...

第6章 (PDF : 2MB)

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

第6章 (PDF : 2MB)
第6章
1
1
授業 実践事例(教 育力向上指導 員)
国 語 「 国 語 総 合 」( 古 典 分 野 )
多角的に古典を学ぶ ~知識習得、活動、読解の融合型授業をめざして~
作業を積極的に取り入れて、手と頭を使って古典を学 ぶ。
(1)単元名
「徒然草」高名の木登り
(2)目標
①
古典教材の代表である「徒然草」の学習を通して、古典への親しみを深め、 主体的に学
ぶ 姿 勢 を 作 る 。( 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 )
②
自然、人事などの描写を通して古人の感覚・思想に触れる。現代に生きる自分たちとの
共 通 点 を 考 え る 。(「 C 読 む こ と 」 の (1)の ウ 、 エ 、 オ )
③
言葉を分類したり、条件に応じて抜き出したりする作業を通して、品詞について具体的
に 知 る 。 文 語 文 法 に 関 す る 、 知 識 を 深 め る 。(「 伝 統 的 な 言 語 文 化 と 国 語 の 特 質 に 関 す る 事
項 」 の (1)ア の (イ)、 お よ び (1)イ の (ア)、 (イ))
(3)指導計画等
A
実施段階、準備などについて
○
一学期の導入期の内容である。ひととおり動詞学習を終えてからの確認学習として行う
が、動詞学習の初期にも応用が可能である。
○
教 材 と し て「 高 名 の 木 登 り 」を 取 り 上 げ て い る が 、
「 国 語 総 合 」の 教 科 書 に 取 り 上 げ ら れ
て い る 他 の 章 段 を 用 い て も よ い 。 ま た 、「 徒 然 草 」 以 外 の 教 材 で も よ い 。
○
教科書、古語辞典、文語文法書、国語資料集を用意する。他に指導者が本文に出てくる
動詞の活用を表にまとめたもの、用言の箇所を空欄にした口語訳のプリントなどを用意す
る。
B
単元の具体的な評価規準
①
a
関心・意欲・
態度
こ れ ま で 学 ん で き た 動 詞 (用 言 )に 関 す る 知 識 を 生 か し て 作 業 や 説 明
に取り組もうとしているか。
b
指示された作業内容や予習に主体的に取り組んでいるか。
c
筆者の主張と今の自分の生活や在り方との共通点を考えようとして
いるか。
②
a
読む能力
動 詞 (用 言 )の 意 味 を 正 確 に つ か み 、適 切 な 口 語 訳 を 完 成 さ せ る こ と が
できているか。
b
筆者の主張が正しく読み取れているか。
c
筆者の主張と今の自分の生活や在り方との共通点を考えながら読ん
でいるか。
③
a
こ れ ま で に 学 ん で き た 動 詞 (用 言 )に 関 す る 知 識 が 身 に つ い て い る か 。
知識・理解
b
動 詞 (用 言 )だ け で な く 他 の 語 と の 接 続 関 係 や 実 際 の 活 用 形 の 使 わ れ
方 、特 殊 な 活 用 を す る 動 詞 の 理 解 な ど 、発 展 的 な 知 識 を 身 に つ け る こ と
ができたか。
④
(話す能力)
a
筆 者 の 主 張 に 沿 っ て 自 ら の 体 験 や 考 え を ま と め 、発 表 す る こ と が で き
ているか。
- 48-
C
指導計画(全2時間)
時
間
学
習
活
動(指導上の留意点)
評価の規準と方法
○ 本 文 を 書 写 す る 。( あ ら か じ め 指 示 し て お く ) ※ 1
1 時間目
①事前にノート確認
○作品や筆者について理解する。
○本時の活動内容を理解する。
○動詞(用言)の傍線引き、文法的説明の記入と答え
合 わ せ を 行 う 。 (訂 正 は 朱 書 き さ せ る )※ 2
①机間巡視
①③授業後にノート
提出、活動内容
や正確さを見る
○注意すべき語についての説明を聞き、確認する。
※3
○ 動 詞 (用 言 )の 箇 所 を 空 欄 に し た 口 語 訳 プ リ ン ト を 完
成させる。
(次の時間までに口語訳を完成させるよう
に指示する)※4
○辞書で古語を調べる。
(調べておくべき語を記載した
プリントを配付し、次の時間までに辞書で調べてお
くよう指示する)
○事前にノート、プリントを提出する。※5
①②提出物で確認
(授業までに余裕があれば不十分な者は改めさせる)
2 時間目
○ 辞 書 で 調 べ た 内 容 を 発 表 す る 。( 指 名 す る ) ※ 6
①②③
発表内容で確認
○ 本 文 中 の 動 詞 (用 言 )の 活 用 形 や 動 詞 (用 言 )の 前 後 の
語句に注目する。※7
○ 口 語 訳 を 発 表 す る 。( 指 名 す る ) ※ 8
①②③
発表内容で確認
○筆者の主張をノートにまとめ、発表する。※9
①②(④)
発表と提出物で確認
○筆者の主張を踏まえて、自らの体験などをノートに
書き発表する。※10
①②(④)
発表と提出物で確認
○授業終了後、ノート、プリントを提出する。※11
①③提出物確認
※指導のポイント等
ど ん な に 忙 し く て も で き る か ぎ り 細 か く ノ ー ト や 提 出 物 チ ェ ッ ク を し ま し ょ う 。時
間 の 関 係 で 全 員 に 発 言 さ せ る こ と は 難 し く て も 、何 を や っ た か 、何 を や っ て な い か は
も ち ろ ん の こ と 、授 業 中 に 考 え た こ と や 、学 習 内 容 へ の 関 心 な ど も「 提 出 物 」で 確 認
で き ま す 。考 査 時 だ け で は な く 、で き る か ぎ り こ ま め に 提 出 さ せ て 、提 出 物 で コ ミ ュ
ニケーションを図ってはどうでしょうか。
- 49-
2
授業の実施、展開上のポイント(※についての解説)
※1(ノートのとり方について)
①
学年当初は行間のとり方や字の大きさなどについても必ず指導します。上級生のノートを
毎年紹介して、参考にするように指示しています。
※2(文語文法の指導上のポイントについて)
①
学年当初は「ハ行四段動詞・言ふ・連体形」などのように丁寧に書かせますが、 学習が進
めば「ハ四・体」のように略号で書くよう指示し、最終的には動詞や形容詞の品詞分解は省
略 し ま す 。そ う す る こ と で 真 面 目 に や れ ば 予 習 が ど ん ど ん 楽 に な る こ と を 実 感 さ せ て い ま す 。
ただし、形容動詞は副詞との兼ね合いや「に」の識別があるので省略しないようにするなど
