型に対
し通常4 ~ 6本の電極を使用する(図1)
。
が大きい。特に最近のレアメタルの高騰は大きな課題であ
り、中小金型メーカーは企業の存亡を賭けて高価なタング
ステンの使用削減を図っている。
○放電加工電極の革新的製造技術
本研究開発は、樹脂等の異形形状の製作(ラピッド・プ
ロトタイピング)に利用されているレーザー焼結造形技術を
電極製作に応用するものである。レーザーを用いて銅・タン
グステン粉末を積層焼結造形することにより、電極を製造
するプロセスを開発する。高価なレアメタルの節約を図ると
共に、金型製作費用のコストダウン、納期短縮を図り、これ
ら電極による精密超硬金型を生産し、川下製造企業へ供給
し、精密高性能な冷間鍛造品の安定生産に貢献し、高度化
目標を達成する。従来技術と新技術について図2に示す。
図 2 従来技術と新技術の違い
研究開発の概要及び成果
○新規レーザー焼結加工機の開発
既存のレーザー加工機では金属粉末の積層焼結造形に
適したモデルがないので、本研究ではレーザー焼結加工
図 1 金型の代表製作工程
電極は、超硬合金製金型にとって形状と金型精度を決定
する重要な工具である。特に金型精度に対しては支配的な
影響を与えることから、電極製作には細心の注意が必要で、
通常、電極には金型精度の倍以上の精度が必要とされる。
電極は銅タングステン合金が用いられているが、前述の通
り消耗品であるにもかかわらず、高精度かつ低コストで生
産する必要があり、このことが冷間鍛造金型の重要な課題
となっている。従来電極は、タングステン粉末をプレス成
形したバルク材に溶銅を含浸成形したものを切削加工で成
形するプロセスで生産されている。この方法では切削量が
大きく、高価な材料であるにもかかわらず利用されない部
分が多く、切削加工に長時間を要し、コスト上のデメリット
4
機を設計し、実験機を開発した。レーザー発振機は出力
500Wのファイバーレーザーを採用した(図3)。
図 3 新規レーザー焼結加工機(実験機)外観
20年度採択
[一般枠]
放電加工に関しては複数の要因が絡むため、単位時間
あたりのワーク加工量について評価した。従来電極に比
べ約70%程度であった。原因は電極内部の空隙率が従来
電極よりも多いためと考えられる(図8)。
金型
図 4 レーザー焼結加工中の様子
○焼結実験
実験機が完成し一年半にわたりレーザー出力、スキャン
の速度・ピッチ・パターン、積層ピッチ、銅粉末・タングス
テン粉末形状、加工雰囲気などの焼結条件を追求し、適正
条件を見出した(図5)
。実製品であるベベルギア電極試作
も成功した(図6)
。
図 8 単位時間当たりのワーク加工量の比較
図 5 焼結電極内部状態の比較
開発された製品・技術のスペック
三年間の研究期間で新規開発したレーザー加工機を使っ
て粉末金属から銅タングステン合金の電極形状へ成形する
技術を確立できた。今後は本焼結品の最適条件を求め、
様々
図 6 ベベルギア電極試作(焼結品とマシニング加工品)
な形状について焼結造形と放電加工を展開していく。
○電極としての評価
焼結造形後に機械加工を行い、評価用電極を製作した。
開発された製品・技術は以下の通りである。
放電加工実験により従来電極と比較して評価した。素材
放電電極が従来よりも低コストかつ短時間で製造可能
重量については77%の削減目標に対して88.8%となり
である。従来の切削加工法に比べ、電極素材の著しい節
目標を達成した。また、放電変質層の状態が従来品と同
約が可能である。また、原料が金属粉末なので、電極形
等以上であることが確認できた(図7)。
状やサイズの制約を受けないのも特徴である。
○レーザー焼結加工機(放電電極焼結装置)
○放電電極
従来の機械加工品では製造が困難であった中空形状の
加工が可能となり、大幅な素材低減とともに放電加工時
のスラッジ除去が容易となった。ワークの放電変質層は
従来品と同等のため、金型寿命も従来品と同等であるこ
図 7 放電変質層の比較
とが期待される。
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
特定非営利活動法人 JRCM 産学金連携センター
◎所在地 : 〒 105-0003 東京都港区西新橋 1-5-11 第 11 東洋海事ビル 6F
◎担当者 : 伊藤 瑛二
◎ TEL:03-3592-1381 ◎ FAX:03-3592-1285 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等):(特)JRCM 産学金連携センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)ヤマナカゴーキン、(株)フェムトロン
◎主たる研究実施場所 :(株)ヤマナカゴーキン東京工場
5
貫通電極形成技術対応耐熱薄ウェハーサポート治具の
開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
電子部品・デバイスの実装
川下の抱える課題及びニーズ
◦情報通信機器に関する事項
多機能化・高機能・大容量高速情報処理化
高度化目標
複数LSIチップのワンパッケージ化に伴う半導体パッケージ
基板の高機能化の開発
リングに高耐熱のエラストマーフィルムを装着した冶具
で、フィルム自身の粘着性により薄ウエハーを保持する
方式である。
本研究開発では、250℃を超える貫通電極形成工程
での使用が可能で、低コストでの製造が可能な樹脂製グ
リップリングを開発する。また、治具にウエハーを張り
合わせ、実際の貫通電極形成工程に対応する熱工程を通
し、本治具の実用性を検証する。
研究開発の背景及び経緯
高度情報化社会において飛躍的に増大する情報量に対
応し、高速・大容量・小型・低消費電力といった半導体
メモリー技術の高度化と、ロジックLSI等と組み合わせ
て1パッケージ化可能な高付加価値なメモリーの要求が
高まっている。
このような市場ニーズに対し川下製造業者では、パッ
ケージの積層やワイヤボンディングによるチップ積層技
術で半導体メモリーの大容量化を行ってきた。しかし、
この方法では、高度情報通信やサーバーなど高速デジタ
ル処理が必要なアプリケーションにおいては、信号品質
の悪化により高速化が実現できない。また、非積層によ
る配線の微細化とチップサイズの拡大による方法では、
高速化は可能であるが、小型実装が困難になるという課
題がある。
このような課題に対して、高速信号伝達と小型実装の
両立が実現できるよう、チップ内に貫通電極を設け複数
チップを垂直に接続する3次元実装が注目されている。
この貫通電極による3次元実装を実現するためには、貫
通孔形成技術や金属充填技術、またチップの積層技術な
どの開発が必要である。また、貫通電極形成工程では、
厚さ100μm以下の薄ウエハーを加工するため、薄ウエ
ハーを確実に保持し、リフローなど各種熱工程にも対応
できる薄ウエハーサポート技術の開発も急務となってい
る。
従来より、薄ウエハーのサポート方式として、ガラス
基板をサポート材料としてウエハーを接着剤で張り付け
薄化するという方式が提案されている。しかし、この方
式にはウエハーとガラス基板との張り合わせや着脱のた
めに高価な専用装置が必要であり、プロセスコストが増
大するという課題がある。また、接着剤を剥離するため
に溶剤を使用するため、環境負荷が増加するとともに、
接着剤の剥離時に半導体回路を損傷する懸念もある。
本研究開発は前述のニーズ・課題に基づき、貫通電極
形成工程でのコストダウンと環境負荷削減に対応する、
新たな薄ウエハーのサポート方式を開発する事を目的と
している(図1)。これは、二重リング構造のグリップ
6
図 1 薄ウエハーサポート治具の開発概要
研究開発の概要及び成果
先行研究開発(平成21年度)では、300℃以上の耐
熱を有する樹脂を用いてグリップリングの試作を行い、耐
熱、機械的強度の評価を実施した。評価方法として、試作
した樹脂製グリップリングに耐熱エラストマーフィルムを
張り合わせ、はんだリフロー温度260℃の耐熱性評価を
繰り返し10回実施した。その結果、樹脂製グリップリン
グでも十分な耐熱と機械的強度を有し、グリップリングの
樹脂化の可能性を検証した(図2)。
図 2 200mm ウエハー用グリップリング
22年度採択
[一般枠]
本研究開発では、薄ウエハーサポート冶具の使用が想定
される製造装置、搬送容器等からの技術的要求を調査し、
川下製造業者での生産性向上に資する自動搬送化が可能な
開発された製品・技術のスペック
今回試作した薄ウエハーサポート冶具は、貫通電極形成
試作した。(図3)。また、樹脂製グリップリングからのア
工程の内、ウエハー薄化以降の工程で使用することを前提
ウトガスのはんだ形成への影響を評価し、貫通電極形成工
としている。これら工程では、250℃を超えるはんだリ
程での実用性についても検証した(図4)
。
フロー工程やフラックス洗浄等があり、薄ウエハーサポー
電子部品・デバイスの実装
自動化対応グリップリング(グリップフレーム)を設計、
ト冶具には、これらの工程に対応できる耐熱性と耐薬品性
が要求される。また、川下製造業者での経済性を考慮し、
繰り返し利用できる機械的耐久性も必要となる。
今回試作を行った200mm用薄ウエハーサポート治具
のスペックは、これら工程で十分使用可能なレベルに達
しており(表1)、今後の川下製造業者での技術評価を基
に改良を加え、商品化する予定である。
表 1 200mm 用薄ウエハーサポート治具のスペック
図 3 自動化対応グリップリング
図 4 薄ウエハーサポート冶具を用いたバンプ形成
今回開発した薄ウエハーサポート冶具は、シリコンウ
エハーを用いるMEMS(微小電気機械素子)の製造工程
での薄ウエハーサポート冶具として応用が可能である。
また、半導体用のシリコンウエハー薄化以外の用途とし
て、最近市場が拡大している照明用のハイパワー用LED
など耐熱(120 ~ 170℃)が要求されるウエハーレベ
ル実装プロセスへの応用も可能である。
これら市場動向やニーズに応じて150mm径以下のウ
エハーに対応した薄ウエハーサポート冶具も開発してい
く予定である。
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
財団法人埼玉県中小企業振興公社
◎所在地 : 〒 338-0001 さいたま市大宮区桜木町 1-7-5 大宮ソニックシティビル 10F
◎担当者 : 高橋 法幸
◎ TEL:048-857-3901 ◎ FAX:048-857-3921 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 芝浦工業大学
