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チューリップの新潟県オリジナル新品種【4月】
チューリップの新潟県オリジナル新品種 新潟県農業総合研究所園芸研究センターで育成されたチューリップの県オリジナル新 品種を紹介します。 今までに、 「新潟 1 号(愛称:桜小雪)」以降 13 品種が育成されています。このう ち 12 品種は品種登録され、現地ほ場での球根の増殖に応じて順次販売が開始されて います。 今回、新たに白色のチューリップ「雪うさぎ」、「雪の華」の 2 品種が育成されまし たので、その特性を紹介します。これらの品種は品種登録出願中であり、球根の増殖 状況に応じて順次販売される計画となっています。 2 3 4 1 5 図1 「雪うさぎ」および「雪の華」 「雪うさぎ」 1:促成切り花(草姿) 2:促成切り花(花部) 3:露地開花(花部) 「雪の華」 4:露地開花(花部) 5:露地開花(草姿) 1 「雪うさぎ」 (1)品種特性 切り花向けの白色一重咲き品種です。10 月下旬植の切り花栽培では、採花まで の日数が 56 日程度で年内出荷が可能であり、採花率が高く、ボリューム感のある切 り花が得られます(図1、表1)。露地花壇では4月下旬に開花し、観賞期間は 15 日 程度です(表2)。球根栽培では、球根の収量性、分球性に優れ、主球の肥大性も良 い品種です(表3)。 (2)育成経過 平成元年にトライアンフ群品種「プレルジューム」を種子親、トライアンフ群品種 「オラフ」を花粉親として交配し、平成9年に一次選抜しました。露地開花、球根収 量、促成開花等の特性調査の結果有望と判断し、平成 25 年に育成を完了しました。 -1- 2 「雪の華」 (1)品種特性 花型が特徴的で観賞価値が高く、類似品種の少ない花壇向けの白色フリンジ咲き品 種です。露地花壇では5月上旬に開花し、観賞期間は 14 日程度です。花が大きくフ リンジの切れ込みがはっきりしている点が特徴となっています(図1、表2)。球根 の生産性は中程度で(表3)、10 月下旬定植の切り花栽培では採花率が低く(表1)、 フリンジの切れ込みがはっきりしないため、12 月から1月出荷には適しません。 (2)育成経過 平成2年にリ咲き品種「ホワイトトライアンファター」を種子親、フリンジ咲き品 種「ファンシーフリル」を花粉親として交配し、平成9年に一次選抜しました。露地 開花、球根収量、促成開花等の特性調査の結果有望と判断し平成 25 年に育成を完了 しました。 表1 「雪うさぎ」および「雪の華」の促成開花特性1 [平成16年、17年、19年、20年、23年の平均(「雪の華」は平成19、20、23年の平均)] 品種 (花色・花型) 平均開花日 到花日数 採花率 切り花重 花丈 草丈 花首長 葉長 脚長 花弁長 (月/日) (日) (%) (g) (cm) (cm) (cm) (cm) (cm) (cm) 雪うさぎ (白色・一重) 12/21 56 96 35.7 39.2 39.5 7.3 23.3 9.1 6.5 雪の華 (白色・フリンジ) 1/14 80 62 33.6 49.9 40.7 18.8 23.8 8.7 7.5 1/9 69 85 32.1 40.3 38.4 13.2 23.8 5.1 5.7 アルビノ (「雪うさぎ」対照品種、白色・一重) 2 イルデフランス (切り花向け主要品種、赤色・一重) 12/23 58 99 35.6 50.2 45.3 12.9 22.2 13.0 6.4 1 球根サイズ:12 cm 冷蔵処理:8月上旬から15℃2週間 + 2℃ 9週間 定植:10月下旬 温度管理:定植2週間後から昼温18℃、 夜温13℃、植物成長調整剤処理あり 2 「アルビノ」:11月上旬定植(平成18および21年調査) 表2 「雪うさぎ」および「雪の華」の露地開花特性1 [平成19年、20年、23年の平均(「雪うさぎ」は平成20年および23年)] 品種 (花色・花型) 開花日 花丈 草丈 花首長 第一葉長 観賞期間3 (月/日) (日) (cm) (cm) (cm) (cm) 雪うさぎ (白色・一重) 4/23 15 28.7 28.9 7.1 17.5 雪の華 (白色・フリンジ) 5/3 14 47.0 33.2 22.9 18.4 4/29 14 41.8 37.2 13.4 19.1 ハネムーン (「雪の華」対照品種、白色・フリンジ) 2 イルデフランス (中生咲き主要品種、赤色・一重) 4/25 14 33.3 31.6 9.7 17.6 ピンクダイヤモンド (晩生咲き主要品種、桃色・一重) 5/1 12 40.4 32.3 16.3 19.1 1 球根サイズ:11cm 定植:10月下旬 2 「ハネムーン」:平成23年調査 3 観賞期間 花弁が脱落、萎凋、退色するまでの日数 表3 「雪うさぎ」および「雪の華」の球根収量特性1 [平成20年および平成23年の平均(100株あたり)] 球重 品種 (花色・花型) 球重 総球数 子球 総球重 主球重 子球重 増加率 重比 (kg) (kg) (kg) (%) (球) (%) 雪うさぎ (白色・一重) 4.5 3.0 1.5 298 549 33 雪の華 (白色・フリンジ) 3.8 2.8 1.0 327 351 25 2 5.2 2.4 2.8 328 500 55 アルビノ (「雪うさぎ」対照品種、白色・一重) 2 3.8 2.2 1.7 254 507 43 ハネムーン (「雪の華」対照品種、白色・フリンジ) イルデフランス (主要品種、赤色・一重) 3.3 2.5 0.8 249 358 24 1 花弁長 (cm) 6.7 8.9 7.2 6.5 6.8 腐敗 球率 (%) 6 7 10 12 7 3 グルーピング 球根 主球 分球性 収量 肥大性 多 大 大 中 中 中 多 中 大 中 中 大 中 中 中 2 球根サイズ:9cm 定植:10月下旬 「アルビノ」、「ハネムーン」:平成23年調査 グルーピング 球根収量(総球重) 少:2.9kg以下 中:3.0~3.9kg 多:4.0kg以上 主球肥大性(サイズ別球数のピーク値) 小:10cm以下 中:11cm 大:12cm以上 分球性(総球数) 小:299以下 中:300~399 大:400以上 3 【 経営普及課農業革新支援担当 -2- 小田正之 】