のめりはりをつけています。
②
基礎・基本の定着を図る場面においては、生徒の実態に応じて、動詞、形容詞などを判別
できればよしとすることも考えられます。漢語+サ変動詞 で動詞をつくってみるなど、生徒
の関心を喚起する方法も考えられます。
※3(文語文法の指導の進め方について)
①
動 詞 の 場 合 は 「 基 本 形 が ウ 段 に な ら な い も の ( ラ 変 )」、「『 上 ぐ ― 上 げ る 』 な ど の よ う に 現
代 語 と 活 用 の 種 類 が 異 な る も の 」、「『 来 ― 来 る 』 な ど の よ う に 基 本 形 が 現 代 語 と 異 な る も の 」
などを重点的に説明します。特に活用語の基本形をきちんと理解しておかないと辞書引きな
どの自学が困難になるので導入期は確認をしっかりします。
②
ペーパーテスト形式で確認もしますが、言える者に手を挙げさせたり、全員立たせた上で
言 え な い 者 を 座 ら せ て (逆 だ と か わ い そ う な 面 も あ る の で )立 っ て い る 者 に 答 え さ せ た り す る
などのゲーム的なやり方も取り入れています。
※4(補助プリントについて)
①
学習の進捗状況に合わせて空欄の幅を変えます。
「 確 定 条 件 」な ど の 説 明 が 済 ん で い る 場 合
にはそれにあわせて空欄を作ります。
②
最終的にはノートに「本文、口語訳、文法的説明」の三点を書かせるようにします。
※5(予習・課題、提出物の扱いについて)
①
授業が1限の場合以外はあらかじめノートなどを提出させ、予習・課題の取り組み状況を
確認します。不十分な者はそれを指摘し、授業前に提出物を返却します。
②
予習を怠る者は減点するなどのやりかたもありますが、特に学年当初は、個人の能力に応
じ て 範 囲 や 内 容 を 軽 減 し て や る 、放 課 後 や 昼 に 追 指 導 を す る な ど の 対 応 を と っ て 、
「できるか
ぎり予習をする」習慣づけを重視し、減点しないようにしています。
③
時間に余裕があれば詳しく添削したり書き込んだりしますが、余裕がない場合は確認印な
どで済ませます。内容的に気になる者については個別に呼び出して指導します。
④
本文の暗唱や音読を課題とする場合もあります。特に文法的な説明の例文としてよく取り
上げられる箇所については暗唱と文法的説明の暗記を積極的に取り入れています。暗唱・暗
記の確認には、授業時間だけでなく放課後や休み時間も使っています。
※6(発表時の工夫について)
①
生徒の説明だけですませる語と用法や特殊な訳し方など詳しく補足説明する語とに分けて
めりはりをつけています。
②
補助動詞などの特殊なものについては、すべてを説明しようとせず、学習段階や時期を考
慮して簡単にすませる場合があります。
- 50-
※7(発展的学習、次時以降へのつながりについて)
①
主に下接する語に注目して活用形の特徴を説明します。また、打ち消しや推量の助動詞は
未然形に、時制を表す助動詞は連用形に下接するものが多いなど、助動詞にも触れて次に学
ぶ助動詞学習の導入とします。
※8(口語訳について)
①
同一箇所を複数名に答えさせて、よりよい口語訳をつくるようにします。また、口語訳を
あえて一つに固定しない場合もあります。
②
本人なりの努力が伺える解答は必ず褒めますが、できるかぎり正確な訳に直すように指導
します。
※9(課題の出し方や発表上の工夫について
①
その1)
ノートに自分の考えをまとめさせるだけでなく、生徒同士で相互評価をさせる場合もあり
ます。その場合には採点の基準を詳しく示します。また、生徒の発表を材料として、板書し
た上で添削を行うこともあります。
③
いくつかの解答を板書し、比較して説明することもあります。
※10(課題の出し方や発表上の工夫について
その2)
①
授業の進み具合にもよりますが、宿題とする場合もあります。
②
生徒相互で読み合わせをさせたりもします。優れたものを次時に紹介したり、プリントな
どにまとめて配付したりする場合もあります。
※11(提出物の確認上のポイントについて)
①
文法的説明の訂正や、筆者の主張や自分の体験の記述など、授業中に指示した作業項目が
行われているかを確認します。
②
その時間の授業の進め方が適切であったか、指導者の意図・工夫が伝わっているかなどを
特に遅進者を中心に提出物を通して確認します。
3
言語活動の充実の工夫
○
ノート、プリントを活用し、全員に自分の意見を書かせたり、作業内容を記録させたりす
ることによって、主体的に授業に参加できる形をつくる。
○
基 本 形 (終 止 形 )を 見 極 め 、 自 ら 辞 書 を 引 い て 自 学 が 行 え る よ う な 基 礎 を 作 る 。
○
発表+提出物確認、添削の形を多用し、生徒・指導者間、生徒同士で考えや意見を交わし
たり確認したりできる形をつくる。
※活動のポイント等
時 間 内 に 必 ず 一 度 は 自 分 の 意 見 、作 業 内 容 を 文 章 化 し 発 表 ・ 提 出 す る 機 会 を つ く り
ます。指名の有無に関わらず、考えようとする姿勢を重視します。
4
学習評価の工夫
○
事 前 事 後 に ノ ー ト 、プ リ ン ト 等 の 内 容 を 確 認 す る こ と に よ っ て 、
「 関 心・意 欲・態 度 」の 評
価を生徒にタイムリーに伝えるようにする。
○
提出物評価は該当範囲の全体的な評価と、特定箇所のピンポイント的な評価の二つを用意
する。
※学習評価のポイント等
学力面に課題のある者や集中力が持続できない者も、一定の評価が得られるよう、
チェックポイントを複数用意しています。
- 51-
2
公民「現代社会」
実社会で活用できる確かな学力の定着に向けて
~「労働」について主体的に考察する授業展開~
1
学習活動の概要
(1) 単元名
「豊かな生活と福祉社会の実現をめざして」
(2) 目標
○雇用や労働問題について理解を深めさせるとともに、自己の在り方生き方に関連させなが
ら労働について多角的に考察させる。
○社会保障について理解させることにより、他者や社会に関心を広げ、全ての人々が
よりよく生きられる福祉社会の実現について考察させる。
(3) 指導計画(全4時間)及び評価規準(一部)
評
1
(
本
時
)
時
学習
間
内 容 (ね ら い )
【
1
(
本
時
)
2
観点
規
準
①関心・意欲・ ②思考・判断・ ③ 資 料 活 用 の
態度
第1次
労働者の権利
1
労 働 者 の 権 利 労 働 者(
の権
に つ い て 理 解 や 働 く本
ルー
時
し 、 労 働 関 係 に 対 す)
る関
表現
④知識・理解
技能
~働くルールを知ってハンドブックを作ろう~
】
利
労働者が法律
