Comments
Description
Transcript
児童手当に関する関係府省の回答について
【 資料1 】 児童手当関連手続きの省略又は簡略化の可能性に関する関連府省からの回答 厚生労働省 (1)児童手当現況届けの省略又は簡素化の可能性検証 ①課税台帳の参照について 児童手当法施行規則第 11 条によれば、「請 ・児童手当法第 28 条に基づき、各自治体の判断 において課税台帳を参照することにより、児童手 求書又は届書に添えなければならない書類 当法施行規則第 11 条に基づき所得証明書等の により証明すべき事実を公簿等によって確認 添付を省略することは可能。なお、児童手当法 することができるときは、当該書類を省略させ 26 条により、児童手当の支給を受けている方は、 ることができる」とされているが、自治体が課 税台帳を参照することによって、所得証明書 現況届として、前年の所得の状況を届け出なけ の添付あるいは所得欄の記入を省略するこ ればならないこととしている。現行の現況届に所 とは可能であると理解してよいか。 得欄の記入をいただいているのは、こうした法律 の規定に基づき、具体的な届出の方法として行っ ているものである。ご質問の施行規則 11 条の規 定は、添付書類の省略を可能としているものです が、届出自体を省略するものではないので、所得 欄の記入の省略については、所得の状況を届け 出る他の方法についての検討が必要と考える。 課税台帳を参照することで、添付書類の提出 ・添付書類の提出を省略している自治体の全国的 を省略している自治体について、具体的な自 な状況については、把握していないが、承知して 治体名や、実施している自治体の数、割合を いる限りでは、多くの自治体において省略してい 把握しているか。 るものと認識している。 省略していない自治体について、その理由を ・省略していない自治体については把握していな 把握しているか。 い。 ②年金種別の確認について 社会保険庁が所有する年金種別情報を自治 ・社会保険庁が所有する年金種別情報は、年金業 務のために取得したものであり、児童手当の支給 体が参照することは法制度上及び、実態上 のために活用することは、行政機関の保有する個 可能か。不可能又は困難な場合、根拠法令 人情報の保護に関する法律第8条第1項で禁止 あるいは、困難である実情等について教えて いただきたい。 する目的外使用に該当する。 ・同条第2項では、本人の同意があるときは保有す る個人情報を提供できるが、その場合には、各市 町村が児童手当の申請時に本人の同意を取り、 当該同意書を添付して社会保険庁に照会し、社 会保険庁で本人同意を確認した上で情報提供す ることとなり、極めて煩雑な事務処理となる。 ・また、社会保険庁の年金種別情報の提供を受け て市町村が児童手当の支給事務に活用する場 合、本人同定の手段として基礎年金番号を活用 することが自然であるが、平成9年の基礎年金番 号導入当初より、国民総背番号制への懸念から 目的外利用を禁止するべきとの議論があり、当時 の国会答弁でも、専ら年金業務において活用す る旨を答弁してきた。さらに、日本年金機構発足 に関わる国民年金法の改正(平成 22 年1月施行 予定)により、基礎年金番号について、住民票コ ードと同様の利用制限(告知要求制限等)が設け られることとなり、国民年金法で規定する年金関 連業務以外には基礎年金番号を活用できないこ とが法律上も明確になっている。したがって、基 礎年金番号を活用して上記の事務処理を行うこと 総務省 ・課税台帳の参照について、厚生労働省と 調整し、厚生労働省から提出。 法務省 防衛省 ・自治体へ申請する者の場合は、自治体が 課税台帳を参照することによって、所得証 明書の添付あるいは所得欄の記入を省略 することは可能だと思われるが、防衛省へ 申請する者の場合は、仮に自治体におけ る課税台帳の閲覧が可能となった場合で も、全国の自治体に確認する必要があるた め、省略することは難しいと思慮される。 ・把握していない。 ・把握していない。 ・防衛省では、防衛省共済組合で年金種別 情報を管理しているため、本人の児童手当 認定請求書及び現況届の防衛省共済組 合員証の記号・番号の記載を確認すること により、年金加入証明書の添付を省略して いる。 