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ボリビア (669KB、2016年7月)

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ボリビア (669KB、2016年7月)
ボリビア医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2016 年 12 月更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
入国に際して義務づけられているものはないが①黄熱②狂犬病③A 型肝炎④破
傷風⑤B 型肝炎のワクチン接種を勧める。特に黄熱はボリビア国内での局所的な流
行が見られる。ワクチンは、現地でも接種することが可能であるが、流通が不安定な
ワクチンもある為、日本で接種して渡航する事を勧める。ボリビア国内で入手が可能
な WHO 推奨ワクチンは Sanofi Pasteur 社のみであり、取り扱いは一部の病院や薬
局のため、事前に予約が必要である。
(2)その他の準備
高地での滞在を考えている場合は、高地順応を考慮した計画を立てるようにする。
また、高山病に対する認識不足により重症化し、死に至る危険があるため、事前によ
く理解しておく必要がある。
ボリビアでは都市部と地方との医療格差も大きいため、緊急搬送に対応可能な旅
行保険に加入することを推奨する。
持病のある方は、出発前に掛かりつけの医師に英文の診断書の作成依頼と、常用
薬について十分に相談し、高地に滞在する場合はその旨、相談しておくこと。
眼鏡は普段使用のものを眼鏡店に持参すれば同じレンズを作成してくれるため、
スペアはひとつあれば十分である。コンタクトレンズはソフト、ハードとも入手可能であ
り、洗浄液や保存液も薬局で購入可能である。歯科治療に関しては、本邦出発前に
治療を済ませておくことを勧める。
2.医療事情
(1)医療機関
ラパス、サンタクルス、コチャバンバの3都市が医療面における主要都市である。
主要都市では、公立総合病院、私立総合病院、多くの診療所、手術設備のある個
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人病院など各医療機関がそろっているが、医療レベルの差が大きい。一般的に公立
の病院は低所得者向けということもあり、料金は安いが大変混雑しているため対応が
十分ではない場合がある。私立病院は入院費・診察費がかなり高額になるが、病室
が清潔で検査、看護も公立病院に比べると良いため、信頼のおける私立病院、また
は個人クリニックを受診することが望ましく、信頼のおける医師を受診し、その医師か
ら適切な専門医を紹介してもらえる体制をとっておくと良い。
サンタクルス市内や日系移住地には日系医師がおり、日本語による診療が可能で
あるが、日系移住地は市内から遠いこと、小規模病院のため設備は十分でないこと
が難点である。
主要都市以外の病院は、主要都市に比べると医療レベルや設備が劣るので、地
方で緊急事態が起きた時は、飛行機や病院の救急車、タクシーなどで主要都市にあ
る病院を受診することが望ましい。
邦人がよく利用する医療機関・医師は次の通りである。
■ラパス市
<私立総合病院・クリニック>
CLINICA DEL SUR
住所:Av.Hernado Siles 3539 Obrajes
TEL: (2)278-4001-2
診療科目:各専門科があり、検査入院可能。
24 時間緊急対応。要予約。CT を所有している。
入院費用:1 日あたり USD60 から
日本人スタッフ:なし
URL:http://www.clinicadelsur.com.bo/
CLINICA RENGEL
住所:Av. Victor Sanjin
2062
TEL: (2)241-4444、 (2)241-4423
FAX: (2)241-3912
診療時間:9:00-12:00、15:00-18:00 (24 時間対応)
診療科目:各専門科あり。CT、MRIを所有している。
24 時間緊急対応。
入院費用:1 日あたり USD70 から。
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受診費用:1 回 USD40 から。
日本人スタッフ:なし
備考:病院の救急車はラパス市内であれば呼び出すことができる。
WHO 推奨ワクチン取扱いあり (要予約)
CLINICA CEMES
住所:6 de Agosto Esq. Clavijo2881
TEL: (2)242-4035 FAX: (2)243-1793
診療時間:9:00-19:00 24 時間救急対応
診療科目:ほぼ全科に対応可能
入院費用:1日あたり USD80 から。
日本人スタッフ:なし
備考:個室入院可能。
E-mail:[email protected]
UNIMED
住所:Av.Arce 2630
TEL&FAX: (2)243-1133