労働者の権利
労働者の権利
ル
等で保護され
や働くルール
やそれらを保
心
ている理由を
に つ い て 、学 習
障する法律の
法制を働くル
を 高 め 、そ れ を
収集した情報
に役立つ情報
具体的内容に
ールとしてと
から多角的に
を適切に選択
ついて理解し、
らえ関心を高
意欲的に追究
し 、自 己2の 生 き
考 察 し 、働 く ル
し 、効 果 的 に 活
実生活に生か
め る と と も
方と関連させ
ールをハンド
用している。
せる知識とし
に、自己との
ながら考察し
ブックにまと
労働基準法か
て身に付けて
関わりに着目
ようとしてい
めて発表する
ら 、特 に 必 要 な
いる。
しながら考察
る。
な ど 、適 切 に 表
労働条件を読
現している。
み取っている。
する。
【
3
価
第2次
現代の雇用・労働問題
】
雇 用 情 勢 の 変 化 と 労 働 者 を 取 り 巻 く 様 々 な 問 題 に つ い て 、非 正 規 雇 用 の 増 加 や 仕 事
と 生 活 の 調 和( ワ ー ク ・ ラ イ フ ・ バ ラ ン ス )な ど の 具 体 的 事 例 を あ げ て 多 角 的 に 考
察 す る と と も に 、雇 用 の 在 り 方 や 労 働 環 境 改 善 に 向 け て の 課 題 を 国 民 福 祉 の 観 点 か
ら主体的に追究する。
【
4
第3次
社会保障の役割と福祉社会の実現
】
社 会 保 障 の 意 義 を 理 解 し 、少 子 高 齢 社 会 に お け る 日 本 の 社 会 保 障 制 度 の 課 題 に つ い
て 、福 祉 社 会 の 実 現 に 向 け て 何 が で き る の か 、自 己 の 在 り 方 や 生 き 方 と と も に 考 察
する。
*他教科・科目との連携により学習内容の精選を行い、1時間でまとめる。
( 家 庭 科 「 家 庭 基 礎 」 に お い て 、 社 会 保 障 制 度 に つ い て は す で に 学 習 し て い る 。)
- 52-
2
指導場面の具体例より
(1)授業のイメージ
<ど の よ う な 生 徒 に >⇒ 「 公 民 科 は 暗 記 科 目 で あ る 」 と い う 意 識 が 強 い 、 大 半 が 高 校 卒 業 後 就 職
する3年生を対象にした授業。
<ど の タ イ ミ ン グ で >⇒ 就 職 が 内 定 し 、 社 会 人 と し て 自 覚 し 始 め る 時 期 に 展 開 す る 授 業 。
<ど の よ う な 内 容 を >⇒ 他 人 事 で は な い 現 実 的 な テ ー マ と し て 、 自 己 の 生 き 方 と 結 び 付 け や す い
「労働」の理想と現実について考える授業。
<ど の よ う な 思 い で >⇒ 様 々 な 情 報 が あ ふ れ る 中 、 授 業 で の 学 習 を 手 が か り に 、 自 分 の 頭 で 考 え
る力や実社会に出てからも学び続ける力、未来をたくましく生き抜く力
を身に付けてほしいというメッセージをこめた授業。
(2)授業の流れ
学習内容
≪
生徒の学習活動
指導のポイント
・
「何のために働くのか」
「い
・先輩の「新聞切抜きノー
労働の意義と
きいきと働くためには何
ト」を紹介し労働の理想
目的
が必要なのか」考える。
と現実について問いかけ
導入
~つかむ~
(1)働 く と は
≫
望ましい働き方
(2)働 く ル ー ル
クイズに挑戦
展開1
・ ク イ ズ に ○ ×で 答 え る 。
・ 10 問 程 度 の 簡 単 な ク イ ズ
・解答の理由と疑問点につ
(生徒の興味を引き、意
いて意見を交換する。
外と知らない問題を作成
・働くルールに関連する法
する)で生徒の理解度を
~ひろげる~
(1)働 く ル ー ル と は
把 握 す る 。【 資 料 1 】
≫
・2、3名のグループで労
・声に出して読ませること
労働条件
働基準法を読み、教科書
で、法律の文言に慣れさ
労働契約
や資料集を参考にして、
せる。
就業規則
プリントに記入しながら
理解する。
・アルバイト経験のある生
ことで働くルールの内容
徒に、学校に提出した労
を理解し、なぜ法律が必
働条件通知書の具体的事
要なのか考える。
項を発表させる。
~ふかめる~
(1)労 働 者 の 権 利
・数名での作業により効率
・クイズの文章を訂正する
するか考える。
展開2
・泣き寝入りしないために
学ぶことを強調する。
≫
・ 日 本 国 憲 法 第 27 条 ・ 28
・基本的人権(社会権)と
勤労権
条が保障する労働者の権
して学習したことを指摘
労働三権
利を答える。
する。
(2)労 働 三 法 と そ の 他
の労働関係法規
③
よく行わせる。
・ルール違反の場合はどう
≪
①
る。
律について考察する。
≪
評価
・労働三法のほか、労働関
・厚生労働省のポスター掲
係の具体的な法律として
示やホームページの紹介
- 53-
④
最低賃金法
どのようなものがあるか
により、最低賃金法など
男女雇用機会均
理解する。
について簡潔に説明す
等法
≪
など
展開3
る。
~まとめる~
≫
(1)「 働 く ル ー ル ・ ハ
・労働基準法等を手がかり
・クラス全員が協力してハ
ンドブック」作成
に、労働者として最低限
ンドブックを作成するこ
知っておくべき働くルー
とを伝える。
項 目 (例 )
賃金、休日、
労働時間、
休憩時間、
ルを書き出していく。
・クラスで、ハンドブック
・ 10 項 目 に ま と ま る よ う ア
の目次を決める。
ドバイスする。
割増賃金、
・項目ごとにグループに分
・後日、クラスで編集し、
深夜労働、
かれ、授業で学んだこと
印刷したものをハンドブ
解雇、
や調べてわかったことを
ック(A5横を中央で二
年次有給休暇、
簡潔な文章や図表にわか
つに折りA6サイズに)
最低賃金、
りやすくまとめる。
として各自に配付するこ
監督機関
≪
まとめ
と を 伝 え る 。【 資 料 2 】
~つなげる~
(1)本 時 の ま と め
(2)次 時 の 予 告
②③
≫
・働くルールについて知る
・
「どのような労働条件で働
ことが自分を守ることに
き た い か 」か ら 、
「いかに
つながることを理解す
生きるか」について考え
る。
を深めさせる。
・ハンドブックを完成させ
・厚 生 労 働 省 が 提 唱 す る「 デ
働くルールと理想の働き
ィーセントワーク(働き
方について発表すること
がいのある人間らしい仕
を確認する。
事 )」 に つ い て 触 れ る 。
④
(3)資料
【 資 料 1 】 働 く ル ー ル ○ ×ク イ ズ ( 例 )
①〔
〕アルバイトも有給休暇を取得できる。
②〔
