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[最犬限利潤」 にっいて

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[最犬限利潤」 にっいて
(165)
﹁最大限利潤︸について
−経済政策の現代的方向の理解のπめにー
野 田 稔
ての﹁最大限利潤﹂を︸応、自分なりに整理して,現実の﹁国家独占資本主義﹂経済政策の新たな方向理解に供した
よつて、 ﹁最大限利潤﹂と正しく規定されていることは周知の通りである。したがつて、この﹁基本的法則﹂とし
ところで、 ﹁現代資本主義﹂の﹁基本的経済法則﹂はスターリンの﹁ソ同盟における社会主義の経済的諸問題﹂に
うな経済政策によつて、この基本的経済法則のより発展的展開が具体化されるからである。
う も や し も
本的法則として、 一切の側面と過程とを規定して貫徹する経済法則を媒介として、はじめて行われ、同時に、そのよ
らない。蓋し、資本主義の全般的危機の激化過程に対応する現在の﹁国家独占資本主義﹂経済政策は、その段階に基
しうるためには、尖鋭化した構造的危機の分析によつて、そこに内在する﹁基本的経済法則﹂を正しく抽出せねばな
しかしてその経済政策がどのような本質をもち、またどのような方向に展開されるであろうか、ということを理解
的に生起せしめるQ
資本主義経済の全般的危機の尖鋭化は、その危機の﹁脱出﹂のために、新たな内容と方向をもつ経済政策を不可避
一一 ナ大限利潤について
73
74
いQ拙稿の目的もそこにあるわけで、 したがつて、 ﹁最大限利潤﹂に関する自分自身の一つの﹁覚書﹂にすぎないの
である。
﹁ソ同盟における社会主義の経済的諸問題﹂の発表以来、それをめぐつての、なかんすく, ﹁最大限利潤﹂の概念
を中心として活濃な論議、学習が行われていることは今更、繰返す必要もない一であろう。ところで、この論丈のすぐ
利潤を若干上まわるにすぎない超過利潤でもなくてじつに最大限の利潤こそが、独占資本主義の原動力なのである﹂。
規則的に拡大再生産を実現するために必要な最大限の利潤である﹂。換言すれば、﹁平均利潤でもなく、また通常平均
主義の基本的経済法則ではありえない。 ﹁現代独占資本主義が要求しているのは平均利潤ではなくて、多かれ少かれ
不均等的発展の法則も資本主義の基本的経済法則ではありえない﹂。さらに、また、平均利潤率の法則も現代資本
本的経済法則ではありえない。﹂だからまた、﹁競争と生産の無政府性の法則、あるいは種々の国における資本主義の
と資本主義的利潤の基礎を規定しないばかりか、そういう問題を提起しさえしない。だからそれは現代資本主義の基
質、その本体を規定するような法則である﹂。したがつて、その意味において、価値法則は﹁資本主義的生産の本質
るのではなく、この発展のすべての主要な側面およびすべての主要な過程を規定し、したがつて資本主義的生産の本
元来,資本主義の基本的経済法則は﹁資本主義的生産のなんらか個々の側面またはなんらか個々の諸過程を規定す
る。
いうことに関して、必すしも,完全な一致がないように思われ、 ﹁理解﹂それ自体に二、三の疑問を感じるのであ
れた歴史的意義はひとしく理解されながらも、 ﹁基本的法則﹂としての﹁最大限利潤﹂をどのように把握すべきかと
叢一
論
学
商
(166)
(167)
したがつて、また、資本主義的利潤の発生と増大の法則としての剰余価値の法則は資本主義的生産の基本的特徴を規
定するのであるが、前述の最大限利潤の問題にはふれない、 ﹁あまりにも一般的法則であり﹂、﹁したがつて、この欠
陥をおぎなうために、剰余価値の法則を具体化し、独占資本主義の諸条件にあてはめてこの法則をさらに発展させな
ければならない。このばあい、独占資本主義が要求しているのは、あらゆる利潤ではなくてまさに最大限の利潤であ
ることを考慮せねばならない。これこそ現代資本主義の基本的経済法則であろう︵イ・ウェ・スターリソ﹁ソ同盟におけ
る社会主義の諸問題﹂青木文庫版五三ー五頁︶
労働の熟練および強度の社会的平均度をもつた﹂いわゆる﹁平均的社会的必要労働﹂によつて決定され、それ故に、
もともと、 ﹁価値法則﹂は単純にいえば、商品の価値はその生産に要する﹁現在の社会的に標準的な生産諸条件と
ろうか。
ることを否定する。この場合,このことを現代資本主義において﹁価値法則﹂が全く存在しないと理解すべきであ
質やその利潤の基礎も規定しないし、そういう問題を提起しさえしない、として、現代資本主義の基本的経済法則た
先す第一に、 ﹁価値法則﹂の問題であるが、 ﹁⋮⋮経済的諸問題﹂の著者は、 ﹁価値法則﹂は資本主義的生産の本
史的価値を見失う危険が多いのである。拙稿は当面の課題に接近するため一応の論理的整序化を図るにす曽ない︶。
史的意味が存在するわけではなく、むしろ、かかる論理的関連性にたいする神経過敏的態度はこの論文のすぐれた歴
う う も も も も う
ないであろう。 ︵もとより、かかる問題の論理的関連性のなかに、 ﹁ソ同盟における社会主義の経済的諸問題﹂の歴
も も も
たとえば、 ﹁価値法則﹂,﹁平均利潤率﹂、﹁超過利潤﹂と﹁最大限利潤﹂との関連など一応、整理しておかねばなら
参照したのであるが、そこに多くの重要な問題点を見逃すことはできない。
以上、かなり長く、 ﹁ソ同盟における社会主義の経済的諸問題﹂における﹁最大限利潤﹂の論理に関係する個所を
一最大限利潤について一
75
76
商品はそれに含まれた労働量によつて等価交換されるという商晶社会の法則である。
も も
へ り
したがつて、このような法則は資本制生産に先行する﹁原始共同体﹂、﹁封建社会﹂、或はまた﹁社会主義社会﹂にも
存在したし、また存在するわけであるが、その場合、この﹁価値法則﹂はあくまで、静介的に、儲勲的に作用するに
したがつて、﹁価値法則﹂は﹁費本家的利潤の発生および増大の法則﹂ー﹁剰余価値の法則﹂に発展的に﹁具体
則﹂たりえないわけである。
過程﹂をそれだけでは説明するごとができす、その意味において、 ﹁価値法則﹂は資本主義生産の﹁基か的経済法
﹁諸商品の価格運動﹂を明確にすることが出来ても、資本制生産の﹁利潤﹂、﹁剰余価値﹂の諸問題を、 ﹁資本の運動
の主要な面や過程を規定するような場合を指すのである。なるほど、 ﹁価値法則﹂によつて、司験的に﹁商品交換﹂、
も も し も カ も も コ
済法則﹂であるということとは﹁同義語﹂ではない。 ﹁基本的経済法則﹂の﹁基本的﹂とは資本制生産の発展の♪“㍗
しかし、 ﹁価値法則﹂が資本制生産において、一舳的ゆ伶肝力かということと、それが、資本制生産の﹁基本的経
い︶。
として考えることは出来ないであろう︵﹁⋮経済的諸問題﹂でも、決してそれが葎をひ溜W翻びと主張されてはいな
このように考えるならば、 ﹁価値法則﹂は﹁現代贅本主義﹂において全く存在しないものとして、止揚されるもの
て客観化される 。
商品社会のこの法則は﹁生産﹂、﹁分配﹂を一舳的に規定し、各生産部門間への労働配分を全酔的に規制する法則とし
巻選集一巻=三二頁︶としての﹁資本主義社会﹂においてであり、この最高度の発展段階における商品坐商において、
貫徹は、 ﹁労働力もまた商品となるところの、発髄ゆ騎瀞闘隙ゆ細かか商甜蛋幽﹂ ︵レーニソ﹁帝国主義論﹂レーニソニ
過ぎす、それら社会の﹁生産﹂、﹁分配﹂を支配的に規定する法則として自らを貫徹することはできない。その一険的
も う り
叢
論
学
商
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化Lされ、後者によつて、﹁資本主義的生産の基本的特徴﹂は明確にされる。ところで、また、独占資本主義段階に
おいては、費本家的利潤の発生、増大を規定する﹁剰余価値の法則﹂は、その段階を支配的に規制し、独占資本の発
展条件であるところの﹁最高利潤率﹂の問題などにふれない、余りにも一般的法則となり、したがつて、独占資本主
義段階の現実的諸条件にその法則をあてはめ、より﹁具体化﹂し、 ﹁特殊化﹂されねばならない。これこそ、まさに
﹁最大限利潤﹂の法則である。
う や も ヤ も も
この﹁最大限利潤﹂が何故に﹁現代資本主義﹂の﹁基本的経済法則﹂であろうか。エス・ヴイゴツキイは人類社会
発展の諸法則を、 ﹁第一に、すべての、あるいは二三の社会構成体がもつている一般的諸法則、第二に、それぞれの
経済体制が従属させられている特殊の諸法則、第三に、その経済体制発展のさまざまの段階、あるいは局面における
あれこれの諸法則﹂に分類している。︵エス・ヴィゴッキイ﹁資本主義祉会主義の基本的経済法則﹂一六二頁︶。いま、 ﹁最大
大限利潤﹂のなかに、端的に意味づけられている︵この点に関しては後で具体的に明にするであろう︶。
は、栓桔化された﹁生産関係﹂を自己の生存の唯一の基盤として死守せんとする反動諸勢力の狂奔的策動等はこの﹁最
栓桔化された﹁生産関係﹂を打破せんとする階級闘争の激化11﹁生産関係﹂の﹁生産力﹂従属への意志的努力、あるい
連性をもつものである。すなわち、 ﹁生産関係﹂の﹁生産力﹂にたいする﹁発展形態﹂から﹁栓桔形態﹂への転化、
社会構成体がもつている一般的法則11たとえば、﹁生産関係﹂が﹁生産力﹂に従属するという法則に密接不可分の関
経済体制を一般的に規定する﹁剰余価値の法則﹂の﹁具体化﹂され、 ﹁特殊化﹂されたものである。さらに、第一の
は資本制経済体制の独占資本主義段階の法則であると同時に、第二の経済体制の従属させられた特殊の法則ー資本制
も コ ぬ う も も う う も ヵ つ り も り い も も ヤ し ヤ も う も
も セ し も あ ラ も
こ
も
あ ろ う。 す な
わち
、
の ﹁ 最 大限 利 潤
の法
則
﹂は
第 三に い わ れ
た経
済
体制
発 展の 段階、局面における法則π現実的に
う も も
限
利潤の法則﹂が現代独占資本主義の﹁基本的経済法則﹂であるとい・う場合の基本的とは次のような意味において穿
最大限利潤について
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78
ぢ ひ ぢ
このような意味からして、﹁最大限利潤﹂は資本制生産のすべての主要な面と過程を規定する﹁基本的経済法則﹂
というごとができるのである。
次に、 ﹁平均利潤率﹂と﹁最大限利潤﹂との問題であるが、この易合、 ﹁最大限利潤﹂が支配的に展開される陣期
も も も
の問題とからみあわせて考えてみたい。 ﹁平均利潤率﹂を産業資本主義段階の問題として、また﹁最大限利潤﹂を独
占資本主義段階の問題として考え、その論理的区別を﹁完全競争﹂と﹁不完全競争﹂ に求めるのが一般的であるよ
うだ。
﹁最大限利潤の理論的展開﹂という﹁シムポジウム﹂において、飯田貫一教授は、
