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リーマンショック後のアメリカ産業構造 高度化をどう見るか

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リーマンショック後のアメリカ産業構造 高度化をどう見るか
東京新世界経済研究会&持続可能性と資源貿易研究会
「オバマからトランプへ
-産業構造動態・格差(経済的背景)-」
1
2016年12月10日
立教大学経済学部 山縣宏之
【自己紹介】
2
序 章 オバマ政権期のアメリカ経済と経済政策(河
音琢郎)
第1章
裕二)
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
金融危機後の住宅市場とアメリカ経済(豊福
3
産業構造と産業政策(山縣宏之)
財政政策(河音琢郎)
医療保障政策(櫻井 潤)
年金政策(吉田健三)
移民政策(中島 醸)
第7章 対外経済構造と国際金融政策(菅原 歩/
河崎信樹)
第8章 通商政策(藤木剛康)
第9章 外交・安全保障政策(藤木剛康)
終 章 オバマ政権の経済政策の評価と新政権の展
望(河音琢郎/藤木剛康)
本報告:話題提起
※「研究報告」ではなく「話題提供(10/30国際経済学会報告ベース)」
4
・2016年米大統領選挙は、D.トランプ候補の当選という衝撃的な結末を迎えた。本報告は、ト
ランプ候補が当選した経済的背景を、オバマ政権期の産業構造動態と格差問題の深刻化
をふまえつつ検討してみたい。速報的であるため分析がかなり粗くなることをお断りの上で
あるが、製造業の強化・再生が米国民生活向上にあまり寄与しなかったこと、イノベーショ
ン経済のもとでのラストベルトの現状など、トランプ現象に直接つながる問題の分析にも取
り組むよう努める。加えて、トランプ現象を見る上で一定程度必要と考えられるオバマ政権
の経済政策の評価については、質疑応答等において、11月20日出版『オバマ政権の経済政
策』ミネルヴァ書房、の知見をもとにお答えしたい。
【データソース】
・10/30国際経済学会「リーマンショック後のアメリカ産業構造高度化をどう見るか―
イノベーション・グローバル化・社会分業深化・格差拡大・政策的インプリケーショ
ン―」+α
・トランプに関する政治学的、社会学的、心理学的研究。
・2009-2016年米国実地調査
・2016年9月にワシントン州シアトル、クリントン陣営で多少のボランティア活動。
・進歩経済研究所、全米製造業者協会(NAM)研究所、競争力評議会他の米シンク
タンク研究所、業界団体研究所、研究者とのディスカッションなど。
5
目次
1 オバマからトランプへ:選挙結果の概観・トランプの政策
2 分析視角:産業構造高度化と”Job Polarization”
3 データ分析(付加価値・雇用)・ディスカッション
4 製造業回帰(Reshoring)の実相
5 トランプ現象への示唆
6 結論と展望
6
1 オバマからトランプへ
(1)「トランプ現象」への注目・評価
(1)政治学・歴史学
・福祉排外主義(「福祉ショービニズム」)、孤立主義、ポピュリズム、反グローバリズム、
反動的保守(大きな政府+反自由主義)、レイシズム、ファシズム等の解釈。
・エマニュエル・トッド氏の高い?評価(朝日新聞、2016年11月17日)
「トランプは本音を語った」「現実を直視すべき」
(2)経済学・社会学
・知識社会での勝ち組VS負け組、グローバル・エリートVS大衆、「工業社会の終焉と中
産階級の縮小・疎外」。
・イノベーション、グローバル化、リベラル化のなかの「忘れられた白人」、「白人中高
年層の自殺傾向高まり」。※米国とイギリスでは必ずしも白人が勝ち組ではない。
(3)心理学、精神病理学
・有能なビジネスマン(素人政治家)か、人格障害・誇大妄想等?か。
7
1 オバマからトランプへ
(2)選挙結果概観(a)
8
・「トランプ効果」:(男性/女性、世代)
・5万ー10万ドル層 大卒未満層
・他方でクリントンが支持を広げきれなかっ
たことが示唆される。(オバマとの相違)。
・中間層、低所得層、マイノリティ。
・「都市部」VS「地方」はほぼ両岸州VS内陸州、
グローバル化のメリット州、デメリット州、イ
ノベーション地域、20世紀型産業地域の対
比を反映している。
・大卒以上層VS大卒未満層
Real Clear Politics, Politico, CNN他より作成
・明瞭になった「グローバル化」と階層利害
州別結果:トランプ(共和党)に転じたラストベルト(b)
2012大統領選挙(オバマ再選)
2016大統領選挙(トランプ)
Real Clear Politics等により作成。
9
(3)H.クリントン候補の敗北? トランプの作戦勝ち?
