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奈良市住生活基本計画
(案)
~古都奈良の魅力と地域の個性を活かした『奈良スタイル』の創造~
平成○○年○月
奈
良
市
目
次
第1章 計画の目的と位置づけ ...................................... 1
1 計画策定の背景と目的 ................................................1
2 計画の位置づけ ......................................................1
3 計画期間 ............................................................2
4 近年の住宅政策関連の動向 ............................................3
第2章 奈良市の住宅事情 .......................................... 6
1 人口・世帯の状況 ....................................................6
2 既存住宅の状況 ..................................................... 10
3 新設住宅の状況 ..................................................... 16
第3章 住まいに関する市民意識 .................................... 17
1 住まいや住環境の満足度について ..................................... 18
2 定住意向について ................................................... 20
3 高齢者向けの住宅改修等について ..................................... 22
4 耐震診断・耐震改修の状況について ................................... 24
5 省エネルギー設備等の設置状況について ............................... 26
6 今後求められる住宅施策について ..................................... 27
第4章 奈良市の住宅事情から見た課題 .............................. 28
1 定住化の促進 ....................................................... 28
2 防災・減災等の推進による安全の確保 ................................. 28
3 重層的な住宅セーフティネットによる安心の確保........................ 29
4 景観や環境への配慮 ................................................. 29
第5章 住まい・まちづくり政策の基本理念と基本目標 ................ 30
1 基本的な考え方 ..................................................... 30
2 住まい・まちづくり政策の基本理念 .................................... 32
3 住まい・まちづくり政策の基本目標 .................................... 33
第6章 施策の展開方向 ............................................ 36
1 住み続けたくなる、魅力と活力ある住まい・まちづくりに向けて .......... 36
2 次代につなぐ、良質で安全な住まい・まちづくりに向けて................ 43
3 誰もが安心して暮らせる住まい・まちづくりに向けて.................... 48
4 地域別のマネジメントの方向性 ....................................... 52
第7章 施策の推進に向けて ........................................ 55
1 市民や民間事業者等との連携・協働 ................................... 55
2 庁内推進体制の構築と適切な進捗管理 ................................. 55
3 国・県・その他関係機関等との連携 ................................... 55
第1章
計画の目的と位置づけ
1 計画策定の背景と目的
奈良市は、世界に誇る多くの歴史文化遺産と豊かな自然環境に恵まれています。その伝統と新し
い文化の調和を図りながら住宅政策を推進するため、本市では平成9年3月に「奈良市住宅マスタ
ープラン」を策定し、地域の活性化や住みよいまちづくりの実現に向け、各種施策に取り組んでき
ました。
この間、平成18年6月には「住生活基本法」が制定され、従来の右肩あがりの社会経済を背景と
した「量の確保」を主眼とする住宅政策から、将来世代へ良質なストックを承継していく「質の向
上」を主眼とした住宅政策へと、大きな転換が図られるべきであることが示されました。
また、人口減少や少子高齢化の進行、安全や環境に対する市民意識の高まり、市街地での住宅地
の空洞化、自治体の厳しい財政事情など、住まいやまちをとりまく情勢は大きく変化してきており、
この変化に対応した新たな指針が必要となってきております。
そこで、今後10年間の新たな住まい・まちづくり政策の展開に向け、本市総合計画等との整合を
図りつつ、基本理念や基本目標等について検討し、良質な住宅ストックと良好な住環境の形成を図
り、奈良らしい住みよいまちづくりを推進していくことを目的として、新たに「奈良市住生活基本
計画」を策定します。
2 計画の位置づけ
本計画は、上位計画である「奈良市第4次総合計画」に基づき本市における住まい・まちづくり
政策の基本理念や基本目標を明らかにするとともに、都市計画マスタープラン等の関連計画と連携
を図りつつ、住生活基本法に基づく国や奈良県の住生活基本計画と整合を図るものです(図1-1)。
図1-1 計画の位置づけ
住生活基本法
(H18 年 6 月制定)
住生活基本計画(全国計画)
(H23 年 3 月策定)
奈良市第4次総合計画
奈良県住生活基本計画
(H24 年 2 月策定)
(H24 年 3 月策定)
・奈良市都市計画マスタープラン
・奈良市景観計画
・奈良市耐震改修促進計画
等
(連携)
1
奈良市
住生活基本計画
3 計画期間
本計画の期間は、平成26年度から平成35年度までの10年間とします。
ただし、社会・経済状況の変化や、国・県の住まい・まちづくり政策の動向等を踏まえ、必要に
応じて見直し等を行います。
4 近年の住宅政策関連の動向
近年の住宅政策関連の動向として、平成18年6月に「住生活基本法」が制定され、将来世代へ良
質なストックを承継していく「質の向上」を主眼とした住宅政策に転換が図られました。その後、
ストックの活用や景観、地球環境問題などの潮流に対応して、住まい・まちづくりに関する法整備
(法改正)が進められています(表1-1)
。
法の制定に伴い平成18年9月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」は、平成23年3
月に「サービス提供等のソフト面の充実による住生活の向上」「住宅ストックの管理・再生対策の
推進」
「既存住宅流通・リフォーム市場の整備の推進」等の視点から改訂されており、県において
も計画の見直しが行われています(表1-2)。
本市においても、国や県の動向を踏まえながら、奈良市第4次総合計画や都市計画マスタープラ
ン、景観計画等を策定し、各種住まい・まちづくり政策に取り組んでいます(表1-3)
。
2
表1-1 住まい・まちづくりに関する主な法の制定等
住生活基本法
国民に安全かつ安心な住宅を十分に供給することを目的とした住宅政策
H18.6公布(H23.8最終改正)
の指針となる法律。国民の住生活の「質」の向上にむけ、
「基本理念」
「国・
地方公共団体・住宅関連事業者・居住者など関係者の責務」「住生活基本
計画の策定」等が位置づけられている。
建築物の耐震改修の促進に関
地震時の建築物の倒壊等から国民の生命、身体及び財産を保護するため、
する法律
国による基本方針策定や地方公共団体による計画的な耐震化の推進、所有
H7.10公布(H25.5最終改正)
者等に対する指導等の強化、支援制度の充実等が位置付けられている。
住宅の品質確保の促進等に関
「新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例」
「住宅性能表示制度」
「住宅専門
する法律
の紛争処理体制」の3本柱により、良質な住宅を安心して取得できる住宅
H11.6公布(H23.6最終改正)
市場をサポートすることを目的とする。
マンションの管理の適正化の
管理組合を適正に運営するため、マンション管理士の資格を定め、管理業
推進に関する法律
者の登録制度を実施する等、マンション管理の質の担保を図り、マンショ
H12.12公布(H23.6最終改正) ンにおける良好な居住環境の確保を図ることを目的とする。
高齢者の居住の安定確保に関
高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスの提供を受けること
する法律(高齢者居住法)
ができる良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅等の登録制度を
H13.4公布(H23.6最終改正)
設けるとともに、良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅の供給の
促進等により、高齢者の居住の安定の確保を図ることを目的とする。
マンションの建替えの円滑化
今後の老朽化マンションの増加に対応して、区分所有者による良好な居住
等に関する法律
環境を備えたマンションへの円滑な建替えを図るため、マンション建替組
H14.6公布(H23.12最終改正) 合の設立や権利変換手法による関係権利の移行により、マンションにおけ
る良好な居住環境の確保を図ることを目的とする。
景観法
景観を整備・保全するための基本理念とともに、住民、事業者、行政の責
H16.6公布(H23.12最終改正) 務が示されている。地域の固有の特性に合わせた良好な景観を、現在及び
将来における国民共通の資産として形成していくため、計画に法的な強制
力を持たせるとともに、行為規制や支援の仕組みも定めている。
住宅確保要配慮者に対する賃
低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを育成する家庭その他住
貸住宅の供給の促進に関する
宅の確保に特に配慮を要する者に対し、国民生活の安定向上と社会福祉の
法律(住宅セーフティネット法)
増進を図るため、基本的事項として公的賃貸住宅の整備・管理や民間賃貸
H19.7公布(H23.4最終改正)
住宅への円滑な入居の促進が位置づけられている。
長期優良住宅の普及の促進に
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅(長期優
関する法律
良住宅)の普及を促進することで、環境負荷の低減を図りつつ、良質な住
H20.12公布(H23.4最終改正) 宅ストックを将来世代に継承することで、より豊かでやさしい暮らしへの
転換を図ることを目的とする。
公共建築物等における木材の
木材の適切な供給及び利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展
利用の促進に関する法律
を図り、もって森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与するた
H22.5公布
め、公共建築物等における木材の利用の促進に関する事項を定めている。
都市の低炭素化の促進に関す
社会経済活動等に伴い発生する二酸化炭素の相当部分が都市で発生して
る法律
いるため、都市の低炭素化を図るために制定された。「低炭素建築物新築
H24.9公布(H25.5最終改正)
等計画」の認定制度では、容積率緩和や税制優遇を受けることができる。
3
表1-2 国・県による住生活基本計画の概要
住生活
住生活基本法制定を受け、法に掲げられた基本理念や基本的施策を具体化し、それを推進し
基本計画
ていくための基本的な計画。
(全国計画)
目標 1 安全・安心で豊かな住生活を支える生活環境の構築
国土交通省
①住生活の安全を確保する住宅及び居住環境の整備
H18.9閣議決定
②住生活の安心を支えるサービスが提供される環境の整備
H23.3閣議決定
③低炭素社会に向けた住まいと住まい方の提案
④移動・利用の円滑化と美しい街並み・景観の形成
2
住宅の適正な管理及び再生
3
多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備
①既存住宅が円滑に活用される市場の整備
②将来にわたり活用される良質なストックの形成
③多様な居住ニーズに応じた住宅の確保の促進と需給の不適合の解消
4
住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保
奈良県
基本理念として“県民が主役
住生活
を掲げ、5つの基本目標を設定している
基本計画
基本目標
魅力ある風土と豊かな暮らしを育む「住まいの奈良」の実現”
1
いきいきした地域社会を次世代に伝える -活力あるコミュニティの形成-
H19.3策定
2
安心で快適なまちづくりを進める -愛着のもてるまちづくりの推進-
H24.3改定
3
質の高い住空間で安心・快適に住まう -良質な住まいの形成-
4
誰もが安心して住まう -安定した暮らしを守る住まいの形成-
5
ニーズに合った住まい・暮らし方を選ぶ -住まい・まちづくりを支える市
場や産業の環境整備-
公営住宅の供給目標量(H23~32年)
重点供給地域(抜粋)
奈良市
(仮称)
90ha ・開発許可による宅地開発事業(都市計画法)
生駒市
登美ヶ丘
・地区計画等(都市計画法)
第11次住宅地
