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日本統計学会誌
第 39 巻, 第 2 号, 2010 年 3 月
181 頁 ∼ 209 頁
大規模個票データを使った白内障手術における在院日数の分析
縄田 和満∗ ,川渕 孝一†
An Evaluation of the Length of Hospital Stay for Cataract Surgeries
Using the Large Scale Individual-Level Survey Data
Kazumitsu Nawata∗ and Koichi Kawabuchi†
本論文では,白内障手術における在院日数の分析を行った.まず,白内障手術に在院日数に影
響する要因を新たに提案されたモデルを使い,68 病院に入院した単眼に白内障手術+レンズ挿入
術を行った 9,179 名の患者を対象として分析した.性別,年齢,冬期ダミー,併存症・合併症の
数,いくつかの主病症のタイプ,付属する手術が在院日数に影響していること,これらの要因を
考慮しても病院ごとの在院日数には非常に大きな差があることが認められた.次に, 推定結果に
基づき現在の DPC による包括支払制度と米国等で用いられている DRG/PPS を組み合わせた
新しい報酬支払制度の評価を行った.制度の評価には 10 病院のデータを加えた 78 病院 10,970
名の患者のデータを用いた.この結果 i)7 日以上といった長期の入院を減らすだけでは十分な診
療報酬費の削減にはつながらないこと,ii) 小規模の制度変更であっても,いくつかの病院にとっ
ては経営上の問題を引き起こす可能性があることが示唆された.
In this paper, we analyze the length of hospital stay for cataract surgeries. First, the factors
which may affect the length of hospital stay are analyzed using a newly proposed model. The
data of 9,179 patients, who underwent cataract surgeries and insertions of prosthetic lenses in
one eye only, collected from 68 hospitals are used. The factors which may affect the length of
stay are analyzed. We find that the sex, age, winter dummy, numbers of concurrent diseases
and complications, some types of principle diseases, and other surgeries are factors affecting
the length of stay. We also find that there are surprisingly large differences in lengths of stay by
hospitals even after considering these factors. A new payment system, which is a combination of
the current DPC based payment and DRG/PPS systems used in the USA and other countries,
is evaluated using the result of estimation. For the evaluation, the data of 10 hospitals are
added, and the data of 10,930 patients collected from 78 hospitals are used. The findings
are i) a system which eliminates only long term hospitalizations does not sufficiently reduce
the medical payments, ii) even if a change of the system is small, it may cause the financial
difficulties for some hospitals.
キーワード: DPC, 包括払い制度,白内障,眼科手術,在院日数
∗
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻,〒 113-8656 文京区本郷 7-3-1 (E-mail: [email protected],ac,jp).
†
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医療経済学分野,〒 113-8549 文京区湯島 1-5-45 (E-mail:
[email protected]).
182
1.
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
はじめに
我が国においては,2005 年に 33 兆円であった国民医療費が,将来は 2015 年に 44 兆円,
2025 年に 56 兆円になるとされており(厚生労働省(2006a,b)),人口の高齢化などに伴う
医療費の急増が大きな問題となっている.このため,長期入院の解消によるコスト削減を
図るため,平均在院日数の短縮化が国の政策的課題になっている.急性期病床における平
均在院日数についてみると,2005 年においてドイツが 10.2 日,フランスが 13.4 日,イギ
リスが 7.0 日,アメリカが 6.5 日であるのに対し,日本は 19.7 日(一般病床)であり,これ
らの国々と比較して 2∼3 倍程度と際立って長くなっている(厚生労働省(2007),OECD
(2007)
)
.
2003 年 4 月から,DPC(Diagnosis Procedure Combination,診断群分類)による包括
支払制度が,82 の特定機能病院に対して導入され,2004 年 4 月より,(導入を希望し一
定の条件を満たす)一般病院に対して順次制度の施行が開始されている(Okamura et al.
(2005)
)
.包括払い制度の導入は,世界的な傾向であり,米国等では一入院当たりの包括支
払制度である DRG/PPS(Diagnosis Related Group/Prospective Payment System,診断
群別定額払い方式)が採用(松田(2006)
)されている.DPC は我が国独自の診断群分類
であり,患者を 14 桁の診断群分類番号によって分類する.最初の 6 桁は患者の主傷病名を
表し,WHO(World Health Organization,世界医療保健機構)によって公表されている
国際的な疾病の分類法である International Classification of Diseases の 10 版 (ICD-10)
に基づいて決定される.ICD-10 は傷病をアルファベット 1 文字と 3 桁までの数字のコー
ドで分類している.なお,主傷病名は入院の契機となったものでなく,最も医療資源を投
入した傷病名により決定される.DPC の 7∼14 桁までの 8 桁は,患者や診療に関する情報
を表している.包括支払の対象となる分類数は最初は 1,860 であったが,現在では,1,572
分類となっている.我が国の DPC による包括支払制度の特徴は,i) 一日当たりの定額制
である,ii) 完全な包括支払制度ではなく,DPC による包括評価部分と従来の出来高評価
部分に分かれており,DPC による包括評価部分は,ホスピタル・フィー (hospital fee) の
部分に限られており,他のドクタル・フィー (doctoral fee) などの診療行為の部分は従来
の出来高評価部分で,混合支払制度となっている点である.具体的には,包括評価部分は
基本入院料,検査,画像診断,投薬,注射,処置(1,000 点以内,1 点につき 10 円が診療
機関に支払われる)
,リハビリ等で使用した薬剤料のみであり,他は,従来の出来高評価部
分となる.DPC による包括評価部分の支払点数は,
(疾患や入院中の手術名,処置の軽重
によって決定される)DPC コードごとに,基準となる入院期間(入院期間 I,入院期間 II,
特定入院期間)が定められており,包括評価部分の1日当たりの支払額は在院日数が長く
なるに従って低くなるように設定されている1) .
白内障手術における在院日数の分析
183
DPC による包括支払制度の導入は診療報酬支払における大改革であるが,医療の標準
化を通して在院日数の短縮をはかることを大きな目的の1つとしている.このため,在院
日数の分析は今後の医療資源の有効活用のために必要不可欠となっている.中央社会保険
医療協議会の DPC 評価分科会(2005, 2006)では「DPC 導入の影響評価に関する調査及
び評価について」を公表している.また,安達直人(2005)
,Yasunaga et al.(2005)
,秦
(2006)
,山口(2006)
,福井(2007)
,池田・小林(2007)
,岡本他(2007)
,清水他(2007)な
どは各種の傷病における在院日数などの分析を試みているが,患者の属性の違いなどを考
慮した計量モデルによる分析は行われおらず,また対象も数病院程度に限られている.病
院ごとの在院日数の分析は今後の診療報酬体系などを考える上で非常に重要な問題である.
しかしながら,ただ単に患者の在院日数を比較するだけでは不十分である.例えば,重症
患者や特別な介護を必要とする高齢患者を多く扱う病院では必然的に平均在院日数が長く
なってしまう.また,主な手術(最も医療資源が投入された手術)に加え付属する手術を
行った場合も在院日数が長くなることが予想される.このため,年齢・性別・重症度等の
患者の属性や付属する手術等の処置の違いを考慮した分析が必要である.
DPC の導入と同時に,各種の医療情報の電子化が行われたため,患者の大規模な個票
データを使った分析が可能となってきている.本論文では,白内障手術(DPC カテゴリー
コード 020110)における在院日数を大規模個票データを使って分析する.我が国において
は,人口の老齢化に伴い白内障手術が増加しており,多くの手術が行われている.