・2012(オバマ6591.6万 ロムニー 6093.3万) 2016(トランプ6243.8 クリントン6464.1)
・クリントン陣営の油断説 VS 8年ごとの大統領府政権交代のなかの「善戦」説
・民主党州の一部(ラストベルト)がトランプへ。
・フロリダがトランプへ(増加する富裕層とキューバ移民)
・黒人、ヒスパニック、白人女性が2012(オバマ)よりも投票せず。
・共和党支持層は「大卒以上階層」以外はトランプ。白人中間層の投票は増加。
・ラストベルト州の影響
・選挙人獲得には大きく影響 全体として僅差(例:ミシガン州)。
・要因の一部、トランプも重視しており経済政策(通商政策等)案にも影響。
10
(4)D.トランプ次期大統領
「人格」と「不安定性」を除外して(a)
11
・価値観に関わる点は「保守化」。
・1990年代以降の政治的分極化のなかで、共和党サ
イド(保守)が拾い上げてこなかった政策を一定意識
している。(「中産階級ラディカル」)。
・経済政策は大きな政府・保護主義・孤立主義?
・インフラ整備と大規模減税
※オバマケア廃止(代替案示唆)
・TPP「脱退」 NAFTA再交渉示唆
FTA重視 対中国、メキシコ関税?
対中為替操作国認定示唆
・環境政策(パリ協定)見直し示唆
・移民政策見直し示唆
※軍事力による対中封じ込め政策
・「レーガノミクス」の再来?しかしドル安指向?
(https://www.donaldjtrump.com/他報道資料等より作成)
D.トランプ次期大統領
大きな政府・大減税・自由貿易反対・矛盾(b)
12
・「産業」に関わる経済政策(詳細不明のもの、実現可能性が低いと推測されるものも含む)
・インフラ整備(10年1兆ドル)、大規模減税(法人税35%⇒15%、所得税:低所得層免除、中間層は家族減
税、高所得層38%⇒33%)、軍拡(詳細不明)⇒(雇用創出、国内回帰、国内産業波及効果)。
・大幅な規制緩和(金融業、産業界、農家ともに歓迎)
・TPP「脱退」 NAFTA再交渉示唆 FTA重視 対中国(45%)、メキシコ高率関税、海外移転企業35%関税
対中為替操作国認定示唆 環境政策(パリ協定)見直し示唆
・通商政策に関わる労働環境基準 為替操作を問題視(従来民主党・労組の政策)
⇒(雇用創出、国内回帰)、他方で保護主義による経済衰退(300-600万人雇用減少)の懸念。
・移民政策見直し示唆(治安、雇用対策)⇒場合によってはIT業界から不満、産業界も不満?
・犯罪歴のある移民・不法移民送還 中東移民審査強化・制限 その先は?
⇒治安対策、中間層(白人)保護につながりうる政策 しかし実現可能か、その影響は?
⇒実行すれば予想される巨額の財政赤字、金利上昇、ドル高をどう処理するのか?
(https://www.donaldjtrump.com/他、報道資料等より作成)
(5)思想的背景:
「反動保守」としてのトランプ現象と政策的背景
13
(a)戦後保守主義運動の転換点としての「トランプ現象」解釈(仮説)
・経済的背景:「工業社会の終焉と中産階級の縮小・疎外」問題。+人種問題。
・戦後保守主義運動(レーガン)経済的自由主義+保守的価値観。小さな政府。白人労働
者取り込みに成功。G.W.ブッシュ政権期(2001-2008)に一定の行き詰まり。
・トランプ:「反動保守(新極右)」。大きな政府+多元的文化、ポリティカル・コレクトネスの破
壊(反民主主義)。オルト・ライト(反自由主義反動思想(白人至上主義、30-40代高学歴白
人):サミュエル・フランシス、ジェームズ・バーナム)(会田弘継(2016.10.5日本記者クラブ講
演)。共和党保守派と対立、共和党を「乗っ取り」。
(b)トランプ政策思想は一貫している(Thomas Wright(2016))
・3つの中核的信条:自由貿易反対、軍事同盟反対、権威主義(プーチン賞賛)、公約:国境
の「壁」、イラン核合意反対、移民反対(修正余地あり)、その他雑多な論点。
・自由貿易反対:「レンティア国家モデル」(NY不動産業)が背景にあり、簡単に信念を曲げる
可能性に疑問。
(6)D.トランプ次期大統領府 その性格(各種報道資料
より作成)(a)
14
・フォードのメキシコ工場阻止(2016.11)
・キャリア社・インディアナ工場のメキシコ移転阻止(2016.11)(誇大広告)
・次の標的はアップル?
