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フタル酸ブチルベンジルの有害性評価 [Butyl benzyl

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フタル酸ブチルベンジルの有害性評価 [Butyl benzyl
フタル酸ブチルベンジル
フタル酸ブチルベンジルの有害性評価
[Butyl benzyl phthalate, CAS No. 85-68-7]
化
学
名:フタル酸ブチルベンジル
別
名:ブチルベンジルフタレート、フタル酸ブチルベンジルエステル、
1,2-ベンゼンジカルボン酸ブチルベンジルエステル、BBP
分
子
式:C19 H20 O4
分
子
量:312.4
構
造
式:
O
C-O-(CH 2) 3CH 3
C-O-CH 2
O
外
観:無色透明の液体 1)
融
点:-35℃
2)
沸
点:370℃
1) 2)
比
蒸
1)
重: d 25
4 = 1.117
圧:1.15×10-3 Pa (20℃)3)
253 Pa(200℃)3)
分
気
配
分
溶
製
造
係
数 :Log Pow = 4.91 4)
解
性:加水分解性:アルカリで加水分解 1)
解
生分解性:易分解(BOD=81%, 14 日間)4)
性:水 1.2 mg/L (25℃)2)
有機溶媒 アルコール、エーテル、ベンゼンと可溶
量
用
等 :平成 10 年度 291 t (製造 0 t 輸入 291 t)
5)
途:塩化ビニル及びニトロセルロース樹脂の可塑剤
耐油性、耐磨耗性に優れるため、電線被覆として使用 6)
適
1)
4)
用
法
令 :化学物質管理促進法 、海洋汚染防止法
有機合成化学協会, 1985; 2) Richardson & Gancolli., 1992;
通商産業省, 2000; 5) 通商産業省, 1999; 6) HSDB, 2001
3)
Van Nostrand Reinhold, 1996;
1
フタル酸ブチルベンジル
1. 有害性調査結果
1) ヒトの健康に関する情報
15-30 人のボランティアの皮膚にフタル酸ブチルベンジル (BBP)を貼付した実験で、中程
度の刺激があったと報告されている(Mallette & von Haam, 1952)。
ボランティア 200 人の皮膚に週 3 回の頻度で BBP の 24 時間貼付を 5 週間行い、2 週間後
に再度 BBP の貼付によって誘発した実験で BBP の刺激性や感作性は認められていない
(Hammond et al., 1987)。
以下に、BBP 単独ではないが、BBP を含むフタル酸エステルによるヒトの健康影響に関
する報告例を列挙する。
2 才までに呼吸障害に罹患した子供を対象とした疫学調査で、BBP を含むフタル酸エステ
ルが可塑剤として使用されたポリ塩化ビニル(PVC)製カーペットを敷いた屋内で生活する
子供は、呼吸障害に罹患するリスクが高くなることが報告されている(疾患リスクの指標
として算出したオッズ比=1.89、95%信頼区間 1.14-3.14)(Jaakkola et al., 1999)。
可塑剤として BBP を含むフタル酸エステル(BBP 以外のフタル酸エステルの種類不明)
を使用した PVC 製造に、5 年以上従事した労働者の多発性骨髄腫に罹患するリスクが、対
照群に比べて有意な差があることが大規模な疫学調査によって認められている (CERHR,
2000)。
米国マサチューセッツ州ケープコッドにおける大規模コホート研究で、フルタイムで働
く女性の乳癌発症例(n=261)に占める BBP に職業暴露された女性の人数割合が、対照例
(n=753)に占める BBP の職業暴露された女性の割合との間で差がみられていないことから、
BBP に 職 業 暴 露 さ れ た 女 性と 乳 癌 発 生 率 の 増 加 とは 関 連 が な い と報 告 され て い る
(Aschengrau et al., 1998)。
PVC 製造時、BBP を含むフタル酸エステル混合物(BBP 以外のフタル酸エステルの種類
不明)に職業暴露された女性労働者で、BBP を扱っていない労働者に比べ、月経不順や自
然流産の発生率の増加が認められている(CERHR, 2000)。
2) 内分泌系及び生殖系への影響
(1)レセプター結合に関する in vitro 試験結果(付表-1)
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)とエストロゲン受容体の リガンド結合領域と
の融合タンパクを用いる受容体結合試験において、ヒト、マウス及びニワトリのエストロ
ゲン受容体に対する結合性は弱い(Matthews et al., 2000)。ヒトエストロゲン受容体及び未
成熟 SD ラットの子宮ホモジネートに対する結合試験でも各々17β- エストラジオール(E2)
の 1/31,000、1/28,000 - 1/80,000 程度の結合性を示している(Zacharewski et al., 1998; Blair et al.,
2000; Hashimoto et al., 2000; CERI, 2001b)。
酵母ツーハイブリッドアッセイでは、遺伝子の活性化が認められている(Nishihara et al.,
2000; Hashimoto et al., 2000)。また、ヒトエストロゲン受容体への結合に応答して増殖する
ヒトエストロゲン受容体遺伝子導入酵母 S. cerevisiae PL3 株では、BBP の 10 µM で弱い増殖
が検出されている(Zacharewski et al., 1998)。
2
フタル酸ブチルベンジル
MCF-7 細胞及び HeLa 細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイでは、10 nM の 17β-エス
トラジオール (E2) が示す活性を 100 とすると、10 µM の BBP はそれぞれ 46%、34%の活
性を示している (Zacharewski et al., 1998)。同様に HeLa 細胞を用いたレポーター遺伝子アッ
セイでは、弱い ERE 依存性の転写活性化が認められている(CERI , 2001b)。
ヒト乳ガン細胞(MCF-7、ZR-75-1)の増殖性試験では、E2 を 1 とした場合、組換え酵母
では 4.0×10-6 – 1.0×10-6 (E2 の 1/250,000 – 1/1,000,000 の活性)(Coldham et al., 1997; Harris et
al., 1997)、乳ガン細胞では 4.0×10-6 - 1.0×10-5 (E2 の 1/250,000 – 1/100,000 の活性)の相対活
性を示すとされている(Soto et al., 1995, 1997; Korner et al., 1998)。
ヒトアンドロゲン受容体遺伝子を導入した酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイでは、
BBP はジヒドロテストステロンによるアンドロゲン様作用に対して、抑制作用(抗アンド
ロゲン様作用)を示すとの報告がある(Sohoni & Sumpter, 1998)。
ヒトプロゲステロン受容体遺伝子を導入した酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイで
は、BBP は遺伝子の転写活性化を示していない(Tran et al., 1996)。
(2) ほ乳動物の内分泌系及び生殖系に及ぼす影響(付表-2 (1)、(2)、(3)、-3、-4、-5)
エストロゲン作用を検出するためのスクリーニング手法である子宮増殖アッセイ(OECD
ガイドライン案に準拠)において、雌の CFLP マウス(18 日齢)に 4 日間 BBP 0、0.05、0.5、
5 mg/匹を皮下投与した実験で、いずれの群でも子宮重量に影響は認められていない
(Coldham et al., 1997)。
同じく、エストロゲン作用あるいは抗エストロゲン作用を検出するためのスクリーニン
グ手法である子宮増殖アッセイ(OECD ガイドライン案に準拠)において、雌 SD ラット(20
日齢)に 3 日間 BBP 0、500、1,000、2,000 mg/匹を皮下投与した実験で、いずれの群でも子
宮重量に影響は認められていない。さらに雌の幼若 SD ラット(20 日齢)に BBP 0、500、
1,000、2,000 mg/匹を皮下投与し、同時にエチニルエストラジオールを 0.6 µg/kg/day の用量
で皮下投与した実験で、いずれの投与群でも子宮重量に影響は認められていない(CERI,
2001a)。さらに、雌卵巣摘出 SD ラット(31 日齢)に 4 日間 BBP 0、1、20、200、2,000 mg/kg/day
を経口投与した実験でも、いずれの群でも子宮重量に影響は認められていない(Zacharewski
et al., 1998)。
アンドロゲン作用あるいは抗アンドロゲン作用を検出するスクリーニング手法である
ハーシュバーガーアッセイ(OECD ガイドライン案に準拠)において、去勢 SD ラット(7
週齢)に 10 日間 BBP 0、40、200、1,000 mg/kg/day を経口投与した実験で、雄性副生殖器官
重量に変化は認められていない。さらに去勢 SD ラット(7 週齢)に 10 日間 BBP 0、40、200、
1,000 mg/匹を経口投与し、同時にプロピオン酸テストステロンを 0.4 mg/kg/day の用量で皮
下投与した実験で、200 mg/kg 群以上の群で前立腺腹葉の絶対及び相対重量、精嚢の相対重
量、尿道球腺の絶対及び相対重量、球海綿体筋+肛門挙筋重量の減少がみられ、明らかな再
現性は得られていないが、抗アンドロゲン作用を持つ可能性がある (CERI, 2001a)。
また抗アンドロゲン作用によるとみられる F1 雄に対する生殖系への影響が報告されてい
る。 雌の SD ラットに BBP 750 mg/kg/day を妊娠 14 日から生後 3 日まで強制経口投与した
