Comments
Description
Transcript
ZOOM UP 2 - 成田国際空港株式会社
ZOOM UP! 2 左/案内表示のデザインを統一した第2旅客ターミナル到着ロビー 右/スロープを下りる時には十分に後方を確認(ユニバーサルサービスセミナー) 案内表示見直しや社員研修もスタート 世界最高水準へUD化も 新たな段階に リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの記憶もまだ新しいところだが、 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も “もう間もなく” という段階に入ってきている。 そして、 その開催を契機としたさまざまなお客さまの増加が見込まれるなか、 “世界最高水準の空港” を目指す成田空港は、 「誰にでも分かりやすく使いやすい」 という観点でも、お客さま満足度をさらに高めていく。 成田空港は日本の空の玄関口として、早くから ことが多かった箇所のひとつ。ここでは、お客さま CS(Customer Satisfaction)向上とユニバーサ の実際の流れを再確認しながら新たな表示の検討 ルデザイン(以下、UD)化への取り組みを進めて を重ね、改修を進める。その後、第2旅客ターミナ きた。そして中期経営計画でも、 「お客さまにター ルビルの地下コンコース等、主要動線上の案内表 ミナルビル内を迷うことなく、スムーズに移動して 示を順次改修する予定。 いただくため、ターミナル内の案内表示について、 「長年の運用の中で、追加的に案内表示を配置 コンセプトの統一や分かりやすさを重視したデザイ した結果、ピクトグラムのデザインの混在や、表示 ン等の適正化を進めます」と謳い、今後の方向性 板自体も背景色が統一されていなかったりと、分 のひとつを示した。その具体策の第1弾が、第1旅 かりにくい点もあったと思います。今後は、社内で 客ターミナル地下コンコースでの案内表示の改修だ。 策定した案内表示のガイドラインに基づき、より見 サイン表示に優先順位をつけて やすく、分かりやすい案内表示へ改修していきます」 (CS 推進部営業企画推進室 主席 北嶋裕一氏) 。 表示の見直しにあたっては、サインに優先順位を 4 第1旅客ターミナルビルの JR と京成電鉄の改札 つけて整理していく。最も重要な出発、到着など を出たところに位置する地下コンコースは、 「北ウ についての案内表示は、天井吊下サイン(内照式) イング到着ロビー」 「北ウイング・南ウイング国際 にまとめながら、館内の見通しにも配慮する。また、 線出発ロビー」 「南ウイング到着ロビー」 「国内線」 レストラン・ショップやサービス施設などの案内は、 の4方向への分岐点だ。往来の多い主要動線のな 壁面サインにまとめることで、館内の美化も図るこ かでも、以前から「分かりにくい」と指摘を受ける とができないか検討する。 「場所によっては、第3 GREEN PORT REPORT October 2016 ●社内のガイドラインに基づく案内表示例 出発系 ●オリジナルピクトグラムの例 SIMカード 自動販売機 荷物はかり 証明写真 無料 電動カート パッキング エリア ペットホテル ●施設系での新たな取り組み デザイントイレ 主要動線上には 「デザイントイレ」 を導入 到着系 施設系 「和英2段の大きな文字で、見やすくわかりやす い」が表示デザインの基本 電動カート 電動カートで長 距離移動の負担 を軽減 ピクトグラムはJIS 記号に準拠するが、オリジナ ルのものも使用 旅客ターミナル内の案内サインのように天井や壁を ク・パラリンピックの開催を控えてのものだ。対象 活用した大きな表示も取り入れ、お客さまにとって となるのは、第1 〜第3旅客ターミナル内で NAA 分かりやすい表示を検討していきます」 (北嶋氏) 。 が管轄する全てのお客さま用トイレ計148カ所で、 壁紙を張り替える等内装を新たにするほか、最新 社員研修でUD化への視点培う の UD を導入する。具体的には、①トイレの場所 や男性用・女性用の区別を音声によってご案内す NAA は東京オリンピック・パラリンピックの開 る「音声案内装置」 、②火災など緊急事態の発生を 催に向け、お客さまに満足いただける空港を目指 光の点滅で知らせる「フラッシュライト」 、③お身 して施設改善やサービス向上に取り組んでいる。そ 体を支えやすい「L 型手すり」などを設置する。 の一環として8月から新たに「ユニバーサルサービス 特に、お客さまの主要な動線上にあって、ご利 セミナー」を開始し、NAA 全社員と NAA グルー 用の多いトイレについては、世界最先端のトイレ機 プ会社担当者の受講を義務付けた。既存の空港ス 器のほか、大きな手荷物を一緒に持ち込める広い タッフ向けプログラムと合わせ、グループ全体で ブース、利用しやすいパウダースペースを設けた「デ UD 化への視点を培う。 「全てのお客さまにより快 ザイントイレ」に一新する。世界から注目を集め世 適にお過ごしいただくためには、まずはユニバーサ 界に誇れる日本のトイレ文化を、海外に向けて積 ルサービスの理解を深めるとともに、成田空港の現 極的にアピールしようというもの。 「2015年4月に 状を知ることが必要と考えているからです」 (CS 推 設置した『GALLERY TOTO』は、今でもメディ 進部 CS 推進グループ副主幹 早勢映理子氏) 。 アからの取材依頼が途絶えないほど、日本のトイレ 約3時間のセミナーの前半は、ユニバーサルサー の技術と文化は注目されているのです」 (旅客ター ビスに関する全般的な講義。後半は実際に旅客ター ミナル部営業管理グループ 主席 秋山桂央氏) 。 ミナルビルで、アイマスクをして白杖で歩いたり、 リニューアル工事は総額50億円規模で、第2旅 疑似体験キットを用いて高齢者の動きを実体験す 客ターミナルビルを皮切りに今年冬ごろから順次行 るほか、車いすの扱いについても学ぶ。セミナーの い、2020年3月までに全てを完了させる予定。 狙いは、普段、空港をご利用になるお客さまに直接 電動カートサービスは、9月1日から本格的にス 接する機会が少ない社員にも、ユニバーサルサービ タート。3月からの試行運用を経て、運行エリアと スへの理解を深め、現在の施設やサービスを認識す サービス時間を拡大し本格運用を始めた。第1・第 るとともに、今後の改善点や新しいサービスについ 2旅客ターミナル制限エリアに計8台を配置し、 出発・ て、考えるヒントとなってほしいというもの。すで 到着動線のうち所定の300 〜 600mの距離を3 〜 9 に受講者からは、 「施設改修の際など、UDの目線 分程度で走行。乗客は一度に4人までで手荷物も も必要であることが分かった」などの声が聞かれた。 運べ、お身体が不自由なお客さまや高齢者、お子 さま連れのお客さまなどの移動をサポートする。運 ターミナル内の新たな取り組み 用時間は到着コンコースが6時30分〜 19時、出発 コンコースは9時〜 19時。利用はカート乗務員に直 このほか、新たな取り組みとして、お客さま用ト 接声を掛けるか、出発コンコースの各案内カウン イレを全面リニューアルし、UD 化を実施するほか、 ターでも、申し込みを受け付けている。 館内でお客さまの移動をサポートする電動カートの 成田空港を利用されるお客さまがますます多彩 本格運用も開始した。 になるなか、NAA は円滑そして快適に過ごせる空 このトイレに関する取り組みも、東京オリンピッ 港づくりへの取り組みを重ねている。 October 2016 GREEN PORT REPORT 5