・土地区画整理事業(土地区画整理法)
・住宅市街地基盤整備事業(住宅市街地基盤整
備事業制度要綱)
奈良市
近鉄西大寺駅南地区
30ha ・土地区画整理事業(土地区画整理法)
JR奈良駅南地区
10ha ・土地区画整理事業(土地区画整理法)
鶴舞・学園前団地
21ha ・市街地の整備改善(都市再生機構法)
4
表1-3 奈良市における上位・関連計画の概要(住まい・まちづくり関連部分の抜粋)
奈良市
<基本構想>
第4次
都市の将来像
市民が育む世界の古都奈良~豊かな自然と活力あふれるまち~
総合計画
基 本 方 向
1
時を超えた歴史と自然を守り、活かし、伝えるまち
2
観光をはじめとするビジネスモデルの創造による活気あふれるまち
3
歴史と未来、都市と田園が共生する持続可能なまち
4
いつまでも子や孫が笑顔で暮らせるまち
5
世代を超えて市民が力を出し合い、つながりを育むまち
6
市民と行政が協働する健全な財政によるまち
H24.2策定
目 標 人 口
現況(平成22年)368,296人
→
目標(平成32年)350,000人
<基本計画>
居住環境の整備促進・施策の目標
・ゆとりをもって住み続けられる安全で快適な居住環境を創出するとともに、全ての人が安心して生
活できる住まいづくりを促進する。
・奈良市営住宅ストック総合活用計画に基づき、ゆとりと豊かさを実感できる居住水準を備えた市営
住宅の整備を図るなど、地域特性に応じた住宅施策を計画的に推進する。
奈良市
<都市計画のコンセプト>
-保存と開発の調和を基本に、全市にわたって、
国際文化観光都市・奈良にふさわしいまちづくりを展開する-
都市計画
マスター
新平城京の創造
3つのサブコンセプト
取り組み
プラン
歴史都市らしい水と緑の都市
歴史が息づく緑のランドスケープ/水辺の復権/
H14.12策定
空間をつくる“園林都市”
防災機能を持つオープンスペース/歴史的環境・地球環境への配慮
新しい都市活動・産業基盤を
歴史・文化を生かした都市活動・産業基盤の形成/
つくる“歴史文化創造都市”
都市リゾート空間の創出/交通・情報基盤の整備
豊かな住と余暇空間をつくる
地域にふさわしい優れた居住環境/人にやさしいまち/
“生活うるおい都市”
利便性の高い日常生活/地域の核づくり/災害に強いまち
奈良市
<景観づくりの目標>
「豊かな緑のなかに歴史と暮らしが交わるまち
~歴史にまなび
景観計画
H22.4施行
景観地域
山地景観地域
田園景観地域
市街地景観地
域
歴史景観地域
奈良市
景観区域
文化になじみ
奈良」
人々がなごむ
景観づくり~
景観づくりの基本方針
大和青垣
古都奈良の歴史的な風土を感じる、緑豊かな自然的景観の形成
自然
人々が集い、自然に触れ合える、地域性豊かな自然景観の形成
平地の里
開けた眺望と歴史的風土を感じる、広がりのある里景観の形成
山間の里
歴史・文化・自然と調和した、のどかな山間集落景観の形成
都心
古都奈良の歴史的風土と調和した、賑わいと活力のある景観の形成
市街地
歴史的・文化的背景を活かした、歴史的風致を感じられる生活景観の形成
西北部住宅地
自然環境を活かした、潤いと安らぎのある住みよい生活環境の形成
歴史拠点
世界に誇る古都奈良の歴史的・文化的資産を活かした景観の形成
歴史的な風土
歴史的・文化的資産と一体となり、歴史的風土を感じる景観の形成
災害に強い、安全・安心なまちづくりの推進に向けて、日常最も滞在時間の長い住宅、不特定多数の
耐震改修
人が利用する特定建築物及び防災拠点となる公共建築物等で、旧耐震基準で建築された既存建築物のう
促進計画
ち耐震化されていない建築物について、地震に対する安全性の向上を計画的に促進する。
H21.6修正
耐震化の目標
住
宅
約75%(平成19年推計)→90%(平成27年度目標)
特定建築物
約77%(平成21年推計)→90%(平成27年度目標)
公共建築物
約57%(平成21年5月1日)→90%以上(平成27年度目標)
5
※市有特定建築物
第2章
奈良市の住宅事情
1 人口・世帯の状況
(1) 人口・世帯数の推移
表2-1
人口・世帯数の推移
平成22年の国勢調査によると、
(単位:人,世帯)
人口
奈良市の人口は366,591人となっ
奈良市
ています。また、世帯数は147,247
世帯数
奈良県
全国
奈良市
平成7年
368,039
1,430,862 125,570,246
123,718
世帯で、増加傾向が続いています。
平成12年
374,944
1,442,795 126,925,843
133,142
そのため世帯人員は減少傾向にあ
平成17年
370,102
1,421,310 127,767,994
140,157
り、平成22年には2.49人/世帯と
平成22年
366,591
1,400,728 128,057,352
147,247
資料:国勢調査
なっています(表2-1)
。
図2-1
平成7年を100とした指数で比
人口の推移(指数)
105.0
奈良市
奈良県
全国
較すると、全国では平成22年まで
102.0
増加傾向が続いていますが、奈良
100.0
市及び奈良県では平成12年以降は
99.6
97.9
減少に転じています。また、奈良
市では、平成22年に平成7年の水
95.0
平成7年
準を割り込んでいます(図2-1)
。
平成12年
平成17年
※H7を100とした場合の人口の伸び
平成22年
資料:国勢調査
平成11年以降の人口の推移について、各年別に住民基本台帳人口及び外国人登録人口(各年4
月1日時点)でみると、平成13年の367,745人をピークに奈良市の人口は減少に転じています。
その後、平成17年には一時的に増加していますが、これは都祁村、月ヶ瀬村との合併によるも
のであり、合併以降も減少傾向が続いています(図2-2)
。
図2-2
近年の人口の推移
400,000
都祁村、月ヶ瀬村合併(平成17年4月1日)
(人)
380,000
373,574
367,745
364,836
360,000
340,000
320,000
300,000
平成
11年
12
年
13
年
14
年
15
年
16
年
17
年
18
年
19
年
20
年
21
年
22
年
23
年
24
年
25
年
資料:住民基本台帳人口、外国人登録(各年4月1日)
6
地域別に人口及び世帯数の推移をみると、世帯数はほとんどの地域で増加傾向にありますが、
人口は西北部①地域、西北部②地域を除いて減少傾向にあり、特に東部地域、月ヶ瀬地域、都祁
地域といった山あいの地域で人口の減少の割合が大きくなっています(図2-3~図2-6)
。
図2-3
地域別人口の推移
図2-6
地域別人口の推移(指数)
(平成10年を100とした指数)
(万人)
12.5
110
平成10年
10.0
平成15年
平成20年
7.5
105.3
105
平成25年
5.0
2.5
100.5
100
99.1
98.9
0.0
東
部
中央
市街地
南
中 西北部 西北部 西北部 月ヶ
部
部
①
②
③
瀬
資料:住民基本台帳人口(各年4月1日)
都
祁
95
94.0
図2-4
地域別世帯数の推移
93.0
(万世帯)
5
90.9
90
平成10年
4
平成15年
86.5
平成20年
3
85
平成25年
東部
2
中央市街地
81.8
南部
1
80
中部
0
西北部①
東
部
中央
市街地
南
中 西北部 西北部 西北部 月ヶ
部
部
①
②
③
瀬
資料:住民基本台帳人口(各年4月1日)
都
祁
西北部②
西北部③
75
月ヶ瀬
73.9
都祁
図2-5
地域別1世帯当たり人員の推移
市全体
(人/世帯)
4.00
3.50
3.20
3.00
2.90
2.57
2.47
2.47
2.44
2.34
2.29
2.26
2.17
2.50
東部
中央市街地
南部
中部
西北部①
西北部②
西北部③
月ヶ瀬
都祁
市全体
70
平成
10年
平成
平成
平成
15年
20年
25年
資料:住民基本台帳人口(各年4月1日)
7西北部ゾーン③
1
東部ゾーン
5西北部
ゾーン②
6西北部
ゾーン①
2
中央市街地
ゾーン
3南部ゾーン
4中部
ゾーン
2.00
平成
10年
平成
15年
平成
20年
平成
25年
地域区分は本市都市計画マスター
プランにおける地域区分に準じて
設定し、集計しています
資料:住民基本台帳人口(各年4月1日)
7
9都祁
ゾーン
8月ヶ瀬
ゾーン
(2) 年齢別人口構成の推移
奈良市の年齢3区分別の人口比率の推移をみると、65歳以上が増加し、0~14歳、15~64歳は
減少傾向にあります(図2-7)
。
高齢化率(65歳以上の人口比率)は、平成22年には23.7%となっており、平成2年からの20年
間で13.4ポイント増加しています。平成22年の高齢化率は、奈良県(24.0%)よりやや低いもの
の全国平均(23.0%)を上回っています。
図2-7
年齢別人口構成の推移
0%
20%
平成 2年
40%
60%
18.9%
平成 7年
80%
100%
70.8%
16.1%
10.3%
71.1%
12.8%
平成12年
14.4%
69.6%
15.8%
平成17年
13.5%
平成22年
12.7%
63.6%
23.7%
奈良県(H22年)
13.2%
62.8%
24.0%
全国(H22年)
13.2%
63.8%
23.0%
67.1%
0~14歳
19.4%
15~64歳
a
65歳以上
資料:国勢調査
(3) 世帯の家族類型
平成17年からの5年間の家族類型の推移をみると、単独世帯での増加が顕著であり、25.2%か
ら28.4%へと3.2ポイント上昇しています。また、夫婦のみ世帯や父親または母親と子ども世帯
も増加しており、世帯の小規模化の傾向がうかがえます(図2-8)
。
一方、夫婦と子どもの世帯は34.2%から31.0%へと3.2ポイント低下しています。
図2-8
家族類型別世帯数の構成比
0%
平成17年
平成22年
10%
20%
30%
25.2%
40%
21.8%
28.4%
単独
世帯
50%
夫婦と
子ども
70%
34.2%
22.6%
夫婦
のみ
60%
31.0%
父親または
母親と子ども
その他の
家族世帯
80%
90%
100%
8.6%
9.9% 0.4%
9.3%
非親族
世帯
8.0% 0.6%
.
資料:国勢調査
8
(4) 人口動態
平成22年の人口動態をみると、自然動態では出生2,858人に対し死亡3,124人、社会動態では転
入12,451人に対し転出12,542人と、自然動態、社会動態ともに減少しています(図2-9)
。
平成18年からの推移をみると、社会動態では転入、転出ともに減少傾向にはあるものの、転入
の減少具合が転出に比べて緩やかなことから、社会動態による人口減少は縮小しています。
図2-9
人口動態の推移
7,000
16,000
(人)
自
然
動
態
(
出
生
・
死
亡
)
(人)
社会動態
6,000
14,000
5,000
12,000
4,000
10,000
社
会
動
態
(
転
入
・
転
出
)
自然動態
3,000
8,000
2,000
6,000
平成
18年
平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
※平成23年は概数
出生
表2-2
死亡
転入
転出
人口動態の推移
自然動態
出生
社会動態
死亡
増減
転入
転出
増減
平成18年
2,845
2,854
△9
13,229
14,704
△ 1,475
平成19年
2,875
2,913
△ 38
13,137
14,348
△ 1,211
平成20年
2,727
3,033
△ 306
12,600
13,541
△ 941
平成21年
2,773
2,992
△ 219
12,710
13,363
△ 653
平成22年
2,858
3,124
△ 266
12,451
12,542
△ 91
平成23年
2,691
3,325
△ 634
12,203
12,622
△ 419
※平成23年は概数
9
2 既存住宅の状況
(1) 総住宅数
平成20年住宅・土地統計調査によると、奈良市の総住宅数は163,460戸となっており、総世帯
数140,480世帯を上回り、1世帯当たりの住宅数は1.16戸となっています(表2-2)。
この値は、県平均(1.17戸)や全国平均(1.15戸)とほぼ同程度となっています。
表2-3
総住宅数と総世帯数
総住宅数
(戸)
総世帯数
(世帯)
世帯人員
(人)
1世帯当たり
の住宅数(戸)
奈良市
163,460
140,480
362,010
1.16
奈良県
592,600
504,900
1,379,700
1.17
49,894,500 125,264,400
1.15
全国
57,586,000
資料:平成20年住宅・土地統計調査
(2) 空き家数・空き家率
平成15年住宅・土地統計調査によると、市内の空き家の総数は約1.9万戸であり、平成20年の
空き家総数は約2.3万戸で、空き家率は14.0%となっています(表2-3)
。
空き家のうち賃貸用の住宅が45.1%、売却用の住宅が8.1%となっており、入居可能な住宅は
合計の53.2%となっています。
表2-3
住宅の建て方別、空き家数
総 数
空き家総数
一戸建
総 数
木 造
長屋建・共同住宅・その他
非木造
総 数
木 造
非木造
22,850
7,250
6,770
480
15,590
3,530
12,060
1,040
640
640
0
410
90
310
賃貸用の住宅
10,300
550
490
60
9,750
2,160
7,590
売却用の住宅
1,840
510
450
70
1,330
0
1,330
その他の住宅
9,660
5,550
5,200
350
4,100
1,280
2,830
二次的住宅
資料:平成20年住宅・土地統計調査
10
(3) 所有関係
居住世帯のある住宅(139,540戸)のうち、持ち家の割合をみると66.2%となっており、県平
均(72.6%)は下回るものの、全国平均(61.1%)と比べて高い割合となっています(図2-10)
。
借家の特徴として、奈良市では都市再生機構・公社の借家の割合が6.3%と、県平均(2.6%)
、
全国平均(1.9%)などと比べて高くなっています。
図2-10
所有関係
0%
10%
20%
30%
奈良市
40%
50%
60%
70%
66.2%
奈良県
持ち家
都市再生機構
・公社の借家
26.9%
民営
借家
100%
1.9%
17.8%
2.6%
1.9%
4.2%
公営の
借家
20.4%
3.1%
61.1%
90%
6.3%
2.7%
72.6%
全国
80%
1.6%
2.8%
.