3
フタル酸ブチルベンジル
実験で、F1 雄で精巣重量の減少、肛門−生殖器突起間距離(AGD)の短縮、乳頭遺残の発
生率の増加(生後 13 日)がみられている(Parks et al., 1999)。
雌の SD ラットに BBP 750 mg/kg/day を妊娠 15 日から生後 3 日まで強制経口投与した実験
でも、F1 雌雄で出生時体重の減少、雄で AGD 短縮、乳輪、乳頭遺残の発生率の増加がみら
れている(Gray et al., 2000)。
反復投与毒性試験及び生殖・発生毒性試験による BBP の内分泌系や生殖系への影響を以
下に示す。
雄の F344 ラット(12-15 週齢)に BBP 0、0.625、1.25、2.5、5.0%(0、447、890、1,338、
1,542 mg/kg/day 相当)を 14 日間混餌投与した実験で、2.5%以上の群で精巣、精巣上体、前
立腺及び精嚢重量の減少、精巣、前立腺及び精嚢の萎縮、精巣上体において未成熟精子細
胞の生成、精細管上皮細胞の壊死、黄体ホルモン及び卵胞刺激ホルモン量の増加がみられ、
5%群では精巣上体の萎縮、血漿中テストステロン量の減少がみられている(Kluwe et al.,
1984; Agarwal et al., 1985)。
雄の離乳直後の SD ラットに 500 mg/kg/day を 14 日間または 20 日間強制経口投与を行っ
た EDSTAC の提案する思春期甲状腺アッセイに準じる実験で、精巣及び副生殖器官には影
響がみられていない(Ashby & Lefevre, 2000)。
雄の F344/N ラット(6 週齢)に BBP 0、300、900、2,800、8,300、25,000 ppm(0、30、60、
180、550、1,650 mg/kg/day 相当)を 26 週間混餌投与した実験で、25,000 ppm 群で精巣、精
嚢及び精巣上体重量の減少、精巣及び精巣上体の変性、精細管の萎縮、精子数の減少がみ
られている(NTP, 1997)。
雄 F344/N ラット(6 週齢)に BBP 0、3,000、6,000、12,000 ppm(雄 0、120、240、500 mg/kg/day
相当)を 106 週間混餌投与した実験で、6,000 ppm 以上の群で精巣上体重量の増加がみられ
ている(NTP, 1997)。
雄 F344/N ラット(6 週齢)に BBP 0、300、2,800、25,000 ppm(0、20、200、2,200 mg/kg/day
相当)を 10 週間混餌投与した後に無処置の 2 匹の雌と交配した実験で、雄の 25,000 ppm 群
で精子濃度の減少、前立腺相対重量及び精巣相対重量の減少、精巣上体と精嚢重量の減少、
精巣と精巣上体の変性がみられている。また 25,000 ppm 投与群の雄と交配した雌で不妊率
が増加し(30 例中 10 例)、不妊率の増加は雄の生殖器系への影響によるとみられている(NTP,
1997)。
雌雄の Wistar ラット(週齢記載なし)に BBP 0、0.2、0.4、0.8%を、雄には 10 週間混餌
投与(0、108、206、418 mg/kg/day 相当)、雌には 2 週間混餌投与(0、106、217、446 mg/kg/day
相当)した後に交配し、さらに雌には妊娠期、授乳期を通して投与(妊娠期 0、116、235、
458 mg/kg/day、授乳期 0、252、580、1,078 mg/kg/day 相当)した実験で、母動物には 0.8%
群で肝臓相対重量の増加、妊娠期及び授乳期の体重増加抑制がみられるが、胎仔への影響
はみられていない (TNO, 1993)。
雌雄の WU ラット(10-11 週齢)に BBP 0、250、500、1,000 mg/kg/day を 2 週間強制経口
投与した後に同群内の雌雄を交配した実験で、F0 雄 1,000 mg/kg/day 群で体重増加抑制、精
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フタル酸ブチルベンジル
巣及び精巣上体重量の減少、ライディッヒ細胞の過形成と精巣変性がみられ、F0 雌 1,000
mg/kg/day 群で受胎率の減少、妊娠時体重増加抑制、出生時生存仔数の減少がみられている。
また F1 雌雄 500 mg/kg/day 以上の群で出生時体重減少、F1 雌雄 1,000 mg/kg/day 群で生後 6
日目の体重減少がみられている(Piersma, 1995)。
雌雄の SD ラット(雄:6 週齢、雌:13 週齢)に BBP 0、20、100、500 mg/kg/day を雄は
12 週間、雌は 2 週間強制経口投与した後に同群内の雌雄を交配した実験で、F0 雌 100
mg/kg/day 以上の群で卵巣重量増加がみられている。また F1 雌雄 100 mg/kg/day 以上の群で
体重減少、雌雄 500 mg/kg/day 群で出生時 AGD の短縮、雄 500 mg/kg/day 群で包皮分離遅延、
血清中テストステロン量減少がみられている(Nagao et al., 2000)。
雌の CD-1 マウスに BBP 0、0.1、0.5、1.25%(0、182、910、2,330 mg/kg/day 相当)を妊
娠 6 日から 15 日まで混餌投与した実験で、母動物について 0.5%以上の群で体重増加抑制
がみられている。また胎仔については 0.5%以上の群で胚仔死亡数の増加、肋骨、胸骨、脊
椎などの骨格奇形発生率の増加(対照:31%、0.5%群:61%、1.25%群:100%)、1.25%群
で体重増加抑制がみられている(Price et al., 1990)。
雌の CD ラットに BBP 0、0.5、1.25、2.0%(0、420、1,100、1,640 mg/kg/day 相当)を妊
娠 6 日から 15 日まで混餌投与した実験で、母動物については 1.25%以上の群で体重増加抑
制、摂餌量及び摂水量の増加、肝臓相対重量の増加、2.0%群で運動失調、歩行異常、腎臓
相対重量の増加がみられ、胎仔については 2.0%群で体重減少、胚仔死亡数の増加、尿路、
眼、脊柱等の奇形発生率の増加(対照:2%、2.0%群:53%)がみられている(Field et al., 1989)。
雌の Wistar ラットに BBP 0、0.25、0.5、1.0、2.0%(0、185、375、654、974 mg/kg/day 相
当)を妊娠 0 日から 20 日まで混餌投与した実験で、母動物については 1.0%以上の群で体
重増加抑制、摂餌量の減少がみられ、胎仔については 0.5%以上の群で生存仔数の減少、1.0%
群で体重減少、2.0%群で着床後胚死亡率の増加がみられている(Ema et al., 1990)。
また、雌の Wistar ラットに BBP 0、500、750、1,000 mg/kg/day を妊娠 7 日から 15 日まで
強制経口投与した実験で、母動物については 750 mg/kg/day 群で体重増加抑制がみられ、胎
仔については 750 mg/kg/day 群で体重減少、胚吸収数の増加(3/10 例)、死亡胎仔数の増加、
着床後吸収胚の増加、外表、骨格、内臓の奇形胎仔数の増加(対照群:1 匹、750 mg/kg/day
群:20 匹)、1,000 mg/kg/day 群で全母動物(6 匹)で胚吸収がみられている(Ema et al., 1992a)。
さらに、着床後の胚死亡や胎仔の奇形発現への BBP 投与量や投与時期の影響に関する検
討が行われている(付表-2(3)参照、Ema et al., 1991; 1992b; 1992c; 1994)。
また BBP は代謝により 2 種類のモノエステル、フタル酸モノブチルとフタル酸モノベン
ジルを生成するが、これらの代謝物についても発生毒性に関するデータが報告がされてい
る。
雌の Wistar ラットにフタル酸モノブチルの 0、250、500、625 mg/kg/day を妊娠 7 日から
15 日まで強制経口投与した実験で、母 動物について 500 mg/kg/day 以上で体重増加抑制、摂
餌量の減少、胎仔について 500 mg/kg/day 以上で体重減少、着床後胚死亡率の増加、生存仔
数の減少、骨格奇形の増加、腎盂拡張の増加がみられている(Ema et al., 1995a)
(付表-2 (3))。
5
フタル酸ブチルベンジル
また、雌の Wistar ラットにフタル酸モノベンジルの 0、250、313、375、438、500 mg/kg/day
を妊娠 7 日から 15 日まで強制経口投与した実験で、母動物について 313 mg/kg/day 以上で
体重増加抑制、250 mg/kg/day 以上で摂餌量の減少、胎仔について 438 mg/kg/day 以上で着床
後胚死亡率の増加、外表奇形の増加、313 mg/kg/day 以上で骨格奇形の増加、375 mg/kg/day
以上で内臓奇形の増加がみられている(Ema et al., 1996c)(付表-4)。
雌の Wistar King ラットにフタル酸モノブチルの約 1,000 mg/kg/day を妊娠 15 日から 18 日
まで強制経口投与した実験で、生後 30-40 日の雄胎児の 87%に停留精巣がみられている
(Imajima et al., 1997)。
これらの結果から、2 種類のモノエステル代謝物は母動物及び胎仔に対して BBP と同程
度の毒性があるとみられる。
妊娠雌ラットへの低用量BBP投与による雄仔の生殖器官への影響や周産期死亡率への影
響が報告されている(付表-5)。
雌のWistarラットにBBP 1 mg/L(生後1-2日、10-12日、20-21日;0.126、0.274、0.336 mg/kg/day
相当)を含む飲水を2週間与えた後、交配し、さらに妊娠期、哺育期投与した実験で、F0 雌
には影響がみられないが、F1 雌雄に体重増加(生後22日)、F1 雄に精巣の絶対及び相対重量
の減少がみられている。F1a仔離乳後、F0 と再交配された同母動物による再試験でも、F1 雄で
精巣の絶対及び相対重量の減少、一日あたりの精子産生量の減少がみられている(Sharpe et
