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計量器校正情報システム(e-trace)研究開発事業
計量器校正情報システム(e-trace)研究開発事業 -時間・圧力を中心に (横河電機の取り組み)- 横河電機株式会社 技術開発本部 荻田英治 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 1 目 次 遠隔校正e-traceの概要 横河電機の取り組み e-trace詳細 圧力 時間(周波数) 遠隔校正の運用課題 まとめ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 2 遠隔校正e-traceの概要 従来の校正 ①使用不能期間 ①使用不能期間 標準器 校正事業者 (∼数ヶ月) (∼数ヶ月) ユーザ ②輸送リスク ②輸送リスク ③校正値の再現性 ② ③校正値の再現性 管理コスト増加 管理コスト増加 校正の信頼 校正の信頼 度に悪影響 度に悪影響 ③ ① 遠隔校正 GPS, 仲介器 ユーザ 光ファイバ 最新の情報通信技術を 最新の情報通信技術を 校正事業者 駆使して標準供給を速く 駆使して標準供給を速く 、安く、正確に行うことを 、安く、正確に行うことを めざす めざす 校正情報 標準器 校正証明書 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 インターネット 3 遠隔校正e-traceの長所 使用不能期間の解消 使用不能期間の解消 実時間校正 実時間校正 任意の場所で任意の標準へトレースが容易 任意の場所で任意の標準へトレースが容易 ユビキタス: いつでも、どこでも、誰でも ユビキタス:いつでも、どこでも、誰でも ・校正機関への被校正器の輸送不要 ・校正機関への被校正器の輸送不要 ・被校正器を稼働状態で校正可能 ・被校正器を稼働状態で校正可能 ・不確かさの低減 ・不確かさの低減 ・海外工場から日本へのトレース実現 ・海外工場から日本へのトレース実現 計測器管理コストの低減 計測器管理コストの低減 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 4 遠隔校正e-traceの経緯 「計測器校正情報システムの研究開発」 (通称:e-traceプロジェクト) NEDOから産業技術総合研究所(AIST)に委託 目的 経済活動のグローバル化に伴い、国内外で認められるトレーサ ビリティ制度を確立するニーズが高まっている。そのためには、 低コストで効率的な計量標準の供給システムの確立が不可欠 である。 本プロジェクトでは、最新の情報通信ネットワーク技術 (インターネット,光ファイバ,GPS)を用いることにより、遠隔地 での校正を可能にする。 第一期:2001年度∼2005年度 機器開発や実証実験 第二期:2006年度∼2008年度 実用化に向けた取り組み 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 5 遠隔校正の開発量 時間標準 長さ標準−波長,光ファイバ応用,ヨウ素安定化He-Neレーザ 電気標準−直流電圧,交流電圧,低周波インピーダンス 放射能標準 三次元測定機標準 振動・加速度標準 圧力標準 温度標準 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 6 目 次 遠隔校正e-trace概要 横河電機のe-traceへの取り組み e-trace詳細 圧力 時間(周波数) 遠隔校正の登録範囲と運用課題 まとめ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 7 当社の取り組み量 時間標準 GPSから送信される信号を仲介器として利用 遠隔校正によるjcss受給 遠隔校正を含んだJCSS登録認定 時間機能を有する一般機器への搭載ユニット開発 に協力 GPS, 仲介器 遠隔校正 圧力標準 物理仲介器を利用 仲介器の開発 実証実験 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 ユーザ 校正事業者 光ファイバ 校正情報 DUT 校正証明書 インターネット 8 e-traceへの取り組み経緯 時間周波数 時間周波数 産総研との間で共同研究契約締結 産総研との間で共同研究契約締結 テーマ:「遠距離における周波数遠隔校正の実用化に テーマ:「遠距離における周波数遠隔校正の実用化に 関する共同研究」 関する共同研究」 05.3∼6国内外(つくば−甲府・蘇州・上海)間での実証実験 国内外(つくば−甲府・蘇州・上海)間での実証実験 05.3∼6 05.3 05.3 05.9 05.9 06.3 06.3 中国にて依頼試験による受給開始 中国にて依頼試験による受給開始 蘇州・上海にて、遠隔校正によるASNITE認定取得 蘇州・上海にて、遠隔校正によるASNITE認定取得 06.4 06.4 07.4 07.4 甲府にて遠隔校正による依頼試験 甲府にて遠隔校正による依頼試験 甲府にて遠隔校正によるjcss受給 甲府にて遠隔校正によるjcss受給 07.7 07.7 甲府にて遠隔校正を含むJCSS登録 甲府にて遠隔校正を含むJCSS登録 実用化に関する共同研究→社内標準として運用 実用化に関する共同研究→社内標準として運用 (実用化達成) (実用化達成) 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 9 e-traceへの取り組み経緯 圧力 圧力 06.06 06.06 07.07 07.07 07.09 07.09 産総研との間で再委託契約締結 産総研との間で再委託契約締結 テーマ:「気体差圧の遠隔校正実験に関する研究」 テーマ:「気体差圧の遠隔校正実験に関する研究」 当社の役割:仲介器の設計・製作,共同で実証 当社の役割:仲介器の設計・製作,共同で実証 つくば−甲府(校正機関:産総研) つくば−甲府(校正機関:産総研) つくば−重慶(校正機関:同上) つくば−重慶(校正機関:同上) つくばー甲府(校正機関:同上) つくばー甲府(校正機関:同上) 07.11 07.11 08.09&& 08.12 