給与
住宅
資料:平成20年住宅・土地統計調査
(4) 建築時期
居住世帯のある住宅(139,540戸)のうち、昭和55年以前(おおむね新耐震基準移行前)の住
宅が34.1%と、ほぼ3分の1を占めています。一方、比較的最近のものとして、平成13年以後に
建てられた住宅は全体の15.1%となっています(表2-4)
。
住宅の種類別に昭和55年以前の住宅の割合をみると、民営借家(非木造)では10.1%にとどま
るのに対し、公営の借家では73.1%、都市再生機構・公社の借家では77.0%に及んでいます。
表2-4
建築時期
総 数
昭和
35年
以前
昭和
36年~
45年
昭和
46年~
55年
昭和
56年~
平成2年
平成
3年~
7年
平成
8年~
12年
平成
13年~
17年
平成
18年~
20年9月
住宅総数
139,540
5,400
14,020
28,130
30,760
12,490
16,200
14,230
6,870
持ち家
92,430
4,390
6,520
20,920
23,410
7,850
11,350
10,060
4,800
借家
43,720
1,010
7,500
7,220
7,350
4,630
4,850
4,180
2,070
公営の借家
3,830
80
920
1,800
0
0
20
890
0
機構・公社の借家
8,790
0
5,290
1,480
1,280
290
0
450
0
民営借家(木造)
8,880
880
900
1,500
980
700
750
710
110
19,590
0
320
1,670
4,730
3,300
3,250
2,030
1,900
2,630
50
70
760
350
330
830
100
50
民営借家(非木造)
給与住宅
資料:平成20年住宅・土地統計調査
11
(5) 住宅の規模
住宅の規模をみると、1住宅当たりの延べ面積は98.73㎡となっており、県平均(111.10㎡)
は下回るものの、全国平均(94.13㎡)は上回っています(図2-11)。
所有関係別にみると、持ち家の119.79㎡に対し、借家は54.21㎡となっており、所有関係別の
較差がみられます。
図2-11
住宅の規模
150.0
130.89
119.79
(㎡)
122.63
111.10
98.73
94.13
100.0
54.21
53.74
45.49
50.0
0.0
総数
持ち家
借家
総数
持ち家
借家
総数
持ち家
借家
資料:平成20年住宅・土地統計調査
(6) 住宅の接道状況
幅員4m以上の道路に接していない敷地が31.2%となっています(図2-12)
。
図2-12
住宅の接道状況
0%
奈良市
奈良県
10%
1.2%
30%
40%
50%
26.0%
4.0%
1.8%
全国
20%
2.4%
80%
道路に接していない
2~4m
100%
6.3%
19.2%
35.3%
2m未満
90%
21.7%
38.0%
26.6%
4.6%
70%
40.8%
31.3%
5.6%
60%
22.4%
4~6m
6~10m
10m以上
4.1%
8.7%
.
資料:平成20年住宅・土地統計調査
(7) 借家の家賃
奈良市の借家の家賃は54,146円/月で、県平均よりも約6,000円高くなっています(表2-5)。
表2-5
借家の1ヶ月当たりの家賃
1ヶ月当たりの家賃(円)
指数 (全国=100)
奈良市
54,146
99
奈良県
47,956
88
全国
54,500
100
※家賃50円未満を含まない
資料:平成20年住宅・土地統計調査
12
(8) 居住面積水準
奈良市の主世帯総数139,540世帯に対し、最低居住面積水準未満の世帯は4.0%(約5,600世帯)
となっています(図2-13)
。この割合は全国平均(6.7%)より低いものの、県平均(3.7%)よ
り高くなっています。
住宅の所有関係別にみると、公営借家で13.3%、民営借家(非木造)で16.5%、給与住宅で21.3%
の世帯が最低居住面積水準未満となっています。
※最低居住面積水準:世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活を営むための必要不可欠な住宅面積に関する水準
※誘導居住面積水準:世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現にむけ多様なライフスタイルに対応するために必要と
考えられる住宅の面積に関する水準
図2-13
居住面積水準
0%
主世帯総数
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
34.3%
4.0%
80%
90%
100%
59.2%
2.4%
(住宅の所有の関係)
持ち家
0.1%
28.0%
71.9%
借家
12.5%
50.5%
37.0%
公営の借家
13.3%
48.8%
38.1%
機構・公社の借家
民営借家(木造)
4.9%
50.3%
44.8%
8.6%
民営借家(非木造)
57.2%
16.5%
給与住宅
34.2%
49.9%
21.3%
33.6%
34.2%
44.5%
(住宅の建て方)
一戸建 0.2%
28.0%
長屋建
共同住宅
70.7%
10.8%
1.0%
55.8%
8.4%
24.4%
40.8%
9.0%
47.1%
3.7%
(世帯の型)
30歳未満の単身
66.4%
30~64歳の単身
10.8%
18.1%
65歳以上の単身 2.9%
15.4%
夫婦のみ 0.9%
19.0%
70.8%
4.9%
夫婦と18~24歳の者
5.4%
0.3%
81.3%
0.4%
79.5%
夫婦と5歳未満の者 1.1%
夫婦と6~17歳の者
33.6%
0.5%
60.9%
38.2%
31.4%
68.6%
55.8%
38.8%
(家計を支える者の年齢)
25歳未満 2.7%
25~34歳
35~44歳
81.5%
4.7%
44.2%
6.6%
0.1%
48.6%
30.4%
0.3%
66.9%
20.7%
最低居住面積
水準未満
0.9%
47.1%
47.4%
2.6%
65歳以上 1.5%
50.2%
46.2%
45~54歳 3.7%
55~64歳
16.1%
77.6%
最低居住面積水準以上
誘導居住面積水準未満
誘導居住面積
水準以上
0.2%
不
詳
.
資料:平成20年住宅・土地統計調査
13
(9)市営住宅の状況
本市の市営住宅は、下表に示す26団地、管理戸数2,343戸(公営住宅:20団地1,494戸、改良住
宅:4団地629戸、コミュニティ住宅2団地220戸)で、各団地の位置は次ページの図のとおりで
す(表2-6、図2-14)
。
表2-6
区
分
№
市営住宅の一覧(平成25年12月1日現在)
団地名
2 第 2号市営住宅
公
営
住
宅
位置等
建設
年度
竣工
年度
構造
階
間取り
東之阪
H05~H12
H07~H13
耐火
3~5
162
4
18
32
42
3 第 3号市営住宅
3 第 3号市営住宅
東垣内
桜町
S25
H12
S25
H14
木造
耐火
1
3
3LDK
1LDK
2K
3LDK
4 第 4号市営住宅
般若寺
H05~H08
H07~H10
耐火
3~4
2LDK
5 第 5号市営住宅
大安寺
H01
H03
耐火
6
6 第 6号市営住宅
7 第 7号市営住宅
法華寺
三碓
S28
S28~S29
S29
S29~S30
木造
木造
1
1
9 第 9号市営住宅
紀寺
H13~H15
H15~H17
耐火
5
10 第10号市営住宅
古市
10 第10号市営住宅
11 第11号市営住宅
出屋敷
杏
12 第12号市営住宅
横井
13 第13号市営住宅
八条
14 第14号市営住宅
18 第18号市営住宅
19 第19号市営住宅
南紀寺
五条山
梅園
20 第20号市営住宅
松陽台
S48~S52
S50~S53
準耐
2
H04~H22
S44
S49~S55
H03~H23
S49
H04~H22
S52~S55
H09~H10
H05
S46~S48
S52
H09
S53~S62
H05~H23
S45
S51~S56
H04~H24
S51
H05~H22
S53~S56
H10~H11
H07
S47~S50
S53
H11
S55~H01
耐火
準耐
準耐
耐火
準耐
耐火
準耐
耐火
耐火
耐火
準耐
耐火
耐火
2
1
2
2
2
2
2
2
3
5
2
4
5
21 第21号市営住宅
22 第22号市営住宅
23 第23号市営住宅
西之阪
第二並松
第二針
S60
S41~S42
S43~S44
S61
S41~S43
S44~S45
耐火
準耐
準耐
6
1
1
30 西之阪改良住宅
西之阪
S46~S51
S47~S54
耐火
3~9
S53~H13
S63~H13
準耐
1
(店舗・作業所含む)
改
良
住
宅
40 横井改良住宅
(店舗含む)
横井
S50~H03
S51~H04
準耐
2
45 古市改良住宅
60 畑中改良住宅
古市
船橋
S62~H13
H12
S62~H14
H14
準耐
耐火
1
2
4
三条本
H01
H04
耐火
14
50 第1号コミュニティ住宅
コ
ミ
ュ
ニ
テ
ィ
住
宅
55 第2号コミュニティ住宅
梅園
H03~H07
H04~H08
耐火
14
4
戸数
(戸)
3LDK
2LDK
3LDK
2K
2K
2UK
1LDK
2LDK
3LDK
2DKSH
3K
3DK
3LDK
2UK
3DK
3LDK
3DK
3LDK
3DK
3DK
3LDK
2UK
3DK
3LDK
2DK
3DK
3DK
2UK
2UK
54
14
46
14
12
5
2
30
37
27
15
46
153
12
20
78
30
78
16
14
35
166
10
16
14
156
60
36
40
戸数 計
3DK
200
店・作
12
店・作
8
店舗
3
4DK
221
4DK+店
10
店舗
1
4DK
144
3LDK
30
戸数 計
2DK
40
3DKF
64
3DKM
76
2K
3DK
3LDK
8
12
20
戸数 計
戸数 合計
戸数
小計
166
18
32
専用面積
(㎡)
74.8
39.3
23.1
74.9
64.2~72.0
96
60
14
17
96
214
12
98
108
30
35
166
26
170
60
36
40
1,494
223
232
144
30
629
74.6
64.5
71.3
34.7
28.1
33.9
41.6
60.1~60.7
70.1
55.3
42.7
55.5~58.9
74.6~75.0
31.5
55.5~58.9
74.9~75.1
55.5
74.7~75.0
58.9
74.9
74.8
37.6~42.3
58.9
74.8
50.6~53.0
60.1~67.4
55.4
31.5
31.5
65.4
40
220
2,343
高齢(6戸),身障(6戸),
母子(8戸),多子(1戸)
高齢(2戸),身障(2戸)
多子(1戸)
身障(2戸),母子(2戸)
多子(1戸)
SH:シルバーハウジング
U:ユーティリティ
高齢(8戸)
47.3~51.2
23.7
22.0~23.7
28.0
80.0
120.0
55.0
81.0~83.7
77.9
53.9
180
備 考
74.7
46.4
66.2
74.7
母子(3戸)
母子(1戸)
母子(3戸),多子(2戸)
M:メゾネット
図2-14
市営住宅位置図
15
3 新設住宅の状況
(1) 新設住宅着工戸数の推移
新設住宅の着工戸数をみると、平成12年から平成20年までは平成18年を除くと概ね2,500戸ほ
どで推移していましたが、平成18年をピークに近年は減少傾向にあり、平成22年は約1,600戸と
なっています。特に分譲住宅での減少が大きく、ピーク時の3割以下となっています(図2-15)。
図2-15
利用関係別、新設住宅着工戸数の推移
0
500
平成12年
1,000
891
745
2,000
9
959
1,343
平成14年
955
752
平成15年
950
1,356
平成16年
906
945
5
平成17年
861
997
48
908
平成19年
875
平成22年
698
1
34
633
944
720
852
813
3
1
7
持家
905
597
1,232
604
529
(戸)
4,000
3,500
628
3
1,131
653
平成21年
3,000
1,983
703
平成20年
2,500
502
平成13年
平成18年
(2)
1,500
345
12
404
分譲住宅
給与住宅
.
貸家
資料:建築統計年報
新設住宅の戸当たり床面積推移
平成12年からの10年間の新設住宅の戸当たり床面積の推移をみると、持ち家140㎡、分譲110㎡、
貸家50㎡で概ね推移しており、利用関係別に較差がみられます(図2-16)
。
図2-16
利用関係別、平均床面積の推移
250
(㎡/戸)
200
150
100
50
0
平成
12年
平成
13年
平成
14年
持家
平成
15年
平成
16年
分譲住宅
平成
17年
平成
18年
平成
19年
給与住宅
平成
20年
平成
21年
平成
22年
貸家
資料:建築統計年報
16
第3章
住まいに関する市民意識
住生活基本計画を策定するにあたり、平成24年度に「住まい・住環境に関する市民アンケート」
を実施しました。
また、同じく平成24年度に都市計画マスタープランの見直しにあたって「奈良市の都市計画に
関するアンケート」を実施しており、その結果も用いながら、市民意識を整理します。
各調査の概要は以下の通りです。
○
住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年度)
対象:市内在住の18歳以上の世帯主(3,500人/無作為抽出)
期間:平成25年1月10日(木)~1月27日(日)
方法:郵送による配布、回収
回収:1,541件(回収率44.0%)
○
奈良市の都市計画に関するアンケート(平成24年度)
対象:市内在住の18歳以上の市民(3,500人/無作為抽出)
期間:平成24年11月12日(月)~12月7日(金)
方法:郵送による配布、回収
回収:1,494件(回収率42.7%)
17
1 住まいや住環境の満足度について
(1) 住まいの満足度
住まいに対する市民の満足度をみると、総合的な評価としては、
「満足(15.0%)
」と「まあ満
足(47.2%)」を合わせて62.2%が満足寄りの評価をしており、住まいに対する市民の満足度は
高いと考えられます。一方、
「不満(4.0%)」と「やや不満(11.7%)」を合わせて15.7%が不満
寄りの評価をしています(図3-1)。
特に満足度が高い(「満足」または「まあ満足」の回答が多い)項目としては、
「住宅の広さ」
や「日当たり・風通し」が挙げられます。一方で、比較的不満度が高い(「不満」または「やや
不満」の回答が多い)項目は、
「バリアフリー」や「収納スペース」、「遮音性・断熱性」、「住宅
の古さ」が挙げられ、これらは「不満」と「やや不満」を合わせると30%以上を占めています。
図3-1
住まいの満足度
0%
10%
20%
1.住宅の広さ
40%
50%
41.5%
2.収納スペース
29.3%
30.0%
4.間取りの使いやすさや、部屋の数
18.2%
37.2%
7.台所の水回りの使い勝手
24.7%
39.0%
22.6%
18.6%
11.建物の耐震性・耐久性
13.1%
12.バリアフリー
12.0%
13.シックハウス対策
14.日当たり・風通し
15.遮音性・断熱性
17.総合的な評価
22.3%
13.9%
15.3%
16.7%
28.7%
26.9%
24.2%
18.6%
15.0%
10.0%
47.2%
満
足
まあ
満足
どちらとも
言えない
不
満
5.9%
5.3%
10.8%
5.8%
20.1%
やや
不満
2.5%
4.8%
13.4%
20.0%
24.3%
2.4%
15.1%
13.0%
2.1%
2.5%
14.4%
11.7%
不明・
無回答
2.1%
3.8% 1.7%
11.9%
7.5%
38.0%
3.3%
7.9%
11.1%
41.8%
1.4%
5.6% 1.4%
8.6%
20.1%
25.8%
2.3%
7.5%
16.2%
28.0%
1.8%
3.6%
13.8%
29.5%
28.2%
16.住宅ローンや家賃の負担
15.4%
23.6%
26.4%
5.8%
13.7%
34.3%
1.1%
3.2%
11.9%
14.7%
41.2%
14.2%
15.4%
15.6%
30.0%
6.8%
18.4%
33.7%
3.8%
10.3%
14.7%
23.2%
25.4%
10.プライバシーの確保
15.4%
100%
12.4%
21.1%
15.1%
24.6%
90%
7.8%
36.5%
10.4%
80%
10.8%
6.トイレ・浴室の使い勝手
9.防犯性能
70%
29.9%
24.9%
8.駐車・駐輪スペースの使い勝手
60%
33.4%
26.9%
3.庭や共用部分の広さ
5.住宅の古さ(築年数)
30%
4.0%
2.0%
.