フ.・こうして自由競争は、諸資本の利潤の平均化をもたらし、結局そこに平均利潤率が成立し、それが自由競争の
叢一
支配する資本主義の基本的な運動法則となつている。しかし独占という条件はそれを超えて、そこに資本の本来求
論
いる。
めている最大限の利潤を成立させる条件をつくりだす﹂︵﹁最大限利潤の理論的展開﹂経済評論二八、四、六頁︶といわれて
学
法則は前述のような現代資本主義の﹁基本的経済法則﹂たる資格をもつことが出来す、現実の諸条件に適合され、特
上、独占資本主義段階においても﹁平均利潤率﹂の法則は存在するわけである。ただ、この場合、 ﹁平均利潤率﹂の
いすれにせよ、独占資本主義段階においても、経済競争はなくなるどころか、形態をかえて、ますます激化する以
このように、 ﹁平均利潤率﹂と﹁最大限利潤﹂の分類を﹁完全競争﹂と﹁不完全競争﹂に求められるのであるが、
主義の場合には独占利潤の形成に導くという点です﹂ ︵前掲書、一〇頁︶といわれている。
﹁ここで大切なことは、同じ最大限利潤の追求ということが自由競争の時代には平均利潤の形成に導き、独占資本
また山杢ゴニ丸教授も、
一商
(170)
(171>
最大限利潤について
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殊化され、具体化され、発展させられねばならす、かくすることによつて、はじめて、資本主義のすべての僻面、過
も ヤ う も セ
程を規定し、資本主義的生産の本質、真すいを規定することができるのである。
も ぬ
しかしながら、問題はこれだけではない。 ﹁⋮経済的諸問題﹂における﹁現代資本主義﹂、換君すれば、﹁最大限利
潤﹂が展開される時期が気にかかる課題である。前述の二教授の見解からすれば、 ﹁最大限利潤﹂は少くとも一九世
紀後半、独占資本主義の形成から現在に至る期間となるわけである。
もしも、一九世紀後半の独占資本主義の形成から現在までを﹁最大限利潤﹂の展開される期間と規定すれば、 ﹁帝
大戦﹂、﹁一般的危機の第二段階﹂等の重要な経済的、政治的意義が前述の期間のなかに一般化される危険があるので
国主義戦争﹂、﹁資本主義の一般的危機﹂、﹁国家独占資本主義﹂、﹁日・独・伊を中心とするフアシスト体制﹂、﹁第二次
も も し
はなかろうか。
もちろん、独占資本主義形成から現段階まで、それがひとしく、﹁独占資本主義段階﹂、﹁帝国主義﹂、﹁金融資本の
寡頭政治﹂には変りないので、広義に解釈するとき、 ﹁最大限利潤﹂収奪の時期を前述のように規定することは正し
いことであろう。しがし、同時に、われわれはその時期をいま少し厳密に考察する必要があるのではなかろうか。
井上晴丸氏は﹁最大限利潤の法則﹂の全般的運動時期を一般的危機の﹁第二段階﹂に主として求められ︵もちろ
ん、それだからといつて、危機の﹁第一段階﹂と無関係なものとは考えられてはいない︶、さらに、﹁最大限利潤﹂の
理論的解釈のために、 ﹁平均利潤﹂、﹁超過利潤﹂を対置される。この場合、井上氏は、飯田、山本両氏のように、
﹁平均利潤﹂と﹁最大限利潤﹂を直ちに問題にするまえに、それらの間に、独占体が独占価格を設定することにょっ
て持続的に確保する﹁超過利潤﹂︵井上氏は﹁超過利潤﹂の概念を使用されているが、寧ろ、﹁独占利潤﹂、﹁独占的
超過利潤﹂の方が誤解が少ないのではなかろうか。 ﹁超過利潤﹂は自由競争が円滑に行われる段階においても形成さ
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れ、 ﹁平均利潤率﹂形成のいわば前提でもあるからである。独占資本主義段階の独占利潤はもちろん、 ﹁超過利潤﹂
に他ならないが、原料、販売、投資各市場をめぐつての帝国主義植民地政策等を不可避的に前提とするものであるか
ら、この場合、むしろ﹁独占利潤﹂の概念がのぞましい︶を対置される。
これを期間的にみれば、産業資本主義段階と独占資本主義段階と直接的に対置されるのではなく、後者を私的独占
資本主義と国家独占資本主義の各時期に一応分けて老えられているようである。しかして、 ﹁平均利潤率﹂と氏の
﹁超過利潤﹂11いわゆる﹁独占利潤﹂との関係は完全競争と独占体による独占価格をテコとする不完全競争にその説
は財政資金の吸収と撤布、融資の規制、電力資材割当、物価統制、同一商品に対する差別価格制、発注制等々、国
﹃﹁超過利潤﹂は、独占価格の設定という商品市場を通じての方法によつて齎らされたのに対し、 ﹁最大限の利潤﹂
る。
明の根拠を求められ、さらに、・氏の﹁超過利潤﹂ー﹁独占利潤﹂と﹁最大限利潤﹂の相違点を次のように述べられ
叢一
論
ただ、氏の場合、一般的危機の第一段階における基本的経済法則、さらに、 ﹁最大限利潤の法則﹂の視点からする
資本主義的性格を強化する︶に求められるのである。
れ、その支配的展開を資本主義の一般的危機の﹁第二段階﹂ ︵この段階において、独占資本主義はますます国家独占
いうよりも、第一次大戦、資本主義の一般的危機を契機として発展、転化した﹁国家独占資本主義﹂の時期に規定さ
このように井上氏の場合は、 ﹁最大限利潤﹂の展開される時期を独占資本主義段階一般、或は私的独占資本主義と
と︵﹁現代資本主義の基本的経済法則について﹂理論.二八、季刊二〇、四五頁︶。
る点である﹄
家を従属し、国家の活動を媒介としてでなければ斉され得ない無類に露骨の途方もなく大規模な方法がとられてい
学
商
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第一段階と第二段階との関係が明瞭でないように思われるのである︵氏はた穿、 ﹁第一次世界戦争の第一の危機と第
二次世界戦争時代の第二の危機とが、たがいに切り離された別個の独自の危機ではない﹂という﹁⋮経済的諸問題の
著書の見解を参照されているにすぎない︶。
ところで、結局のとごろ, ﹁最大限利潤﹂は理論的にどのように理解されるべきであろうか。前に述べたように、
広義に解釈すれば、それは独占資本主義段階一般に貫徹する﹁基本的法則﹂であるが、同時に、われわれはこの問題
を狡義に解釈する必要があるのではなかろうか。
﹁最大限利潤﹂を広く、独占資本主義段階一般との関連の問題として、把握すると同時に、独占資本主義段階を﹁私
的独占資本主義﹂、﹁国家独占資本主義﹂の二つの時期とに、さらに、後者を資本主義の全般的危機の﹁第一段階﹂
と﹁第二段階﹂とに分けて老え、これらの各時期と﹁最大限利潤﹂の問題を究明してみよう。
景として,競争は独占に転化し、独占価格が支配的となる。
場の独占化のための﹁帝国主義的植民地政策﹂カルテル、トラスト、コンツエルンの資本主義的独占の強大化等を背
ところで、独占資本主義段階における私的独占資本主義の時期においては、 ﹁金融寡頭制﹂、原料、販売、投資市
値法則﹂は決して消滅するものではない︶。
て発展的に具体化され、 ﹁市場価格﹂はこの﹁生産価格﹂を中心として変動することになる。︵だからといつて、 ﹁価
断なき不均等の間断なき均等として存在し、それによつて、前に問題にした﹁価値法則﹂は﹁生産価格法則﹂とし
しかして、この利潤率均等化ー﹁平均利潤率﹂形成は各相異なれる利潤率の平均化の運動として、 一つの傾向、間
全に行われる結果、容易に均等化される。
産業資本主義段階においては、 ﹁資本の有機的組成﹂の高低差に基く相異なる利潤率は経済的自由競争が比較的完
一最大限利潤について
81
82
し ゆ も
独占諸団体の﹁独占価格﹂の支配化は経済的自由競争をいちぢるしく、変様化し、 ﹁平均利潤率﹂形成の運動を一
聯的ゆ緩慢化し、その結果、非独占資本の剰余価値の部分的委譲、実質賃銀からの控除という私的人為的﹁価値再分
配﹂としての﹁独占利潤﹂が比較的、持続的に確保されるごとになる。
私的、人為的﹁価値再分配﹂としての﹁独占利潤﹂の支配的時期に前述の命題を適用すれば、第一、第二の命題は無
される︵スターリソ﹁前掲書﹂五四−五頁︶。
確保をするために利用される戦争と国民経済の軍事化とによつて、最大限の資本主義的利潤を確保する﹂ことに見出
する﹂こと,第二、﹁他の国々、とくに後進国の諸民族を隷属させ、系統的に掠奪する﹂こと、第三、 ﹁最高利潤を
元来、 ﹁最大限利潤﹂の法則の主要な特徴と要求は、第一、 ﹁その国の住民の大多数を搾取し、破滅させ、貧困化
﹁独占利潤﹂は厳密な意味において、狭義の視点から、直ちに、 ﹁最大限利潤﹂と規定しうるのであろうか。
ところで、このような私的独占資本主義の時期における独占的諸団体による私的、人為的﹁価値再分配﹂としての
のであり、独占化の発展的進行それ自体、その制約を示すものということができる。
﹁価値法則﹂、﹁平均利潤率﹂形成の傾向はこの独占的諸条件の下において、その基底として、一般的に貫徹している
ても、それによつて、 ﹁価値法則﹂が消滅したり、 ﹁利潤率均等化﹂の傾向が止揚されるとは老えられない。むしろ
その価値からの乗離も無制限に行われることができす、一定の限度をもつものであり、独占がいかに支配的に波及し
ソニ巻選集、第一巻、一七三頁︶ものである。また、﹁独占価格﹂も究明においては、 ﹁価値﹂の転化形態に他ならす、
ごのことによつて、幾多のとくにするとくはげしい矛盾、軋蝶、紛争をうみだす﹂ ︵レーニソ﹁帝国主義論﹂レーニ
﹁独占は,自由競争のうちから発生しながらも、自由競争を排除せ・ず、自由競争のうえに、これとならんで存在し、
もちろん、このことは、 ﹁独占﹂により﹁競争﹂が完全に代位されることを意味するものではない。もともと、
叢
論
堂
商
(174)
条件にあてはまるが、第三の命題はいかなるものであろうかαもとより、米西戦争︵一八九八年︶、ボア戦争︵一九
〇〇⊥九〇三年︶、日羅争︵一九〇四⊥九〇五年︶等の帝国主叢争は広藷視点からするとき・第三の命頭
に適合するであろう。
きとに葦の躊讐覚えるのであり、私的独占案妻の時響一応﹁最大限利潤﹂の基本的経済法則の展開を促
したがつて、私的、人為的﹁価値再分配﹂としての﹁独占利潤﹂は狭義な意味においては、﹁最大限利潤﹂と規定す
重﹂ ︵資本主義の全般的危機の激化を基盤とする︶という観点からすれば、大いに問頭がありそうである。
しかし、厳密に老えれば、資本主義経済にたいする﹁戦争﹂と﹁国民経済の軍事化﹂の﹁現実的意義﹂、﹁現実的比
(175)
される、といわゆる資本主義の﹁全面的危機﹂を契せしめたのである。︵・同盟共産党第=ハ回大会申央委員△育政治
資本の護と倶資奎響の華と斗争﹂、﹁企業の慢性的遊休と幾募もの失蕃備軍の存在﹂簿よつて具体化
藻制妄奎藻制との対立異存﹂、﹁植鑑、従属国におけ幕国義の羨の崩壊とその震の失墜﹂・﹁書
め﹁危機一般﹂の激化過程において発生した﹁十月社会主義革命﹂は﹁唯一の全包括的資本制体制の崩壊﹂、﹁社会主
すなわち、資本制生産の﹁危機一般﹂の産物である﹁帝国主義戦争﹂はその危機をますます深刻化させ、さらにそ
セ も
とするものである。