診療科目:耳鼻科以外の各専門科あり。外来診療のみ。
診療時間:各専門医によって時間帯が異なる。要予約。
受診費用:1 回につき USD40 程度
日本人スタッフ:なし
備考:消化器内科医 Villa Gomez
診察時間 月-金、16:00-20:00
<小児科>
Dr. Jorge Tejerina
住所:① Edif. RHESUS Bloque C, Of. 9 San Miguel
② Edif. Illmani, Av.Arce esq. Campos Mezzanine Of. 11 Sopocachi
TEL:① (2)279-4769 ② (2)243-1756
診療時間:①10:00-13:00 ②16:00-19:30 要予約
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<歯科>
Dr. Javier Wilde
住所:Av. Alexiander #007 esq. Calle 14 de Achumani
TEL: (2)279-6429
診療時間:月-金 8:30-12:00 15:00-20:00 土 9:00-12:00 緊急対応可
能。
備考:医師は徳島大学留学経験あり。日本語可。
<耳鼻科>
Dr. Sergio Rojas Khek
住所:Torre Ketal 1er Piso consultorio 15A Calle 15 Calacoto
TEL: (2)277-4913
診療時間:月-金 15:00-19:00
受診費用:一回につき USD50 程度
備考:各種耳鼻科検査可能。
入院時は Cl 時は種耳鼻 CEMES を利用。
<皮膚科>
MEDIDERM (Dr. Luis Valda Rodrrio 1/Dr. Luis Fernando Valda )
住所:① Calle Belisario Salinas #350 Edif. Belisario Salinas Piso 1 Zona
Sopocachi
② Calle 21 No.8227 Edif. Torre Lydia Piso 3. Of.302 Zona Calacoto
TEL: ① (2)244-2747 ② (2)277-4611
診療時間:月-金 15:00-20:00 土 9:00-12:00
要予約
受診費用:1 回につき USD40 程度
備考:各種皮膚科検査可能。
<眼科>
Dr.Pedro de Alarcón von Borries
住所:Calle Pinilla #274 Edif. Pinilla Piso 1
TEL: (2)243-3805
診療時間:月-金 15:00-20:00。要予約
受診費用:1 回につき 30USD 程度
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備考:各種眼科検査可能
<産婦人科>
Embriovid (Dr. Jorge la Fuente Méndez)
住所:Calle 21 Calacoto #8239
TEL&FAX: (2)279-3928
診療科目:婦人科、産婦人科、小児科 要予約
URL:http://www.embriovid.com
E-mail:[email protected]
■コチャバンバ市(ラパス市より 300Kmの第 3 都市)
<私立総合病院>
Cl 総合病院市 Los Olivos
住所:Av. Melchor Pv. M de OlguMe #N-0175
TEL: (4)440-8801~6
診療時間:8:00-21:00 (24 時間緊急対応)
診療科目:内科、心臓内科・外科、消化器内科・外科、神経内科・外科、一般外科、
整形外科、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、産婦人科、精神科、
放射線科、麻酔科、泌尿器科
備考:私立 3 次救急施設。24 時間緊急対応。WHO 推奨ワクチン取扱いあり。
URL: http://clinicalosolivos.com/
E-mail:[email protected]
CENTRO MEDICO BOLIVIANO BELGA
住所:Calle Antezana #455
TEL: (4)441-5944 FAX: (4)411-7215
診療科目:内科、循環器科、心臓外科、呼吸器外科
小児科。
備考:国内最大の循環器系の病院。24 時間緊急対応。
E-mail:[email protected]
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CLINICA COPACABANA
住所:Av. PotosOPAC# 1253
TEL: (4)424-2362 FAX: (4)448-7257
診療科目:各専門科。
備考:24 時間緊急対応。
WHO 推奨ワクチン取扱いあり、要予約
URL:http://www.clinicacopacabana.com/
E-mail:[email protected].
