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An another tale of Z

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An another tale of Z
An another tale of Z
メカニックファイル 1
艦船編
メカニックファイル
“An another tale of Z”メカニックファイル第一集は船を扱います。これでも
全部ではないのですが、それでも50隻以上の3Dモデルのデザインがありま
す。そもそも現時点では小説の作品でこういうものを作る意味はあるのかと
いうことはありますが、図版をたくさん入れ、BGMまで流していたウェブ版で
は意味がありましたし、また、創作の上でも作品に登場するガジェットの「本
当の大きさ」を把握しておくことには意味があります。搭載している武器装備
については一緒に販売されるモデルを見れば分かりますので、ここでは大き
さと装備の概要、そして、そのメカニックのコンセプトを説明します。
販売する3Dモデルは比較用に宇宙服を着た人間の模型とモビルスーツや
突撃艇など小型メカの模型もセットにします。これらは比較の役に立つと思
いますし、作品世界を理解する役にも立つと思います。あくまでこれらは比較
用で、造形などはお世辞にも誉められたものではありませんが、例えばこれ
でジオラマを作るなど、用途はいろいろ考えられると思います。ここで触れら
れているのはその基礎になるデータです。
紹介すべきメカニックはまだまだありますが、それらについては3Dモデル
の制作と共に順次増補改訂で対応したいと思います。
目次
自由コロニー同盟軍
ジオン公国軍
地球連邦軍
ティターンズ
エウーゴ・連邦警備隊
ソロモン共和国軍
サイド4ユニオン
サイド6連邦
3ページ
16ページ
22ページ
41ページ
43ページ
52ページ
59ページ
63ページ
自由コロニー同盟艦隊
自由コロニー同盟の艦艇は元々連邦の影響が強
いこと、そして、一年戦争でジオンに占領されたこと
により、連邦艦の面影を残しつつもジオン系の技術
も折衷して使うという点に特色がある。国防上の必
要と技術吸収の必要から、同じサラミス級でも標準
仕様をそのまま使うということはまずありえず、多か
れ少なかれ改装して用いている。特に大型戦艦の
不足は弱点であり、その結果、同盟艦は小型で重武
装、集団で戦艦と渡り合う任務が想定されている。
左記は代表的な同盟艦であるが、上記の事情から
同型艦でも各艦の仕様は微妙に、時には大きく異
なっているのが普通である。
戦艦アーガイル
全長
全幅
全高
重量
乗員
188メートル
62メートル
70メートル
32,065金属トン
568名
兵装 360㎜45口径連装砲、対空バルカン
艦載機 搭載不可
所属 自由コロニー同盟軍
現在の自由コロニー同盟宇宙艦隊の旗艦である
「アーガイル」はごく標準的なマゼラン級戦艦である。
0078年に完成した同艦はマゼラン級(前期型)の最
終完成型であり、0079年の大戦ではルウム会戦以
降の全会戦に参加した。その後、長きにわたって第
3艦隊の戦艦としてサイド4にあり、その間に標準改
装プランに従った改装を受け、装備、設備を近代化
した。
同盟では0087年に同型艦「フェローズ」と共にこの
艦を購入し、「フェローズ」は連邦から引き抜かれた
新任艦長マシュマー・セロ大佐、「アーガイル」はジョ
ン・W・S・スミス大佐の指揮の下、第1艦隊に所属し
ていたが、0089年、それまでの旗艦「オークニー」の
旧態化に伴い、「アーガイル」が同盟艦隊旗艦となっ
た。
やや非力な感もあるものの、攻防共に優れた信頼
性の高い名鑑であり、基本設計の優れた旗艦設備
から、今だに第1線級の司令艦としての任務を果た
している。
戦艦オークニー
全長
全幅
全高
重量
乗員
263メートル
60メートル
107メートル
59,998金属トン
1,026名
兵装 360㎜45口径連装砲、40㎜機関砲
艦載機 搭載不可
所属 自由コロニー同盟軍
オークニーを含むアドミラル級戦艦の計画は早く、マゼラン級
基本型である最初の4隻が就役した0064年以降にはプランに
あった。0068年計画で当時存在した第1∼第12制式宇宙艦隊
の司令艦として12隻の建造が決められたが、0069年のジオン
公国の成立により標準タイプの生産が優先されたため、旗艦
タイプの建造に着手したのは0078年のことである。
しかし、最初の4隻の建造が開始された直後に1年戦争が発
生、モビルスーツやメガ粒子砲を含む新兵器の出現により、本
級は船台上で既に旧式化したことが明らかになり、スコットラン
ドのスコット&リンズ造船所で建造され、最も工程の進んでい
たオークニー以外の艦は全て解体された。その後の戦況の急
転により、本艦は工程未了のまま終戦を迎えたが、戦後、自
由コロニー同盟宇宙艦隊の前身、ルウム防衛隊が10フェデリ
ンで買い取り工事を継続し、0082年に完成させた。単独では大
気圏内航行能力さえ持たない本級をサイド5まで運び工事を
継続する作業の困難さは同盟軍兵士の語り草になっている。
0087年の技術供与により本級にも、ようやくメガ粒子砲が装
備されるようになったが、継続して用いられていた初期型マゼ
ラン級のエンジンの出力が明らかに不足していたため、4基の
核融合ジェネレーターを新たに取り付け、同時に対グワジン級
用に680㎜8連宇宙ミサイル発射機4基も装備された。その後
も改装を受け、現在は同盟第2艦隊に配備されている。同盟
艦隊最大の戦艦であり、0082年から0088年まで同盟艦隊旗艦
も務めた。
本級は元々旗艦用に設計されたため、艦尾に非常に豪勢な
司令部設備を持ち、儀典用の戦艦として国際会議などに用い
られることが多い。また、その厳つい中にも気品のある外観と
その大きさから、同盟市民に最も親しまれている戦艦である。
戦艦トーメンター
全長
全幅
全高
重量
乗員
231メートル
51メートル
81メートル
32,000金属トン(建造時)
882名
兵装 360㎜45口径連装砲、メガ粒子砲
艦載機 搭載不可
所属 自由コロニー同盟軍
元は0065年計画で建造された連邦のネプチューン
級戦艦。0060年のマゼラン級の成功を受け、そのバ
リエーションとして前面装甲と火力を2倍近く強化して
いる。当時は最強の戦艦であった。そのコンセプトか
ら敵陣突破のための強攻艦として用いられることが
多く、1週間戦争ではハル少将の指揮の下、同型艦5
隻が密集隊形を組み、ティアンム提督の脱出を助け
たが、旗艦「ネプチューン」を含む2隻が沈んだ。その
後のルウム戦役でも2隻が沈み、唯一生き残った
「トーメンター」はサイド5に逃げ込み、半年以上ニー
ナ・ドッキングステーションに係留されていた。
既に時代がモビルスーツ時代に移っていたこともあ
り、大破した戦艦にジオン軍は無関心だったが、遅々
としたペースながら修復は進み、戦争後半の反攻作
戦前のパッチ護衛戦では出撃し、ブレックス・フォーラ
少将の指揮の下で戦いを勝利に導き、その後は第2
艦隊の戦艦としてソロモン戦、ア・バオア・クー戦を
戦った。
戦後は同盟に売却され、第1艦隊、木星派遣艦隊
に配備されたが、機関効率が悪いことと、運用に大人
数を要するため、レダ星域会戦までは、ほとんど使わ
れることなく宇宙港に係留されていた。
軽巡洋艦ホープ
ホープを含むアライアンス級は0083年の自由コロ
ニー同盟成立以降の同盟の主力護衛艦。元は一年
戦争後、大量に払い下げられた連邦のサラミス級12
隻を0085年国防計画で改造したもの。舷側に戦時中
にサイド5で建造していたムサイ級の砲塔、艦首に8
連ミサイルを取り付け、サラミス級の弱点である対艦
攻撃力の不足をカバーしている。またモビルスーツの
搭載も可能にしており、かなりスペースは狭小なもの
の、3機のGMタイプが運用可能である。
0088年以降は国産化もされるようになった、名実共
に同盟艦隊のワークホースであるが、弱点は機動性
の低さと連邦、ジオンの技術を折衷して用いているた
めの故障率の高さである。本級はジオンのムサイ級
に比べ決定的に勝るとされている。
全長
全幅
全高
重量
乗員
135メートル
34メートル
52メートル
4,455金属トン
186名
兵装 6インチ単装砲、480㎜重ミサイル
艦載機 GMタイプ3機
所属 自由コロニー同盟軍
軽巡洋艦シェパード
全長
全幅
全高
重量
乗員
150メートル
24メートル
58メートル
5,125金属トン
123名
兵装 6インチ単装砲、大出力メガ粒子砲
艦載機 搭載不可
所属 自由コロニー同盟軍
タイプ87レイピアは元は0087年改装艦としてタイプ
85に改装予定だったサラミス級であるが、連邦がホワ
イトベース級に搭載していた強力な対艦メガ粒子砲
が供給されることになり、急遽解体された同級搭載艦
から取り外したメガ砲とそのコピー品を取り付けた特
殊なサラミス級。砲は連邦だが、メガ砲の運用ソフト
ウェアはジオンの技術を用いている。同時に船体も再
設計され、サラミスやタイプ85とは全く異なる艦に生
まれ変わっている。
同級はメガ砲のエネルギー消費が膨大なことから、
オニール市スカニア社が開発した高出力の新型エン
ジンも同時に取り付けることになり、モビルスーツ搭
載を諦める代わりに機関部分を大幅に強化した。全
体としてタイプ85の2倍程度の運動性能を持ち、また、
有り余るエネルギーから従来は戦艦でしか運用でき
なかった対艦用メガ粒子砲も余裕で運用可能である。
メガ粒子砲の戦術的優位性はこの時代では既に消
滅しているが、この艦ほどの高出力砲の場合はいま
だに有効である。
大型巡洋艦レイキャビク
全長
全幅
全高
重量
乗員
198メートル
108メートル
55メートル
18,525金属トン
336名
兵装 320㎜60口径連装砲、680㎜重ミサイル
艦載機 GM+タイプ8機
所属 自由コロニー同盟軍
事実上長期保管状態である戦艦トーメンターに代
わる木星派遣艦隊の事実上の旗艦、同艦も含むバ
ルセロナ級は0083年計画でサラミス級の後継艦とし
て計画されたが、高価であることと性能が中途半端
であったため建造のペースは緩慢であった。同盟で
は唯一の同級である「レイキャビク」は0089年建造の
同級最終艦である。
本級は個艦としては超一流の運動性と戦艦を除け
ば第1級の対艦戦闘能力を持つ優秀な艦であるが、
弱点はガンダムタイプの大型モビルスーツ8機搭載
に固執した事による対空火器の不足と、防御能力が
低いにもかかわらず、戦艦並みのその大きさである。