⇒「口先介入」がいつまで続くか不明であるが、製造業海外移転を実際に阻止。他方で独裁的手法、
ポピュリズムの性格が強いことを就任前に実証。
※米国民主主義を無視(L.サマーズの批判:ワシントン・ポスト)
⇒バックボーンからすると不思議ではない。アメリカ的自由主義を否定。
・大統領府スタッフは共和党全国委員長、保守派・レイシスト(オルト・ライト)、産業界・商業銀行、投
資銀行・ファンド出身者、軍人。トランプに忠実な人材で固めている(例:ロムニー排除)。狭い知り合
いからの抜擢。
・オバマ政権からの反動。白人中心主義への回帰、オルト・ライトの一定の影響力。
・リベラルな国際秩序・アーキテクチャ構築から軍事力と勢力均衡による封じ込め政策へ。
・「お友達」政権は脆弱な可能性がある。
(7)D.トランプ次期大統領と議会
15
・第115議会(2017.1-2019.1)・上院、下院ともに共和党多数。上院は共和党60議席に到達してお
らず、「フィリバスター」(議事妨害)を阻止できない。⇒「オバマケア」残る可能性。他方で
オバマの大統領令(移民対策など)、大統領声明(銃規制の希望など)は全廃の方針。
・政策実現のためには、議会共和党指導部(下院ライアン議長など)との協調が欠かせな
いが、ライアンは財政保守(ヤング・ガンズ)であるため、巨額財政赤字を容認するか、協
調可能かどうかは、未知数。共和党は自由貿易支持、企業規制反対が多く、製造業海外
移転阻止、関税引き上げ、多国間通商交渉脱退については、反対があることも予想され
る。
2 視角:リーマンショック後の産業構造と”Job Polarization”
16
(1)産業構造は「戻った」のか。
・オバマ政権の政策(国内産業強化、中間層再生)。
・製造業強化・回帰:影響(雇用)。そのなかでのラストベルト州(ミシガン)の動向。
・雇用と労働所得の分極化(Job Polarization)の行く末。「低技術(低賃金)」「高技術(高賃金)」の職と比較
して「中技術(中賃金)」の職が取り残されている状態を指す。オバマ政権重視、商務省統計局(2011)
「所得・貧困・医療保険の普及状況」で指摘。
(2)重要トピック
1)環境エネルギー産業(「シェール革命」と「グリーンニューディール」のインパクト「鉱業」+「公益(事業)」)。
2)イノベーションの重要性(知識集約型ビジネスサービス(KIBS)、芸術活動)。
3)雇用喪失論争と実態
・循環説(Krugman[2010])、雇用喪失説(Brynjolfsson and McAfee[2011][2014]、雇用流出説(Spence and Hlatshwayo(外
交問題評議会の研究プロジェクト)[2011]の妥当性。
4)産業構造高度化と格差拡大(Moretti[2012],Murray[2012])
(3)アメリカ版産業構造高度化に関わる重要概念
17
統計区分
業種
1)アメリカ版産業構造高度化
ITサービス、技術コンサルティング、
専門サー エンジニアリング、研究開発コンサ
・サービス経済化 製造業雇用の減少
知識集約型ビジ
ビスおよ ルティング
ネスサービス
びビジネ 経営コンサルティング、法律サービ
2)サービス経済化に関わる概念
(KIBS)
スサービ ス、会計サービスなど
スの一部 広告、グラフィックデザイン、メディア
・ビジネスサービス(BS):知識集約型
サービス(ビジネス向け)
Miles(2012)などにより作成。
ビジネスサービス(KIBS)
+企業経営管理(持ち株会社組織等)+定型ビジネスサービス(バックオフィス等)。
3)産業構造高度化と格差問題
・従業者/雇用面からの検討。(資産保有、資産価格上昇の影響の研究が多い)。
・個人消費 今回は個人消費に対する富裕層の影響拡大を検討。
3 データ分析・ディスカッション
(1)産業構造動態:サービス経済化の継続
(a)産業別付加価値の変化
第○図 2009-2015年の産業別付加価値額の絶対額(2009年ドル価値)・増加寄与・
増加指数(実質)
第1図
る2015年の指数
140.0
135.0
ビジネスサービ
ス
鉱業
130.0
増加指数(2009-2015)