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
18
(2) 住環境の満足度
地域の住みやすさに対する市民の満足度をみると、総合的な評価としては、「満足(11.8%)」
と「やや満足(37.3%)
」を合わせて49.1%が満足寄りの評価をしており、地域の住みやすさに
対する市民の満足度は高いと考えられます。一方、「不満(2.3%)」と「やや不満(8.5%)」を
合わせて10.8%が不満寄りの評価をしています(図3-2)
。
特に満足度が高い(
「満足」または「やや満足」の回答が多い)項目としては、
「日照・通風な
どの住環境」
、
「歴史・文化遺産の豊かさ」、
「下水道の整備状況」、
「自然環境の豊かさ」、
「日常的
な買い物の便利さ」などが挙げられます。一方で、
「スポーツ・レクリエーション施設の充実度」
や「歩行者に対する交通安全対策」などの項目については、不満度が高く(「不満」または「や
や不満」の回答が多く)なっています。
図3-2
住環境の満足度
0%
10%
1.日常的な買い物の便利さ
12.2%
3.交通機関(バス、鉄道) の便利さ
5.歩行者に対する交通安全対策
6.身近な公園・広場の充実度
7.8%
5.0%
10.4%
30.3%
12.日照・通風などの住環境
18.コミュニティ(近所づきあい等)
19.総合的にみた地域の住みやすさ
33.1%
9.0%
6.9%
14.2%
63.4%
やや
満足
5.2%
やや
不満
3.9% 2.7%
3.8% 2.9%
5.2% 3.1%
6.4%
不
満
不明・
無回答
2.1%
7.9%
9.9%
2.9%
3.1%
7.6%
5.8%
10.2%
37.3%
ふつう
3.3%
8.1% 3.1% 1.8%
23.2%
37.3%
満
足
15.6%
19.9%
56.0%
11.8%
2.7%
23.1%
50.1%
13.1%
16.3%
15.3%
44.4%
12.3%
9.0%
5.5% 3.8% 2.4%
30.9%
49.8%
11.3%
2.5%
3.4% 1.3% 3.2%
49.5%
17.9%
6.8%
36.5%
28.4%
13.9%
11.0%
10.8%
36.8%
17.9%
3.3%
8.7%
42.2%
21.2%
10.2%
17.4%
24.3%
27.6%
17.子育て環境の充実度 4.1%
27.2%
26.1%
11.下水道の整備状況
16.高齢者・陣がい者の暮らしやすさ 2.4%
21.0%
30.0%
1.8%
14.5%
25.4%
33.5%
100%
8.8%
16.1%
19.9%
41.0%
31.2%
15.5%
26.8%
15.7%
10.歴史・文化遺産の豊かさ
90%
21.2%
40.2%
21.6%
80%
24.0%
39.5%
14.2%
70%
36.1%
9.3%
14.防犯に対する安心感 4.8%
60%
21.5%
10.8%
9.景観やまちなみなどのよさ
50%
17.0%
22.1%
8.自然環境(水・土・緑) の豊かさ
15.保健、医療、福祉の施設の充実度
40%
20.7%
7.スポーツ・レクリエーション施設の充実度 3.1% 6.1%
13.災害に対する安全性
30%
29.2%
2.道路の利便性や渋滞の少なさ
4.自転車利用の便利さ
20%
4.1%
2.4%
8.5% 2.3%
2.8%
.
資料:奈良市の都市計画に関するアンケート(平成24年)
19
2 定住意向について
(1) 定住意向
全体でみると、
「このまま住み続けたい」が66.9%を占めています。一方、
「いずれは住み替え
たい(26.6%)
」と「住み替えの予定がある(3.7%)」を合わせると30.3%となっています(図3-3)
。
年齢別にみると、若い世代ほど「このまま住み続けたい」の割合は低くなっています。
図3-3
年齢別、定住意向
0%
10%
20%
30%
全体
40%
50%
60%
70%
80%
66.9%
29歳以下
3.7%
57.1%
40.0%
40歳代
16.2%
52.5%
2.3%
41.9%
61.1%
4.5%
1.0%
4.1%
0.9%
33.9%
60歳代
2.8%
14.3%
41.5%
50歳代
100%
26.6%
28.6%
30歳代
90%
73.7%
22.4%
1.2%
2.7%
70歳代
78.4%
14.9%
2.0%
4.6%
80歳以上
78.5%
16.7%
0.5%
4.3%
このまま
住み続けたい
いずれは
住み替えたい
住み替えの
予定がある
.
不明・
無回答
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
(2) 住み替える場合の転居先
転居を希望または予定している人が、実際に住み替える場合に希望する転居先をみると、「奈
良市外」への転出を希望する人は16.7%にとどまり、68.2%の人は市内や現在の住まいの近くで
の転居を希望しています(図3-4)
。市内の転居先では、「奈良市内で中心部の通勤・通学などに
便利な場所(30.8%)
」
、
「いま住んでいるところの近く(23.1%)
」などとなっています。
年齢別にみると、年齢があがるほど奈良市内での転居を希望する割合が高くなっています。
図3-4
年齢別、住み替える場合の転居先
0%
10%
全体
29歳以下
20%
23.1%
12.0%
40歳代
25.0%
50歳代
70%
80%
11.3%
28.0%
17.5%
60%
16.7%
52.0%
2.2%
26.2%
32.2%
18.8%
いま
住んで
いるところ
の近く
8.0%
4.0%
28.3%
6.0%
3.1%
70歳代
50%
30.8%
8.0%
24.0%
80歳以上
40%
3.0%
30歳代
60歳代
30%
3.4%
7.1%
28.8%
31.3%
歴史的な
まち並みの
残る地区
(奈良町地区)
18.5%
17.5%
奈良市内で
中心部の通勤・
買い物などに
便利な場所
奈良市内で
郊外部の
自然豊かな
場所
4.5%
4.0%
16.7%
2.4%
16.5%
13.6%
奈
良
市
外
5.4%
9.5%
14.4%
9.4%
5.3%
8.7%
13.6%
18.8%
10.5%
14.7%
12.0%
28.9%
100%
16.0%
24.0%
32.1%
90%
2.1%
5.1%
3.1%
18.8%
そ
の
他
不明・
無回答
3.4%
.
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
20
(3) 住み替える場合の住宅の種類
転居を希望または予定している人が住み替える場合に希望する住宅の種類をみると、「新築の
一戸建」を38.5%の人が挙げています(図3-5)。
また、
「中古の一戸建」や「中古の分譲マンション」を住み替えの候補として挙げる人もそれ
ぞれ24.0%、16.1%となっています。
図3-5
住み替える場合の住宅の種類(上位2つ)
0%
10%
20%
30%
1.新築の一戸建
38.5%
2.中古の一戸建
24.0%
3.新築の分譲マンション
20.8%
4.中古の分譲マンション
5.新築の民間賃貸マンション、アパート
16.1%
6.0%
6.中古の民間賃貸マンション、アパート
10.7%
7.市営・県営等の公営住宅
8.4%
8.公社等の公共賃貸住宅
9.その他
40%
7.7%
4.9%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
21
3 高齢者向けの住宅改修等について
(1) 老後の理想の住まい方
全体でみると、老後の理想の住まい方として「1人または配偶者と2人で暮らす」を50.4%が
挙げています。また、
「子世帯の近くに暮らす(28.0%)
」と「子世帯と同居で暮らす(11.4%)
」
を合わせて、子世帯との同居や近居を理想とする意見も39.4%となっています(図3-6)
。
年齢別にみると、50歳代以上では年齢が上がるほど子世帯と同居を理想とする割合が高くなっ
ています。
図3-6
老後の理想の住まい方(複数回答)
0%
10%
20%
全体
30%
50%
60%
50.4%
29歳以下
70歳代
29.0%
13.8%
子世帯と
同居で暮らす
2.2%
気の合う高齢者
同士で暮らす
5.6%
4.1%
1.8%
3.6%
2.9% 2.6% 5.7%
30.6%
子世帯の
近くに暮らす
4.0% 1.0%
2.7% 3.4% 2.4%
28.2%
21.0%
1人または配偶者と
2人で暮らす
2.3% 1.5% 2.3%
20.8%
11.0%
32.8%
3.0% 4.3%
8.6%
26.8%
7.2%
46.8%
100%
28.6%
7.1%
51.5%
2.9%
35.4%
62.4%
60歳代
90%
28.0%
6.2%
55.6%
50歳代
80%
5.7%
52.3%
40歳代
70%
11.4%
57.1%
30歳代
80歳以上
40%
その他
5.4%
不明・
無回答
8.1%
.
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
(2) 現在の住まいに必要な改修箇所
高齢者が安全・安心に暮らすために必要な住宅の改修箇所をみると、「トイレ・浴室への手す
りの設置(33.4%)」や「緊急通報システムの設置(31.5%)」が多く挙げられているほか、「玄
関アプローチの改修(25.8%)
」
、
「玄関の段差解消(25.0%)」
、
「床や廊下の段差解消(23.8%)」
、
「玄関・廊下・階段への手すりの設置(23.6%)」、「浴槽をまたぎやすい高さに改修(20.1%)」
などの意見も20%を超えており、さまざまな箇所に改修が求められています(図3-7)
。
図3-7
高齢者が安全・安心に暮らすため現在の住まいに必要な改修箇所(上位3つ)
0%
1.玄関アプローチの改修(敷地の入口から玄関まで)
2.玄関の段差解消
3.床や廊下の段差解消
4.廊下の拡幅(車いすで通ることができるように)
5.玄関・廊下・階段への手すりの設置
6.トイレ・浴室への手すりの設置
7.浴槽をまたぎやすい高さに改修
8.台所の改修(車いすなどでも使いやすいように)
9.ドアノブやスイッチの改修
10.家庭用エレベーターの設置
11.緊急通報システムの設置
12.特に改修の必要はない
13.その他
10%
20%
30%
40%
25.8%
25.0%
23.8%
12.4%
23.6%
33.4%
20.1%
10.3%
4.7%
5.3%
31.5%
11.2%
4.5%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
22
(3) 高齢者が安全・安心に暮らすために求められるもの
全体でみると、高齢者が安全・安心に暮らすために求められるものとして「既存の住宅でのバ
リアフリー化への支援(34.1%)
」が最も多く、次いで、
「専門スタッフの援助のもと、病気や障
がいのある高齢者が集まって暮らせる施設への支援(26.3%)」、「単身の高齢者などが集まって
暮らせる住宅への支援(18.0%)
」などとなっており、多様な支援が求められています(図3-8)
。
年齢別にみると、若い世代ほど「単身の高齢者などが集まって暮らせる住宅への支援」を挙げ
る人の割合が高くなっています。
図3-8
高齢者が安全・安心に暮らすために求められるもの
0%
10%
全体
14.2%
29歳以下
30%
40%
20.0%
16.2%
40歳代
15.2%
50歳代
14.9%
80歳以上
バリアフリー化
がなされた住宅
建設の促進
60%
34.6%
2.5%
18.5%
24.7%
16.7%
26.9%
10.2%
単身の高齢者などが
集まって暮らせる
住宅への支援
1.0%
24.4%
3.2%
29.3%
17.5%
4.9%
2.3%
25.3%
15.9%
100%
20.0%
26.2%
34.2%
既存の住宅での
バリアフリー化
への支援
90%
28.6%
36.8%
17.2%
80%
26.3%
31.4%
38.5%
13.8%
70%
18.0%
30.8%
11.7%
70歳代
50%
34.1%
30歳代
60歳代
20%
3.4%
25.0%
31.2%
専門スタッフの援助のもと、
病気や障がいのある高齢者が
集まって暮らせる施設への支援
1.7%
3.2%
そ
の
他
2.3%
3.0%
2.3%
2.9%
7.8%
11.3%
不明・
無回答
.