霧の一般的議に関。ては野々村雇氏﹁葉妻の疲的危機﹂経葬塗西.五、吾⊥ハ三頁参照のこと︶を籟的背景
て必然化した箒国妻馨L、その大戦中に汐るかの宇月藩﹂を契機とする案.塑産の﹁全般的危機ス薬
私的性格﹂とち資本制生産の基本的矛盾の急速な尖鋭化、その﹁脱出﹂としての植民地再分割闘争の拡大化によつ
基本的法則としての﹁最大限利潤﹂の↓欝展開は、私的独占資奎藷おけ・星産の社会的籍﹂と﹁領有の
進せしめる諸契機の漸次的顕在化過程と規定することができるであろう。
一最大限利潤について一
83
報告L﹁レーニソ主義の諸問題﹂研究資料版六〇七頁︶。
従来の独占諸団体の私的、天為的価値募配﹂だけでは、あ・うな箒里議争﹂を必然化せしめ、資本制
生産の﹁全面的危機﹂を開始芒め慈選対応する・とがで享、独占案が存立するためには、慈綾関答
む国議関の金勢頭制の直馨導への従属、独占資本の政治的経済的独裁の一体化L︵﹁ヴアルガの自己批判をめぐつ
てし世界経済研究所資料一四頁︶体制をつくりあげ、ここに、亘大独占資本少類グループにたいする国家権旨力の全面
的直接的蓉・合流・欝欝行われ、国家努は手ます無制限に独占の覆的道具に転化し、昊警資本少
84
れる流通行程にたいする国家権力の干渉のみなれす生産行程を含む︶にわたる統制、干渉︵たとえば、 一つの例とし
﹁戦争﹂.﹁軍事化﹂、﹁海外援助﹂等の強大な政治活動を媒介とする経済全般︵私的独占資本主義の時期においてみら
とする﹁国家独占資本義﹂形成を基盤とするものであり、それは国家権力の経済外的11政治の諸形成、たとえば、
かくして・﹁最大限利潤﹂の霧な蕊盤開は少くとも、﹁帝国義撃﹂、資奎義の﹁全般的危機﹂を契機
類グループの吸血鬼的利潤収奪欲の充儀関として機能する11国家独占資本主義の一般的形成。
叢一
論
学
も
も もへ も
り、独占諸団体の独占価格設定という商品市場を雫心とする、経済的、私的﹁人為的価値再分配﹂より一歩前進し、
募酌として・﹁価値法則の著し盗権的変形を意味する﹂︵井上.宇佐養菌蚕占資奎義論L、二八頁︶ものであ
じめて保証される亘額な、金融資本の一握りの掌中に帰属する利潤に他ならない。
も も
﹁最大限利潤﹂はいわば、国家権力の流通行程、生産行程の経済全般にわたる統制、干渉による強権的価値収奪と
シズム職場体制﹃﹁労働力の強制的配置﹂、﹁労働運動断圧規定﹂。﹁農産物価格の公定制﹂、﹁供出制﹂︶によつて、は
優先的割当﹂、﹁融資規制﹂、﹁奨励金、補給金制度﹂、﹁企業整備﹂、﹁物価統制﹂、﹁差別価格制﹂、﹁賃銀統制﹂、﹁フアツ
三前述の強大な計画に該てなされる独占案のための﹁国家資金の吸収.撒布﹂、暴畠軍需発注L、﹁原材料の
一商
・(176)
国家権力の経済外的、政治の強権的機能を媒介として亘大独占資本少類グループにより模奪される非独占資本の剰余
り も か も か や ぬ
価値︵現在の﹁国民経済の軍事化﹂の下では平和産業資本の剰余価値の一部をも︶、独立生産者の勤労所得、労働者
主義トラスト﹂、或はカウツキーの﹁単一世界トラスト﹂を意味するものではなく、 ︵吉田義三氏﹁国家資本主義の現
しかして、 ﹁最大限利潤﹂の一般的展開を促進せしめる﹁国家独占資本主義﹂の形成は、ブハーリンの﹁国家資本
む も も
たつている。
重搾取、さらに、植民地、半植民地、従属諸国の少数の買弁資本を除いた一切の住民にたいする系統的掠奪からなり
階級の賃賃、農民層の所得にたいする収奪、それに加えて彼等にたいする﹁祖税﹂、﹁公債﹂、﹁インフレ﹂等にょる二
(177》
以上、 ﹁最大限利潤﹂の一般的展開を狭義には第一次大戦以後、資本主義の﹁全般的危機﹂の開始後と把握したの
も い も
資本主義の最絡段階としての国家独占資本主義︶。
かるプロレタリアートを中心とする階級闘争の革命的勢力を増大させ、社会主義へのより進んだ物質的基礎となる旺
はますます激化せざるをえない。︵﹁最大限利潤﹂の一般的展開による生産の集積、独占化、亘大な生産の社会化はか
働者、農民、中小資本、非独占資本を一体とする広範囲な民族解放民主戦線の闘争、植民地、従属国の民族解放運動
それ故に、独占資本はますます﹁最大限利潤﹂を継続的に確保せんがために、狂奔せざるをえないしその結果、労
として存在し続けるのである。
本主義の不均等的発展の法則﹂を止揚するものではなく、国家権力機構の経済的、政治的強権による限られた変様化
府性、不均等性は克服されす、その意味において、国家独占資本主義の時期は﹁価値法則﹂、﹁平均利潤率の法則﹂、﹁資
属した国家権力がいかに、経済全体にわたつて、強権的干渉、統制を実施しても、それによつて、資本制生産の無政
実﹂経済許論、二三、一〇、三七i八頁︶いかに、生産の集積、独占、金融寡頭制が高度化しても、また、独占資本に従
一最大限利潤について一
85
86
であるが、今一層、厳密に第二次大戦に限定して取扱うべきではないかという見解もないわけではない。その理由は
第一、 ﹁戦争と国民経済の軍事化﹂、第二、 ﹁相対的安定期のテーゼとレーニンの資本主義の発展のテーゼの効力消
滅﹂、第三、 ﹁単一世男市場の崩壊﹂である。
すなわち、 ﹁最大限利潤﹂の特徴のうち、第三の﹁戦争と国民経済の軍事化﹂を最も主要な特徴と考えるものにと
つて、 ﹁全般的危機﹂の第.一段階は第二次大戦以後に比較すれば、 ﹁戦争と国民経済の軍事化﹂はなお、局部的で、い
わば後進的帝国主義諸国を中心とするものであつたと老えるのである。しかしながら、われわれは﹁最大限利潤﹂の
一般的展開には第一次大戦を含めて考えているし、さらに、葡述の立場では、第二次大戦それ自体、きわめて孤立的
危機下における資本主義諸国の不均等発展の結果として、原料、販売市場、 ﹁勢力圏﹂、植民地の分割状態が主要資
に老察される危険がある。第二次大戦はいうまでもなく。資本主義の﹁全般的危機﹂の尖鋭化の所産であり、全般的
叢一
論
しようという試みを武力の適用という方法によつておこなうのであり﹂、︵スターリン﹁一九四六年二月九月に行われたモ
本主義諸国の新たな勢力関係に不適合となつたので、 ﹁現状を変革し、自国の利益になるように︽勢力圏︾を再分割
学
フアシスト﹁侵略﹂たいする﹁軍拡﹂と﹁編戦体制﹂強化等を考えるとき、 ﹁戦争﹂と﹁国民経済の軍事化﹂は主要
な革命運動にたいする﹁解毒剤﹂としてのフアシズムの利用化と他力的ソ同盟攻撃の意味をもつたが︶、同時に、
を獣認し、結果的に侵略を促進せしめたイギリス、フランス支配層の﹁不干渉政策﹂︵これらは、プロレタリアトの魯険
い。たとえば、ドイッ帝国主義の軍事力復活、フアシスト・ナチ独裁を援助したアメリカ独占資本の方策、侵略戦争
ドイツ、イタリ、日本等フアシスト諸国の﹁軍拡﹂と﹁侵略戦争﹂とはそれらフアシスト侵略者だけの問題ではな
つたのである。
スクワ市スターリン選挙区選挙前集会における演設﹂世界評論八〇頁︶既に全般的危機の進行過程において準備されつつあ
一商
(178)
(179)
資本主義の帝国主義段階、全般的危機の尖鋭化過程における不可避的な全体的問題である。
﹁ブルジヨア諸国家は狂熱的に武装し、再武装しつつある。何のために? それはもちろん談合のためではなく戦
争のためである。しかして戦争は帝国主義者たちにとつて必要なのだ。何となればそれは、世男再分割のための、
すなわち販売市場と原料供給地と投資舞台の再配分割のための唯一の手段だからである﹂ ︵﹁スターリン全集﹂=一
巻二四九頁︶。
次に、前述の二つの﹁テーゼ﹂の効力消滅の問題であるが、この二つの﹁テトゼ﹂は﹁第二次世界大戦にともなつ
てできた新しい条件のため﹂に効力消滅したと宣言されている。
継続であるというのではない。第二次大戦︵一面、反フアシスト解放という性格をもつた︶を契機として、資本主義
もちろん、かくいつたからといつて、第二次大戦後の資本主義の﹁危機﹂がたんなるそれ以前の﹁危機﹂の延長、
法則が一般的に貫徹していたことを否定するものではない。
本的契機であることはいうまでもないが、このことはまた、全般的危機の﹁第一段階﹂において﹁最大限利潤﹂の
場の狭隆化﹂は戦後の新たな激化した危機を示すものであり、 ﹁最大限利潤﹂の徹底的、全般的展開を基礎づける基
次の﹁単一世男市場の崩壊﹂の問題も事惰は同じである。 ﹁単一世男市場の崩壊﹂、﹁二つの平行した世界資本制市
であり、それ故に、 ﹁最大限利潤﹂の一般的展開期に該当しないことを意味するものではない。
の﹁第二段階﹂の特性を端的に示すものであつて、全般的危機のいわゆる﹁第一段階﹂は﹁現代独占費本主義﹂以前
しかし、この二つの﹁テーゼ﹂の効力消滅の規定は第二次大戦後の資本主義の危機のより一層の激化、全般的危機
次世界大戦以後を意味するのであり、したがつて、 ﹁最大限利潤﹂は第二次世界大戦後の問題ではないかと。
現代資本主義の基本的経済法則を云々する場合の﹁現代資本主義﹂はこの二つのテーゼの効力を消滅せしめた第二
一最大限利潤について一一
87
のより激化した新たな危機ー﹁第二段階﹂が到来したが、それを示す主要な決定的要素は
2、植民地、従属諸国人民の反帝民族解放運動の大躍進
場闘争の激化等︶
英の弱体化、アメリカ帝国主義の拡大等全面的資本主義の弱化、単一世界市場の崩壊、資本制市場の狭隆化、市
の人民々主々義諸国の成立、それら諸国の政治的、経済的発展,他方、独、伊、日のフアシスト諸国の脱落、仏
ー、二つの体制の間の力関係が社会主義に有利なように急激に変化したこと︵ソ同盟の全面的強化、東欧、中国等
88
済発展テンポの停滞、技術的進歩の抑圧、労働の不生産的利用の増大、金利生活国家の拡大、企業の慢性的遊休
3、資本主義の寄生性と腐朽化の急角度の増大、プルジヨア諸国における内部矛盾の深化︵国民経済の軍事化、経
叢一
化、大衆的失業の激増、民主民族戦線の強大等︶︵レォンチエフ、ルピンシユタイン﹁現代帝国主義論﹂上巻、新興社
論
四牛期一二二頁︶
版一七九ー一八六頁。Mドブロフ﹁全般,的危機の時代における資本主義的再生産の矛盾の激化﹂世経済年報、一九五て一・
学
最も徹底したものとして、現代資本主義の基本的法則として作用し、養本主義諸国の政治、経済の全機構と機能と全
﹁第一段階﹂において、すでに一般化されていた﹁最大限利潤﹂の法則は第二次大戦を契機として、より典型的に、
強権的に剰余価値の収奪と再分配の最大化にますます狂奔するにいたるのである。したがつて、 ﹁全般的危機﹂の
ヤ
も もカ も
し、国家権力による全経済機構︵流通側面とともに生産側面をも含めた︶にたいする直接的、政治的干渉を通じて、
階﹂に直面した互大独占資本はその存立のために、ますます国家権力との合生愈着︵実質的には従属化︶を強固に
箪一世界霧の崩壊﹂をはじめとするかかる諸要因によつて示される資奎義の﹁全般的危機﹂の新たな﹁第二段
である。
一商
(180)
(181)
面的に規制し、他方、従属国、植民地諸国をこの法則の作用のなかに完全に埋渡させるにいたるのである。