横幅の広い艦体は戦艦以上の容積を持つが、ス
ペースの余裕は大きくない。
「レイキャビク」はバルセロナ級の最終艦であるが、
先行する「アレキサンドリア」等に比べ、旗艦仕様で
あることなど、建造に同盟の意思が関与した艦に
なっている。その後0090年、0092年に改装されたこと
もあり、他の同型艦とは異質な重量感のある外観と
なっている。
装甲巡洋艦エイストラ
全長
全幅
全高
重量
乗員
183メートル
50メートル
61メートル
11,515金属トン
480名
兵装 300㎜45口径3連装砲、メガ粒子砲
艦載機 6機係留運用可能
所属 自由コロニー同盟軍
1年戦争時のルウム会戦で艦艇を大量に喪失した
連邦軍はモビルスーツ大量生産計画であるV計画、
艦艇の量産計画であるビンソン計画を発動し、脆弱
性が明らかになったマゼラン級の拡大型である「パッ
チ2」型戦艦の建造を決定した。しかし、この大型戦艦
の建造は予定通りには進まず(結局終戦まで18隻の
就役にとどまった)、急遽リリーフとして従来のマゼラ
ン級の設計を簡素化し、設計開始後60日で建造が開
始されたのがネメシス級である。
本級は主力の新型戦艦から敵の目を逸らすため、
マゼラン級に似たシルエットを採用し、装備設備は可
能な限り簡素化された。従来のマゼラン級改良型と
異なり、大型戦艦「パッチ2」用の高出力エンジンを1
基のみ装備する。非装甲で単純なラインの船体は
「パッチ2」の20分の1のコストと工期で建造可能で
あった。主砲も製造しやすい300㎜砲を採用し、質で
劣る部分を量で補うという考えで大量建造され、多く
がマゼラン級の新型または同級と誤認された。
1年戦争での喪失も少なくなかったが、同時に多数
が生き残ったネメシス級は簡素な構造の割に優れた
火力と扱いやすさから、多くが他国に売却され、小国
では艦隊旗艦を務める例も少なくない。エイストラは
同盟に売却されたネメシス級の1隻であり、その長大
な航続力を生かして同型艦と共に外惑星パトロール
の任にあたっている。また、同盟独自の装備として艦
底に大型ミサイルの発射装置を有している。
軽巡洋艦ベクター
全長
全幅
全高
重量
乗員
158メートル
34メートル
43メートル
6,105金属トン
198名
兵装 6インチ連装砲、480㎜重ミサイル
艦載機 GM+タイプ4機
所属 自由コロニー同盟軍
連邦艦隊の次期主力護衛艦である新型サラミス級
(サラミスⅡ)の計画は0085年に開始された。0090年
に設計を終了し、0092年より建造を開始した同級は従
来のサラミス級(およびその改造艦)に代わる連邦艦
隊のワークホースである。他国の同種の戦艦に比べ
建造数で群を抜いているため、この艦の設計は他国
の同種艦とサラミス級の改造バージョンの現況と分析
を踏まえて行われたが、最初に建造されたタイプ1の
成績は振るわないものであった。すなわち、この新型
の最初のタイプは第9艦隊に配備されたが、十分な慣
熟訓練を経ないまま木星に出撃し、多くが同盟軍やジ
オン軍に撃破されたこともあり、この敗戦を受けて同
級の建造計画は一時白紙に戻された。
ベクターはこの連邦艦隊の護衛艦更新計画に乗じて
自由コロニー同盟が発注を掛けた新型サラミス級で建
造に同盟の意向を強く入れたことから、建造こそ連邦
であるが武装やエンジンは同盟製のものを用いている
新型の変わり種である。特に艦首の大型ミサイル群は
タイプ85の伝統を強く受けた同盟独自の装備である。
この艦の存在は新型のキャンセルで経営危機に陥っ
たニューポート社の経営を救った。個艦としての性能
も優れており、土星派遣艦隊の主力艦としてティター
ンズと戦った。
巡洋艦シーハウンド
全長
全幅
全高
重量
乗員
204メートル
41メートル
77メートル
14,800金属トン
306名
兵装 300㎜45口径3連装砲、Qシステム
艦載機 GMタイプ5機
タイプ93と呼ばれるシーハウンドは同盟の新型護衛
艦の試作艦である。オルドリン市に本拠を置くマリー
ナ社が次期護衛艦のモックアップとして社内で進めて
いた計画を国防局が採用し、試作艦の予算を提供し
た。本級の計画は同じく同盟のエンジンメーカーの名
門スカニア社とタイアップで進められており、同社が
開発中の新型エンジンを搭載する予定であったが、
予算が降りたことにより従来型のSM440エンジンによ
る建造となった。
同艦には新型艦に用いられるあらゆる新機軸が盛
り込まれているが、その特徴の一つはサイド6ユニコ
ン社が開発し、高価なため採用例が少なかった新型
防空システム「Qシステム」を同盟艦として初めて装
備したことにある。試験結果も良好なため、当初は土
星派遣艦隊に配備される予定であったが、未完成の
艦によるトラブルを嫌気したマシュマー提督によって
同艦は派遣リストから外され、そのままオルドリン港
でテストを続行することになった。派遣されていれば、
その強力な防空火力と主砲攻撃力はティターンズ艦
隊を圧倒しただろうと言われている。テスト終了後の
同艦はその良好な航続性能から外周艦隊に配備さ
れ、その後長い間同艦隊の旗艦を務めた。同型艦は
存在せず、同盟には珍しい一品物の軍艦である。
パトロール艦アントラージュ
全長
全幅
全高
重量
乗員
85メートル
20メートル
29メートル
950金属トン
68名
兵装 3インチ単装砲、40㎜機銃
艦載機 搭載不可
所属 ルウム防衛隊、自由コロニー同盟軍
地球連邦が開発したP級フリゲートは太陽系ではあ
りふれた船舶であるが、アントラージュは自由コロ
ニー同盟軍の前身、サイド5警備隊に配備されたP級
の1隻である。新造されたこの船は0078年に警備隊
の女性艦長キャサリン・C・マクニールに引き渡され、
年末にガンマ基地への処女航海に出航した。このパ
トロール任務中に一年戦争が勃発し、キャサリンはジ
オン軍の警戒網を巧みにすり抜けて帰国したが、そ
の時は既に警備隊は壊滅状態であった。アントラー
ジュの伝説はその後のキャサリン艦長と同艦の奮戦
による。対モビルスーツ兵器はおろか、対艦性能さえ
不満足な同艦でアントラージュは2機のザクの撃墜と
ムサイ艦ドルメルを大破させるという戦果を上げ、同
艦はサイド5の伝説となった。降伏後の同艦はジオン
軍艦長の手でルウム近郊の警備活動に用いられた
が、戦後のオルドリン警備隊の発足と共に譲り受けら
れ、デラーズ戦争では偵察艦としても活躍している。
その後、事故で大破して除籍されるが、自由コロニー
同盟の発足と同時に同艦はサイド5一の武勲艦とし
て同盟軍のアイコンとなり、その後の同盟艦の意匠は
同艦のカラーをモチーフにしている。修復された同艦
は同盟軍の名誉一号艦としてアルファ基地に係留さ
れており、記念艦として保管されている。
艦隊工作艦スカパ・フロー
全長
全幅
全高
重量
乗員
298メートル
67メートル
68メートル
150,669金属トン
396名
兵装 なし
収容能力 全長200メートルまでの全ての艦船
所属 自由コロニー同盟軍
現在の同盟艦隊の最大の軍艦であるスカパ・フロー
はK型輸送船を改造した艦隊工作艦である。同盟艦
隊でも貴重な船舶であり、スカパ・フローの他には
ポーツマス、プリマスの二隻しか存在していない。全
長200メートルまでの艦を収容して修理することがで
き、かつ、修繕しながらの移動も可能である。十分な
工場と工作設備があるため、エンジンのオーバー
ホールなど通常はドックでしかできない作業も行うこと
ができる。また、巨大な収容能力から武器弾薬や燃
料の補給艦としての能力も有している。スカパ・フロー
は木星派遣艦隊所属でデルタ基地を母港とし、0093
年のレダ星域会戦では後方に進出して損傷した味方
艦の修繕を助けた。翌年のタイタン作戦でもはるばる
木星から土星派遣艦隊に合流し、対ティターンズ戦の
後方支援に当たっている。
このように有能な本艦であるが、その後の同盟艦は
大型化を続け、シーハウンド以降の艦は同級の収容
能力では収容することができなくなったため、後には
同じコンセプトでより大型のクライド級が開発されてい
る。
K型輸送船
戦後に地球連邦やジオン公国から技術を吸収した
自由コロニー同盟が総力を挙げて開発した革新的な
超大型貨物船。徹底したモジュラー設計が採用され、
300メートル級のK1型の他により小型のK3型、500
メートル級の巨大タンカー、タイロンまで多種多様な
バリエーションを誇る同盟の輸送船舶、一部は輸出さ
れ、地球連邦などでも使われている。大型で余裕の
ある船体に大出力エンジン、大気圏内航行機能を備
え、さらに地球・木星間を無補給で往復できる航続力
はこの時代の輸送船のデファクト・スタンダードである。
同盟の木星派遣艦隊はこの船を守るための艦隊であ
る。
全長
全幅
全高
重量
乗員
300メートル
65メートル
74メートル
96,000金属トン
36名
ジオン公国軍艦隊
・・・帝国の残照とその後の苦難
0079年の大戦において、コロニー国家の雄として雄
飛したジオン公国軍の諸艦艇は先進性に溢れた物
だった。当時は実験段階だったメガ粒子砲を主砲とし
て積極的に採用したムサイ級を初め、無敵の大型戦
艦グワジン、攻守ともに優れたチベ級の艦隊は大戦
の当初においては数に勝る連邦艦隊の諸艦よりも性
能的に優れており、新兵器モビルスーツの投入も相
まって大戦前半の制宙権確保に多大な貢献をした。
しかし0080年、戦争は敗北に終わり、同年結ばれた
モスクワ講和条約により、ジオン公国軍は存続を許さ
れたものの、新規モビルスーツ開発の中止、所有艦
艇の制限など多くの制約を受けることとなった。
戦後のジオン艦隊は予算不足に加え軍の強大化を
嫌う連邦とマハラジャ政権との板挟みに遭い、およそ
かつてのような勢力は望むべくもなかった。追い詰め
られた軍首脳部は巨大戦艦グワンバンの建造に一縷
の望みを託したが、その他の艦艇といってはほとんど
が旧式艦の改造改良でお茶を濁すことになった。疑
獄事件に発展したジオニック社との癒着もあり、戦時
中の総動員体制の残滓を残した調達システムは開発
と生産の非効率を残したまま存続することにもなった。
0097∼0098年のジオン艦隊はハマーンの改革により、
ようやくそうした暗いトンネルから脱し、新しく、より効
果的な戦力に脱皮する前の過渡期の艦隊である。
戦艦グワバン
戦前から戦争中にかけてジオン公国の象徴として
君臨した超大型宇宙戦艦、その建造にはデギン公王
の強い意志があったと言われる。大戦中に同型艦の
ほとんどが撃沈されているが、戦後はグワバンが木
星艦隊に、砲塔を撤去したガンドワが練習艦としてジ
オン本国艦隊に配備されている。