「社会医
療診療行為別調査」
(厚生労働省(2008)
)によれば,6 月審査分の白内障手術の実施件数は
平成 18 年には 61,838 件,診療報酬の総額は 2,1145,778,903 点となっている.年間の総手
術数は 80 万件程度,支払総額は 2,500 億円程度となっていると推定され,我が国の医療費
のかなりの部分を占めており,医療費の問題を考える上で重要な傷病となっている.白内
障手術は,標準化されており,緊急性も低く,日帰り手術も可能であるなど(杉田(2004)
,
鈴木・千種(2004)
)術後合併症・感染症等の危険性も低い.このため,欧米ではほとんど
の白内障手術は日帰りまたはごく短期間の入院およびその後の通院による治療となってい
1)
入院期間 I は在院日数の 25%パーセンタイル点,入院期間 II は 50%パーセンタイル点である平均在院日数,
特定入院期間は平均在院日数+2 ×標準偏差である.1日当たりの包括支払点数は,以下の通りである.(支
払いはすべて,定められた期日の前日までが基準.)
1. 期間 I の前日まで:平均在院日数以下の患者の1日当たりの平均点数の 15%増の点数.
2. 期間 I と期間 II の間:(期間 I の一日当たり支払額−1日当たりの平均点数)×(期間 I の日数)=
(1日当たりの平均点数−期間 II の1日当たり支払点数)×(期間 II −期間 I)となる点数.
3. 特定入院日期間前日まで:2 の 15%減の点数.
4. 特定入院日以後:従来の出来高払い点数.
なお,病院へ実際に支払われる診療報酬は,医療機関別係数を掛けた値となる.医療機関別係数は入院加算
等基本料等係数と調整係数の和で,調整係数は各病院が前年並みの収入を確保できるように設定された係数
である.
184
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
る.一方,我が国においては,日帰り手術等も行われるようになってきてはいるが,患者
が長期間入院することが特徴となっており,在院日数の分析が特に重要な課題となってい
る.縄田他(2008)は, 2004 年 7 月 ∼2005 年 9 月に収集された 1,225 名の患者のデータを
使って,患者の属性の違いなどを考慮した計量モデルによる白内障手術のデータの分析を
行った.その結果, 患者の属性の違いなどを考慮しても病院ごとの在院日数に非常に大き
な差が認められることを指摘した.しかしながら,i) 対象病院が 16 病院と比較的少数の病
院の分析に留まっていること,ii) 病院間の在院日数の分散の違いが分析されていない,iii)
得られた尤度関数がパラメータの複雑な関数となるため多くの対象病院を含む大規模個票
データでは推定が非常に困難である,といった問題がある.本論文では,尤度関数の近似を
考えることによって,最小二乗法によって既存のパッケージ・プログラムでも推定可能な
モデルを新たに提案し,それを用いて,白内障における在院日数に影響を与える要因を分
析する.このモデルは,Cox(1972)の比例ハザードモデル(Proportional hazard model)
などの既存のモデルの代替モデルとなるものである.モデルを使った分析は,DPC 対象と
なっている 68 病院において,片眼に白内障手術・眼内レンズ挿入術を行なった 9,179 名の
患者のデータを用いた.さらに,DPC による包括支払制度と DRG/PPS を組み合わせた
政策を対象に,診療報酬支払制度を変更した場合の影響の評価を行った.制度変更の影響
の評価に関しては,10 病院のデータを加えた 78 病院 10,970 名の患者のデータを用いた.
2.
データおよび分析モデル
2.1
在院日数の分析モデル
在院日数は 1,2,3,. . . を取る離散型の変数であり,また,長期間入院する一部の患者が存
在する.このため,単純な最小二乗法などを使った分析は適当でないと考えられる.生存
時間解析には,Cox (1972)の比例ハザードモデルが幅広く用いられる.例えば,縄田他
(2006)は,離散型の比例ハザードモデルの用いて在院日数の分析を行っている.比例ハ
ザードモデルは幅広く使われている方法であるが(モデルの詳細については,中村(2001)
などを参照せよ)
,次に述べるような問題点がある.第一は,在院日数を決定する過程が明
示的にモデル化されておらず,なぜ,患者がある日数で退院するかといった詳細な分析が
できない点である.第二は,ベースライン・ハザード関数に不均一性があるなどのモデル
の仮定が満足されない場合には利用できない点である.このことは,平均在院日数や患者
の属性などが似たような病院であっても,分散の値が大きく異なる場合などには,比例ハ
ザードモデルによる分析は適当でないことを意味している.縄田他(2008)は,Nawata et
al.(2006)によって提案されたモデルを病院収益に応用したモデルを用いて在院日数の分
析を行った.しかしながら,このモデルでは,i) 病院間の在院日数の分散には非常に大き
な違いが認められるが,その違いが考慮されていないこと,ii) 尤度関数は未知のパラメー
185
白内障手術における在院日数の分析
タに関して複雑な関数となっており,本論文で扱うデータのように多くの病院を対象とす
る場合,推定が非常に困難であるという問題点がある.このため,ここでは,縄田他のモ
デルを改良した標準的なパッケージ・プログラムでも推定可能な方法を新たに提案する.
ここで,病院 i には人の患者が入院して手術を受けたものとする.病院 i の患者 j に関
する収入を bij ,病院の費用(直接の支払いに加えて,在院期間が長期間になることなどに
よる病院評価の減少分の資産価値を含むとする)を cij であるとする.x1ij ,x2ij を病院の収
入・費用に影響する説明変数からなるベクトル,t を在院日数,u1ij ,u2ij を誤差項とし,
bij = b(t, x1ij , u1ij ),
(2.1)
cij = c(t, x2ij , u2ij )
とする.ここで,bij ,cij が在院日数tおよび説明変数の関数の積として,
bij = bI (t)bII (x1ij , u1i ),
(2.2)
cij = cI (t)cII (x2ij , u2i )
であるとする.現在の制度では同一の患者に対して同一の手術・措置を行った場合,各病院
が受け取る診療報酬は在院日数に対して,
(医療機関別係数が存在するため実際の支払金額
は異なるが)同一のパターンに従う.また,白内障手術は標準化されているため各病院での
手術後の治療・措置(平戸(1999)
,松島博之(2003)
)もほぼ同一であり,費用も(人件費や
病院が購入する物品の価格水準等によって金額は異なるが)同一のパターンに従うと考え
られる.このため,白内障においてはこの仮定は適切であると考えられる.xij を x1ij ,x2ij
に含まれる説明変数からなるベクトルとし,限界収入と限界費用の比を g(t, xij , u1ij , u2ij )
とすると,
log g(t, xij , u1ij , u2ij ) = log gI (t) + log gII (xij , u1ij , u2ij )
(2.3)
と表すことができる.log gI (t) は t の単調増加関数であり,log gI (t) → ∞, t → ∞ を満た
す関数であるが(脳疾患や心臓疾患などと異なり白内障ではすべての患者が退院しており,
この仮定は妥当なものであると考えらえる),ここでは,
log gI (t) = tα ,
α≥0
(2.4)
とする.在院日数の長い患者が存在する場合は,α < 1 となる.通常の回帰モデルと同様,
log gII (xij , u1ij , u2ij ) を説明変数の線形結合・誤差項の和とすると,退院の決定に関するに
関する式
zij ≡ log g(t, xij , vij ) = tα − (x0ij β + vij ),
vij = u1ij + u2ij
α ≥ 0,
(2.5)
186
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
を得ることができる2) .病院ごとに在院日数の分散が大きく異なることを考慮して,vij は
平均 0,分散 σi2 の正規分布 N (0, σi2 ) に従う確率変数とする.なお,x0ij β の値が大きいほ
ど在院日数が長くなるようにするため,(2.5) 式ではマイナスを付けて −(x0ij β + vij ) とし
ている.