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 東洋樹脂(株)、信越ポリマー(株)
◎主たる研究実施場所 : 東洋樹脂(株)
7
鋳鉄金型による
アルミニウムダイカスト法の開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
鋳造
川下の抱える課題及びニーズ
◦自動車に関する事項
低コスト化
高度化目標
この古い金型の保管経費の負担が大きいために、保管経費
削減の目的で試作金型と同様に耐久性が劣るが新しい金型
を作る方法によって少量生産を行う場合がある。
本研究は、
この金型に本研究の技術を応用してアルミダイキャスト製
品を1,000個程度生産できる従来金型と比較して安価な鋳
鉄金型を製作しこのニーズに応えようとするものである。
コスト低減に資する鋳造技術の開発
研究開発の背景及び経緯
埼玉県内鋳鉄鋳物製造業の課題のひとつに、海外製品
との価格競争があげられる。しかし、海外製品に価格で
対抗することは、人件費等の関係で困難である。そこで
海外製品の低価格に価格で対抗するのではなく、鋳造品
の高付加価値化を図ることで競争力を保つ必要がある。
一方、軽量化による燃費向上を狙って自動車業界では
エンジン本体やシリンダヘッド・ブロックなど鋳造品部
品へのアルミニウム合金の適用が拡大している。アルミ
鋳造時に長年課題とされているのが鋳造時に使用するス
トーク・るつぼ・金型などといった主要鋳鉄部品がアル
ミ溶湯との反応によりその部品寿命が極端に低下すると
いう現象である。生産現場では、鋳鉄部材の損傷がある
程度進んだ時点で、一度アルミ製品の生産を中断して鋳
鉄部材の交換を行っている。その頻度は平均して月1回の
ペースにも及ぶとされている。
本研究では、アルミ鋳造の際に使用される鋳鉄部品に
耐溶損性を付与する事を目的にしている。その方法とし
て従来より行われている窒化処理やセラミック被膜など
の高価で高度な表面処理方法に替わり、高度な装置・技
能を要さず、部品製造メーカーはもちろん、鋳造現場で
も採用可能な低コストの方法を用いる。その方法によっ
て、表面部の皮膜処理だけでなく、母材の一部にも特殊
な処理(脱炭層の形成)を施すことで、浸食による鋳鉄
部品の劣化速度を緩める効果を持った材料(図1)を開発
し、ストーク・ポッド・るつぼ及び鋳鉄金型への実用化
を目指すものである。
特に、金型の実用化にあっては、本研究で視野におい
ている自動車のような民生用工業製品では、平成18年11
月に(社)日本ダイカスト協会から発行されている「ダ
イカスト産業ビジョン」に述べられているように、生産
中止後も補修部品として様々な部品の要求がある。しか
し、それらの部品を常時十分な数だけそろえて持つことは
保管経費と資産効率の点で不利益が大きすぎるため、必
要に応じて生産することが行われる。このため古い金型
も保管され補修部品が減少し、欠乏品に対する受注時に、
その金型により極少量の生産が行われるのが現状である。
8
図 1 従来法との比較
研究開発の概要及び成果
○従来法と新開発技術との比較
アルミを溶解するために使用している「るつぼ」
(図2)
は生産現場で1ケ月に1回の割合で交換を行っている。ま
た、ラドル(図3)も20,000チャージで交換しなければ
ならない。その交換の手間や交換のために生産をストップ
することでコスト高を招いていた。従って、それらの製品
の耐久性を増して交換回数を減少させればコストダウンが
図られることになる。
本研究では、鋳鉄に薬品処理を行ったのちに熱処理を行
うといった方法で、低コストと耐アルミ溶湯溶損性の向上
を図った。
図2 るつぼ
20年度採択
[一般枠]
図3 ラドル
一方金型(図4)においては、小ロットのダイカスト
製品のためにSKD61という高価な材料を機械加工し、
さらに表面処理を行って使用している。
本研究では、本技術を金型に応用して小ロットの金型
を開発することにした。
○新技術の成果
るつぼを例にあげると、本技術を用いて製作したるつぼ
を工場で実際に使用したところ、1 ヶ月に1回のペースで
交換していたものが2 ヶ月使用しても損傷しなかった。
鋳造
の耐アルミ溶湯性と脱炭による黒鉛の抜けた空洞に離型
剤が浸透して耐久性を高めたものと考えられる。さらに、
油性の離型剤の使用による金型の使用時における温度変
化を抑えたことによってヒートショックを軽減したこと
により実現した。
○新技術の用途、事業化・製品化の見通し
本開発のるつぼ、金型を用いることで低コスト化が可
能となった。金型は、本研究を通じて自動車関連メーカー
から高い評価を受けており、小ロット専門のアルミダイ
カスト製造企業も存在することから事業化した場合の販
路は大きいと考えられる。現時点では金型材料としての
販売を予定しているが、今後、素材から金型製品までの
一貫生産体制を整えていけば、より多くの販売数が見込
まれる。
るつぼ等においても本研究を通じて情報を広めれば相
当の需要が見込まれる。
開発された製品・技術のスペック
また、同工場で使用しているラドルにおいても従来品の
○るつぼ、ラドル
倍(20,000チャージで交換が40,000チャージで交換)
薬品処理+熱処理をおこなうことで従来品のアルミ溶
の耐久性を実現した。
湯溶損性に対して耐久性が2倍。
○金型
小ロット用(1,000個程度)の金型(図5)の製作コ
ストがSKD61で製作する場合の約1/3。
図4 本技術で製作した金型
金型(図4)においては、従来品の材料であるSKD61
と比較して材料費で1/2以下となり、加工時間において、
1/3で金型が製作できた。そして、その金型で目標であ
る1,000個程度の耐久性が検証された。これは、脱炭層
図5 研究で製作した製品(1,041 ショット目)
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
財団法人埼玉県中小企業振興公社
◎所在地 : 〒 338-0001 埼玉県さいたま市上落合 2-3-2 新都心ビジネス交流プラザ 3 階
◎担当者 : 関根 一宣
◎ TEL:048-857-3901 ◎ FAX:048-857-3921 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 埼玉県産業技術総合センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 児玉鋳物(株)
◎主たる研究実施場所 : 児玉鋳物(株)
9
アルミ基複合材鋳物の
ハイブリッド砂型低圧鋳造法の開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
鋳造
川下の抱える課題及びニーズ
◦その他産業に関する事項
高機能化/軽量化
高度化目標
剛性、靱性の向上に資する鋳造技術の開発
研究開発の概要及び成果
本研究開発では、上記の問題を解決するために、アルミ基
複合材を鋳造性良くかつ高い生産性で鋳造することを目的に、
砂型に低圧鋳造原理を適用し、さらに、高周波押湯加熱シス
テム、湯口遮断機構を組み合せて高度化した革新的な鋳造法
「ハイブリッド砂型低圧鋳造法」を開発した。さらに、そのハ
イブリッド砂型低圧鋳造法を用いて、高品質、高性能かつ低コ
ストのアルミ基複合材鋳物の製造に関する研究開発を行った。
研究開発の背景及び経緯
○アルミ基複合材の有用性とニーズ
[特徴]アルミ基複合材は、従来の金属材料を超える優
れた 特性(軽量・高剛性かつ低熱膨張、高熱伝導、高耐
磨耗など)を持つ高機能新素材である。それを機械装置の
構造部材へ適用することで装置性能の大幅な向上が可能と
なり、液晶/半導体製造装置また電子部品実装装置、精密
工作機械などの先端産業分野における機械装置メーカーに
とって市場優位性を確保する有力な手段となる。
[市場ニーズ]液晶製造装置の場合、液晶パネルの大型化
に伴う構造部材の軽量化・高剛性化が緊急課題である。さ
らに電子部品実装装置の場合、ICチップ部品の超小型精密
化に対応した高精度・高速な実装装置の開発が必須で、ま
た超高速精密加工機の高性能化においても、その鍵を握る
軽量・高剛性構造部材として、アルミ基複合材鋳物に対す
るニーズは強い。
○従来技術の問題点と新技術の開発
アルミ基複合材鋳物は、現在、液晶露光装置や半導体検
査装置、電子部品実装装置などの構造部材に使用されてい
る。それらの鋳物部品は、現在、砂型重力鋳造で製造され
ているが、アルミ基複合材は鋳造性の極めて悪い典型的な
難鋳造材で問題点が多く(図1)
、現状の複合材鋳物の品質
や性能、コストなどに多くの課題を抱え、それらの改善、向
上が強く望まれている。
新鋳造法「ハイブリッド砂型低圧鋳造法」の原理を図2
に示す。
図 2 ハイブリッド砂型低圧鋳造法の原理
従来のアルミ基複合材鋳物の砂型重力鋳造においては、
図1に示すような様々な問題があった。とくにアルミ基複
合材は高粘性であるため、湯流れが悪く成形性が劣ること、
また、注湯時の泡や空気巻込みよる気泡欠陥が大きな問題
となっている。
本研究開発では、砂型へ低圧鋳造を適用し、鋳型底面か
ら溶湯を静かに押上げて加圧注湯することで、湯流れ性の
改善と気泡欠陥の防止を試みた。また、鋳型に湯口遮断機
構を組み込み、注湯直後に湯口を遮断して鋳型を移動でき
るようにして生産性の向上を図った。ここで、湯口遮断後、
製品部へ溶湯補給するための対策として、砂型上部に押湯
を設けて対応し、さらに、より高い押湯効果を得るために
高周波押湯加熱システムの適用も試みた。
図3は、低圧鋳造におけるアルミ基複合材の流動性や成形
性を調査するために、T字型段付薄板試片及び薄肉フィン鋳
物モデルによる鋳造試作実験を行った結果である。従来の
砂型重力鋳造では困難な3mm以下の肉厚でも問題なく成形
でき、また外観も極めて良好で、低圧鋳造の優れた鋳造性
を確認できた。また、重力鋳造品と低圧鋳造品との内部欠
陥をX線検査で比較した結果、低圧鋳造では内部の気泡欠陥
は見られず、
内部品質が大幅に向上していることがわかった。
図1 従来の砂型重力鋳造法の問題点
それらの問題に対して、従来の砂型重力鋳造法は技術的
な限界にあり、そのため鋳造法を根本から見直し、新たな
視点から研究開発を進める必要があった。
10
a)段付薄板試験片
b)薄肉フィン鋳物モデル
図 3 低圧鋳造によるアルミ基複合材鋳物の鋳造性
20年度採択
[一般枠]
鋳造
このように、低圧鋳造によるアルミ基複合材の鋳造性の
向上で、SiC粒子配合率を40%に高めたアルミ基複合材の
鋳造が可能となった。SiC40%材で試作した鋳物部品を
図4に示す。