既に動力性能等、戦艦としては旧式化しているもの
の、グワンバンやグワダン級の練習艦としては適当な
存在であり、また、有事には砲塔を再装備して戦艦と
して出撃することが想定されている。
全長
全幅
全高
重量
乗員
249メートル
169メートル
73メートル
78,054金属トン
3,033名
兵装 450㎜50口径連装砲、180㎜側面砲
艦載機 ザク+タイプ14機
所属 ジオン公国軍
戦艦グワダン
全長
全幅
全高
重量
乗員
281メートル
199メートル
67メートル
98,324金属トン
2,207名
兵装 450㎜50口径連装砲、280㎜単装砲
艦載機 ザク+タイプ26機
所属 ジオン公国軍
グワジン級の設計を流用しているが、グワンバンを
凌ぐ、戦後ジオンの名艦がグワダン級である。分類上
はグワジン級の7番艦以降を指している。外惑星での
任務を考慮し、従来のツィマッド社製エンジンからより
強力なスカニア社(サイド5)製エンジンに換装し、そ
れによって後ろに偏った重心を艦首を延長することで
元に戻している。自動化も進んでおり、旧グワジン級
のおよそ7割の乗員で運用可能である。
本級は外見上やや鈍重な印象を与えるが、実際は
かなり運動性の良い戦艦であり、加速性能や到達速
力はパッチ2型より速いとされている。装甲も厚いた
め、パッチ2型の420㎜砲では同級の撃沈は困難とさ
れている。グワジン級より改良された対ビーム装置と
増加された装甲、そして強力なエンジンと余裕のある
航続力により、0090年代においても有力な戦艦の一
つとしてジオン艦隊の主力として配備され続けている。
重巡洋艦タイタン
全長
全幅
全高
重量
乗員
127メートル
63メートル
65メートル
12,888金属トン
360名
兵装 300㎜45口径3連装砲、180㎜側面砲
艦載機 ザク+タイプ6機
所属 ジオン公国軍
現役のジオン艦隊で最古参の戦艦であるチベ級は
元々はジオン公国以前のジオン共和国の主力戦艦
である。当時は戦艦として建造されており、計画として
はサイド6のカイザー級あたりと比較されるべき艦で
ある。しかし、同級はカイザー級ほど重装甲ではなく、
当時のアストロ計画による外惑星植民地の開拓も視
野に入れた同艦は航続力にも優れた戦艦である。
カイザー級同様、0079年の大戦の開始、またその
後も改装を続けた同級は戦後の外惑星植民地の時
代においてはむしろ設計の先進性が評価され、戦隊
旗艦として新造艦が建造されてもいる。動力性能につ
いては建造時より大幅に改良されており、ほぼ2倍の
出力となっており、未だ第一線級の性能機能を維持し
ているとされる。
タイタンは戦後に建造されたチベ級の一隻で、エン
ジンを戦後型の標準であるスカニア社製SM304に換
装したタイプである。装備等もアップデートされており、
旧式な外見にも関わらず強力な戦闘力を持つ軍艦で
ある。木星艦隊では長らく第一戦闘艦隊の旗艦を務
めており、同艦隊の勇将ハイデルシュタインの乗艦と
して活躍した。木星艦隊の解散後は第2艦隊の護衛
隊旗艦としてタケイ大佐の指揮下にあり、0097年のジ
オン内乱では反乱軍に占拠された首都星に海兵隊を
率いて強行着陸するという荒技も見せた。その後も第
2艦隊の戦艦として活躍し、0101年の戦いにもシュ
ミット艦隊の旗艦として参加している。
軽巡洋艦アルメル
全長
全幅
全高
重量
乗員
95メートル
68メートル
42メートル
2,780金属トン
102名
兵装 280㎜50口径連装砲、60㎜機銃
艦載機 ザクタイプ3機
所属 ジオン公国軍
戦前戦後を通じたジオン軍の象徴がムサイ級であ
る。同級の建造はザビ家が政権を奪取した0070年に
は既に計画があり、ほぼグワジン級と同時期に計画
が開始された。従来の火薬砲やレールキャノンを全
廃し、新兵器であるメガ粒子砲のみのシンプルな武
装の小型戦艦の計画は0076年には1号艦の建造開
始として進められ、0079年の開戦時にはジオン艦隊
はおよそ40隻のムサイ級を擁して1週間戦争を戦っ
た。その後、サイド5やサイド4の占領地でも建造され
るようになり、終戦時までにおよそ400隻が建造され
たと言われているが、戦後まで残ったのは60隻余りで
ある。
戦後は対ビーム装甲が実用化され、メガ砲の戦術
的優位性は消滅したが、両用砲の210㎜砲に換装し
たタイプは戦後ジオンの主力となった。
同級はメガ粒子砲を主兵装とする戦艦であるが、同
時にこの武器による弱点も有していた。すなわち、同
級の兵器は全てエンジン直結型であり、メガ砲の出
力もレールキャノンの射程も全てこれによる制限を受
けた上に、メガ砲のみの搭載を考えて作られた艦体
はスペースの余裕に乏しく、さらに戦後の対ビーム装
置に要する出力から攻撃力そのものも制限を受ける
こととなった。
既に限界が見え、艦としての寿命も尽きた観のある
同級であるが、戦後のジオン艦隊に新鋭艦に更新す
る余裕がなかったことから、現在でもジオン艦隊の主
力艦として用いられている。
要塞空母ドロル
全長
全幅
全高
重量
乗員
328メートル
225メートル
109メートル
501,120金属トン
6,868名
兵装 450㎜50口径連装砲、300㎜副砲ほか多数
艦載機 ザク+タイプ80機
所属 ジオン公国軍
巨大なドロス級空母の計画は軍国主義者らがジオ
ン共和国の実権を握った0070年代に計画された。厚
い装甲に鎧われ、巨大な艦砲と無数のモビルスーツ
で武装した悪魔的スケールの超巨大空母の計画は
軍国主義者らを狂喜乱舞させたが、実際に建造され
たのは戦闘用移動ステーションと言うべき鈍重な艦で
あった。
グワジン級の2倍の火力を持つ主砲と莫大な搭載
能力は戦争末期のア・バオア・クー戦でその威力を見
せつけたが、実際は搭載できる艦載機が足りず、専ら
浮き砲台として使用されたに過ぎなかった。
同級は巨大な戦力を持つものの、空母本来の意義
である機動能力をほとんど有さない艦であり、その存
在意義には疑問を持たれているが、巨大艦好きのジ
オン艦隊上層部の支持により、現在でも3隻が艦隊
に在籍している。艦載機は公称160機だが、艦隊補給
艦や工作艦も兼ねる改造がなされたため、実際に搭
載可能なのは80機程度と言われている。
地球連邦軍制式艦隊
・・・巨大な戦闘力を誇る地球圏の鎮
地球連邦制式艦隊は地球圏では最大の宇宙戦力
である。そのスケールは他国の宇宙艦隊とは別格の
巨大なものであり、また、兵器及び兵員の質において
も一頭地を抜いた存在である。サイド1、サイド4、サ
イド5、グラナダに配備されている艦隊の総数は各々
100隻を超え、第8艦隊1個艦隊だけで、ほぼジオン
艦隊に比肩する戦闘力を持つ。戦前の連邦艦隊は、
およそ40隻程度の艦艇で12個艦隊を編成していたが、
大戦中の第1、第2連合艦隊の編成を機に戦後に
なって解体再編成された。制式艦隊は全体でおよそ
100万人の巨大な軍事組織であり、パッチ2型戦艦と
宇宙空母を主軸とする艦隊は強大な戦力の他、多数
の護衛艦と支援艦艇を備えている。現在は装備の更
新期にあり、戦艦はパッチ2型からデネブ級へ、モビ
ルスーツは『ネモ』から『ジェガン』へと装備替えが進
んでいる。第1艦隊を除けば外地に根拠地を持つこと、
また、規模が巨大なことから、地球連邦軍の艦隊であ
るにも関わらず、アースノイド至上主義はほぼ完全に
払拭されており、同じく100万人近い関係者の半分が
スペースノイドと言われる。各コロニーの駐留地にお
いては多数のスペースノイドを雇用する雇用先として
も重要な存在であり、また、各艦隊とも各々の方法で
現地住民(スペースノイド)との融和を図っていること
は、この艦隊の知られざる一側面を示すこととして特
筆すべきことである。
戦艦アムルタート
全長
全幅
全高
重量
乗員
224メートル
101メートル
77メートル
44,167金属トン
665名
兵装 420㎜40口径連装砲、40㎜バルカン砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
0079年の一年戦争で地球連邦軍の主力艦隊はほ
ぼ壊滅したが、地球に封じ込められた連邦政府は工
業施設を効果的に疎開させると同時に各地で反攻の
ための新鋭戦艦、新兵器の開発と建造を進めた。
0070年代のゴーハム・ウェセックス論争で艦政本部を
追われたウェセックス技師が密かに暖めていたマゼ
ラン級の強化型「パッチ2」もこうして日の目を見たプ
ランの一つであり、ルウムの戦いで連邦艦隊諸艦の
脆弱性が明らかになった中、数少ない生き残りの諸
艦にゴーハムに敗れた彼の設計思想が多く含まれた
艦の比率が高いことを見た参謀本部は反攻の中心と
なる次世代戦艦に彼の案を採用し、ここにマゼランⅡ
ともいえる「パッチ2」の建造計画がスタートした。
アムルタートはパッチ2の初期生産型の1隻であり、
新型エンジンPT-32や40口径の短砲身ではあるもの
のやはり戦前に開発を終了していた新型の420㎜砲
を搭載するなど従来のマゼラン級より格段に強化さ
れた装備が搭載されている。反面、建造を急いだこと
から当時建造中の旧型のコンポーネンツを流用し、
全長もパッチ2型の標準型より短いなどややいびつな
艦になっている。全般的に標準型の7割程度の性能
の艦である。戦後は連邦艦隊に残存していた艦は第
9艦隊の編成時に4隻が流用され、残りは全てティ
ターンズに流れている。アムルタートの他、ジャマイカ
ン艦隊の旗艦レムノスなどがある。
戦艦ヒベリオン
全長
全幅
全高
重量
乗員
253メートル
100メートル
78メートル
45,865金属トン
866名
兵装 420㎜50口径連装砲、150㎜対空砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
ビンソン計画を発動したものの、建造すべき強力な
戦艦のプランが無かった地球連邦は当初は老ウェ
セックスが提出したパッチ2型に既存のマゼラン艦の
コンポーネンツを組み合わせたアムルタートなど8隻
を建造した。しかし、後に本来のタイプの艦を建造す
るようになり、ほぼウェセックスプランに準じた艦とし
て建造されたのがヒベリオンを初めとするパッチ2型
前期型である。レビル将軍の旗艦フェーベの他、ヒベ
リオン、カリスト、スコルピオなど計10隻が建造され、
反攻作戦の主役となった。ソロモン要塞の砲台からの
砲撃も跳ね返す強固な装甲の上、強力な新式420㎜
50口径砲の威力はもはや旧式な要塞を敵としなかっ
た。さらにパッチ2型のヒベリオン、カリストはユーリ・
ヤゾフ少将の指揮の下、ジオンの大戦艦アサルムを
共同して撃沈し、空母ドロスの撃破にも活躍した。サ