特別に入院期間の長いごく少数患者の影響を除くため,T 日までの在院については具体
的な在院日数を考慮するが,在院日数が T + 1 日以上の患者に関しては,T 日までに退院
しないという情報のみを使用するものとする.在院日数は,正の整数値のみを取る離散型
の変数であり,病院 i の患者 j が在院日数 tij で退院するための条件は
zij (tij ) ≥ 0,
tij = 1
zij (tij − 1) < 0, zij (tij ) ≥ 0, 1 < tij ≤ T
(2.8)
である.
tij で退院する確率は,

 P [tα − x0 β ≥ v ],
ti = 1
ij
ij
ij
Pij =
 P [(t − 1)α − x0 β < v ≤ tα − x0 β], 1 < t ≤ T
ij
ij
ij
ij
ij
ij
(2.9)
である.ここで,Φ を標準正規分布の分布関数とすると,

 Φ{(tα − x0 β)/σ },
tij = 1
i
ij
ij
Pij =
 Φ{(tα − x0 β)/σ } − Φ[{(t − 1)α − x0 β}/σ ], 1 < t ≤ T
i
ij
i
ij
ij
ij
ij
(2.10)
となる.また,T 日までに退院しない確率は,
P [T α − (x0ij β + vij ) < 0] = 1 − Φ{(T α − x0ij β)/σi }
2)
(2.11)
連続変数モデル tα = x0 β + vij を考えると,α log t = log(x0 β + vij ) である.xk , βk を x, β の第 k 要素と
すると,
∂ log t
1 d log(w + vij ) ∂w dxk
1 βk xk
=
=
∂ log xk
α
dw
∂xi d log xk
α w + vij
(2.6)
w = x0 β
となる.したがって,
∂ log t
1 β k xk
)=
(2.7)
∂ log xk
α x0 β
で あ り ,α は 説 明 変 数 の 在 院 日 数 に た い す る 弾 力 性 を 与 え る( 弾 力 性 の 中 央 値 が
(βk xk の x0 β への影響の割合)/α となる)パラメータとなっている.すでに述べたように、日本の現
在の制度および白内障では病院ごとに収入・費用のパターンにほとんど違いはなく,α の値を病院によらず
∗ ), v ∗ = v /α としてもモデ
に一定とするのは妥当であると考えられる.なお、(tα − 1)/α = (x0ij β ∗ + vij
ij
ij
ルは同一であるから, このモデルは t に関して幅広く使われている Box-Cox(1964) 変換を行ったモデルと
もなっているが、モデルはあくまでも病院収益に関する考察から導出されたもので、分散安定化を直接の目
的として得られたモデルではない.
Median(
187
白内障手術における在院日数の分析
である.したがって,これから尤度関数
L(α, β) =
∏ [
0
Φ{(tα
ij − xij β)/σi }
tij =1
∏
×
]
[
]
0
α
0
Φ{(tα
ij − xi β)/σi } − Φ[{(tij − 1) − xij β}/σi ]
1<tij ≤T
×
∏ [
]
1 − Φ{(T α − x0ij β)/σi }
(2.12)
tij >T
を得ることができる.しかしながら,尤度関数はパラメータの複雑な関数であるので,そ
の推定は容易ではない.
ここでは,既存のパッケージ・プログラムで容易に推定可能な近似法を新たに提案する.
1 次のテイラー展開による近似を考えると
α
0
0
Φ{(tα
ij − xij β)/σi } − Φ[{(tij − 1) − xij β}/σi ]
≈
1
1
1
φ[{(tij − )α − x0ij β}/σi ]α(tij − )α−1
σi
2
2
(2.13)
である.Φ(−x0ij β/σi ) が小さい場合,(2.13) 式は tij = 1 についても成立すると考えられ
る.また,ξ の値が大きい場合,1 − Φ(ξ) = Φ(−ξ) ≈ φ(ξ)/ξ が成り立ち,
1
log{1 − Φ(ξ)}/ log φ(ξ) ≈ 1 − log(ξ)/{− (log 2π + ξ 2 )}
2
(2.14)
である.ξ → ∞ の場合 log{1 − Φ(ξ)}/ log φ(ξ) → 1 であるから,
log{1 − Φ{(T α − x0ij β)/σi } ≈ log φ{(T α − x0ij β)/σi }
(2.15)
となる.したがって,対数尤度関数は
]
∑[
1
log L(α, β) =
log φ[{(tij − )α − x0ij β}/σi ] − log σi
2
tij =1
+
∑
1<tij ≤T
+
1
{log α + (α − 1) log(tij − )}
2
∑ [
]
log φ[{(T α − x0ij β}/σi ]
(2.16)
tij >T
で近似される.
(関数の近似の精度に関しては補遺 A を参照せよ.)