部分的に肉厚が3mm以下の薄肉複雑形状部品は、従来
の砂型重力鋳造では成形困難であったが、低圧鋳造では
成形可能となり、外観、内部とも品質良好であった。この
SiC40%材鋳物は従来のSiC30%材より弾性率が約20%
向上し、ステンレスや球状黒鉛鋳鉄に近い剛性を示し、また
熱膨張率の低減、硬度及び熱伝導率の向上などの優れた特
性が得られた。このように、
ハイブリッド砂型低圧鋳造によっ
て、アルミ基複合材鋳物部材の高性能化が可能となり、適用
範囲や市場が大きく広がった。
図 5 ハイブリッド砂型低圧鋳造パイロットライン
図6に、低圧鋳造で試作したSiC配合率40%アルミ基複
合材鋳物の物理的性質を他材質と比較した例を示す。この
アルミ基複合材鋳物は、アルミ並みの軽さで鉄に近い剛性、
熱膨張を持つ優れた特性を示し、軽量・高剛性の高機能部
材として装置性能の大幅な向上が可能となった。
図 6 アルミ基複合材鋳物と他材質との特性比較
図 4 SiC40%配合アルミ基複合材鋳物(低圧鋳造品)
開発された製品・技術のスペック
図5は、ハイブリッド砂型低圧鋳造法の実用化検証のた
めに製作したパイロット鋳造ラインである。低圧鋳造炉に
定盤移送式の鋳型搬送装置を組み合わせた半自動連続鋳造
ラインであり、鋳型には湯口遮断機構と、さらに、必要に
応じて高周波押湯加熱システムが組み込まれる。
ラインの基本構成及び主な仕様は次のようである。
表1に、アルミ基複合材鋳物の生産性について従来重力
鋳造とハイブリッド砂型低圧鋳造とを比較した例を示す。
ハイブリッド砂型低圧鋳造では、鋳造方案部が簡素化さ
れて鋳込重量が減るために、材料(方案)歩留が3倍以上
向上し、また、バッチ炉当り4倍の生産数が得られるなど、
生産性の大幅な向上が認められた。さらに、従来、リサイ
クルが難しく廃棄処理していた方案部材が、本技術では不
要になるなど、材料効率やコスト面でも大きなメリットが
得られた。
表 1 重力鋳造とハイブリッド砂型低圧鋳造との生産性の比較例
・溶解炉容量:700kg、
・フラン自硬性砂型鋳型(無枠)
・最大鋳型寸法:□1500mm、最大鋳型重量:2000kg
・鋳型搬送:鋳型定盤移動式自走コンベアライン
・注湯サイクルタイム:約3min
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
社団法人日本鋳造協会
◎所在地 : 〒 105-0011 港区芝公園 3-5-8
◎担当者 : 深井 知子
◎ TEL:03-3431-1375 ◎ FAX:03-3433-7498 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 埼玉大学、(独)理化学研究所、埼玉県産業技術総合センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)田島軽金属
◎主たる研究実施場所 :(株)田島軽金属
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自動車車体駆動系&家電用、
超大型中空 Al 合金LPD鋳物の開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
鋳造
川下の抱える課題及びニーズ
◦自動車に関する事項
複雑形状化/一体成型化/軽量化
高度化目標
複雑形状を実現するための鋳造技術の開発/一体成形を実現する
ための鋳造技術の開発
研究開発の背景及び経緯
炭酸ガス排出規制が厳しくなる中、二輪・四輪車をはじ
めとした車両の軽量化が急務となっている。このため鉄鋼
材料からアルミニウム合金材料への置換が進められてきた
が、ダイカスト法では中空構造が困難であり、押出材の溶
接構造では複雑な曲面構造の成型が困難で設計上の制約が
あった。自動車業界では複雑な曲面形状を有するメートル
サイズのアルミニウム合金部品を一体で、溶接することな
く、なおかつ、中空閉隔断面形状の部品を薄肉で製造する
技術の確立が望まれてきた。しかしながら、世界的に見て
もそうした技術は存在していない。当該研究開発では、
二輪・
四輪メーカのこうしたニーズをうけ技術開発を行った。
されてきた。また、四輪車で最も大型の部品に類するサス
ペンションメンバについても多数の鉄板プレス材を接合し
て製造されてきた。そのため、溶接工数が多数発生すると
ともに、形状の自由度も制約を受けてきた。これに対して
新開発技術は低圧鋳造法をベースに、砂中子から発生する
分解ガスの排出技術、早大が有する高断熱離型剤の技術、
産総研、理研が有する鋳造シミュレーション技術を駆使し、
熱伝達係数を低下させる要因となる塗型を一切用いないこ
とで微細なデンドライと組織を有しつつ、しかも従来不可
能であった1メートルサイズの中空鋳物を平均肉厚3mm
以下で一体成型するものである。
○研究開発
【成果1】独自工法を実現するための鋳造機の作製
図2に示すように、中子の分解発生ガスを効果的に排出
でき、金型を一定の温度以下に保持するための温度調節機
構を有し、かつ、独自の粉体離型剤を静電塗布する機構を
備えた独自の低圧鋳造機を設計製造した。
研究開発の概要及び成果
○従来法と新開発技術との比較
図2 独自技術を導入した新低圧鋳造装置
図 1 従来技術と当該技術開発の内容
図1に示すように従来、二輪車の車体フレームは複数の
押出材や板材、ダイカストや重力鋳造鋳物を接合して製造
12
【成果2】熱変形問題を解決した大型金型の作製
通常、低圧鋳造は400℃前後の金型温度で実施される。
メートルサイズの金型では必然的に数mm程度に及ぶ熱変
形が発生するが、平均肉厚3mm以下の鋳物を実現するう
えで致命的な問題となる。本研究開発では鋳造時に発生
する金型の熱応力変形を、鋳造条件、金型の初期温度を
系統的に変量した流動凝固・熱応力連成解析を実施して
予測(図3)するとともに、温度調節技術を導入して熱変
形問題を解決した大型金型を作成した(図4)。
20年度採択
[川下分野横断枠]
ことで湯境やガスの巻き込みのない健全な鋳物を作製し、
良品を得るための離型剤の塗布条件、金型温度分布、注湯
速度の最適値に関する知見が得られた。
鋳造
図3 金型の熱応力変形解析の例
図 5 平均肉厚 3mm 以下の一体中空 2 輪車体フレーム
○新技術の用途、事業化・製品化の見通し
開発した低圧鋳造機は、同じサイズのダイカスト鋳物を
製造するためのダイカストマシンに比べて一桁安価であり
中小企業にも導入可能である。また、金型費用もダイカス
トに比べて安価なため、数千個の小生産ロットでも利益が
得られる見通しである。開発品は既に二輪・四輪メーカの
ニーズを受けたものであり、平成24年度より事業化の予
定である。
図 4 熱変形問題を解決した大型金型
【成果3】メートルサイズ・平均肉厚3mm以下の中空
アルミニウム合金鋳物
図5に示すように、二輪メーカの設計図面をベースに試
作した大型一体中空・薄肉車体フレームの例を示す。従
来の溶接車体重量が約11kgに対し新開発の低圧鋳造機で
は5.6kgあたり約50%の軽量化を実現した。この実現の
ために、あらかじめCAEを用いた流動凝固解析を、方案、
型温、注湯条件を系統的に変えて最適条件を絞り込んだ。
実際の鋳造においても製造プロセス条件を系統的に変える
開発された製品・技術のスペック
○新開発の低圧鋳造機
独自のガス排出機構を有する低圧鋳造機を開発した。こ
れにより外形1メートル四方以内の大型中空鋳物の製造が
可能である。
○新開発の工法
塗型を一切使用しないことで微細な凝固組織を有する大
型薄肉のアルミニウム合金鋳物を製造する独自の工法を開
発した。(特許出願中)
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
学校法人早稲田大学
◎所在地 : 〒 169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1 55 号館 S 棟 1 階 02 室
◎担当者 : 柴田 康太郎
◎ TEL:03-5286-8069 ◎ FAX:03-5286-9870 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 早稲田大学、(独)産業技術総合研究所、(独)理化学研究所
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)コイワイ 西湘 R & D(小田原工場)
◎主たる研究実施場所 :(株)コイワイ 西湘 R & D(小田原工場)
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圧造成形順送プレス工法による
LED 用機能部品の製造技術開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
金属プレス加工
やヒートシンクを短納期で安価に製造する技術の早期開発
が強く望まれている。
川下の抱える課題及びニーズ
◦自動車に関する事項
低コスト化
◦情報家電に関する事項
低コスト化
高度化目標
複雑3次元形状等を創成する金型及び一体成形技術の構築
研究開発の概要及び成果
現在、LEDの射出光を前方に効率よく取り出すための
リフレクタは、反射率の高い樹脂を用い、成形加工した構
造のものが主に用いられている。しかしこの樹脂製のリフ
レクタは、紫外線劣化による反射特性の劣化が問題となっ
ており、主に民生用の低出力低輝度のLEDにのみ用いら
研究開発の背景及び経緯
現在、自動車業界から、切削、研削などの機械加工で作
られている複雑3次元構造の精密小型部品を、精密異形加
工用プレス金型を用いて大量に作り、低コスト化を図るこ
とが強く求められている。これは自動車の分野では、各種
センサーや制御機器用電子部品の採用が進んでいるためで
ある。
また環境、
省エネの観点から、
最近ヘッドライトやバッ
クライトおよび車内照明用ランプを発光ダイオード(LED)
に置き換えようとする試みもまた急速に進んでいる。LED
は従来主に表示機器用に採用されてきたが、ここに来てハ
イパワー LEDの開発が加速されて、各種照明機器への応用
が現実味を帯びてきた。しかしながら、ハイパワー LEDに
用いられる高反射率ミラー(リフレクタ)や放熱器(ヒー
トシンク)などの複雑3次元加工部品は、現在切削などの
機械加工で試験的に作られており非常に高価である。この
ため国内および海外の自動車向けLED応用機器メーカーか
ら、これらリフレクタやヒートシンク部材を、圧造成形順
送プレス工法(板鍛造)により安価に製造、提供すること
への要求が高まってきている。
一方、情報家電業界においても、自動車業界同様、現在