125.0
芸術・娯楽・レクレーショ
農林漁業
情報
ン
120.0
小売
115.0
輸送・倉庫
110.0
105.0
100.0
95.0
専門・ビジネスサービス
卸売
教育
医療サービス
製造
不動産
建設
金融・保険
公益(電気・ガス・水道)
その他
90.0
-5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
増加寄与度(2009ー2015)
増加寄与率(%)
U.S. Dept. of Commerce, BEA, Gross-Domestic-Product-(GDP)-by-Industry Data
http://www.bea.gov/industry/gdpbyind_data.htm, as of July 11, 2016より作成。
25.0
18
・(成長指数:Y軸)付加価値額が最も伸
びた産業:鉱業(指数で129.8)。専門・ビ
ジネスサービス業(122.7)、情報(119.5)、卸
(118.8)、芸術・レクレーション・娯楽(118.2)
が続き、農林漁業(118.3)、小売(113.7)、不
動産(112.5)、医療(112.3)、製造(110.7)が続
く。公益(電気・ガス・水道(100.1)は20092015年にほとんど成長していない。
・(増加寄与度:X軸)産業:専門・ビジネ
スサービス(22.3ポイント)、不動産(14.2)、
製造(10.9)、卸(9.2)、情報(8.5)、医療
(7.7)、小売(6.8)、芸術・レクレーション・
娯楽(5.6)が続く。
⇒伸び率・増加寄与を総合すると、リーマンショック後
以下の構造変化が進行。
19
①専門・ビジネスサービス(ビジネスサービス)の成長・ウェイト拡大:企業向けにサービスを
投入するビジネスサービスが重要性増す形で産業構造高度化が進んでいることを示唆。い
くつかの異なる性格の業種が含まれる。
・定型ビジネスサービス(バックオフィス・廃棄物管理)が主導(45%)、知識集約型ビジネス
サービス(KIBS)続く(35%)。企業経営管理(持ち株会社等)続く(20%)。
②不動産:再び活況。(FRB資産買取政策(いわゆる量的緩和政策QE1-QE3)の寄与可能性
大。)
③製造:付加価値増加し、寄与度も10ポイント程度あり。高付加価値化を推進しているので
はないか。
⇒伸び率・増加寄与を総合すると、リーマンショック後
以下の構造変化が進行(続き)。
20
④情報:ITサービス中心に成長。
⑤流通サービス(商業:卸、小売):堅調に成長。
⑥社会サービス(医療・社会サービス):医療高度化(医療費負担の激増)にともなうヘルス
ケアの成長が付加価値レベルで確認できる。
⑦鉱業:シェールガス・オイル開発の進展。(※直近は大幅減)。
⑧芸術・レクリエーション・娯楽の成長は、余暇・レクリエーション活動の拡大(対人サービ
ス)を示唆。「芸術」が成長。イノベーションの重要性の高まりも示唆(後述)。
⑨2009-2010年を中心として環境・エネルギー産業の若干の活況(「公益(事業)=電気・ガ
ス・水道」)、2015年時点ではブームは終了しており成長は見られない。
⑩確定データの得られる2015年まで、付加価値ベースで見た産業構成は、製造業の伸びあ
るもビジネスサービスを筆頭に、よりサービス部門傾斜。
(b)企業利益の動向(税引前企業利益)
第2図
第3図
21
(b)企業利益の動向(続き)第2図
※米企業の海外利益の海外プール問題等にあるように、過小評価され
ている可能性が高い。近似的に実態を表す。
22
※2009年から企業利益は回復。
・2012年には2006年水準を超え、最高額を更新しその後も増加。「復活」した。
・リーマンショック前よりもさらに海外収益比率が高まる傾向。
・グローバル企業中心に、大景気後退時のアメリカ国内での収益落ち込みを新興国等海
外収益拡大で補完、よりグローバルに稼ぐ体制を構築した可能性。
③利益額上位10産業の企業利益の推移(第3図)
※主たる産業に集計されており、実態を近似的に反映するデータ。
23
1)製造が復活しその後は第1位のポジション⇒高付加価値・大収益