パラメータの推定は次の手順で行うことができる.α が与えられた場合の log L∗ を最大
にする推定量を β̂α∗ とする.(2.16) 式の第 2 項は β に依存しないから,β̂α∗ と漸近分布が同
一である推定量 β̂α は分散が不均一である場合の線形回帰モデルの推定方法を使って求め
ることができる.すなわち,線形回帰モデル

 (ti − 1 )α ,
∗
0
∗
2
yi = xi β + εi , yij =
 Tα
tij ≤ T
tij > T
(2.17)
188
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
表1
病院ごとの患者の在院日数
病院
平均
中央値
標準偏差
歪度
尖度
患者数
1
5.30
5
1.05
1.50
10.04
128
2
6.99
7
2.06
0.67
4.34
79
3
9.27
9
2.95
1.23
4.14
37
4
5.29
5
0.96
1.56
6.28
228
5
5.53
5
1.10
2.39
8.33
47
6
3.55
3
1.23
3.66
18.68
44
7
4.15
4
1.21
0.91
3.13
189
8
3.17
3
0.46
3.17
14.96
40
10
5.47
5
2.50
2.90
13.85
81
11
5.50
5
1.24
1.33
3.48
22
12
6.78
7
0.53
−1.29
5.27
37
13
3.93
4
1.32
−0.34
2.06
86
14
6.69
8
1.71
−0.62
2.29
64
15
3.00
3
0.11
−2.88
79.79
240
16
3.08
3
1.02
5.29
62.37
302
17
4.52
5
2.42
0.61
4.50
144
18
3.54
3
1.07
2.36
12.19
536
19
5.30
5
1.65
9.80
114.44
180
20
4.28
4
1.33
3.39
16.18
46
21
3.28
3
0.79
3.62
17.47
130
22
6.47
6
1.23
1.76
11.16
111
23
3.51
3
0.71
3.34
30.22
293
24
4.00
4
0.24
0.91
54.44
723
26
2.03
2
1.09
3.15
18.76
101
27
3.02
3
0.27
6.02
62.09
375
28
2.89
3
1.17
−0.13
3.12
44
29
2.97
3
0.18
−5.34
29.53
63
30
4.66
4
1.84
1.55
7.01
134
31
7.05
7
1.08
−0.99
4.06
82
32
4.30
3
1.85
0.97
2.71
107
33
2.24
2
0.83
3.93
20.26
119
34
3.71
4
1.21
0.57
4.43
73
35
7.90
8
5.49
0.63
2.61
21
36
3.07
3
0.45
6.40
42.02
44
38
3.01
3
0.25
3.97
44.53
116
39
4.04
4
0.33
8.36
74.42
93
41
4.50
4
0.69
3.96
37.06
464
42
3.84
4
0.46
0.69
14.06
195
43
3.49
3
0.50
0.05
1.00
74
44
4.07
4
0.51
2.32
11.21
42
189
白内障手術における在院日数の分析
(表 1 続き)
病院
平均
中央値
標準偏差
歪度
尖度
患者数
45
3.04
3
0.29
6.56
44.02
46
46
4.16
4
0.64
2.20
17.15
87
47
3.56
3
1.20
2.06
8.92
94
48
5.73
5
2.68
2.89
13.97
48
49
3.85
4
0.79
2.08
15.97
276
50
2.93
3
0.88
3.24
19.68
199
51
4.70
4
1.34
3.83
24.47
235
52
6.44
5.5
3.22
1.21
4.61
32
53
6.08
6
1.58
0.62
6.91
116
54
4.02
4
0.42
0.13
20.83
51
55
4.02
5
1.60
−0.69
2.23
205
56
5.90
6
1.22
1.32
10.77
315
57
3.88
4
1.76
1.75
10.09
137
58
3.01
3
1.11
2.32
13.50
123
59
6.09
6
2.94
5.91
58.76
286
60
10.31
10.5
2.96
2.73
18.24
96
61
1.98
2
0.92
1.15
3.99
239
62
5.66
5
0.98
0.85
1.90
50
63
3.13
3
0.78
3.09
19.02
119
64
3.48
3
1.14
3.09
18.45
230
65
4.25
4
1.65
2.81
15.43
146
67
5.78
4
2.66
1.37
4.24
89
68
4.48
4
2.23
3.16
18.90
402
69
4.14
5
1.27
2.17
15.79
161
70
3.88
4
0.70
2.82
22.74
175
71
5.39
4
2.66
3.04
12.71
33
72
7.40
7
1.12
4.22
25.80
91
73
3.11
3
0.57
5.00
26.04
28
76
5.38
5
2.10
6.00
54.58
183
77
5.09
4
2.24
4.34
27.39
119
78
3.51
3
0.79
2.02
7.94
83
79
3.75
3
1.18
1.66
5.61
68
80
6.56
6
2.16
3.87
17.35
78
81
7.29
7
1.96
1.77
6.14
52
82
5.49
5
3.14
5.02
37.47
128
83
5.23
5
1.08
2.17
8.97
92
84
1.86
2
0.92
2.56
13.28
103
85
4.12
4
1.24
2.45
10.35
26
68 病院
4.46
4
2.08
2.75
24.41
9,179
全病院
4.30
4
1.95
3.01
27.52
10,970
190
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
を考え,その最小二乗推定量を β̂1 とする.次に β̂1 から分散の推定量 σ̂i2 を求める.さら
に,1/σ̂i2 を重みとする加重最小二乗法によって β̂α を推定する.
次に,log L∗ (α, β̂α ) を α に関して最大化することによって,log L∗ を最大にする推定量
α̂, β̂ を求めることができる.ここでは,目的関数が凹関数でなく,複数の局所的な最大値が
ある可能性を考慮して,0 < α ≤ 2 に対して Nawata(1994)によって用いられた scanning
method を用いて推定を行う.α = 1 の場合,(2.17) 式は tij に関する通常の線形回帰モデ
ルとなっている.このことは,在院日数を単純に線形回帰モデルで分析することができる
のは,α = 1 と認められる場合(例えば,仮説検定において H0 : α = 1 が採択された場
合)に限られ,通常は単純な線形回帰モデルでは分析することは適当でないことを意味し
ている.
2.2
データの概要
本論文では,データとして東京医科歯科大学医療経済学分野によって収集されたデータ
を用いる.対象病院は全国 86 病院,調査期間は 2005∼2007 年であり,数十万人分以上の
患者のデータが収集されている.この期間の DPC 対象病院は 2005 年度が 144,2006 年度
で 360 であるから,日本の医療の状況を知る上で貴重なデータベースとなっている.また,
このような多数の病院における大規模個票データを使った計量モデルによる白内障の在院
日数の分析は,これまで行われていない.主な調査項目は,DPC コードおよび患者・処置
に関する情報で,入院日,退院日,生年月日,性別,入院経路,退院先,退院時転帰,主傷
病名,入院目的,副傷病の有無,他の処置,診療報酬などである.我が国においては,白
内障の手術には片眼と両眼を行う場合があり,両眼手術は入院期間が長くなる.このため,
ここでは,片眼に白内障手術+眼内レンズ挿入術(DPC コード 020110xx97x0x0)を行っ
た患者を対象とした.調査期間中にこの手術の報告があったのは 85 病院(hp1–85)であ
る.このうち,7 病院(hp9,25,37,40,66,74,75)は患者数が 20 名以下と少ない.また,10
病院 (hp8, hp15, hp24, hp27, hp29, hp36, hp38, hp39, hp45, hp54) はクリニカルパス(久
保田他(2006)
)等によって在院日数が決めていると考えられ,患者の属性等によらずにほ
とんどの患者(94∼99%)が特定の日数(hp15, hp27, hp29,hp36, hp38, hp45, は 3 日,
hp8, hp24, hp39, hp54 は 4 日)で退院している.このため,モデルによる分析にはこれら
を除いた 68 病院に入院した 9,179 名の患者を対象とした.制度変更の影響に関しては,評
価をより適正に行うため,10 病院のデータを加えた 78 病院 10,970 名の患者のデータを用
いた.(なお,85 病院全体で患者数は 11,032 名である.)
病院ごとの患者数および在院日数の分布は表 1 の通りである.まず,モデルの分析対象
とした 68 病院では,平均在院日数が 4.46 日,標準偏差 2.08 日,歪度 2.75,尖度 4.1,中央
値 4.0 日である.(尖度は正規分布の場合を 0 とする値である.)病院ごとの平均在院日数
191
白内障手術における在院日数の分析
は,最大が 10.31 日(hp60),最小が 1.86 日(hp84)であり,最大は最小の 5.5 倍,日数
にして 8.45 日と大きな差を生じている.また,病院ごとの標準偏差においても最大が 5.49
日(hp35)
,最小が 0.46 日(hp42)となっており,平均ばかりでなく,標準偏差にも大き
な差が認められる.一部の病院の歪度・尖度は大きな値となっているが,これは長期間入
院する患者が存在することを反映していると考えられる.また,全 78 病院では,平均 4.30
日,標準偏差 1.95 日,歪度 3.01,尖度 27.52,中央値 4.0 日となっている.
推定結果
3.
3.1
説明変数
ここでは,次のような変数を在院日数の説明変数として用いた.患者の性別に関しては,
性別ダミー(女性:1,男性:0)を用いた.患者数は女性が 5,287 名,男性が 3,892 名である.