機械加工で作られている複雑3次元構造の精密小型部品を、
精密異形加工用プレス金型により大量に作り、低コスト化
することが強く求められている。これは、携帯電話やその
他小型電子機器用のMEMSセンサー、液晶用光学部品など
の精密小型部品は、形状の複雑化と小型化が急速に進んで
おり、従来のNCなどの機械加工法では製造が不可能となっ
てきているためである。また特に携帯電話などにおいては、
製品サイクルが自動車以上に短いために、部品メーカーは
川下企業からの強い短納期要求にさらされている。しかし
現在機械加工で部品を製造しているメーカーは、部品がま
すます複雑3次元化しているために、この短納期要求を満
足させることが非常に難しくなっている。この点からも精
密異形加工用プレス金型を用いた圧造成形順送プレス工法
による、これら精密小型部品の一貫製造技術の開発が急務
となっている。具体的には、内外の情報機器メーカーから
の、液晶パネルバックライトやLEDランプ用のリフレクタ
14
れている。このため1Wを超えるハイパワーの高輝度LED
ランプ用のリフレクタには、切削加工したアルミニウム製
リフレクタが採用されている。しかしこれは非常に高価で
あることから、板鍛造順送プレス工法を用いた安価な金属
リフレクタを開発した(図1)。
表
裏
図 1 ハイパワー LED 用アルミニウムリフレクタ
(7mm □、9 × 16 マトリクス)
また、高出力LEDでは発光効率の低下を防ぐための放
熱が重要な課題になっている。本研究開発では、アルミニ
ウムリフレクタと共に、アルミニウムヒートシンクの開発
も行った(図2)。
図 2 アルミニウムヒートシンク
(φ 16mm、1.2mmt × 7 枚を FSPT により接合)
20年度採択
[川下分野横断枠]
開 発 し た ヒ ー ト シ ン ク は、FSPT(Friction Stirring
Processing Technology・摩擦攪拌応用の新しい接合技
術)を応用し、積層したアルミニウム板の中心穴に高速回
転接合ツールを挿入し、層間を瞬間接合したものである。
度のヒートシンクを開発することができた。
開発された製品・技術のスペック
開発したアルミニウムリフレクタは、板鍛造プレス加工
開発した金属リフレクタは、板鍛造用順送プレスマシン
による平滑な反射面を持ち、さらに特殊な化学研磨により
を用いた高速プレス製品であるが、プレス加工と化学研磨
鏡面加工を施しており、LED光の広い波長帯域において、
加工の組み合わせによって、高い寸法精度と高い反射スペ
非常に高い反射率を持っている(図3)
。
クトル性能を有している。価格的にも従来の切削加工と比
金属プレス加工
この接合方法により、母材金属の強度に等しい高い接合強
また顧客における高輝度LEDの信頼性試験によって、
長時間の点灯においても相対光量の低下が非常に少ない
ことが証明された(図4)。
較して1/10以下の価格を達成できた。今後は補完研究に
よる、さらなる低コスト化を目指す。
また、FSPT技術を組み込んだ順送プレス金型によって
製造したヒートシンクは、プレス加工と積層接続を一工程
で行うことを可能としたものであり、世界的にも例が無く、
革新的な技術である。切削加工と比較して大幅な低コスト
化が可能であり、今後は補完研究の継続による量産技術の
確立を目指す。
開発した金属リフレクタおよびヒートシンクのスペック
を表1に示す。
表 1 金属リフレクタおよびヒートシンクのスペック
金属リフレクタ
図3 アルミニウムリフレクタの反射スペクトル
材質
アルミニウム
銅
表面処理
全反射率
(%・波長400∼800mm)
特殊化学研磨
高反射率、耐硫化
性電気銀めっき
85<
90<
ヒートシンク
表面処理
材質
アルミニウム 無地、アルマイト処理
銅
耐食性電気ニッケルめっき
形状
角型、丸型、異形
角型、丸型、異形
図 4 アルミニウムリフレクタの信頼性試験結果
(恒温恒湿保存試験(85℃× 85% RH)、通電条件 3.5v、150mA)
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
財団法人日立地区産業支援センター
◎所在地 : 〒 316-0032 茨城県日立市西成沢町 2-20-1
◎担当者 : 中山 桂司
◎ TEL:0294-25-6121 ◎ FAX:0294-25-6125 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 茨城大学、(独)産業技術総合研究所
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)大貫工業所、茨城プレイティング工業(株)
◎主たる研究実施場所 :(株)大貫工業所
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高強度アルミニウム合金の
ハイドロフォーミング技術高度化開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
金属プレス加工
川下の抱える課題及びニーズ
◦自動車に関する事項
低コスト化/短納期化/軽量化/環境配慮
高度化目標
高張力鋼板、アルミニウム合金等の難加工材に対応した金型
及び成形技術の構築
程と、後半の人工時効処理工程の間にハイドロフォーミン
グ工程を挟んで連続加工工程とした。その際、ハイドロ
フォーミングの成形タクトが1 〜 1.5分であることから、
溶体化処理熱処理炉の仕様を工夫し、連続加工を可能にし
た。さらに、溶体化処理条件を500MPa級高強度合金に
最適化した。
[従来技術]
[新 技 術]
7N01系合金 押出し
7000系500Mpa合金押出し
熱処理(焼鈍)
研究開発の背景及び経緯
○車体の軽量化のニーズ、課題
二輪車、四輪車の車体の軽量化ニーズが高まる中で軽量
高剛性の構造部材を提供するために、アルミニウム合金を
用いたハイドロフォーミングは有効な手段である。4輪車
では、成形性の良い5000系あるいは6000系アルミ合金
が用いられるため引張強度は最大300MPa程度しか期待
できず、さらに溶接部位では実質200MPa以下の強度とな
る。一方、二輪車のフレーム材などでは、溶接部強度が時
効回復する熱処理型の7000系合金が用いられ、350MPa
程度の溶接強度が得られる。後者の場合、焼鈍材をハイド
ロフォーミングした後にT6処理を施して強度を確保する
必要があるが、熱処理時に変形が生じる問題や、バッチ式
の熱処理に起因した熱処理工程内での温度の不均一性や不
安定性により、十分なT6強度が得られ難いという課題を抱
えている。また、アルミ合金部材の使用はコスト高になる
ため、安価な作り方が求められている。さらに、500MPa
級高強度合金の適用による軽量化ニーズも大きい。
切断
切断
ハイドロフォーム
急速加熱溶体化処理
溶体化 420℃*1h
ハイドロフォーム
+
自然時効 24h放置
人工時効 110℃*8h
プレス矯正
Comp溶接
人工時効 110℃*8h
Comp溶接
新溶接ワイヤーの採用
図1 従来技術と新技術との比較
この 新しい プ ロセ ス を 用い て 溶 接 可 能 な500Mpa級
7000系アルミ合金をハイドロフォーミングし、2輪車体部
品である後輪懸架装置(リヤアーム又はスウイングアーム)
の製作を目標に研究開発を進めた(図2)
。
研究開発の概要及び成果
昨年度のサポイン事業において、350MPa級7000系ア
ルミ合金を用い、T6処理を構成する前半の溶体化熱処理
+水焼入れ工程と後半の人工時効処理工程の間にハイドロ
フォーミング工程を挟んで連続加工工程とする新プロセス
を開発した。今年度は、溶接可能な500Mpa級7000系ア
ルミ合金をその新プロセスを用いて成形加工し、ウルトラ
ハイテン鋼や高強度マグネシウム材を比強度で上回る軽量
高強度のアルミ合金製の溶接構造部材の提供を目指した。
○従来技術と新技術との比較
図1に従来技術と新技術のそれぞれのプロセスを示す。
従来の工程では素材を焼鈍し、ハイドロフォーミング後に
溶体化熱処理+水焼入れと人工時効処理で構成されるT6
処理を行うことで、その機械的特性を得る。一方、新技術
ではT6処理を構成する前半の溶体化熱処理+水焼入れ工
16
リアアーム
図2 製品化目標部品
22年度採択
[一般枠]
○研究成果
1. 500Mpa 級アルミ合金のハイドロフォーミング性
溶体化処理条件とハイドロフォーミング工程の最適化に
より、従来工程品と遜色ない成形が出来た(図3)
。
3. 500Mpa級アルミ合金の溶接特性
従来材と同様に、TIG及び自動MIGの溶接性に問題はな
く、また、異材のアルミ鋳物(AC4CH材)との溶接性も
問題なく実施できた(図5)。
金属プレス加工
TIG
MIG
図 3 500Mpa 級アルミ合金のハイドロ成形品
2. 新プロセスによるハイドロ成形品の疲労寿命改善効果
従来、ハイドロ成形後にT6熱処理を施していたが、同
処理の前半部分の高温処理である溶体化処理を施してか
らハイドロ成形することで成形部材に圧縮残留応力が保
持されて従来工程品と比べて疲労寿命の向上が認められ
た(図4)。
図 5 TIG 溶接例(上)と自動 MIG 溶接例(下)
表 1 突合せ TIG 溶接の引張強さ例
素材
母材強度
(Mpa)
溶接強度
(Mpa)
開発合金A
549
374
開発合金B
561
406
開発された製品・技術のスペック
○新プロセスの特性について
ハイドロフォーミングが困難な熱処理型高強度アルミ合
金を安定して成形するため、ハイドロフォーミングの加工
タクト(1 ~ 1.5分)に合わせて一個流しで溶体化処理+
図 4 σ a=225MPa(R=-1)での平面曲げ疲労試験結果のワイブル分布
水焼入れを行う熱処理工程をインライン化してハイドロ
フォーミングと連続工程にすることで、生産リードタイム
の半減を可能とした。低コスト化に加えて疲労強度向上と
いう機能改善も期待できる。さらに500MPa級合金の採
用により、20%以上の軽量化が可能になる。
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
株式会社協栄製作所
◎所在地 : 〒 435-0026 浜松市南区金折町 1417-10
◎担当者 : 平口 與志継
◎ TEL:053-425-2511 ◎ FAX:053-425-4425 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 岐阜大学
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)協栄製作所、ヤマハ発動機(株)、住友軽金属工業(株)