al., 1995)。
各群の動物数を増やし、適切な対照化合物を用い、投与物質の純度分析を行った上で実
施された雌のWistar APラットにBBP 0、1 mg/L(0、0.183 mg/kg/day 相当)を含む飲水を妊
娠1日から分娩後20日まで与えた実験では、F1 雄での生後2日の体重増加、AGD短縮、肝臓
相対重量の増加、F1 雌では腟開口日齢の早期化がみられるが、雄で精子数や精巣重量への影
響はみられていない(Ashby et al., 1997)。
また、雌の非近交系WistarラットにBBP 0.1、1、3 mg/L(0.012、0.14、0.385 mg/kg/day 相
当)を含む飲水を2週間与えた後、交配し、さらに妊娠期、哺育期投与した実験でも、F1 に
ついていずれの群でも精子の形態、数、運動性及び性周期、性的成熟度に差がみられない
(CERHR, 2000)。
さらに雌のWistarラットにBBP 1、3 ppmを2週間飲水または混餌経口投与した後、無処置
の雄ラットと交配し、妊娠期、哺育期投与した実験でも、母動物及び胎仔に影響がみられ
ていない(CERHR, 2000)。
NTP(National Toxicology Program)のCERHR(Center for Evaluation of Risk to Human
Reproduction)エキスパート・パネルは、SharpeらによるF1 雄の生殖器官への影響に関する
結果は1)用量-反応データがない、2)飲水中のBBP量の分析結果がない、3)同一の研究室
で再現性が得られていない、4)他の研究室で再現できていない等の理由から、BBPの生殖毒
性を示すデータとして評価出来ないとしている(CERHR, 2000)。
これらの追試験の中で、胎仔の4日以内の死亡率に有意な増加が認められたとの報告があ
る。雌の非近交系WistarラットにBBP 0、0.1、1、3 mg/L(0、0.012、0.14、0.385 mg/kg/day 相
6
フタル酸ブチルベンジル
当)を含む飲水を与えた後、交配し、さらに妊娠期、哺育期に投与した実験で、1 mg/L以上
の群で生後4日以内の死亡仔数に有意な増加が認められている。また、3 mg/L群では低体温
仔数の増加(生後1日)、大きい仔数の増加(生後4日)、脱毛の増加(Hair loss)がみられて
いる(CERHR, 2000)。NTP(CERHR)のエキスパート・パネルは他の研究室で再現できて
いない等の理由から信頼性は低いとしながらも、NOAELを母動物で0.385 mg/kg/day、胎仔
で0.14 mg/kg/dayと従来のNOAEL値(付表-2(3)参照、母動物 182-500 mg/kg/day、胎仔
182-420 mg/kg/day)に比べて3桁低い値を定めている。
3) 一般毒性に関する情報
(1) 急性毒性(表-1)
BBP の急性毒性は比較的弱い。ラットへの経口投与で、体重減少、元気消失、白血球
増加症などの症状がみられている。また組織病理学的にはうっ血性脳症、ミエリン変性、
神経膠細胞の増殖などによる脾炎、中枢神経系の変性がみられている (CERHR, 2000)。
表-1 急性毒性試験結果
経口 LD 50
吸入 LC50
経皮 LD 50
腹腔内 LD 50
マウス
−
−
6,700 mg/kg
−
ラット
2,000-20,000 mg/kg*
−
6,700 mg/kg
−
ウサギ
−
−
−
−
*:報告により幅がある。
(2) 反復投与毒性(付表-6)
雌雄の B6C3F1 マウス(4-5 週齢)に BBP 0、6,000、12,000 ppm (雄 0、1,029、2,058 mg/kg/day、
雌 0、1,037、2,074 mg/kg/day 相当)を 106 週間混餌投与した実験で、雌雄共に投与量に依
存した体重の減少がみられている(NTP 1982)。
雄の F344 ラット(12-15 週齢)に BBP 0、0.625、1.25、2.5、5.0%(0、447、890、1,338、
1,542 mg/kg/day 相当)を 14 日間混餌投与した実験で、0.625%以上の群に肝臓及び腎臓重量
の増加、2.5%以上の群に体重の減少、5%群に多病巣性及び慢性肝炎、胸腺の皮質性リンパ
球増加症がみられている(Kluwe et al., 1984; Agarwal et al., 1985)。
雌雄の F344 ラット(週齢記載なし)に BBP 0、1.2、2.5%を 21 日間混餌投与した実験で、
ぺルオキシゾームの増生がみられている(Barber et al., 1987)。
雌の F344 ラット(週齢記載なし)に BBP 0、6,000、12,000、24,000 ppm(0、300、600、
1,200 mg/kg/day 相当)を 1 カ月間混餌投与した実験でも、ぺルオキシゾームの増生がみら
れている(NTP, 1997)。
雌雄の Wistar ラット(4-6 週齢)に BBP 0、2,500-12,000 ppm (雄 0、151、381、960 mg/kg/day、
7
フタル酸ブチルベンジル
雌 0、171、422、1,069 mg/kg/day 相当)を 3 カ月間混餌投与した実験で、雄の 151 mg/kg/day
群及び雌の 171 mg/kg/day 以上の群で肝臓相対重量の増加、雄の 381 mg/kg/day 群及び雌の
422 mg/kg/day 以上の群で腎臓相対重量の増加、膵臓組織変化(島細胞拡大、空胞化、うっ
血、炎症、線維症)、尿の pH の低下(雄)、雄の 960 mg/kg/day 群及び雌の 1,069 mg/kg/day
以上の群で肝臓壊死、貧血がみられている(Hammond et al., 1987)。
一方、雌雄の SD ラット(4-6 週齢)に BBP 0、2,500-20,000 ppm (0、188、375、750、1,125、
1,500 mg/kg/day 相当)を 3 ヶ月間混餌投与した実験で、雄の 750 mg/kg/day 以上の群で腎臓相
対重量の増加、雄の 1,125 mg/kg/day 以上の群で肝臓相対重量の増加、雌の 750 mg/kg/day 以
上の群で肝臓重量の増加がみられているが、上述の Wistar ラットでみられた膵臓の組織変
化はみられていない(Hammond et al., 1987)。
雄の F344/N ラット(6 週齢)に BBP 0、300、900、2,800、8,300、25,000 ppm(0、30、60、
180、550、1,650 mg/kg/day 相当)を 26 週間混餌投与した実験で、8,300 ppm 以上の群で肝
臓重量の増加、25,000 ppm 群で体重減少、腎臓の相対重量の増加、大赤血球(大球性)貧
血例数の増加がみられている(NTP 1997)。
雌の F344 ラット(6 週齢)に BBP 0、6,000、12,000、24,000 ppm(0、300、600、1,200 mg/kg/day
相当)を 52 週間混餌投与した実験で、ぺルオキシゾームの増生がみられている(NTP, 1997)。
雌雄の F344 ラット(6 週齢)に BBP 雄 0、3,000、6,000、12,000 ppm、雌 0、6,000、12,000、
24,000 ppm(雄 0、120、240、500 mg/kg/day、雌 0、300、600、1,200 mg/kg/day 相当)を 106
週間混餌投与した実験で、雄の 3,000 ppm 以上の群で腎臓重量の増加、雌の 6,000 ppm 以上
の群で腎症、雄の 12,000 ppm 群で肝臓重量の増加、雄の 12,000 ppm 群及び雌の 24,000 ppm
群で体重の減少、尿細管色素沈着、肝肉芽腫、脾臓過形成がみられている(NTP 1997)。
その他、雌雄のイヌ(成犬)に BBP 0、10,000-50,000 ppm(雄 0、400、1,000、1,852 mg/kg/day、
雌 0、700、1,270、1,973 mg/kg/day 相当)を 3 カ月間混餌投与した実験で、雄の 400、1,852
mg/kg/day 群及び雌の 1,270 mg/kg/day 以上の群で体重減少がみられている(Hammond et al.,
1987)。
また、雌雄の SD ラット(6-8 週齢)に BBP 0、50、218、789 mg/m3 (雄 0、9.2、39.4、143
mg/kg/day、雌 0、9.8、42、152 mg/kg/day 相当)を 6 時間/日、13 週間吸入暴露した実験では、
789 mg/m3 群で雌雄共に肝臓及び腎臓重量の減少、雄のみで血糖値の減少がみられている
(Hammond et al., 1987)。
4)変異原性・遺伝毒性及び発がん性に関する情報
(1) 変異原性・遺伝毒性(表-2)
in vitro 試験では、ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験で陰性である(Litton
Bionetics Inc., 1976; Rubin et al., 1979; Zeiger et al., 1982; 1985; Kozumbo et al., 1982)。
マウスリンパ腫細胞を用いる遺伝子突然変異試験については代謝活性化を含まない系
で陽性を示した報告がある(Myhr et al., 1986; Myhr & Caspary, 1991)が、試料が析出す
るほど高用量での試験であったことから、有効性が認められていない(NTP, 1997)。
BALB/3T3 細胞を用いる形質転換試験でも陰性を示している (Litton Bionetics Inc.,
8
フタル酸ブチルベンジル
1977; Barber et al., 2000)。また、チャイニーズハムスター培養細胞(CHO 細胞)の染色体
異常試験及び姉妹染色分体交換試験でも陰性である(Galloway et al., 1987)。
in vivo 試験では、BBP 1,250 – 5,000 mg/kg を単回腹腔内投与したマウスから摘出した骨