1 は困難である。 ・さらに、年金種別の確認のためには、第2号被保 険者の情報を市町村に提供する必要があるが、 当該市町村の児童手当受給者だけの情報を抽 出することは現行システムでは困難であり、仮にこ れを行う場合、社会保険庁及び市町村双方にお いて、相当のシステム開発コストを要する。 ・いずれにしても、上記のような事務処理は、行政 機関の保有する個人情報を行政機関の間で本 来目的以外に一般的に利用することが許される か、という基本的な問題を内包しており、国民的 な議論なしに一部の行政手続だけで実施するこ とが適当かどうか、慎重な検討が必要である。 参照が可能であると仮定した場合、データの 紐付けに ID を利用する必要が生じ、基礎年 金番号と住民票コード等が候補として考えら れるが、その場合に発生しうる問題点等につ いてお伺いしたい。 a)基礎年金番号を紐付けのコードとして使用する場合 児童手当に関する事務のため、自治体から 基礎年金番号をキーとした年金種別情報の 照会があった場合、社会保険庁から直接回 答することは現行法制度上可能か。 不可能な場合、その理由は何か。児童手当 に関する事務のため自治体から年金種別情 報の照会があった場合に年金種別情報を提 供することを、法律上社会保険庁の事務と位 置づければ、可能となるか。その場合、具体 的にどの法律をどのように変える必要がある のか。(この場合、例えば、児童手当申請時 に基礎年金番号を住民から提示してもらい、 自治体側の児童手当申請データ内で当該番 号を管理し、これをキーにして現況確認のた めに自治体から社会保険庁に照会を行う等 の方法が想定される。)。 b)住民票コードを紐付けのコードとして使用する場合 児童手当に関する事務のため、自治体から 住民票コードをキーとした年金種別情報の照 会があった場合、社会保険庁から直接回答 することは現行法上可能か。 不可能な場合、その理由は何か。a)との相 違はあるか。(a)同様法的な措置を前提とし た場合、例えば、自治体に社会保険庁あての はがきを備え付けておき、児童手当申請時に 国民に基礎年金番号と住民票コードを記入 の上社会保険庁あて発送してもらい、児童手 当支給事務のために社会保険庁側の年金記 録内で当該コードを管理し、住民票コードをキ ーにして現況確認のために自治体から社会 保 険 庁に 照会 を 行う 等の 方 法が 想定 さ れ る。) ・厚労省と調整した結果、厚生労働省で対 応することになり総務省は担当から除外。 2 厚生労働省 c)その他の方法 上記以外に、自治体が直接、年金種別情報 を参照しうる方法があれば、教えていただき たい。 総務省 法務省 防衛省 ・仮に前記のような体制を整えることとなれば、基礎 年金番号によって、照会用パソコンからアクセス することとなるので、a)から c)に想定される照会は 発生しないものと考えられる。 ・なお、a)から c)に想定される照会の方法は、申請 者や自治体にとっても手続が煩雑になることなど から、問題点が多いものと考える。 なお、現在開発中の日本年金機構業務シス テムでは、自治体からの参照は想定されてい るのか。されていない場合、対応できるとす れば最も早くでどの段階(いつ頃)となるか (例:次期最適化計画策定時=平成○年度 予定など)。 ③その他の現況届けの記載内容の確認について 現在の現況届は、児童手当法施行規則第四 ・現況届の様式については、児童手当法施行規則 第四条に定められた様式第三号により必要な記 条に定められた様式第三号によっているもの 載事項を定めている。 と思われるが、他方で、自治体間で異なる書 式も見受けられる。具体的に、現行法では、 ・なお、各自治体の事情等を勘案し、様式第三号 どこまで規定されていると理解すれば良い を定めた昭和 60 年施行規則改正以前に各自治 か。 体が使用していた様式については、従前どおり、 使用して差し支えないこととしている。 現況の届出に関し、同規則第五条から第七 ・児童手当は、本人からの疎明に基づき市町村が 要件の具備を確認し、その支給を決定するもので 条までに定められている変更の届出が発生 あり、現況届は、当該要件を具備しているかにつ しない場合であって、かつ上記、①、②の確 いて、本人からの疎明に基づき確認するために 認を自治体が実施できる状況になった場合、 求めているものである。 