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第3 回 NINS Colloquium 予 稿 集

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第3 回 NINS Colloquium 予 稿 集
第 3 回 NINS Colloquium
予 稿 集
【⽇程】2014.12.1(⽉)〜 2014.12.3(⽔)
【会場】ザ・プリンス箱根
【主催】⼤学共同利⽤機関法⼈⾃然科学研究機構
⽬次
第 3 回 NINS Colloquium について ...................................................................................................... - 2 プログラム構成 ................................................................................................................................. - 3 スケジュール .................................................................................................................................... - 4 (セッション1)「科学リテラシー・科学コミュニケーション・参照基準:異分野間の理解と協働に向けて」.... - 7 (セッション1)「科学的思考ってあるのか? どこにあるのか?」........................................................... - 8 (セッション2)「光が開く新しい科学」 ............................................................................................. - 9 (セッション2)「極限的レーザーを⽬指して:光と物質の相互作⽤に関するある考察からのアプローチ」..... - 10 (セッション3)「シミュレーション前に考えておきたいこと:材料開発のための原⼦論的取扱を中⼼に」..... - 11 (セッション3)「⽣物の形作りとシミュレーション:分野間連携の実際」 .............................................. - 12 分科会1 科学的論理展開の在り⽅ ―物理学と⽣物学は分かり合えるか―................................................ - 13 分科会2 光でひも解く⾃然科学 ―光技術のニーズとシーズ―............................................................... - 14 分科会3 シミュレーションの正体と招待 ........................................................................................... - 15 特別セッション「基礎科学研究者と社会: その社会的責任とは?」......................................................... - 16 -
-1-|
第 3 回 NINS Colloquium について
⾃然科学の様々な分野の研究者が集い、⾃然科学の現状と将来の発展について、様々な観点で議論し機構内外の研
究者の交流を促進するとともに、⾃然科学の将来に向けた⽅策を探り、新たな⽅策を提案することによって、⾃然科
学研究分野全体のコミュニティの発展に寄与することを⽬的として、NINS Colloquium を開催します。
今回は、昨年度に引き続き、「⾃然科学の将来像」について、さらに深く議論します。
主催
⼤学共同利⽤機関法⼈⾃然科学研究機構
開催⽇時
2014 年 12 ⽉ 1 ⽇(⽉)〜2014 年 12 ⽉ 3 ⽇(⽔)
開催場所
ザ・プリンス箱根
佐藤 勝彦(⾃然科学研究機構⻑)
岡⽥ 清孝(⾃然科学研究機構 理事)
⼩泉
周(⾃然科学研究機構 特任教授)