2)金融・保険は2008年に赤字に転落、その後回復し第2位のポジション維持。
3)情報、流通サービス(小売、卸売)も利益を伸ばしており、アメリカIT産業の強さ、リーマン
ショック後の個人消費回復にともなう商業の復活も確認。
4)企業経営管理、専門・科学・工学サービス(ビジネスサービス)、医療・社会サービス(社
会サービス)は、それぞれリーマンショック前とほぼ同じ順位を維持。
※これらのサービス部門(業)は非企業形態の事業所が残っていること、労働集約型で
あるため、利益額では製造業、金融業よりも劣るが、一定の地位を占めている。
(c)対外直接投資・対内直接投資・輸出入の動向
(グローバル化の影響・現れ)
24
(c-1直接投資)
・第3図:2009年―2013年のアメリカ産
業の海外直接投資はリーマンショック
前とほぼ同じペースで増加。アメリカ
企業がグローバル展開を着実に進め
ていることを示唆(製造業に限定され
ない)。
・対内直接投資も同様に増加。
・対外投資額が上回る状況は変化な
し、グローバル展開とともに海外投資
吸引を同時に進めていことを示唆。
・「製造業回帰」の動向は4で後述。
(c-2)輸出入動向
25
(c-2)輸出入動向
第5図 リーマンショック後の米輸出入バランス(2009年ドル価値・
実質)
2,000,000
1,000,000
500,000
-1,500,000
-2,000,000
-2,500,000
-3,000,000
輸出 財
輸出 サービス
輸入 財
輸入 サービス
バランス 財貿易収支
バランス サービス貿易収支
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
-1,000,000
2002年
-500,000
2001年
0
2000年
100万ドル(季節調整済み)
1,500,000
・これまでの貿易構造続くも、サービス
貿易黒字伸びる(サービス経済化)。
・特許ライセンス料、金融、旅行収支、
輸送等も入る、ビジネスサービス(特に
知識集約型ビジネスサービスKIBS)の黒
字(全体の20%程度)が計上。
※ただしKIBSは輸出入ともに多い
Contractor[2012]。
・財輸出入2013年、2014年「シェール革命」
影響。
経常収支赤字対GDP比低下(4%未満
へ)
(2)国民経済との連関:従業者(雇用)の担い手としての産業―
分解する高賃金産業・低賃金産業/高賃金職業・低賃金職業
―
平均年間賃金(1000ドル)
軸ラベル
第○図
第6図 2014年産業別従業者数・2010-2014年増加寄与・平均年間賃
金(2014)
120.0000
120.0000
企業管理(持ち株会社・
企業管理)
100.0000
公益(電気・水道・ガス等)
ビジネス
サービス
金融・保険業
鉱業
80.0000
平均
賃金
(1000
ド
ル)
専門・科学・工学
サービス
情報業
卸
60.0000
製造
建設
不動産
輸送・倉庫業
40.0000
医療・社会扶助
バックオフィス・廃棄物処
理
教育
芸術・娯楽・レクレーション
20.0000
製造
小売
宿泊・飲食業
その他
0.0000
-5.0
0.0
5.0
10.0
2010年-2014年増加寄与度(%)
増加寄与率(%)
15.0
20.0
26
(a)2010年ー2014年の雇用回復・増加局面:進む高賃金産業
と低賃金産業への「分極化」(Job Polarization)
27
1)中位賃金産業(製造・卸・建設・輸送倉庫など)はそれほど増えなかった。
2)比較的高賃金である知識集約型ビジネスサービス(KIBS:「専門・科学・工学サービス」)、「企
業経営管理」、「金融・保険」「情報(ITサービス主)」は増加、相対的低賃金産業よりも増加寄
与率・絶対数は「小」。
3)賃金が平均以下の宿泊・飲食(対人サービス)、定型ビジネスサービス(バックオフィス・廃棄
物管理)、小売、医療・社会サービス(医師等高賃金職業と医療補助・介護等低賃金職業が混
在)が従業者規模大きく、増加寄与度「大」。