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
23
4 耐震診断・耐震改修の状況について
(1) 耐震診断・耐震改修の実施状況
旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の基準)で建てられた持家に居住する人のうち、耐震診断
の実施状況をみると、「実施済」は10.6%にとどまり、73.7%が「実施していない」と回答して
います(図3-9)
。
また、耐震改修の実施状況をみると、「実施済」は6.0%とさらに低くなっています。
住宅種類別にみると、耐震診断については集合住宅に居住する人の21.1%が実施しているのに
対し、一戸建では9.1%にとどまっており、耐震改修についてはそれぞれ8.8%、5.6%となって
います(図3-10)
。
図3-9
耐震診断・耐震改修の実施状況(旧耐震・持家のみ)
<耐震診断実施状況>
不明・無回答
3.2%
3.わからない
12.4%
<耐震改修実施状況>
1.実施済
10.6%
1.実施済
6.0%
不明・無回答
13.1%
3.わからない
12.0%
2.実施していない
68.9%
2.実施していない
73.7%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
図3-10
住宅種類別、耐震診断・耐震改修の実施状況(旧耐震・持家のみ)
<耐震診断実施状況>
0%
持家(一戸建)
10%
20%
30%
40%
9.1%
持家(集合住宅)
50%
60%
70%
80%
79.9%
21.1%
7.2%
31.6%
実施済
実施していない
90%
100%
3.8%
47.4%
わからない
不明・無回答
.
<耐震改修実施状況>
0%
持家(一戸建)
持家(集合住宅)
10%
20%
30%
5.6%
40%
50%
60%
70%
72.9%
8.8%
7.8%
40.4%
実施済
80%
90%
13.7%
40.4%
実施していない
わからない
不明・無回答
100%
10.5%
.
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
24
(2) 耐震化を促進するための事業の認知状況と活用状況
旧耐震基準で建てられた持家に居住する人のうち、耐震化を促進するために本市で実施してい
る事業について内容を知っている人は、6.9%~8.5%にとどまり、聞いたことがある人を含めて
も32.9%~40.1%となっています(図3-11)
。
一方で、これらの事業の利用意向をみると、32.7%~36.4%が「利用したい」と回答していま
す。
図3-11
耐震診断・耐震改修の実施状況(旧耐震・持家のみ)
<事業の認知度>
0%
1.既存木造住宅耐震診断員
派遣事業
10%
8.5%
2.既存住宅及び特定建築物
耐震診断補助金交付事業
7.8%
3.既存木造住宅耐震改修
工事補助金交付事業
6.9%
20%
30%
40%
50%
24.4%
60%
70%
80%
90%
58.3%
32.3%
100%
8.8%
55.3%
27.0%
4.6%
57.1%
事業の内容まで
知っていた
事業の内容はよく分からないが
聞いたことはあった
9.0%
知らな
かった
不明・
無回答
.
<事業の活用>
0%
10%
1.既存木造住宅耐震診断員
派遣事業
20%
30%
36.4%
2.既存住宅及び特定建築物
耐震診断補助金交付事業
33.9%
3.既存木造住宅耐震改修
工事補助金交付事業
32.7%
40%
12.4%
12.4%
11.5%
利用したいと
思う
利用したいと
思わない
50%
60%
70%
80%
36.9%
100%
14.3%
44.0%
9.7%
41.0%
どちらともいえない・
わからない
90%
14.7%
不明・
無回答
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
※既存木造住宅耐震診断員派遣事業
お住まいの木造住宅が地震に対してどの程度安全性があるのかを調べるために、市から無料でご自宅へ耐震診断
員(建築士)を派遣し耐震診断を行う事業
※既存住宅及び特定建築物耐震診断補助金交付事業
市内の民間住宅や特定建築物等で一定の条件を満たす建築物の耐震改修を促進するため、地震に対してどの程度
の安全性があるのかを把握するための耐震診断に要した費用の一部を補助する事業
※既存木造住宅耐震改修工事補助金交付事業
お住まいの木造住宅の耐震性を高めるために改修工事を行う際、その工事に要した費用の一部を補助する事業
25
5 省エネルギー設備等の設置状況について
(1) 省エネルギー設備等の設置状況
持家に居住する人のうち、実際に省エネルギー設備を設置している人は19.8%にとどまるもの
の、
「設置の予定がある(1.3%)
」と「予定はないが設置したい(35.3%)」を加えると56.4%が
省エネルギー設備に関心を持っています(図3-12)
。
図3-12
省エネルギー設備等の設置状況(持家のみ)
1.省エネルギー設備を設置
している
19.8%
不明・無回答
8.0%
2.省エネルギー設備の設置
の予定がある
1.3%
4.省エネルギー設備の設置
は考えていない
35.5%
3.予定はないが、省エネル
ギー設備を設置したい
35.3%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
(2) 設置している、または設置を考えている省エネルギー設備
設置している、または設置を考えている省エネルギー設備としては、
「太陽光発電(21.3%)
」、
「省エネ給湯器(20.1%)
」
、
「複層ガラス(19.4%)
」などとなっています(図3-13)。
図3-13
設置している、または設置を考えている省エネルギー設備(持家・複数回答)
0%
10%
20%
1.太陽光発電
40%
21.3%
2.都市ガス発電
5.3%
3.省エネルギー給湯器
20.1%
4.複層ガラス
19.4%
5.断熱性のある外壁(外断熱)
15.2%
6.断熱性のある内壁や壁紙
7.その他
30%
11.7%
1.8%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
26
6 今後求められる住宅施策について
(1) 今後求められる住宅施策について
今後求められる住宅施策として「省エネ設備設置の補助(35.7%)」、「住宅の耐震診断・改修
の補助(35.1%)
」
、
「バリアフリー化のための補助(33.7%)
」、
「高齢者・障がい者向け住宅の供
給(32.9%)
」がいずれも30%を超えています(図3-14)
。
図3-14
今後求められる住宅政策(上位3つ)
0%
10%
20%
1.多様な所得水準に対応した
公的賃貸住宅の供給
30%
40%
17.7%
2.住宅困窮者のための家賃補助
9.5%
3.住宅の耐震診断・改修への補助
35.1%
4.高齢者・障がい者向け住宅の供給
32.9%
5.バリアフリー化のための補助
33.7%
6.省エネルギー設備設置のための補助
35.7%
7.新婚・子育て世帯への家賃補助
17.8%
8.分譲マンションの維持・管理の支援
9.1%
9.公営住宅の供給
6.6%
10.住宅の防犯対策
20.4%
11.住宅・住環境に関する情報提供
11.0%
12.長期にわたって使い続けられる
優良な住宅の普及・促進
13.その他
20.6%
3.1%
資料:住まい・住環境に関する市民アンケート(平成24年)
27
第4章
奈良市の住宅事情から見た課題
1 定住化の促進
・本市の人口は平成13年をピークに減少傾向にあり、総合計画においても平成32年の目標人口を
35万人(平成22年に対して約2万人減)と設定しています。特に東部や月ヶ瀬、都祁などの山
間部においては人口の減少の割合が大きくなっています。
・大規模な開発住宅地においては、開発時期に合わせて居住者の年齢層が偏る傾向があるため、
建設時期により人口減少や高齢化の急速な進展がみられます。
・世帯数は増加傾向にあるものの、単身や夫婦のみの世帯が増加するなど世帯の小規模化が進行
しています。
・市内における空き家の総数が増加しており、今後もその傾向が予想されます。
・総住宅数が世帯数を上回るなか、新築着工件数は減少傾向にあり、今後は居住者のニーズに合
わせてリフォームを実施するなど、住宅ストックの有効活用が求められます。
・市民アンケートによると、転居希望先として「市外」を挙げる人は2割にとどまるものの、若
い世代ほど定住意向が低く、住み替えの需要が高くなっていることから、各年代のライフステ
ージに合わせた住宅の整備が求められます。
・市民アンケートによると、住み替えを考える際におよそ4人に1人が中古の一戸建を主な候補
に挙げるなど、中古物件に対する一定の需要が見込まれます。
都市の活力を持続的に維持していくためには、それを支える人の存在が欠かせません。
特に子育て世帯を中心とする若い世代に対して、「奈良市に住みたい」と積極的に考えて
もらうためには、協働によるまちづくり活動やライフステージに応じた多様な暮らし方に
対する支援、地域の魅力を発信していく仕組みづくりなどの取り組みが重要です。
2 防災・減災等の推進による安全の確保
・発生が想定される大規模地震等に対しては建築物の耐震化を促進することが重要ですが、実態
として民間住宅の耐震化が進んでいません。
・市民アンケートによると、耐震化の促進に関する市の事業の認知度は半数に満たなかったもの
の、3割以上が活用したいと回答しています。
災害等に対しては、防災・減災の視点から、住まいの安全性の確保が必要です。そのた
め、建築物の耐震化の促進や地域コミュニティによる防災力を向上させるための活動に対
する支援などの取り組みが重要です。
28
3 重層的な住宅セーフティネットによる安心の確保
・市民アンケートによると、今後の住宅政策として、住宅のバリアフリー化への支援や高齢者・
障がい者向け住宅の供給が多く求められています。
・市民アンケートによると、現在の居住地にこのまま住み続けたいという人の割合は、高齢にな
るほど高く、60歳代以上で7割超となっています。
・最低居住面積水準未満の世帯の割合をみると、全世帯では4%ですが、住宅種類別にみると、
借家では12.5%と高くなっており、特に民営借家(非木造)で16.5%と高くなっています。ま
た、世帯の型別にみると、30~64歳の単身世帯で10.8%と高くなっています。
高齢者や障がい者、子育て世帯など誰もが安心して暮らせるよう、バリアフリー化への
促進や適切な住み替え支援、地域での見守り活動の支援など、多様な取り組みが重要です。
4 景観や環境への配慮
・本市では、奈良町の町並みなどが景観形成重点地区に指定されるなど、奈良市らしい住宅地の
景観を保全・創出していく取り組みが進められています。
・住居系の市街地では、風致地区の指定などにより、奈良市らしい風致や景観の保全が図られて
います。
・市民アンケートによると、持ち家に居住されている方の省エネルギー設備の設置状況は現状で
2割程度にとどまるものの、半数以上の方が設置について関心を持っています。
・市民アンケートでは、今後の住宅政策として、省エネルギー化への支援が多く求められていま
す。
1300年の歴史を持つ「古都奈良」としての景観は、世代を超えて共有されるかけが
えのない財産です。風土に根ざした良好な景観は、まちのイメージを向上させ、まちへの
愛着を育む重要な要素であることから、住宅地においても歴史的な町並み等を保全・創出
していくことが必要です。また、環境保全のため省エネルギー等に配慮した住宅の推進が
求められます。
29
第5章 住まい・まちづくり政策の基本理念と基本目標
1 基本的な考え方
住まいは、豊かな住生活を送る上での基礎的な要素であるとともに、景観や環境を構成し、働く、
学ぶ、遊ぶといったまちの活力と文化を支える重要な要素です。これら住まいが担うべき役割を踏
まえたうえで、本市における住まい・まちづくり政策を展開していくにあたっての基本的な考え方
を以下に示します。
(1) 総合的な住まい・まちづくり政策の展開と積極的な情報の発信
住まい・まちづくり政策に求められる役割は、個々の住宅から住宅を取り巻く住環境へ、ハー
ドからソフトな分野へと、時代の流れとともに求められる領域が広がっています。また、社会経
済状況の変化に伴い、住まいやまちを取り巻く状況は大きく変化しており、市民の豊かな暮らし
の実現に向けては、都市計画や建築指導といった各種まちづくり部門はもちろん、福祉や教育、
文化、環境、産業部局等との連携により、暮らしを取り巻く生活全般にわたる総合的な住まい・
まちづくり政策を展開していくことが必要です。
また、本格的な人口減少社会をむかえ、本市においても若い世代を中心とした定住化の促進が
重要な課題の一つとなっています。そのため、奈良市に住むことの魅力について、広報誌やホー
ムページなど多様なチャンネルを通じて、積極的にPRしていくことが必要です。
(2) 市民や民間事業者等との連携・協働
本市では、個性豊かで魅力ある、多様性に富み、持続的発展が可能な住みよいまちを実現し、