郷⽥ 直輝(⾃然科学研究機構国⽴天⽂台 教授)
⽯川 遼⼦(⾃然科学研究機構国⽴天⽂台 助教)
森崎 友宏(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 教授)
オーガナイザー
伊藤 篤史(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 助教)
藤森 俊彦(⾃然科学研究機構基礎⽣物学研究所 教授)
⽟⽥ 洋介(⾃然科学研究機構基礎⽣物学研究所 助教)
柿⽊ 隆介(⾃然科学研究機構⽣理学研究所 教授)
和氣 弘明(⾃然科学研究機構⽣理学研究所 准教授)
⼭本 浩史(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 教授)
⽯崎 章仁(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 特任准教授)
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プログラム構成
⾃然科学分野の研究者を中⼼としたクローズドの会議として合宿スタイルで、講演、ポスターセッション、分科会、
分科会発表及び全体討論会を実施します。詳細は以下のとおりです。
1) 講演
分科会の各テーマに関連した内容の各2講演ずつを実施します。
講演者には、
他分野の参加者にも分かり易く、
「⾃然科学の将来像」の主テーマに合わせて、広く⾃然科学の将来について講演していただきます。
2) ポスターセッション
若⼿研究者を中⼼に、ポスターを使⽤して研究内容を発表していただきます。加えて、⾃然科学研究機構の若
⼿研究者による分野間連携研究プロジェクトの研究代表者による発表を⾏います。
3) 分科会
分科会は、様々な分野の研究者30名程度で構成を⾏い、テーマに基づき、ブレインストーミングを実施しま
す。分科会では、講演者とまとめ役が中⼼となり、それぞれのテーマについて議論いただきます。
4) 分科会発表
まとめ役が中⼼となり、分科会で議論された内容及び導かれた結論などを、参加者全員の前で発表いただき、
併せて、討論を⾏っていただきます。
5) 全体討論会
講演、ポスターセッション、分科会、分科会発表など NINS Colloquium 全体を通した討論を実施します。
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スケジュール
第 1 ⽇⽬:平成 26 年 12 ⽉ 1 ⽇(⽉)
13:30-13:40
開会
セッション2 光でひも解く⾃然科学 ―光技術のニーズとシーズ―
13:40-14:20
14:20-15:00
15:00-15:10
講演:「光が開く新しい科学」
⾼部 英明(⼤阪⼤学レーザーエネルギー学研究センター 教授)
講演:「極限的レーザーを⽬指して:光と物質の相互作⽤に関するある考察からのアプローチ」
平等 拓範(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 准教授)
休憩
セッション3 シミュレーションの正体と招待
15:10-15:50
15:50-16:30
16:30-16:40
会場:武蔵
講演:「シミュレーション前に考えておきたいこと:材料開発のための原⼦論的取扱を中⼼に」
尾形 修司 (名古屋⼯業⼤学⼤学院⼯学研究科 教授)
講演:「⽣物の形作りとシミュレーション:分野間連携の実際」
三浦 岳 (九州⼤学⼤学院医学研究院 教授)
休憩
セッション1 科学的論理展開の在り⽅ ―物理学と⽣物学は分かり合えるか―
16:40-17:20
会場:武蔵
会場:武蔵
講演:「科学的思考ってあるのか? どこにあるのか?」
⼾⽥⼭ 和久(名古屋⼤学⼤学院情報科学研究科 教授)
講演:「科学リテラシー・科学コミュニケーション・参照基準:異分野間の理解と協働に向け
17:20-18:00
て」
北原 和夫(東京理科⼤学⼤学院科学教育研究科 教授)
18:00-18:30
移動・休憩
レセプション(会場:相模)
18:30-
ポスターセッションの紹介(フラッシュトーク)(会場:相模)
異分野連携の紹介(伊藤、⽟⽥)(会場:相模)
ポスターセッション(会場:武蔵)
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第 2 ⽇⽬:平成 26 年 12 ⽉ 2 ⽇(⽕)
