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ロシア連邦エネルギー省と
国際エネルギー機関(IEA)による共同声明
2009 年 10 月 14 日、パリ
1. IEA エネルギー大臣会合における議論では、エネルギー部門による経済の回復と発展
への貢献を最大に高めること、世界のエネルギー安全保障を向上させること、そし
てエネルギーの生産・利用が与える環境への影響に取り組むことという、主要なエ
ネルギー政策上の問題に取り組むための緊急の行動の必要性が強調された。ロシア
連邦エネルギー省と IEA は、相互の協力を強化し、これら共通の目的を追求すべく
関係を深めることで一致した。
2. ロシア連邦エネルギー省と IEA の合意は、G8 の一員として、世界のエネルギー経済
に大きく貢献する国として、また OECD への加盟候補国としてのロシア連邦の地位
を踏まえて行われたものである。この合意は、IEA が G8 のプロセスに強く関与する
ことによって部分的に策定された、ロシア連邦と IEA との、また IEA 加盟国との間
のエネルギー政策における連携の高まりも反映している。さらに、ロシアが議長を
務めたサンクト・ペテルブルク・サミットのコミュニケで定められ、また IEA の採
択した共通の目標で示されたエネルギー安全保障、環境保護、経済成長、開発につ
いての同様のコミットメントを反映している。これらには、省エネ強化、再生可能
エネルギーやその他クリーンエネルギー技術、エネルギーの緊急事態への対処にお
ける協力、そして開かれ、透明性があり、かつ効率的なエネルギー市場についての
コミットメントが含まれる。ロシア連邦エネルギー省と IEA は、2009 年 5 月にロー
マで G8 のエネルギー大臣が発表した共同声明の、特に十分に機能するエネルギー
市場や投資リスク低減の前提条件としての国際的な法的・規制的枠組みの強化の重
要性について認識する。
3. ウラジミール・プーチンロシア連邦政府議長は、エネルギー効率の向上がエネルギ
ー安全保障及び将来の開発にとって重要な要素の一つであり、また他の諸国との共
同努力を行うべき有望な分野であると認定した。2008 年 6 月 4 日の大統領令第 889
号には、2020 年までにロシアの GDP のエネルギー集約度を 2007 年比で 40%削減す
るとの目的を定めた。このため、ロシア連邦エネルギー省と IEA は、協力関係にお
いて省エネを重視することで一致する。
4. この声明において、ロシア連邦エネルギー省と IEA は、ロシアと IEA との間の協力関
係の伝統を礎としている。この協力関係は、1994 年に始まり、IEA とロシア連邦の
当時の産業エネルギー省(Ministry of Industry and Energy)、ロシア連邦の国家統計
委員会(State Committee of the Russian Federation on Statistics)、連邦科学イノベー
ション庁(Federal Agency for Science and Innovation)との間の覚書に基づき継続され
ている。これらの覚書に基づいて共同作業プログラムの詳細について合意する慣習
を継続する。この 2010/11 年度の共通プログラムの最新版が、この声明に基づき合
意した具体的な共同行動を含めて、本日発表される。
IEA 構造への参加
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5. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、2010 年中の IEA 理事会の少なくとも一つの会合
と、IEA の各上級委員会の少なくとも一つの会合にロシア連邦エネルギー省の政府高
官がオブザーバーとして参加することで一致した。これらのフォーラムにおいて IEA
加盟国とロシア連邦が行うエネルギー政策と戦略の極めて重要な事項についての議
論は、協力の中核を成す。
エネルギー安全保障
6. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、国際エネルギー市場においてエネルギー不足が生
じて発生するエネルギー危機に対処するために、緊急時計画及び緊急時対応措置に
関して協力する。高官レベルでのコミュニケーション及び情報の流れをさらに促進
するための連絡窓口を設置する。ロシア連邦エネルギー省と IEA は、エネルギー市場
の危機に対処するための措置に関して相互に協議し、また原則として、これらの措
置の目的のために協力し、これを支援するよう努める。
7. ロシア連邦エネルギー省と IEA の専門家は、国際石油・ガス市場における動向及び見
通しを見直すべく定期的に会合を行う。また、ロシア連邦エネルギー省と IEA は、情
報の透明性を向上させ、ガス市場の安全保障を強化するためにガス市場についての
対話及び情報交換を充実させることで一致する。さらに、エネルギー安全保障を支
援すべく国際的な法的・規制的枠組みの強化についても議論していく。
省エネ
8. IEA とロシア連邦エネルギー省は、工業、住宅、建築物、電力、地域暖房その他の各
部門におけるエネルギー効率向上のためのロシアの意欲的なプログラムを支援する
拡張的な共同作業プログラムを継続・強化する。この関連で、IEA による省エネ指標