以上、簡単に、 ﹁最大限利潤﹂の概念を整理してきたのであるが、或は﹁最大限利潤﹂を﹁平均利潤率﹂、 ﹁超過
利潤潤﹂との関連において理解せんとする態度をとりすぎたかも知れない。豊田四郎氏は﹁最大限利潤﹂を﹁平均利
率﹂、﹁超過利潤﹂との関連において理解する態度は、独占資本と中小資本との分配問題として﹁最大限利潤﹂を把握
し、搾取関係を直接的に説明せす、したがつて、労働者階級の利害を反映するものではなく、中小資本の利害を反映
するにす曹ない、と誠に有益な批判をなされている︵豊田四郎氏﹁最大限利潤法則についての感想に﹂理論、一九五三年季
刊二〇、五二頁︶。もちろん、この点、拝聴に価する適切な警告であるが、拙稿において、主として、 ﹁最大限利潤﹂
を﹁平均利潤率﹂、﹁超過利潤﹂との関連において考察してきたのは、 ﹁最大限利潤﹂の理論的理解の便宜のためにす
分配上の問題以上に、中小資本、農民、労働者、植民地住民等一切の人たにたいする直接的搾取関係の強権的拡大の
らに、物価政策、インフレ、強制カルテル化、独禁緩和、財政金融投費、海外援助計画等の政策を行うことにょり、
の釘付、労働時間の延長、労働強化︵以上の諸政策は、戦争、国民経済の軍事化の下において典型的に示される︶さ
財政金融援助、物価統制、供出制度、労働力の強圧的配分、労働組合の御用化、罷業権、団結権の制限、禁止、賃銀
て、国家財政資金の吸収、散布、集中的発注、原材料、電力、火力等の割当、技術援助、国営企業の経営委託、払下、
すなわち、独占価格を申心とする﹁価値再分配﹂より進んで、すでに述べたごとく、国家権力が政治的強権をもつ
拡大化の現実過程を重視した結果に他ならない。
主義﹂の時期にお逼たのは、 ﹁最大限利潤﹂を分配上の問題とする以上に、直接的搾取関係の国家権力による強権的
一般的展開期を﹁独占資本主義段階﹂一般と広義窺定するだけにあたらす、厳密な意味において、﹁国家独占資本
ぎなかつたし、また、それによつて、直接的搾取関係を軽視するつもりは全くない。拙稿において、﹁最大限利潤﹂の
一最大限利潤について
89
がつて、この法則をより具体的に、その主要な特徴において理解するために、第二次世界大戦以後のアメリカ国家独
味において︶、最も典型的に貫徹するのは、第二次世界大戦を契機とする帝国主義国アメリカにおいてである。した
本主義世界において、最も支配的に︵自国のみならす、資本主義諸国、後進諸国をも従属化、植民地化するという意
以上、 ﹁最大限利潤﹂の論理的意味づけを簡単に行つてきたが、この基本的経済法則としての﹁最大限利潤﹂が資
士壌を全面的に互大独占資本に提供するのである。
90
資資金は全体の八〇・一%、政府資金一九。九%であつたのが、 一九四三年、私的投資資金三・六%、政府投資資金
のうち、政府資金が圧倒的多数を占めていることである。 ﹁第二表﹂によつて明らかなごとく、 一九二九年、私的投
年に比較して、約四倍以上、六百七十九億六千九百万ドルに達しているのである。ここで注意すべきは、これら投資資金
るのである。次に、これら、生産増大を直接的、間接的に裏づけた投資資金.についてみれば、一九四四年は一九三七
とすれば、機械部門は一九四三年三四〇・八、運輸手段五四八・五、化学部門四三一・五と三倍から四倍増大してい
数二三九、耐久財製造工業は三六〇であり、 ︵第一表参照図軍事生産部門に直接関係する部門は一九三九年を基準
ことは周知の通りである。 一九三五年!三九年を基準とする工業生産指数をみれば、 一九四三年には、総工業生産指
いうまでもなく、戦争は三〇年代の経済恐慌を一応、表面的に解決し、戦争にょつて、生産力は飛躍的に増大した
﹁戦争﹂
格を最もよく示すものだけに限定することにする。
もとより、それらの全貌を詳細に究明する余裕はないので、それらの諸政策のうち﹁最大限利潤﹂収奪としての性
占資本主義経済政策を簡単に検討してみたい。
叢一
論
学
商
〈182)
9i
(183)
第 一 表 (1935−39 ==100
鞭隆墜謬計隔轟賦爾陣蝶
1940
1941
1942
1943
1944
95
囎距麗囎偽m
1939
o価
1938
86
90
ャ伽78ゆ囎鋤”励甥
1937
ン照87靭%甥”甥挽
1936
83
87
87
@99麗 97鵬 貯勝砂 麗園
1935
Q”89”勝雌醐甥勝
九六.四%に全くその比率は逆転しているのである。製造工業部門だけを取出しても、民間投資二〇。七%、政府投
資七九.三%であり、第一次大戦における製造工業投資七十三億ドルのうち民間投資九二%、政府投資八%と比較すれ
ば、いかに国家資本の役割が大であるかは明らかであろう。この面においても、国家権力の亘大独占資本との合生、
従属化、租税,赤字財政、インフレ等の大衆収奪による軍需生産拡大のための国家資本の確保と利用の実相が容易に
理解されるのである。
さらに、租税累増、赤字財政、インフレ等の大衆収奪政策によつて獲得された国家資本は亘大独占資本の代表者,
一最大限利潤について一
Board of Govemors of Federal Reserve System.
The Midyear EcQnomic Report of the President,
Juiy,1950, P.129.
第 二 表(100万ドル)
年劇私的麟百分比陣灘酬・、総計
1929
16.577
80.1
4,116
19°9
20,693
1937
11,502
71.1
4,665
28.9
16,167
1940
14,492
70.3
6,116
29.7
20,608
1941
18,335
54。5
15,290
45.5
33,625
1942
・9,123
17.0
44,437
83.0
53,S60
1943
2,346
3.6
62691
96。4
65,037
1944
4,296
9.3
63,673
93.7
67969
1945
7,806
14.2
46,944
85。8
54,750
,
,
Survey of Current Business, July 1947,1948。
92
代弁者の参与する戦時国防各種政府機関を通じて︵ユー・エス・スチールのステテイ昌アス、ゼネラル・モーターズ
のクヌードセン、チヤールズ・E・ウィルソン等の参加︶、独占軍需産業への集中的発注に使用されたり、互大独占資
本へ驚くべき低率で賃貸された国立軍需工場の建設、独占資本のための戦略物資の大量買付、科学研究、原子力工場建
学 表
三
第
クベユダコフカジ最最軍
△
zs
1三{…i嶺謹
社
名
島魂空動・驚合総
ンソリーデーデツドヴアルテノ,
1・↓グ オ様大さ需
金額︵百万ル・︶言
一七五●〇六一二
一 一七●山ハ一二四
五三●一三〇
=二・八一二
七・〇九一
五・ご六九
四・八七五
四・四=二
三・九二三
三・七八九
ジエネラル・エレクトリック
一二●二四六
三・三三〇
三・三九四
.ロツキード航空機
一 動車
車鋼機’機 車トズ計計額
三六〇
ご二二三四七〇七〇
一一一
丑先先壬三孟え6二先西三6
分比
よつて明らかなごとく、そのうちの六七・
二%は最大一〇〇肚によつて、三〇・四は
は、戦時中約ご十億ドル支出されたが、デ
て占められたのである。原子爆弾製造に
出であつたが、その六六%は六八祉にょつ
弾関係を含ます︶のうち四分の三は政府支
に、戦時中の科学研究費八億ドル︵原子爆
○○肚によつて独占的に消費された。さら
銅の七九%、銅合金の六〇%は亘大企業=
鉄合金の七〇%、アルミ昌ユームの八一%
二年の第三・四半期には、銑鉄の四五%、
段の増強も独占資本申心に行われ、一九四
るのである。さらに、原料の割当、生産手
最大独占企業一〇肚によつて占められてい
世界経済概究所 経浜年報 1951年第2輯72頁
設等に向けられたのである。第二次大戦中の軍需契約高は一千七百五十億五千三百万ドルであつたが、 ﹁第三表﹂に
叢一
論
商
一
(184)
(185)
ユポン゜ド゜ヌムール、アリス・チヤルマーズ、ウェステイソグハウス、 鼻ニオン・カーバイド.アンド・カーボン
・コーポレーシヨン、イーストマン・コダック等の互大原子産業が独占的にこの仕事に当つたのである︵アソリ、ク
ロード﹁アメザカ帝国主義の史的分析﹂小出・陸井氏訳二五六⋮七頁︶。
さらにレ国立軍需工場の民間企業への賃貸総数の八三・四%は互大企業一六八社、その四九.三%は独占産業二五
社によつて占有されているのである︵鐸璽郎氏﹁繁と⋮力資奎義﹂九七頁︶。このことは、驚くべき低率の賃
貸借料︵一工場につき一ク年一ドル︶生産高に応じて保証された利潤の獲得、企業経営の危険負担の完全な国家転嫁
︵究局において大衆転嫁︶等による独占利潤の容易な確保、戦争終了にともなう経済不況に対する独占資本の事前豫
︵アソリ・クPード﹁前掲書﹂五九頁︶。
の企業は三四%から一九四三年には一〇%に、千人以上の企業は三〇%から四四%にそれぞれ増減しているのである
に、また全企業数の二%にあたる互大企業の労働者数は四九%から六二%に変化しているのである。また五〇人以下
である。一九三九年雇用労働者数五百人以下の企業は全労働者数の五二%を占めていたのが、一九四四年には三八%
であり、このような国家権力の経済政策の展開は生産の集積、集中、独占資本の強大化を必然化せ・ずにはおかないの
わすか二、三の例ではあるが、これら戦争経済における国家権力の経済政策はすべて、亘大独占資本のためのもの
ている︵堀江忠男氏﹁ニユー・デイール以後のアメリカ資本主義﹂八ご頁︶Q
さ も も
つて払い下げられた国立工場︵百五十億ドル︶の七七・四%︵八十九億ドル︶は互大産業二五〇社によつて占められ
有軍需工場が原価マイナス償却費に等しい価格で、独占企業に優先的に払い下げられた事実である。戦時資産局によ
さらに・ご匹面に関連して忘れてならないことは、政府余剰資産法.︵の霞艮qω勺吋oOΦ目蔓︾。甘︶によつて、政府所
防対策等を意味するのである。
一最大限利潤について一
93
また、一九四六年互大製造会社一コニ社の資産総額は四百二十二億ドルで、すべての製造工業会社の総資産︵千五
十四億ドル︶の四〇%に相当し駕その大半が、いわゆるウオール街の金融グループ所有に属しているのである。﹁第
名
九五・O
九五・三
一〇〇・○%
上記会社が占
める正味固定
資産の百分比
均等であるかが容易に理解さ
れるであろう。さらに、生産
能力の側面から独占化をみれ
ば、鉄鋼部門において、ユ:
延製品八五%を占めている。
八九%、製鋼九一%、完成圧
%、互大産業十八社で銑鉄の
で全銅塊生産能力の約六〇
メロン︶、 リ。ハブリックだnげ
ン︶、ベスレヘム︵モルガン、
・エス・スチール︵モルガ
労働研究協会「現代の独占資本」三五頁。
資本の集積が互大であり、不
四表﹂は三つないしは四つの亘大独占資本の当該産業各部門の全資産にたいする割合を示すものであるが、いかに、
産業名
。ル。
カ会.