分科会Ⅰ
①科学的論理展開の在り⽅ ―物理学と⽣物学は分かり合えるか―
まとめ役
⽟⽥ 洋介(⾃然科学研究機構基礎⽣物学研究所 助教)
⼩泉 周(⾃然科学研究機構 特任教授)
②光でひも解く⾃然科学 ―光技術のニーズとシーズ―
9:00-11:50
まとめ役
(会場:駿河)
(会場:⻑尾)
⽯川 遼⼦(⾃然科学研究機構国⽴天⽂台 助教)
和氣 弘明(⾃然科学研究機構⽣理学研究所 准教授)
⽯崎 章仁(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 特任准教授)
③シミュレーションの正体と招待
(会場:⼗国)
沼波 政倫(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 助教)
まとめ役
⼭⼝ 拓実(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 助教)
伊藤 篤史(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 助教)
11:50-13:00
昼⾷(会場:芦ノ湖)
特別セッション
会場:武蔵
(テーマ:「基礎科学研究者と社会: その社会的責任とは?」)
13:00-14:30
(パネルディスカッション司会:⼩泉 周 ⾃然科学研究機構 特任教授)
【スピーカー】
・保坂 直紀(東京⼤学海洋アライアンス 上席主幹研究員)
・江渡 浩⼀郎(産業技術総合研究所知能システム研究部⾨ 主任研究員)
【ディスカッタント】
・北原 和夫(東京理科⼤学⼤学院科学教育研究科 教授)
・⼾⽥⼭ 和久(名古屋⼤学⼤学院情報科学研究科 教授)
・星 元紀(東京⼯業⼤学 名誉教授)
14:30-14:50
Coffee break
14:50-18:10
分科会Ⅱ
18:10-18:30
移動・休憩
(テーマ/会場:分科会Ⅰと同じ)
⼣⾷ (会場:相模)
18:30-
ポスターセッション (会場:武蔵)
ナイトタイムトーク「似⾮科学」 (会場:相模)
※オーガナイザー ⼩泉特任教授
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第3⽇⽬:平成 26 年 12 ⽉ 3 ⽇(⽔)
分科会発表
9:00-10:30
会場:武蔵
9:00-9:30
① 科学的論理展開の在り⽅ ―物理学と⽣物学は分かり合えるか―
9:30-10:00
② 光でひも解く⾃然科学 ―光技術のニーズとシーズ―
10:00-10:30
③ シミュレーションの正体と招待
10:30-10:50
休憩
10:50-11:50
全体討論会
11:50-13:00
昼⾷(会場:芦ノ湖)
13:00-14:00
全体討論会
14:00-14:10
閉会
会場:武蔵
会場:武蔵
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「科学リテラシー・科学コミュニケーション・参照基準:
異分野間の理解と協働に向けて」
(セッション1)
北原 和夫(東京理科⼤学⼤学院科学教育研究科 教授)
講演概要
21世紀においては、様々な分野の professional が協働して世界的な課題に取り組むことが必要となるし、また
近年の情報技術によって可能性は開かれる。これまで以上に分野間の接触は必要となる。そのための基盤として科
学リテラシーは必要となる。また科学コミュニケーションとは、科学技術の成果を世に伝えるということよりも、
異なる分野、異なる職種、異なる⽂化背景の隔てを超えて相互理解することである。そうすると、様々な分野での
研究の作法や視点を互いに理解しあうことが重要となる。科学者の倫理といっても、論⽂の書き⽅、研究の仕⽅は
分野によって、さらに⾔えば、同じ分野でも研究グループ・期間によって異なる場合が多い。私がここ数年⽇本学
術会議の活動として、科学リテラシーと⼤学教育の質保証の活動をしてきた背景には、科学コミュニケーションに
よる協働の基盤の可能性を模索したいと思ったからである。本講演では、若き⽇の異分野接触の経験も含めて、感
じていることを述べたい。分野によって作法や感性が異なっていることはむしろ学術の多様性として重要であるが、
そのことを分野を超えて理解しあうことが⼤切と考えている。と同時に、教育の場においては、分野を超えて存在