■サンタクルス市(ラパス市より 700kmの第 2 都市)
<私立総合病院>
CLINICA ANGEL FOIANINI
住所:Av. Irala 468
TEL: (3)366-2211 FAX: (3)336-5577
診療科目:全科。各種手術、超音波、内視鏡、CT、MRI 検査
診療時間:各専門医によって異なる。要予約。24 時間緊急対応。
入院費用:入院個室 USD100 から
受診費用:1 回につき USD50 から
URL:http://www.clinicafoianini.com/home.php
CENTRO MEDICO INTEGRAL SIRANI
住所:Calle Independencia 654
TEL: (3)335–2200
診療科目:全科
診療時間:各専門医によって異なる。要予約。24 時間緊急対応
備考:ほとんどの診療科がそろっており、各種検査、入院治療が可能。
<個人クリニック>
CONSULTORIO NISHIZAWA
住所:Centro Medico Integral SARANI 内 Calle Independencia654
TEL&FAX: (3)335-6227
診療科目:消化器内科、消化器外科、一般外科 要予約。緊急対応可能。
診療時間:月-金 8:30-12:00、15:00-19:00 (水曜日午後、土日は休診)
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受診費用:1 回につき USD50 から
備考:日本語による診察可能。胃内視鏡、腹部・骨盤超音波、大腸内視鏡検査可。
病状に応じて同クリニック内の専門医、もしくは他院への紹介あり。
ひかり歯科
住所:Av. Trinidad No. 261 entre la calle abuna e ltenez
TEL: (3)333-3080
診療時間:9:00-13:00, 14:30-19:00、土 9:00-12:00
備考:日系の杉本ひかり医師により日本語の診察が可能。
<サンタクルス郊外 日系人居住区診療所>
日系人の医師がいるため日本語が通じるが、主な診療科以外は隔週の外来診療
のみであり、医療設備が小規模なので詳しい検査や複雑な手術はできない。救急車
を所有しているため、緊急時はサンタクルス市内まで搬送可能。
日系・ボリビア協会オキナワ診療所(サンタ・クルス市内まで車で 1 時間半)
住所:オキナワ第1移住地
TEL: (3) 923-7039
診療科目:内科、小児科。要予約
診療時間:9:00-12:00、15:00-18:00
24 時間緊急対応
備考:入院施設あり(1 日あたり USD30 より)
日本・ボリビア協会サンファン診療所(サンタクルス市内まで車で約 2 時間)
住所:サンファン移住地
TEL: (3) 934-7090
診療科目:内科・婦人科・整形外科。要予約。
診療時間:9:00-12:00、15:00-18:00
24 時間緊急対応
備考:入院可(1 日あたり USD30 より)
(2)緊急時の対応と措置
邦人の場合、24 時間救急受け入れ可能な私立のクリニックへ直接電話し救急車を
手配してもらうか、主治医に直接電話し救急車を手配してもらうのが一般的である。し
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かし、救急車を利用するよりも、ラジオタクシーを呼んで搬送してもらう方が、早い場
合がある。そのため日頃から信頼できる医師を確保し、病院あるいはクリニックなど
への連絡方法も確認しておくこと。さらに、入院費用は高額であるため、日頃から緊
急用の費用を準備しておく必要がある。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
ほとんどの医薬品が薬局で手に入るが、使い慣れている目薬・湿布薬・胃腸薬・風
邪薬などは携行することを勧める。
医薬品を持ち込むにあたり、ボリビアの法令で 3 箱(もしくは3瓶)までと決められて
いる。また、日本から郵送する場合は、税関での審査が厳しく、没収される可能性が
あるため避けた方がよい。
