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ショーの手紙
授業実践(国語) 「単元を貫く言語活動」を 位置づけた授業作りへ きたがき 朝来市立枚田小学校 教諭 1 はじめに 3 本校では,「伝え合う力を育てる授業の創 造」を研究テーマとし,国語科を中心に研究 を進めてきた。研究を進める上で平成23年4 月より全面実施となった学習指導要領で謳わ れている「言語活動の充実」を常に意識して取 り組んだ。しかし,「聞く・話す・読む・書く」 学習はこれまでも行ってきたが,何をどう変 えていけばよいのか悩んでいた。その時,芦 屋市立打出教育文化センター所長 上月敏子 先生の指導を受け,今までは「読み取り」重視 になり,教師主導の学習であったことに気付 かされた。そこで毎時間の言語活動だけでな く, 「単元を貫く言語活動」を位置付け,児童 が主体的に思考・判断し,表現する授業に取 り組んだ。その実践を紹介したい。 2 前年度の研究からの改善点 ①「単元を貫く言語活動」を位置づける。 ②どんな力をつけ,どんな言語活動をするのかが明 示された単元名にする。 例)科学読み物を読んで,要約してパンフレット をつくろう ③児童に身に付けさせたい力を明確にしそれにふ さわしい「単元を貫く言語活動」を位置付け,テー マを決め,学習指導要領の指導事項を確認して, 単元を組み立てる。目標を達成するための方法 を中核教材で学習し,広げていく。 ④単元には,問題解決のプロセスが必要。学習計画 を掲示し,学習を見通した言語活動を児童が常に 意識するとともに,言語活動をよりイメージでき るモデルも示し主体的な学びを促す。 ⑤発表の場を系統的にどの学年でも設定する。 学習のはじめは,教師が学習方法を教えていく が,繰り返し学習する中で,パターンが身についてい く。低学年から発表の場を設けることで,様々な学 習パターン(言語活動)を身につけることができる。 ⑥指導案の指導計画を詳しく書く。 ⑦単元の指導目標と評価基準が,文末の表現を変え ただけにならないようにする。 例)想像を広げて読ませるために具体的にどうす るか。 「文章の切れ目を意識して読んでいる」 など,具体的に評価基準を設定する。 ⑧児童観には,系列の教材をどのように学習してき たか,各学期で目指す児童像も書く。 26 ゆ み 北垣 由美 授業実践 教材 2年生「お手紙」 (1)指導にあたって この学習に入る前には,「ふきのとう」「ス イミー」「黄色いバケツ」などの教材を用いて 物語の場面の様子や登場人物の心情を想像 し,それらを表現する学習を行っている。し かし,物語全体を漠然と捉えるにとどまり, 具体的な根拠(叙述)をもとに考えを伝えた り,友だちと自分の読みを比べて更に深く考 えたりするところまでは至っていない。 明るく活発で,読書好きな児童が多いが, 読むジャンルに偏りが見られ,幅広い読書活 動をしているとは言い難い。また,同一作者 の作品を比べ読みする経験もない。 そこで本単元の構成を以下のように考えた。 ①単元で児童に身に付けさせたい力 思考力 場面の様子,登場人物の行動などに着目し, 他の作品と比べながら読んだり内容に対し て自分の思いや考えをまとめたりする力 判断力 比べ読みをしたり,紹介したりするという 読む目的を意識して,必要な文や言葉を選 択したり,本や文章を選んだりすることが できる力 表現力 自分の思いや考えを入れながら,構成を考 えて本の紹介カードを書いたり,発表した りする力 ②並行読書注1)と「本のショーウィンドウ注2)」 今回用いた教材「お手紙」は,仲よしのが まくんとかえるくんを主人公にしたユーモラ スな友情物語である「がまくん・かえるくん シリーズ」作品の中の1編である。そこで, 「お手紙」についての学習を行うとともに,こ のシリーズ作品の中の他の作品から自分が気 に入った話を選び, 並行読書を行う。その後, 「本のショーウィンドウ」を作成し,紹介する 学習を行った。 単元名:シリーズ作品を読んで,お気に 入りの話を紹介しよう 注1)教科書の題材と同じ作者や似た構成の作品を読む取組。 注2)本を紹介するために,本のタイトルや作者,子ども自身の名前,おすすめの言葉などを書き,本 の中で一番気に入った場面を描いて,ショーウィンドウの形にするもの。 ③指導計画(全14時間) ➨ 㸯 ḟ Ὂ Ꮫ⩦┠ᶆ Ꮫ⩦άື ࣭Ꮫ⩦ෆᐜࢆ▱ࡾࠊ༢ 㸯 ࣭ ࠕ࡞ࡃࡋࡓ࣎ࢱࣥࠖ ࠊ ࠕࡍ࠸࠼࠸ࠖࡢㄞࡳ ඖࡢぢ㏻ࡋࢆᣢࡘࠋ ⪺ࡏࠋឤࡢࠋ 㸰 ࣭ ࠕᮏࡢࢩ࣮ࣙ࢘ࣥࢻ࢘ࠖࢆ▱ࡿࡶ ࠊࡑࢀࢆసᡂࡍࡿࡇࢆ☜ㄆࡋࠊ ᚋࡢᏛ⩦ࡢぢ㏻ࡋࢆᣢࡘࠋ ࣭᪂ฟ₎ᏐࠊㄒྃࡢᏛ⩦ࠋ ࣭ࡀࡲࡃࢇࡸ࠼ࡿࡃ 㸱 ࣭ ࠕ࠾ᡭ⣬ࠖࡢ㡢ㄞࡢᚋࠊឤࡢ ࢇࡢᵝᏊࡸẼᣢࡕ ὶࢆ⾜࠺ࠋ 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「お手紙」のショーウィンドウ作り 上月先生から,「2年生なら,予定の原稿量 の1.5倍くらいを書 かせることが望ま し い。そ の 後,文 を入れ替えたりし ながら推敲するこ とで,思考力・表現 力が高まる」と助言 を い た だ い た。そ こ で,300∼400 字 で,紹 介 文 を 書 か せ,推 敲 さ せ た。 この物語の各場面 ▲ 「お手紙」のショーウィンドウ で自分が書いたお気に入りを読み返し,1番 のお気に入りを見つけ,黙々と書いていた。 清書は200字と決まっているので,似たよう な表現を削除したり, 字数内で収まるように, 表現の仕方を変えたり,友だちにアドバイス を求めたりする姿も見られた。 (6)がまくん・かえるくんシリーズの 「本のショーウィンドウ」作り(第3次) 当初は,「お手紙」のショーウィンドウと同 じ形式のものを作る計画をしていた。しか し,上月先生に助言をいただき,「PISAスー ツケース注)」で紹介されている「本のショー ウィンドウ」を作成する学習に変更した。 「お手紙」で簡単なショーウィンドウを作っ ているので,目指すゴールもはっきりしてお り, 「おすすめの言葉」「お気に入りの会話・文」 「お気に入りの場面」を書く事への抵抗も少な 注)ベルリンにおいて開発された読解力育成のための教材集。 く,意欲的に書くことができた。 (7)「本のショーウィンドウ」の交流 グループで「ショーウィンドウ」を交換し 読み合った。紹介者に手紙を書くという目的 があり,友だちの考えと比べながら再読し, 手紙を書くことができた。手紙をもらった紹 介者は,真剣に,そして笑顔で手紙を読んで いた。 「自分と同じところが好きだと言って くれたので,嬉しかった」「自分が気付かな かったところで,お気に入りを見つけていた ので,すごいと思った」など,自分の思いが 相手に伝わった喜び,友だちの思いを知った 喜びを感じることができる学習活動になっ た。また,同じ話を読んでも受け取り方が 違っていたり,似ているところがあったりす ることにも気付くことができ,自分の思いを 受け入れてくれることへの安心感がもて,自 然と会話も弾んでいった。 (8)単元を通しての児童の変容 <初発の感想> かえるくんが,がまがえるくんにお手紙を書 いてあげて,やさしいなと思いました。 <学習後の感想> 変容 お気に入りは,2場めんのかえるくんが,が まくんにお手紙をあげるために手紙を書いてい るところです。かえるくんは, 「がまくんにとど いたらよろこぶぞ」と思っていたと思います。 たのしみはとっとかないといけないから,かた つむりくんにたのんだのがよく分かりました。 2人は本当に親友ですね。がまくんがふくを あげたから,おかえしみたいでした。 初発の感想は, 漠然とした感想であったが, みんなで学習したことで,手紙を書くときの かえるくんの気持ちや,かたつむりくんに頼 んだわけにも気付き,自分の言葉でまとめる ことができていた。また,並行読書すること で「なくしたボタン」の内容(ボタンを一緒に 探してくれたかえるくんに,がまくんが服を あげる)と関連づけて書くこともできていた。 (9)授業を終えて 「本のショーウィンドウ」作りをゴールに定 め,それを目指して学習を展開してきた。し かし,児童が初めて本を紹介するときに,ス ムーズにできるだろうかとの不安をぬぐいき れず第2次で場面毎の学習を組んでしまっ た。1場面と4場面の挿絵をもとに物語全体 を楽しんでいる児童もおり,逆に場面毎に 切ってしまったことでストーリー全体がもつ 良さに目を向けられない面も見られた。第2 次の展開を大きく変えていくなど,指導者が もっと意識改革をしなくてはならないと痛感 した。 4 おわりに 本校では, 「単元を貫く言語活動」を位置付 けた授業作りを始めたばかりである。時間を かけ,場面読みをしていないため,一人一人 が言語活動を自力で遂行する過程で個人差が 見られる。しかし,明確な目的を設定してい るので,一つ一つの学習活動が意味のあるも のとなり,児童が主体的に思考・判断し,表現 する学習になりつつあると手応えを感じた。 教師主導型の授業から脱却し,児童の実態 をしっかりと把握して身に付けさせたい力を 明確にし, 「単元を貫く言語活動」を取り入れ ることで,児童が見通しを持って主体的に取 り組む授業作りを目指してしていきたい。 29