患者の年齢が高くなるほど平均日数が増加する傾向が認められるため,年齢を説明変数と
して用いた.患者の平均年齢は 73.08 歳,標準偏差は 10.51 歳である.縄田他(2006)は寒
冷地における冬期の通院の問題の可能性を指摘している.このため,季節の影響を分析す
るため,冬期ダミー(冬期(12 月 ∼2 月):1,その他:0)を用いた.冬期の患者数は 1,035
名である.この他,患者の状態を表す変数として,併存症数,合併症数,緊急入院ダミー
(緊急入院:1,その他:0)
,全身麻酔ダミー(全身麻酔:1,部分麻酔:0)
,転院ダミー(他病院
へ転院:1,その他:0)を用いた.併存症があった患者数は 1,039 名で,これらの患者の平均
の併存は 1.65 件である.合併症を起こした患者は 183 名で,平均の合併症数は 1.16 件で
ある.緊急入院した患者は 39 名,全身麻酔を行った患者は,58 名,他の病院へ転院した
患者数は 6 名である.
主傷病名の影響は(ICD10 コードの)H250 を基準とするダミー変数を用いた.患者数は
H250 が 5,424 名,H251 が 910 名,H252 が 99 名,H258 が 356 名,H260 が 217 名,H268
が 164 名,H269 が 2,009 名となっている.付属する手術に関しては硝子体手術ダミー,嚢
外摘出術ダミー,虹彩整復・瞳孔形成術ダミー,網膜光凝固術ダミー,角膜手術ダミー,そ
の他眼科手術ダミー,眼科外手術ダミーを用いた.これらの手術を行った患者数は,硝子
体手術が 6 名,嚢外摘出術(後嚢研磨を含む)が 33 名,虹彩整復・瞳孔形成術が 10 名,網
膜光凝固術が 6 名,角膜の手術が 5 名,その他の眼科手術が 10 名,眼科以外の手術が 4 名
である.病院の違いに関しては,モデルに定数項を含めず,各病院ごとのダミー変数(病
院ダミー)を用い,(2.5) 式の x0ij β を
x0ij β = β1 性別ダミー + β2 年齢 + β3 冬期ダミー + β4 併存症数
+ β5 合併症数 + β6 緊急入院ダミー + β7 全身麻酔ダミー + β8 転院ダミー
∑
∑
∑
βm 病院ダミー (3.1)
βk 主傷病名 k ダミー +
βl 付属手術 λ ダミー +
+
k
l
m
192
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
表2
在院日数推定モデルの推定結果
変数
推定値
標準誤差
t値
性別ダミー
0.01478
0.00243
6.0911
年齢
0.00169
0.00011
14.7233
冬期ダミー
−0.02217
0.00407
−5.4522
併存症数
0.01227
0.00224
5.4743
合併症数
0.05441
0.00677
8.0396
緊急入院
0.06828
0.01344
5.0789
全身麻酔ダミー
0.06887
0.01184
5.8193
転院ダミー
0.04698
0.06569
0.7153
H251
−0.02369
0.00570
−4.1578
H252
0.06177
0.01002
6.1675
H258
0.00276
0.00948
0.2911
H260
0.03212
0.00912
3.5221
H268
0.00752
0.01728
0.4351
H269
−0.03400
0.00495
−6.8740
硝子体手術
0.57850
0.03948
14.6514
嚢外摘出術
0.07060
0.01400
5.0422
虹彩整復・瞳孔形成術
0.29461
0.02506
11.7541
網膜光凝固術
0.16104
0.04131
3.8981
σi2
主傷病名ダミー
付属する手術ダミー
角膜手術
0.38969
0.03254
11.9758
その他眼科手術
0.59346
0.02776
21.3813
眼科以外の手術
0.17123
0.08386
2.0418
hp1
1.58763
0.01417
112.0810
0.01716
hp2
1.78270
0.02218
80.3632
0.05204
hp3
2.02525
0.03000
67.4994
0.04524
hp4
1.62480
0.01356
119.8050
0.01427
hp5
1.61336
0.02354
68.5340
0.01373
hp6
1.32669
0.03083
43.0339
0.02645
hp7
1.42388
0.01347
105.6993
0.03029
hp10
1.59331
0.02458
64.8213
0.06179
hp11
1.62146
0.04183
38.7658
0.02141
hp12
1.77541
0.01611
110.2330
0.00471
hp13
1.38349
0.02425
57.0463
0.05415
hp14
1.75468
0.02424
72.3909
0.04146
hp16
1.24490
0.01139
109.3262
0.02500
hp17
1.40951
0.02829
49.8252
0.16346
hp18
1.33413
0.01054
126.6020
0.02575
hp19
1.61389
0.01503
107.3993
0.01315
病院ダミー
193
白内障手術における在院日数の分析
(表 2 続き)
変数
推定値
標準誤差
t値
σi2
hp20
1.45023
0.02733
53.0677
0.02588
hp21
1.28051
0.01661
77.0924
0.01356
hp22
1.73292
0.01489
116.4207
0.01685
hp23
1.34778
0.01030
130.8655
0.01092
hp26
0.98294
0.01993
49.3296
0.05746
hp28
1.21940
0.03861
31.5800
0.08365
hp30
1.47126
0.01759
83.6368
0.04787
hp31
1.80659
0.01697
106.4766
0.01628
hp32
1.43434
0.02236
64.1362
0.06307
hp33
1.09464
0.01984
55.1844
0.02303
hp34
1.36279
0.02091
65.1646
0.04262
hp35
1.73674
0.08532
20.3546
0.28708
hp41
1.50199
0.01019
147.3549
0.00801
hp42
1.39919
0.01007
138.9740
0.00574
hp43
1.32478
0.01187
111.6167
0.00753
hp44
1.43912
0.01383
104.0428
0.00547
hp46
1.47813
0.01416
104.4246
0.00916
hp47
1.35980
0.01822
74.6448
0.03271
hp48
1.63561
0.03390
48.2423
0.05862
hp49
1.42579
0.01154
123.5626
0.01341
hp50
1.22664
0.01181
103.8559
0.02003
hp51
1.51591
0.01334
113.6621
0.02242
hp52
1.62947
0.04287
38.0103
0.09690
hp53
1.68524
0.01772
95.1037
0.03845
hp55
1.37437
0.02339
58.7690
0.10670
hp56
1.70145
0.01267
134.3427
0.02002
hp57
1.36262
0.01897
71.8265
0.06785
hp58
1.25191
0.01720
72.7857
0.04187
hp59
1.65539
0.01466
112.8954
0.04885
hp60
2.08051
0.02655
78.3768
0.03392
hp61
0.98890
0.01521
65.0290
0.05979
hp62
1.64537
0.01790
91.9305
0.01275
hp63
1.30156
0.01424
91.4339
0.01591
hp64
1.32308
0.01339
98.8254
0.02939
hp65
1.47420
0.01830
80.5529
0.04101
hp67
1.63008
0.02692
60.5482
0.07134
hp68
1.45468
0.01400
103.8911
0.06767
hp69
1.43388
0.01422
100.8707
0.03243
hp70
1.39613
0.01110
125.7997
0.01097
hp71
1.58259
0.04853
32.6132
0.05581
194
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
(表 2 続き)
変数
推定値
標準誤差
t値
σi2
hp72
1.83577
0.02300
79.8197
0.01081
hp73
1.26212
0.04596
27.4608
0.00747
hp76
1.60900
0.01581
101.8031
0.02890
hp77
1.57099
0.02092
75.1129
0.03356
hp78
1.33107
0.01606
82.9017
0.01568
hp79
1.37422
0.01992
69.0044
0.02942
hp80
1.75940
0.02976
59.1295
0.02288
hp81
1.81602
0.02443
74.3325
0.02612
hp82
1.59619
0.01961
81.4135
0.05645
hp83
1.60419
0.01508
106.3504
0.01537
hp84
0.96447
0.01873
51.4493
0.05224
hp85
1.40857
0.02491
56.5576
0.01941
α
0.35440
0.00240
147.6667
LogL
−14533.11
とした.また,特別に入院期間が長い患者の影響を取り除くため,T = 15 とした.
