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Google Form を利用したオンライン小テストシステム

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Google Form を利用したオンライン小テストシステム
Google Form を利用したオンライン小テストシステム
堤 豊・熊本学園大学
熊本市中央区大江 2-5-1,
[email protected]
ルである。回答には回答者を特定するための情報は
付随しない。これを解決するためには、有料のオプ
ションを利用する方法や、アンケート項目に方法が
考えられる。しかし、この方法では、番号を間違っ
て入力し本人特定ができなくなることや、
「代返」が
できてしまう、などの問題があり解決策とはならな
い。有料オプションを利用する方法では、学生一人
一人に Gmail のアドレスを取得させ、ログインさせ
るという手間が生じ、学籍番号との対比も難しくな
る(Gmail アドレスを学籍番号にすれば解決できる
が)。このようなことから、自動的に回答の中に学籍
番号が埋め込まれるような仕組みが望まれる。
表現力の点から考えてみると、Google Form では
TEXT, PARAGRAPH TEXT, MULTIPLE CHOICE, CHECK
BOXES, CHOOSE FROM A LIST, SCALE, GRID の 7 種類
のアンケートパターンが利用できるが、小テストに
転用するに当たっては、表現力が不足していること
は否めない。
以上のことを実現するには、Google Form で作成
されたアンケートを小テスト形式に変換するツール
が必要であると考え作成した。
1.はじめに
大学において e-Learning の実践は喫緊の課題で
ある。LMS が運用されている大学においては LMS 上
に教材やテスト問題などを作成し、簡単に管理し結
果も集計できるのだが、そうでない場合には、教員
が個人でサーバを管理し、LMS を導入し、履修学生
の情報など初期データを準備しないといけない、な
どかなりハードルが高くなってしまう。
私情協の調査 [私情協 2011]によると、大学教員の
36%が、教育効果を高めるための改善策として、小
テスト等で学びの確認を頻繁に行う必要があると回
答している。教材提示のみの電子化ならば、資料を
オンライン・ストレージや共有ディスクなど、学生
がアクセス可能な場所に格納しておけばよいが、小
テストではそれなりのシステムが必要となる。
筆者が着目したのは、Google Form である。Google
Form は、Google が提供するクラウド方式のアンケー
ト作成・集計ツールであり、アンケート作成者が
Google アカウント(Gmail アドレス)さえ持っていれ
ば、web 上で簡単にアンケートを作成し、配信する
ことができる。アンケート回答者はアカウントも必
要なく、web 上で回答し送信する。集計はリアルタ
イムで作成者の Google ドライブに入り、データは表
計算のシートとして 1 データ1行で構成され、また
簡単にグラフ化できるのが大きな特徴となっている。
本稿では、Google Form をオンライン小テストに
応用するために筆者が開発した変換ツールとそれを
利用した小テスト環境につい
て説明する。
4.変換ツールの詳細
4.1 仕組みと構成
システム構成は図 1 に示すように、変換サーバ上
に構築された変換プログラムと小テスト用 WEB サー
バから成り立っている。変換プログラムは、Google
小テスト回答
の送信⑦
2.Google Form の特徴
Google Form の特徴は、
(1) 無料
(2) ブラウザで回答可能
(3) 回答にアカウントは不要
(4) アンケート作成が容易
(5) 結果の集計が簡単
等が挙げられる。このため、本
格的な LMS を導入していない
教育現場で手軽に利用できる。
3.変換ツールの必要性
Google Form は前述のように
アンケート実施のためのツー
公益社団法人 私立大学情報教育協会
平成24年度 教育改革ICT戦略大会
小テスト形式で
表示⑥
変換サーバ
学生ユーザ
登録②
教員ユーザ
登録①
変換コマンド
の実行④
Google Formで
小テスト作成③
変換後のURLを