に係わる取組みは、協力関係における最重要点と見なされる。
9. ロシアは、IEA に事務局を設置している国際省エネ協力パートナーシップ(IPEEC)の
積極的な参加国である。IPEEC との相互連携は、他の IPEEC 参加国とともに省エネに
関連する共同プロジェクトを行う絶好の機会を提供する。
10. 国際エネルギー政策に係る取組みの一環として、IEA は、25 の具体的な省エネ政策に
ついての勧告を行った。これが採択されれば、世界のエネルギー需要を 2030 年には
23 億石油換算トン削減することができると考えられる。IEA は、ロシア当局と協力し
て、これらの、またその他の IEA の努力がロシアのエネルギー政策戦略(2008 年 6
月 4 日付大統領令が定めた目的を含む。)に対して成し得る貢献を強化する。
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エネルギー源の多様化
11. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、エネルギー供給の多様化、ひいては化石燃料の消
費及びこれへの依存の低減への貢献において、再生可能エネルギー源が果たし得る
重要な役割を認識する。また再生可能エネルギー源は、エネルギー利用により環境
にもたらされる人為的影響が縮小することにも貢献する。
12. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、再生可能エネルギー源の利用に関して協力する。
13. ただし、ロシア連邦エネルギー省と IEA は、エネルギーミックスにおいて引き続き重
要な役割を果たす化石燃料の効率的かつクリーンな使用の継続的重要性も認識する。
このため、電力部門の省エネ及びクリーンコール技術の分野において、情報の共有
と協力を行う。
国別審査
14. IEA は、定期的に加盟国のエネルギー政策について国別詳細審査を行っている。この
審査は、加盟国及び IEA 事務局の専門家により実施される。IEA は、ロシアのエネル
ギー政策について 1995 年と 2002 年に同様の審査を行っており、ロシア連邦エネル
ギー省と IEA は、2010/11 年度中に IEA がロシアのエネルギー政策について詳細審査
を行うことで一致した。この作業の準備は、最高水準のプロフェッショナリズムと
客観性に従う、ロシアと多国籍の専門家から構成されるチームが行う必要がある。
またロシア連邦エネルギー省と IEA は、2010/11 年度中に少なくとも一つの IEA 加盟
国に対する詳細審査にロシアの専門家が参加することでも一致した。
人的交流(Personnel Visits)
15. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、開発と研修を含めた、包括的で、長期的な人材交
流を支援する。こうしたプログラムでは、エネルギー市場、省エネ、エネルギー指
標、エネルギー関連の環境政策、エネルギーモデリングの分野における研修及び専
門能力の開発のために、ロシアの政府関係者及び研修生が IEA を訪問する。ロシア連
邦エネルギー省の専門家はすでに IEA とともに 2009 年世界エネルギー見通しの作成
に着手している。
IEA の分析報告書及び刊行物
16. ロシア政府の専門家は、「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)」、「エネ
ルギー技術展望(Energy Technology Perspectives)」などの IEA の最重要刊行物、技術
ロードマップ、短中期の石油・ガス市場分析報告書の質を高め、改善するために、
ロシアのエネルギー部門に関する知識など、自らの知識と技能を提供する。この提
供は、必要に応じて、ワークショップへの参加、IEA 原案の分析支援と専門家による
レビュー、専門家それぞれの技能分野についてのセクションの起草といった形で行
う。IEA 及びその著作物をより広く利用できるようにするために、IEA はロシアと協
力し、要約、報告書、その他の文書を翻訳し、IEA のロシア語ウェブサイトに掲載す
る。
17. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、IEA が引き続き定期的に、世界エネルギー統計と
エネルギー収支、再生可能エネルギー源、炭素排出量、その他の分析的研究につい
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てのロシア関連の IEA 刊行物をロシアエネルギー省に送付することで一致した。また
ロシア連邦エネルギー省も、関連する研究及び統計を IEA に送付する。
エネルギー技術協力
18. ロシアは、正式参加国としてすでに五つの IEA の国際エネルギー技術協力の実施協定
に参加しており、また一つの実施協定のスポンサーである。連邦科学イノベーショ
ン庁がロシアのエネルギー技術の専門家や IEA 技術ネットワークと共催して開催され
た最近の合同ワークショップは、ロシアの参加がその当事者すべてに利益をもたら
す他の実施協定が多々あることを実証した。ロシア連邦エネルギー省と IEA は、この
プロセスに拍車をかけるべく協力し、ロシアの経験と技能がこのネットワークに完