これを将来に引き継ぐことを目的として、平成21年7月に「奈良市市民参画及び協働によるまち
づくり条例」を施行しています。
市民が住み続けたいと思う住まいやまちを実現していくため、行政、市民、民間事業者等が本
計画の基本理念や基本目標を共有し、その実現に向け、協働で取り組んでいくことが必要です。
○市民や地域団体の役割
市民は、住まいは個人の資産としてだけではなく次代につなぐ社会的な資産であると
の認識をもち、自ら「大切に住まう」とともに、近隣に配慮し「ともに住まう」意識を
持つことが重要です。
また、市の施策に協力・参画するとともに自らが主体的に様々な地域コミュニティ活
動等に関わることにより、地域に対する愛着と誇りを持ち、住まいやまちづくりの意識
の醸成に努めることが期待されます。
30
自治会などの地域団体は、共助(地域での助け合い)の視点から、個々の住生活への
支援を行う役割があると考えられます。
○住まい・まちづくりに関わる民間事業者等の役割
住まい・まちづくりに関わる民間事業者は、市民の多様なニーズに対応し、良質な住
まいやまちを市民に供給するとともに、それらを長く大切に使うための維持管理に努め
る役割があります。また、公有資産の有効利用等におけるノウハウの活用等も期待され
ます。
また、住まい・まちづくりや暮らし全般に関わるサービスを提供する事業者や各種専
門家等は、それぞれの立場から住まい手の支援を担う役割が期待されます。
○行政(奈良市)の役割
行政は、庁内の関係部局間の連携を強化し、各種の住まい・まちづくり政策を推進し
ていくとともに、市民がニーズに合った住まいを確保できるよう情報提供を行い、市民
や民間事業者等の活動を適切にマネジメントしていく役割があります。
厳しい財政事情をふまえ、効率的で効果的に施策を推進していくためには、施策の重
点化とともに、市民や民間事業者等の活動を支援するための仕組みづくり(情報提供、
協働の体制づくり、規制誘導策の検討等)が求められます。
(3) 地域の個性や魅力の向上
本市には、奈良町などに代表される伝統的な木造建築物で形成された住宅地や平城ニュータウ
ンに代表される計画的に開発された住宅地、都市近郊部において農地等と共存した住宅地、豊か
な自然環境に恵まれた山間部の集落地など、成り立ちの異なる個性的で多様な住宅地があります。
これらの住宅地のもつ多様な個性やそれぞれの暮らし方、地域での住まい・まちづくりの取り組
みなどについて、その魅力を今後も継承し、次代に残していくことが必要です。
(4) ストックの有効活用
住宅総数が世帯数を上回る時代をむかえ、住宅建設を中心とした政策から、既存ストックを有
効に活用した政策への転換が求められています。
そのため、新規に供給される住宅について良質なものへと誘導していくとともに、既存の住宅
について適切な維持管理、リフォーム等を実施し、次世代に継承する良質な住宅ストックを形成
していくことが必要です。また、増えつつある空き家の有効活用が求められます。
31
2 住まい・まちづくり政策の基本理念
上位計画である「第4次奈良市総合計画まほろばVISION2020(H23~32)」では都市の将来像を
次のように定めています。
市民が育む世界の古都奈良
~豊かな自然と活力あふれるまち~
本市は、1300年の長きにわたる歴史・文化と豊かな自然環境によって醸成された古都奈良
としての「魅力」を有しています。それは、社寺や公園だけではなく、祭りや各種行事など、日々
の暮らしの中においても有形無形に受け継がれてきたかけがえのないものです。
また、現在の奈良の住宅地に目を向けると、伝統的な町並みを有する住宅地やニュータウン、
山間部の集落地など、多様な「個性」をもつ住宅地が存在しています。
市民が愛着や誇りを持ち、安全で安心して活き活きと暮らしていくため、これら古都奈良の魅
力と地域の個性を融合させるとともに、奈良らしい住まい、奈良らしいまち、奈良らしい暮らし
について、新たに「奈良スタイル」として位置づけ、積極的に発信し、次の世代へと継承してい
きます。
住まい・まちづくり政策の視点から、総合計画で定める都市の将来像の実現に向け、市民やN
PO、民間事業者、行政などの多様な主体が連携・協働していくことが不可欠です。
「奈良スタイ
ル」の理念を共有し、新たな「奈良スタイル」をともに創造していくため、以下の基本理念を定
め、推進します。
古都奈良の魅力と地域の個性を活かした
「奈良スタイル」の創造
32
3 住まい・まちづくり政策の基本目標
基本理念の実現に向け、目指すべき3つの基本目標を定めるとともに、それぞれの基本目標に
則した住まい・まちづくり施策の展開方向について設定します。
基本目標1 住み続けたくなる、魅力と活力ある住まい・まちづくり
本格的な人口減少社会をむかえ、本市においても、定住化を促進していくことが重要なテーマ
の一つとなっており、多様な世代の交流・共生によるコミュニティの活力の維持を考えると、若
い世代、とりわけ子育て世帯が安心して子どもを育てることができるよう、子育てに適した住宅
への居住支援などの取り組みが求められます。
また、奈良市には多様な背景を持つ住宅地が存在し、主要な駅のほど近くに広大な都市公園が
あり、その徒歩圏内に文化財建造物が点在、伝統的町並みが残る奈良らしい住宅地や、計画的に
開発されたニュータウンなど、地域ごとに異なる魅力や個性を有しています。
これら住まいやまちの持つ特性を活かし、住むまちとしての奈良の魅力の向上を図るため、市
民によるまちづくりを支援し、良好な住環境の維持保全や再生を進めるとともに、多様な住宅地
の持つ魅力や地域のまちづくりの取り組み、奈良らしい魅力的な暮らし方の事例等を「奈良スタ
イル」として発信していきます。
さらに、住まいに関する相談窓口を設置するなど、市民の「暮らしやすさ」を支える情報の提
供に取り組みます。
これらの取り組みにより、歴史と現代を融合させた奈良らしい暮らしの実現 を目指します。
○施策の展開方向
(1)住まい・まちづくりに関する総合的な情報提供
(2)子育て世帯が暮らしやすい住まい・まちづくり
(3)自然や景観に配慮した住まい・まちづくり
(4)地域特性を活かした魅力ある住まい・まちづくり
33
基本目標2 次代につなぐ、良質で安全な住まい・まちづくり
将来の発生が予測されている南海トラフ巨大地震等の大規模地震をはじめとする、災害に強い
安全な住まい・まちづくりを進めます。
また、ストック重視の考え方のもと、新築住宅等については省エネや環境への配慮を誘導する
など良質な住宅・住宅地の形成を図ります。
既存住宅については、リフォームや長寿命化の取り組みによる質の向上を支援するとともに、
安心して売買できる住宅の流通環境の整備などに取り組み、ストックを活用できる環境づくりに
努めます。
これらの取り組みにより、良いものを長く使い続ける暮らしの実現 を目指します。
○施策の展開方向
(1)安全・安心な住まいづくり
(2)良好な住宅ストックの形成への誘導
基本目標3 誰もが安心して暮らせる住まい・まちづくり
住み慣れた地域の中で、誰もが住まいを安定して確保できることは、安心して暮らせる住ま
い・まちづくりの基本と考えます。
少子高齢化や世帯の小規模化が進行し、家族形態や暮らしを支える「住まい」に対するニーズ
が多様化する一方で、低額所得者をはじめ、高齢者や障がい者、ひとり親世帯、子育て世帯など、
住宅の確保に特に配慮を要する世帯も増えつつあります。
そのため、住まいのバリアフリー化を促進するとともに、高齢者や障がい者等が自立して暮ら
せるよう福祉施策等と連携した生活の支援や民間の賃貸住宅への入居の円滑化などに努めます。
また、住宅セーフティネットとしての公的住宅の役割を踏まえ、適切な維持管理と公平公正な
入居者管理を推進します。
これらの取り組みにより、家族や地域で支えあう暮らしの実現 を目指します。
○施策の展開方向
(1)高齢者や障がい者が自立して暮らせる住まいづくり
(2)誰もが暮らしやすい住まい・まちづくり
(3)公的賃貸住宅を活用した居住の安定の確保
34
図5-1 奈良市住生活基本計画の体系
課題
基本的な
考え方
(1)
定住化の
促進
(1)
総合的な
住まい・まち
づくり政策の
展開と
積極的な
情報の発信
(2)
防災・
減災等の
推進に
よる
安全の
確保
(3)
重層的な
住宅セーフ
ティネット
による
安心の
確保
(2)
市民や
民間事業
者等との
連携・協働
(3)
地域の
個性や
魅力の
向上
(4)
ストックの
有効活用
(4)
景観や
環境
への
配慮
基本理念
施策の
展開方向
基本目標
(1)
住まい・まちづくり
に関する総合的な
情報提供
~
古
都
奈
良
の
魅
力
と
地
域
の
個
性
を
活
か
し
た
「
奈
良
ス
タ
イ
ル
」
の
創
造
~
【基本目標1】
住み続け
たくなる、
魅力と
活力ある
住まい・
まちづくり
(2)
子育て世帯が
暮らしやすい
住まい・まちづくり
(3)
自然や景観に
配慮した住まい・
まちづくり
(4)
地域特性を活かした
魅力ある住まい・
まちづくり
具体的な
取り組み内容
①市民等への住情報の提供
②住まい・まちづくりに関する
相談窓口の設置
①子育て世帯向け住宅の供給
②子育て環境の充実
①景観に配慮した住宅の誘導
②住まい・まちづくりに関する
調査研究
①地域特性に応じたまちづくり
の誘導
②市民主体のまちづくり活動
支援
③「奈良スタイル」の発信
①住宅・市有建築物の耐震性
の向上
【基本目標2】
次代に
つなぐ、
良質で
安全な
住まい・
まちづくり
(1)
安全・安心な
住まい・まちづくり
②防災に対する意識啓発
③防犯力の高いまちづくりの
推進
①優良な住宅・住宅地の誘導
(2)
良好な住宅
ストックの形成への
誘導
②環境に配慮した住宅の整備
③ストックの維持・保全・再生
④マンションの適正な維持管理
支援
【基本目標3】
誰もが
安心して
暮らせる
住まい・
まちづくり
(1)
高齢者や障がい者が
自立して暮らせる
住まいづくり
①高齢者・障がい者等に配慮
した住宅の供給
②高齢者・障がい者等に配慮
した住宅改修の支援
③高齢者・障がい者等の生活
の支援
①バリアフリー化の促進
(2)
誰もが暮らしやすい
住まい・まちづくり
②民間住宅への入居の円滑化
支援
③健康に配慮した住宅の誘導
公的賃貸
住宅
(3)
公的賃貸住宅を
活用した居住の
安定の確保
①公的賃貸住宅の適切な維持
管理と長寿命化の推進
②公平・公正な入居者管理の
推進
地域別マネジメント
○
○
○
○
35
歴史的な町並みが残る住宅地
計画的な開発地(ニュータウン)
農住共存地
東部地域・都祁地域・月ヶ瀬地域の集落地
第6章
施策の展開方向
1 住み続けたくなる、魅力と活力ある住まい・まちづくりに向けて
(1) 住まい・まちづくりに関する総合的な情報提供
協働による住まい・まちづくりを実現するためには、幅広い視点から情報の共有や相談体
制の構築に向けた取り組みが求められます。
そのため、住まいに関する事業者の持つ情報を収集し、共有化を推進することで、市民や
事業者等が相互に情報交換できるようなネットワークづくりを支援します。
また、専門家や業界団体、関連部局等と連携した、住まいに関する窓口を設置し、市民へ
の情報提供等に努めるとともに、各種の住まいに関する相談に対応していきます。
① 市民等への住情報の提供
ホームページを充実させ、奈良市の住まい・まちづくりに関する各種施策やイベント等の
情報、奈良らしい先進的な暮らし方の事例など多様な情報の一元化を図ります(図6-1)。
情報発信においては、ホームページやパンフレット、広報誌等を活用するとともに、住ま
い・まちづくりに関するセミナーやシンポジウム等の開催などに取り組みます。
住まい・まちづくりに関する関連施策について幅広く情報提供していくためには、各関係
団体との連携に加えて、庁内の連絡調整体制の確立が不可欠です。そのため、各分野の担当
部局が連携し、各々が所有する情報を交換・共有する仕組みづくりに取り組みます。
【重点】 ホームページ等での住まい・まちづくりに関する情報の発信
図6-1 ホームページでの住まい・まちづくりに関する情報一元化のイメージ
国
・
県
市
役
所
都
住 市 福
宅 計 祉…
画
業
界
団
体
N
P
O
各
種
専
門
家
そ
の
他
国
・
県
市
役
所
都
住 市 福
宅 計 祉
画
業
界
団
…
体
N
P
O
各
種
専
門
家
そ
の
他
情 報 提 供
奈良の住まい・まちづくりに
関するポータルサイト
市民
市民
市民
市民
市民
市民にとってわかりやすく、より便利に。
(各主体の積極的な情報発信による相乗効果)
市民にとって情報の収集がしにくい。
36
② 住まい・まちづくりに関する相談窓口の設置
住まいに関する各種専門家やNPO、業界団体等との連携を図り、住まいに関する相談窓
口を設置します(図6-2)
。
【重点】 住まい・まちづくりに関する相談窓口の設置
図6-2 住まい・まちづくりに関する相談窓口のイメージ
庁内関連部局
【連携】
【連携】
住宅
都市計画
・
開発
そ
の
他
公
的
機
関
【相談窓口の設置】
・
福祉
NPO
国
県
地域活動推進
住まい・
まちづくり