(16 日
以上入院している患者は 25 名で,全体の 0.27%である.)
推定結果は表 2 の通りである.在院日数に関する係数の推定値は α̂ = 0.3554 である.標
準誤差は非常に小さいため,α̂ の値は 1 より(常識的な有意水準では)有意に小さく,長期
間入院している患者が存在することが示唆された.性別ダミーの係数の推定値は正の値で
1%の水準で有意で,女性の方が在院日数が長いことが認められた.年齢の推定値は正の値
で 1%の水準で有意であり,高齢になるほど在院日数が長くなることが認められた.冬期
ダミーは負の値で 1%の値で有意であった.これは,冬期における在院日数がむしろ減少
していることを示している.併存症数・合併症数は正の値で 1%の水準で有意であり,併存
症・合併症が在院日数を長くすることが認められた.緊急入院ダミー,全身麻酔ダミーは
正の値で 1%の水準で有意であった.転院ダミーは 5%の水準でも有意でなく,これらが在
院日数に影響しているとは認められなかった.主傷病名に関しては,H251 および H269 が
負の値で,H252,H260 が正の値で 1%の水準で有意であり,これらに関しては在院日数へ
の影響が認められた.一方,他の主傷病名は 5%の水準で有意でなく,これらが在院日数に
影響を与えているとは認められなかった.付属する手術に関しては,すべて正の値で眼科
に関する手術は 1%,眼科以外の手術は 5%の水準で有意であり,これらの手術を行った場
合,在院日数が長くなることが認められた.
病院ダミーの推定値は,最大は 2.0805(hp60)
,最小は 0.9645(hp84)であった.これ
らの値の差は,他の変数の推定値に比較して非常に大きく,性別,年齢,入院経路,退院
白内障手術における在院日数の分析
195
先,主傷病名の違い,付属する手術等を考慮しても,在院日数には病院ごとに非常に大き
な差があることが認められた.さらに,最大の病院と最小の病院は各病院の各病院の分散
σi2 の推定値 σ̂i2 においても,最大が 0.2871(hp35),最小が 0.004714(hp12)と大きな差
が認められ,分散の違いを考慮した分析の必要性が示唆された.
考察
4.
4.1
現行制度下での病院ごとの患者の属性等を考慮した在院日数・診療報酬
病院ごとに平均在院日数が変化したとしても,患者の属性や付属する手術等の違いによ
るものだとするとこれは病院の影響とはいえない.このため,ここでは患者の属性をコン
トロールした場合の在院日数の変化について分析する.モデルの推定結果から,
(最も典型
的な患者である)他の付属する手術を行わず白内障手術+眼内レンズ挿入のみを行った,
73 歳,女性,緊急入院でない通常の入院,他の病院へ転院しない,併存症・合併症のない,
主傷病名が H250 の患者について,病院ごとの平均在院日数を求めたものが表 3 の「平均
在院日数」である.クリニカルパス等の有無に係わらず,病院は制度変更の影響を受ける.
ここでは,より正確な評価を行うため,クリニカルパス等によって入院日が決められてい
ると考えられる 10 病院を加え,これらの病院についてはその日数を在院日数とした.
平均在院日数は全病院では 4.46 日,病院間の標準偏差は 1.61 日である.最も短い病院
(hp84)では,平均在院日数は 1.99 日にすぎない.一方,最も長い病院(hp60)では,平
均在院日数は 10.47 日となる.これは,最も短い病院の 5 倍以上の値で,両病院間の平均
在院日数の差は,8.48 日にもなる.また,各病院の包括支払部分の診療報酬3) は「包括部分
診療報酬(点数)
」の通りである.最大は 20,424 点(hp60)
,最小は 5,088 点(hp84)で,
最大と最小を比較すると,約 4 倍,15,415 点もの差となっている.
4.2
支払報酬制度改革の効果の分析
白内障の平均在院日数は,病院ごとに大きな差がある.これは,現在の一日定額払いで
は,在院日数を減少させるのに十分なインセンティブが存在しないことを反映していると
考えられる.白内障手術においては,術後感染症・合併症等の危険も少なく,検査・処置
等の必要とされる医療資源の投入量は手術後,在院日数が増加するにしたがって,急速に
減少する.例えば,Fedorowicz et al.(2006)は日帰り手術と入院しての手術の間に治療
成果や術後感染症のリスクの有意な差が認められなかったことを報告している.すなわち,
直接的な限界費用は時間の減少関数であると考えられる.病院経営上は,限界収入が限界
費用を上回る限り,ベッドを開けておくより,患者を入院させておく方が有利である.ま
3)
この患者の1日当りの包括支払額は,2005 年において,入院 3 日までが 2,546 点, 4-6 日が 1,882 点,7-10
日が 1,600 点である.
196
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
表3
病院ごとの患者の属性等を考慮した平均在院日数・診療報酬
∗
病院
平均在院日数
包括部分診療報酬 (点数)
病院
平均在院日数
包括部分診療報酬 (点数)
hp1
5.47
12,156
hp45
3.00
7,638
hp2
7.31
15,395
hp46
4.62
10,695
hp3
9.85
19,485
hp47
3.93
9,331
hp4
5.75
12,720
hp48
6.04
13,072
hp5
5.66
12,587
hp49
4.29
10,009
hp6
3.71
8,908
hp50
3.12
7,745
hp7
4.31
10,098
hp51
4.93
11,213
hp8
4.00
9,520
hp52
6.15
13,242
hp10
5.69
12,505
hp53
6.35
13,729
hp11
5.77
12,741
hp54
4.00
9,520
hp12
7.04
14,958
hp55
4.30
9,813
hp13
4.14
9,718
hp56
6.43
13,904
hp14
7.02
14,773
hp57
4.09
9,496
hp15
3.00
7,638
hp58
3.34
8,064
hp16
3.24
7,969
hp59
6.17
13,324
hp17
4.73
10,498
hp60
10.47
20,424
hp18
3.76
8,978
hp61
2.18
5,486
hp19
5.66
12,609
hp62
5.91
13,043
hp20
4.48
10,395
hp63
3.53
8,579
hp21
3.40
8,337
hp64
3.68
8,917
hp22
6.70
14,384
hp65
4.73
10,822
hp23
3.78
9,100
hp67
6.03
13,071
hp24
4.00
9,520
hp68
4.70
10,658
hp26
2.16
5,381
hp69
4.39
10,202
hp27
3.00
7,638
hp70
4.08
9,653
hp28
3.31
7,907
hp71
5.57
12,296
hp29
3.00
7,638
hp72
7.67
15,922
hp30
4.75
10,851
hp73
3.26
8,131
hp31
7.40
15,463
hp76
5.70
12,594
hp32
4.53
10,430
hp77
5.40
12,050
hp33
2.51
6,319
hp78
3.70
8,914
hp34
3.98
9,426
hp79
3.99
9,501
hp35
7.40
15,318
hp80
6.97
14,800
hp36
3.00
7,638
hp81
7.54
15,639
hp38
3.00
7,638
hp82
5.68
12,594
hp39
4.00
9,520
hp83
5.59
12,449
hp41
4.78
10,993
hp84
1.99
5,008
hp42
4.07
9,669
hp85
4.20
9,908
hp43
3.63
8,807
全病院
4.81
10,861
*:白内障手術+眼内レンズ挿入のみを行った,73 歳,女性,緊急入院でない通常の入院,他の病院へ
転院しない,併存症・合併症のない,主傷病名が H250 の患者を対象. hp8, hp15, hp24, hp27, hp29,
hp36, hp38, hp39, hp45, hp54 はクリニカルパス等によって定められていると考えられる在院日数.
