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1. 鶴亀算に挑戦!
1. 鶴亀算に挑戦! [問題] キジとウサギあわせて頭が60で,足の数 を合わせると150本です。 簡単だよね? それぞれ何羽(何匹)いるのでしょうか? 『算法闕疑抄』より 1. 鶴亀算の答え 15匹(15羽) [答えと解法] 全部キジだとすると足は120本となりま すが,合計はそれよりも30本多いですね。 30本は,キジより2本足数の多いウサギ 45羽 の分と考えられますで,ウサギの数は 30÷2=15 となります。 はじめ鶴亀算は,この例題のように雉(キ ジ)と兎(ウサギ)を用いていましたが, キジとウサギの数をそれぞれx,yとし て,連立方程式で記述すれば, のちに鶴と亀を用いるようになり,現在は 「鶴亀算」という名前でよばれています。 x+y=60 2x+4y=150 となり,同等の計算ができます。 縁起よい もの勝ち! 2. 盗人算に挑戦! [問題] 橋の下で絹盗人が絹を分けあっている声 が聞こえます。 「7反ずつ取れば8反余り」 「8反ずつ取れば7反足らず」 さて、盗人の人数と絹の反数はいくらで しょうか? 7反とった時から、 次に1反ずつ取っていって 7反足りなくなったのだか ら... 2. 盗人算の答え 余りからさらにひとり1反 ずつとると [答えと解法] 7反ずつ取った時から、全員が1反ずつ取っ 余りの 8反 ていって、7反足りなくなったのだから、 8反ずつ これを図に示すと右のようになります。 7反ずつ 盗人の人数は 8反 + 7反 となります。 不足の 7反 盗人の人数 = 8反 + 7反 絹の反数 = 15人 × 7反 + 8反 = 113反 人数 15人 この「過不足算」は、和算では「盈 (えい)不足算」または「盈じく」と 113反 いいました。 3. 馬乗り算に挑戦! [問題] 6里の道のりを4人で旅するとき、馬3頭 に平等に交代で乗るとしたら、ひとり当た り何里づつ乗ればよいでしょうか。 何回乗りかえれば よいのじゃろう? 馬3頭で何里歩く ことになるのかな? 3. 馬乗り算の答え [答えと解法] 3頭の馬が歩く道のりの合計は18里。 道のりを3里として、旅人が3人、馬が2頭 とすると、さらに容易に理解できます。 3頭 × 6里 = 18里 これを4人で乗るから、一人あたり馬 3里 2里 1里 に乗る道のりは4.5里となります。 18里 ÷ 4人 = 4.5里 乗りかえが3回あるので、一回当たり の道のりは1.5里となります。 4.5里 ÷ 3回 = 1.5里 2頭の馬が歩く道のりの合計は6里。 2頭 × 3里 = 6里 これを3人で乗るから、一人あたり馬に乗 る道のりは2里となります。 6里 ÷ 3人 = 2里 4. ねずみ算に挑戦! [問題] 正月 正月に,ねずみの父母が子どもを12匹生ん で,親子とも14匹になるとします。 この14匹のねずみが,2月には7組の父母 として12匹づつ生むと,全部で98匹となり ます。 このように月に一度づつ,親も子も孫もひ 孫も12匹づつ生むとしたら,12月には何匹 になるでしょうか? 2月 上の14匹が父母 となりそれぞれ 12匹を生む 4. ねずみ算の答え [答え] 276億8257万4402匹。 [解法] 等比級数的に増えることを,ねずみ算的に 増えるという語源になった数学遊戯。 1月は 2×7=14 2月は 2×72=98 3月は 2×73=686 と数式化すると, 12月は 2×712 となります。 1匹の体長10cmで 全部つながると なんと地球69周分! すごいでしょ 『塵劫記』より 5. 俵算に挑戦! [問題] 俵が図のように,上から1俵,2俵,3俵と 積み上げられ,一番下が13俵に並ぶよう積 み上げられています。 俵は,全部あわせると何俵となるでしょう か? 13俵 5. 俵算の答え [答えと解法] ① まず全体の形を,下図のように俵を ② もう一つ同じ量の俵をもってきます。 左に寄せてみます。 13 ○ ○○ ○○○ ○○○○ ○○○○○ ○○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○○○○ ○○○○○○○○○ ○○○○○○○○○○ ○○○○○○○○○○○ ○○○○○○○○○○○○ ○○○○○○○○○○○○○ ○ ●●●●●●●●●●●●● ○○ ●●●●●●●●●●●● ○○○ ●●●●●●●●●●● ○○○○ ●●●●●●●●●● ○○○○○ ●●●●●●●●● ○○○○○○ ●●●●●●●● ○○○○○○○ ●●●●●●● ○○○○○○○○ ●●●●●● ○○○○○○○○○ ●●●●● ○○○○○○○○○○ ●●●● ○○○○○○○○○○○ ●●● ○○○○○○○○○○○○ ●● ○○○○○○○○○○○○○ ● 13 ③ こうすると,全体の数は右の 図の半分となります。 13 ×(13+1)÷ 2 = 91俵 13 これは三角数を利用した計算で, n番目の三角数は n(n+1)÷2 となります。 ○●●●●●●●●●●●●● ○○ ●●●●●●●●●●●● ○○○ ●●●●●●●●●●● ○○○○ ●●●●●●●●●● ○○○○○ ●●●●●●●●● ○○○○○○ ●●●●●●●● ○○○○○○○ ●●●●●●● ○○○○○○○○ ●●●●●● ○○○○○○○○○ ●●●●● ○○○○○○○○○○ ●●●● ○○○○○○○○○○○ ●●● ○○○○○○○○○○○○ ●● ○○○○○○○○○○○○○ ● (13+1) 6. 