持病にかかる薬を持参する場合は、英文診断書を提示する必要がある。
(2)現地で調達できる医薬品
ほとんどの薬剤が調達可能であるが、日本の薬よりも用量が多いため、作用が強
いことなどあり、処方の際は医師に相談すること。また、軟膏類は日本に比べ種類が
少ない。抗不安薬や睡眠薬は医師の処方箋がないと購入できない。
(3)現地で調達できる衛生用品
輸入品が豊富に出回っており、良質の物も手に入る。避妊具などは安全面から薬
局で購入することを勧める。
(4)薬局
当国は完全な医薬分業であり、薬を購入する際は医師の処方箋を薬局に持参しな
ければならない。薬局は当番制で夜間や休日も営業している。
<利用しやすい薬局>
Farmacia Gloria
住所:Av. Ballivi 日も営業を購入する zona Calacoto
TEL: (2)277-0784
備考:24 時間営業。品揃えが豊富。チェーン店で店舗多数。
WHO 推奨ワクチン取扱いあり。
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Farmacia UNIFAR
住所:Av.Arce 2630
TEL: (2)243-1548
営業時間:10:00-13:00、15:00-20:00
備考:診療施設 UNIMED に併設されている薬局。WHO 推奨ワクチン取扱いあり。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
当国では他の中南米諸国と同様に帝王切開率が高い。妊娠や分娩中の異常は予
測できないことが多く、流早産の徴候が始まってからの帰国は難しい。また、妊娠中
異常なく経過したとしても約1割が異常分娩になり、先天的な心臓の異常等がある場
合は当国では手術できないこと、輸血用血液の検査、緊急時対応が十分ではなく、
中絶の場合はさらに出血多量や感染のリスクが高くなることを考慮し、本邦で出産す
ることを強く勧める。
(2)出産後の対応
日本で実施されているような乳幼児健診はないため、自主的に乳幼児健診を行っ
た方がよい。一般には診療日時は主治医が指定するが、乳幼児は日本の健診に沿
った形で受診することを勧める。当国では乳幼児健康手帳(Carnet Unico de Salud
Infantil)を発行しているので、健診および予防接種の記録をしておくと良い。また、小
児の予防接種については、事前に日本の主治医に相談しておくことを勧める。
(3)育児
育児用品については輸入品が出回っており、高価ではあるが入手できる。
育児上、特に気を配ることは、次のようなことである。
・気温の日内変動が著しく風邪を引きやすいため、衣類調節をこまめにすること。
・高地は空気が乾燥しているので、室内では加湿器などを使用し保湿に努めること。
・ダニ、ノミなどによる皮膚病が多いため、衣類、住居環境には十分気をつけること。
・屋外での虫刺されに気をつけること。
5.手術
(1)現地で可能な手術
胸部外科、脳外科、心臓外科など、高度な治療技術を要するものは、欧米やブラジ
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ル、チリ、アルゼンチンなどの近隣国で受けるのが一般的である。
(2)その他の留意点
輸血は国立の血液センターで管理されているが、輸血後GVHD予防のための放射
線照射は行われていない。またスクリーニングの正確性が不明である。輸血時の交
差適合試験は各病院に任されている。緊急時、現地で輸血を実施した場合は、その
後の感染の有無についてモニタリングが必要である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
感染性下痢症:
圧倒的に多いのは下痢症である。コレラ、サルモネラ等急性の脱水を引き起こすも
のが多く、その他アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫等様々な胃腸障害をもたらすものが
ある。多くは水や食べ物から感染する。地方では腸チフスも多いので注意が必要であ
る。罹患した場合は急激な脱水や高熱を伴うことがあるので、早めに医療機関を受診