する普遍性を伝えることが重要である。⼤学教育の分野別参照基準はそのことを明⽰しようという試みであった。
知を担うものの共通基盤を明⽰することが、アカデミアとインダストリーの枠を超えて協働できる⼈材の育成に寄
与するものと期待したのである。
略歴等
<職歴>
1974〜1976 年
マサチューセッツ⼯科⼤学研究員
1976〜1979 年
東京⼤学理学部物理学教室助⼿
1979〜1984 年
静岡⼤学教養部助教授
1984〜1989 年
東京⼯業⼤学理学部応⽤物理学科助教授
1989〜1998 年
東京⼯業⼤学理学部応⽤物理学科教授
1998〜2011 年
国際基督教⼤学教養学部教授
2011〜現在
東京理科⼤学科学教育研究科教授
2012〜現在
JST 科学コミュニケーションセンター研究主監
学会関係・プロジェクト
2002〜2003 年
⽇本物理学会会⻑
2003〜2005 年
⽇本学術会議会員
2004〜2006 年
世界物理年⽇本委員会運営委員⻑
2005〜2008 年
科学技術の智プロジェクト(振興調整費)
2008〜2014 年
⼤学教育の質保証(⽇本学術会議)
<受賞歴>
2006 年 科学技術への顕著な貢献in 2006 ナイスステップな研究者(科学技術・学術政策研究所)
2013 年 レオポルド勲章オフィシエ章(ベルギー王国)
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「科学的思考ってあるのか? どこにあるのか?」
(セッション1)
⼾⽥⼭ 和久(名古屋⼤学⼤学院情報科学研究科 教授)
講演概要
異分野と共同しようとするとき、あるいは⾮科学者とコミュニケートしようとするとき、あるいは「疑似科学」
を批判しようとするとき、科学者は「わしらは科学的思考法を共有してるんだかんね」と⾃明のように⾔ってしま
うのですが、さて、その科学的思考の中⾝は何でしょう、と考えると結構難しいのではないかと思います。また、
科学的思考があるとして、それはいったいどこにあるのか、というのも結構、わかったようでわかりません。みな
さんとこういうことについて改めて考えてみたいと思いますので、そのきっかけとすべく、いくつかの素朴な疑問
と現時点での私の考えをお⽰しします。
略歴等
<職歴>
1989 年7 ⽉
1993 年10 ⽉
1998 年4 ⽉
2000 年4 ⽉
2003 年4 ⽉
名古屋⼤学教養部講師
名古屋⼤学情報⽂化学部助教授
名古屋⼤学⾼等教育研究センター助教授
名古屋⼤学情報⽂化学部助教授
名古屋⼤学情報科学研究科教授
現在に⾄る
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「光が開く新しい科学」
(セッション2)
⾼部 英明(⼤阪⼤学レーザーエネルギー学研究センター 教授)
講演概要
来年 2015 年は J. Maxwell が“Theory of Electromagnetism”を出版し、光を⽀配する Maxwell ⽅程式が世に
出て 150 年の記念すべき年である。また、光に関する発⾒の科学史を浮き彫りにする年である。そこで、国連は
2015 年を「国際光年(International Year of Light)」と命名し、数々の⾏事が予定されている【詳しくは、例え
ば、http://www.light2015.org/Home.html】。さらに、今年はタウンズ達がメーザー・レーザーの原理発明に
関しノーベル物理学賞を受賞して 50 年の記念の年でもあり、
数々の記念⾏事が開催されている。
彼等の業績の後、
レーザーで可能となった業績で 20 件のノーベル賞が誕⽣している。光は科学をより⾼いレベルに向上させてきた。
レーザーは粒⼦と異なりボソンであることから、エネルギー集中性が⾼く、「⾼強度場の物理」という真空の性
質の解明など新しい科学を牽引することが期待されている。また、LHC が限界と⾔われている従来の加速器に、レ
ーザー加速というコンパクトでより⾼エネルギーの粒⼦を加速する新時代を切り拓く期待も担っている。超⾼強度
レーザーは量⼦光学と素粒⼦物理や量⼦論的プラズマ物理学を融合しつつある。光という「場」と、荷電粒⼦とい
う「粒⼦」の相互作⽤は、場の理論に発展し、現代物理学の基本概念を⽀えている。レーザーだけでなく放射光や
X 線⾃由電⼦レーザー(X-FEL)など「⼤型の光源」が切り拓く新しい科学を中⼼に講演する。
略歴等
<略歴>
1980〜1981 年