提示⑤
図1
システム構成
Google Formで
集計結果表示⑧
Form で作成したアンケート形式のテストの URL を受
け取り、小テスト形式に変換し、小テスト用 WEB サ
ーバ領域上に保存する。
4.2 利用手順
以下、図 1 に沿って利用手順を説明する。
① 変換サーバの利用登録を行う。教員ユーザはサ
ーバ内に専用ディレクトリが作成され、利用学
生の登録、小テストの変換・公開が可能となる。
② 学生は教員ディレクトリ内に自分で氏名、ID、
パスワードを登録するか、もしくは教員が一括
して登録する。ID、パスワードを入力しないと、
該当する小テストは表示されない。
③ 教員は、Google のアカウントで Google Form を
利用して小テストを作成する。このとき、入力
フォームに指定されたキーワードを入れておく
ことで、小テスト独特の形式に後で変換される。
④ サーバにアクセスし、Google Form の URL を指定
することで、③のアンケート形式が小テスト形
式に変換される。変換される項目の詳細につい
ては、次節で述べる。変換された小テストは変
換サーバ内の教員ディレクトリに保存される。
⑤ 小テストアドレスとして、④の変換後の URL を
提示し、テストを実施する。
⑥ 学生が⑤の URL にアクセスすると、サーバから
小テスト形式で表示される。学生のユーザ名、
ID、IP アドレスなどは、画面には表示されない。
⑦ 送信ボタンを押すと、Google のサイトに結果は
送られ、自動的にリアルタイムで集計される。
⑧ 教員が集計結果を参照するときは、Google ドラ
イブ内の Google Form をブラウザで開けばよい。
4.3 変換の詳細
(1) 氏名、ID、IP アドレスの付加
アンケートを小テストとして利用する場合に欠か
せないのが、氏名、ID(学籍番号)、IP アドレスであ
る。これらは問題作成時に特定のキーワードを入れ
ておくことで、学生が回答する場合に自動で挿入さ
れる。また、回答時刻は、Google Form
の標準機能として含まれているため、誰
が、いつ、どこで回答したかが一目で分
かる。これにより、他教室からの送信や
学籍番号の入力ミスなどを防ぐことが
できる。(図 2 参照)
(2) HTML タグの挿入
Google Form の質問文中に HTML タグを
挿入することで、表現力を高める機能で
ある。特に、図を挿入したい場合や、他
の URL を参照させたい場合に便利である。
(図 2 参照)
図2
公益社団法人 私立大学情報教育協会
平成24年度 教育改革ICT戦略大会
(3) テスト形式の追加
(3-1)穴埋め問題
1つの問題に対して複数の単語入力を要求する問
題(図 2 参照)
(3-2)順序入替え問題
英語の語順などを尋ねる問題。マウスで語順を入
れ替えられるように工夫した。
5.授業での利用と考察
5.1 概要
筆者が担当するネットワーク論において実験的に
利用した。パソコン室で行っており、受講生は商学
部 3 年生以上 55 名である。初回のみユーザ登録が必
要であり、初回欠席した学生は 2 回目にユーザ登録
を行ったが、特に混乱もなく登録したが、数名、パ
スワードを忘れてしまった学生もいた。
5.2 実施に当たって
毎回、小テストを作成し実施したが、プリント作
成と同程度の簡便さで作成でき、印刷不要で学生も
楽しくテストが受けられたと高評価であった。
5.3 LMS との比較
手軽というのが最大の利点である。LMS では一般
的な、自動採点、スケジュールされた問題提示、ポ
ートフォリオなどの機能は一切ない。しかし、授業
のすべてを e-Learning 化する必要がなく、準備に最
小の手間で済ませたい場合には有力な選択肢になる
と考えられる。
5.4 セキュリティ
学生のテスト結果が Google のクラウド上に保存
されることになるため、その点での懸念は強い。今
後は、データを暗号化するなど検討すべきかもしれ
ないが、そうすると簡便性が失われるというジレン
マになる。
参考文献[私情協 2011]「私立大学教員の授業改善白
書(平成 22 年度調査)」私立大学情報教育協会,2011
謝辞 本研究は JSPS 科研費 24520596 の助成を受け
たものである
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