◎主たる研究実施場所 :(株)協栄製作所
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航空機エンジン部品等一体部品・複雑形状部品の
加工技術高度化の研究開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
切削加工
川下の抱える課題及びニーズ
◦航空機に関する事項
信頼性向上
研究開発の概要及び成果
開発項目は具体的に
高度化目標
一体部品・複雑形状部品加工対応
①高精度且つ、大量生産可能な位置決め冶具の開発。
②24h無人運転に耐えうる砥石の開発。
③無人、連続運転においても寸法を監視、修正出来るメイ
ンコントロールプログラムの開発。
を軸に進めた。
また、研削機はブレード専用の特殊機ではなく、誰にで
研究開発の背景及び経緯
近年、航空輸送需要の伸びは目覚しく、ボーイング社等
は2026年には、貨物量、旅客数それぞれ、現在の3倍、2.6
倍以上になると予測しており、結果、航空機も相当の需要
増が見込まれる。他方、
企業間競争の激化、
燃料価格の高騰、
炭素税の制度化など航空会社の経営環境は一層厳しくなっ
ており、安全性、運航経済性、共に優れた航空機の出現が
強く待ち望まれている。
航空機の運航経済性の構成要素は、燃費ならびに整備費
であり、定期交換が求められるタービンブレードにかかる
費用は整備費の多くを占めるため負担が大きい。
本事業は複雑形状を有しかつ高精度な位置決めを必要と
するジェットエンジン向けタービンブレードを下記のよう
な新工法により従来工法に比べ、高精度かつ簡単に工作機
械に取り付け、無人化、自働化を行い、圧倒的な生産性の
向上を狙うものである(図1)
。
も入手可能かつ安価な市販機で行う事もテーマと考え、今
回はワルター社工具研削機『VISION』
(図2)を選択した。
砥石自動交換、ワークローダー、機内測定子、機内ドレス
装置などが準備してあり、これらをブレード用のコントロー
ルプログラムでつなぎ合わせる事で目的が達成できる。
図 2 ワルター社『VISION』
①高精度且つ、大量生産可能な位置決め冶具
本研究開発では、すでに水(氷)を固定媒体とした拘束
冶具について特許出願済みであったが、氷点下での機械稼
働を避けるため、固定媒体を樹脂に変更し、射出成型技術
を用い連続生産を可能とした。
位置決め精度についても想定していた精度は確保できた
が、個々の製品ごとに要求値は異なる為、それぞれにおい
て異なるノウハウが必要になると思われる。
図 1 新旧工法比較
従来工法は工程数が多く人手がかかる。当然自動化が出
来ないため、生産性が悪くコスト高になる。一方、新工法は
工程を集約し無人化が可能、さらにオートローダー、自動砥
石交換、機内測定装置などを駆使し、作業者による調整、段
取り等をなくし24時間の連続加工を可能にするものである。
18
② 24h 無人運転に耐えうる砥石の開発
加工目標
・加工変質層5μm以内(研削抵抗:15N/mm以下)
3
・加工能率60mm /mm・min
・研削比60
砥石製作方法の最適化
・製作コストを30%削減
結果60mm3/mm・minにて研削抵抗10N/mm、研削比
34のCBN 170 L CR05NPが最良の結果であった(図3)
。
20年度採択
[一般枠]
切削加工
図 5 加工フローチャート
図 3 テスト結果
加工後の表面には砥粒と結合剤の摩耗と溶着と研削屑が
見られた(図4)
。実用化に向けては、結合剤と砥粒の耐
摩耗性の向上と研削液による冷却、研削屑の排出が必要で
ある。
研磨屑
開発された製品・技術のスペック
24h無人連続運転が可能になり、運転中の寸法監視、測
定子のキャリブレーションを適度に行う事により安定した
寸法が得られた(図6)
。
溶着部
図 4 加工後砥石表面写真
現在のところCR05NP結合剤を用い、#140~200、
K~L、集中度150のホイールが最も適している。
砥石の形状だしが容易なCR系結合剤を用いることで形
状は容易に成形できる。
図 6 固定済みブレードとオートローダー
専用金型でニアシェープ状にプレスすることで原材料の
使用量が10 ~ 40%削減(図7)。
③無人、連続運転においても寸法を監視、修正出来るメイン
コントロールプログラムの開発
通常ワルター社マシンは工具研削用専用ソフトを用いて
運用されているが、下記のような順で処理を行い、ポスト
プロセッサー、測定&合否判定、ドレスなどの各要素とな
るプログラムも専用のものを開発した(図5)
。
図 7 ニアシェイプ金型
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事業管理機関名
農工大ティー・エル・オー株式会社
◎所在地 : 〒 184-8588 東京都小金井市中町 2-24-16 東京農工大学内
◎担当者 : 木下 豊
◎ TEL:042-388-7254 ◎ FAX:042-388-7255 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 東京農工大学
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 平和産業(株)、(株)Nitolex
◎主たる研究実施場所 : 平和産業(株)船橋工場
19
超音波振動を援用した難削材への
小径穴あけ加工技術の開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
切削加工
川下の抱える課題及びニーズ
◦自動車に関する事項
燃費向上/静粛性向上
観察と振動解析の結果、市販ドリルは超音波加工用に設
計されていないので、振動モードが不適切であり、加工
精度を悪化させる曲げモードが励起される場合がある。
そこで、振動援用加工に特化して設計された小径ドリル
高度化目標
微細加工対応
工具を、振動状態が最適になるように逐次観測しながら工
作機上で成形する新たな手法を提案し、小径ドリル加工を
実現した。具体的には図1のプロジェクト概要に示すごとく、
次の2つの開発目標を実施した。
1)機上工具成形技術の開発
1−1)超音波振動援用加工に適した工具の開発
研究開発の背景及び経緯
成長が期待される燃料噴射ノズル、燃料電池、マイク
ロマシン、マイクロリアクタ、半導体製造用特殊フィル
タ、電子部品用微細金型などの高機能部品の材料は、セラ
ミックス、超硬合金、チタン、PCD(焼結ダイヤモンド)
、
CFRP(繊維強化樹脂)等やそれらの複合材料を含めて多
岐に渡る。そのような難削材に高精度・高密度・多数穴で、
かつL/D値(穴径に対する深さの比)の大きい傾斜穴やク
ロス穴を加工する技術が要求されている。サブミリメート
ル~数十マイクロメートルの小径穴を、短時間かつ廉価に
加工する要求は、各種製造業において市場が広く、多くの
ニーズがある。しかし現状ではこれら難削材への加工は一
般的に生産性やコストに難がある特殊加工と呼ばれる放電
加工やレーザー加工を中心に行われている。ところが、加
工速度や加工精度が確立されている慣用的なドリル加工の
適用が望まれている。しかし、ドリル加工では小径ドリル
加工に対応するため、ドリルの形状、材質やコーティング
の改良や、切削速度を得るための高速スピンドル開発や新
たな切削液供給方法の開発などにより加工特性が日々改善
されているが、産業界の要求に応えるには至っていない。
研究開発の概要及び成果
20
ドリル工具が曲げモードで励振されると、加工する穴の形
状精度が劣化したり、バリやダレが発生し、さらに工具摩耗
も急速に進む。
本研究では、振動解析や切削シミュレーション技術を駆
使し、超音波スピンドルの駆動共振周波数の近傍において、
軸方向の縦振動モードのみを有する工具プロファイルを設
計した。なお工具材質は難削材加工のためPCD材を目標と
し、実現した。
1ー2)機上成形方法の開発
φ0.1mm程度の小径工具を用いた精密加工においては、
工具の振れまわりは加工精度に直結する。振動援用加工に
特化して設計された小径ドリル工具を、振動状態が最適に
なるように逐次観測しながら工作機上で成形する方法を開
発した。本プロジェクトでは、小型ワイヤー放電加工を工
作機械のテーブル上に設置し、任意形状の工具成形を行う
方法を開発した。同時に非接触の工具形状測定装置や工具
先端の振動振幅撮影機器を用いて、最適化を図った。
またこれは任意形状の工具を機上成形できるために、特
殊形状工具を単品で製作したり、工具摩耗の切れ刃の再研
磨が可能となり、安価で産業界における多品種中量生産に
対する要求を満たすシステムとしてアドバンテージとなる。
2)超音波振動高精度小径穴あけ加工技術の開発
2−1)高精度加工システムの構築
本研究の核となる3軸立型マシニングセンターに超音波ス
本研究の目的は、上記のごとく従来では生産性に難があ
ピンドルを設置し、機上工具成形用放電加工装置が使用で
る特殊加工を中心に行われている各種難削材の微細穴加工
きる超音波高精度加工システムを構築した。
に対して、工具を工作機上で成形する小径ドリル超音波振
なおスピンドルにおける再現性振れまわりについては、
動援用加工システムを開発することにより、低コストで生
機上成形によって最小化できるが、非再現性振れまわり成
産性の高いドリル加工でサブミリサイズの高精度小径穴加
分はスピンドルの性能に頼らなければならないため、装置
工を実現することであり、実現のために産4−学2−官1の
の選定が重要であった。
産学官の連携体制を築いた。
2−2)難削材への適用可能試験
今回の小径ドリル超音波振動援用加工とは、ドリルを回
本項では構築した超音波加工システムを使用して、各参
転するスピンドルにドリル軸方向に超音波強制振動を重畳
加メンバがターゲットとした難削材(セラミックス、超硬合
する加工技術である。工具が振動することで工具とワーク
金、CFRP、ガラス、チタン)への加工試験を実施し、慣用
は接触・非接触を繰り返し、断続的な加工となり、この接触
法と比較し、その優位性を示した。
の瞬間に発生する衝撃エネルギによって加工が行われる。
2−3)切削加工現象の解析評価
この結果、切削抵抗を極限まで小さくできる。しかし、
小径ドリル超音波振動援用加工を量産装置へ組込むため
22年度採択
[一般枠]
本研究から市場が求める安価で高精度小径ドリル加工を実
振動に伴う応力伝播状態が加工特性に与える影響を観察し
現できると考える。
た。さらに、切削動力測定、レーザードップラー振動計によ
2−3)切削加工現象の解析評価
る各部挙動測定などと合わせて、ドリル形状や加工パラメー