⻄独マックス・プランク・プラズマ物理研究所研究員
1981〜1982 年
⽶国アリゾナ⼤学⼯学部 助⼿
1982〜1989 年
⼤阪⼤学レーザー核融合研究センター 助⼿
1989〜1991 年
⼤阪⼤学レーザー核融合研究センター 講師
1991〜1997 年
⼤阪⼤学レーザー核融合研究センター 助教授
1997〜現在
(⼤阪⼤学理学研究科 物理学専攻協⼒講座 教授)
1997〜現在
⼤阪⼤学レーザーエネルギー学研究センター 教授
<受賞歴>
2000 年 ⽶国物理学会フェロー
2003 年 ⽶国原⼦⼒学会・エドワード・テラー賞
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「極限的レーザーを⽬指して:光と物質の相互作⽤に関
するある考察からのアプローチ」
(セッション2)
平等 拓範(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 准教授)
講演概要
光の波⻑と同じマイクロメータオーダーで物質・材料を設計するマイクロドメイン構造制御により、必要とする
光学機能を発現、強調させるマイクロドメイン光制御を⽬指したマイクロ固体フォトニクス、特に輝度を⾼めジャ
イアントな光を望む“ジャイアントマイクロフォトニクス”について紹介する。まずはマイクロ固体フォトニクスの
深化に求められる構造制御、そして光制御により望める極限的レーザーがもたらす様々な可能性についてまで議論
したい。⾔うまでも無く先端的なレーザーの⾼度利⽤は、分⼦研のみならず⾃然科学研究機構における複数の研究
所において重要となりつつある。先端レーザーを介した機構内連携は分野に新展開をもたらすだけでなく、融合に
よる新領域の開拓までも望める。そこで本講演では、我々が先導してきたレーザーセラミックス等の新材料による
マイクロチップレーザーを中⼼に⾼輝度マイクロチップレーザー、周期分極反転擬似位相整合による⾼性能⾮線形
光学素⼦などジャイアントマイクロフォトニクスに関する研究活動を概説したい。その後、幾つかの研究所に跨が
る話題について⾔及することで、さらなる議論の契機としたい。
略歴等
<略歴>
1985〜1989 年
三菱電機(株)LSI 研究所 研究員
1989〜1998 年
福井⼤学⼯学部電気電⼦⼯学科 助⼿
1993〜1994 年
⽶国スタンフォード⼤学 ⽂部省在外研究員
1998 年(現在に⾄る)
⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 准教授
2006 年
仏国ピエール・マリーキュリー⼤学(パリ第六⼤学) 客員教授
2007〜2014 年
豊橋技術科学⼤学 客員教授
2011 年
仏国ジョゼフ・フーリエ⼤学 客員教授
2013 年
仏国国⽴パリ⾼等化学学校 (ENSCP - Chimie ParisTech) 客員教授
<受賞歴>
2002 年
(社)⽇本ファインセラミックス協会技術振興賞
2004 年
平成16 年度⽂部科学⼤⾂賞(第30 回研究功績者)
2005 年
第29 回(社)レーザー学会業績賞(進歩賞)
2008 年
第24 回光産業技術振興協会 櫻井健⼆郎⽒記念賞
2010 年
第34 回(社)レーザー学会業績賞(論⽂賞)オリジナル部⾨
2010 年
⽶国光学会 (OSA) フェロー
2012 年
国際光⼯学会 (SPIE) フェロー
2013 年
第37 回(社)レーザー学会業績賞(進歩賞)
2014 年
⽶国電気電⼦学会 (IEEE) フェロー
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「シミュレーション前に考えておきたいこと:材料開発のため
の原⼦論的取扱を中⼼に」
(セッション3)
尾形 修司(名古屋⼯業⼤学⼤学院⼯学研究科 教授)
講演概要
新規材料を効率良く開発するため、性能向上が著しいスパコンの活⽤が期待されている。スパコンに合わせて、
様々なコードのオーダーN 化も進んでいる。⼀⽅、材料が本質的に持つマルチスケール性を踏まえると、任意に設
定した材料系を、物理精度良くシミュレートできるようになるとは今後も思えない。重要なことは、シミュレーシ
ョンで扱えるかを良く考えて対象材料をモデル化し、必要に応じて新しいシミュレーション法を考案し、さらにエ
ントロピーを意識して初期設定することである。本講演では、必要となり我々が新規開発した、オーダーN 型の電