4)付加価値分析で注目した芸術・娯楽・レクリエーションは、全体として低賃金であること、増加
寄与率はそれほど大きくない。(都市部に集中しているなど、分析には留意が必要。)
5)「鉱業」(シェール革命)が特殊なポジション(賃金高い、増加しているが絶対数小)。
公益(事業)は停滞(先述:2010年までは増加)。
⇒従業者(雇用)増加の多く(62.2%)は「平均以下の相対的低賃金産業」。
(b) 2010年以降の雇用回復・増加局面:職業別分析(平均以下賃
金職業が増加の70%)
28
第7図
第○図 職業別雇用数・その推移・年給(2010-2015)
200000
1
CEO
180000
平均
賃金
(ド
ル)
160000
・①CEOは別格、②「停滞職業/職
種」、給与高いが絶対数の少ない
③「高技能・専門的職業」、給与
比較的高く増加している④「専
門・BS職業」、年俸低く増加する⑤
「生産、輸送、セールス、介護、外
食・接客」。5類型に分解の様相。
140000
3
120000
4
経営・管理
法律
100000
コンピュータ/数学
設計・工学
80000
研究者
60000
教育
40000
医師・医療技術者 ビジネス・金融・会
計
建設
設置・補修・修理
製造
事務系
20000
2
セールス
輸送
介護(医療」)
5
外食(調理・接客)
0
-4
-2
0
2
4
6
8
10
増加寄与率(%)
12
14
16
18
(b) 2010年ー2015年の雇用回復・増加局面:職業別分析(平均以
下賃金職業が増加の70%)(続き)
29
・④類型は知識集約型ビジネスサービス(KIBS)、金融・保険、情報産業の中核労働力。医療・
社会サービス(ヘルスケア)のなかでも高賃金かつ増加する(医療・医療技術者)を含む。
※このカテゴリーのみが高賃金水準+増加という条件を満たす。
・⑤類型:「外食」「セールス」の絶対数と増加⇒個人消費の寄与示唆。
・⑤類型:「医療補助・介護」は医療・社会サービスのなかでも低賃金部門、より増加。
・⑤類型:「生産」「輸送」はあまり増えていない、平均賃金は高くない。「製造」についてもミド
ルクラス職(『大統領経済白書2015』ほか)になりにくくなっている。
・①類型:「事務系」:絶対数多いがほぼ増加しなかった。
⇒職業(職種)増加の多く(70.1%)は「平均以下の相対的低賃金職業・職種」。
第8表 2014年4月-2016年4月の米国産業別雇用(非農業部門)
第1表
産業・部門
鉱業
建設業
製造業
卸売業
小売業
輸送・倉庫業
電気・ガス・水道業等
情報業
金融保険業
不動産業・レンタル・リース業
専門技術サービス業
企業経営管理(持ち株会社等)
バックオフィス業務・廃棄物管理
教育サービス
医療・社会扶助サービス
芸術・娯楽・レクレーション等
宿泊・飲食業
その他サービス
民間計
2014年4月
885.0
6,103.0
12,139.0
5,803.2
15,301.0
4,598.9
550.2
2,723.0
5,905.4
2,036.4
8,280.4
2,167.6
8,493.9
3,405.9
17,906.4
2,090.8
12,514.2
5,614.0
116,468.0
2016年4月
706.0
6,659.0
12,298.0
5,925.7
15,919.5
4,885.9
564.4
2,782.0
6,133.0
2,117.4
8,840.8
2,263.6
8,997.6
3,527.4
19,046.6
2,229.4
13,216.4
5,684.0
121,797.0
2014年4月2016年4月
増減数
-179.0
556.0
159.0
122.5
618.5
287.0
14.2
59.0
227.6
81.0
560.4
96.0
503.7
121.5
1,140.2
138.6
702.2
70.0
5,329.0
Footnotes
(1) Seasonally Adjusted Independently. See http://www.bls.gov/web/empsit/cestn.htm#SA_ind for details.
