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仮想インピーダンス壁を用いた移動台車とマニピュレータの協調制御手法

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仮想インピーダンス壁を用いた移動台車とマニピュレータの協調制御手法
仮想インピーダンス壁を用いた移動台車とマニピュレータの協調制御手法
⃝田窪 朋仁(筑波大学) 荒井 裕彦(産総研) 谷江 和雄(産総研)
Control of Mobile Manipulator Using Virtual Impedance Wall
*Tomohito TAKUBO, University of Tsukuba,
Hirohiko ARAI, Kazuo TANIE, Intelligent Systems Institute, AIST
A b stra ct: In this paper, we present a control method for mobile manipulator. We have proposed a
control method that the mobile base moves, when the tip position of manipulator goes beyond the
user-defined preferred operating region. However, this method cannot rotate the mobile base to the
preferable orientation for the manipulability. To solve this problem, we propose a method applying the
virtual impedance wall fixed in the hand frame. If this impedance wall struck with mobile base, the
mobile base turns by the reflect force caused by the virtual impedance and guarantees the manipulability.
Simulation result shows effectiveness of the proposed scheme.
Key Words : Human-Robot Cooperative Handling, Virtual Impedance Wall, Mobile Manipulator
Safety Region
w.r.t Tip Position
1 .は じ め に
我々は ,人とロ ボットに よる物体 の協調運 搬手法と し
て,ロボ ット側の 挙動に仮 想的な非 ホロノミ ック拘束 を
与える手法を提案 している[1]-[2].しか し,これまで用 い
Safety Region
Vehicle
てきたマ ニピュレ ータは床 面に固定 されてい るため作 業
Ob
領域が限 定されて いる.ア シスト装 置の実用 を考えた 場
Work Space
l
合,固定 型で扱う より移動 機構を取 り付ける ことで作 業
領域は人 と同一空 間に拡張 され,よ り実用的 な物にな る
と考えら れる.そ こで,こ れまで研 究してき た実験装 置
x
に移動機 構を取り 付け作業 領域の拡 大を図る ため,移 動
Ls
台車とマニピュレータの協調制御手法の検討を行う.
本報で は,マニ ピュレー タの安定 性を考慮 した作業 領
域を仮想 インピー ダンス壁 で囲み込 み,その 作業領域 を
越えると き移動台 車が作業 領域を補 償するよ うに移動 す
る手法[3]を提案す る.さら に,マニ ピュレー タの姿勢 変
化による 可操作性 の悪化を 防ぐため ,マニピ ュレータ 手
先座標系 に固定し た仮想イ ンピーダ ンス壁を 考え,そ の
反力によ り移動台 車を受動 的に旋回 させる手 法の提案 を
行う.
Preferred Operating
Region
Fig.1 Safety Region.
レータの 動きに フィード バック し,操作 者はそ の反力 を
感じるこ とでマ ニピュレ ータの 先端が作 業領域 を越え よ
うとして いるこ とを認識 する. その反力 にさら に逆ら う
形で操作者が力を加えた場合,制御モードが切り替わり,
移動台車 はマニ ピュレー タと仮 想的なバ ネ・ダ ンパで 繋
がれた状態になり,その力により移動台車はマニピュレー
タの動きに追従し作業領域の補償を行う.
2 .移 動 台 車 と マ ニ ピ ュ レ ー タ の 協 調 制 御
移動台 車とマ ニピュレ ータの 協調制御 モード 時の制 御
本章で は,移動 台車とマ ニピュレ ータの協 調制御に つ
概念をFig.2に 示す.移動 台車とマ ニピュレー タにそれ ぞ
いて述べ る.これ まで,移 動台車と マニピュ レータの 協
れ仮想的 な質量 を与え, その質 量同士を 仮想的 なバネ ・
調制御に は転倒防 止を考え た定重心 制御[4]や 可操作性 維
ダンパで 繋げる ことによ り,マ ニピュレ ータと 台車の 連
持[5]のた めに移動 台車を常 に安定な 位置へ移 動させる 手
動した動きを実現させる.マニピュレータ先端の動きは,
法の提案 がされて いる.し かし,こ れらの手 法をアシ ス
手首に取り付 けてある力セ ンサが計測し た値 FS に対し て
ト装置に 適用した 場合,常 に移動し 続けるこ とによる エ
次式を満たすインピーダンス特性で制御する.
ネルギ消 費の無駄 や操作者 に対する 心的負担 の増加等 の
M h ˙˙
x h + D h x˙ h + D bh ∆R˙ bh + K bh ∆Rbh = FS
(1)
問題が考 えられる .そこで 我々は, ロボット アーム先 端
移動台車はマニピュレータが動くことにより伝わるバネ・
の位置に 対して仮 想的なイ ンピーダ ンス壁で 囲まれた 作
ダンパの 力に対 し以下の インピ ーダンス 特性を 満たす よ
業領域を設定する手法を提案する(Fig.1).この手法では,
うに平面内を移動する.
不必要な 移動台車 の動きを 最小限に 抑える為 ,マニピ ュ
(2)
M b ˙˙
x b + D b x˙ b + D bh ∆R˙ bh + K bh ∆Rbh = 0
M
M
D
D
D
ここで, h , b は慣性 行列, h , b , bh は 粘性行列 ,
K bh は剛 性行列 , ˙ẋ h , ˙ẋ b は加 速度ベ クトル , ẋ h , ẋ b は速 度
ベクトル , ∆Rbh , ∆Ṙbh はマニピ ュレータ と移動台 車間距 離
レータの みが移動 可能な領 域とマニ ピュレー タと移動 台
車が連動 して動く 領域の2 つに分割 する.マ ニピュレ ー
タだけで 作業でき る領域は 重心計算 による転 倒防止や 可
操作性を 考慮して 設計者が 任意に定 める.マ ニピュレ ー
の変位と速 度,添字 のbは移 動台車, hはマニ ピュレー タ
タの先端 がこの作 業領域を 越えよう としたと き,仮想 的
を表す.