切削加工現象の解析手法として、アクリルなどの透明な
タがドリル加工に与える影響を実時間で可視化、
定量化した。
被削材の超音波振動援用ドリル加工を、特殊偏光高速度カ
切削加工
に、応力状態を可視化可能な偏光高速度カメラを導入し、
メラにより撮影し、その偏光状態の変化からドリル加工にお
ける被削材内部応力の時間的変化を撮影し、切削プロセス
の変化を観察できた。図3のデータ例が示すごとく、慣用ド
リル加工では、チゼル部に加工応力が集中する。一方超音
波加工では、チゼル部の応力集中は緩和されるが、2~3mm
ほど離れた部分で応力が高くなっていることがわかる。この
ように本解析評価技術は小径超音波加工の実用化を強力に
支援する技術と考える。
図 1 プロジェクト概要
開発された製品・技術のスペック
本プロジェクトで開発された内容を以下に整理する。
1−1)超音波振動援用加工に適した工具の開発
難削材を考慮し、工具材料をPCD材として、超音波振動
図 2 チタン多数穴加工製品例
援用加工に適した工具を開発した。
1−2)機上成形方法の開発
小型ワイヤー放電加工装置を用いた工具機上成形試験を
実施し、
その可能性を示した。目標の振れまわりは0.005mm
に対して、0.0006mmを実現した。
2−1)高精度加工システムの構築
工具機上成形装置とのドッキングが可能で、専用チャック
と選定した超音波スピンドルを装着した3軸超音波加工専用
立型マシニングセンターを構築した。
2−2)難削材への適用可能試験
構築した加工システムを使用して、参加メンバーそれぞ
a)撮影装置
れがターゲットとしている難削材部品への小径ドリルによる
多穴加工を実施し、慣用法と比較し、その優位性を示した。
図2に実施例の1つとして、チタン部品の加工結果を示す。
上段の超音波加工の結果は良好であるが、下段の慣用加
工ではバリやダレが顕著であり、また穴の真直度にも不良が
見られた。
このように超音波加工には明確な優位性が見られ、
b)慣用加工
c)超音波加工
図 3 ドリル加工における加工物内部の応力分布
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
財団法人長野県テクノ財団
◎所在地 : 〒 380-0928 長野市若里 1-18-1
◎担当者 : 山極 佳年
◎ TEL:026-225-6650 ◎ FAX:026-225-6711 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 長岡技術科学大学、(独)国立高等専門学校機構長野工業高等専門学校、
長野県工業技術総合センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業): アスザック(株)、飯山精器(株)、(株)日本機材、三共電子(株)
◎主たる研究実施場所 : アスザック(株)
21
液晶光学素子を2層2重構造とし、
レンズ効果を高める高精度・微細な切削技術開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
切削加工
研究開発の概要及び成果
川下の抱える課題及びニーズ
◦電気機器に関する事項
機能の確保・高度化
○研究の目標
液晶レンズを2層2重構造を達成するために、以下の、
高度化目標
薄板加工技術および微細な切断技術を開発する。
非金属(ガラス、樹脂等)加工対応
1. 薄板加工技術
・板厚150μm~200μmの元ガラスを板厚30μm±10
μm、平坦度0.3μm/20mmに薄型加工
2. 微細な切断技術
・多層ガラス(30μm×4枚+200μm×4枚)のフル切
研究開発の背景及び経緯
断、およびハーフ切断(多層ガラス間の隙間が30μmで
既存の光学レンズでの屈折力の制御は、レンズ位置を
機械的に移動させることで行われ、高性能なほどレンズ
構成は複雑になり機械的可動部が多くなる。一方、IT電
子機器においては、機械的可動部(レンズ移動スペース)
をなくし、小型化・薄型化とともに、制御機構の安定性・
信頼性を高めることがセットメーカー側のニーズとして
高まっている。
液晶レンズは、図1に示すように凹凸可変な可焦点レ
ンズでありながら、電圧制御により機械的可動部がない
理想的な原理・構造をとる。液晶レンズは、高速応答、
超小型・薄型化に優れていることから、既存の光学レン
2
ズ系や液体レンズを凌駕したデバイスを提供できること
が期待される。
2
一方、液晶レンズの課題としてレンズパワーと応答特
性の改善があげられ、高性能にするには「屈折率のUP」
が必要となる。液晶レンズを2層2重構造とすることによ
り、光の複屈折効果を高め、高速応答性に優れた液晶光
学素子となることが期待されるが、2層2重構造では、電
極間の液晶を2層に分離するために「中間ガラス」を設
ける必要がある。
本研究は、この「中間ガラス」を達成するための、薄板
加工技術および微細な切断技術を開発することを目標とし
て行われた。
3
3
重なるガラスの片方のみ切断)
○従来技術
従来の機械研磨による薄板加工技術では、加工工程で
圧力がかかるため、均一な研磨が出来ない(図2)
。また、
30μmレベルの多層薄板ガラスの切断可能な従来技術は
知られていない。
薄板加工技術:機械研磨
200μm厚のガラス
貼り合せ用接着剤
【機械研磨前のガラスユニット】
薄板加工技術:機械研磨
200μm厚のガラス
200μm厚のガラス
30μm厚のガラス
貼り合せ用接着剤
【機械研磨前のガラスユニッ
ト】
【機械研磨後のガラスユニッ
ト】
200μm厚のガラス
図 2 従来技術
30μm厚のガラス
【機械研磨後のガラスユニット】
○研究開発の成果
1. 薄板加工技術
化学的研磨(ガラスエッチング)と高精度研磨により、
研磨工程でかかる圧力を極力なくすることにより均一な研
磨を実現し、板厚30μm±10μm、平坦度0.3μm/20mm
化学的研磨される200μm厚のガラス
の薄型加工が可能となった(図3)
。
化学的研磨前のガラスユニット
化学的研磨前のガラスユニット
化学的研磨中のガラスユニット
研磨しない200μm厚のガラス
化学的研磨防止用テープ
化学的研磨される200μm厚のガラス
30μm厚のガラス
研磨しない200μm厚のガラス
ガラスエッチング液
化学的研磨防止用テープ
30μm厚のガラス
ガラスエッチング液
化学的研磨中のガラスユニット
図 3 薄板加工の技術開発
図 1 液晶レンズの構造と屈折率分布
フル切断
ハーフ切断
200μm厚のガラス
22
4
フル切断
ハーフ切断
30μmの隙間
200μm厚のガラス
22年度採択
化学的研磨される200μm厚のガラス
化学的研磨前のガラスユニット
[一般枠]
研磨しない200μm厚のガラス
化学的研磨防止用テープ
30μm厚のガラス
ガラスエッチング液
化学的研磨中のガラスユニット
今後、低電圧化のための内部電極方式の技術開発、光学
レンズパワーを高めるための液晶材料の改善や2層2重構
造の技術開発を推進し、これらの技術開発による試作品サ
ンプルを2011年に試験リリースを行い、事業化への展開
を見極める。
表 1 液晶レンズの要求仕様と試作提供品
ハーフ切断
フル切断
ジュールなどへの搭載が期待される。
切削加工
2. 微細な切断技術
切断条件、装置テーブルとワークの均一な装着、ガラス
間への充填剤塗布などの開発によりチッピングのないきれい
な破断面をもつパネルの製作に成功し、200μmと30μmの
多層組み合わせガラスのフル切断およびハーフ切断が可能と
なった。
200μm厚のガラス
30μmの隙間
30μm厚のガラス
図 4 切断方法の技術開発
開発された製品・技術のスペック
○液晶レンズの製品仕様と試作品の性能
アクティブレンズ・
「液晶レンズ」の実用化仕様、およ
び本研究での開発技術により達成された、レンズ効果を高
めた2重構造の液晶光学素子を用いた液晶レンズ試作品の
性能を表1に、液晶レンズ2層2重単個品とFPC接合完成
品を図5に示す。
試作品の顧客評価により、高速応答30msの特性が、高速
データ読み取りに有効であることが確認された。また、未達
液晶レンズ単個
成の技術テーマが明確化され、具体的な仕様が確認された。
○上市に向けた課題
現在は、アクティブレンズとしては「液体レンズ」が製
品化され、バーコードリーダーに採用されている。一方、
液晶レンズは、液晶の複屈折効果・分子レベルでの動作を
利用した、超小型・薄型、低電圧・低消費電力な電子制御
系への組み込に最適なレンズであり、これらの特性を生か
して、自動認識装置・携帯情報機器や携帯電話のカメラモ
完成品
図 5 液晶レンズ 2 層 2 重単個品(上)と
液晶レンズ 2 層 2 重品 FPC 接合完成品(下)
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
株式会社びにっと
◎所在地 : 〒 190-0012 東京都立川市曙町 2-32-1 La 鳳山ビル 2 階
◎担当者 : 本間 孝之
◎ TEL:042-528-8823 ◎ FAX:042-528-8824 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 秋田県産業技術総合研究センター 高度技術研究所
◎プロジェクト参画研究機関(企業):
◎主たる研究実施場所 :(株)びにっと 山梨事業所
23
鉛フリーソルダペーストの
ぬれ性評価装置の研究開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
溶接
川下の抱える課題及びニーズ
◦電子機器に関する事項
鉛フリーはんだの適用技術の拡大
高度化目標
鉛フリーソルダリング技術の信頼性向上
研究開発の背景及び経緯
携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータおよびゲー
ム機などの携帯型電子機器関連のセットメーカにおいて
は、軽薄短小化と高機能化および低価格化と高信頼性が求
められている。軽薄短小化と高機能化の要求に対しては、
電子部品の小型化と高密度実装によって対応しており、低
価格化と高信頼性の要求に対しては、表面実装技術の確立
により実装不良を低減し、
歩留まりの向上を図るとともに、
高接続信頼性を得ることによって対応している。
一方、
表面実装に使用されるソルダペーストにおいては、
地球規模の環境保全の立場から発せられた欧州のRoHS規
制により、人体に有害な鉛をペーストの金属から除去する
鉛フリー化に対応しつつ、従来の鉛入りはんだと同等の接
続信頼性が求められているが、鉛フリーソルダペーストの
ぬれ性は鉛入りはんだと比較して著しく劣り、電子部品