することを勧める。
高山病:
行政上の首都ラパスは、3000~3800 メートルの高地にあり、その他にも標高の高
い都市が多くある。日本から到着する場合、到着した時点で高地に立っている状況に
なり、多くの人は軽度から中等度の急性高山病症状を示す。予防すれば殆どの人が
2~3 日で慣れてくるが、発症の程度や重症化の可能性については予測することが困
難である。
急性高山病の症状は、頭痛、吐き気、めまい、睡眠障害等がある。着任直後は高
山病予防として激しく身体を動かすことや過食、飲酒、熱い湯でのシャワーや入浴な
どの無理な行動は避ける必要がある。また、呼吸困難や意識混濁などの症状が出た
場合は、すぐに受診する必要がある。自覚症状もあれば、他者が異変に気付く他覚
症状もあるので、到着後 2~3 日は一人で過ごさないようにして、身近な緊急連絡先
を確保しておく必要がある。
高地では、呼吸器、循環器、消化器などの持病を悪化させる可能性があるので、こ
れらの疾患を有する方は、派遣前に主治医に相談することを強く勧める。
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<3000 メートル以上の高地に行く前に準備すること>
① 体調を整えておく。
② 旅行日程をゆとりのあるものとし、1日のスケジュールを詰め過ぎない。可能な
限り変更のきく日程を組むこと。
③ 渡航外来を受診し、高山病についての知識を身につけること。高山病予防薬
(ダイアモックス)を処方してもらうことも考慮すること。
④ 頭痛等の症状緩和のため、飲み慣れた鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン)
を携行すること。
<高山病重症度別対処方法>
症状
軽度
主な対応方法
軽い頭痛、 運動時の息切れ、
安静、 体温調整、
軽い食欲不振、 消化不良、
水分補給(コカ茶などの飲用)
夜間の熟睡感不足
鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン)
の服用
短時間の酸素吸入:
(目盛り3L:20 分程度)
頭痛、嘔吐、食欲減退、呼吸困 医療機関の受診
中等度
難、全身倦怠感、湿っぽい咳と (低地へ移動を考えること)
鼻水、
医療機関での点滴、酸素吸入等
手足のむくみ
意識混濁、 強度の呼吸困難、
重度
酸素吸入しながら、低地の医療機関へ
せん妄状態(発語が意味不明に の移送
なる)心不全、放置すれば死亡
集中治療室での治療
上気道感染症(風邪等):
高地は一年を通して湿度が低く、気温の日内変動が大きいことから風邪をひきや
すく、乾期(4~8 月)にはインフルエンザの流行も見られる。また、熱帯地方では南極
からスールと呼ばれる風が吹き、気温が急激に下がるため風邪をひきやすくなる。
日頃から手洗い・うがいを施行し、予防対策に努める。また、現地ではマスクを使
用する習慣(咳エチケット)がないため、流行時には人ごみへの外出は避け、咳をして
いる人は近づかないなどの注意が必要である。
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(2)風土病、感染症
デング熱:
蚊が媒介する感染症で、発熱(4-5 日程度)、痛み、発疹などの症状が出現する。感
染すると血小板が減少し、出血傾向になり易い。高熱時、解熱剤はアセトアミノフェン
(商品名:パラセタモール)を使用し、速やかに受診する必要がある。予防薬はない。
雨季(12 月~3 月)になると蚊が繁殖し流行する傾向があるため、防蚊対策は十分行
う必要がある。特にサンタクルス、ベニ県の熱帯地域で流行がみられる。
チクングニア熱:
蚊が媒介する感染症で、感染すると関節痛、発熱(1-2 日程度)、発疹が出現する。
防蚊対策が必須である。熱帯地域で流行がみられる。
シカウイルス感染症:
2015 年近隣国ブラジルで大流行し、2016 年に入り、当国でも感染者が報告され
るようになった。感染すると発熱(1-2 日)発疹、非化膿性の結膜炎等がみられるが、
症状が出ないこともある(不顕性感染)。通常は軽症だが、胎児への影響やギランバレ