〕使用者は、アルバイトを除く被雇用者本人に雇用条件を文書で知らせなけ
ればならない。
③〔
〕 親 は 、 18 歳 未 満 が ア ル バ イ ト で 得 た 給 料 を 本 人 の 代 わ り に 受 領 で き る 。
④〔
〕 使 用 者 は 、 18 歳 未 満 を 深 夜 労 働 (午 後 11 時 以 降 、 翌 朝 午 前 6 時 以 前 )に 従
事させてはならない。
⑤〔
〕 18 歳 未 満 の 場 合 、 親 が 労 働 契 約 を 結 ぶ 。
⑥〔
〕最低賃金は全国一律である。
(後略)
- 54-
【資料2】ハンドブック
3
言語活動の充実の工夫
○教室にただ「いる」のではなく、授業に「参加する」という活動型授業への取組
例:クイズ、ゲーム、ロールプレイ、ペアやグループでの意見交換及び協同的な学習
○年間を通じての継続的な取組と、発表(スピーチ、印刷物等による)場面の設定
例:新聞切抜きノートの作成(記事を読む→選ぶ→要約する→自分の考えをまとめる)
4
学習評価の工夫
○評価の場面…学習前の生徒の状況把握、学習過程における評価、学習後の評価
○評価の時期…学期末や学年末、単元ごと、単位時間ごと
○評価の方法…定期考査・時事問題小テスト、ノート、ワークシート、制作物など
[参 考 資 料 ・ 文 献 等 ]
『知っておきたい働くときのルールについて』厚生労働省労働基準局監督課
『 平 成 24 年 版 厚 生 労 働 白 書 ― 社 会 保 障 に つ い て ― 』 厚 生 労 働 省 ホ ー ム ペ ー ジ
- 55-
3
1
数学「数学B」
効果的なワークシートの導入
~「群数列」は縦書きで処理すべし~
学習活動の概要
(1)単元名
単元「数列」
ア
数列とその和
(ア)等差数列と等比数列
等差数列と等比数列について理解し、それらの一般項及び和を求めること。
(イ)いろいろな数列・・・本時「群数列」
いろいろな数列の一般項や和について、その求め方を理解し、事象の考察に活
用すること。
イ
漸化式と数学的帰納法
(ア)漸化式と数列
漸化式について理解し、簡単な漸化式で表された数列について、一般項を求め
ること。また、漸化式を事象の考察に活用すること。
(イ)数学的帰納法
数学的帰納法について理解し、それを用いて簡単な命題を証明するとともに、
事象の考察に活用すること。
[用語・記号] Σ
(2)目標
単元目標
簡単な数列とその和及び漸化式と数学的帰納法について理解し、それらを事象の
考察に活用できるようにする。
本時の目標
群数列について理解し、それを事象の考察に活用できるようにする。
等差数列、等比数列などの基本的な数列の内容は既に学んでいる。問題に応じて、
様々な公式や定理を利用できる柔軟で粘り強い思考力を磨いていきたい。ただ、せっ
かく立式はできても、計算力不足により正解を導けない生徒もいるため、途中計算を
丁寧に補足しながら指導していく必要がある。授業構成としては、なるべく多くの発
問を行うことで、生徒が授業中、常に主体的に考えているという状態をつくるよう心
がける。数列の分野の中でも特に理解しにくい「群数列」について、どのような規則
に基づいて群をまとめればいいか見つけ出すことから理解させたい。 特に本時におい
ては、以下のことに着目し、解決の糸口を見つけ出す。
・グループ分けしないときの数列の性質を調べる。
・第 n 群の項数や初項・末項を n の式で表す。
・別解として階差数列を利用した解法を示す。
- 56-
(3)指導計画等(学習指導案
本時略案)
学習内容・学習活動
予想される生徒の反応
指導の留意点及び評価規準
<導入>
前時までの学習内容を復習する。
等差数列・等比数列の一般項と
・教 科 書 や ノ ー ト で こ れ ま ・公 式 を 確 認 し な が ら 板 書
での学習内容を振り返る。 する。
和の公式を確認する。
本時の学習内容を確認する。
<展開>
課題問題
・解 法 の 方 針 に つ い て 説 明
奇数の列を次のような群に分け
する。
る。
1/3,5/7,9,11/13,15,1 7,19/…
(1)第 5 群 を 述 べ よ 。
(2)第 n 群 の 初 項 を 求 め よ 。
(3)第 n 群 の 項 の 総 和 を 求 め よ 。
(4)1999 は 第 何 群 の 何 番 目 か 。
(解法Ⅰ)
グ ル ー プ 分 け を し な い と き の 数 列 ・グ ル ー プ 分 け の 規 則 性 に ・ど の よ う な 規 則 な の か 確
の 性 質 を 調 べ な が ら 、第 n 群 の 項 数
気付く。
認させる。
や初項(末項)を n の式で表す。
・等 差 数 列 の 一 般 項 と 和 の ・思 考・判 断 の も と に な る
・ワ ー ク シ ー ト【 別 紙 】を 利 用 す る 。 公 式( 2 種 類 )の 確 認 を す
・ 問 題 (1)を 解 く 。
る。
表を作らせる。
・初 項・公 差・項 数 を 確 認
・ 問 題 (2)を 解 く 。
させる。
・ 問 題 (3)を 解 く 。
【数学的な見方や考え方】
・ 問 題 (4)を 解 く 。
群数列を用いて、数列
を考察し表現すること
ができる。
(解法Ⅱ)
階 差 数 列 を 利 用 し て 、 問 題 (2)を 解 ・階 差 数 列 の 公 式 が 正 確 に
く。
表せない。
生徒にチャレンジさせる。
① 「 n≧ 2」 を 忘 れ る 。
n-1
・解法Ⅱについて発問し、
n
【関心・意欲・態度】
②「 Σ 」と「 Σ 」を 間 違 う 。
群 数 列 の 考 察 に 、階 差
③ 「 Σbk」 と 「 Σbn」 を 間
数列を活用しようと
違う。
している。
④ 「 n= 1 の と き も 成 り 立
つ」ことの確認を忘れる。
<まとめ>
次時の予告をする。
※指導のポイント等
・ ワ ー ク シ ー ト を 利 用 し 、「 群 数 列 」 を 縦 書 き で 処 理 さ せ る 。
・初項だけでなく、末項でも考えさせる。
・階差数列でも群数列の性質が分かることに気付かせる。
- 57-
2
数列
指導場面の具体例(ワークシートの活用例)
am :
例として「和」とし
たが、目的に応じて
項目を変える。
グループ分けをしない数列の一般項
am =
群
…①
項
項数
和
…
1
2
3
4
5
…
n-1
n
第 n 群の(
初項
・
末項
)を
bn と お く 。
「数学は難しい」という
イメージを払拭するよ
うな表現をワークシー
トのどこかに入れたい。
群数列のおまじない
2つのバージョ
ンを求めること
で、それらが
別々の数列では
なく、項数だけ
の違いであるこ
とを気付かせた
い。そのために、
あえて同じシー
トで解かせる。
bn
=
am
…②
bn は 全 体 で は 何 番 目 の 項 ?