髄細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で弱い陽性が認められている(NTP,
1997)。一方、ショウジョウバエの伴性劣性致死試験やマウスの小核試験では陰性を示
している(Valencica et al., 1985; IPCS, 1999)。
表-2 変異原性・遺伝毒性試験結果
試験方法
復帰突然変異試験
In vitro
遺伝子突然変異試
験
使用細胞種・動物種
ネズミチフス菌 TA98、TA100、TA1535、TA1539、
S9(+/-)、10-10,000 µg/ml
−
マウスリンパ腫 L5178Y 細胞、S9(+/-)
−
形質転換試験
マウスリンパ腫 L5178Y 細胞、S9(+/-)
(+S9 で陰性)
BALB/3T3 細胞、
染色体異常試験
CHO 細胞 S9(+/-)
姉妹染色分体交換
試験
染色体異常試験
CHO 細胞 S9(+/-)
姉妹染色分体交換
試験
伴性劣性致死試験
マウス骨髄細胞、1,250-5,000 mg/kg の単回腹腔内
投与
マウス骨髄細胞、1,250-5,000 mg/kg の単回腹腔内
投与
ショウジョウバエ
小核試験
マウス
In vivo
結 果
*
+
−
−
−
文献
Litton Bionetics Inc.,
1976; Rubin et al.,
1979; Zeiger et al.,
1982; 1985 ; Kozumbo
et al., 1982
Litton Bionetics Inc.,
1977; Hazleton
Biotechnologies
Company, 1986;
Barber et al., 2000
Myhr et al., 1986;
Myhr & Caspary, 1991
Litton Bionetics Inc.,
1977;
Barber et al., 2000
Galloway et al., 1987
Galloway et al., 1987
+w
NTP, 1997
+w
NTP, 1997
−
−
Valencica et al., 1985
IPCS, 1999
*−:陰性 +:陽性 +w:弱い陽性
(2) 発がん性(表-3, 付表-7)
げっ歯類での発がん性に関しては、NTP が行った発がん性試験の結果がある(付表7)。
雌雄の B6C3F1 マウス(5-6 週齢)に BBP 0、6,000、12,000 ppm(雄 0、1,029、2,058
mg/kg/day 相当、雌 0、1,037、2,074 mg/kg/day 相当)を 103 週間混餌投与した実験で、
投与群に病理組織学的な変化はみられていない (NTP, 1982)。
雌雄の F344 ラット(5 週齢)に BBP 0、6,000、12,000 ppm (雄 0、474、948 mg/kg/day
相当;雌 0、550、1,100 mg/kg/day 相当)を 103 週間混餌投与した実験(全ての雄は 2930 週に屠殺)で、12,000 ppm 投与群の雌で単核細胞性白血病(MNCL)の発生率の増
加がみられている(NTP, 1982)。
9
フタル酸ブチルベンジル
しかし、雌雄の F344 ラット(6 週齢)に BBP 雄 0、3,000、6,000、12,000 ppm、雌 0、
6,000、12,000、24,000 ppm(雄 0、120、240、500 mg/kg/day; 雌 0、300、600、1,200
mg/kg/day 相当)を 106 週間混餌投与した追試験で、雌のいずれの群でも単核細胞性白
血病(MNCL)の発生率に差はみられていない。一方、雄では膵臓腺房細胞の腫瘍とが
んの発生頻度の合計が対照、3,000、6,000、12,000 ppm 群でそれぞれ 3/50、2/49、3/50、
10/50 となり、BBP 最高投与群で明らかな増加が認められている。また膵臓腺房細胞の
病巣過形成の発生頻度も対照、3,000、6,000、12,000 ppm 群でそれぞれ 4/50、0/49、9/50、
12/50 となり、BBP 高用量群で明らかな増加が認められている。以上の結果から、NTP
はラットの雄に対して BBP による発がん性が認められるとしている(NTP, 1997)。
BBP はほとんどの変異原性及び遺伝毒性試験では陰性であるにもかかわらず、ラッ
トに対して発がん性が認められることから、BBP は発がんメカニズムに対してプロモ
ーターとして作用する可能性があるが、BBP のプロモーター作用に関する報告はない。
ヒトでの発がん性に関する報告はない。
表-3 国際機関等での発がん性評価
機 関
分 類
基 準
グループ C ヒトに対する発がん性があるかもしれない物質。
EPA
EU
NTP
−
発がん性について評価されていない。
−*
発がん性について評価されていない。
グループ 3 ヒトに対する発がん性については分類できない物質。
IARC
文 献
JETOC, 1999
JETOC, 2000
NTP, 2000
IARC, 2001
ACGIH
−
発がん性について評価されていない。
ACGIH, 2000
日本産業衛生学会
−
発がん性について評価されていない。
日本産業衛生学会, 2001
*:NTP は分類符号なし
5)免疫系への影響
現時点で免疫系への影響に関する報告はない。
6)生体内運命
雄の F344 ラットの背部皮膚にベンゼン環を 14 C で標識した BBP 49 mg/kg を半閉塞
適用した実験で、7 日後までに投与量の 27%が吸収されている。残りの大部分は投与
部位から検出されている(Elsisi et al., 1989)。同様に、イヌに BBP 5,000 mg/kg を強制
経口投与した実験でも、10%しか吸収されない(CHEHR, 2000; Erickson, 1965)。
雄の F344 ラットに 2、20、200、2,000 mg/kg を単回経口投与した実験では、2-200 mg/kg
の投与量では 61-74%が吸収されるが、2,000 mg/kg/day の投与量では 16%しか吸収され
ない(Eigenberg et al., 1986)。
雄の F344 ラットにベンゼン環を 14 C で標識した BBP 20 mg/kg を静脈内投与した実験
で、放射能は血液、肝臓、腎臓、筋肉、皮膚、小腸、脂肪組織、脳、肺、精巣、脾臓
中で直ちに検出されるが、血液、肝臓、腎臓、筋肉、皮膚、小腸中における放射能は
わずか 30 分で半分以下に減少する。(Eigenberg et al., 1986)。
10
フタル酸ブチルベンジル
雄の Wistar ラットに BBP を経口投与した実験で、BBP は消化管から分泌されるエス
テラーゼによって速やかに加水分解され、フタル酸モノエステル(フタル酸モノブチ
ルやフタル酸モノベンジル)として吸収される。これらのモノエステルはそのまま、
あるいはグルクロン酸と抱合して、尿中に排泄される(図 1)(Mikuriya et al., 1988)。
また、雌の Wistar ラットに BBP 150、475、780、1,500 mg/kg/day を 3 日間強制経口投
与した実験では、尿中からフタル酸モノブチル、フタル酸モノベンジル、馬尿酸、フ
タル酸、安息香酸、フタル酸モノブチルのω-酸化代謝物のフタル酸カルボキシプロピ
ルが検出されているが、グルクロン酸抱合体は検出されておらず、グルクロン酸抱合
体が形成されないのは性差に起因すると報告されている(図 1)
(Nativelle et al., 1999)。
雄の F344
ラットに BBP 2-200 mg/kg を投与した実験で、24 時間以内に投与量
の約 90%が排泄され、そのうち 80%は尿中、20%は糞中である。また、F344 ラットの
雄にベンゼン環を 14 C で標識した BBP 20 mg/kg を静脈内投与した実験で、投与した放
射能量の 55%が胆汁中、34%が尿中から回収されている(Eigenberg et al., 1986)。
11
フタル酸ブチルベンジル
COO-CH2-CH2CH2CH3
(1)
COO-CH2
COOH
COO-CH2-CH2CH2CH3
(2)
CH3-CH2-CH2-CH2OH
COOH
(3)
COOH
COOH
CH2 -OH
COO-CH2-CH2CH2COOH
(7)
(6)
(5)
(4)
COO-CH2
COOH
COOH
COOH
CH3-CH2-CH2-COOH
(10)
(8)
COOH
(7)
CONHCH2COOH
(9)
COO-CH2 -CH2CH2 CH3
(2)
COOH
COOH
(3)
COO-CH2
グルクロン酸抱合体
(1)フタル酸ブチルベンジル
(6)ベンジルアルコール
(2)フタル酸モノブチル
(7)フタル酸
(3)フタル酸モノベンジル
(8)安息香酸
(4)ブチルアルコール
(5)フタル酸カルボキシプロピル
(9)馬尿酸
(10)酪酸
図 1 フタル酸ブチルベンジルの代謝経路
2. 現時点での有害性評価
ヒトの内分泌系、生殖器系への影響に関して、本物質暴露との関連が明確にされて
いる報告はない。
本物質の内分泌系への影響を調べるための in vitro 実験において、本物質はエストロ
ゲン受容体に対して弱い結合性を示すものの、in vivo 試験の子宮増殖アッセイでエスト
ロゲン作用は検出されていない。一方、去勢ラットへの経口投与によるハーシュバー
12
フタル酸ブチルベンジル
ガーアッセイで、副生殖器官の重量の減少がみられ、また妊娠雌ラットへの経口投与
試験によって F1 雄の生殖系に対する影響がみられることから、BBP は抗アンドロゲン
作用を有する可能性が示唆される。
この他、反復投与毒性試験では雄ラットの精巣、精巣上体及び前立腺重量の減少と
精巣の萎縮がみられている。生殖・発生毒性試験では高用量で雄親動物の生殖器系へ
の影響と考えられる不妊率の増加がみられ、また、生存仔数、仔生存率の減少や胎仔
の外表、骨格及び内臓に奇形がみられている。
なお、本物質の有害性関連情報として、ヒトにおいて皮膚刺激性を有するという報
告、皮膚刺激性及び感作性を有さないという報告がある。動物実験では反復投与では