⼦状態計算法、ハイブリッド量⼦古典法、剛体分⼦動⼒学法等について説明する。さらに、それらを適⽤したシミ
ュレーションを通じて発⾒したことを、Li イオン電池内でのイオンダイナミックス、シリカガラス中でのクラック
⽣成、氷表⾯に⽣じる擬似液体層の特異な振る舞い等に関連して⽰す。
略歴等
<略歴>
1991 年
1991〜1993 年
1993〜1995 年
1995〜2003 年
2003〜2004 年
2005〜現在
2010〜2012 年
<受賞歴>
2001 年
2010 年
2014 年
東京⼤学⼤学院 理学系研究科 物理学専攻 博⼠課程修了; 理学博⼠
⽇本学術振興会 特別研究員
東京⼤学⼤学院 理学系研究科 物理学教室 助⼿
⼭⼝⼤学 ⼯学部 助教授
名古屋⼯業⼤学⼤学院 ⼯学研究科 助教授
名古屋⼯業⼤学⼤学院 ⼯学研究科 教授
⾃然科学研究機構 核融合科学研究所 客員教授
Best Technical Paper Award in Supercomputing 2001
⽇本機械学会優秀講演表彰
JPSJ Papers (注⽬論⽂) of Editors' choice
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「⽣物の形作りとシミュレーション:分野間連携の実際」
(セッション3)
三浦 岳(九州⼤学⼤学院医学研究院 教授)
講演概要
我々の体は複雑な形をしている。⽣物の形がどのように⽣じてくるのかを理解するため、発⽣⽣物学の分野では、
分⼦⽣物学的な⼿法をはじめとする様々な取り組みがなされてきた。その中に、複雑な遺伝⼦や細胞間の相互作⽤
の本質だけを抜き取って定式化して理解しようという流れがある。1952 年の A. Turing の⾃発的パターン形成の
論⽂以降⻑い歴史があるが、最近になって脚光を浴びて来た。本講演では、まず複雑な⽣物系でどのように数理モ
デルやシミュレーションが使われるようになったのか、その歴史を概観する。次に、⾃分⾃⾝がこの流れの中で応
⽤数学者、物理学者とどのように共同で研究を進めて⾏ったのか、個⼈的な経験および将来展望を紹介する。
略歴等
<略歴>
2000〜2002 年
2002〜2004 年
2004〜2005 年
2005〜2008 年
2008〜2013 年
2013 年〜
<受賞歴>
2000 年
2000 年
京都⼤学⼤学院医学研究科⽣体構造医学講座 助⼿
⽇本学術振興会海外特別研究員 (Oxford ⼤学研究員)
京都⼤学⼤学院医学研究科先天異常標本解析センター 助⼿
京都⼤学⼤学院医学研究科⽣体構造医学講座 助教
京都⼤学⼤学院医学研究科⽣体構造医学講座 准教授
九州⼤学⼤学院医学研究院⽣体制御学講座 教授
⽇本解剖学会 奨励賞
⽇本先天異常学会 奨励賞
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分科会1 科学的論理展開の在り⽅ ―物理学と⽣物学は分かり
合えるか―
まとめ役
⽟⽥ 洋介(⾃然科学研究機構基礎⽣物学研究所 助教)
⼩泉 周(⾃然科学研究機構研究⼒強化推進本部 特任教授)
話題提供講演者
星 元紀(東京⼯業⼤学 名誉教授)
⻑⾕川 眞理⼦(総合研究⼤学院⼤学先導科学研究科 教授)
分科会概要
⾃然科学のさらなる発展のためには、数学、物理学、化学、⽣物学など異なる背景を持つ多様な研究者同⼠によ
る異分野融合研究の推進と、そうした研究領域の確⽴が必要不可⽋ではないかという議論が、近年活発になされて
いる。宇宙⽣物学、数理⽣物学、⽣物物理学、システム⽣物学、バイオミメティクスなどが脚光を浴び、数学と⽣
物、物理と⽣物といった分野同⼠の連携が⼀層求められている。また、⽣物学研究にパラダイムシフトをもたらし
た次世代シーケンサーや、今年のノーベル化学賞の受賞対象となった超解像顕微鏡などの技術も、数学、物理学、
化学、⽣物学の異分野融合研究によって⽣み出された。
しかし、多くの場合、研究者が属する分野ごとに、研究⽬標(ミッションステートメント)や学術論⽂の論理構
成、研究成果(どのようなことが「成果」となるか)などが異なっており、それが異分野融合研究の壁となってい
る。
そこで、本分科会では、⾃然科学研究領域における諸分野、特に物理学分野と⽣物学分野における研究⽬標、仮
説の検証⽅法、学術論⽂の論理構成についての異同点を分析・摘出することで、相互理解を深め、異分野融合研究
