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研究目的・内容 ①研究目的と方法 本研究は

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研究目的・内容 ①研究目的と方法 本研究は
【派遣支援期間中の研究計画】図表を含めてもよいので、わかりやすく記述してください。2ページ以内で記述して下さい。
(1)研究目的・内容
①研究目的、研究方法、研究内容についてわかりやすく記述して下さい。
②どのような研究で、何を、どこまで明らかにしようとするのか記述して下さい。
①研究目的と方法
本研究は、近年の気候変動の影響で海洋
フィヨルド
環境変化の著しい北極海において、海洋生
態系の低次課程に位置する動物プランクト
・大西洋、北極海、太平洋と
大洋毎に分布する種が異なる。
・太平洋産種は大型種が多い。
大西洋産種 (小型)
バレンツ海 ノルウェー海
ンを対象として、北極海の太平洋側と大西
C. finmarchicus
洋側で、それぞれどのような変化が起こっ
北極海産種 (中型)
ているかを明らかにすることを目的として
いる。北極海と隣接する 2 大洋では、そ
M. longa
C. glacialis
C. hyperboreus
れぞれ動物プランクトンの生物相(ファ
カナダ海盆
ウ ナ ) が 異 な る 。すなわち、北極海では
太平洋産種 (大型)
ボーフォート海
チャクチ海
カ イ ア シ 類 Calanus hyperboreus 、 C.
1 mm
glacialis および Metridialonga が優占す
るのに対し、大西洋では C.finmarchicus
N. cristatus
M. pacifica
N. plumchrus
N. flemingeri
E. bungii
図3.北極海と隣接する2大洋に優占するカイアシ類の動物相(同一スケール).
が、太平洋では、Neocalanuscristatus、N.plumchrus、N.flemingeri、Eucalanusbungii と M.pacifica
が優占する。これらは互いに体サイズも異なり、北極海産種は中型であるのに対し、大西洋産種は小
型、太平洋産種は大型が多い(図 3)。チャクチ海やフラム海峡など、それぞれの海域と連結する海域では、
北極海産種と両海域産種が互いに混在し、近年では、北極海にて太平洋産種が再生産を行っていることも報
告されている(Matsunoetal.2015)。海洋環境変化が著しい北極海において、隣接する 2 大洋の生物種が
北極海生態系に及ぼす影響を明らかにすることは大変重要である。本研究は、これまで太平洋側北極海の
チャクチ海の動物プランクトンについて研究を行ってきた申請者が、大西洋側北極海のフラム海峡
で採集された動物プランクトン試料の解析を行い、北極海海洋生態系に与える、両隣接海域の生物
群の影響を比較することを目的としている。
受け入れ研究者である Dr.BarbaraNiehoff が所属するドイツの Alfred-Wegener-Institut(AWI)
では現在、北極海のフラム海峡を対象とする研究プロジェクトが進行中で、鉛直多段式採集ネット
である Multi-net による、動物プランクトン鉛直区分採集試料が既にある。また、光学式プランクト
ンカウンター(OpticalZooplanktonRecorder:LOKI)によるデータ取得も済んでいる。申請者は海産カイ
アシ類だけで無く、ヤムシ類、オキアミ類や端脚類に関する種同定技術ももっており、AWI に 3 ヶ月間滞在
し、これらフラム海峡(大西洋側北極海)にて採集された動物プランクトン試料を解析し、その鉛直分布を
チャクチ海(太平洋側北極海)と比較することにより、北極海生態系への両海域の影響を比較研究する。
②何をどこまで明らかにするのか
動物プランクトン相に優占する分類群:カイアシ類、ヤムシ類、端脚類およびオキアミ類を対象に、その
鉛直分布について Multinet 試料を解析することにより明らかにする。3 ヶ月間の AWI 滞在中に、試料解
析を行い、そのデータを日本に持ち帰る。論文執筆等は AWI の受け入れ研究者の Dr.Niehoff と、彼女の
研究室に所属するポスドク(Rita)、日本での受け入れ研究者である平譯享准教授や山口篤准教授と、メー
ル会議を開いて進めていき、1 年後(2018 年)の成果論文発表を行う。論文題名は「ComparativestudyonArctic
zooplanktonecologybetweenAtlanticandPacificsectors」といったもので、査読有り国際誌への発表
を想定している。
(2)研究の特色・独創的な点
①これまでの先行研究等があれば、それらと比較して、本研究の特色、着眼点、独創的な点を記述して下さい。
②国内外の関連する研究の中での当該研究の位置づけ、意義を記述して下さい。
①これまでの先行研究との比較
これまで北極海海洋生態系への隣接する2大洋の影響を比較した研究例として、いくつかの研究例があるが
(Reidetal.2007;Shadwicketal.2009,2011;Coyeretal.2011;Nakamuraetal.2015等)、これ
らは、ある特定の分類群を対象とした地質年代までを含む内容であったり、モデル計算に基づくものであり、
実際に同一の研究者が太平洋側北極海と、大西洋側北極海で採集された、現世の動物プランクトン
試料を両海域とも解析して比較した研究例は無いのが現状である。本研究の特色は、これまで太平洋側
北極海にて十分なキャリアと実績を積み、ノウハウと技術をもった研究者が、大西洋側北極海で採集された
試料を解析し、両海域での比較を行うところに特色がある。見ることは考えることである。おそらく、モデ
ル計算などでは表れない、様々な気づきや発見があり、新しい研究テーマが産まれるものと考えられる。本
研究の着眼点は、同一の研究者が、地理的に大きく異なった海域の動物プランクトン鉛直分布を比較し、そ
の海域差を明らかにするもので、確実に結果が出る(動物相が異なるので、その時点でもう異なっている)
が、気候変動や海洋環境変化が著しい現在、科学的・社会的にも需要のある意義のある研究であり、これま
でにない、独創的な研究であると言える。
②国内外の関連する研究の中での位置づけ
前述のように、北極海生態系への両隣接海域の影響を扱った研究は、いくつかあるものの、現世の生物相
に関する、実際の試料解析に基づく研究は、これまで例が無く、画期的な内容として位置づけられる。
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