08.12甲府−相模原(校正機関:横河) 甲府−相模原(校正機関:横河) 08.09 仲介器を用いた遠隔校正により目標不確かさを実現 仲介器を用いた遠隔校正により目標不確かさを実現 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 10 e-traceへの取り組みの背景 -中国へ進出した関連会社、工場の校正課題と対応中国の国家計量標準の現状と課題 中国の国家計量標準の現状と課題 基準と運用の乖離(建前と本音) 顧客対応と信頼性(対応の良さと超簡素化) 海外(特に欧米)での低い評価 広大な国土(東西南北5000km)での校正課題 校正費用上昇の恐れ 解決手段:遠隔校正により日本へトレース 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 11 目 次 遠隔校正e-trace概要 横河電機のe-traceへの取り組み e-trace詳細 圧力 時間(周波数) 遠隔校正の登録範囲と運用課題 まとめ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 12 圧力遠隔校正の概要 圧力媒体・範囲 気体・差圧10Pa∼10kPa 校正対象 デジタル圧力計 目標拡張不確かさ 100mPaまたは、 0.01%以下(k=2) 仲介器の機能 発生/測定を内蔵し、 被校正器であるデジ タル圧力計を本器 のみで校正可能 制御用PC 仲介器 被校正器 遠隔校正の様子 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 13 圧力遠隔校正手順 校正事業者 1.申請 ユーザ 2.仲介器送付 3.校正作業 設置 設置状況情報 設置状況確認 校正開始 OK 校正・環境データ PCによる機器制御 データチェック e-mailでデータ送信 NG OK 継続 指示実施 作業指示 校正終了 4.仲介器返却 5.校正証明書発行 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 14 圧力遠隔校正手順-設置から返却まで前日に依頼 者が実施 機材の受け取り 配線作業 開梱 コンピュータ立上げ 機器の調整 設置 完 機器設置・配管 データ取得 開始 校正日以降 、依頼者が 実施 校正データ取得 基本的に全自動 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 配線等 分解 梱包 機材の送付 15 仲介器と専用トランク 仲 介 器 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 16 圧力遠隔校正の結果 つくばー甲府,つくばー重慶(中国)の両地点間で拡張不確かさ 100mPaまたは、0.01%以下(k=2)を達成 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 17 目 次 遠隔校正e-trace概要 横河電機のe-traceへの取り組み e-trace詳細 圧力 時間(周波数) 遠隔校正の登録範囲と運用課題 まとめ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 18 時間(周波数)遠隔校正e-traceの原理 GPS Common View法 PRN #N2 PRN #N1 PRN #N3 ・・・ GPS time ★ 産総研(NMIJ) ★ a il m e 横河電機(YHQ) (YHQ - GPS time) − (NMIJ - GPS time ) YHQ – NMIJ 実質上、比較したい発振器同士の時刻差が得られる。 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 19 時刻差データの算出 NMIJ data PRN CL 10 17 25 2 4 FF FF FF FF FF MJD 54563 54563 54563 54563 54563 STTIME TRKL ELV AZTH hhmmss s .1dg .1dg 005400 780 176 2473 005400 780 467 1730 005400 780 108 1073 011000 780 450 3136 011000 780 724 190 REFSV SRSV .1ns .1ps/s +4556 +45 -401573 -134 +581744 +284 -1884804 -83 +410934 +85 REFGPS SRGPS DSG IOE MDTR SMDT MDIO SMDI CK .1ns .1ps/s .1ns .1ns.1ps/s.1ns.1ps/s ∆TA -106 +41 105 30 245 -68 238 -6 E0 -125 -138 40 31 106 +14 157 +29 25 -118 -28 68 45 379 -125 365 -24 45 -90 -51 45 17 109 -11 160 -4 DD -88 +9 22 41 82 +0 128 +6 82 A A ∆T = T − GPS _ TIME + δTA GPSとの差 同じ衛星 ∆TB = TB − GPS _ TIME + δTB 同じ時刻 YSH data PRN CL 10 17 23 4 2 FF FF FF FF FF MJD 54563 54563 54563 54563 54563 ∆TAB = TA − TB + (δTA − δTB ) tn STTIME TRKL ELV AZTH hhmmss s .1dg .1dg 005400 780 355 2342 005400 780 443 1390 005400 780 145 443 011000 780 565 404 011000 780 528 3277 REFSV SRSV .1ns .1ps/s +4390 -122 -401748 -71 -3460436 +293 +410751 +96 -1885099 -169 REFGPS SRGPS DSG IOE MDTR SMDT MDIO SMDI CK .1ps/s .1ns .1ns.1ps/s.1ns.1ps/s ∆TB .1ns -273 -125 64 30 132 -19 126 +0 DD -299 -75 79 31 111 +14 124 +26 10 -322 +318 226 57 294 +74 241 +42 43 -271 +20 46 41 93 +1 111 +12 A3 -385 -137 90 17 97 -5 109 +5 1C PRN:衛星番号 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 MJD:日付 STTIME:時刻 REFGPS:GPSとの差 20 時刻差→周波数変換 2地点の時刻差 179240000 ∆TAB = ∆TA − ∆TB + (δTA − δTB ) 179220000 20us 179200000 時間差(ns) 179180000 誤差要因 誤差要因 相殺される成分も多く不確かさは小さくなる 相殺される成分も多く不確かさは小さくなる 179160000 179140000 179120000 時刻差 179100000 179080000 179060000 0.000E+00 周波数偏差率 -1.000E-11 -2.000E-11 1.0×10-11 周波数偏差率 -3.000E-11 179040000 8/1 8/6 8/16 8/21 8/26 8/31 日付('06年) 時刻差→周波数変換 -4.000E-11 -5.000E-11 -6.000E-11 ∆f AB -7.000E-11 -8.000E-11 -9.000E-11 -1.000E-10 8/1 8/11 8/6 8/11 8/16 8/21 8/26 ∆TAB (t 2 ) − ∆TAB (t1 ) = f0 t 2 − t1 8/31 日付('06年) 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 21 校正結果 NMIJによる遠隔校正結果 1.0 0.0 1.0×10-11 -1.0 周波数偏差率(×E-11) -2.0 -3.0 -4.0 -5.0 -6.0 -7.0 -8.0 30日 -9.0 -10.0 06/1 06/3 06/5 06/7 06/9 06/11 07/1 07/3 07/5 07/7 07/8 07/10 07/12 08/2 日付 jcss持込校正結果 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 遠隔校正結果 22 時間周波数遠隔校正システム 受信アンテナ 時刻比較専用 GPS受信機 LAN PC 基準周波数 として利用 分 配 器 10MHz 基準周波数 発振器 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 23 リアルタイム校正化への取り組み PRN #N3 ・・・ PRN #N2 PRN #N1 GPS time ★ 産総研(NMIJ) ★ a il m e 横河データ NMIJデータ 横河電機(YHQ) 校正証明書 1回/月 WEBで公開 校正値を受領する時期:翌月中旬(最長1.5ヵ月) 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 24 自動遠隔校正システムの開発 NMIJ ネットワーク関連機能 メール送信 NMIJ公開データダウンロード 制御関連機能 GPS受信機制御・データ受信 データ解析関連機能 コモンビュー検索 最良推定値・不確かさの算出 表示機能 全自動化 リアルタイム 受信データの表示 GPS位置の図示 周波数トレンドの図示 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 最良推定値の表示 不確かさの表示 Visual Basic で作成 25 受信衛星位置の表示(更新1回/15秒) 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 26 校正結果の表示 校正結果表示 被校正器の安定度表示 周波数標準を実時間で監視→信頼性の著しい向上 周波数標準を実時間で監視→信頼性の著しい向上 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 27 目 次 遠隔校正e-trace概要 横河電機のe-traceへの取り組み e-trace詳細 圧力 時間(周波数) 遠隔校正の登録範囲と運用課題 まとめ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 28 横河電機のJCSS登録範囲 JCSS認定範囲 遠隔校正 (YHQ基準) YHQ jcss遠隔校正 顧客 YHQ YHQ 持込 NMIJ 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 29 運用課題1 アンテナ設置 既存の建物に設置する場合には 制限が多い。配線不能な場合も・・・ 避雷対策 中国(上海オフィス) 避雷したアンテナ(中国・蘇州) 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 避雷針設置(甲府) 30 運用課題2 ネットワーク ユーザ NMIJ 通常のSMTPサーバ 認証が必要なSMTPサーバ 特殊な状況 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 インターネット 様々なセキュリティに対応するため 様々なセキュリティに対応するため ネットワーク利用は個別対応必要 ネットワーク利用は個別対応必要 31 まとめ 当社は遠隔校正の実用化を積極的に推進 圧力分野においては、産総研と共同で仲介器の開発 と実証実験を行い、目標不確かさを実現 時間周波数においては、遠隔受給による社内標準の 実用化とJCSS認定を取得し、さらに、自動校正システ ムを構築し実時間化 遠隔校正のメリット(管理コスト・不確かさの低減,リ アルタイム校正)および課題を確認 横河電機株式会社 技術開発本部 2009/8/13 この資料で使用されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です。 32