紙レプ
ズ,
金属
社ア
3ル
・ ミ、ユー薙蔓
コソ
)
アルミニ
属株式会社
1、アメリカ製罐会社︵モルガソ︶2、
ティネンタル制贋纏隅△瓜社︵〃〃︶
1、アナコンダ銅献駕茱△瓜社︵モルガンに閏四係
・あり︶2、ケネコヅト銅株式ム瓜祉︵モルガ
ル 会 ヅム1ゴ
ガ 社 チ会スム
会枇ト会
ン (
に デ 社(1社
関 ユ (デソ(
係 ポ モユタク
あ ン ルポイリ
〃窮h”㍍ザ翻紺鴫餓禁護脚
F国イヤ
(株
モ 式 リゴヤ●
グ合フタ
祉 ス ッ衆アイ
ソ、 ロツクフエラー︶
● ●
⑯ 用機発注高の三五%を独占したのである︵神野・宇治田氏﹁アメリカの資本主義の生成と発展﹂二八八ー九頁︶。
の
%を支配しているρ航空機部門では、カーチスライト、コンソリデイデッド、ダグラス、ユーナイテツドの四社で軍
石油部門では、ロックフエラ1系のスタンダ!ド石油を中心とする二〇社で原油生産の六〇%,パイプラインの九〇
六八副七
八八・五
e
社
会tr 1
ユ ー ム
精錬
銅溶解
チタ
ユイ
−n
ソ)・ヴグ
製キ
品罐
● ●
自
動 車
、
2
3
B会ドィ
1動モ ●社)ヤ
株車1 F321
式会タ
)4ゴラツ
〃ブ
1ゴヤゴ
△
耳
’ムソド
ラ自・
1
ガンヤ1 ’
りクフゼ
ラオネ
イ】ラ
スドル
〃リ
ブムム
表
4
第
94
叢一一
論
律
一商
η このような生産の集積、集中、独占化の進展は同時に互額な﹁最大限利潤﹂を保証するものであり、官庁統計によつて
−5.4
−6.0
−1.6
−2.4
−.6
−.3
↓増躍砂卵砿ω鎚騨㎜㎝”卵
②
−。8
−3.0
U躍刃砿”硝%㍑”蜘”即獅獅卸那撹
8° 5° 4° 5° 7°
ωMψωり”瑠旧鯉師肥%”即隔㎜
昂%弔堀磁ω”“郁乃珊“%脳煽、耶紡卵彫加卯”
邪”卸%卸%”緬奴η甥知”“師“奴鴉師り瑠融
−3°0
3.3
.2
脚脚閲槻陽闘師跳闘醐脚開関開開開開脇阿開醐㎜
③
による第三・四孚期の評価。 脚
2.6
1。4
9.8
総劉配判禦翁
(1)
会社利潤
法人税
税引後会社利潤
税引前
年次
Department of Commerce.The Economic Re−
port of the President, January 1951,P.202
(1)聯邦および州の法人税と越過利得税②一八百万
ドル③不完全な資料による算定o経済審問委員会
﹁国民経済の軍事化﹂
亘大であるごとはいうまでもない。
数字自体、官庁統計であり、また巧妙な﹁利潤隠蔽﹂が常識化されているごとを思えば、実質的利潤総額ははるかに
四三年の二百五十一億一千万ドルは約九倍に達するのである。税引後会社利潤は約七倍に相当する。もちろん、この
第5表
(10億ドル)
さえもこのことは明瞭である。︵第五表参照︶。戦前十ケ年間の年平均税引前の会社利潤は二十六億三千万ドルで一九
⑯
一最大限利潤について一一
95
96
﹁戦争﹂は戦前の経済不況を解決し、独占資本に﹁最大限利潤﹂を保証したのであるが、同時に、単一世界市場の崩
壊、資本制世界市場の縮少、他方資本制生産の不均等発展と社会消費力の狭隆化を激化させたのである︵経済恐慌の
現実化の危機︶。ところで、戦争絡了にともなう平和経済への転換は軍需生産部門、それに関連する生産財生産部門
の莫大な生産設備、施設を不要にして、 ﹁最大限利潤﹂の源泉、蓄積の基底を破壊する可能性を増大させ、構造的危
機を尖鋭化させたのである。
もとより、戦時中の増強された生産設備が大部分、政府資金によつて行われたこと、戦時中の﹁延期された需要﹂、
かくして、戦後の構造的危機の激成に直面した金融資本は﹁最大限利潤﹂の持続的確保のために、彼等と軍部との
に﹁最大限利潤﹂が保証されていた場合においてをやである。
中の軍需生産部門が物資割当、強権的労働力搾取、財政金融援助、物価統制等の政策によつて、 ﹁保護﹂され、安易
待できないかぎり、独占資本の本能として, ﹁転換﹂よりも旧体制の﹁継続﹂を欲するものである。ましてや,戦時
もともと軍需生産部門は資本の有機的構成が一般的に高度であるために、転換が困難であり、 ﹁最大限利潤﹂が期
壊を促進せしめたのである。
の崩壊、資本制市場の狭隆化を激化せしめたこと等によつて、戦時経済から戦後経済への転換は拡大再生産過程の瓦
的搾取、インフレ政策等によつて、早急に消滅したこと、さらに戦争による資本制生産の不均等発展、単一世界市場
産財生産部門の不要化された莫大な生産設備を吸収しうるほど期待できす、戦時中の大衆収奪と窮乏化、戦後の財政
限利潤﹂を保証するものであつたごと、また、 ﹁延期された需要﹂、消費財生産部門の更新、拡大も軍需生産部門、生
による国立軍需工場も独占資本への経営委託、払下げ等によつても明らかなごとく、究極には、独占資本への﹁最大
消費財生産部門の戦後の更新、拡大等によつて或る程度、回避される可能性をもつかにみえたのであるが、政府資金
叢一
論
学
商
(188)
四寡頭制のもと垂鍵に実羅化され畠家努をして、﹁最大限利潤﹂暴のための﹁簾醤﹂を取らしめた
鞭騰鼎脚総額・is
12,711
41∼42
26,011
32,397
42∼43
72,玉09
78,179
34∼44
87,039
93,714
44∼45
90,029
100,405
45∼46
48,451
65,018
46∼47
36,044
42,505
47∼48
30,エ59
37,729
48∼49
30,530
39,668
49∼05
31,923
41,858
79
6,301
50
玉940ノ)41
, なるほど、 ﹁第六表﹂で明らかなように、戦
費租
獺難時中に比して、わすか一〇%内外の減少を奮
国国税
願讐ある。また才出総額におけ・国防費の割合は戦
は
にす曽・ず、戦後において、才出総額の八〇%近
1949.