経口、経皮の経路により主に肝臓、腎臓に影響がみられている。変異原性試験は in vitro
及び in vivo の各種試験で概ね陰性であるが、一部の試験で弱い陽性の結果も得られて
いる。一方、発がん性試験ではマウスには病理組織学的な変化はみられないが、ラッ
トには、雌で単核細胞性白血病(MNCL)の発生率の増加、膵臓腺腫/がんの発生がみ
られ、BBP はプロモーターとして作用している可能性がある。
本評価については、今後有害性に関する新たな知見が得られれば、逐次見直しを行
っていくこととする。
3. リスク評価等今後必要な対応
現在 2 世代繁殖毒性試験を実施しているところであり、従来の知見にその結果をも加
味し、本物質の内分泌かく乱作用とそれによる毒性影響の有無を総合的に評価すること
とする。
13
フタル酸ブチルベンジル
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フタル酸ブチルベンジル
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19
フタル酸ブチルベンジル
付表-1 レセプター結合に関する in vitro 試験結果
項 目
試験方法及び条件
ER に 対 す る 方法:[3 H]-E2をリガンドとした競争
結合試験
結合試験
受容体:未成熟SDラットの子宮ホモ
ジネート
温度:30℃
pH:7.6
暴露濃度:10-6 - 10-3 M
方法:[3 H]-E2をリガンドとした競争
結合試験
受容体:未成熟SDラットの子宮ホモ
ジネート
pH:7.4
温度:4℃
方法:[3 H]-E2をリガンドとした競争
結合試験
受容体:GST-ERdef融合タンパク(ヒ
ト、マウス及びニワトリ)
温度:4℃
方法:蛍光リガンド(ES1)をリガンド
とした競合結合試験
受容体:ヒトERα
温度:25℃
ヒトERに対する結合アッセイ (組
換えERαリガンドドメイン)
結果
結論
文献
IC50値:3.6×10-5 M
ER結合性を示す
Zacharewski et
al., 1998
(E2:1.3×10-9 M)
(
結
合
性
は
E2
の
(E2に 対 す る 相 対 結 合 強
1/28,000)
度(E2 = 1)は3.6×10-5 )
IC50値:7.2×10-5 M
ER結合性を示す
(E2:8.99×10-10 M)
(E2 に 対 す る 相 対 強 度 ( 結 合 性 は E2 の
1/80,000)
(E2=1)は1.2×10-5 )
Blair et al.,
2000
10-9 - 10-4 M の範囲で非常 ER結合性を示す
に弱い結合を示す
Matthews et
al., 2000
5×10-5 M 以上で結合阻害 ER結合性を示す
率が増加
Hashimoto et
al., 2000
IC50:4.0×10-5 M
(E2: 1.3×10-9 M )
RBA:0.0032%
CERI, 2001b
ER結合性を示す
( 結 合 性 は E2 の
1/31,000)
ERを 介 す る遺 伝 子
の転写活性化を示す
Nishihara et
酵母ツーハイ 細胞:Gal4 DNA結合ドメイン/ヒト REC10:5×10-4 M
al., 2000
ブリッドアッ ERリガンド結合ドメイン遺伝子、 (E2:3×10-10 M)
セイ
Gal4活性化ドメイン/コアクチベー
タTIF2 遺伝子及びβ-ガラクトシタ
ーゼレポーター遺伝子を導入した酵
母
細胞:Gal4 DNA結合ドメイン/ヒト 5×10-5 、5×10-4 M で弱い ERを 介 す る遺 伝 子 Hashimoto et
al., 2000
ERリガンド結合ドメイン遺伝子、 活性を検出
の転写活性化を示す
Gal4活性化ドメイン/コアクチベー (5×10-4 M BBPにおける
タTIF2 遺伝子及びβ-ガラクトシタ 10-7 M E2に対する相対的
ーゼレポーター遺伝子を導入した酵 な最大反応 (E2 =100%)
母
は10%)
暴露濃度:5×10-7 - 5×10-3 M (BBP)
ヒ ト ER 応 答 細胞:ヒトERを導入したS.cerevisiae 3日目から弱い増殖を検 細胞増殖活性を示す Zacharewski et
al., 1998
性酵母増殖試 PL3株
出
験
暴露濃度:10-5 M(BBP)、10-9 M (E2)、(E2も3日目から明らか
暴露期間:5日間
な増殖を検出)
組換え酵母を 細胞:ヒトプロゲステロン受容体遺 10-6 M BBPの暴露で有意 プロゲステロン受容 Tran et al.,
1996
用いたレポー 伝子とβ-ガラクトシターゼレポー な活性は検出されない10- 体を介する遺伝子の
8
ター遺伝子ア ター遺伝子を導入した酵母
M プロゲステロンと10 転写活性化を示さな
6
ッセイ
暴露濃度:10-6 M (BBP)、
M BBPの同時暴露では い
10-8 M プロゲステロン)、 プロゲステロンの活性に
10-6 M (BBP)+10-8 M(プ 影響しない
ロゲステロン)
暴露時間:12時間
20
フタル酸ブチルベンジル
項 目
試験方法及び条件
結果
結論
文献
細胞:ヒトER遺伝子とβ-ガラクト 10-8 M - 10-5 Mの範囲で暴 ERを 介 す る遺 伝 子 Coldham et al.,
1997
シターゼレポーター遺伝子を導入し 露量に依存して活性を検 の転写活性化を示す
た酵母
出
暴露濃度:10-11 - 10-5 M (BBP)、
(10-5 M BBP におけるE2 ( 転 写 活 性 は E2 の
-13
-7
10 - 10 M (E2)
に対する相対的な最大反 1/250,000)
暴露時間:18時間
応 (E2=100%)は5.3%)
(E2 に 対 す る 相 対 強 度
(E2=1)は4.0×10-6 )
細胞:ヒトER遺伝子とβ-ガラクト 10-6 M - 10-3 Mの範囲で暴 ERを 介 す る遺 伝 子 Harris et al.,
1997
シターゼレポーター遺伝子を安定的 露量に依存して活性を検 の転写活性化を示す
に導入した酵母
出
暴露濃度:5×10-7 - 10-3 M (BBP)、 (10-3 M BBP におけるE2 ( 転 写 活 性 は E2 の
4.8×10-12 - 10-8 M (E2)
に対する相対的な最大反 1/1,000,000)
暴露期間:4-6日間
応 (E2=100%)は50%)
(E2 に 対 す る 相 対 強 度
(E2=1)は1.0×10-6 )
組換え培養細 細胞:Gal4-ヒトER遺伝子とGal4調節 MCF-7細胞アッセイ:
ERを 介 す る遺 伝 子 Zacharewski et
al., 1998
胞を用いたレ ルシフェラーゼレポーター遺伝子を 10-5 M で活性を検出(10-8 の転写活性化を示す
ポーター 遺伝 一過的に導入したMCF-7及びこれら M E2 の 活 性 に 対 し て
子アッセイ
の遺伝子を安定的に導入したHeLa 46%)
細胞、
暴露濃度:10-7 、10-6 、10-5 M (BBP) HeLa細胞アッセイ:
10-5 M の暴露で活性を検
10-12 - 10-8 M (E2)
暴露時間:24時間
出(10-8 M E2の活性に対
して34%)
(E2に対しては、10-12 - 108
M の範囲で暴露量に依
存して転写活性率は増
加、E2 = 10-8 M でのMCF7細胞とHeLa細胞アッセ
イの活性化倍率はそれぞ
れ23倍と11倍)
Sohoni &
細胞:ヒトアンドロゲン受容体(AR) アゴニスト作用:
ARを介する遺伝子
遺伝子と β-ガラクトシターゼレポ 2×10-8 - 5×10-5 M の範囲 の転写活性化を示さ Sumpter, 1998
ーター遺伝子を安定的に導入した酵 で陰性
ない
母
アンタゴニスト作用:
(DHT に 対 す る ア ン
暴露濃度:2×10-8 - 5×10-5 M (BBP)、2×10-8 - 2×10-5 M の範囲 タ ゴ ニ ス ト 作 用 あ
1.25×10-9 M (DHT)
で1.25×10-9 M DHT のア り。アゴニスト作用
暴露期間:4-6日間
ゴニスト作用を抑制
なし)
細胞:ER発現遺伝子及びER応答配 PC50: 4.1×10-6 M
ERを 介 す る遺 伝 子 CERI, 2001b
列を組み込んだHeLa細胞
(E2: <10−11 M)
の転写活性化を示す
暴露濃度:10-11 - 10-5 M
( 転 写 活 性 は E2 の
1/410,000)
ヒト乳ガン細 細胞:ヒト乳ガン細胞(MCF-7細胞 10-5 M で活性を検出
細胞増殖活性を示す Soto et al.,
1995, 1997
胞増殖アッセ 及びE-SCREEN アッセイ)
(10-5 M BBP におけるE2
イ
暴露濃度:10-5 M(BBP)
に対する相対的な最大反 ( 転 写 活 性 は E2 の
1/100,000)
10-10 M (E2)
応 (E2=100%)は90%)
暴露期間:5日間
(E2 に 対 す る 相 対 強 度
(E2=1)は1.0×10-5 )
21
フタル酸ブチルベンジル
項 目
試験方法及び条件
結果
結論
文献
細胞:ヒト乳ガン細胞(MCF-7及び MCF-7細胞アッセイ:
細胞増殖を示す
Harris et al.,
1997
ZR-75細胞)
10-5 M で活性を検出
MCF-7:
ZR-75細胞アッセイ:
暴露濃度:10-5 M(BBP)、10-8 M (E2) 10-5 M で活性を検出
暴露期間:11日間
(10-8 - 10-12 M の範囲でE2
の暴露に依存して活性)
ZR-75-1:
暴露濃度:10-5 M 、10-6 M、10-7 M(BBP)
10-8 M 、10-10 M 、10-12 M (E2)
暴露期間:10日間
細胞:ヒト乳ガン細胞(MCF-7) 10-10 –10-6 M の範囲で暴露 細胞増殖活性を示す Jones et al.,
1998
暴露濃度:10-10 -10-5 M (BBP)
量に依存して活性を検出
-3
10-14 -10-8 M (E2)