イド6が開発した対モビルスーツ用の防空兵器「Tシ
ステム」を初めて装備した艦でもあり、同級に撃墜さ
れたモビルスーツは数知れない。
パッチ2型は全般的に喪失数の少ない艦であるが、
1年戦争ではフェーベがジオンのソーラ・レイ攻撃で、
スコルピオがエルメスの攻撃によって失われている。
戦艦クレスタ
1年戦争の急造艦だったパッチ2型だが、その基本
設計の優秀さから戦後も派生型が建造されるように
なった。クレスタを含むパッチ2中期型はもっとも標準
的なパッチ2で、通例連邦艦隊の宇宙戦艦といえばこ
の艦を指す。
ヒベリオンなど前期型に比べ核融合エンジンが強化
されており、同時に装甲も着脱式のアーマーを採用
するなどより合理的かつ強固な構造になっている。各
艦隊の主力戦艦として多数が連邦艦隊に配備されて
いる。
クレスタは第3艦隊に配備されたパッチ2型で同型
艦アリオン、コロナと共にエウーゴ討伐戦や対クロス
ボーン戦などに出撃して活躍している。
全長
全幅
全高
重量
乗員
252メートル
100メートル
77メートル
48,240金属トン
903名
兵装 420㎜50口径連装砲、Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
戦艦マジェスタ
第3艦隊の旗艦マジェスタはクレスタなどと同じく
パッチ2の中期型の戦艦であるが、旗艦仕様というこ
とで防空火力と装甲が強化されている。同型艦に第5
艦隊旗艦イスタンブール、第8艦隊旗艦ボンベイなど
があるが、デネブ級戦艦の就役と共に艦隊旗艦を降
ろされ、0090年代後期ではマジェスタが唯一のパッチ
2型の艦隊旗艦であった。
マジェスタは猛将モーリス・ルグラン大将の旗艦とし
て各地を転戦し、カラバ、エウーゴ、クロスボーン粉砕
に活躍した。
全長
全幅
全高
重量
乗員
253メートル
100メートル
78メートル
50,065金属トン
1,016名
兵装 420㎜50口径連装砲、Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
戦艦デメトリオス
全長
全幅
全高
重量
乗員
266メートル
100メートル
83メートル
54,586金属トン
904名
兵装 475㎜50口径連装砲、Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
デメトリオスを含むパッチ2最終型5隻は一年戦争
以来20年間建造され続けてきたパッチ2型の最終完
成型である。既にデネブ級戦艦の建造が決まってい
たが、全長がより延長され、主砲に475㎜砲を搭載し
た同艦は中期型の50%増しの攻撃力を持つ艦である。
新型核融合エンジンの搭載と共に装甲も大幅に増強
され、パッチ2型最厚の装甲厚を誇る。また、電子装
備等装備もパッチ2型では最も高性能なものであり、
パッチ2型として初めてグワジン・グワダン級に単艦で
戦える装備となった。いわば最強のパッチ2である。
デメトリオスは第8艦隊、第2戦艦部隊の旗艦であり、
同型艦ベリコーズらと共に同艦隊の中核戦力となっ
ている。0101年の戦いでは老将ゴードン中将の旗艦
として活躍し、カラバ艦隊撃滅や戦艦エイジャックス
包囲戦などでその能力にふさわしい多大の戦果を挙
げている。
重巡洋艦バーヴィック
全長
全幅
全高
重量
乗員
192メートル
120メートル
58メートル
22,579金属トン
450名
兵装 300㎜55口径連装砲、Qシステム
艦載機 GM+タイプ8機
所属 地球連邦軍
このゴテ飾りのバルセロナ級は同級の余りの脆弱
性に業を煮やした制式艦隊(第5艦隊)が従来あった
同級後期型を改造したものである。構造上の脆弱さ
を補うため多数の肋材を継ぎ足して船体を強化し、Q
システムを搭載し、装甲を増加して大型対艦ミサイル
を装備した同級はほとんど戦艦と言って良いほどの
重武装を誇る艦となった。それに伴い重量も7,000トン
以上増大し、もはや別型式の艦と言えるほどに改造
されているが、それでもゴトランド級は上回る運動性
能を維持しているのは同級の基本設計の確かさであ
る。が、それでも運動性は改装前の水準よりはかなり
劣るものになった。
「バーウィック」は連邦第5艦隊に配備されている改
造バルセロナ級のうちの1隻で改造作業はオルドリン
の造船所で行われており、8連ミサイルなどは同盟艦
からの流用である。優れた通信機能から機動部隊の
旗艦として用いられており、制式艦隊の配置変更を
定めた0097年配置要項以降はルナ・ツー艦隊の旗艦
を務めている。
軽巡洋艦チェンマイ
全長
全幅
全高
重量
乗員
148メートル
31メートル
43メートル
5,560金属トン
160名
兵装 6インチ連装砲、8インチ側面砲
艦載機 GM+タイプ3機
所属 地球連邦軍
旧態化したサラミス級とその派生艦に代わる次期護衛艦の
計画は0090年代の配備を前提に0080年代後期から進められ
たが、サイド5出身のエドワーズ・シモンズ技師によるニュー
ポート社の「タイプ1」は0091年に最初の艦が完成した。その後、
艦隊での評価試験を受け、0092年から本格的な実戦配備が
始まったが、同時期に第9艦隊の計画も持ち上がったことから、
初期建造型50隻のうち24隻は同艦隊に配備されることになり、
これがこの艦にとっての不運になった。連邦艦隊の評価試験
でも同艦は格納庫付近の強度不足が指摘されていたが、レダ
の戦いではこの不備を突いた同盟軍により同級は大量に撃破
され、また、同じく構造上の問題による縦方向の強度制限はそ
ういう問題を持たない同盟のタイプ87には対抗しがたいもので
あった。結果、同級は欠陥艦として連邦艦隊から全艦除籍さ
れたが、後に弱点を克服したタイプ2や同時期の他国の護衛
艦の水準に比べると充実した装備を持ち、また、信頼性にも優
れた構造を採用していたタイプ1は完全な駄作とはいいがたい
ものである。
チェンマイは第9艦隊の護衛艦隊旗艦を務めた新型サラミス
級タイプ1の1隻であるが、そのセンサー能力は旗艦アリーガ
ルよりも優れており、また、長期の航海を経たにも関わらず、
ロッキー大佐の指揮の拙劣さを除けば装備も機関もほぼ設計
通りの性能を発揮しており、同艦自体はタイプ87との交戦で破
壊されたものの、捕獲した同級を調査した同盟軍やジオン軍
の関係者はその建造技術の高さに刮目したとされる。艦隊か
ら除籍された同級残存艦の多くはティターンズに流れ、同組織
の主力艦となっている。
軽巡洋艦ボスニア
全長
全幅
全高
重量
乗員
157メートル
34メートル
46メートル
6,220金属トン
114名
兵装 6インチ連装砲、10インチ側面砲
艦載機 GM+タイプ4機
所属 地球連邦軍
旧態化したサラミス級とその派生艦に代わる次期護
衛艦の計画は0090年代の配備を前提に0080年代後
期から進められたが、最初に完成したタイプ1がレダ
星域会戦で大量に撃破されたことにより計画は一時
凍結し、新型サラミスの設計は大幅な見直しを余儀な
くされた。それから3年後、0096年から配備が始まっ
たタイプ2はほぼ連邦艦隊を満足させる性能を示し、
タイプ1の弱点であった格納庫の脆弱性や機動制限
も本級ではほぼ解消されている。それにより0097年
から各艦隊に続々と配備が始まり、最終的には旧型
の改装艦であるゴトランド級に置き換わる予定である。
ボスニアは第3艦隊に配備されたタイプ2の一隻で、
同艦隊の最新鋭艦である。エウーゴのジャブロー進
出作戦の際にはその優れた索敵性能を生かしてエ
ウーゴ艦隊の至近にまで進出し、搭載していたライラ
少佐のモビルスーツ隊はエウーゴの精鋭「クワトロ・
サーカス」相手に互角の戦闘を行った。総合性能の
高い艦であり、連邦艦隊配備艦は文字通りの意味で
護衛艦の「ザ・スタンダード」である。
軽巡洋艦アルバトロス
連邦艦隊の中でも第1艦隊は地球本土を根拠地と
する艦隊であり、宇宙に出撃するには大量の燃料が
必要とされた。新型サラミスの最新型タイプⅣは大気
圏内での飛行性能の良さとタイプ2よりも合理的で強
力な武装とを並立した地球連邦の次々世代護衛艦で
ある。現在は第1艦隊のみに配備されているが、その
性能が良好なため、タイプ2に代わり量産と配備への
動きが進められている。列国の護衛艦クラスでは最
後発に設計された艦のため、その性能は対潜宙艦作
戦も含むあらゆる点において列国のどの艦種よりも
高いと言われる。
全長
全幅
全高
重量
乗員
154メートル
51メートル
52メートル
7,346金属トン
104名
兵装 Qシステム、10インチ連装砲
艦載機 GM+タイプ3機
所属 地球連邦軍
護衛艦ゴトランド
連邦軍の改造サラミス級の第3弾であり、そして最
後の艦であるゴトランド級は1年戦争時に大量建造さ
れたサラミス級の船体を流用して作られた艦隊護衛
艦である。同種の艦としてファランクス級、スパルタン
級などが存在するが、それらの中では最も優れた艦
である。火力はほぼ新型サラミスに拮抗し、モビル
スーツ搭載機能こそ無いものの、優れたセンサー能
力を持ち、艦隊のピケット艦としても重宝する存在で
ある。
難点はやや運動性が低いことであるが、新型サラミ
ス以前の護衛艦のスタンダードとして、制式艦隊を象
徴する艦として配備されている艦である。
全長
全幅
全高
重量
乗員
134メートル
41メートル
45メートル
4,950金属トン
144名
兵装 6インチ連装砲、ミサイルランチャー
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
揚陸艦グレイファントム
一年戦争で多大の戦果を挙げたホワイトベース級
をベースに開発したペガサス級は地球連邦軍の標準
的な揚陸艦である。量産性を考慮してホワイトベース
の設計の多くが簡素化され、装甲等も省かれてより
軽量な艦となったが、その分、運動性や航続力はホ
ワイトベースより勝っている。ほぼ一個旅団の艦隊陸
戦隊を装備一式と共に移送でき、一個戦隊でおよそ
一個師団の移送が可能な同艦は有能な輸送艦であ
る。着底後は前線基地として機能することもでき、砲
撃やミサイルによる火力支援艦としても用いることが
できる万能艦である。
全長
全幅
全高
重量
乗員
177メートル
170メートル
77メートル
34,562金属トン
104名
兵装 510㎜カノン砲、メガ粒子砲
艦載機 GM+タイプ6機
所属 地球連邦軍
旧連邦艦艇
戦艦大国である地球連邦は現用の諸艦艇の他、数
多くの戦艦、護衛艦を就役させている。多くは既に退
役したが、スパルタン級、ファランクス級など少数が現