197
白内障手術における在院日数の分析
表4
支払報酬制度改正の影響の試算
∗
短縮日数
包括部分診療報酬 (点数)∗
支払点数の減少分 (点数)
なし (現行制度)
4.49
0.00
10,306
0
6
4.22
0.27
9,874
433
5
3.99
0.50
9,445
861
4
3.60
0.89
8,707
1,599
3
2.91
1.58
7,406
2,900
2
1.99
2.51
5,054
5,252
打切り日 (K)
平均在院日数
*:各病院の患者数を重みとする加重平均.
た,在院期間も数日程度と短く,ほとんどが予定入院であるため,在院期間の決定には病
院側の意向が反映しやすい.患者は,在院期間を短縮する便益が,新たに病院を探すため
のコストを上回らない限り手術する病院を変更することはない.このため,病院としては
患者を必要以上に長期間入院させておくという判断を行うことが起こり得る.
ここでは,制度改革によって,どの程度医療費を削減できるかを前項の患者を対象に試
算を行う.分析する政策は,診療報酬の支払い日に上限を設けるものである.すなわち,
打ち切り日を K 日とし,それまではこれまで通りの診療報酬の支払いを行うが,K + 1 日
以降はそれ以上の支払いを行わないとするものである.これは,包括部分の支払額の上限
を定めるもので,米国で行われている一入院当たりの包括支払制度である DRG/PPS と現
状の DPC による一日当たりの包括払い制度を組み合わせたものである4) .提案された制度
のもとでの平均在院日数,包括支払部分の診療報酬は表 4 の通りである.まず,打ち切り
日 K を 6 日とした場合,患者数を重みとする在院日数の加重平均は,4.49 日から 4.22 日
へと 0.27 日減少する.患者一人当たりの包括支払部分の診療報酬の加重平均は 10,306 点
から 9,874 点へ 433 点減少する.
(なお,加重平均の試算にあたっては,特定入院日以降は
特定入院日期間前日と同額の支払いが行われるものとした.
)年間 80 万件程度行われてい
ると推定される白内障手術で同額程度の減少が可能であるとすると,35 億円程度の診療報
酬の支払いの削減となる.すでに述べたように,白内障手術における診療報酬の総支払額
は 2,500 億円程度であるから,1.4%程度の削減に留まる.すなわち,白内障においては,7
日以上といった長期間の入院を減らすだけでは,診療報酬支払額の大幅な抑制には繋がら
ず,効果は限定的なものであることを意味している.打ち切り日を 5 日とした場合,在院
日数・診療報酬の加重平均は 0.50 日,861 点減少する.以下,打ち切り日を 4 日,3 日,2
日とした場合の在院日数は,0.89 日,1.58 日,2.51 日,診療報酬の加重平均は 1,599 点,
4)
我が国においても 10 病院において 1998 年から日本版 DRG/PPS の施行が行われたが,2004 年に中止されて
いる.なお,米国における DRG/PPS 導入の影響分析については Kahn et al.(1990)
,Rogers et al.(1990)
,
Ellis and McGuire(1996),Preston et al.(1997),Dillard and Smith(1999)などを参照せよ.
198
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
2,900 点,5,252 点減少する.すなわち,在院日数の短縮によって,診療報酬の支払額を 200
億円程度減少させるためには,打ち切り日を 3 日とすることが必要であることになる.こ
れは,平均在院日数が 4-5 日である標準的な病院においても 1-2 日程度の短縮が求められ
ることを意味している.
次に,診療報酬の支払額の減少は病院の収入の減少を意味するので,病院経営の観点から
の考察を行う.
(在院日数の加重平均は 4.49 日であるので)打ち切り日を 5 日とした場合,
患者一人当たりの病院の収入の減少は,最大が 9,099 点(hp60)であり,減少幅が 5,000 点
以上が 3 病院,4000–5000 点が 4 病院,3,000–4,000 点が 3 病院,2,000–3,000 点が 8 病院,
1,000–2,000 点が 12 病院,500–1,000 点が 8 病院,100–500 点が 13 病院,100 点未満が 27
病院となっている.すなわち,収入は限られた数病院において大幅に減少し,他の病院に
おける影響は比較的小さいと予測される.もし,新規の入院患者がいないとすると,この
程度の比較的緩やかな改正であっても,特定の病院においては,病院経営上大きな問題を
生じる可能性がある.
5.
まとめ
本論文では,白内障の手術(DPC カテゴリーコード 020110)における在院日数を新たに
提案したモデルを使って分析した.使用したのは,DPC 対象となっている 68 病院におい
て,片眼に白内障手術・眼内レンズ挿入術を行なった 9,179 名の患者のデータである.こ
の結果,患者の属性に関しては性別ダミー,年齢,冬期ダミー,併存症数・合併症数,緊急
入院ダミー,全身麻酔ダミーが在院日数に影響することが認められた.主傷病名に関して
は,H251, H252,H260,H269 の影響が認められた.また,付属する手術を行った場合,在
院日数が長くなることが認められた.病院ごとの平均在院日数は,患者の特性等の違いを
考慮しても,大きく異なった.平均在院日数は病院間で 5 倍以上もの差が認められた.ま
た, 分散の推定においても病院ごとに大きな差が認められ,分散の違いを考慮した分析の必
要性が示唆された.
次に,在院日数に病院ごとに大きなばらつきがあるため,現在の制度を,診療報酬の支
払い日に上限を設けるように変更するように変更した場合の診療報酬の支払額の試算をお
こなった.これには 10 病院の患者を加えた 10,970 人のデータを用いた.この結果,7 日
以上といった長期の入院を減らすだけでは支払額削減の効果は限定的であり,例えば,200
億円程度の削減を行うには,打ち切り日を 3 日程度とし,在院日数が標準的な病院に対し
ても在院日数の削減を求める必要性が示唆された.一方,比較的緩やかな改正においても,
一部の病院に対して大きな収入の減少をもたらし,これらの病院においては大きな経営問
題となる可能性が示唆された.
在院日数の長い病院においては,病院独自の取り組みとして,クリニカルパスの導入,入
白内障手術における在院日数の分析
199
院スケジュユールの適正な管理,適切な医療技術の採用などを通した診療体制の見直しに
よる在院日数の短縮を図る必要があるであろう.また,より良い診療報酬支払制度等の設
計を行うには,在院日数の差がどのような要因(たとえば,国公立・赤十字・医療法人と
いった経営形態の違いや代替病院の有無や気象条件といった地域特性など)を反映してい
るのかの分析も必要であるが,これらに関しての研究は今後の課題である.