の相談窓口
各種専門家
・
研究機関
都市再生機構
業界団体
・住宅の供給等
・建築等
市
37
民
相談対応
情報提供
民
間
団
体
等
(2) 子育て世帯が暮らしやすい住まい・まちづくり
少子化や核家族化が進行する中で、地域社会の変化などによる子育て中の親の孤独感や不
安感の解消に向け、子どもを安心して育てることができる住まいを供給するとともに、地域
で子育てを支えるための環境の充実に向け取り組みます。
①子育て世帯向け住宅の供給
子どもを安心して育てることができるよう、市営住宅の募集において子育て世帯向け優先
枠を設定します。
また、既に設けている母子世帯向けの優先枠を拡大し、父子世帯に対しても検討します。
【重点】 市営住宅の募集における子育て世帯向け優先枠の設定
②子育て環境の充実
多様な子育て支援サービスの提供をはじめ、子ども医療費助成制度などの子育て家庭への
経済的支援を行い、子育て広場や子育てに関する相談等を行う地域子育て支援施設の整備な
ど、地域の子育て支援活動を推進します。
また、二世代同居、三世代同居のための住宅の建て替えや増改築に対する情報提供を行い
ます。
奈良市子育て応援キャラクター「ももいろいくジーカ」の家族
38
(3) 自然や景観に配慮した住まい・まちづくり
各地域の特性を活かしたまちづくりを誘導するとともに、町並みや景観の維持・形成によ
る魅力の向上に努めます。
①景観に配慮した住宅の誘導
風致地区や景観計画等の制度により、市内の各地域における自然と歴史と文化に恵まれた
奈良市らしいおもむきのある景観の形成を誘導します。
【重点】 歴史的な町並みや自然環境などの維持・保全
図6-3 風致地区における建物に対する制限(平成16年5月17日より)
②住まい・まちづくりに関する調査研究
大学の研究室やNPO法人等と連携した住まい・まちづくりの調査・研究に関する事業を
行い、その成果のホームページや広報誌等による発信について検討します。
39
(4) 地域特性を活かした魅力ある住まい・まちづくり
本市には、奈良町などに代表される伝統的な木造建築物で形成された住宅地や平城ニュー
タウンに代表される計画的に開発された住宅地、都市近郊部において農地等と共存した住宅
地、豊かな自然環境に恵まれた山間部の集落地など、成り立ちの異なる個性的で多様な住宅
地が存在しています。
これらの住宅地のもつ多様な個性やそれぞれの暮らし方、地域での住まい・まちづくりの
取り組みなどについて、その魅力を「奈良スタイル」として発信し、次代へと継承していき
ます。
① 地域特性に応じたまちづくりの誘導
都市景観形成地区として指定され、古都奈良を代表する住宅地である奈良町などにおいて
は、伝統的建造物の外観の維持又は伝統的形成に基づき復元修理する場合の事業や景観形成
基準に適合し、かつ一定の条件を満たす修景事業に対して、必要な助成を行います(図6-4)
。
【重点】 奈良町都市景観形成地区の景観形成の誘導
図6-4 奈良町都市景観形成地区の景観形成基準・修景基準・修理基準の例
40
② 市民主体のまちづくり活動支援
高齢化の問題や空き家の増加など、住宅地をとりまく様々な課題等に対して、地域におけ
る良好な環境や地域の価値を維持・向上させるために市民、自治組織、NPO法人、まちづ
くり協議会等が主体的に取り組めるよう活動を支援します。
また、一定の地域や地区における課題等に対しては、地区計画等により良好なまちづくり
活動を支援するため、専門家(アドバイザー)等の派遣を検討します(図6-5)
。
【重点】 市民主体のまちづくり活動支援
図6-5 まちづくり活動支援のイメージ
地域に
おける
機運の
調査
学習
まちづくり
調査
学習
広報
その他
協議会等
広報
醸成
その他
の設立
まちづくり
の実践
専門家(アドバイザー)等派遣
③ 「奈良スタイル」の発信
基本理念に掲げる「奈良スタイル」の創造に向け、市民や地域でまちづくり活動を実践し
ている各種団体等と連携し、奈良らしい魅力的な暮らし方、例えば古民家をリフォームして
現代的な暮らし方をしている事例などを収集します。事例の収集にあたっては、市民等から
も積極的に情報提供が得られるよう、ホームページ等を活用し「奈良らしい暮らし方」の募
集についても検討します。
また、市内に住まう魅力や市内の多様な住宅地の持つ魅力について、市民だけではなく奈
良にゆかりのある人や関心のある人なども交えて、幅広く情報交換する場の提供を図ってい
きます。
それらの情報を新たな「奈良スタイル」として整理・蓄積し、一人でも多くの方が奈良に
住みたい、奈良に住んでみたいと思えるよう、ホームページやパンフレット、広報誌等を通
じて発信していきます。
【重点】 「奈良スタイル」の発信
41
2 次代につなぐ、良質で安全な住まい・まちづくりに向けて
(1) 安全・安心な住まい・まちづくり
将来の発生が予測されている南海トラフ巨大地震等の大規模地震をはじめとする、災害に
強く、犯罪等に対しても安全で、安心して暮らせる住まい・まちづくりを進めます。
住まいの耐震性能の向上を図り、災害に対する住宅の安全性を確保するとともに、災害に
よる被害を最小限に止められるよう防災に対する意識啓発に努めます。
① 住宅・市有建築物の耐震性の向上
災害に強い住宅・建築物の形成を促進するため、奈良市耐震改修促進計画に基づき、耐震
診断及び耐震改修を推進します。現在、本市では、既存木造住宅耐震診断員派遣事業、既存
住宅・特定建築物耐震診断補助金交付事業、既存木造住宅耐震改修工事補助金交付事業に取
り組んでおり、その普及に努めます(表6-1)
。
【重点】 耐震化に対する支援制度の普及促進
表6-1 耐震化に対する支援制度の概要(※平成25年度募集時点)
昭和56年5月31日以前に新築、増築、改築、移転され、又は工事に着手された住宅として、現に
使用されているものが対象です。
○既存木造住宅耐震診断員派遣事業
お住まいの木造住宅の耐震化への意識を高めていただくため、市から無料で耐震診断員(建築士)
を派遣し耐震診断を行う事業です。
○既存住宅・特定建築物耐震診断補助金交付事業
補
精密
戸建 木造 診断法
住宅
木造以外
一般
診断法
長屋
住宅 木造
精密
・
診断法
共同
住宅
木造以外
助
金
額
補助限度額
耐震診断に要した費用の 3 分の 2
86,000 円
耐震診断に要した費用の 3 分の 2
86,000 円
一般診断法による耐震診断に要した費用の 3 分の 2
1 住戸あたり
30,000 円
耐震診断に要した費用又は 2,000(注1)円/㎡
のいずれか低い方の額の 3 分の 2
1,333,000 円
耐震診断に要した費用又は 2,000(注1)円/㎡
のいずれか低い方の額の 3 分の 2
1,333,000 円
(注1)述べ面積1,000㎡以内の部分は2,000円/㎡、延べ面積1,000㎡を超え2,000㎡以内の部分は
1,500円/㎡、延べ面積2,000㎡を超える部分は1,000円/㎡になります。
○既存木造住宅耐震改修工事補助金交付事業
補
助
内
容
補助限度額
住宅全体の上部構造評点 1.0 未満の住宅を
耐震改修工事により 1.0 以上にする場合の
耐震改修に要した費用の 3 分の 1
42
500,000 円
備
考
税の控除有
② 防災に対する意識啓発
自主防災組織の防災訓練への支援など、自助・共助・公助のそれぞれの取り組みが一体と
なり、迅速かつ適切な防災活動が行える体制整備を図ります。また、いざというときに協力
いただく防災協力事業所登録制度の普及を促進します(図6-6)
。
図6-6 奈良市防災協力事業所登録制度の仕組み
○防災協力事業所
災害の発生時に、市が協力を依頼する業務を提供いただく
事業所です。登録いただいた事業所には、ステッカーを配布
するとともにはホームページで公表しています
○協力を依頼する業務
・初期消火活動
・障害物の除去
・食料品、飲料水などの提供
○制度の仕組み
・避難所の提供
・負傷者などの搬送
・資機材の提供
など
③ 防犯力の高いまちづくりの推進
住まいにおける防犯性能の向上のため、防犯面での対策が施されているマンションの情報
提供を行うなど、防犯への配慮を促進します。
また、本市では、平成20年に「奈良市安全安心まちづくり条例」を定め、自主防犯活動の
促進、防犯力の高いまちづくり等を推進しています。市民や事業者等の協力のもと、犯罪を
未然に防ぎ、安全で安心して暮らせるよう、防犯パトロールなどの防犯に関する取り組みを
支援します。
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(2) 良好な住宅ストックの形成への誘導
これまでの住宅の建設を中心とした住宅政策から、豊富な既存ストックを有効に活用した
住宅政策への転換が求められるなか、新規に供給される住宅・住宅地を良質なものへと誘導
していきます。また、既存の住宅についても適切かつ良好な維持・管理・リフォーム等を推
進することにより、住まいの質の向上を図り、ストック活用による住まいづくりを進めます。
① 優良な住宅・住宅地の誘導
新たに建設される住宅について、住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度の普及を図る
など、質の向上を誘導し、次代につなぐ優良な住宅ストックを形成していきます(図6-7)。
新たに開発される住宅地については、開発指導要綱による規制・誘導等により、優良な開
発を誘導します。
【重点】 長期優良住宅認定制度の普及促進
図6-7 長期優良住宅認定制度の概要(木造戸建て住宅における基準の例)
資料:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会ホームページ
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② 環境に配慮した住宅の整備
地球環境問題や資源に対する影響を低減させるため、地球環境に配慮した省エネルギー性
能が高い住宅や設備、地域産材の利用拡大を図るための支援制度等についての情報提供や、
低炭素建築物認定制度の普及を図ります(図6-8)
。
【重点】 低炭素建築物認定制度の普及促進
図6-8 低炭素建築物認定制度の概要
資料:一般社団法人日本サステナブル建築協会(JSBC)発行パンフレット(国土交通省住宅局監修)
奈良市環境キャラクター
「ルリ」くん
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③ ストックの維持・保全・再生
既存の住宅ストックについて、リフォーム等の適切な維持・保全に関する情報提供を行う
など、住まいの長期的な利用を誘導します。
既存住宅の円滑な流通を促進するため、住宅の取引等における消費者保護の視点から、安
心・納得して既存住宅を売買することを目的の一つとした住宅性能表示制度や維持管理の履
歴情報を蓄積する仕組み(なら住まいるカルテ)などについて情報提供を行います。
また、空き家の有効な活用方法を検討するとともに、「ならまち町家バンク」などの取り
組みやマイホーム借上げ制度などの住み替えに対する支援制度などについて情報提供・普及
啓発を行います(図6-9)
。
図6-9 マイホーム借上げ制度の概要
資料:一般社団法人
46
移住・住みかえ支援機構(JTI)ホームページ
④ マンションの適正な維持管理支援
マンション管理の適正化を推進するため、奈良県マンション管理適正化推進協議会を通じ
て、関係団体との情報交換・連携を図ります(図6-10)
。
また、マンションの適正な維持管理のための情報提供などについても検討します。
図6-10 奈良県マンション管理適正化推進協議会
【協議会の目的】
「地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法」に基づき、奈良
県における住宅に対する多様なニーズに的確に対応し、公的賃貸住宅等の整備や良好な居住環境の維
持・再生等に関し必要となるべき措置について協議すること
【構成会員(20自治体、2団体)
】
奈良県、県内市町村、NPO法人奈良県マンション管理組合連合会、奈良県マンション管理士会
【主な事業】
マンション管理基礎セミナー
安心で快適なマンションライフが保てるよう「区分所有建物を管理すること」に理解いただき、「自分たち
でマンションを管理する」ことを知っていただくためのセミナーを開催。一般の方が対象。
マンション管理無料相談
マンション管理士が管理組合の運営やマンション
の修繕や日常生活に関わるトラブルとその対処な
どの相談に応じる。
協議会内研修
協議会各団体の担当者等に管理適正化に関する
研修を行う。
資料:奈良県マンション管理適正化推進協議会パンフレット
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3 誰もが安心して暮らせる住まい・まちづくりに向けて
(1) 高齢者や障がい者が自立して暮らせる住まいづくり
より一層の高齢化の進行が想定される中、高齢者や障がい者等が安心して自立した生活を
送ることができるよう、高齢者や障がい者等の生活に配慮した住宅供給や住宅改善を促進す
るとともに、福祉施策等と連携した自立生活の支援に努めます。