用艦として在籍している例もある。
戦艦マゼラン
全長
全幅
全高
重量
乗員
188メートル
57メートル
68メートル
28,000金属トン
445名
兵装 360㎜45口径連装砲、4インチ砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
0070年防衛計画で大量に建造された地球連邦軍の
護衛戦艦、同時期に計画されたサラミス級艦隊の旗
艦として建造された。同艦は戦艦と呼称されているも
ののその実は大型のフリゲート艦であり、最初期のも
のはわずか18,000トンの戦艦でしかなかった。その後
改装されてインターナルアーマーを装備し、1年戦争
時にはほぼ3万トンの戦艦となっていたが、本質的な
防御力の低さはルウム会戦でその弱点を露呈した。
また、レールガンによる戦闘主体でビーム兵器に対
する考慮が無かったことと防空火器の不足は新兵器
メガ粒子砲やモビルスーツによる攻撃に対し本級を
無力にした。
大戦後半の反攻作戦でも数の上では連邦艦隊の中
核を占めていた本級であるが、それは戦前にジオン
公国の軍備勃興を受けた建造計画がそのまま続いて
いたものにすぎず、戦後はほとんどの艦が連邦艦隊
から順次除籍され、多くは第3国に輸出され、一部は
標的艦として使用された。
マゼラン級は戦艦と呼称されているが、その実は大
型の護衛艦であり、簡素な構造と量産性と信頼性に
優れ、しかも安価なそのコンポーネンツは流用が容易
なため、その後多くの艦に転用され、0090年代でも同
艦の船体や構造を流用した艦は地球圏の各地で見
ることができる。
戦艦ネプチューン
全長
全幅
全高
重量
乗員
230メートル
50メートル
71メートル
32,000金属トン
780名
兵装 360㎜45口径連装砲、180㎜側面砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
マゼラン級の設計を巡る「ゴーハム・ウェセックス論争」に敗
れた連邦の造船技師ウェセックスは量産が決定したマゼラン
級の脆弱性を攻撃し、その声を無視できなくなった連邦艦政本
部はマゼランのコンポーネンツを用いた戦艦の設計をウェセッ
クスに依頼し、こうして「要塞破壊用」のフレーズで5隻建造さ
れたのがネプチューン級である。マゼラン級の設計を流用して
いるが、被弾経始はより良好で、装甲厚も二倍、前面火力もマ
ゼラン級を凌ぐこの戦艦はジオン軍が立て籠もった宇宙要塞
に対する突貫艦と位置づけられている。その最大の特徴は当
時は装備艦がほとんど無かった対ビームデフレクターの装備
であり、これは一年戦争緒戦において同艦を極めて沈みにく
い戦艦とした。
一週間戦争ではハル提督の旗艦ネプチューンを含む2隻、
ルウム会戦では3隻が失われたネプチューン級だが、同級の
1隻「トーメンター」は大破しつつもサイド5に漂着し、後の同盟
軍となるルウム防衛隊に引き取られて修繕された。大戦中は
ルウム防衛隊のキャサリン・C・マクニール艦長の指揮の下、
ソロモン戦やア・バオア・クー戦に出撃している。
戦後は連邦から同盟に正式に譲渡されたトーメンターはさら
に装備の強化が加えられ、木星派遣艦隊に配備され、レダの
戦いで第9艦隊旗艦アリーガルを沈めるなどの戦果を挙げた。
後にカラバに譲渡され、0101年の戦いでは連合艦隊の総旗艦
としておよそ400隻余の大艦隊の指揮艦となるが、戦いの途中
でモビルアーマーの体当たりを受け大破し、艦はそのまま放
棄された。
その後、サイド6から返還されたトーメンターは記念艦として
武装を無効化した上でやはりサイド5の殊勲艦アントラージュ
の隣に永久保存状態で係留されている。
戦艦アリーガル
全長
全幅
全高
重量
乗員
222メートル
57メートル
91メートル
22,085金属トン
446名
兵装 420㎜40口径連装砲、メガ粒子砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
一週間戦争からルウム会戦に至る一連の戦闘で戦艦の過
半を失った地球連邦は続くジオンの地球侵攻作戦に備えると
同時に軍需工場を各地に疎開させ、艦艇の大量建造計画であ
るビンソン計画を発動したが、同時に問題になったのは主力戦
艦として建造が決定された強力なパッチ2型の他、船台上や
各地の軍需工場で製造中の旧型マゼランのコンポーネントを
どう処理するかであった。サウス・アジア級は建造途上のマゼ
ラン級の船体に新型戦艦の強力なエンジンを組み合わせた戦
時急造艦であり、シンガポールや中国の造船所でおよそ30隻
が建造された。ビンソン計画では最も早く完成した戦艦であり、
電子部品や装備はチベットのラマやウランバートルに疎開して
いた連邦軍軍需工場で製造されている。
あり合わせの部品で急いで設計されたことと工場それ自体
の品質管理のずさんさから、同級は就役後も様々な問題を引
き起こしたが、それでも対ビームシステムを連邦艦ではネプ
チューン級に続き二番目に装備した艦であり、メガ粒子砲や主
砲もアムルタート同型の420㎜短砲身砲を装備するなど、全般
としてはルウム後の戦艦に準じた装備がなされていた。強力
なエンジンによる一撃離脱戦法を得意とする突撃戦艦である。
アリーガルは一年戦争を生き残ったサウス・アジア級の一艦
で、同艦の中では比較的状態が良かったことから、戦後は長
期保管艦としてルナ・ツーに係留されていた。第九艦隊の編成
と同時にキム提督の旗艦として用いられることになり、急遽装
備の増強と電子装置のアップデートが施されたが、結局、これ
らの工事は未成のまま、木星に向けて出撃している。
護衛戦艦ネメシス
全長
全幅
全高
重量
乗員
183メートル
50メートル
61メートル
10,500金属トン
420名
兵装 300㎜45口径3連装砲、メガ粒子砲
艦載機 6機係留可能
所属 地球連邦軍
1年戦争時のルウム会戦で艦艇を大量に喪失した連邦軍は
モビルスーツ大量生産計画であるV計画、艦艇の量産計画で
あるビンソン計画を発動し、脆弱性が明らかになったマゼラン
級の拡大型である「パッチ2」型戦艦の建造を決定した。しかし、
この大型戦艦の建造は予定通りには進まず(結局終戦まで18
隻の就役にとどまった)、急遽リリーフとして従来のマゼラン級
の設計を簡素化し、設計開始後60日で建造が開始されたのが
ネメシス級である。
本級は主力の新型戦艦から敵の目を逸らすため、マゼラン
級に似たシルエットを採用し、装備設備は可能な限り簡素化さ
れた。従来のマゼラン級改良型と異なり、大型戦艦「パッチ2」
用の高出力エンジンを1基のみ装備する。非装甲で単純なライ
ンの船体は「パッチ2」の20分の1のコストと工期で建造可能で
あった。主砲も製造しやすい300㎜砲を採用し、質で劣る部分
を量で補うという考えで大量建造され、多くがマゼラン級の新
型または同級と誤認された。この徹底的に簡素化された「連邦
の新鋭戦艦」の計画につき、ソロモン方面軍のアナベル・ガ
トー少佐から報告を受けた総帥ギレン・ザビは呆れ、「あえて
言おう、カスであると。」と言い、これは後の名演説のコピーに
もなったが、これは真打ちである「パッチ2」型戦艦から敵の目
を逸らすという同級のコンセプトにも合致した逸話である。
1年戦争での喪失も少なくなかったが、同時に多数が生き
残ったネメシス級は簡素な構造の割に優れた火力と扱いやす
さから、多くが他国に売却され、小国では艦隊旗艦を務める例
も少なくない。
軽巡洋艦ミラノ
全長
全幅
全高
重量
乗員
126メートル
36メートル
37メートル
3,500金属トン
126名
兵装 4インチ砲、対空ミサイル
艦載機 GMタイプ3機
所属 地球連邦軍
一年戦争時にマシュマーらが乗艦した標準的なサラ
ミス級。ビンソン計画の企画案に従い、ジェノバの造
船所で建造された同艦は同じく新造された「ベネチ
ア」など同型艦と共に各地に転戦して戦った。ルウム
会戦後の建造であるため、基本設計は70型のサラミ
スを踏襲しているが、新たに対ビーム機構などが搭
載され戦闘力が高められている。
ミラノは第226戦闘部隊の旗艦を務めており、緒戦
のムーア解放作戦からパッチ護衛戦、ソロモン、ア・
バオア・クーの戦いを戦い抜いた殊勲艦である。ア・
バオア・クー戦ではキシリア・ザビのザンジバル級の
脱出阻止、撃沈に活躍したと言われるが、混戦のた
めその真偽は明らかでない。終戦後はルナ・ツーに
係留されたが、損傷が大きく、払い下げにもファランク
ス級やスパルタン級への改装にも適さないと判断さ
れたため、サイド1で解体され除籍されている。
護衛艦ファランクス
全長
全幅
全高
重量
乗員
127メートル
37メートル
37メートル
2,950金属トン
118名
兵装 60㎜バルカン砲、4インチ砲
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
一年戦争後顕在化した装甲した宇宙攻撃機モビル
スーツの出現は艦艇の側にも多くの対策を要求した
が、まず言えることは従来連邦軍が装備してきた対ミ
サイル用の40㎜機銃はモビルスーツを相手にするに
はあまりにも威力不足であるということだった。ファラ
ンクスはモビルスーツの装甲を貫通しうる60㎜バルカ
ン砲を主兵装とする対空護衛艦で、一年戦争中から
戦後にかけて艦隊防空の要として大量に建造された。
その船体はサラミス級のそれをそのまま流用しており、
中には戦時中のサラミスを同級に改造した艦も存在
する。しかし、対空兵装のみで対艦性能が皆無の本
級はより高性能なゴトランド級やスパルタン級の出現
により艦隊からは徐々に除籍されていった。
同級の長所は他にもあり、防空性能に特化して重
装備を外したためにその船体は元になったサラミスよ
りも軽量であり、より自動化が進み乗員数が少なくて
済んだことと、好燃費のPT-28エンジンとの相乗効果
も相まって、0090年代の時点では新型サラミス級を除
けば唯一の木星への往還飛行が可能な護衛艦で
あった。そのため、第9艦隊編成時に各艦隊から掻き
集められ、対戦艦グワダン、トーメンター戦などに投
入されたが、これは間違った用法といえ、同じく配備さ
れた新型サラミス級タイプ1と共に大量撃破されて姿
を消した艦である。地球に残存した同級残存艦はティ
ターンズに流れ、同組織の防空艦となった。
護衛艦スパルタン
全長
全幅
全高
重量
乗員
135メートル
41メートル
38メートル
5,095金属トン
156名
兵装 Tシステム、ユニオンメーザー
艦載機 搭載不可
所属 地球連邦軍
連邦艦の中でも変わり種のスパルタン級は戦後に
連邦軍が独立したばかりのスペースノイド国家各国