(10 M BBP におけるE2
暴露期間:6日間
に対する相対的な最大反
応 (E2=100%) は80%)
(10-14 M から10-11 Mの範
囲でE2の暴露に依存して
活性を検出)
細胞:ヒト乳ガン細胞(MCF-7) 3×10-5 M で活性を検出
細胞増殖活性を示す Korner et al.,
1998
暴露濃度:≦10-4 M (BBP)
(3×10-5 M BBPにおける
10-12 - 10-8 M (E2)
E2に対する相対的な最大 (細胞増殖活性はE2
暴露期間:5日間
反応 (E2=100%)は80%) の1/250,000)
(E2に対する相対強度は
(E2=1)は4.0×10-6 )
組換え培養細 細胞:ヒトER遺伝子とルシフェラー BBPの暴露で有意な活性 ERを 介 す る遺 伝 子 Itoh et al., 2000
胞を用いたレ ゼレポーター遺伝子を安定的に導入 を検出
の転写活性化を示す
ポーター遺伝 したヒト乳ガンMCF-7細胞(MVLN (10-3 M BBP におけるE2
子アッセイ
細胞)
に対する相対的な最大反 ( 転 写 活 性 は E2 の
-10
-5
1/2,100)
暴露濃度:10 -10 M (BBP)
応 (E2=100%)は65%)
10-9 M (E2)
(E2 に 対 す る 相 対 強 度
暴露時間:24時間
(E2=1)は4.8×10-4 )
ER: エストロゲン受容体; E2: 17β-エストラジオール; REC10: 10-7 M E2 活性値の 10%相当濃度
PC50: E2 による最大活性値 50%に相当する濃度; IC50: 50%阻害濃度
22
フタル酸ブチルベンジル
付表-2 ほ乳動物の生殖及び繁殖毒性試験結果
(1)スクリーニング手法による生殖試験結果
動物種
投与方法
投与期間
投与量
マウス
皮下
18 日齢から 3 0、0.05、0.5、5
(CFLP、雌) (子宮増殖 日間投与後、4
mg/匹
7 匹/群 アッセイ) 日 目 に 子 宮 を
摘出し、重量を
測定
ラット
皮下
20 日齢から 3 0、500、1,000、2,000
mg/kg
(SD、雌) (子宮増殖 日 間 投 与 、 24
6 匹/群
アッセイ) 時 間 後 に 子 宮 0、500、1000、2000
を摘出し重量
mg/kg
を測定
+
エチニルエストラ
ジオール
0.6 µg/kg/day 皮下
投与
ラット
強制経口 31 日齢から
0、1、20、200、2,000
(SD、雌) (子宮増殖 4 日間投与後、
mg/kg
10 匹/群 アッセイ) 5 日目に子宮を
(19 日齢で 摘出し、重量を
卵巣摘出) 測定
ラット 強制経口 去勢8日後投与 0、40、200、1,000
(SD、雄) (ハ ー シ ュ 開始10日間
mg/kg/day
6週 齢 で 去 バ ー ガ ー 最 終 投 与 終 了 0、40 、200、 1,000
勢
アッセイ) 約24 時 間 後 に mg/kg/day
+
解剖
プロピオン酸テス
トステロン
0.4 mg/kg/day皮下投
与
ラット
強制経口 妊娠14日-生後 0、750 mg/kg/day
(SD、雌) (コーン油) 3日
生後2日にAGD
と精巣重量の
確認
ラット
経口
妊娠15日-生後 0、750 mg/kg/day
(SD、雌) (コーン油) 3日
結 果
子宮重量に影響なし
子宮重量に影響なし
文献
Coldham et al.,
1997
CERI, 2001a
子宮重量に影響なし
子宮重量に影響なし
副生殖器官の重量に影響なし
Zacharewski et
al., 1998
CERI, 2001a
200 mg/kg以上の群で前立腺腹葉の絶
対及び相対重量、精嚢の相対重量、尿
道球腺の絶対及び相対重量、球海綿体
筋+肛門挙筋重量の減少(用量相関乏
しい)
F1 :精巣重量の減少、肛門-生殖突起
間距離(AGD )短縮、乳頭遺残の発
生率の増加(生後13日)
Parks et al.,
1999
Gray et al.,
F1 :雌雄で出生時体重の減少
2000
雄でAGD短縮、精巣重量減少、乳輪、
乳頭遺残の発生率の増加
(2)反復投与・生殖毒性試験結果
動物種
投与方法
ラット
混餌
(F344、雄)
(12-15
週齢)
10 匹/群
投与期間
14 日間
投与量
結 果
文献
0、0.625、1.25、2.5、 2.5%以上で精巣、精巣上体、前立腺、 Kluwe et al.,
1984;
5.0%
精嚢重量の減少、精巣、前立腺、精嚢
(0、447、890、1,338、の萎縮、精巣上体における未成熟精子 Agarwal et al.,
1985
1,542 mg/kg/day 相当) 細胞の生成、精細管上皮細胞の壊死、
黄体ホルモン及び卵胞刺激ホルモン
量の増加
5%で精巣上体の萎縮、血漿中テスト
ステロン量の減少
23
フタル酸ブチルベンジル
動物種
投与方法
ラット
強制経口
(Alpk:Apf
SD、雄)
投与期間
22-23 日齢
14 日間
35-36 日齢
14 日間
投与量
0、500 mg/kg/day
結 果
精巣及び副生殖器官に影響なし
0、500 mg/kg/day
精巣及び副生殖器官に影響なし
35-36 日齢
20 日間
0、500 mg/kg/day
精巣及び副生殖器官に影響なし
ラット
(F344/N、
雄)
(6 週齢)
11-15 匹/群
混餌
26 週間
ラット
(F344/N、
雄)
(6 週齢)
ラット
(F344/N、
雄)
(6週齢)
15匹/群
混餌
106 週間
ラット
(Wistar、
雌雄)
(週齢
記載なし)
雌24匹/群
雄12匹/群
混餌
混餌
0、300、900、2,800、 25,000 ppm で精巣、精嚢及び精巣上体
8,300、25,000 ppm 重量の減少、精巣及び精巣上体の変
(0、30、60、180、550、性、精細管の萎縮、精子数の減少
1,650 mg/kg/day
相当)
文献
Ashby &
Lefevre, 2000
NTP, 1997
雄 0、3,000、6,000 、 6,000 ppm 以上で精巣上体重量の増加 NTP, 1997
12,000 ppm
(雄 0、120、240、500
mg/kg/day 相当)
交 配 前 10 週 0、300、2,800、25,000 F0 雄:25,000 ppmで精子濃度の減少、 NTP, 1997
ppm
間、無処置の
前立腺相対重量及び精巣相対重量の
の雌2 匹 と 7 (0、20、200、2,200 減少、精巣上体と精嚢重量の減少、精
mg/kg/day相当)
日間交配
巣と精巣上体の変性、25,000 ppmの雄
雌は妊娠13日
と交配した雌で不妊率の増加(30匹中
で剖検(黄体、
10匹)
着床数)、雄は
NOAEL:200 mg/kg/day
交配後、剖検
LOAEL:2,200 mg/kg/day
雄:交配前10 0、0.2、0.4、0.8% F0 雌:0.8%で妊娠期及び授乳期の体重 TNO, 1993
週間
(雄:(mg/kg/day相当) 増加抑制
雌: 交 配 前 2 交配前0、108、206、418、F1a:影響なし
週間、妊娠期、雌:(mg/kg/day相当) F 雌:影響なし
0
授乳期
交配前0、106、217、446、F :体重の減少(生後21日目)
1b
F1a 仔離乳後、妊娠期0、116、235、458、NOAEL:(雄)418 mg/kg/day
F0 を再交配
授乳期0、252、580、 (雌)446 mg/kg/day
1,078)
ラット
強制経口 交配前2週間
0、250、500、1,000
mg/kg/day
(WU、雌雄) (コーン 交 配 は 最 大 2
(10-11週齢) 油)
週間
15匹/性/群
F0 雄は投与開
始29日目に剖
検
F0 雌は分娩後
6日 目 ま で 投
与し、剖検
F1 は 生 後 6 日
目に剖検
F0 雄:1,000 mg/kg/dayで精巣及び精巣 Piersma, 1995
上体重量の減少、ライディッヒ細胞の
過形成と精巣変性
F0 雌:1,000 mg/kg/dayで受胎率の減少
F1 雌雄:500 mg/kg/dayで出生時体重の
減少
1,000 mg/kg/day で母動物あたりの生
存仔数(出生時及び生後6日)、出生時
及び生後6日の体重の減少
NOAEL:500 mg/kg/day
LOAEL:1,000 mg/kg/day
24
フタル酸ブチルベンジル
動物種
投与方法
ラット
経口
(SD、雌雄) (コーン
(雄:6週齢、油)
雌:13週齢)
25匹/性/群
投与期間
F0 雄は交配前
12週間、 F0 雌
は 交 配 前2 週
間、交配は最
大2週間
F0 雄は交配後
剖検、F0 雌は
妊娠、出産、
哺乳期を通じ
て投与、 F1 の
離乳後剖検
F1 は離乳後投
与、同じ投与
群内で交配、
F1 雌雄の剖検
はF0 に準じる
投与量
0、20、100、500
mg/kg/day
結 果
文献
F0 雌:100 mg/kg/day以上で卵巣重量増 Nagao, 2000
加
F1 雌雄:100 mg/kg/day 以上で体重減
少、500 mg/kg/dayで出生時AGD短縮
F1 雄:500 mg/kg/dayで包皮分離遅延、
血清中テストステロン量減少
NOAEL:20 mg/kg/day
(3)発生毒性試験結果
動物種
投与方法
投与期間
投与量
結 果
文献
Price et al.,
マウス(CD混餌
妊娠6-15日
0、0.1、0.5、1.25% F0 雌:0.5%以上で体重増加抑制
1990
1、雌)
(帝王切開17 (0、182、910、2,330 F1:0.5%以上で胎仔死亡数増加、奇形
30匹/群
日)
mg/kg/day相当)
(肋骨、胸骨、脊椎)発生率の増加(対
照:31%、0.5%群:61%、1.25%群:
F0 の検査 (体
100%)
重、肝臓,腎
1.25%で体重増加抑制
臓及び子宮の
重量、黄体の
NOAEL: 182 mg/kg/day(母動物)
数、着床数)
182 mg/kg/day(胎仔)
全胎仔の検査
LOAEL: 910 mg/kg/day(母動物)
(体重、肉眼