全に組み込まれるようになるよう確保することで一致した。
レビュー
19. ロシア連邦エネルギー省と IEA は、前記の取組みが全て実施されれば、将来のエネル
ギー政策の共通の問題に対処していく上で、ロシアと IEA との間により密接な関係と
実りの多い協力関係が構築されることにつながると判断する。また、2010 年末頃に
モスクワにおいて幹部レベルのワークショップを開催し、この声明をもとに成し遂
げられた進展について共同報告書を作成することでも一致した。作成した報告書は、
ロシアが参加する 2011 年の理事会に提出される予定である。
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共同行動のスケジュール案
この別表のリストに挙げられた共同行動のスケジュールは、2010 年を通じての協力の優
先事項が反映されている。このリストは、予定されている活動のリストであって、継続的な
協議によってさらに発展させていくものである。
IEA 構造への参加
1. エネルギー省は、2010 年の IEA 理事会の会合に招かれる予定である。
2. エネルギー省は、2010 年にパリで開催される長期協力問題常設作業部会(Standing
Group of Long-Term Cooperation)の会合に招かれる予定である。
3. エネルギー省または(and/or)連邦科学イノベーション庁は、2010 年のエネルギー
研究技術委員会(Committee on Energy Research and Technology)の会合に招かれる予
定である。
4. 招待の正確な時期は、協議により検討し、各委員会/作業部会が決定する。
エネルギー安全保障
5. IEA とエネルギー省は、ロシア国営天然ガス会社 OAO ガスプロムとその他関連エネ
ルギー企業も参加して、2010 年上半期に情報交換、ガス安全保障及び透明性を強化
すべくガス市場の進展に関して専門家合同セミナーを開催する。
6. IEA は、モスクワ国際エネルギーウィークなど、毎年開催される国際フォーラムに参
加する。
7. IEA とエネルギー省は、緊急時対応措置及びメカニズムに関して専門家による議論を
継続する。
8. ロシア政府の専門家は、IEA の刊行物の質を高め、改善するために、自らの知識と技
能を提供する。
省エネ
9. エネルギー省は、IEA とロシア連邦国家統計局(RosStat)の省エネ指標開発プロジェ
クトを支援する活動に参加する。2010 年 6 月にはパリで省エネ指標ワークショップ
を開催する予定である。
再生可能エネルギー
10. エネルギー省と IEA は、再生可能エネルギー源の分野において、情報と技能を交換
すべく専門家レベルでの合同ワークショップを主催する。
クリーンコール
11. エネルギー省と IEA は、場合によっては IEA 石炭産業諮問委員会(Coal Industry
Advisory Board)及びその参加企業 OAO SUEK と協調して、省エネ及びクリーンコー
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ル技術に関して専門家レベルでの合同ワークショップを主催する。この時期は、
2010 年下半期と想定されている。
国別審査
12. ロシアの政府関係者または専門家一名が、2010 年(2011 年)中に行われる少なくと
も一つの加盟国のエネルギー政策の詳細審査に参加すべくエネルギー省により指名
される予定である。
13. ロシア及び多国籍の専門家から構成されるチームが、2010-2011 年の期間にわたり
ロシアのエネルギー政策の詳細審査を実施する予定である。
人的交流
14. IEA は、エネルギー市場、省エネ、エネルギー指標、エネルギーモデリング、エネル
ギーと環境の分野における研修及び専門能力の開発のためにロシアの政府関係者を
招聘する機会を見出していく。
15. IEA 専門家は、ロシアにおいて開催される会議やワークショップに参加し、双方の利
益となる将来的な活動を特定すべく訪露する。
進捗レビュー
16. エネルギー省と IEA は、2010 年末頃に、達成された進展に関する共同報告書を作成
するため、モスクワで高官レベルのワークショップを開催する予定である。この報
告書は、ロシアが参加する 2011 年の IEA 理事会に提出される。
ロシアにおけるその他政府機関とのエネルギー関連活動
他のロシアの機関の取り組みの成功にとってエネルギー省専門家の参加が決定的となる関
連活動
エネルギー技術協力
1. エネルギー省と連邦科学イノベーション庁は、IEA と協業して、エネルギーのあらゆ
る側面について、世界各国における IEA の研究開発グループのエネルギー技術ネッ
トワークへのロシアの関連機関の積極的な参加を促進する。実施協定への加盟は、
実施協定のそれぞれの執行委員会が判断する。
エネルギー統計
2. IEA と Rosstat は、現在行われている月毎及び毎年 1 回のエネルギー統計の交換を継
続する。
3. IEA と Rosstat は、エネルギー省及びその他関連省庁の支援を得て、ロシアのさまざ
まな部門についての省エネ指標の開発への取り組みを継続する。
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