現況届けの提出を省略することはできない か。できない場合、その理由は何か。また、ど ・法 28 条、施行規則 11 条は、本人の疎明の内容 のようにすれば対応可能となるか。 を証明する添付書類の省略の可否に関して設け られているものであり、本人からの疎明自体を不 要としているものではない。このような制度の趣旨 を前提として、虚偽の疎明に基づき児童手当を受 給している場合には、罰則が適用されることとなっ ている。 ・現況届の提出を省略することは、疎明に基づか ずに児童手当の受給権が当然に生ずることが前 提となるとともに、①及び②以外の事情の変更 (例えば養育者の異動など)を把握することが困 難となり、児童手当の適正な支給を行う上で、適 切ではないと考える。 ④現況届を省略化する上での問題点について 受給者に現況届の提出を行わせる理由の一 ・児童手当の受給要件としては、生計要件、監護 つに、「申請者が当該児童を養育しているか 要件などがあるが、監護要件については、監護に どうかの確認」があると認識しているが、具体 係る証明を行うための添付書類は求めずに、本 的には、現況届けの提出手続きを通じて、ど 人の申立てに基づき、各自治体が実体的な判断 のような形で「申請者が当該児童を養育して を行っている。児童手当法第 28 条は、公簿等に いるのか」を確認するよう、自治体に対して指 よりその事実を確認するためのものであり、手続き 導しているのか。また、それらの確認行為 自体を省略できるものではない。 は、自治体内で保有するデータを自治体内で ・なお、「監護」については、「児童手当法等の施行 確認することにより代替することは不可能な について(施行通達)昭和 46 年 9 月 4 日児発第 のか。不可能な場合、その理由は何か。 495 号各都道府県知事宛厚生省児童家庭局通 知」第 2 の 1(3)アにおいてお示ししている。(※) ・防衛省では、児童手当法施行規則(昭和4 6年厚生省令第33号)で定められた定型を 使用している。 ・防衛省では、全国各地からの異動があるた め、①の回答と同様に自治体での確認は 難しい。 3 厚生労働省 総務省 ⑤現況届に要している費用について 現在、自治体の多くは郵送で現況届を受給 ・平成 15 年度まで市町村に対し、交付していた 児童手当の事務に係る交付金は、81 億円です 資格者に送付し、返送してもらう方法をとって が、平成 16 年度に一般財源化されているので、 いるようであるが、これに要している費用(郵 現在の事務費については把握していない。 送費、印刷費、発送費、書類の受付・処理に 要する人件費など)について、これまでに調 査または試算したものはあるか。 (2)児童手当請求書申請の省略又は簡素化の可能性検証 ①出生届との一体化について 児童手当法施行規則第一条によれば、児童 ・出生届の取り扱いに係ることなのでその可否を 手当の請求は、様式第一号を提出しなけれ 当省において判断することは困難だが、出生届 ばならないこととされているが、例えば出生届 との一体化については、児童手当を所管する立 用紙の中に、「児童手当法施行規則第 1 条に 場としては、以下の問題が考えられる。 定める認定の請求を行う意思があるかどう ・出生届は、父母の本籍地・居住地・出生地にお か」のチェック欄、及び児童手当の申請に必 いて届出可能だが、児童手当は居住地(住民基 要となる追加情報(振込み口座等)の記載欄 本台帳上の住所)の市町村が認定することとな を設け、そこに記入することで、児童手当の っているので、認定権者ではない市町村におい 申請を兼ねることは可能か。できない場合、 て基本的な受付審査が困難であること、市町村 その理由は何か。また、どのようにすれば対 間での事務処理体制の構築が必要であること、 応可能となるか。 新たな事務の増加について自治体の理解が必 要なこと、基本的な受付審査が行われない場合 に申請を行う住民の利便に繋がらないことなど が考えられる。 法務省 防衛省 ・防衛省では、申請書の受理等は、手交によ るため、費用は要しない。 <結論> ・現行の出生届書の様式を変更し、児童手 当法に基づく児童手当認定の請求に必 要な事項欄を新たに設け、出生届及び児 童手当認定請求書を一体化することは、 困難である。 <理由> 1.戸籍の届書類は、戸籍に記載されない 個人の秘密に関する事項が多数記載され ているため、原則、非公開とされている。 出生届書と児童手当請求書を一体化する ことにより、自治体の児童手当の担当部署 において出生届書の写し等を保管すると なると、担当業務に必要のない情報をも保 有する結果となる。今般、個人情報保護の 観点から、戸籍法の一部を改正し,公用 請求(戸籍法第10条の2第2項)であって も、法令に定める事務を遂行するために 必要な場合でなければ戸籍謄本等の交 付ができないこととされた。したがって、一 体化により担当部署が業務に必要のない 情報を得ることは、法改正の趣旨にも反す るものである。なお、戸籍担当部署におい て、児童手当の認定に必要な事項を抽出 して提供することは可能と思われるが、行 政コストの問題がある。 2.戸籍の届書は、1に述べたとおり原則非 公開とされているが、例外的に戸籍に記 載されていない事項を届書の記載によっ て確認又は証明する必要がある場合に、 届書を公開することによって身分関係の 公証の補充的役割を果たしている。しか し、児童手当の請求に係る事項について は、これを公開の対象とすることは想定さ れていないと考えられること、また、一体化 することにより身分関係とは関係がない事 項があたかも証明されているかのような様 相を呈することとなり、身分関係を公証す るという戸籍制度にはなじまない。 4 ・防衛省では、子を出産した際に全ての親が 届出を要する出生関係の書類はないため、 対応は不可能である。 厚生労働省 ②転入届との一体化について 児童手当法第七条第二項によれば、市町村 区域外からの転入時には、児童手当法施行 規則第一条に基づき、様式第 1 号による申請 を行わなければならないとされているが、例 えば転入届用紙の中に、「児童手当法施行 規則第 1 条に定める認定の請求を行う意思 があるかどうか」のチェック欄、及び児童手当 の申請に必要となる追加情報(振込み口座 等)の記載欄を設け、そこに記入することで、 児童手当の申請を兼ねることは可能か。でき ない場合、その理由は何か。また、どのように すれば対応可能となるか。 児童手当法施行規則第一条第二項四によれ ば、転入者が児童手当の受給を申請する場 合には、前住所地の自治体が発行する「所得 の額を明らかにすることができる市町村長の 証明書」を提出することとされているが、前居 住地の課税台帳情報を、現居住地の自治体 が本人の了解のもとに参照できる仕組みが 構築されれば、同証明書の添付を省略するこ とは可能か。 総務省 ・転入届については、各市町村の判断で様式 を定めることが可能となっている。 ・転入届の取り扱いに係ることなのでその可否 を当省において判断することは困難だが、転 入届との一本化については、児童手当を所管 する立場としては、以下の問題が考えられる。 ・すべての児童手当が市町村から支払われて いるわけでないため、転入届の際、養育者の 職業や加入年金制度を確認した上で、市町 村が支払うことができるものについて、受け付 けることはできるが、公務員については、認定 権者が異なるため、申請が受け付けられない こととなり、転入届に必要のない情報を転入 者から入手するなど、窓口での混乱が予想さ れる。 法務省 防衛省 ・防衛省では、転入に係る書類はないため、 対応は不可能である。 ・防衛省では、①の回答と同様に対応は難し い。 ※児童手当法等の施行について(施行通達)昭和 46 年 9 月 4 日児発第 495 号各都道府県知事宛厚生省児童家庭局通知」第 2 の 1(3)ア 「監護」とは、児童の生活について通常必要とされる監督、保護を行なつていると社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実 が認められることをいうものである。しかし、必ずしも児童と同居している必要はなく、また、児童の生計費の負担というような経 済的要素は含まないものであること。 したがつて、勤務、修学、療養等の事情により、児童と養育者とが起居を共にしていない場合であつても、監督、保護を行なつて いると認められる限りにおいては、 「監護」の要件を満たしていると取り扱つて差し支えないものであること。 5