910 mg/kg/day(胎仔)
による外表、
内臓、骨格奇
形)
ラット
混餌
妊娠6-15日
0、0.5、1.25、2.0% F0 雌:1.25%以上で体重増加抑制、摂 Field et al.,
1989
(CD、雌)
(帝王切開20 (0、420、1,100、1,640 餌量及び摂水量増加、肝臓相対重量の
30匹/群
日)
mg/kg/day相当)
増加
2.0%で運動失調、歩行異常、腎臓相
F0 の検査 (体
対重量の増加
重、肝臓,腎
F1:2.0%で体重減少、胚死亡数の増加、
臓及び子宮の
奇形(尿路、眼、脊柱)の増加
重量、黄体の
(対照:2%、2.0%群:53%)
数、着床数)
全胎仔の検査
NOAEL: 420 mg/kg/day(母動物)
(体重、肉眼
420 mg/kg/day(胎仔)
による外表、
LOAEL:1,100 mg/kg/day(母動物)
内臓、骨格奇
1,100 mg/kg/day(胎仔)
形)
25
フタル酸ブチルベンジル
動物種
投与方法
投与期間
投与量
ラット
混餌
妊娠0-20日
0、0.25、0.5、1.0、2.0%
(Wistar、雌)
(帝王切開20 (0、185、375、654、
15-18匹/群
日)
974 mg/kg/day相当)
F0 の体重及び
摂餌量、剖検
(着床数)
胎仔の雌雄、
体重、骨格奇
形、内臓奇形
を観察
ラット 強制経口 妊娠7-15日
0、500、750、1,000
mg/kg/day
(Wistar、雌)
(帝王切開20
10匹/群
日)
F0 の体重及び
摂餌量、剖検
(着床数)
ラット
(Wistar、雌)
経口
結 果
F0 雌:1.0%で体重増加抑制、摂餌量減
少
2.0%で体重減少
F1 :0.5%以上で生存仔数の減少
1.0%で体重減少
2.0%で着床後胚死亡率増加
NOAEL: 375 mg/kg/day(母動物)
185 mg/kg/day(胎仔)
LOAEL: 654 mg/kg/day(母動物)
375 mg/kg/day(胎仔)
文献
Ema et al.,
1990
Ema et al.,
F0 雌:750 mg/kg/dayで体重増加抑制
1992a
1,000 mg/kg/dayで10匹中4匹死亡、他 6
匹で胚吸収
750 mg/kg/dayで胚吸収数の増加(3/10
例)、死亡胎仔数の増加、着床後吸収
胚の増加、奇形(外形、骨格、内臓)
胎 仔 数 の 増 加( 対 照 群 :1 匹、 750
胎仔の雌雄、
mg/kg/day群:20匹)
体重、骨格奇
F1 雌雄:750 mg/kg/dayで体重減少
形、内臓奇形
NOAEL: 500 mg/kg/day(母動物)
を観察
500 mg/kg/day(胎仔)
LOAEL: 750 mg/kg/day(母動物)
750 mg/kg/day(胎仔)
Ema et al.,
妊娠0–20日
0、2.0%
全ての母動物で吸収胚
1991;1992b
(0、974 mg/kg/day相当)
妊娠0–11日
全ての母動物で吸収胚
妊娠11–20日
奇形胎仔(口蓋裂、胸骨癒合)の増加
ラット
(Wistar、雌)
経口
妊娠0–7日
0、2.0%
吸収胚増加
(0、974 mg/kg/day相当)
妊娠7–16日
吸収胚増加、奇形胎仔(口蓋裂、胸骨
癒合)の増加
妊娠16–20日
影響なし
Ema et al.,
1992c
ラット
(Wistar、雌)
経口
妊娠0–7日
Ema et al.,
1994
妊娠0–9日
妊娠0–11日
ウサギ
(New
Zealand)
経口
妊娠6-18日
(カプセ
ル)
0、2.0%
子宮及び卵巣重量、血漿プロゲステロ
(0、954 mg/kg/day相当) ン量の減少
子宮及び卵巣重量、血漿プロゲステロ
ン量の減少
子宮及び卵巣重量、血漿プロゲステロ
ン量の減少
着床後胚死亡率増加
0、3、10 mg/kg/day F0 :影響なし
F1 :影響なし
Monsanto,
1978
26
フタル酸ブチルベンジル
付表-3 フタル酸モノブチルの生殖・発生毒性試験結果
動物種
投与方法
投与期間
ラット
経口
妊娠7–15日
(Wistar、雌)
ラット
(Wistar、雌)
経口
妊娠7–15日
ラット
(Wistar、雌)
経口
妊娠7-9日
妊娠10-12日
妊娠13-15日
ラット
(Wistar、雌)
経口
投与量
0、250、500、625
mg/kg/day
結 果
F0 :500 mg/kg/day 以上で体重増加抑
制、摂餌量の減少
F1:500 mg/kg/day以上で着床後胚死亡
率の増加、生存仔数の減少、体重の減
少、骨格奇形(口蓋裂)、腎盂拡張の
増加
NOAEL: 250 mg/kg/day(母動物)
250 mg/kg/day(胎仔)
LOAEL: 500 mg/kg/day(母動物)
500 mg/kg/day(胎仔)
0、250、313、375、438、F0:250 mg/kg/day以上で摂餌量の減少
500 mg/kg/day
313 mg/kg/day以上で体重増加抑制
F1:313 mg/kg/day以上で骨格奇形増加
375 mg/kg/day以上で内臓奇形増加
438 mg/kg/day以上で着床後胚死亡率
の増加、外表奇形増加
0、250、375、500、625 F0:375 mg/kg/day以上で体重増加抑制
mg/kg/day
F1 :375 mg/kg/day以上で骨格奇形、腎
盂拡張
0、250、375、500、625 F0:500 mg/kg/day以上で体重増加抑制
mg/kg/day
F1 :奇形なし
0、250、375、500、625 F0:250 mg/kg/day以上で体重増加抑制
mg/kg/day
F1 :375 mg/kg/day以上で口蓋裂、胸骨
癒合
妊娠7-9日
0、500、625、750
mg/kg/day
妊娠10-12日
0、500、625、750
mg/kg/day
妊娠13-15日
0、500、625、750
mg/kg/day
ラット
経口
妊娠15-18日
(Wistar(ゴマ油) 妊娠20日と生
King A、雌)
後 30-40 日 に
F1 雄は精巣の
位置の確認
約1,000 mg/kg/day
F0:625 mg/kg/day以上で体重増加抑制
F1 :500 mg/kg/day以上で骨格奇形、
625 mg/kg/day以上で吸収胚増加、外表
奇形
F0:625 mg/kg/day以上で体重増加抑制
F1 :625 mg/kg/kg/day 以上で吸収胚増
加、奇形なし
F0:500 mg/kg/day以上で体重増加抑制
F1 :500 mg/kg/day以上で吸収胚増加、
625 mg/kg/day以上で口蓋裂、胸骨癒合
文献
Ema et al.,
1995a
Ema et al.,
1995b
Ema et al,
1996a
Ema et al,
1996b
F1 雄:停留精巣(生後30-40日に87%) Imajima et al.,
1997
付表-4 フタル酸モノベンジルの生殖・発生毒性試験結果
動物種
投与方法
投与期間
ラット
経口
妊娠7–15日
(Wistar、雌)
投与量
結 果
0、250、313、375、438、F0:250 mg/kg/day以上で摂餌量の減少
500 mg/kg/day
313 mg/kg/day以上で体重増加抑制
F1:313 mg/kg/day以上で骨格奇形増加
375 mg/kg/day以上で内臓奇形増加
438 mg/kg/day以上で着床後胚死亡率
増加、外表奇形増加
NOAEL: 250 mg/kg/day(胎仔)
LOAEL: 250 mg/kg/day(母動物)
313 mg/kg/day(胎仔)
文献
Ema et al.,
1996c
27
フタル酸ブチルベンジル
付表-5 低用量 BBP 投与による生殖・発生毒性試験結果
動物種
投与方法
投与期間
投与量
ラット
経口
交配前2週間、
0、1 mg/L
(Wistar、雌) (飲水) 妊娠中、哺育 (生後1-2日:0.126
5-6匹/群
期(交配中は 生後10-12日:0.274
非投与)
生後20-21日:0.336
mg/kg/day相当)
F1 雄 を 生 後
陽性対照:
90-95 日 で 剖
DES 0.0011 mg/kg/day
検
F1a 仔離乳後、
0、1 mg/L
F0 を再交配
(生後1-2日:0.126
生後10-12日:0.274
生後20-21日:0.336
mg/kg/day相当)
陽性対照:
DES 0.0011 mg/kg/day
結 果
文献
Sharpe et al.,
F0 :影響なし
1995
F1a:体重増加(生後22日)、精巣相対
重量及び精巣相対重量の増加
F1a:体重減少(生後22日)、精巣相対
重量及び精巣相対重量の減少
F0 :影響なし
F1b :体重増加(生後22日)、精巣相対
重量及び精巣相対重量の減少、1日あ
たりの精子生成量の減少
F1b :体重増加(生後22日)、精巣相対
重量の減少、1日あたりの精子生成量
の減少
Ashby et al.,
ラット
経口
妊娠1日-生後
0、1 mg/L
F0 :影響なし
1997
(Wistar AP、(飲水) 20日
(0、0.183 mg/kg/day相 F1 雄:体重増加(生後2日)、AGD短縮、
雌)
F0 を離乳後剖
当)
肝臓相対重量の増加
18-19匹/群
検(肝臓酵素
F1 雌:腟開口日齢の早期化
活性、血液、
陽性対照:
F0 :体重減少、
微小有核赤血 DES 0.0086 mg/kg/day F1 雄:体重減少、AGD短縮、包皮分離
球)
の日齢上昇、精巣、精巣上体、精嚢、
F1 は性別、体
前立腺重量の減少、精子数の減少
重、性的成熟
F1 雌:子宮重量及び子宮増殖応答性
度を剖検
(uterotrophic response)の増加、卵巣
の絶対重量の増加、腟開口日齢の早期
化
CERHR, 2000
ラット
経口
交配前2週間、 0、0.1、1、3 mg/L F0 :影響なし
(Wistar非近 (飲水) 妊娠、哺育期 (0、0.012、0.14、0.385 F1a:いずれの群でも精子の形態、数、
交系、雌)
(交配中投与
mg/kg/day相当)