6 4. 0 @76
@83 92 勉 8
77
8 8
噛秘ク年間は約四倍の国防嚢計上されているので
資含
翻前、たとえば一九三七年髭撃れば・戦後五
韻鼓なり減少しているのであるが、それでも、戦
費阜苧直讐、国防費綴時中に綾して、か
Federal Reserve Bui五etin,Apr
のである。その﹁補強装置﹂の最も有力なものの一つが﹁国民経済の軍事化﹂政策に他なちない。
第六表(OIO万ドル)
国︷際雷︸話雷︸信ム調社革剛社長Hの国防生産本部長官、エリヅクジヨソストンーアメリカ銀行取締〃役、ブラウン・ジヨンス
チヤールズ.E・ウイルソンーゼネラル・エレクトリヅク前社長11の国防動員総本部長官,ウイリアーム。ハリソンー
このような軍事体制の確立とその後の発展は、ウ.オル街による国家権力の完全な従属化︵トルーマン政権における
突破したのである。ここに、第二次大戦を上廻る軍事体制が確立されたごとを確証できるのである。
算五百九十六億ドル、実質支出五百二十三億ドルに達し、政府支出にたいずる割合八三・七%で、戦時中をはるかに
さらに、朝鮮事変を契機として、国防費は急激に増加し、一九五二年、政府支出七百十六億ドルのうち、国防費豫
いかに﹁国民経済の軍事化﹂が支配的であるかが理解きれるのである。
く国防費が占めているのである。戦前︵一九三七年︶の比率が
一
一・八・であつたことを思えば、戦後経済において
一最大限利潤について一
97
トン社社長ーの経済安定本部長官等の任命、アイゼンハァー政権におげるチヤールズ・ア1ウイン・ウイルソンーーゼ
ネラル・モーターズム掴長Hの国防長官、ダグラス●マッケイー自動車販売△工社社長、ゼネラル・モーターズと関係ー
の内務長官、アーサー・サマーブイールドー〃〃11の郵政長官、ジヨン・フォスター・ダレスーロックフエラー・マ
ン・Hの国務長官、ジョージ・M・ハンブリUグリーヴランド・グループーの財務長官等の任命等によつて明らかであ
るが︶を基底として行われ、 ﹁国防動員計画﹂の名の下に、原材料、労働力、資金の独占資本への優先的配分、集中
り
力習チス・ライト〃〃
ボーイソグ航空機
五億四千九百万
七億七千四百万
八億四千
九億六千万
一〇億
三五億︵ドル︶
ロ ツ キ ド 〃〃
五億
フ オ ー ド
ゼネラル・モーターズ
一九五〇年七月︸日∼五一年七月一日軍需資材契約
木材木工七%減となつている。また軍需生産のための原
期に比して、鉄道客車生産六五%、食糧品工業二一%、
的に縮少させ、一九五一年一・四半期は前年度四・四半
かかる軍事体制の確立、拡大は消費財生産部門を強圧
実に三十五億ドル軍需資材の発注を受けているのである
ルソンが会長であつたゼネラル・モーターズはこの聞、
つて占有され、国防長官チヤ1ルズ・アーウイン・ウィ
であるが、この期間中の発注総額の四〇%が一〇社によ
﹁第七表﹂は朝鮮事変後一ケ年間の発注状況を示すもの
的発注等を行うことによつて、 ﹁最大限利潤﹂を持続的に保証したのである。
学 表
商 七
レパブリツク 〃〃
四億九千万
四億八千一百万
ユナイテツド航空機
ノース●アメリカン〃〃
四億七千五百万
ゼネラル・エレクトリック
ペン♂アイツクス 〃〃
世界経浩年報1951,第2輯,171∼2頁
る。
アルミニュム三五%、ニツクル八五%、ウオルフラム、レy プ デ ン一〇〇%、金属精錬用運搬機七〇%減となつてい
材料の強権的割当実施にともない、消費財生産部門においては、
一九五一年上半期は前年同期に比較して、銅二五%、
第
98
叢一
論
(190)’
(191)
かかる軍事化政策の展開は戦後の自由価格政策、インフレ政策、後述する海外援助’労働力搾取政策等とあいまつ
,戦後生産指数が戦前中に比較して、相当低下したにもかかわら・ず、 ﹁第五表﹂に示したごとく、 ︵第五表は一九五
て戦時申をはるかに上廻つた﹁最大限利潤﹂を掠奪したのである。
〇年までの利潤額が計上されているが、一九五一年、税引後会社利潤百八十七億ドル、一九五二年、百七十二億ドルであ
る、団①創Φ轟一幻①ω弩く①切二目魯㎞戸目O軌ら。“︶戦後の会社利潤は戦時中をはるかに超過しているのである。 ﹁第八表﹂は
互大独占資本の戦後の税引後の利潤額であるが、戦前はもとより、戦時中よりも数倍も上廻つた利潤が保証されてい
る。また、別の統計、 ﹁薪時代﹂一九五三年三月四日号によれば、ゼネラル・モーターズの利潤︵おそらく税引前の
ることであろう。
もうけをする源泉となつた﹂ ︵マレソコフ﹁第一九回党大会中央委員会の報告﹂青木文庫版一三二頁︶といわれるのも故あ
潤をえている。軍備拡充は億万長者どもにとつて、とくにアメリカの独占資本や億万長者どもにとつて、朱層有の金
や︶ ﹁億万長者どもはプルジヨア国家を従属させ、これに新戦争の準備と軍備拡充の政策を命令し、いまや亘額の利
うが︶︵筆者︶ポンプのよび水を保証する基本的手続きであり﹂︵q°ω゜Σo≦qo9自目α毛o艮Ω゜幻⑦Oo簿”︾噂艮一℃HO令
いつれにせよ、 ﹁軍備は将来の繁栄を確保すべき︵独占資本の最大限利潤を確保すべき、といつた方が適切であろ
コノ.ミスト、二八・四・ご五日号︶。
の総利益五十九億五千四百万ドル、平均利潤率二七一%︵資本金四億四千一百万ドルー普通株︶と報ぜられている︵エ
年一︼億六千六百万ドル、 一九五〇年一八億四千七百万・ドル、 一九五一年一五億一千万ドル、したがつて過去五年間
算定と思われるが︶は一九四六年五千万ドル、 一九四七年三億九千万ドル、一九四八年八億四千一百万ドル、一九四九
最大限利潤について
99
鵬 ﹀ 爆
歳勢W、ぐ●母1脚ーメ
曳“歳又・曵●勢卜1、マ
、ヤ
6ホ棺
一UO
醐O
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68岳
WOgo
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,
1∪
顕゜N粛
ρ沁粛
o
P顕譲
霜届露
欄珊腱塾
欝楓ノ燐迎倒ノ皿
一添粛
辱聾、灘迎餓♂懸
樹伴餅租楓θ翫曳
弼引擁環﹂瀦謙督
鯉藻
慧’嘗臆藩謡凝
㌔b硲
強遡’爵弔鶏譲’
一゜轟爾
一恥粛
言鑛・学随ノ
重隠峯
1’翻舞欝酔燧歌
一し譲
一゜い譲
oiU
圃当初の海外援助は﹁武彗法﹂に・る貸与の耀﹁アン・畜際通貨茎﹁屡復興開発銀行﹃﹁国讐
現されているのである。
援助計画﹂は対外補強装置に他ならす,これら両者の結節点に現在のアメリカ﹁最大限利潤﹂収奪政策が集中的に表
戦後の構造的危機にたいする独占資本の強力な対内対策の一つが、 ﹁国民経済の軍事化﹂であるとすれば、 ﹁海外
﹁海外援助計画﹂
。。
口汁欝琢寡㊦蟄諒謹渇︵訟滞蛍嚇鴇δO岡﹁、マ︶
GW°。岳
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随多、噸メ・“刈、““デ
亘粍ヤ唱●“↓、綿縄ザ
ひ
く斗又弘旨刈ノ、マ戊叉㌣賢随函叉﹁騒露議圖匿爆響﹂嗣,麟’轟8測’
U
αド
U
oo
ひ
w
0
oo
ぷ
N
100
商学論叢
易機構﹂等の参加出資、直援借款事贈与、UNRRA等の形式をもつて、 ﹁救済﹂、﹁復興﹂援助として行われてい
る。もちろん、﹁救済﹂、﹁復興﹂援助としての当初の﹁海外援助﹂の真の目的は、﹁最大限利潤﹂の持続的掠奪のために、援
助の代償としての資本主義諸国、後進地域の従属化、植民地化、半植民地化を通じて、過剰商品の輸出増大、世界市場の
Bank for lnternational Settlements ;21th Annual
4
OEEC諸国との貿易
Report.
(1)は平均
7,124
十5,529
4,182
1949
12,051
6,622
十5,429
4,076
1950
10,275
8842
十1,433
2,878
はかかる事情を端的に示すものである。この﹁援助﹂によつて西欧諸
マ!シヤル・プラン、それを基底とする﹁一九五四年対外援助法﹂
の地ならし的﹁経済援助﹂、さらに﹁軍事援助﹂へと発展したのである。
化に平行する資本主義諸国の反共軍事体制確立のための、いわば、そ
激化等はこれまでの援助計画の転換を不可避的にし、国民経済の軍事
国の飛躍的発展、単一世界市場の崩壊等による資本主義の新な危機の
かつたのである︵堀江忠男氏前掲書二一九ー三〇頁︶。加えて社ム四主義諸
講であつたごと等によつて、被援助国にとつて、援助効果が非常に少な
をもっアメリカにとつて絶対的に有利な﹁自由通商貿易﹂を促進する機
メリカの世界再編成の機構であり、国際貿易機構は圧倒的な生産能力
物資の価格高騰があつたごと、国際通貨基金、国際復興開発銀行等はア
的過剰商品の押付的援助であつたごと、戦後の自由価格制による援助
ところで、これらの援助は、経済復興に必要な緊急資材よりも非生産
一九四七年は戦前に比して約五倍、出超は一八倍である︵第九表参照︶。
独占的支配であつたごとはいうまでもない。実際、﹁援助計画﹂が広範囲に実施されるにつれ、軽出、出超は急増し、特に
12,653
砺獅卿蹴卿
1948
十1,618
十8,674
十3,234
5,756
十3,205
14,430
5,296
,
,
∼381
十4,601
1947
十 523
1129
十 478
2,439
2,967
1936i
(D
収支 輸出i輸入i収支
輸出総額1輸入総額
年度
表 (100万ドル)
九
第
(193>
最大限利潤について一
101
国は或る程度の生産復興が可能となり、一九四八年、西欧の工業生産は戦前の水準に達することができたのである。
ところで、このことは同時に、アメリカにたいする経済競争力の増大を意味し、被援助西欧諸国はドル不足克服との
ために、増加した生産能力をもつて輸出振興を図り、アメリカからの輸入を極力抑制せんとしたのである。また、援
助計画の要求する﹁耐乏﹂と﹁合理化﹂のために、生産能力の増大は消費財生産部門の抑制、実質賃銀の切下、人員
整理等大衆の生活水準の犠牲の所産であり、究極において、生産部門間の不均等、社会消費力、したがつて国内市場
の狭隆化を結果するにすぎない。そのため、アメリカ輸出市場は漸次縮少し、輸出は低下せざるをえなかつたのであ
る︵第九表参照︶。
かくて、 ﹁海外援助﹂﹁は国内の軍事化と平行して、 ﹁軍事援助﹂と発展したのである。もちろん海外援助の﹁軍事
援助﹂的性格は一九四七年、トルーマン大統領の声明によつて充分うかがわれるのであるが、 一九四九年四月四日の
1950
1,313
5,564
6,87
1951
5,222
2,833
8,05
1952
5,998
1886
7,48
4,220
王,782
6,00
1954
4,345
1,482
5,82
,
−種府
凪額緻障法﹂によつて﹁軍護助﹂は﹁経済援助﹂、﹁技術援助﹂髭較して圧
ドル、七三%%、極東九億ドル、=二%と議会承認をえたが、アイゼンハ
謂翼が向けられつつある・本年度﹁舞援助﹂六主億ドルは欧洲四+四億
礎欝その援助黍最逼西欧・菜開発地球特に、アジア、太平洋幾量点
紹饗゜倒的墨化されたのであ・︵第δ表譲︶。
冊助のい
別援もな 戦後から一九五二年六月までの七ケ年に﹁対外援助﹂総額は三百八十一
︵はたし
猿乱敏億,ル︵嚢分を差引違嚢助総額三百五+一億︶に琴るのであるが
1953
9 5 3 2 8 ﹁
大
洋
同
、 年の﹁相互防衛援助法﹂一九五一年﹁相互安全保
北
西
条 約
﹂ 年度購援助緯援助1小計
ウァー大統領は来年度の﹁海外援助