ー症候群といった難病の原因になることが報告されている。熱帯地域での防蚊対策
は必須である。
マラリア:
ベニ、パンド、ラパス県の低地の熱帯地域のみにおいて感染を認める。当国には
三日熱、四日熱マラリアはあるが、熱帯熱マラリアはベニ県を除いて稀である。
シャーガス病:
トリパノソーマ・クルージーという原虫を媒介するサシガメに刺されるか、シャーガス
病キャリアの血液を輸血することで感染する。当国においては標高 300 メートル以上
3500 メートル以下の地域で感染が認められている。成人が感染すると、そのほとん
どが慢性型となり、数十年以上経過した後に心筋炎、うっ血性心不全、巨大結腸等の
症状が出る。慢性期に入ると治療法はないと言われている。また、サシガメは家の土
壁に生息していることから、土塀の家での宿泊を避けることを勧める。
皮膚リーシュマニア症:
サシチョウバエが媒介し、刺されると皮膚が潰瘍化する。ラパス県の低地、ベニ、
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パンド県の熱帯地域で感染が見られる。
黄熱:
予防接種が有効である。重症化すると、腎障害、黄疸等の症状が現れる。デング熱
の流行と同じように、雨量の多いコチャバンバ県チャパレ地方やベニ県のアルトベニ
地方に局所的な流行がみられる。
ウイルス性肝炎:
ウイルス性肝炎の発生も一年中みられる。A 型肝炎がほとんどであるが、B 型肝炎
もみられる。
ハンタウイルス感染症:
ネズミの尿や唾液中にウイルスが存在し、その排泄物に接触したり、ウイルスの粒
子を吸い込んだりすることで感染する。ヒトからヒトへの感染はない。発症初期にはイ
ンフルエンザに似た症状を示すが、その後呼吸器症状(咳や呼吸困難)を起こしショッ
クに陥る可能性がある。治療は主に対症療法であり、ネズミの駆除等が予防法となる。
コチャバンバ県のチャパレ地方やタリハ県で局所的な流行がみられる。
(3)有害動物、病害虫
狂犬病:
狂犬病は毎年死亡例が報告されており、犬の狂犬病予防接種がすすんでいない
ため突発的な流行が各地で見られている。狂犬病を発病した犬も年々増加傾向にあ
る。狂犬病は感染し発病すると 100%死亡するため、渡航前の予防接種を受けるべ
きである。また、犬に限らず哺乳動物による動物咬傷にあった場合は、たとえ飼い犬
であっても、ただちに石鹸洗浄を実施し必ず受診をすること。そして、医師の指示に従
って追加接種を受ける必要がある。
寄生虫:
特に地方では寄生虫による貧血症状が多くみられる。砂の中に住む線虫が指の皮
膚から侵入することがあるので、子供の砂遊びには特に気を付ける必要がある。また、
家の中でも素足で歩かないなどの注意が必要である。
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害虫:
ブヨ、スナノミ、ダニおよびヤブ蚊、サシガメ(ビンチューカ)、などによる被害が地方
でみられる。
7.保健衛生
(1)飲料水
上水道設備はあるが石灰分を多く含む硬水であり、外見上きれいに見えても砂塵
や微少な泥が混入していることがしばしばあるため、ボトルウォーターを飲用すること
を勧める。
(2)濾過器の入手
調達可能であるが、宅配のボトルウォーターの方が安価である。
(3)その他の留意点
生野菜や果物は流水でよく洗浄した後、スーパーや薬局で売っている消毒薬に浸
けて殺菌することをすることを勧める。肉類は十分に加熱してから食べること。露店で
販売している乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)は衛生的に悪いので購入は避けたほう
が良い。
ラパスは高地であり、紫外線が低地より 20 倍近く強いため、日中炎天下の外出時
には帽子、サングラスを着用し、日焼け止めクリームなども必要に応じて使用すること
が望ましい。また、空気が乾燥しているため、保湿クリームやジェルなど肌に合ったも
のを使用すると良い。
以上
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