に提唱した復興支援艦の計画が端緒となる。すなわ
ち、この計画は一年戦争で大量の余剰が生じたサラ
ミス級を近代化する計画で、この計画にはジオンを除
く主要国全てが賛同し、0080年代後半に最初の艦ス
パルタンがロールアウトした。
その装備はユニークであり、主砲である150㎜長砲
身砲はサイド6ユニコン社の製品であり、機銃である
40㎜砲とエンジンは同盟製、そして射撃管制装置は
サイド4のカノンスパシアル社の製品を用いている。
サイド4ユニオン独自の兵器、ユニオンメーザーを装
備する唯一の外国艦である。しかし、国籍の異なる多
種多様な武器を装備したことによる整備性の低下、そ
して、開発計画の足並みが揃わなかったことによる配
備の遅れは同級にとっては致命的なものになり、結
局、主力護衛艦の座をゴトランド級に奪われ、制式艦
隊での配備は第3艦隊のみにとどまっている。ティ
ターンズ創設の際には除籍予定だった同級の数隻が
同組織に引き取られ、ティターンズ主力艦隊の一翼を
担っている。
ティターンズ艦隊
・・・警察活動に名を借りた悪のテロリスト軍団
軍事組織であるティターンズは連邦軍の所属ではな
く、連邦政府の一部である国家保安局に直属する警
察組織である。実際は連邦議会の急進派の牙城であ
る安全保障委員会が運営を牛耳っており、急進派の
私兵と呼ばれている。国政調査権の一環としての軍
事兵力という性格上、戦力としてはさほど大きくはな
いが、戦闘力は高く、また、独自兵器や戦艦の開発も
行っている。その真の目的はアースノイドによるス
ペースノイド諸国の再統合であり、実態は反スペース
ノイドのテロリスト集団である。スペースノイド自警組
織エウーゴとは仇敵の関係にあり、0095年の最初の
交戦以降、熾烈な戦いを繰り広げている。サイド2に
おいてはエウーゴと対立するクロスボーン・バンガー
ド、パシフィック正統政府を支援し、艦隊を派遣してい
る。その艦艇は概して最新鋭とされているが、制式艦
隊からの払い下げ艦も多くあり、実際の戦闘力は連
邦艦隊の平均より劣るとされている。
第9艦隊はティターンズへの試金石として連邦軍内
部の過激軍人を中心に組織された艦隊であり、艦隊
自体は0093年のレダの戦いでほぼ消滅したが、この
艦隊の編成によりティターンズは連邦軍内部に地歩
を築いた。
重巡洋艦アレキサンドリア
戦争直後の0082年に計画されたバルセロナ級は旧
式化したサラミス級の後継艦として計画された。計画
そのものは頓挫したものの8隻が建造され、うち6隻
が連邦艦隊に在籍している。アレキサンドリアは同級
の初期ロット3隻のうちの1隻で、バルセロナ、ハリオ、
アレキサンドリアのうちの1艦である。同艦はティター
ンズ創設に合わせ第3艦隊から譲渡された艦である。
不用意に大きく、武装も中途半端で使いにくいという
のが連邦艦隊一般の同級に対する評価であるが、遊
撃任務の多いティターンズでは航行性能の良さがむ
しろ評価されており、対艦、対モビルスーツ戦のいず
れをもそつなくこなせる万能艦として重宝されている。
全長
全幅
全高
重量
乗員
196メートル
119メートル
59メートル
15,015金属トン
366名
兵装 300㎜55口径連装砲、680㎜重ミサイル
艦載機 GM+タイプ8機
所属 ティターンズ
エウーゴ艦隊・・・連邦警備隊の下部組織であ
る準軍事組織
ティターンズの横暴に対抗して設立されたエウーゴ
は連邦警備隊の下部組織である。そのため、主たる
幹部は警備隊での階級を持っている。しかし、実際は
警備隊の指揮下を完全に離れた準軍事集団であり、
主導者である連邦議会議員やスポンサー等から成る
本部が組織を統括している。ティターンズとの戦闘か
ら、同組織をテロリスト組織と考える者も少なくないが、
建前はティターンズの活動が合法的に行われている
かどうかを監視する監視団である。同様の組織として
地球には反地球連邦組織カラバがある。エウーゴの
調達システムの詳細は謎に包まれているが、様々な
ルートから戦闘艦艇を入手しており、また、元連邦艦
隊の士官が参画するなど、かなり高い技量で運用さ
れていることが確認されている。なお、組織の出身母
体または同盟者という関係から、連邦警備隊、タイタ
ニア警備隊の諸艦もここで紹介する。
エウーゴ空母
アナハイム・エレクトロニクスがK型輸送船を改造し
たエウーゴの宇宙空母。40機のモビルスーツを艦載
して移動できる。軍艦ではないので攻撃には脆いが
一定程度の自衛火器を備えている。エウーゴのジャ
ブロー作戦にはリューブイヤナ、ウリドラの2隻が参
加した。
全長
全幅
全高
重量
乗員
306メートル
120メートル
74メートル
99,054金属トン
660名
兵装 40㎜バルカン砲
艦載機 GM+タイプ40機
所属 エウーゴ
エウーゴ戦闘空母
アナハイム・エレクトロニクスが除籍された70型マゼ
ラン級を改造したエウーゴの戦艦空母。改造の対象
になった艦がインターナルアーマーを装備していたた
め、格納庫などの増設は行われておらず、艦載機は
全て露天駐機である。10∼15機程度の艦載機を運用
する能力がある。
全長
全幅
全高
重量
乗員
188メートル
57メートル
67メートル
28,647金属トン
450名
兵装 360㎜45口径連装砲、4インチ砲
艦載機 露天搭載10機
所属 エウーゴ
エウーゴ空母巡洋艦
アナハイム・エレクトロニクスが除籍されたサラミス
級を改造したエウーゴの機動巡洋艦。6∼8機程度の
モビルスーツを運用する能力があるが対艦戦闘力は
低い。スパロー、チェイサーなどはこの同型艦である。
全長
全幅
全高
重量
乗員
125メートル
39メートル
37メートル
3,050金属トン
96名
兵装 4インチ砲、ミサイルランチャー
艦載機 露天搭載6機
所属 エウーゴ
戦艦アガメムノン
全長
全幅
全高
重量
乗員
188メートル
57メートル
68メートル
17,795金属トン
380名
兵装 360㎜45口径連装砲、4インチ砲
艦載機 搭載不可
所属 連邦警備隊
戦艦アガメムノンは0090年代では既に貴重な艦で
ある。ゴードン設計の70型マゼランは一年戦争で多く
が失われ、残った艦も多くが解体されたが、戦前に建
造されたアガメムノンはルウム会戦を辛くも生き残り、
その後も一年戦争のほとんどの戦いに参加した艦で
ある。防御力に問題があることは既に指摘されていた
ため、比較的後方での任務が多く、戦闘による損傷も
少なかったこの艦は戦後連邦警備隊に譲渡された。
他の同型艦と異なり、建造以降ほとんどアップデート
がなされなかったため、0090年代では初期型マゼラ
ンの唯一の実働艦となっている。戦闘能力という点で
は巡洋艦クラスだが、連邦警備隊では総旗艦として
用いている。インターナルアーマーが増設されなかっ
たため、本艦は最初期型マゼランの特徴として無装
甲、無防御の艦であるが、その分航行性能などは他
の同型艦より優れており、警備任務にはむしろ適して
いる。
P級フリゲート
地球連邦の標準的な巡視艇であるP級フリゲートは
0060年代に設計され、安価で経済性の高い作りから
連邦警備隊の標準的な巡視船となっている。各自治
国や戦後は各国にも輸出され、0090年代でも改良を
重ねつつ第一線の警備艦として配備されている。
全長
全幅
全高
重量
乗員
86メートル
20メートル
29メートル
780金属トン
56名
兵装 3インチ単装砲、40㎜機銃
艦載機 搭載不可
所属 連邦警備隊
軽巡洋艦マイヨール
一年戦争後期に大量建造されたサラミス級、ミラノ
などモビルスーツ搭載機能を持つ艦と異なり、大量生
産型のタイプBはミサイルによる火力支援艦である。
モビルスーツは艦外への係留のみ可能。
マイヨールは1年戦争に参加したタイプBで、戦後は
連邦警備隊に払い下げられたサラミス級である。土
星管区の旗艦で、同宙域では最大の軍艦である。後
にエウーゴが編成された際には初代エウーゴ艦隊旗
艦となったが、アーガマの就役以降は特務艦として工
作任務や輸送任務に用いられた。0098年に老朽化の
ためグラナダのドックで解体されたが、同艦を指揮し
ていたブレックス・フォーラと彼の部下の乗員である
海上保安官はエウーゴの艦艇運用の中核となった。
全長
全幅
全高
重量
乗員
128メートル
38メートル
37メートル
3,116金属トン
134名
兵装 4インチ砲、ミサイルランチャー
艦載機 2機係留可能
所属 連邦警備隊
巡視船クストー
タイタニア警備隊の旗艦のP級フリゲート。国賓を乗
せることを考慮して船体を大型化し、居住性を向上さ
せた旗艦仕様。0094年のタイタニア戦争で警備隊艦
隊を率いて戦った。
全長
全幅
全高
重量
乗員
94メートル
19メートル
34メートル
1,240トン
82名
兵装 3インチ砲、40㎜機銃
艦載機 搭載不可
所属 タイタニア共和国警備隊
P級フリゲート タイタン仕様
地球連邦が土星のタイタニア共和国のために建造
したP級フリゲートの標準型、タイタニアのナショナル・
カラーである白色に塗装されている。衛星タイタン付
近の巡視活動に用いられていたが、0094年のタイタ
ニア戦争で全艦破壊された。
全長
全幅
全高
重量
乗員
86メートル
22メートル
29メートル
790トン
56名
兵装 3インチ砲、40㎜機銃
艦載機 搭載不可
所属 タイタニア共和国警備隊
ソロモン共和国艦隊
同盟首相リーデルの指示の下、0080年代後期から
進められていた自由コロニー同盟軍の新艦隊計画は
0093年末に木星から帰還したマシュマー提督をチー
フに加え、0098年に完成した。新型艦は0096年に配
備されたタイプ96護衛艦(グレイハウンド級)を皮切り
に、翌年には純国産の大型空母、戦艦、護衛艦が就
役した。0097年のジャブロー事件で紹介されたことに
より、従来艦よりも大型でパワフル、そして高性能な
戦艦の一群は、新生ソロモン艦隊として第3勢力の存
在を強く印象づけることになった。これらの艦艇は独
特のモジュラー設計を採用しており、SM-600系列エ
ンジンを主機とし、信頼性の高い対空防御システム
「Qシステム」を全艦に用いた、完成度と能力の割に
シンプル、そして扱いやすく信頼性の高い軍事力とし
て整備されている。
戦艦ライオン
全長
全幅
全高
重量
乗員
321メートル
80メートル
113メートル
115,685金属トン
645名
兵装 480㎜55口径4連装砲、Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 ソロモン共和国
自由コロニー同盟艦隊から改組した新生ソロモン艦隊の基