m

①②③から
…③
bn を 求 め る と
bn 
②より
=
=
=
注意
小事を意識し過ぎる
と、大局を見失うこと
が多い。一番させたい
ことを優先させたい。
①より
③より
「…」は問題に応じて項目を立てる。
n≧ 2
等は考え方が理解できてから説明する。
- 58-
求めた①~③をどの
ように扱っていいの
かわからない生徒が
多いのではないか。今
後のためにも、今回は
その流れを示す方を
選択した。
【 記 入 例 】 末 項 (記 入 例 の B type) の 方 が 考 え や す い 。
3
言語活動の充実の工夫
定 期 的 に 30分 程 度 の 時 間 を と り 、 簡 単 な 確 認 テ ス ト を す る 。 確 認 テ ス ト は 10分 程 度 で
実 施 し 、 そ の 後 10~ 15分 程 度 、 生 徒 ど う し で 交 換 し て お 互 い に 採 点 ・ 添 削 ・ 解 答 の 説 明
などをさせる。
※活動のポイント等
採 点 す る こ と に よ っ て 採 点 者 の 理 解 度 を 深 め る こ と が で き る 。ま た 、理 解 が 不 十 分
な部分が明確になることで、勉強に対するモチベーションの高揚が期待できる。
4
学習評価の工夫
生徒の学習状況を多面的に評価するため、観点別の評価規準を設定し、考査の結果だ
けでなく、生徒の学習活動全てが客観的に評価されるよう 様々な評価対象をもとに、各
学校の実態に即した方法で評価することを心がける。
<評価対象の例>
・授業中の態度・発言やノート
・授業中の確認テスト
・朝の学習プリント(週1回実施)
・演習問題の板書・説明やワークシート
・定期考査
・問題集用ノート(考査毎に提出)
・定期考査のやり直し
・長期休業中の課題帳や課題プリント
等
[参 考 資 料 ・ 文 献 等 ]
・「 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説
数学編
理数編」
文部科学省
(実教出版)
・「 評 価 規 準 の 作 成 , 評 価 方 法 等 の 工 夫 改 善 の た め の 参 考 資 料 」
国立教育政策研究所教育課程研究センター
・「 馬 場 ・ 高 杉 の 合 格 ! 数 学 」 シ リ ー ズ
マセマ出版社
- 59-
4
理科「理科課題研究」
理科課題研究のすすめ
~口頭発表、ポスター発表、論文集の作成などの機会を~
1
はじめに
( 1 )「 理 科 課 題 研 究 」 と は
学習指導要領解説によると、
「『 理 科 課 題 研 究 』は 、生 徒 自 ら が 科 学 に 関 す る 課 題 を
設 定 し 、探 究 活 動 な ど で 用 い た 探 究 の 方 法 を 活 用 し て 個 人 又 は グ ル ー プ で 研 究 を 行 わ
せ 、科 学 的 に 探 究 す る 能 力 と 態 度 を 育 て る と と も に 、創 造 的 な 思 考 力 を 養 う こ と を 意
図 し た 科 目 で あ る 」と な っ て い る 。こ こ で は 、徳 山 高 校 理 数 科 で 長 年 続 け て き た 理 数
化 学 に お け る 課 題 研 究 の 経 験 と S S H に お け る 課 題 研 究 の 取 組 を も と に 、普 通 科 で 可
能な課題研究について考えていきたい。
( 2 )「 理 科 課 題 研 究 」 の 目 標
学 習 指 導 要 領 で は「 科 学 に 関 す る 課 題 を 設 定 し 、観 察 、実 験 な ど を 通 し て 研 究 を 行
い 、科 学 的 に 探 究 す る 能 力 と 態 度 を 育 て る と と も に 、創 造 性 の 基 礎 を 培 う 」こ と が 目
標 に 掲 げ ら れ て い る 。特 に 、自 ら 課 題 を 設 定 す る 能 力 と 、課 題 解 決 の た め の 計 画 を 立
て る 能 力 、研 究 の 成 果 を ま と め 、発 表 を 行 う 能 力 の 3 つ は 、大 学 等 で 研 究 を 進 め て い
く 上 で も 重 要 で あ り 、こ れ ら の 能 力 を 高 め る 意 味 で も 課 題 研 究 を 履 修 さ せ る こ と は 重
要であるといえる。
( 3 )「 理 科 課 題 研 究 」 の 履 修 に つ い て
理 科 課 題 研 究 の 履 修 制 限 は 、高 等 学 校 の 理 科 で 1 科 目 以 上 の 基 礎 を 付 し た 科 目 を 履
修 し た 後 で の 履 修 さ せ る こ と が 求 め ら れ て い る 。そ の た め 、2 年 生 か 3 年 生 の 選 択 科
目として履修させることが可能であると思われる。標準単位数が1単位であるので、
夏 期 休 業 中 な ど の 特 定 の 期 間 に 集 中 的 に 実 験 等 を 実 施 す る こ と も 可 能 で あ る 。全 員 に
履 修 さ せ る よ り 、希 望 者 に 門 戸 を 開 く 形 で 、他 教 科 と の 選 択 履 修 も 視 野 に 入 れ た 教 育
課程の編成が必要であろう。
2
「課題研究」の具体例1(徳山高校理数科で行った「理数化学」における実践)
徳 山 高 校 で は 3 0 年 前 よ り 理 数 科 の 理 数 化 学 の 授 業 で 課 題 研 究 と し て「 島 田 川 の 水
質 検 査 」を 行 っ て い る 。光 市 を 流 れ る 島 田 川 の 水 を 1 7 か 所 採 取 し て 、次 の 項 目 に つ
い て 分 担 し て 分 析 し 、結 果 を ま と め る も の で あ る 。分 析 項 目 は 、① p H 、② 酸 度 ・ ア
ル カ リ 度 、③ ア ン モ ニ ア 性 窒 素 、④ 硝 酸 性 窒 素 、⑤ 硫 酸 イ オ ン 、⑥ 塩 化 物 イ オ ン 、 ⑦
硬 度 、⑧ C O D 、⑨ リ ン 酸 イ オ ン の 9 項 目 で あ る 。② ⑥ ⑦ ⑧ は 、ビ ュ レ ッ ト に よ る 滴
定 分 析 、③ ④ ⑤ ⑨ は 分 光 光 度 計 に よ る 比 色 分 析 を 行 っ て い る 。4 0 名 の 生 徒 が 9 班 に
分 か れ て 、水 質 検 査 法 が 書 か れ た 実 験 指 示 書 を 読 み 解 き な が ら 試 薬 を 準 備 し 、実 験 を
進 め て 分 析 結 果 を ま と め る 。こ の 課 題 研 究 の 中 で は 、実 験 計 画 を 立 て た り 、結 果 の 妥
- 60-
当 性 を 検 証 し た り す る こ と が 重 要 で あ り 、そ の た め に 、過 去 と の 比 較 や 他 所 の 分 析 結
果 と の 比 較 、さ ら に は 複 数 回 の 実 験 に よ る 検 証 な ど 、答 え が 一 つ で は な い 状 況 に お い
て様々な角度から試行錯誤を重ね、一つの結論を導く過程を体験することとなる。
3 0 年 の 間 に は 、上 流 の ダ ム の 建 設 や 護 岸 工 事 の 進 展 、洗 剤 の 無 リ ン 化 な ど 島 田 川
を取り巻く環境が変化しており、その影響が生徒達の調査記録として残されている。
こ れ ら の 蓄 積 の 上 で 、自 分 達 の 結 果 が 次 の 後 輩 達 に 受 け 継 が れ る 責 任 感 と 期 待 が 実 験
意欲をさらに高める効果も見られる。
こ の 課 題 研 究 は 、一 定 の テ ー マ を も と に 、分 担 し て 実 施 す る 形 の も の で あ る が 、科
学 の 手 法 を 体 験 す る も の と し て は 簡 便 で 扱 い や す い と い え る 。卒 業 生 か ら は 、大 学 で
の実験や研究で課題研究の体験が役に立ったとの話をよく耳にする。
3
「課題研究」の具体例2(徳山高校で行った「SSH課題研究」における実践)