促進のための⼟台作りとすると同時に、次世代の⾃然科学研究についての新たな⽅向性と課題を提起することを⽬
標とする。
これまでにも、異分野連携によって新しい学問領域が確⽴された例が存在する。E. Schrödinger ら物理学者が要
素還元主義を⽣物学に導⼊したことが分⼦⽣物学発展の契機となり、その流れは DNA の⼆重らせん構造の発⾒に
よって頂点に達した。その後、個々の遺伝⼦の働きの解明が進むにつれて、分⼦―遺伝⼦―細胞―個体―⽣態系―
宇宙といった「階層性」に着⽬することが、⽣命活動の理解に不可⽋であることが広く受け⼊れられつつある。こ
れは、物理学が素粒⼦―原⼦―分⼦―星―銀河―宇宙という階層構造に到達したことと重なる。そして今、⽣命の
階層性の理解のために、システム⽣物学や数理⽣物学として、再び異分野融合研究が求められている。こうした研
究領域によって、柔軟かつ頑健な⽣命システムの本質が解明されれば、それは物理学にも応⽤可能なのではないだ
ろうか。
そうした研究分野の違いに加えて、⾃然現象を「解明」する研究と、既知の知識や新しい発想を元に何かを「創
造」する研究との間にも、深い断絶が垣間⾒える。前者は学術論⽂が成果として毎年求められるのに対し、後者は
学術論⽂に加えて特許や製品価値なども成果となる。こうした研究⽬標・成果の違いも、特に競争の激化著しい若
⼿研究者にとっては、異分野連携研究への⼤きな壁となっている。これらの壁を克服し、異分野連携研究を推進す
る⽅法についても議論したい。
- 13 - |
分科会2 光でひも解く⾃然科学 ―光技術のニーズとシーズ―
まとめ役
⽯川 遼⼦(⾃然科学研究機構国⽴天⽂台 助教)
和氣 弘明(⾃然科学研究機構⽣理学研究所 准教授)
⽯崎 章仁(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 准教授)
分科会話題提供講演者
⼤友
⽥村
⿅野
岸本
康平(北海道⼤学電⼦科学研究所 特任助教)
元秀(東京⼤学/⾃然科学研究機構国⽴天⽂台 教授)
豊(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 特任准教授)
拓哉(ソニー株式会社 主任研究員)
分科会概要
光は物やその状態・動態を観るために必要不可⽋な媒介⼿段である。様々な波⻑の光と計測技術を組み合わせる
事で、⽣体システムで機能する分⼦の観察や医療診断・天⽂観測に⾄るまで、あらゆる情報を得る事ができる。ま
た、光は観るための⼿段として利⽤できるだけでなく、光エネルギーを⽤いた光機能材料や太陽電池の開発、光の
コヒーレンスを⽤いた物質制御の可能性をも秘めている。このように、光は天⽂学・分⼦科学・⽣命科学などの基
礎理学からエネルギー・材料など産業技術分野に⾄るあらゆる分野において重要な技術基盤を提供することで⼤き
く貢献し⼈類の⽣活を豊かにしてきた。
光技術は、レーザーというコヒーレント光源の誕⽣により⼤きな変貌を遂げた。現在では、⾼強度レーザー光や
⾼輝度放射光、⾚外領域からX線領域まで幅広い波⻑のコヒーレント光を取り出す事ができる⾃由電⼦レーザー、
極めて微弱で光の量⼦性が現れる単⼀光⼦源など、種々の光源の利⽤が可能になりつつある。光を観る検出器もま
た、様々な波⻑・精度・時間分解能・空間分解能といった多様な切り⼝で開発がなされ、⽣物学から天⽂学まで⼤
きな変⾰をもたらしてきた。将来においても、新しい光源や検出器の開発により光技術は更なる発展を遂げるもの
と想像できる。
いまや新しい光源や検出器なくして、新しいサイエンスは⽣まれないといえる。しかし、光源や検出器はもちろ
んのこと、サイエンス⾃⾝が⼤規模化あるいは複雑化していく中で、果たしてサイエンスから要求される「ニーズ」
と光源開発・光技術の「シーズ」は⼀致していると⾔えるのであろうか。また、多⼤な労⼒と時間を費やす光源・
光技術の開発はそれに⾒合った科学成果が⽣み出されていると⾔えるのであろうか。「ニーズ」と「シーズ」の調
和は、どの分野でも共通の課題ではなかろうか。また、光技術は、他分野への転⽤をきっかけに⼤きく花開くこと
もある。
本分科会では「光で観る」「光で操る」「光を作る」という基礎理学の観点に加えて「光で社会に貢献する」と
いう視座から、各研究領域が抱えるボトルネックをニーズとした光源開発・光技術への要望、また、光源開発・光