ル は 欧 洲 三 〇 億 ド ル 、五
ド ル 、 ニ四%、その他一五
﹂
五
十
八
億
ド 三
%
、
極
東
一
三
億 第10表 (100万ドル)
102
叢
論
学
一商
〈194)
億ドル、二四%と計画されていることでも明らかである。
31.3
32.5
34.7
36.1
15.5
16.9
18.3
19。0
21.0
22。3
8.8
10.0
11.2
12.4
13.6
14.5
””,
そのうち
私的投資
そめうち
直接投資
経済評論28。9. 165頁
︵その総額は一九五二年援助額の二〇%以下にすぎない︶この﹁援助﹂は被援助地
、資本輸出の増大、.そのための市場開拓、低廉な原住労働の搾取、原材料の掠奪的
域の軍事的、政治的、経済的従属化による戦略物資の買占、反共体制の強化、商品
安価買、完成製品の強制酎高価売付等による﹁最大限利潤﹂獲得等を目的とするこ
とには変りないQ
いつれにせよ、 ﹁海外援助計画﹂・は資本主義諸国、未開発地域の買弁的少数独占
資本を除く、あらゆる住民を系統的に掠奪することによつて、過剰商品の輸出増大
を促進せしめ、独占資本の私的海外投資を急増せしめたのである。﹁第一一表﹂によ
つて明膨かなごとく、直接私的投資は一九三九年七十三億ドルに比較して、一九五一
年百四十五億ドルに達し、しかもこれら増加した直接私的投資の七五%が独占資本
一〇社によつて行われている︵一九四七年︶事実を忘れてはならない︵ω鐸﹃︿o楓oh
O母﹃。旨切島ぎ①゜。°。”2ミΦpゴげ①さ一℃お゜︶。
かくして、アメリカ金融費本は後進地域の植民地化、資本主義諸国の従属化を通
じて差大な海外利潤を手中におさめている。 一九四六年から一九五〇年までの海外
投資による利潤総額は八十六億二千九百万ドルでそのうち、私的投資による利潤は
八十二億三千二百万ドル︵未分配利潤を含む︶︵九四・五%︶である。資本輸出総額における私的投資は三七%であるの
93gl19・5い9・6い94・t 1948 ’1’ 194g i 19・・1 ・9・
助
﹂
に
は
﹁
軍
事
援
助
﹂
とともに、 ﹁経済技術援助﹂もあるわけであるが、
しかして、後進未開発地域への﹁ 海 外 援
28.9
硲 “ 紹
20.6
対外投資総額 12.5
(100億ドル)
第 11表
(195)
一最大限利潤について一
那
に、利潤総額のうち私的資本のうける利潤が九五%︵そのうち五五%が十二の亘大トラストに帰属する︶にも達する
ということは︵ヴェ・ソロドヴニコフ﹁アメリカ帝国主義と資本輸出﹂経洛評論二八.九、一七二⊥二頁︶大衆課税等によつ
アナコソダ・銅
臥 ﹁第一二表﹂は海外利潤率がいかに国内利潤率に比較して高率であるかを
窃
仰 とえば、アメリカ石油資本のウェネズエラ、メキシコ、コロンビア、、或は
エ
㎝頁中近東地域への准脂出、支︷配︵スタンダード●オイル●オブ●N。﹁﹂は一九
・鵬7
㎜9四六年から一九五一年の総利潤は三十五億三千六百万ドル税引前11とさえ
みβ躍報じられている︶u°sスチール・ベスレヘム・リパブリツク・アナコン
WR
コンダ銅鉱業の純益五千三百四十万ドル︵﹂九四八年︶のうち、三千九十
栖笥・銅山、キユ支の鉄、マンガン・ζーム、ニツケル鉱山の支配︵アナ
櫨響ク蚤ツ・等の萎本のヴエネズエ・の讐ツクル密・キシ
ブイアストソ●ゴム ;
沸示して碧が・その整・独占資本の海外馨は穿ます活聾なり・た
讐33 80 13 26
スタソダード石油1
n 25 亡フ 7
ゼネラル.モ.タ.矧
のである。 ﹁戦争﹂は莫大な戦時利潤を保証したが、他方、労働者階級はそれによつて、軍事的苦役を強制せられ、
あるが、これは全くアメリカのあらゆる住民の搾取、さらに、従属国、植民地の系統的掠奪を基底として行われたも
以上、 ﹁戦争﹂、﹁国民経済の軍事化﹂、﹁海外援助計画﹂等の政策によつて﹁最大限利潤﹂の収奪状況を知つたので
﹁大衆収奪﹂
業部門への進出は周知の事実である︵日本に関しては別の機会に譲り度い︶。
カドルはメキシコ、南アメリカで 収 奪 さ れ て いる
︶
、その他、西欧諸国,カナダ、日本等における製造工業、軍需エ
第12表
て横奪された国家資本の対外輸出がいかに亘大独占資本の利潤収奪に奉仕しているかを率直に示している。
利潤率(%)
名
国内噛外
社
△
耳
104
叢一
論
学
商
(196)
105
(正97)
第13表
労働
年度 時闇
名旧賃銀
ra当睡間当
生計費
・噛郵備数
実質賃銀
週当1時間当
ドル 指鉢擁数
939
37.7
23.86
100.OlO.633
100.0
100.0 23.86
100。0 0.633
100.O
940
38.1
25.20
105.6 0.661
104.4
100.8 25.00
104.8 0.656
lO3.6
941
40.6 29.58
124.0 0.729
115.2
105.8
117.2
0.689
108.g
942
42.9 36.65
153.6 0.854
134.9
117.2 31.27
131.1
0.. 729
115。2
1943
44.9 43.14
180。8 0.961
151.8
124。3 34.71
27.96
145.5 0.773
122.1
36.48’
152.9 0.807
127.5
34.37
1944
45.2 46.08
193.i
1.020
1611
126.3
1945
43.4 44.081
186.1
1.023
161.6
129.2
144。0 0.792
125.1
94 u4°・4 44.14 185.0
1.0931s
172.7
130.9 32.16 141.3 0.796
125.8
192。9
160.2
30.75、
128.8 0.762
120.4
30.86:
0.7711
121.7
9471 40−3 49.26 206。4 1.221
19481
S°・’
P 53・14
222.7
1。327
209.6
172.2
129.3
計であるが、それによれば、 一九三九年を基準すれ
ば、一九四五年の時開当り実質賃銀指数は=一五・
∵で二五・一だけ増加している。しかし、戦時中の
﹁利潤﹂の増加率に比較すれば、全く問題にならな
いし、また同時に、その期間中、労働時間は五。五
時間延長されているのである。この増加率を認める
としても、国民生産高にたいする労働者の分前の割
合はこの期間中、四一・五%から三八・五%低下し
ている。さらに前記二五・一%の時間当り実質賃銀
指数の増加率は非常に低く算定されているBLSの
これを全米電気労働組合の算定した同年の生計指数
を用いれば、実質賃銀指数は一二五。一の代りに八
カ う も も も ヨ
九、したがつて、戦前に比較して一一%減となり、
実質賃銀は絶対的に低下しているのである。このこ
とは例の﹁ヘラー家計豫算﹂にたいする全産業従業
生計指数︵一九四五年一三〇・九︶に基くもので,
Bureau of LabQr Statistics, Wage during Transition, p74.
労働時間の延長、労働強化、実質賃銀の引下げによつて﹁窮乏化﹂は激化した㊨である。﹁第二二表﹂は御用的官庁統
員の平均賃銀の割合︵一九四五年七二%︶に全く符合している。
一最大限利潤について
106
叢
戦後経済においても、この傾向は変らす、自由価格政策、カルテル化助成、﹁国民経済の軍事化﹂、﹁海外援助計
画﹂等危機回避政策はインフレの進行、財政負担の増大を不可避的にし、大衆搾取はますます激化したのである。
﹁第=二表﹂によつて知るごとく、官庁統計によつても、時間当りの実質賃銀指数は一九四八年には=一一・七と低
下しているのであるが、全米電気労働組合の生計費指数を使用すれば、その指数は九三となるのである。別の統計に
よれば、 一九四五年に比較して、一九四八年の賃銀の購買力は一六%減少しているのである︵oo葺く亀90ξ巳韓・
切ロ。・冨。・♂6お・︶。ヘラー委員会の週家計費にたいして、週平均賃銀は一九四八年は二五ドル不足し、また、全世帯数
の約七〇%は、標準的健康ず品位と道徳的幸福を維持とする最低家計費︵年、四千百十一ドル“一九四八年︶以下の
所得をえているにすぎない︵労働調査協会﹁アメリカ資本主義の趨勢﹂高橋・松田氏訳一〇五頁︶。 ㌧
ば、・四〇ドル低下しているのであるρその間の生計費は九・二%︵全米電気労働組合算定︶高まつているので、実
期には、六二・八六ドルで、前年同期に比較して、わつか、四〇ドルの増加、 一九五〇年の第三・四半期に比較すれ
また、賃銀についてみても、事変後の平均週賃銀︵扶養家族三入をもつ製造工業労働者︶は一九五二年第一・四半
イソ﹁前掲書﹂四ご四頁︶。
して、羊肉四二%、獣脂、植物油恥四%、上質バター三六%、小麦一一%減となつている︵レォソチェフ、ルビγシュタ
主義の経洛的諸問題﹂経濱評論二八・一、三六頁︶。また一九五〇年における一人当りの食料品消費高は一九三八年に比較
所得の三二%に相当し、朝鮮事変前の二五%、第二次大戦のピーク時の二八%をそれぞれ上廻つている︵﹁アメリヵ帝国
︵ζ。夏三︽H。ぴ自知。蕊。≦・○。8げ①♪ち題ポ℃蔦℃・︶租税負担は一九五三年会計年度、 一人当り五百五十七ドルで、国民
し、卸売物価は一九五一年八月には、前年同月に比較して一一・六%、食料晶=一・六%、繊維一八・五%騰貴し
さらに、朝鮮事変を契機とする国防軍事体制の確立は軍事的苦役の強化、インフレ、租税増大、消費規制を齎たら
論
学
一商
〈198)
や も カ
質は絶対的に、 完全に引下げられているのでみる。
第14表(
総民關労
1年『(職塑 働力B 失業・屠
1,040
60,820
57,520
2,270
1947
61,680
60168
2,142
1948
62,748
6!,442
2,064
1949
63,571
62,105
3,395
1950
64,599
63,099
3,142
65140
1946
,
Transmitted to the Congress, January,
のである。
業﹂は﹁完全失業﹂だけを対象としているので、当然、 ﹁不完全就
業﹂者等を考慮せねばならない。 一九四八年、 一週一五時間ー三四
時間の不完全就業者六六〇万人、一四時間以内一六〇万人、したが
つて、総失業者数一、〇二六人、 一九五〇年、前者七六〇万人、後
者二四〇万人、合計一、三四〇万人に達するのである。
階級の搾取強化を基底とするだけではない。中小企業、農民、従属国、植民地の住民の組織的横奪をも前提とするも
﹁戦争﹂,﹁国民経済の軍事化﹂、﹁海外援助計画﹂をはじめとする戦後・国家独占資本主義経済政策はたんに、労働者.
ト的労働力管理機構が支配的となるのである。
を強化せざるをえないので、激化する斗争にたい す る 徹 底 的 な 断 圧 労 働 政 策︵タフト・ハートレイ法等︶、フアシス
朝鮮事変の休戦にもとすく経済恐慌の尖鋭化はますます大衆搾取
とともに、労働条件の改善を中心とする斗争を拡大化させすにはお
ることになるのである。したがつて、労働者階級は他の被収奪者層
下、労働時間の延長、労働強化等の労働条件の悪化をますます強め
騰貴、租税負担の増大とともに大衆の貧因化を激化し、賃銀の引
このような産業豫備軍の累増は、戦後のインフレ政策にょる物価
1951,Appendix. A:A−11.・
汐”%鍛”知
The Economic Report of the President.