徳 山 高 校 で は 、平 成 2 2 年 度 よ り S S H 指 定 校 と し て 、理 数 教 育 に 関 す る カ リ キ ュ
ラ ム 開 発 を 実 施 し て い る 。 そ の 中 で 、 理 数 科 2 年 次 に 「 S S H 課 題 研 究 ( 2 単 位 )」
を 設 定 し 、履 修 さ せ て い る 。こ こ で は 、4 月 か ら 1 年 を か け て 、自 分 が 興 味 ・ 関 心 を
もつ内容について、課題を設定し、実験計画を立て、実験を実施し、結果をまとめ、
発 表 す る と い う 一 連 の プ ロ セ ス を 体 験 さ せ て い る( 1 1 月 は 島 田 川 の 水 質 調 査 の た め
中 断 )。 平 成 2 4 年 度 の 生 徒 が 設 定 し た テ ー マ は 、 次 の 1 1 テ ー マ で あ る 。 タ イ ト ル
は 2 月 の 発 表 会 で 生 徒 が 示 し た も の で あ る 。〔(
) 内 の 解 説 は 筆 者 が 加 筆 し た 。〕
1
ダンゴムシの交替性転向反応の謎に迫る(ダンゴムシの生態)
2
飛沫に立ち向かう(トイレにおける飛沫の生じ方)
3
時 間 経 過 に お け る COD 値 の 変 化 ( 水 質 調 査 の 発 展 )
4
津波が建築物に与える力(津波による影響)
5
紙相撲(紙相撲における法則性)
6
空間への音の伝播(音の伝わり方)
7
水しぶきについて(落下物による水しぶきの発生)
8
水面の色の見え方(水面から見える水の色について)
9
様々な環境下におけるプラナリアの再生能力(プラナリアの生態)
10 ゼ リ ー の 安 全 性 を 科 学 的 に 検 証 す る ( ゼ リ ー に よ る 窒 息 死 の 防 止 )
11 母 音 と 子 音 の 境 界 を 探 そ う ! ! ( 声 紋 の 研 究 )
い ず れ も 、高 校 生 ら し い テ ー マ で は あ る が 、実 験 計 画 を 立 て る こ と が 難 し い 内 容 も
含 ま れ て お り 、定 量 的 な 扱 い に 困 難 さ を 伴 う 場 面 も 見 ら れ た 。し か し 、そ の 困 難 な 体
験 も 含 め て 、実 験 装 置 を 自 作 し 、自 分 達 で 工 夫 し な が ら の 試 行 錯 誤 を し な が ら の 実 験
は 他 の ど の 科 目 の 授 業 か ら も 得 ら れ な い 充 実 感 が 得 ら れ る よ う だ 。休 日 や 放 課 後 に 追
加実験を行う班もあり、熱心な取組が見られた。
教 員 の 指 導 体 制 と し て は 、理 科 教 員 が 5 人 程 度 で 1 1 班 の 研 究 を 分 担 し た 。そ の 際 、
教 員 の 役 割 と し て は 、教 員 自 身 が 未 知 の 内 容 が 多 い た め 、基 本 的 な 科 学 的 手 法 の 指 導
が 中 心 と な り 、生 徒 の 自 発 的 な 活 動 を 見 守 る 場 面 が 多 か っ た 。重 要 な 点 は 、教 員 が 指
示 を 出 し 過 ぎ る と 、生 徒 の 意 欲 を 低 下 さ せ る 傾 向 が 見 ら れ る こ と で あ る 。生 徒 が 失 敗
- 61-
することで、成長があるのだと考え、忍耐が必要であるといえる。
今 回 の 課 題 研 究 に お い て 、反 省 点 と し て は 、各 テ ー マ が 決 ま っ た 後 、そ の テ ー マ に
つ い て の 先 行 研 究 調 査 が 不 十 分 で あ っ た こ と で あ る 。先 行 研 究 調 査 と は 、他 の 研 究 者
が 、自 分 の 設 定 し た テ ー マ に つ い て ど の よ う な 研 究 を す で に し て い る の か を 調 べ 、そ
の 上 で 自 分 な り の 研 究 を 進 め て い く 方 針 を 立 て る こ と で あ る 。実 際 の 研 究 で も 、先 行
研 究 調 査 が 重 要 で あ る の で 、こ の 体 験 を 重 視 す る 必 要 が あ る 。現 在 で は 、イ ン タ ー ネ
ッ ト で 図 書 検 索 や 文 献 検 索 が 可 能 に な っ て い る の で 、事 前 に 範 囲 で 資 料 を 収 集 さ せ れ
ば、実験計画がよりスムースに立てられたであろう。
新 教 育 課 程 に お い て は 、理 数 科 の 必 履 修 科 目 と し て「 課 題 研 究 」を 履 修 す る こ と に
な っ て お り 、S S H 校 以 外 で も 複 数 の 教 員 に よ る 同 様 の 取 組 が な さ れ て い る 。こ の こ
と は 、「 課 題 研 究 」 が 特 別 の 活 動 で は な く 、 全 て の 理 数 系 教 員 が 「 課 題 研 究 」 を 指 導
できるようになることが求められているといえる。
4
言語活動の充実の観点を取り入れた工夫
課 題 研 究 を 実 施 し た 場 合 、言 語 活 動 の 充 実 へ の 観 点 か ら も 、研 究 成 果 の 発 表 は 必 ず
行わせたい。発表の形態には次のようなものが考えられる。
○
口頭による発表
○
ポスターによる発表
○
論文による発表
口 頭 発 表 は 、時 間 は か か る が 、最 も 効 果 的 な 発 表 形 態 で あ る 。プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン
ソ フ ト で ス ラ イ ド を 作 成 し 、発 表 原 稿 を 考 え 、1 0 分 か ら 1 5 分 程 度 で 研 究 内 容 を 伝
え る 。準 備 を し た つ も り で も 、練 習 が 不 十 分 で あ る と 、う ま く 相 手 に 伝 え る こ と が で
きないものであるが、回数を重ねるごとにプレゼンテーション能力は向上 する。
ポ ス タ ー 発 表 は 、同 時 に 多 数 の 発 表 が で き る 利 点 が あ る 。し か し 、会 場 の 制 約 な ど
で 、声 が 重 な り 合 い 、聞 き 手 側 が 困 難 を 感 じ る 場 面 も あ る 。効 果 的 な ポ ス タ ー を 作 成
し 、聞 き 手 の 興 味 を 引 き つ け る 話 し 方 な ど が 求 め ら れ る 上 、聞 き 手 と 発 表 者 の 距 離 が
近いため、コミュニケーション能力の充実には効果的であると いえる。
文書による発表は、研究論文集の作成など、記録として残すときに効果的である。
作 成 時 間 は か な り か か る が 、発 表 時 間・場 所 を 必 要 と し な い た め 、こ れ ら の 制 約 が 多
いとき活用される。
課題研究では、生徒の自発的な活動を主体とするため、発表意欲が高いといえる。
様 々 な 発 表 形 態 を 組 み 合 わ せ る こ と で 、新 教 育 課 程 で 求 め ら れ る 言 語 活 動 の 充 実 が 可
能となる。
口頭発表、ポスター発表、論文集の作成など発表の機会を用意することが重要
- 62-
5
学習評価の工夫
生徒の活動を評価するには、取組の場面ごとに次のような観点が考えられる。
○
課題設定への取組
・自分にとって興味・関心のある課題を設定できたか。
・先行研究の調査を行えたか。
○
実験への取組
・適切な仮説を立てられたか。
・実験計画を立てて実験を進められたか。
・対照実験など適切な科学的手法を活用した実験を行えたか。
・実験データを正確に記録し、結果の妥当性を検討できたか。
・表やグラフを用いた分析ができたか。
・仮説の検証(考察)が科学的な根拠(実験データ等)に基づいているか 。
○
成果発表への取組
・口頭発表の態度・技術(声の大きさ・口調・表情・パフォーマンス
等)
・プレゼンスライドの構成・デザイン(要旨を簡潔にまとめられているか)