謝辞
本論文で使用したデータは,東京医科歯科大学医療経済学分野によって収集されたデー
タである.データの使用に関しては,東京医科歯科大学倫理審査委員会の承認を受けてい
る.本論文に関しては,2 名の査読者の方から貴重なコメントを頂いた.ここに記して感謝
の意を表したい.本研究は,独立行政法人日本学術振興会の科学研究費補助金(基盤研究
(A)
,
「大規模個票データを使った医療情報分析・政策評価の研究」, 課題番号: 20243016)
の交付を受けて行ったものである.本論文に関する問い合わせは,〒 113-8656 文京区本
郷 7-3-1,東京大学大学院工学系究科技術経営戦略学専攻,縄田和満へお願いしたい.
A.
A.1.
補遺
関数の近似の精度について
この分析では,関数の近似を行っている.したがって,近似による誤差の評価を行う必
要がある.Fij (t) = Φ{(tα − x0ij β)/σi } とすると,平均値の定理から
Fij (t) − Fij (t − 1) = fij (t∗ ),
dFij
dF (w) dw
α
fij =
=
= φ(w) tα−1 ,
dt
dw dt
σi
w = (tα − x0ij β)/σi ,
(A.1.1)
t − 1 ≤ t∗ ≤ t
であり,誤差 δ は,
1
1
0
(t∗∗ ){tα − (t − )},
δ = fij (t∗ ) − fij (t − ) = fij
2
2
0
fij
(t) = −φ(w)
(tα − x0ij β)(αtα−1 )2
α(α − 1)tα−2
+ φ(w)
3
σi
σi
(A.1.2)
となる.t∗∗ は t − 1/2 と t∗ の間である.したがって,σi → ∞ の場合,δ → 0 とな
る.図 1–68 は,本文中で考慮した(最も典型的な患者である)白内障手術+眼内レンズ
挿入のみを行った,73 歳,女性,緊急入院でない通常の入院,他の病院へ転院しない,併
存症・合併症のない,主傷病名が H250 の患者において(パラメータの推定値を使って)
Φ{(tα − x0ij β)/σi } − Φ[{(t − 1)α − x0ij β}/σi ](ただし,t = 1 の場合は Φ{(tα − x0ij β)/σi })
200
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
図1
関数の近似値と真の値の比較(Hp12)
図2
関数の近似値と真の値の比較(Hp44)
図3
関数の近似値と真の値の比較(Hp42)
図4
関数の近似値と真の値の比較(Hp73)
図5
関数の近似値と真の値の比較(Hp43)
図6
関数の近似値と真の値の比較(Hp41)
図7
関数の近似値と真の値の比較(Hp46)
図8
関数の近似値と真の値の比較(Hp72)
白内障手術における在院日数の分析
201
図9
関数の近似値と真の値の比較(Hp23)
図 10
関数の近似値と真の値の比較(Hp70)
図 11
関数の近似値と真の値の比較(Hp62)
図 12
関数の近似値と真の値の比較(Hp19)
図 13
関数の近似値と真の値の比較(Hp49)
図 14
関数の近似値と真の値の比較(Hp21)
図 15
関数の近似値と真の値の比較(Hp5)
図 16
関数の近似値と真の値の比較(Hp4)
202
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
図 17
関数の近似値と真の値の比較(Hp83)
図 18
関数の近似値と真の値の比較(Hp78)
図 19
関数の近似値と真の値の比較(Hp63)
図 20
関数の近似値と真の値の比較(Hp31)
図 21
関数の近似値と真の値の比較(Hp22)
図 22
関数の近似値と真の値の比較(Hp1)
図 23
関数の近似値と真の値の比較(Hp85)
図 24
関数の近似値と真の値の比較(Hp56)
白内障手術における在院日数の分析
203
図 25
関数の近似値と真の値の比較(Hp50)
図 26
関数の近似値と真の値の比較(Hp11)
図 27
関数の近似値と真の値の比較(Hp51)
図 28
関数の近似値と真の値の比較(Hp80)
図 29
関数の近似値と真の値の比較(Hp33)
図 30
関数の近似値と真の値の比較(Hp16)
図 31
関数の近似値と真の値の比較(Hp18)
図 32
関数の近似値と真の値の比較(Hp20)
204
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
図 33
関数の近似値と真の値の比較(Hp81)
図 34
関数の近似値と真の値の比較(Hp6)
図 35
関数の近似値と真の値の比較(Hp76)
図 36
関数の近似値と真の値の比較(Hp64)
図 37
関数の近似値と真の値の比較(Hp79)
図 38
関数の近似値と真の値の比較(Hp7)
図 39
関数の近似値と真の値の比較(Hp69)
図 40
関数の近似値と真の値の比較(Hp47)
白内障手術における在院日数の分析
205
図 41
関数の近似値と真の値の比較(Hp77)
図 42
関数の近似値と真の値の比較(Hp60)
図 43
関数の近似値と真の値の比較(Hp53)
図 44
関数の近似値と真の値の比較(Hp65)
図 45
関数の近似値と真の値の比較(Hp14)
図 46
関数の近似値と真の値の比較(Hp58)
図 47
関数の近似値と真の値の比較(Hp34)
図 48
関数の近似値と真の値の比較(Hp3)
206
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
図 49
関数の近似値と真の値の比較(Hp30)
図 50
関数の近似値と真の値の比較(Hp59)
図 51
関数の近似値と真の値の比較(Hp2)
図 52
関数の近似値と真の値の比較(Hp84)
図 53
関数の近似値と真の値の比較(Hp13)
図 54
関数の近似値と真の値の比較(Hp71)
図 55
関数の近似値と真の値の比較(Hp82)
図 56
関数の近似値と真の値の比較(Hp26)
白内障手術における在院日数の分析
207
図 57
関数の近似値と真の値の比較(Hp48)
図 58
関数の近似値と真の値の比較(Hp61)
図 59
関数の近似値と真の値の比較(Hp10)
図 60
関数の近似値と真の値の比較(Hp32)
図 61
関数の近似値と真の値の比較(Hp68)
図 62
関数の近似値と真の値の比較(Hp57)
図 63
関数の近似値と真の値の比較(Hp67)
図 64
関数の近似値と真の値の比較(Hp28)
208
と
日本統計学会誌 第39巻 第2号 2010
図 65
関数の近似値と真の値の比較(Hp52)
図 66
関数の近似値と真の値の比較(Hp55)
図 67
関数の近似値と真の値の比較(Hp17)
図 68
関数の近似値と真の値の比較(Hp35)
1
σi φ[{(t
− 12 )α − x0ij β}/σi ]α(t − 12 )α−1 を t = 1, 2, 3, . . . , 15 に対して計算したものを σ̂i
の値が小さい順に図示したものである.
(図では前者を「真の値」
,後者を「近似値」と表
記している.また,計算は t = 1, 2, 3, . . . , 15 に対してであるが,わかりやすく表示するた
め,折れ線グラフで表示している.
)σ̂i の値が小さい場合においても両者の差は小さく,本
論文で用いたデータでは,(2.13) の近似式を用いても特に問題はないと考えられる.なお,
一般的な近似の精度の解析は今後の課題である.
参 考 文 献
安達直人 (2005). 「脳神経外科をとりまく医療・社会環境 急性期診断群分類別包括評価 (DPC) の実際 包括評
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