木の高さ積りに挑戦! [問題] 右の図のようにして、木にとまっている鳥 の高さを測るため、目の位置に折り紙を半分 に折り、一辺に重りをつけて斜辺の先が鳥の 高さとなるような位置に立ちました。 この時、木の根本までの距離は7間、高さ を測っている鳥の背の高さは 1尺とします。 木にとまっている鳥の高さはいかほど? 木の根まで7間 6. 木の高さ積りの答え [答えと解法] 折ったおりがみは二等辺三角形ですから、 目の高さから木の鳥までの高さは、木の根本 までの長さと等しくなります。 これに測っているものの背の高さを加えれ 7間 ば、求める高さの 7間1尺となります。 1尺 1尺 7間 7. 方陣に挑戦! [問題] 図のように,9個の場所のある正方形のそ れぞれの場所に,1から9までの数字を入 れて,たて・よこ・斜めの列の和が,すべ て等しくなるように並べてください。 魔方陣ともいわれて いるのだ! 魔法陣ではないぞー 7. 方陣の答え でも, [答えと解法] 魔法のようじゃろ 次のようにすると,簡単に方陣を作る ことができます。 ① 下のような順で数を並べる ② 2と8の位置を交換する ③ どの列の合計も15となる 2 1 6 2 1 6 8 1 6 3 4 5 9 7 8 3 4 5 9 7 8 3 4 5 9 7 2 この方陣は,たてよこ3マスの3方陣で,マ 『算法闕疑抄』では19方陣の遺題が提示 スが増えるごとに4方陣,5方陣というよう され,『算俎』がそれに解答をあたえてい によばれます。 ます。 8. 油分け算に挑戦! [問題] 桶に10升の油が入っています。これを7 升マスと3升マスの2つのマス使って,5升 ずつに分けるには,どうすればよいでしょ うか。 10升桶 7升マス 3升マス どちらの方法でも できマス 10升桶 3升マス 7升マス 8. 油分け算の答え [答え] [解法(油分けの法則)] 次のような手順で,5升ずつ 第1条件 マスBが空いたら桶Aから注ぐ 第2条件(1) マスCがいっぱいでなければ,Bから注ぐ に分けることができます。 10升 3升 7升 桶 マス マス 10 0 0 はじめの状態 3升マスで3杯くみ,7升マス が一杯になるまで注ぐ 1 2 7 7升マスから10升桶に戻す 8 2 3升マスから7升マスに 8 10升桶から3升マスに 3升マスから7升マスに 解法 はじめの状態 繰り返す (2) Cがいっぱいになったら,Aに戻す 10升 7升 3升 桶 マス マス 10 0 0 7升マスに注ぐ 3 7 0 0 7升マスから3升マスで3 杯くみ,10升桶に戻す 9 0 1 0 2 10升桶から7升マスに 2 7 1 5 3 2 7升マスから3升マスに 2 5 3 5 0 5 3升マスから10升桶に 5 5 0 [解説] 左の解法は,桶から3升マスでくみ出す回数をx,7升 マスで10升桶に戻す回数をyとすると,3x – 7y = 5 の整数解を求めることと対応します。(x=4,y=1) 別法 右の別法は,7x – 3y = 5 の整数解を求 めることと対応します。(x=2,y=3) 9. 倍増し算に挑戦! [問題] 大豆1粒を毎日2倍にすれば、30日目に は何粒になるでしょうか。大体の予想で考 えてください。 1日目は1粒 2日目は倍で2粒 3日目はその倍で4粒 と計算するのじゃ 9. 倍増し算の答え [答え] 5億3千6百87万9百12粒(536,870,912)。 [類する話] その昔、そろり新左衛門という秀吉に可 愛がられたお伽衆(話相手)がいて、 [解法] 「望みのものを与えよう」と秀吉にいわ 2日目から2倍になるので、合計29回、2倍 の計算をすることになります。 1 × 229 = 536,870,912 れたところ、「今日一文、明日2文、次ぎ の日4文というように、毎日2倍の銭を一 か月頂きたい」といった逸話が残されて います。 秀吉はこれを承知したとされますが、そ 芥子の実やお米、 まんじゅうなどでの 問題もあります の後この褒美は無かったとのことです。 10. 継子立(ままこだて)の不思議 前編: 継子の危機! 先妻の子(継子)15人と実子15人を円 数えすすめると,継子ばかり続けて 形に並べ,10番目にあたる子どもを除い 14人除かれ,もう1回数えると,継子が て,最後に残る1人に家督を譲るといわ すべて除かれることとなってしまいまし れ,継母が下図のように子どもを並べ, た。 数え始めました。 3 実子 6 8 開始点 14 11 10 継子 13 12 5 始めの10人目 次の10人目 9 1 1 2 4 最後の継子 2 7 15 後編:継子の逆転! この時,1人残った継子は「あまりに片 すると今度は,実子ばかり続けて10 寄りすぎなので,これからは私から数え 番目に該当し実子が15人除かれ,なん てください」といったところ,受入れら と最後には継子が残って家督を継ぐこと れて,最後の継子から再度数え始めまし になったとさ。 た。 1 11 1 9 4 15 始めの10人目 13 10 5 今よりは 我れより 数へられ候へ 8 次の10人目 継子が残った! 再開点 3 6 2 2 14 7 12