・ポスター発表資料の構成・デザイン(要旨を簡潔にまとめられているか)
・レポートの書き方・構成
重要なのは、高校生が行う課題研究として、独自性や新規性を求めるより、科学の
手法を重視した取組がなされたかを評価することに重点を置くべきだということであ
る。科学の手法とは、課題設定の際の調査、実験条件の制御、実験結果のまとめ方な
ど、将来の研究活動につながる体験がなされたかどうかを、自己評価、相互評価、指
導者からの評価などを交えて多角的に評価することが求められている。
具 体 的 に は 、 100 点 満 点 の 中 で 、 課 題 設 定 に 20 点 分 、 実 験 に 50 点 分 、 成 果 発 表 に
30 点 分 な ど 配 点 を 決 め て 割 り 振 り 、合 算 し て 評 価 を 出 す 方 法 が あ る 。複 数 の 担 当 者 で 、
平均点をどのくらいに設定するかを相談しながら評価するには適切といえる。
ま た 、別 の 方 法 で は 、評 価 可 能 な す べ て の 取 組 を 5 点 満 点 や 10 点 満 点 の よ う な 形 で
割 り 振 り 、 合 算 し た う え で 100 点 満 点 に 換 算 す る 方 法 が あ る 。 担 当 者 が 少 な い 場 合 な
どでは、この方法が簡便で扱いやすいといえる。
評価は、活動の中で、科学的手法を実践できたかを見ることが重要
[参 考 資 料 ・ 文 献 等 ]
「理科課題研究ガイドブック
~どうやって進めるか、どうやってまとめるか~」
小泉治彦著
千葉大学先進科学センター
※千葉大学・高大連携企画室のWebページよりPDF版がダウンロードできる。
http://koudai.cfs.chiba -u.ac.jp/guidebook2.html
- 63-
5
外国語「コミュニケーション英語Ⅰ」
4技能を統合したコミュニケーション能力の育成
~教室にコンテクストを持ち込む工夫~
1
コミュニケーション能力育成のための教材研究
新学習指導要領において、「言語」は知的活動やコミュニケーション、感性、情緒の基
盤であるとされ、国語科のみならず、各教科の指導の中で言語活動を充実させることが重
視されている。さらに、外国語の複数の科目名には「コミュニケーション」の冠が付けら
れている。コミュニケーションという語は一般的には「意思伝達」「意思疎通」と解され
るが、ここでは、“Exchange of Meaningful Information between a Sender and a
Receiver based on Context”と捉えたい。すなわち「情報のやり取り」であり、特定の
コンテクストの下、必ず情報の sender と receiver が存在することになる。教室では、
「教
師⇔生徒」、「生徒⇔生徒」のコミュニケーション活動を促進させ、教室での活動に
information gap があることを前提とし、それを補う活動を展開していくことが必要であ
る。教室に authentic なコンテクストを持ち込み、realia(実物教材)を提示することが授
業をダイナミックに展開する鍵であり、それを踏まえた教材研究を教師は心掛けるべきで
ある。筆者は毎時間黒板の横に PC スクリーンに教材を投影する準備をし、realia または
mapping、 chart、 graphic organizer の手法で文字情報を提示する方法をとっている。
また、例文の提示においてコンテクストを持たせるには、message のやり取りである以
上、1文ではなく2文以上示す必要があると思われる。教室での一つひとつの activity が
4技能の中のどれに焦点を合わせたものであるのかを教師も生徒も意識することが必要
である。
2
動詞構文中心の語彙指導
新学習指導要領においては、指導すべき語彙が中学校で900語から1200語に増
加し、高等学校の「コミュニケーション英語Ⅰ」では、それに400語加わり1600
語、「コミュニケーション英語Ⅱ」ではさらに700語加わり2300語、「コミュニケ
ーション英語Ⅲ」では700語加わり3000語となる。しかし、教科書によって扱う
語彙は異なり、各辞書でも重要3000語は必ずしも一致しない。英語にはSVOの文
型が多く存在することから、Oを focus にした受動態の形が多くみられ、特に感情の表
現は be+p.p.+(at/with/about)で表されることが多いということを生徒に絶えず意識さ
せる。そして、新出動詞は必ず紙の辞書で確認するよう促している。筆者は、動詞特に
他動詞を中心とした動詞構文の定着こそ英語学習の核心であると信じている。中学校で
学んだ基礎的な動詞を用いて高校の教科書の text の内容を平易に summarize し、中学
校で既習の運用度の高い動詞を用いて新出動詞を paraphrase して提示することによっ
て英語を使って英語を理解していく活動を多く取り入れている。
また、
教科書の各 Lesson は2~4の Part に分かれ、それぞれの Part は2~3の paragraphs から成るという構成が一般的である。paragraph が情報伝達のユニットである
という捉え方は、センター試験(記述)の第6問、センター試験(リスニング)の第4問、英
検準2級・2級の1次試験での長文読解、2次試験での第1問にも見られる。
- 64-
さらに、英語にはSVOの構文が多いので、内容理解の質問をする際には、能動文、
受動文を意識させる。
3
Text Types and Types of Questions
英語の Text は Dialogue か Monologue の2種類に分けられ、さらに Monologue は
Narrative と Expository に分類できる。それぞれは次のように特徴づけられる。
Text Pattern
Dialogue
Monologue
Characteristics
You and I relationship ex) A: ”Why don’t you…?”
Narrative
(Story)
B:”I’m sorry….”
Beginning, Middle, Ending, Characters, Plots, Setting
Description
Describing an object/a place/a person
Cause and Effect
Cause-and-Effect relationship
Expository Comparison-Contrast
Direction Sequence
Explanatory
Text Type に応じた Types of Questions
Monologue/
Text pattern
Similarities and Differences
Orders of accomplishing something
Key phrases and Supporting detail
Types
of
Questions
Narrative / (Story)
How many people appeared? Who is...? What happened first? Where did it
Chronological
take place? What happened after…? What did these events lead to?
Expository /
Description
Expository /
Cause and Effect
Expository /
Comparison-Contrast
What kind of thing is …? How is…defined? What is…used for? What varieties
of …exist? What does it have anything to do with…? What kinds of … are
there? What should we be aware of? What’s important in addition to…?