なインピーダンス壁のバネ・ダンパの力をマニピュ
Human Appling Force
触したと きの旋 回運動は ,その 時点での マニピ ュレー タ
と移動台 車回転 中心間距 離 R を 維持して マニピ ュレー タ
Object
MO
Robot
Hand
R
Dbh
Mobile
Base
Force Sensor
Mh Dh
θ
Kbh
Mb Db
Mobile Manipulator
手先部を 中心と した回転 をさせ る.仮想 壁と移 動台車 と
の接触力を Fw ,移動台車の回転角速度を θ̇ b とした時, 次
式を満たすインピーダンス制御を行う.
M b ˙˙
x b + D b x˙ b = Fw
(3)
˙
(4)
θ b = x˙ b / R
ただし ,ベク トル ˙ẋ h , ẋ h の 向きは マニピ ュレー タ手先 と
移動台車回転中心を結ぶ線の法線方向とする.
4 .シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
前章で 提案し た制御手 法の有 効性をシ ミュレ ータ上 で
Fig.2 Mobiel Manipulator Coordination.
AA
AAAAA
AA
AAAAA
AA
AAAAA
AA
AAAAA
AA
AAAAA
AA
AA
AAAAAA
AAAAA
AAAAAAAA
AAAAAA
AAAAAAAA
AAAAA
AAAAAA AAAAAAAA
AAAAA
AAAAAAAA
AAAAAAAA
AAAAAA
AAAAAAAA
AAAAAA AAAAA
AAAAA
Virtual Impedance Wall
fixed in Hand Frame
確 認 す る . 今 回 用 い る シ ミ ュ レ ー タ は Linux 上 で
Mesa(OpenGL準拠 のAPI)を 用い て構築 した .作業 領域 と
手先座標 系に固 定された 仮想イ ンピーダ ンス壁 は半透 明
処理をし て仮想 空間内に 提示し てある. シミュ レータ 上
Mobile
Base
のマニピ ュレー タはコン ピュー タに繋が れた力 センサ の
Work Space
情報によ り動き の入力を 行う. マニピュ レータ が把持 し
Rotation Axis
in Mobile Base
R
ている対 象物を 画面左下 にある 目標位置 内へ, 初期姿 勢
から180度回転させた状態になるように移動させるシミ ュ
レーシ ョンを 行った (Fig.4). 回転移 動では 手先座 標系 に
固定され た仮想 インピー ダンス 壁により 移動台 車は可 操
作性を維 持する ように旋 回し, 目標位置 までの 平行移 動
ではバネ ・ダン パによる 連動し た動きに より作 業領域 を
補償するよう協調制御が行えた.
Fig.3 Rotation Model.
5 .ま と め
マニピ ュレー タと移動 台車の 協調制御 手法と して, マ
ニピュレ ータの みの動き とマニ ピュレー タと移 動台車 が
連動して動く領域の2つに分ける手法を提案した.また,
可操作性 が悪く なる前に 移動台 車を回転 移動さ せ可操 作
性の補償 をする 手法とし て,手 先座標系 に仮想 インピ ー
ダンス壁 を設定 する手法 を提案 し,シミ ュレー ション に
1
よりその 有効性 の検証を 行った .今後, 実空間 を想定 し
た作業領 域を設 定し,シ ミュレ ーション により 移動マ ニ
ピュレータの必要技術の検討を行っていく.
3
Fig.4 Simulation.
3 .仮 想 イ ン ピ ー ダ ン ス 壁 に よ る 移 動 台 車 の 回 転
モバイ ルマニピ ュレータ の並進移 動は上記 の手法で 作
業領域の 補償が行 えるが, 姿勢変化 による可 操作性の 悪
化を防ぐ ためには 移動台車 の旋回運 動が必要 となる. そ
こで,移 動台車を 旋回させ る手法と して,マ ニピュレ ー
タの手先 座標系に 仮想的な インピー ダンス壁 を設定し ,
その仮想 壁が移動 台車に接 触したと き仮想壁 のインピ ー
ダンスによ り移動台 車が旋回 行動をと る手法を 提案する
(Fig.3).手先 座標系 に設定 された 仮想壁 が移動 台車と 接
参考文献
[1]田窪,他:"人とロ ボットによる長尺物 の協調運搬 (仮想 非
ホロノミ ック拘 束によ る水平面 内の制 御手法 )",日本 機
械学会論文集C編, 第66巻,648号, p2677-2684, 2000.
[2]田窪,他:"仮想非ホロノミック拘束を用いた3次元空間内
の 協 調 運 搬 ",第 18 回 日 本 ロ ボ ッ ト 学 会 学 術 講 演 会 ,
pp.1345-1346,2000.
[3]H. Lee, et al : "Control of mobile manipulators for power
assist systems", Journal of Robotic Systems, Vol. 17,
2000, pp.469-477.
[4]T. Fukuda, et al : "Manipulator/vehicle system for
man-robot cooperation", Proc. of IEEE Int. Conf.
Robotics and Automation, 1992, pp. 74-79.
[5]Y. Yamamoto, et al : "Control of mobile manipulators
following a moving a moving surface", Proc. of IEEE Int.
Conf. Robotics and Automation, 1993, pp. 1-6.
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