年
は
一
九
四
五
年
に 比 較 し て 三 倍 に 達 し て いるc第一四表の﹁失
他方、戦後、 産業豫備軍は漸次増加し、一九五〇
1総労働力
かないのであるが、 ︵第一五表参照︶、また一方、
︶
53,860
,
1945
(199)
最大限利潤についf−一
107
1945
1949
1950
2。862
1,130,000
4,759
3,470,000
3,606
3,030,000
4,843
2,410,000
第15表
年劇・・ライ馴参加人員
(人)
①
Monthly Labor ReYiew, Octobdr,
﹁戦争﹂、﹁軍事化﹂等を支柱とする経済政策は、互大独占資本のための原材料レ
燃料、電力の優先的割当、財政、金融の重点的援助、集中的発注、独占価格維持
のための価格政策等を強権的に具体化することによつて、独占資本をますます強
大化ならしめたのであるが、このことはいうまでもなく、中小資本の陶伏、渡落の
促進を意味するのである。 一九三九年,五〇人以下の企業は総雇傭者⋮数の三〇%
を占めていたが、 一九四九年には一〇%、三分の一に減少している。
﹁第二六表﹂は売上一ドルにつき税引後利潤を資産別に算定したものであるが、
大企業は売上一ドルにつき小企業の約三倍強の利潤を得ていることになる。税引
前と比較するとき,売上一ドルにたいする課税は資産が少額になるほど高率で、
1951,P23.①年平均
解できるのである。
小企業は大企業の約三倍弱の課税負担
で
あ
る
。 この点、独占資本の高利潤と中小企業にたいする財政搾取を容易に理
1935∼9
108
叢一
論
学
結果、農場の債務は増大し、たとえば、農場抵当債総額をみれば︵第一八表参照︶、戦後漸次、増鴨加し、しかも主要
本による掠奪、最近の激化した農業恐慌、租税負担の増加等によつて貧困化はますます深刻になつている。その
どもたない農民的経営の下層部、零細小農は消費財、髄農業生産手段の価格高騰さら忙、商品化された農産物の独占資
の四.六%を占めるに過ぎないことを示している。戦後のインフレの激化過程において、農産物商品化の自由を殆ん
場に他ならない。﹁第↓七表﹂によつて明らかなごとく、全農場の四二・九%世あたる零細小農はわすか農産物販売額
産物のための価格支持政策,海外援助計画等によつて利益を獲得しえたのは,いわゆる、資本家的経営農場等の大農
また、農民層にたいする収奪も例外をなすものではない。 ﹁大戦﹂を契機とする農業生産力の増大、戦後の過剰農
、
・一一
(200)
’
売上1ドルにつき連邦税引後利潤
(・セント)
第16表
(千ドル)
P⑳師”躯
田乃附砂師
第17表
農場数1農産物販売額
250∼999
1,000rV4,999
5,000∼99,999
ioO,000以上
The Economic Report of The Presdent,
@1A牛期
January,1953, Appendix B:B−38
資本家的経営
N
8.7%
49.4
農民的経営
48・4%
46.0
零細的経営
42.9%
4.6
全 経 営
100.0%
100.0
農i業恐慌」経済評論.29.8102頁.
高橋伊一郎氏「アメリカ農業の階層分化と
債権者グループのうち、連邦政
府機関より生命保険.商業銀
行、個人の役割が重くなつてい
る。このことは政府諸機関にた
いする借入資格をもちえない零’
細小農の増加と金融機関の農業
部門への寄生性の強化を意味す
るのである。かくて、全農場数
の半数以上を占める農民的経営
の中、下層部、零細小農は独占
資本の圧制下に従属化し、窮乏
助﹂の増大にともなつて、国民経済の軍事化を図り、そのための大衆課税,公債の増加、物価統制、軍事産業の育
労働時間の延長、労働強化、人員整理、労賃の価値以下への強制的切下、消費統制,貿易管理を徹底し、 ﹁軍事援
﹁海外援助計画﹂等によつて従属化せられた資本主義諸国は、その要求する﹁合理化﹂、﹁耐乏﹂を大衆に転嫁して、
はじめて可能である。
﹁最大限利潤﹂を保証したのであるが,それは従属国、半植民地、植民地の住民の系統的掠奪と奴隷化を前提として
このような大衆収奪の拡大はたんに自国の住民のみではない。すでに知つたごとく、 ﹁海外援助計画﹂は亘額の
経営階暦
η粥砺筍編
1∼249
1952@
1951
1948
と破滅に直面しているのである。
資 産 別
(20i)
Pゆ ナ大限利潤にりいて
109
τ九四企
一九四七年
四、八八一、茜四
︵入八、九=三
一九四九至
ェ、一八三
八六八、一五六
老、九き
四杢
一九五〇年
x八五
八全b四空
一﹂七二、蓋唱
ズ八、全五
二七σ
矢、穴き
九〇六、〇七七
l一
=九四奎
四、七七七b三五五
九七六、七四八
ち七、O套
六豊
天八、八九 ﹂
O呈、七冗
O、
Z八九、一九二・ 二、き一、八八五
会七、八巴
竃、
一九四五年
四、六八一、七二〇
Z七八、九五嵩
西六、六三
Z窪
死五δ穴九
九三六、七邑O
黶Z
主要穰者グ孕二
緕O﹃九四二
一2晃、六七六
曇冗、棄孟
罠、二〇八
COO
八九〇、=会
ズ一、八さ
八入四、三島
七九三、四七六
繼ト、八孟
The World Almanac 1951, p.632.
農場抵当 債 務 総 額
連邦土地銀行
島四七、三〇七
l毫
O七七
O、七二三
ェ八九、六五玉
六八三㍗﹂三九
オ豊、〇九八
竃〇七、呂九八
一八
連邦農場抵当会社
株式土地銀行
農業住宅管理局
生命保険会社
窩九︸五全
オ七黒、九玉O
一、
縺A
皿b
O、
五、
一、
二、
商 業 銀
個人そ の
一、
一九
九 一、
一、
四、
一、
すか三四%︵一九三八年、四五%︶にす曽ない状態である︵レナソチエフ、ルビソシユタイソ﹁前掲書し四二三頁︶o
ではど5はたらいているか﹂世界経済評論年報一九五二W、二六一頁︶、国民所得にたいする労働者の分前は一九五〇年はわ
七年に比較して、 一九五一年はわすかに五五%にしか達せす︵W・グロツサン﹁現代資本主義の基本的経済法則はフランス
たいする平均賃銀の割合は六三%、イタリヤは五〇%といわれ、またフランスにおける時闇当りの実質賃銀は一九三
成、融資規制等を強固に実施して大衆の搾取と窮乏化を激化せしめたのである。西ドイツにおいては、最低生活費に
一、
行
他
(1,00ドリ)
第18表
110
叢
論
学
、
一一
(202)
最大限利潤について
111
‘うな資本主義諸国の大衆の窮乏化はもとより︸アメリカ金融資本の﹁最大限利潤﹂収奪のたんなる結果だけ
ではない。従属化せられた資本主義諸国における亘大独占資本がその従属化過程にたくみに便乗し、同時に、従属化
にたいする反揆11斗争の基盤確立のために、同様に大衆から﹁最大限利潤﹂を収奪せんとする結果でもあり、またそ
のために植民地の住民の系統的掠奪、横領を同様に強化するのである。
他国の住民を最も露骨に収奮するのは、なかんすく﹁植民地﹂,﹁半植民地﹂においてである。それは,いうまでも
なく、 ﹁資本圭義が資本主義としてとどまるか磐り,資本の過剰は、当該国の大衆の生活水準をひきあげるためには
用いられないで1国外へ、後進諸国へ資本を転出することによつて利潤をひきあげることに用いられるであろう。
これらの後進諸国では、利潤は高いのが普通である。そのわけは、資本は少なく、地価は比較的に安く、労賃は低
く、原料は安いからである﹂ ︵レーニソ﹁帝国主義論﹂レーニソニ巻選集第一巻一三四頁︶という理由にもとすくのであ
る。
植民地、.半植民地特にラテン・アメリカ,アジア,中近東、アフリカにたいする﹁価値以上の販売﹂、﹁価値以下の
購買﹂いわゆる、 ﹁ハサミ状価格差﹂にょつて、原住労働力にたいする餓死的賃銀、無制限の労働時間、労働強化ー
奴隷的労働条件によつて、半封建的、半農奴的農業諸関係の維持、活用化による農業収奪の拡大等によつて前に述べ
たきわめて高い﹁海外利潤率﹂がもたらされるのである。
一九四八年、平鋼板の工場渡公定価格は百ポンド、三.ニドルにたいして公定輸出価格は五・五 ドルであり、苛
性ソーダの工場渡公定価格、百ポンド、二・八五ドルが輸出価格では六・ニドルであつたこと、ラテン・アメリカで
支払われるコーヒーの輸入価格がポソド当り二五・一セントであるのに、消費者価格は五一・四セントであつたこ
と、ラテン・アメ旦力に進出しているユナイテツド・フルーツ会社ではバナナニ房の経費は一ポンド、一・七セント
であるのを一五・九セントの小売価格で販売していること、或は、 一人当りの平均生産量に殆んど差異がないにもか
かわらす、チーりにおけるアナコング銅会社の原住労働者に支払う平均賃銀は年、二百七十三ドルで、本国での平均
賃銀千四百ドルの五分の一にす曽す、また、 一人当りの生産量は多いにもかかわらす、アラビアの石油労働者の平均
賃銀は本国のそれの十分の一にす曽ない事実︵ヴイクター.パウロー、﹁前掲書﹂、九八1=六頁参照︶、或は一九五一年
のビルマにおける実質賃銀は一九三八年に比較して六一%、マレーは三三%、メキシコ四二%、インドは一九五〇年
に比較して三六%にすぎない事実︵世界経済年報一九五三、二四三頁︶等は簡単な例ではあるが.この辺の事情を明確に
示すであろう。
植民地、徒属国、本国の人ロー人当りの
国民所得にかんする比較 (単位ドル)
イ ン ド
57
フイリヅピソ
44
イソドネシア
25
イ ギ リ ス
773
リ ペ リ ア
38
オ ラ ソダ
502
パキスタソ
51
ア メ リ カ
1453
タ イ
36
本主義体制の現状は⋮帝国主義の植民地体制の崩壊が事実上起つている、とい
故に、ごれら諸地域の民族的抵抗、民族解放運動は激化し、その結果﹁世界資
く蓄積されることになるのである︵第=一表、第一九表参照︶。しかし、その
かくて,これらの地域の貧窮,餓死はますます増大し,他方において、アメリカ独占資本に互額の富がますます多
第 19表 (1948年)
木文庫版一三三頁︶、﹁全般的危機﹂の新たな進行は尖鋭化しつつあるのである。
うごとによつて複雑となりつつあるし﹂ ︵マレコフ﹁第一九回党大会への報告﹂青
世界経浩年報,1953一皿243頁
112
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論
学
商
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