幹として建造された大型宇宙戦艦がライオン級である。その仕
様は連邦艦隊の標準的な宇宙戦艦であるマゼラン級(パッチ2
型)は軽く凌ぎ、新型グワジン級はおろかさらに格上のグワン
バン級や当時は建造中であったデネブ級戦艦に対抗しうる戦
艦として建造された。さらに建造途上で先行して就役した主機
であるSM-600系列エンジンを積むタイプ96護衛艦(グレイハウ
ンド級)のデータをフィードバックしており、さらに完成度の高い
戦艦として建造されている。主砲についてはジオンの480㎜砲
をライセンス生産して装備しており、威力の劣る分を数(16門)
装備することでカバーしている。また、ミサイルランチャーはす
べてサイド6の兵器メーカーであるユニコン社設計のQシステ
ムに置き換えられており、固定式のランチャーは装備していな
い。
本級の建造技術は商船建造で培われたサイド5の技術の延
長上にある。その最大の特色は重装甲であり、装甲重量はお
よそ船体重量の45%を占める。運動性については最新鋭艦の
水準を維持しており、また広大なソロモン領を警護するため、
航続力も優れた戦艦である。自動化も徹底しており、同級戦艦
のおよそ半分の人数で操艦可能である。
本級は旗艦として防御力の強化を最優先に設計され、また、
運動性能についても水準以上を求めた結果、モビルスーツの
搭載は見送られている。巨大な艦体は居住性も良好であり、
全乗員に個室スペースが与えられており、現存する最大の艦
砲を持ってしても沈めがたい重防御から、志願制である宇宙
艦隊の乗員の中でも特に人気の高い艦になっている。
大型空母ガルーダ
ライオン級と並ぶ新生ソロモン艦隊の柱がガルーダ
級大型空母である。連邦のペルセウス級を凌ぐ大型
艦として計画され、およそ100機のディアス及びガリバ
ルディの母艦として建造された。
本級は宇宙母艦であるが、高速力の他、対爆撃に
備えた装甲防御も充実したものを持っている。火器は
最小限しか装備していないが、搭載しているディアス
の攻撃力の高さも相俟って広大な宙域で強大な攻撃
力を発動することができる強力な宇宙母艦である。
全長
全幅
全高
重量
乗員
443メートル
169メートル
100メートル
167,243金属トン
4,055名
兵装 Qシステム
艦載機 GM+タイプ100機
所属 ソロモン共和国
巡洋艦グレイハウンド
全長
全幅
全高
重量
乗員
209メートル
52メートル
77メートル
15,245金属トン
280名
兵装 320㎜60口径連装砲、Qシステム
艦載機 GM+タイプ6機
所属 ソロモン共和国
タイプ85、タイプ87型護衛艦の後継艦の共和国軍の
主力護衛艦。比較的大柄の船体を持ち、『レイキャビ
ク』で採用された320㎜速射砲を持つ本級は従来の分
類では重巡洋艦クラスに類別される。戦艦用のSM610型エンジンの派生型であるSM-620型エンジンを
搭載しており、これは610型の6割の出力を持つが、
より簡素な構造で部品も共通なものとして設計されて
いる。
本級は比較的重装備の艦であり、高い機動性に加
え大口径速射砲、対空防御システム「Qシステム」、そ
して6機のガリバルディの艦載という仕様は当時の護
衛艦クラスの艦の中では最も強力なものである。航続
性能も高い本級は就役当初は理想的な艦隊護衛艦
と考えられていたが、0098年のアガスタ派兵計画で2
隻を失い、1隻が大破したことから、防御性能とセン
サー性能に弱さが指摘され、議会で問題となった。
本級は先行して建造されていたタイプ93シーハウン
ドの発展型であるため、一部にやや古い思想、設計
が採用されており、新建艦計画の中ではやや往時の
同盟艦隊の印象を残した艦である。480㎜宇宙ミサイ
ルの装備などにその名残が見られる。
駆逐艦ヘクター
H級と呼ばれるソロモン共和国の新型駆逐艦案は
当初は戦艦、巡洋艦同様一艦種のシンプルな構成で
建造されるはずであった。ヘクター級はプラント社が
設計した新式駆逐艦で、作戦本部の仕様通り、主砲
に新型対空砲のQシステムと主機にグレイハウンド巡
洋艦と共通のSM620Sを備え、モビルスーツの係留能
力と若干の艦載艇の運用能力を持つ艦として建造さ
れたが、その性能は思わしいものではなかった。広大
な領土を持つ共和国はむしろこの種の艦のニーズが
高いが、プラント社の新型駆逐艦は重量化のため全
ての能力において中途半端なものになったとされる。
そのため配備は4隻で打ち切られ、より性能の高い
ハンター級やヘインズ級にバトンタッチしている。0101
年の戦いではマシュマーがサイド6に入国する際にこ
の艦を用いた。
全長
全幅
全高
重量
乗員
146メートル
20メートル
64メートル
6,050金属トン
78名
兵装 Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 ソロモン共和国
駆逐艦ハンター
ヘクター級が当初目標としていた性能を有さないこ
とが明らかになった0098年に、その低性能に業を煮
やしたプラント&キーゼ社が試案として提出し、建造
に漕ぎ着けたH級駆逐艦。フルサイズのSM620を搭
載し、列国護衛艦中最速の運動性とヘクター級に倍
加する強力な火力、そして3倍の威力の680㎜重ミサ
イルを備える速度・ファイアパワー共に優れた艦。ヘ
クター級に代わり艦隊の主力駆逐艦として配備され
た。
全長
全幅
全高
重量
乗員
148メートル
25メートル
59メートル
6,100金属トン
99名
兵装 Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 ソロモン共和国
駆逐艦ヘインズ
0098年にクロスボーンが展開し、商船攻撃に用いら
れた潜宙艦は列国中にはサイド4ユニオンのエーグ
ル級以外対抗艦が無かったが、そのユニオンの技術
協力を得て、ハンター級の設計を参考に98年に急造
されたのがヘインズ級である。対潜モビルスーツを作
戦させるため、共和国の駆逐艦では唯一モビルスー
ツの格納能力を持つ。火力はハンター級に劣り、エン
ジンもヘクター級と同じ620Sに戻されたが、総合的な
バランスは優れており、同じく万能型の護衛艦である
タイプ85の後継艦としてハンター級より多数が艦隊に
配備された。
全長
全幅
全高
重量
乗員
160メートル
36メートル
66メートル
5,750金属トン
108名
兵装 Qシステム
艦載機 露天搭載4機
所属 ソロモン共和国
サイド4ユニオン艦隊
・・・独自技術が光る先進の艦隊
ユニオン防衛隊
ラグランジュⅣ、サイド4に根拠地を持つユニオンは独
自の非戦主義と平和主義を掲げる専守防衛国家である。
0086年に制定されたユニオン基本法は第9条で一切の戦
力の放棄を唄っているが戦力に該当しない自衛力の存在
は認められており、また、解釈の変遷により、兵器輸出や
核兵器の装備も認められている。その装備は当初は連邦
艦隊からの払い下げ品を用いていたが、国内に有力な兵
器メーカー、バゼーヌ社とジャン・オクタヴィアン社を持つ
こと、また、技術レベルの高さから徐々に国産化を進め、
現在ではほぼ完全な艦艇の国産能力を持っている。大型
艦も多く、ほとんどが最新鋭艦であり、その戦闘能力は侮
れないものを持っている。
サイド4ユニオンの前身は連邦領ムーア自治州であ
る。戦前から有力な宇宙港であるロンドベルを持ち、
連邦艦隊が駐留していた同コロニーは0079年にジオ
ンの攻撃を受け、コロニーアルンヘムの全滅など大き
な被害を受けた。首府星であるヌーベル・パリは占領
され、州軍はジオン軍に組み込まれたが、州兵の一
部は自発的にレジスタンス運動に参加し、連邦軍に
属していたムーア出身者はジオン軍相手の戦闘で勇
敢に戦った。戦後は連邦の強力な後押しの下で復興
が進み、0086年に連邦の賛助を得て独立したのがサ
イド4ユニオンであり、サイド4宙域最大の独立国家で
ある。この成立にはコロニー国家の独立傾向を直視
した連邦議会の中道派の意向が強くあったと言われ
ている。戦争放棄の国是から戦力としての軍隊の存
在は認められておらず、国防軍は防衛隊、戦艦は自
衛艦と呼ばれている。現実には、艦隊の戦闘能力は
コロニー国家中トップクラスの水準にあり、兵器輸出
を行い、核兵器も持つことから、これはあくまで建前
に過ぎないというのが国際社会一般の見方である。
戦艦ペテルブルク
全長
全幅
全高
重量
乗員
322メートル
133メートル
132メートル
121,875金属トン
1,555名
兵装 380㎜60口径ユニオン砲、ユニオンNミサイル
艦載機 搭載不可
所属 サイド4ユニオン
三胴船体の優美で独特な外観を持つペテルブルク級はサイド4ユ
ニオンの最新鋭艦であり、同国では「大型自衛艦」に分類される。非
戦主義と平和主義を唱える同国においてはいわゆる通常の形態の
軍隊の存在は否定されており、ユニオン艦隊も建前上はユニオン警
察と同じ警察軍である警察予備隊である。が、その仕様と武装は警
察戦力の枠を大きく越えたものである。
ペテルブルク級は連邦からの払い下げ艦であるナポレオン級の後
継艦のユニオン艦隊の主力戦艦として第3次国防計画(0093年)に
計画が具体化され、0096年に1番艦『ペテルブルク』が完成した。同
国初の10万トン級戦艦であり、ナポレオン級に比べおよそ2倍の攻
撃力を持つ同級の建造は、ほとんどがエコール・シュパティエール造
船大学等によるユニオン国産技術によって行われた。そのため、当
時流行の装備であったハイパーメガ粒子砲(ユニオンビーム砲)の
搭載は見送られ、代わりに戦略兵器である核弾頭ミサイル『ユニオ
ンN』48発が搭載されている。1発26メガトンのこの熱核兵器は中規
模なコロニー国家なら1隻で灰燼に帰するほどのもので、これは隣
接するサイド2地域、特にクロスボーン、オーブル反政府軍を睨んだ
抑止力として搭載されている。
同級の建造は領内に根拠地を持つ連邦第3艦隊との妥協の産物
でもあり、主砲はユニオン国産の380㎜砲が採用されている。これは
連邦艦隊の主兵装である420㎜砲に譲ったものであるが、24門が装
備されており、特に最新の60口径砲の能力は連邦420㎜に勝ると言
われているが、最新鋭艦としては威力不足は否めないものである。
対空火器については全てユニオン製であり、当時のデフォルトで
あったユニコンQシステムは採用されていない。また、エンジンは国
産の「ユニオン・ドライブ」5基を搭載しているが、出力の都合上同盟
プラント社製のSM-570S(後、SM-620Sに換装)も搭載している。同
級は4隻の建造が予定されていたが、0096年の「バナナ政変」で計