の小型化および高密度実装による部品間の狭ピッチ化と相
まって、
ぬれ性の悪さが実装不良発生の大きな要因となり、
電子製品の接続信頼性を低下させ、携帯型電子機器製品の
コスト削減を阻害しているという問題がある。
本研究開発は、実際のリフロー実装と近似の方法であっ
て、高感度な鉛フリーソルダペーストのぬれ性評価を可能
とするぬれ性評価装置を開発して、ぬれ性試験結果とリフ
ロー実装におけるソルダリング状況の相関を明確にし、ソ
ルダリング技術を向上させることを目的としたものである。
図 1 ぬれ性試験装置 1 号機
図 2 変位量によるぬれ性評価方法概要
鉛フリーソルダペーストを印刷した銅基板上に、銅個片
を位置決めマウントして(図3)、図1のぬれ性評価装置に
挿入し、加熱する。
研究開発の概要及び成果
本研究開発は、鉛フリーソルダペースト溶融時における
試料の鉛直方向の変位量を非接触のレーザー変位計を用い
て時間の関数として連続的に記録し、溶融開始を起点とし
た所定の測定点までの時間によってソルダペーストのぬれ
性を評価するものであって、非接触で測定することにより
高感度な鉛フリーソルダペーストのぬれ性の評価を可能と
した装置と方法の研究開発である。初年度の試作1号機と
(図1)
、試験方法の概要を(図2)示す。
24
図 3 銅基板上の銅個片
加熱開始と同時に装置は変位量の測定を開始して、リア
ルタイムで変位量をグラフ表示し、加熱終了後に溶融開始
から終了までの変位量拡大グラフを表示すると共に(図
4)、装置内部で演算したぬれ時間 T1.T2 を表示する。ぬ
れが悪いソルダペーストは時間 T1.T2 が長くなる傾向と
なる。
20年度採択
[一般枠]
表 1 ぬれ時間 T1.T2 の数値データ
T1(sec)
T2(sec)
n1
n2
n3
n4
n5
平均値
標準偏差
1.78
2.01
1.81
2.01
1.80
1.88
0.12
2.40
2.60
3.35
2.60
2.50
2.69
0.38
溶接
No
開発された製品・技術のスペック
初年度はエンジニアリングサンプルとして性能を重視し
た鉛フリーソルダペーストのぬれ性評価装置を製作し、十
分な性能成果が得られたが、次年度及び最終年度は性能の
向上と共に製品化を目標に装置製作を推進し、販売可能な
レベルに達した成果が得られた(図6)。
図 4 変位量測定例
本試験方法によって所定の鉛フリーソルダペーストの
ぬれ性を試験数5で測定した試験結果グラフを図5に示し、
ぬれ時間T1.T2の数値データを表1に示す。標準偏差も小
さい良好な試験結果が得られた。
目的とする試験の精度から、本開発製品に対する要求ス
ペックは、加熱制御精度、変位量測定および温度、変位量
などの取得データのサンプリングタイム精度に分類され、
加熱制御精度は、設定された加熱プロファイルに対する加
熱温度精度±1℃、繰り返し加熱再現性能±1℃、変位量
測定精度1μm、データのサンプリングタイム5msである。
また、本試験によって、経年変化などによって劣化した
鉛フリーソルダペーストのぬれ性評価及び金属組成が同一
であってフラックスが異なるペーストのぬれ性評価が可能
であり、補完研究として、金属組成が異なる鉛フリーソル
ダペースト間のぬれ性評価の方法を検討している。
図 5 ぬれ性試験結果グラフ
図 6 製品化ぬれ性試験装置
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
特定非営利活動法人ものづくり支援機構
◎所在地 : 〒 403-0004 山梨県富士吉田市下吉田 757
◎担当者 : 羽田 功一
◎ TEL:0555-23-4780 ◎ FAX:0555-28-6003 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 群馬大学、山梨県工業技術センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 山陽精工(株)
◎主たる研究実施場所 : 山陽精工(株)開発事業本部
25
ナノ粒子を用いた高機能複合めっき加工技術の開発
契約期間
平成 20 年度 ~ 平成 22 年度
分 野
めっき
ク ラ ッ ク に 関 し て は、
鉄めっき処理によって
川下の抱える課題及びニーズ
発生する応力によりク
◦自動車に関する事項
外板、内板、ピストン及びエンジン部品等の長寿命化
ラックが発生しやすい
ことが判明し、対策を
高度化目標
行った結果クラックの
耐摩耗性、耐焼付性、潤滑性、耐食性及び防錆性の付与及び向上
(主にエンジン部品を対象とする。)
無いめっき皮膜の製造
が可能になった(図3)
。
図 2 CNT 添加量と摩擦係数の関係
研究開発の背景及び経緯
ものづくり基盤技術の一つである“めっき”技術では、
環境対応型のめっき浴開発と皮膜の高機能化が重要な課題
となっている。しかし、環境規制物質の代替や硬質クロム
に代表される高機能めっきの代替技術が依然として確立さ
れていない。
自動車分野では地球温暖化要因である二酸化炭素排出量
の削減に貢献すべく軽量化による燃費向上に取り組んでい
る。例えばエンジン部品のシリンダーライナーでは鉄材か
ら比重の軽いアルミニウム材を採用する場合がある。この
とき、アルミニウム材同士での焼付きを防止するためにピ
ストンのスカート部には鉄めっきを行なっている(図1)。
しかしながら、鉄めっきは通常の鋳鉄ライナー用のピスト
ンスカート部に使われている樹脂コートに比べて摩擦損失
が大きい為、燃費向上のためには、より摩擦損失の少ない
高機能めっき皮膜が求められている。
このように、川下製造業からは、高い機能性を持つめっ
き技術の開発が求められている中で、本事業では、カー
ボンナノチューブ
(CNT)を複合した
「高機能鉄めっき」
を開発して、川下
製造業のニーズに
応えることを目的
とする。
図 3 めっき条件の最適化によるクラック抑制
また、CNT複合めっきの皮膜表面に団子状の析出物が
できて表面粗さが悪化する不具合が発生したが、界面活性
剤を適量使用することで、問題の無い滑らかな表面を形成
することができた(図4)。
図 4 CNT 複合における平滑なめっき皮膜の形成
最終的に完成したCNT複合鉄めっき皮膜の特性を摩擦摩
耗試験機(図5)で調査したところ、通常の鉄めっき皮膜に
対し、摩擦係数は約20%、摩耗量は約30%、相手攻撃性は
約80%それぞれ低減することが確認できた
(図6、
図7、
図8)
。
図 1 自動車用ピストン概略
研究開発の概要及び成果
電流密度、浴温、pH等の条件を変化させて作製した複合
めっき皮膜に対して、摺動特性、硬度、クラック、CNT露出
本数等を評価した結果、CNTを用いた複合鉄めっきにおい
て、複合めっき皮膜表面30μm×40μm当たり150本以上
のCNTが露出している場合に摩擦係数が大きく減少し、試
験片レベルで最大約70%低減できる事が確認された(図2)
。
図 5 摩擦摩耗試験機(往復動)
26
20年度採択
[一般枠]
エンジン試験にて開発品の効果を確認するため、浮動ラ
イナー式のフリクション測定用エンジン(図11)を使い、
スカート部にCNT複合鉄めっき処理をしたピストンを試
作して評価した結果、従来の鉄めっきに比べてフリクショ
めっき
ンが14%低減することが確認できた(図12)。
CNT複合鉄めっき皮膜は、フリクション低減、耐摩耗
性向上、相手攻撃性が低いことから、ピストン以外のアル
ミ部品にも利用できる可能性があり、またクロムめっきの
図 6 摩擦係数測定結果
図 7 摩耗量測定結果
代替としての可能性もあるため、今後継続してピストン以
外の部品への適用も検討していく。
図 11 浮動ライナー式フリクション測定エンジン
図 12 フリクション低減効果測定結果
図 8 相手攻撃性評価結果
以上の結果を踏まえ、CNT複合めっき試作ライン(図9)
を使って、ピストンにCNT複合鉄めっき処理した結果、
クラックの無い表面の滑らかな製品を作ることが可能に
なった(図10)
。
開発された製品・技術のスペック
今回開発された製品、技術のスペックは、以下の通りである。
1.当初目標であったフリクション低減約15%を実現できた
ため、従来のピストンに比べてエンジンの燃費を約1%
向上させることができる。
2.従来の鉄めっき皮膜に対し、耐摩耗性を約30%向上する
ことができたため、膜厚を従来の15μmから10μmに
出来、コスト低減が実現できる。
3.相手攻撃性が約80%低減することから、アルミボアの摩
図 9 CNT 複合めっき
試作ライン
図10 CNT 複合鉄めっき
ピストン
耗も低減できるため、エンジンの耐久性向上及びオイル
消費低減が可能となる。
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事業管理機関名
財団法人長野県テクノ財団
◎所在地 : 〒 380-092 長野県長野市若里 1-18-1 長野県工業技術総合センター 3F
◎担当者 : 大月 宣典
◎ TEL:026-226-8101 ◎ FAX:026-226-8838 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 信州大学工学部
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 力石化工(株)、日精樹脂工業(株)、アート金属工業(株)
◎主たる研究実施場所 : 力石化工(株)本社第 7 工場
27
高真空から大気圧までの広帯域真空計の開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
真空の維持
キャパシター(コンデンサー)
川下の抱える課題及びニーズ
◦情報家電に関する事項
生産性の向上/生産コストの低減/生産装置の最適化
真空封止
圧力
メタルダイアフラム
圧力
サファイアダイアフラム
高度化目標
高品質化、高機能化、高性能化、信頼性の向上、
操作容易性の向上(安全性の向上を含む)、用途の拡大
一般的な
キャパシタンスダイアフラム
開発する
サファイア製ダイアフラム
図 2 メタルダイヤフラムと新開発サファイアダイアフラム
研究開発の背景及び経緯
液晶パネル・半導体デバイス等の薄膜形成等の製造装置
に用いられる真空計は、年間5000台以上の需要があるが
(図1)
、歩留まり改善等による生産性向上、低価格、長寿
命化等による生産コスト低減、高機能化、高性能化、耐食
性の向上等による生産設備の最適化に対応する高度化され
た真空計が要求されている。
3 米国L社
250units/年(真空計1800台)
1 米国T社
350units/年(真空計2100台)