① 高齢者・障がい者等に配慮した住宅の供給
高齢者や障がい者等に配慮した仕様や設備を備えた住宅の供給を促進するとともに、福祉
部局等と連携し、老人ホームやグループホーム、ケアホーム等の整備事業を推進します。
また、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供
する「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の普及啓発に努めます(図6-11)。
【重点】 サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の普及促進
図6-11 サービス付き高齢者向け住宅の登録基準の例
資料:サービス付き高齢者向け住宅パンフレット(国土交通省・厚生労働省)
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② 高齢者・障がい者等に配慮した住宅改修の支援
介護保険制度及び障がい者等の日常生活用具給付制度による住宅改修費助成制度や高齢
者向け返済特例制度について情報提供を行います(図6-12)
。
図6-12 日常生活用具給付制度による住宅改修費助成制度及び高齢者向け返済特例制度
日常生活用具給付制度
在宅の障がい者等の日常生活を容易にするため、日常生活用具を原則1割の自己負担で給付す
る制度。
●給付対象用具 小規模な住環境の改善を行う居宅生活動作補助用具(手すり、スロープ等)
●対象
用具の購入及び工事費(介護保険制度優先、上限額 20 万円)
高齢者向け返済特例制度
満 60 歳以上の方が自ら居住する住宅にバリアフリー工事または耐震改修工事を施すリフォー
ムを行う場合に、返済期間を申込本人(連帯債務者を含む)の死亡時までとし、毎月の返済は
利息のみ支払い、借入金の元金は申込本人(連帯債務者を含む)が亡くなったときに一括して
返済する制度。
高齢者向け返済特例制度(バリアフリー工事・耐震改修工事)の特徴
特徴1
特徴2
特徴3
特徴4
特徴5
月々の返済は利息のみとなり、月々の負担を低く抑えられる
元金は死亡時の一括返済
融資限度額は 1,000 万円
高齢者住宅財団が連帯保証人になる
バリアフリー工事または耐震改修工事を含むリフォーム工事を行う場合の融資である
●バリアフリー工事は次のいずれかの工事※が対象
資料:高齢者向け返済特例制度パンフレット、住宅金融支援機構ホームページ
③ 高齢者・障がい者等の生活の支援
高齢者や障がい者等が自立して生活するため、福祉部局等との連携による住み慣れた地域
で安心して生活ができるような生活支援サービスの充実を図り、必要な器具等の提供や暮ら
しに関する情報提供、相談業務等の充実を図ります。
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(2) 誰もが暮らしやすい住まい・まちづくり
誰もが暮らしやすい住まい・まちづくりに向け、住まいのバリアフリー化を促進するとと
もに、低額所得者をはじめ、高齢者や障がい者、ひとり親世帯、子育て世帯、外国人など、
住宅の確保に特に配慮を要する世帯に対し、民間の賃貸住宅への入居の円滑化に取り組みま
す。
① バリアフリー化の促進
奈良県住みよい福祉のまちづくり条例等にもとづき、住まいの内部はもちろん、共同住宅
の共用部分や住まいをとりまく住戸周りの道路空間等についてもバリアフリー化を進め、人
にやさしい住まいづくりを進めます。
② 民間住宅への入居の円滑化支援
高齢者や障がい者、ひとり親世帯、子育て世帯、外国人などに対して、民間賃貸住宅への
入居の際の家賃債務保証等による民間賃貸住宅への入居支援制度を促進することにより、高
齢者世帯等の民間賃貸住宅への入居の円滑化を図ります(図6-13)
。
図6-13 家賃債務保証制度の概要
借家入居者
賃貸契約
対象:高齢者世帯、障が
い者世帯、子育て世帯等
家賃債務保証の申込
基本約定締結
家主
高齢者住宅財団
家賃債務保証
(最大2年間)
資料:高齢者住宅財団パンフレット
③ 健康に配慮した住宅の誘導
住宅建材・設備の多様化にともなう居住者の健康等に対する安全性を確保するため、結露
やカビ対策、シックハウスの要因となるホルムアルデヒト等の化学物質やアスベスト等につ
いての情報を提供します。
また、建築物の吹き付けアスベスト等の分析調査に対する支援等を行うことによりアスベ
スト等による被害を防止します。
50
(3) 公的賃貸住宅を活用した居住の安定の確保
急激に変化する社会経済状況のもと、公営住宅については、著しい住宅困窮世帯等に対す
るセーフティネットとしての機能の確保や長期的な視点から世帯数の減少に備えた住宅管
理戸数の見直しの検討といった課題等に取り組みます(図6-14)
。
図6-14 市営住宅の様子
① 公的賃貸住宅の適切な維持管理と長寿命化の推進
市営住宅ストック総合活用計画等にもとづき、今後も市営住宅が柔軟に市民のセーフティ
ネットとしての機能を果たせるよう、公的賃貸住宅の適切な維持管理及び長寿命化に取り組
みます。公的賃貸住宅等の整備や居住環境の維持・再生について、県や周辺市等との連携を
推進するため、奈良県地域住宅協議会等を通じて、情報交換・連携を図ります。
図6-14 奈良県地域住宅協議会の概要
【協議会の目的】
奈良県における住宅に対する多様なニーズに的確に
地域住宅
部会
対応し、公的賃貸住宅等の整備や良好な居住環境の維
持・再生等に関し必要となるべき措置について協議する
ことを目的としています。
公的住宅
部会
【構成会員】
住宅セー
フティネ
ット部会
奈良県、県内市町村、都市再生機構など
【組織】
住生活
部会
会長/奈良県知事
住環境
整備部会
副会長/奈良市長
② 公平・公正な入居者管理の推進
限られた市営住宅の戸数に対し、重層的な住宅セーフティネット構築の視点から、公的住
宅を必要とする低額所得者、高齢者世帯、子育て世帯等が安心して生活できるよう、公平・
公正な入居者管理の推進を図ります。
また、市民ニーズ等を踏まえた新たな優先枠の検討や障がい者等の低層階への住み替え支
援などにも取り組みます。
51
4 地域別のマネジメントの方向性
基本目標の実現に向け、1~3において体系的に施策を整理しましたが、中には複数の基本目標
に関わる施策や特定の地域を対象とした施策などもあります。そのため、本節では「地域別のマネ
ジメント」という視点から、1~3で整理した体系に横串をさすイメージで施策を再整理します。
(1)地域別(住宅地類型別)のマネジメントの考え方
本市には、成り立ちの異なる多様な地域・住宅地があります(図6-15)
。基本理念として掲げる
「奈良スタイル」を創造していくためには、市域としての一体性に配慮しつつも、各地域の多様な
個性を生かした魅力ある住まい・まちづくりを推進していくことが重要です。
そこで、それぞれの地域事情に応じたきめ細やかな住まい・まちづくり政策を展開していくため
に、市内の代表的な4つの住宅地を例にとり、各地域で想定される課題や今後の取り組みの方向性
について整理します。これら想定される課題等に対しては、行政が主体となる取り組みだけで解決
を図ることには限界があることから、市民等が主体となった住宅地のマネジメント活動を支援して
いきます。
図6-15 主な住宅地の類型とおおよその位置関係
歴史的な町並みが
残る住宅地
世界遺産をはじめとする文化遺産に囲まれ、古都奈良の中心として歴史的環境と調和した
本市を代表する地域。周辺には行政機関や各種の文化施設、商業施設等の集積もみられる。
計画的な開発地
(ニュータウン)
大阪近郊の良好な住宅地として計画的に開発され、発展してきた地域。市北部の平城ニュ
ータウン周辺では共同住宅と戸建て住宅、近鉄学園前駅周辺では戸建て住宅が中心となっ
た住宅地が形成されている。
農住共存地
市域南部など都市部近郊に広がる、自然環境に富み、住宅と農地等が共存する地域。平地
部には都市基盤が未整備なまま、小規模な住宅開発による市街化のおそれがある。
東部地域、都祁地
域、月ヶ瀬地域の
集落地
市域東部の山間部に広がる、森林と農地が大部分を占め、起伏に富んだ豊かな自然と歴史
に育まれた地域。市域の中でも特に人口減少や高齢化の進行が著しい。
計画的な開発地
(ニュータウン)
中部
西北部②
月ヶ瀬
西
北
部
①
歴史的な町並み
が残る住宅地
東部
中央市街地
東部地域、
都祁地域、
月ヶ瀬地域
の集落地
南部
都祁
農住共存地
52
(2)地域別(住宅地類型別)の方向性
① 歴史的な町並みが残る住宅地
当地域では、歴史的景観や自然環境に配慮し
つつ、「都市景観形成地区」を核として伝統的
な町並みの保全・整備を推進していきます。特
に住宅は歴史的な景観資源であると認識し、景
観面に配慮した住宅の誘導に努めます。
当地域では、既に地域住民等によるまちづく
り活動が盛んなことから、今後も地域が主体と
なったエリアマネジメント活動を支援すると
ともに、歴史と現代を融合させた新しい文化の
創造・発信に積極的に取り組みます。
一方、木造住宅等の老朽化の進行や狭あいな
道路が多く存在するなど防災上・避難上の課題
も多く有しているため、公園などのオープンス
ペースの確保に取り組みます。
また、高齢化の進行も顕著であることから、
多様な世代の交流を促進し、地域コミュニティ
の維持・再生を図るため、若い世代や子育て世
帯の住み替えや持家取得等に対する支援を検
討します。
② 計画的な開発地(ニュータウン)
当地域では、道路などの基盤は比較的整い、
良好な住環境が形成されているものの、開発時
期に合わせて居住者の年齢層が偏る傾向があ
り、高齢化の著しい地域も見られます。閑静な
住宅地としての住環境は維持しつつ、多様な世
代の交流によるコミュニティバランスの回
復・維持を図るため、若い世代や子育て世帯の
住み替えや定住化を促進します。
比較的新しく開発された住宅地については、
世代を超えて引き継がれる魅力的な居住環境
の形成を目指して、良質な住宅ストックや良好
な住環境の創出・維持に努めます。
53
③ 農住共存地
農地は原風景として潤いのある景観を育む
一方、災害時においてはオープンスペースとし
ての機能も有しています。そのため、都市近郊
農業の振興に努めるとともに、貴重な自然空間
として農地を保全し、農地を活かした地域づく
りを目指します。
当地域では、道路や公園などの公共施設の整
備が不十分であるため、スプロール的な開発や
ミニ開発を防止し、周辺の田園環境と調和した
住宅・住宅地の誘導に努めます。
④ 東部地域、都祁地域、月ヶ瀬地域の集落地
当地域では、集落の活力維持のため、無秩序
な開発は抑制し、日常的な生活利便性の向上を
図りつつ、田園まちづくり等の取り組みや、環
境と共生した住宅デザインの検討など、豊かな
自然環境との調和した集落の形成を図ります。
また、周辺市町へのアクセス性を生かし、地
域の田園・自然環境を活かした交流型の住ま
い・まちづくりを目指します。
54
第7章
施策の推進に向けて
1 市民や民間事業者等との連携・協働
住まい・まちづくり政策は、時代の流れとともに、住宅単体から住宅を取り巻く住環境へ、
またハード面だけではなくソフト面も含めた政策へと、その対象領域や求められる役割が拡
大しています。
市民の暮らしを支える住まい・まちづくり施策を総合的かつ多面的に推進し、基本理念で
ある「古都奈良の魅力と地域の個性を活かした『奈良スタイル』の創造」を実現していくた
めには、市民、自治組織やまちづくり協議会、住まい・まちづくりに関する民間事業者、関
連業界団体、NPO、大学等の研究機関などとの協働が不可欠です。
そのため、情報の収集・発信、ネットワーク化の支援に取り組むとともに、市民や民間事
業者等との適切な役割分担のもと連携しながら住まい・まちづくりに取り組みます。
2 庁内推進体制の構築と適切な進捗管理
住まい・まちづくり政策を推進していくにあたっては、都市計画をはじめとする各種まち
づくり部局はもちろん、福祉、教育、文化、産業、環境などの部局との連携が欠かせません。
そのため、住まい・まちづくりに関わる施策間の連携・調整等にあたり、行政内部の横断的
な推進体制として、
「住生活基本計画庁内連絡調整会議(仮称)
」を設置します。
「住生活基本計画庁内連絡調整会議(仮称)」では、庁内関係課の各種施策に関する情報
共有や連携・調整を図るとともに、進捗状況の検証、課題と対応方策の検討、必要に応じた
施策の見直し等を行い、適切な事業の実施を図ります。
また、住生活基本計画の内容や住まい・まちづくりに関する取り組み状況を、ホームペー
ジや広報誌等を活用してわかりやすく発信します。
○成果指標の考え方について
住まいの満足度、住環境の満足度、定住意向(奈良市に住み続けたい市民の割合)
などの市民意識について、向上させていくことを目標とします
3 国・県・その他関係機関等との連携
住まい・まちづくりに関する課題に対応し、効果的、効率的に住まい・まちづくり政策を
推進していくため、国、県、都市再生機構、周辺市町等の関係機関との連携を図ります。
55
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