技術のフロンティアをシーズとすることによって各研究領域や社会が抱える課題が解決される可能性について議
論・模索したい。
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分科会3 シミュレーションの正体と招待
まとめ役
沼波 政倫(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 助教)
⼭⼝ 拓実(⾃然科学研究機構分⼦科学研究所 助教)
伊藤 篤史(⾃然科学研究機構核融合科学研究所 助教)
分科会講演者
佐藤 正樹(東京⼤学 ⼤気海洋研究所 教授)
分科会概要
コンピューターシミュレーションを⽤いた研究⼿法は、その⾼精度化による予⾔⼒の向上により、今やなくては
ならない研究⼿法となっている。しかしながら、シミュレーションの⼤規模化に伴って⾼い専⾨技術が必要になっ
た⼀⽅で、利⽤者への普及の為に各部の隠蔽化が進んでいるという⽭盾を抱えている。これらの問題は、元来⼀つ
の物であった理論研究とシミュレーション研究の解離を⽣み、実験研究者にとってはシミュレーションに懐疑的な
印象を持つ要因となっている。
シミュレーション研究のあるべき姿は何であろうか。まだ⾒ぬ世界を予⾔できるものであって欲しい。実験と理
論の間を繋ぎ、分野内外の交流を促す役割が今以上にできるのではないか。さらには、⽣物学など理論研究の少な
い分野においては、シミュレーションが起点となって新しい理論的枠組みが構築できるのではないか。
本分科会では、シミュレーション研究の経験者と、シミュレーション未経験の実験研究者が対⾯し、シミュレー
ション研究の本質と、新たな展開の可能性に関して討論を⾏う。
分科会講演として、東京⼤学・佐藤正樹教授を迎え、気象予測・防災シミュレーションの現状についてお話しい
ただき討論議題の⼀つとする。また、全体講演である名古屋⼯業⼤学・尾形修司教授のナノ物性シミュレーション
の話題と、九州⼤学・三浦岳教授の⽣物シミュレーションの話題を元に、それぞれ第⼀原理的な⽴場と数理モデル
的な⽴場のシミュレーション研究として対⽐した形で討論議題とする。これらを含め、討論議題として次の物を挙
げる:
・ナノ物質シミュレーション(第⼀原理的な観点から)
・⽣物シミュレーション(数理モデル的な観点から)
・防災シミュレーション
・実験研究者とシミュレーション研究者の意識のギャップ
これらに加え、当⽇には参加者提案型の議題設定も試みる。次の例を参考に、参加者の個性ある議題提案に期待
したい:
・⾼性能コンピューターの必要性と、性能限界から必要とされる新たな数理
・サスティナブルなシミュレーション応⽤
・研究者倫理とバグ
・新分野への展開、分野間連携の可能性
など
あらためて、本分科会はシミュレーション経験者よりもむしろ未経験者に積極的に参加していただき、懐疑的
な側⾯に対する誤解を解き、実験・理論・シミュレーションの連携や、新分野開拓などの種になれば幸いである。
物理・化学・⽣物・⾃然科学全体の発展と協調において、シミュレーション研究の秘めた可能性について討論した
い。
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「基礎科学研究者と社会: その社会的責任とは?」
特別セッション
司会
⼩泉 周(⾃然科学研究機構研究⼒強化推進本部 特任教授)
スピーカー
保坂 直紀(東京⼤学海洋アライアンス 上席主幹研究員)
江渡 浩⼀郎(産業技術総合研究所知能システム研究部⾨ 主任研究員)
ディスカッタント
北原 和夫(東京理科⼤学⼤学院科学教育研究科 教授)
⼾⽥⼭ 和久(名古屋⼤学⼤学院情報科学研究科 教授)
星 元紀(東京⼯業⼤学 名誉教授)
概要
基礎科学研究は、必ずしも「出⼝」を明確にした研究ばかりではなく、「なんの役にたつのか分からない」よう
な研究こそ、その真価であると捉えることもできる。だからといって、基礎研究は社会とかけ離れたところで⾏わ
れているものでは決してない。そもそも研究者も社会の⼀員であり、また、研究活動そのものも、社会的な認知と
⽀援がなければ進めることはできない。そうした中で、単なる「説明責任」をこえた、社会における基礎科学研究
者の責任と役割、社会との科学技術コミュニケーションと、さらに持続可能な社会のための基礎科学研究のあり⽅
について、議論する。
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