本事業では、真空計測センサーの検出素材を従来の金
属からサファイアに変更し、高精度な、大気圧から高真
空まで計測出来る真空計の開発に取り組んだ。
サファイアウエハーを用いたセンサーダイは、半導体
電子デバイスと類似のプロセス生産が可能で、量産化が
可能となれば、センサーデバイス用部品として低価格で
供給が可能になる。サファイアウエハー自体は、従来か
らLED用架台や高温耐熱性の特徴を生かしたボイラーの
炎検出窓等に使用されている。しかし、センサー機能の
素材としてサファイアを加工するためには、サファイア
の切断と彫り込み、サファイア接合、金属成膜蒸着等の
半導体ウエハ製造工程と類似した高度なMEMS加工技術
が必要である。
研究開発の概要及び成果
2 米国A社
300units/年(真空計1800台)
図 1 半導体製造装置用真空計の市場
現在の半導体製造装置における真空計の真空検出原理は
金属ダイヤフラム又はセラミックダイヤフラムの圧力応力
による歪を利用している(図2)
。高真空になるほど微小な
応力歪を検出するためにダイヤフラムの膜厚を薄く、かつ
面積を広く取らねばならない。又、測定レンジも狭く、ダイ
ヤフラムの耐圧力も定格圧力の3倍が限界である。広帯域真
空計では、レンジの異なる2種類の真空計を一体化した真
空計が製作されているが、特に高真空帯域の測定にピラニー
真空計を用いているため耐食性・耐久性に問題が残る。又、
ダイヤフラムが金属又はセラミックス製の為、温度変化に
よるダイヤフラム歪が温度ドリフトとなって安定度を悪くし
ている。
一方、サファイア結晶板は引張強度・圧縮強度・ヤング
率が高く優れた機械的特性と耐薬品性を有し熱線膨張係率
の低さでは、金属ダイヤフラムよりもはるかに優れた耐温
度特性を有している。このサファイアの優れた特性をダイ
ヤフラムに応用する事により、大気圧から真空圧までの広
い計測範囲の測定を可能にし、優れた直線性と温度ドリフ
トを抑制する性能を引き出す事ができる。
28
当社は、次世代素材としてサファイアの有望性を認識し、
サファイアのMEMS加工プロセスを独自に研究開発する目
標を立て、東北大学マイクロナノセンター江刺教授の支援
のもと開発を進めてきた。
本事業では、サファイアダイアフラム搭載広域真空計の
実用化及び高温耐熱真空計開発のための基盤技術の構築を
目的として以下の開発を行ない、従来のピラニー真空計よ
り高精度で、同価格帯の高精度汎用真空計の生産への目途
をつけた。
○サファイアエッチング
ガス拡散炉エッチング装置の改良により均一なエッチン
グを可能にし、センサーのギャップ感覚を4μmから0.5μm
とする彫り込み制御技術を確立した。
○サファイア上への金属層積層
サファイア基板上に、電気的接点を3次元積層する技術を
確立した。
○サファイア相互の接合
サファイア基板同士の接合技術とサファイアウエハー内
基準真空室の真空封止技術を新たに開発し、高真空度セン
サーダイを試作した。
22年度採択
[一般枠]
○試作されたセンサーを用いた広帯域真空計
試作されたサファイア真空センサーを用いて10Torr
から1000Torrまで及び300℃の高温耐熱広帯域真空を
0.1% FSの精度で計測出来る真空計の試作を成功させた。
開発された広帯域(高温)真空計及びその構造を図4に示す。
・真空センサーを耐熱性が高く剛性の強いサファイアに置
真空の維持
開発されたサファイア真空センサーと実用実装されたサ
ファイアセンサーダイを図3に示す。
開発された製品・技術のスペック
き換えることにより、高真空から大気圧までダイナミッ
クレンジの広い真空計が可能になる。また、耐薬品性に
優れている。
・サファイア真空計は、一台単体で広帯域真空圧力を計測
できる精度を有している。
・高温耐熱性に優れているサファイアを検出素子としてい
る為、半導体製造における有機金属成膜等の高温真空プ
ロセスに最適である。
図 3 サファイア真空センサー(上)
とサファイアセンサーダイ(下)
本事業ではさらに、試作されたサファイアセンサーダイ
を用いた電子回路及び組み込みソフトウェアの開発を行い、
この純国産サファイアセンサーダイにより真空圧の検出が
可能である事を検証し、高真空から大気圧までの広帯域真
空計として製品化を見極めた。
開発された高精度汎用真空計と高温耐熱真空計は2011
年後半の販売を計画している。さらに、世界初の300℃対
応高温耐熱真空サファイア真空計を開発し次世代半導体成
膜技術に貢献することを目指している。
また、本事業で従来困難とされていたサファイアのエッ
チング、相互接合、切断、金属成膜、内部真空保持等の
MEMS加工技術を確立する事が出来たので、他のセンサー
基板やLED架台等にサファイアを用いた新たな機能部品の
製作に応用する事が期待される。
図 4 試作真空計及びその構造
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事業管理機関名
株式会社テムテック研究所
◎所在地 : 〒 104-0052 東京都中央区月島 2-7-13
◎担当者 : 相澤 満芳
◎ TEL:03-3534-5320 ◎ FAX:03-3534-5322 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等):(株)テムテック研究所
◎プロジェクト参画研究機関(企業):(株)メムス・コア、(株)テムソン
◎主たる研究実施場所 :(株)テムテック研究所
29
次世代ニードルパンチ技術の開発
契約期間
平成 22 年度
分 野
織染加工
川下の抱える課題及びニーズ
◦衣料・生活資材に関する事項
高感性化
高度化目標
新しい感性に基づくデザイン・コンセプトや機能を可能とする
種々のファッション創造加工技術の開発
研究開発の概要及び成果
○本プロジェクトの概要
従来は一体型であったフレームを分割し、織機に使われ
ている電子ジャカードとスプリングを利用し個々のニードル
を押し出すことにより、任意の絵柄が容易に表現できる機
構及びシステムを開発する(図2)
。
研究開発の背景及び経緯
地域の繊維産業の現状は、国際市場での競争が激化し、
厳しい状況にあるが、新たな加工技術と柔軟な発想力を
武器に飛躍の可能性があり、繊維産業が全体として取り
組むべき課題として新製品開発力の強化が挙げられてい
る。このような状況の中で、当産地(郡内織物)の付加
価値を高める加工技術に、繊維を絡ませることで織物で
も刺繍でも得られない風合いを表現するニードルパンチ
加工があり、この加工に大きな期待が寄せられている。
従来のニードルパンチ加工では、多数のニードルを固
定したフレームの上下運動により繊維等を絡ませる機構
のため、無地柄かストライプ柄となる(図1)。任意な絵
柄を表現できるニードルパンチ加工が可能な装置は現存
していない。
このため、地域繊維業界からは新たな加工方法として
「任意な絵柄を表現できるニードルパンチ加工技術」を
実現し、創造性に富んだ高い付加価値を付与できる加工
方法の開発を要望されていた。そこで、日本の独自技術
分野としてこの技術を開発し、従来にない独自性を有す
る製品を生み出し、繊維産業の振興に寄与することを目
的とした。
図 1 従来のニードルパンチ加工技術
30
図 2 新規ニードルパンチ加工技術
○従来技術と新開発技術との比較
(1)従来技術の課題
①従来のニードルパンチ加工は、フレームに固定したニー
ドルが上下運動を行う方法であり、無地柄またはストラ
イプ柄しか表現できない。
②ストライプ製品を作成する場合、ニードルの入れ替えに
膨大な時間がかかり、コストアップの要因となっている。
(2)新技術の特長
①ニードルを個々に上下させるため、任意な絵柄の表現が
可能となる。
②従来技術でストライプ製品を加工する時に必要であった
ニードルの交換作業が不要になり、多品種少量生産及び
コストダウンが可能となる。
図 3 新規ニードルパンチ装置
22年度採択
[一般枠]
雑貨類などに用いることが可能であり、高付加価値製品の
製造ができ、他の技術では表現できない比類のない高付加
価値商品が製作できる。
織染加工
○研究開発成果
(1)電子ジャカードを応用して、0.5mm間隔、2000本以
上のニードルを制御し、幅1000mmの任意な絵柄を
ニードルパンチ加工する技術を確立した(図3)
。
(2)リピート柄へ対応するため最長15メートルまで、連続
して加工可能な制御データを作成できるシステムを開
発した。
(3)摩耗・折損したニードルの交換機構は、カセット方式
を採用し保守性を向上した(図4)
。
図 5 幾何形状の加工事例
図 4 ニードルカセット方式
○事業化、製品化の見通し
2011年度には、最適加工条件の確立を行い、あわせて次
世代ニードルパンチ製品の試作を行い、デザイナーやエン
ドユーザーから評価を受け、2012年度からサンプル生産を
開始する予定である。
開発された製品・技術のスペック
次世代ニードルパンチ技術を応用した製品は、2枚の重
ね合わせた布に、ニードルで上側の繊維を下側の布に絡み
合わせることにより、任意な柄を自由な大きさで表現でき
る。例えば記号、文字、絵柄などを布に自由に表現でき、
他の織物製品とは異なる嵩高性を持った風合いの製品とな
る(図5、6)
。開発技術は、服地、マフラー、その他高級
図 6 文字の加工事例
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事業管理機関名
富士吉田商工会議所
◎所在地 : 〒 403-0004 富士吉田市下吉田 1643-1
◎担当者 : 三浦 幸弘
◎ TEL:0555-24-7111 ◎ FAX:0555-22-6851 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等): 山梨県富士工業技術センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業): 山崎織物(株)、(株)昭栄技研、山梨県織物整理(株)、(有)富士ウィーブ
◎主たる研究実施場所 : 山梨県富士工業技術センター
31
戦略的基盤技術高度化支援事業
研究開発成果事例集
発行日 2011年3月
発行
関東経済産業局 産業部 製造産業課
〒330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1
TEL:048-600-0307 FAX:048-601-1293
URL:http://www.kanto.meti.go.jp
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