画が一時凍結され、その後に建造が再開されたため建造のペース
は遅れており、全艦就役は0100年以降になるだろうと言われている。
単艦としては攻防のバランスの取れた良艦だが、同時期の他国の
大型戦艦と比べるとやや非力とされる。
砲艦アキテーヌ
全長
全幅
全高
重量
乗員
250メートル
57メートル
90メートル
50,548金属トン
556名
兵装 380㎜45口径ユニオン砲、ユニオンビーム砲
艦載機 搭載不可
所属 サイド4ユニオン
洗練された形状を持つアキテーヌ級は0097年の
「ショコラの乱」で政権に返り咲いた主席代表ミシュラ
ンがソロモン共和国との軍事技術交流の一環として
建造を決めた砲艦である。それまでの独自技術一辺
倒の姿勢を改め、他国の有用な技術を織り込みつつ、
国内最大の造船メーカー、バゼーヌ社の造船所で建
造された戦艦は準戦艦ともいうべき艦であるが、ユニ
オンの婉曲表現では「支援自衛艦」と位置づけられて
いる。設計から建造までの期間はごく短く、0098年に
は2隻が完成している。
本級はユニオン初のハイパーメガ粒子砲(ユニオン
ビーム砲)搭載艦であり、これはソロモン共和国スカ
ニア社の技術を応用したものである。エンジンは同国
の戦艦ライオンと同じSM-610型だが、燃料ポンプ等、
搭載に合わせた改造が施され、出力も向上させてい
る。軽量な船体と有り余る出力により2,000万MWの大
出力攻撃が可能である。また、ユニコン社Qシステム
も採用されている。
同級は対空・対艦共に優れた性能を有しており、ま
た、思いの外快速であることから、連邦第3艦隊との
合同演習インディアン・リバーでは良好な射爆成績を
残している。同級の1隻、ポワトシャラントはユニオン
艦隊最優秀の戦艦として、0098年演習では同国初の
バトル・スター記章受章艦となっている。
駆逐艦エーグル
全長
全幅
全高
重量
乗員
147メートル
63メートル
72メートル
6,620金属トン
206名
兵装 280㎜60口径単装砲、Qシステム
艦載機 露天搭載6機
所属 サイド4ユニオン
「ショコラの乱」とその後の総選挙で主席代表ミシュ
ランが返り咲いた後の第4.5次国防計画で大量建造さ
れたユニオンの主力護衛艦。0090年代最優秀の護衛
艦の一つであり、その性能機能はソロモン共和国の
H級を凌ぐと言われている。特に優れているのは当時
は対策艦がほとんど無かった対潜宙艦作戦機能であ
り、静粛性の高い「ユニオン・ドライブ」と大型の重力
子ソナーにより従来艦よりも遥かに高い精度で潜宙
艦の位置を特定し、攻撃することが可能な対潜護衛
艦である。
また、攻撃力もジオンの『エンドラ級』、『ザッケンル
クス級』と同等の280㎜60口径砲を備える同級は重巡
クラスとも渡り合える強力な戦闘艦である。この280㎜
砲についてはジオンの技術というのが専らの噂であり、
その入手経路については、ジオンでは軍務省・帝国
議会を揺るがすスキャンダルに発展している。
Qシステムや280㎜砲の採用など、同艦の建造には
従来のユニオン国産技術に囚われない姿勢が随所
に見られ、これは主席代表ミシュランによる有識者の
集まりである、行政府技術調達委員会の成果とされ
る。
サイド6フォルティナ連邦艦隊
サイド6軍の解説
1年戦争時においては、サイド6軍は連邦等から買い入れたマゼラ
ン級やサラミス級の諸艦艇も運用していたが、現在は純国産の打撃
巡洋艦アウリア級とカイザー級、そして護送空母マルセル級を中心
とした少数精鋭の艦隊となっている。これらはほとんどが1年戦争前
後の建造であり、艦令20年を越える艦も少なくない。これらは徐々に
装備を近代化して第一線級の性能を維持しているとされるが、特殊
なラブレーヌ宙域以外での性能には疑問も持たれている。徹底した
連邦制国家のため、中央政府と常備軍の強大化を嫌う独特の国民
性もある。混濁した暗礁宙域での操艦性を考慮し、各艦艇の大きさ
は比較的小型であり、かつ、船体は非常に頑丈に作られている。さら
に対空防御システムQシステムや回転式マルチミサイルシステム、グ
ワンバン級出現以前は最大口径の艦載砲『ブリッツ525』、陽電子壊
滅砲プラフマー・ストラといった独特の装備に特色がある。また、艦
艇以外では独特の大型モビルアーマー『アプザラス』も開発している。
ハマーン暗殺未遂事件に便乗した連邦大統領バン
カーの前に立ち塞がったスペースノイド2国のうちの
一つ、サイド6フォルティナ連邦は戦前から中立を維
持していたサイド6が発展したものである。中立を堅
持するため、領内に独自の要塞宙域ラブレーヌを持
ち、国民皆兵制度による民兵を基礎とした独自の防
衛体制で国土を防衛している。フォルティナ艦隊は民
兵中心のフォルティナ軍の中で唯一の常備兵力であ
り、かつ、唯一の機動兵力である。その隻数は多くは
ないが、その戦闘技術は高く、0079年の第1次ラブ
レーヌ会戦(図1)において、1週間戦争以降、連邦軍
が次々と敗退を続ける中、ほぼ2倍のジオン公国軍、
サハリン少将の艦隊を迎え撃ち、完膚無きまでに敗
退に追い込んでいる。艦隊司令官はイザーク・アミエ
バ提督(0097年)、フィリップ・ブライトナー提督(0101
年)。
装甲艦アウリア
全長
全幅
全高
重量
乗員
211メートル
88メートル
56メートル
38,465金属トン
368名
兵装 525㎜電磁砲、陽電子壊滅砲プラフマー・ストラ
艦載機 搭載不可
所属 サイド6連邦
現在のフォルティナ艦隊の旗艦ベルンも含む74年式装甲艦
は1年戦争以前の古い戦艦である。これはさらに古い艦である
60式装甲艦(カイザー級)の設計を改良したものである。カイ
ザー級同様525㎜砲を装備しており、当時において極秘扱い
だったジオンのグワジン級戦艦に対抗できる唯一の戦艦で
あった。0078年の戦いにおいては防衛隊総司令官アレクセイ・
ニコマコス将軍の片腕であるエフゲニー・プリマコフ提督の座
乗艦であり、提督の旗艦クレ・ドラ・ネージュは僚艦と共にサイ
ド6防衛戦の山場であるラブレーヌ会戦でサハリンの旗艦ヘパ
イスコスを撃破したが、これは一年戦争初のグワジン級の撃
沈である。サハリンの戦死とヘパイスコスの喪失により、以後、
ジオンはサイド6から手を引いた。
戦後はサイド6軍の兵器の通例に洩れず地道に改良がなさ
れ、数次の改装を経たが、最大の物は0094年の同盟プラント
社製SM-570エンジンへの換装と当時は各国とも実験段階だっ
た高出力メガ粒子砲プラフマー・ストラの装備である。この改装
プランには勃興する自由コロニー同盟との関係を重視した大
統領ニコマコスの判断があったと言われる。
本級はその装備と能力を考えれば戦艦と言うべき艦である
が、フォルティナ本国の見解はあくまで『装甲艦』であり、対外
的には巡洋艦である。低い索敵性能を基地からのレーザー通
信回線でカバーするなど、サイド6での戦闘に特化した仕様の
本級は特殊なものであり、継戦能力、航続能力も高くないため、
同地以外での作戦には適さないとされている。
本級は旧式化したカイザー級に代わる主力艦として計画され
たが、同級の能力が十分と判断されたため、50隻建造の予定
が20隻で打ち切られた経緯がある。
装甲艦カイザー
全長
全幅
全高
重量
乗員
166メートル
108メートル
53メートル
20,758金属トン
202名
兵装 525㎜単装砲、Qシステム
艦載機 搭載不可
所属 サイド6連邦
常備軍の強大化を嫌うフォルティナの国民性におい
て、一年戦争から20年も前に設計されたカイザー級
は今なお現役艦である。が、その中身は長足の進歩
を遂げており、現在でも十分通用する性能を有してい
る。強固な船体と一年戦争時に搭載された強力な525
㎜砲を持ち、フォルティナ軍の基幹兵力を形成してい
る。
同級のエンジンは旧型マゼラン級用のPW-215であ
り、このエンジンは連邦のホイットニー社から直接供
給された(後、プラント社がライセンス生産)。国内に
有力な造機メーカーを持たないサイド6においては、
これは常套的な手法であり、次世代艦のアウリア級も
同様の手法で設計されている。
独自の要素が多すぎ、他国との共同作戦には適さ
ないとされるサイド6艦だが、0097年において同級を
含む艦隊がサイド3でソロモン共和国軍との共同作
戦を行い、連邦艦隊を牽制し得たことは同国軍を知る
各国の軍事関係者を驚かせた。
あとがき
“An another tale of Z”に登場するメカニックは船ばかりではありません。ま
だまだご紹介していない艦船もありますし、モビルスーツやメカもあります。
船については例えば戦艦アーガマなど比較的登場頻度が高い割に未デザイ
ンという船もありますし、そういった船については追ってデザインを考えたい
と思います。こういったものはただ鑑賞してもそれなりに面白いと思いますし、
最近は販売されている3Dの背景ソフトを使って独自の世界やジオラマを作
ることもできるでしょう。
著作権については、当方は原則フリーとしたいと思います。ただ、販売され
ているデータを用いてインタラクティブなゲームを作る場合だけは対処させて
いただきますが、その他の用途については(例えばポスターを作るとか)は利
用者の自由としたいと思います。
ただ、作品の性格上、モデルの中には原作品の「機動戦士ガンダム、Zガ
ンダム」に類似した形状の船もあります。実はムサイ艦、グワジン艦一つを
取っても、そもそもオフィシャルの絵からして原案、ゲーム、プラモデルの形
状がまちまちで、ここにあるモデルも、それらと引き比べて良く見れば「似ても
似つかない」形なのですが、全体的なイメージとして類似しているとは言えま
すし、この場合はむしろ「似ていなければ困る」的な船でもあります。中には
「MSイグルー」に出てくるグワジン級よりはここのモデルのグワジン級の方
がよほど「らしい」という船さえあります。
実はこの辺、細かいところを争えば筆者は説得できる理由はあります。何
せオフィシャルとは説明それ自体が(設定されている大きさは特に)まるで違
いますから、しかし、悪用の危惧がないわけでもなく、そのあたりは購入者
個々の良識にお任せするということになるでしょう。実はこれらのモデルには
「オフィシャル」と同じ大きさにしたら、「やはりいろいろおかしい」ところが出る
はずで、筆者は分かっていますが、これらのモデルの絵はやはり“An
another tale of Z”の世界の情景で説明するのが、実はいちばん筋が通りま
すし、見栄えも良いでしょう。
著作者 小林 昭人 [email protected]
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