運動性及び性周期、性的成熟度に差な
22-25匹/群
され、同居中1
し
週間は非投
1 mg/Lで生後4日以内の死亡仔数の増
与)
加、大きい仔数の増加(生後4日)
3 mg/Lで生後4日以内の死亡仔数の増
加、低体温仔数の増加、大きい仔数の
F0 を離乳後剖
増加(生後4日)、脱毛増加
検
陽性対照:
(陽性対照)
F1 は 生 後 89- DES 0.0011-0.0055 F :体重増加抑制、妊娠期間延長
0
101日 で 剖 検
mg/kg/day
F1 :生後4日以内の死亡仔数の増加、
(体重、異常、
生存仔数の減少、体重増加抑制、包皮
性的成熟度、
分離日齢の遅延、精子数減少、精巣重
機能)
量減少
F1a 仔離乳後、
0、1、3 mg/L
F0 :影響なし
F0 を再交配
(0、0.14、0.385
F1b :1 mg/Lで生後4日以内の死亡仔数
mg/kg/day相当)
の増加
3 mg/Lで生後4日以内の死亡仔数の
増加、死産仔数の増加
ラット
(Wistar、雌)
21-25匹/群
経口
(飲水
または
NOAEL:0.385 mg/kg/day(母動物)
0.14 mg/kg/day(胎仔)
LOAEL:0.385 mg/kg/day(胎仔)
交配前2週間、
0、1、3 ppm
F0 :いずれの群でも体重増加、受胎能 CERHR, 2000
1
ppm
交配、妊娠、
力、摂餌量に差なし。
哺育期に投与 混餌(mg/kg/day相当) F1 :いずれの群でも胚吸収率、4日目
28
フタル酸ブチルベンジル
動物種
投与方法
投与期間
投与量
結 果
混餌) (交配期間 0.08-0.09(妊娠前)、 生存率、体重、大きさに差なし、
最長3週間)0.06-0.07(妊娠)、
0.11-0.06(授乳)
F0 を離乳後剖 飲水(mg/kg/day相当)
検
0.10-0.12(妊娠前)、 NOAEL:
0.34 – 0.49 mg/kg/day(母動物、混餌)
F1 は生後、仔 0.11-0.11(妊娠)、
0.54 – 0.80 mg/kg/day(母動物、飲水)
数、体重、奇 0.17-0.24(授乳)
0.34 – 0.49 mg/kg/day(胎仔、混餌)
形を検査、生
0.54 – 0.80 mg/kg/day(胎仔、飲水)
後21日目まで 3 ppm
生存仔数、体 混餌(mg/kg/day相当)
重増加を確認 0.27-0.28(妊娠前)
0.19-0.25(妊娠)
0.34-0.39(授乳)
飲水(mg/kg/day相当)
0.34-0.35(妊娠前)
0.35-0.35(妊娠)
0.54-0.80(授乳)
文献
29
フタル酸ブチルベンジル
付表-6 反復投与毒性試験結果
動物種
投与方法
マウス
混餌
(B6C3F1 、
雌雄)
4-5 週齢
50 匹/群
投与期間
106 週間
投与量
結 果
0、6,000、12,000 ppm 6,000 ppm 以上で体重減少
(雄 0、1,029、2,058
LOAEL(雄)=1,029 mg/kg/day
mg/kg/day;
(雌)=1,037 mg/kg/day
雌 0 、 1,037 、 2,074
mg/kg/day 相当)
文献
NTP, 1982
ラット
(F344、雄)
12-15 週齢
10 匹/群
混餌
14 日間
ラット
(F344、
雌雄)
週齢記載
なし
5 匹/群
ラット
(F344、雌)
週齢記載
なし
5 匹/群
ラット
(Wistar、
雌雄)
4-6 週齢
27-45 匹/
群
混餌
21 日間
0、1.2、2.5%
混餌
1 カ月間
0、6,000、12,000、24,000 ペルオキシゾームの増生(パルミトイ
ppm
ル CoA 酸化酵素及びカルニチンアセ
(0、300、600、1,200 チル転移酵素量の増加)
mg/kg/day 相当)
NTP, 1997
混餌
3 カ月間
Hammond et
al., 1987
ラット
(SD、
雌雄)
4-6 週齢
10 匹/群
混餌
3 カ月間
ラット
(F344/N、
雄)
6 週齢 1115 匹/群
ラット
(F344、雌)
6 週齢
5 匹/群
ラット
(F344/N 、
雌雄)
混餌
26 週間
雄の 151 mg/kg/day 及び雌の 171
mg/kg/day 以上で肝臓相対重量の増
加
雄の 381 mg/kg/day 及び雌の 422
mg/kg/day 以上で腎臓相対重量の増
加、膵臓組織変化(島細胞拡大、空
胞化、うっ血、炎症、線維症)、尿
の pH の低下(雄のみ)
雄の 960 mg/kg/day 及び雌の 1,069
mg/kg/day 以上で肝臓壊死、貧血
LOAEL(雄)=151 mg/kg/day
(雌)= 171 mg/kg/day
0、2,500-20,000 ppm 雄の 750 mg/kg/day 以上で腎臓相対
(0、188、375、750、 重量の増加
1,125、1,500
雄の 1,125 mg/kg/day 以上で肝臓相
mg/kg/day 相当)
対重量の増加
雌の 750 mg/kg/day 以上で肝臓重量
の増加
LOAEL(雄)=750 mg/kg/day
(雌)= 750 mg/kg/day
0、300、900、2,800、 8,300 ppm で肝臓重量の増加
8,300、25,000 ppm
25,000 ppm で体重減少、腎臓の相対
(0、30、60、180、550、 重量の増加、大赤血球貧血の増加
1,650 mg/kg/day 相当)
LOAEL=550 mg/kg/day
混餌
52 週間
混餌
106 週間
0、0.625、1.25、2.5、
5.0%
(0、447、890、1,338、
1,542 mg/kg/day 相当)
Kluwe et al.,
0.625%以上で肝臓及び腎臓重量の
1984;
増加
Agarwal et al.,
2.5%以上で体重減少
1985
5%で多病巣性及び慢性肝炎、胸腺
の皮質性リンパ球増加症
LOAEL= 447 mg/kg/day
ペルオキシゾームの増生(パルミトイ Barber, 1987
ル CoA 酸化酵素、ラウリン酸 11-加水
分解酵素及びラウリン酸 12-加水分解
酵素の増加)
0、2,500-12,000 ppm
(雄 0、151、381、960
mg/kg/day;
雌 0、171、422、1,069
mg/kg/day 相当)
0 、 6,000 、 12,000 、
24,000 ppm
(0、300、600、1,200
mg/kg/day 相当)
雄 0、3,000、6,000、
12,000 ppm
雌 0、6,000、12,000、
Hammond et
al., 1987
NTP, 1997
ペルオキシゾームの増加(パルミト
イル CoA 酸化酵素及びカルニチン
アセチル転移酵素量の増加)
NTP, 1997
雄の 3,000 ppm 以上で腎臓重量の増
加
雌の 6,000 ppm 以上で腎症
NTP, 1997
30
フタル酸ブチルベンジル
動物種
6 週齢
60 匹/群
投与方法
投与期間
イヌ
(ビーグ
ル、雌雄)
成犬
3 匹/群
ラット
(SD、雌雄)
6-8 週齢
25 匹/群
混餌
3 カ月間
吸入
6 時間/日
13 週間
(5 日/週)
投与量
24,000 ppm
(雄 0、120、240、500
mg/kg/day;
雌 0、300、600、1,200
mg/kg/day 相当
結 果
雄の 12,000 ppm で肝臓重量の増加
雄の 12,000 ppm 及び雌の 24,000
ppm で体重の減少、尿細管色素沈
着、肝肉芽腫、脾臓過形成
LOAEL(雄)=120 mg/kg/day
(雌)=300 mg/kg/day
0、10,000-50,000 ppm 雄の 400、1,852 mg/kg/day 及び雌の
(雄 0、400、1,000、 1,270 mg/kg/day 以上で体重減少
1,852 mg/kg/day;
雌 0、700、1,270、1,973
mg/kg/day 相当)
0、50、218、789 mg/m3 789 mg/m3 で雌雄共に肝臓及び腎臓
(雄 0、9.2、39.4、143 重量の減少、血糖値の減少(雄のみ)
mg/kg/day;
雌 0、9.8、42、152
mg/kg/day 相当)
文献
Hammond et
al., 1987
Hammond et
al., 1987
31
フタル酸ブチルベンジル
付表-7 発がん試験結果
動物種
投与方法
マウス
混餌
(B6C3F1 、
雌雄)
5-6 週齢
50 匹/群
ラット
混餌
(F344/N 、
雌雄)
5 週齢
50 匹/群
投与期間
103 週間
ラット
混餌
(F344/N 、
雌雄)
6 週齢
60 匹/群
106 週間
103 週間
雄 は 29-30
週に屠殺
投与量
結 果
0、6,000、12,000 ppm 病理組織学的に変化なし
(雄 0、1,029、2,058
mg/kg/day;
雌 0 、 1,037 、 2,074
mg/kg/day 相当)
0、6,000、12,000 ppm 12,000 ppm の雌で単(核)球性白血
(雄 0、474、948
病(MNCL)の発生率の増加
mg/kg/day;
雌 0、550、1,100
mg/kg/day 相当)
雄 0、3,000、6,000、
12,000 ppm
雌 0、6,000、12,000、
24,000 ppm
(雄 0、120、240、500
mg/kg/day;
雌 0、300、600、1,200
mg/kg/day 相当)
雄の最高投与群で膵臓腺房細胞の
腫瘍と癌を合わせた 発生頻度の増
加(対照、3,000、6,000、12,000 ppm
群でそれぞれ 3/50、2/49、3/50 、
10/50)、膵臓腺房細胞病巣過形成の
発生頻度の増加(対照、3,000、6,000、
12,000 ppm 群でそれぞれ 4/50、0/49、
9/50、12/50)
文献
NTP, 1982;
CERHR, 2000
NTP, 1982;
CERHR, 2000
NTP, 1997
32
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