What caused…? What was caused by…? What were the effects of…? What has
emerged as a result of…? Why do they…? What’s the purpose of …? What is
the problem with…? What is the reason…? What does…bring about?
How are…and…alike? How are they different? How are…and…related to…?
What is…equal to? What do…have in common? What kind of relationship does
… have? How can you compare…with…? How does … contrast with…?
Expository /
What are you required to do? What should you do first? How do you …? What
Direction sequence
should you do after…? How should you evaluate your performance?
What is the significance of ...? What does the diagram illustrate…? What is
Expository /
Explanatory
the main idea?
What supports that idea? What is the key factor for…? What
is the advantage of …? What is the disadvantage of …? What is the main
feature of …? How does … work? What makes it possible for…? What’s the
additional factor behind…? How can the device…? What can we do through…?
Gillet and Temple(1986) *を参考に筆者が追加
Dialogue /
Text Pattern
(7W1Hq.) What happened? Who asked for advice? Who was advised to…?
What did she suggest to him? Whom did she tell it to? Where did that happen?
Why did he do…? When did she decide to…? How did he feel about…?
- 65-
4
指導例
学 習 内 容
◇導入
Schema-Activation Activity
(Teacher⇔Students)
◇Listening
Schema-Consolidating
Top-down Activity
(Teacher⇔Students)
◇Listening-Speaking
T-F Question-Answering
7W1H Question-Answering
(Teacher⇔Students)
◇While-Reading Activity
(Teacher⇔Students)
◇Question-Answering
based on Text type
(Teacher⇔Students)
Monologue Text Type (MTT)
or
Dialogue Text Type (DTT)
◇Information-Gap Activity
(Student⇔Student)
◇Integrated Activity
Writing-Speaking
(Student⇔Student)
◇Summarization /
Retelling Activity
(Teacher⇔Students)
◇Assignment
Summary Writing
生 徒 の 学 習 活 動
教科書を伏せ、スクリーン上の
Title から思いつく単語を発表
する。次に 7W1Hq.を読み、予
めコンテクストを予想し、スキ
ーマ(先行知識)を持つ。
教 師 の 支 援
“What kind of word do you think
of seeing this title?”と質問し、生徒
の反応を板書する。Lesson の Title
と全体の内容に関する 7W1Hq.をス
クリーンに文字で提示し、生徒のス
キーマの活性化を促した後スクリ
ーンの文字情報は消す。
教科書を伏せ、
教師の summari- Realia、スクリーン上の写真や動画
zation を聞き、realia を基に各 を用いて視覚、聴覚情報によるコン
自のスキーマの修正を図る。
テクスト提示を図り、Lesson 全体
の summary を新出の動詞を paraphrase し 1 paragraph で Oral Introduction を行う。
T-F questions
T-F questions
全生徒の解答
上記の summary を聞き取れた
が瞬時に把握できる。Listening
か、True なら教科書の表表紙
活動中には文字を見ないことを
を、False なら裏表紙を教師に
徹底できる。
向ける。
7W1Hq.
生徒の答に、“Your
7W1H q.
answer is almost correct.” “Do you
導入で視覚媒体で示されたもの think so? Later, let’s check it.” 等
と同じ質問を聞き、答える。
text を読むことへの動機付けとな
る Interaction を行う。
MTT
教科書を見ながら MTT
Text Type に基づく質問
question-answering 活動
に答えることで text の構造を捉え、
DTT
対話文の“I”
“You” summarize することになる質問を
を S/he に変え、時制も変え、 できるだけ多くの生徒にし、Text の
narrative text に rewrite する。 内容を把握できているか確認する。
ex. A :“How about …ing?”
その際、focus を変え、態を変えた
B :“Then, I’ll ….” →
質問も加える。
A suggested that B should …, DTT
対話文の“I”“You”の
so s/he accepted his/her advice Point of view(視点)を変えて text の
and s/he would….)
adaptation 活動を行わせる。
Pair で blank の異なる A、B2 blank の 異 な る A 、 B 2 種 類 の
種類の fill-in passage それぞれ fill-in passage を準備する。
を 持 ち 、 読 み あ う paired 机間巡視しながら、A、B を交換し
-activity を行う。生徒同士交代 各々、2度 read aloud して着席する
し相手がつまったら prompt を ように促す。
与えあう。
教科書を伏せ、Text の内容に関 机間巡視して、生徒の質問を添削す
する質問(7W1H を意識したも る。生徒が考えた設問の originality
の、更に発展的な内容も含む) をクラス全体にも幾つか紹介する。
を生徒に考えさせる。生徒同士
が質問し、答える活動を行う。
paragraph 単位でスクリーン上 Mapping、 chart、 graphic
に 提 示 さ れ た key word と organizer 等を用いて、key word
discourse marker を、その順番 や discourse marker を Text 内容に
で用いて、その時間に学習した 従って黒板もしくはスクリーンに
paragraph の summarization / 順次提示する。発表者がつまった場
retelling を行う。
合には prompts を与える。
“Write down the Summary of
the lesson with about 80 words
of 1 paragraph.”
- 66-
Lesson 全体の英文での Summary
(80 words)と日本語要約(100 字)を
宿題として課す。
5
Teacher-centered から Learning-centered へ
教室をコミュニケーションの舞台と捉え、生徒同士の activity を中心とする授業を実施す
る上で、教師が注意すべき点を挙げたい。活動内容の全てを生徒に任せると、ともすればそ
の時点での彼らの興味・関心事に終わってしまいがちである。教材の精選、提示方法、活動
の配列はあくまでも教師の役目であり、教師はより望ましい活動を生徒に促す工夫をする必
要がある。
従来の一方的な Teacher-centered から、
コントロールされた Learning- centered
への移行を図りたい。
6
Guided-Writing & Speech & Peer Evaluation
PC 教室で Speech Writing 活動を行った。生徒は178の Title 表から自由に個別の title
を選び下図のフォーマットで作文し、原稿を PC 入力した後プリントアウトして提出する。
添削された原稿のコピーを生徒全員に配布し、発表者は出来るだけ原稿を見ずに Speech を行
う。他の生徒は Delivery、Pronunciation、Content、Organization、Interest の観点で評価
し、さらに発表者への質問を3つ考えて尋ねる Interaction を行う。判断するポイントと重視
する点を具体的に明示すれば、生徒相互評価も十分信頼性の高いものとなり、筆者による評
価とかなり高い相関を示した。お互いの原稿を見て全生徒が評価するという点で、学習の場
を共有しているという意識の涵養ともなった。可能な場合には ALT にも添削をお願いしたが、
ALT は communicability の観点から accuracy より fluency を重要視する傾向が見られた。コ
ミュニケーションの舞台としての教室での学習活動を如何に評価していくか、生徒の学習へ
の動機づけとなる評価を工夫していきたい。
生徒 Speech 原稿例
発表後、下の評価表部分に各自評価し、質問・コメン
トを加えて切り取り、発表者にフィードバックする。
[参考文献]
*Gillet and Temple, Understanding Reading Problems 2nd ed.(1986): 255
- 67-
Fly UP