(2) Includes motor vehicles, motor vehicle bodies and trailers, and motor vehicle parts.
(3) Excludes nonoffice commissioned real estate sales agents.
(4) Includes ambulatory health care services, hospitals, and nursing and residential care facilities.
(5) Includes rural mail carriers.
(p) Preliminary
注)最新の実績値が取れるデータを集計。
BLS, Current Employment Statistics - CES (National) http://www.bls.gov/web/empsit/ceseeb1a.htm as of DEC06 2014
単位 1000人、%、ドル
民間雇 平均週
増加寄 用中の 給(全雇
与率
ウェイト
用)
(2016.4) 2015.4
-3.4
0.6 1366.2
10.4
5.5 1054.2
3.0
10.1 1023.8
2.3
4.9
1101.3
11.6
13.1
544.2
5.4
4.0
884.3
0.3
0.5
1526.2
1.1
2.3
1261.8
4.3
5.0
1168.5
1.5
1.7
858.9
10.5
7.3 1077.7
1.8
1.9
1439.6
9.5
7.4
654.1
2.3
2.9
821.0
21.4
15.6
834.2
2.6
1.8
501.7
13.2
10.9
491.5
1.3
4.7
708.5
100.0
100.0
705.3
30
(c)2014年以降:直近の雇用動態(労働省雇用統計)
31
・1億2,179.7万人に増加、リーマンショック前最多の2007年8月水準を凌駕。
・増加寄与率上位:医療・社会サービス(21.4%)、宿泊・飲食(13.2%)、小売(11.8%)、専門・科
学・工学サービス(10.5%)、建設(10.4%)。
・製造業(3.0%)。2010年の金融危機後最低値からたしかに回復、全体への寄与は小。
※製造業雇用創出は、オバマ政権第2期公約100万人に対して、実績は2013年1月-2016年4月
に40万人強にとどまる。限定的。
・情報、金融・保険の寄与は小。これらの業種は、製造業と同様、産業別付加価値や企業利
益では上位、雇用面での国民経済への直接寄与はサービス部門(業)ほどない。
・従業者(雇用):より一層サービス部門に傾斜。直近では医療・社会サービスや小売業など、
生活高度化・高齢化・個人消費拡大の恩恵をうける産業がより増加。
※アメリカ型産業構造高度化(製造業雇用停滞、低・高賃金サービス部門拡大)継続。
(3)ディスカッション:
(a)いわゆるシェール革命・グリーンニューディールのインパクト
32
・第1図:鉱業が付加価値急増。従業者も2014年まで増加。
シェールガス・オイル開発が本格化し、事業所数と従業者が急速に増加していることによる
(Department of Commerce [2002],[2007],[2012])。貿易統計でも輸入減少効果。
・直近の鉱業の雇用は減少。また従業者の絶対数が少ないため(総従業者の約0.6%)、総
従業者(雇用)への影響はほとんどない。
・グリーンニューディール(オバマ政権の環境エネルギー政策)のインパクト
本報告では「ほとんど確認できない(公益事業(電気・ガス・水道)増加せず)」が、2009-2010年
に限定すれば、付加価値、雇用(賃金高い)ともに10%程度増加していた。
(b)イノベーション・雇用(・地理的分極化)
33
①21世紀に入り先進国で雇用と所得を維持するために、イノベーションの重要性増す。米企業(製造
業も)は本社・研究開発・デザイン・検証テストなど経営戦略やイノベーションに関わる活動と雇用は
拡充(BEA[1994][2014]、米商務省聞き取り(2014年9月11日)。
例)専門知識投入に関わる知識集約型ビジネスサービス(KIBS:専門・科学・工学サービス)成長
OCED[2006],BEA[1999],[2014]、米商務省聞き取り(2014年9月11日)。
②芸術活動(芸術・娯楽・レクリエーション)はイノベーションの支援要素としての側面。付加価値が増
大。雇用増はマクロデータで顕著に確認出来ないが、イノベーション活動が集中する都市圏(サンフラ
ンシスコ&シリコンバレー(サンノゼ)、ボストン、ニューヨーク等)では有意に確認(Florida[2005]、
Markusen[2010]、Yamagata[2016]など)。しかし本稿でも確認できるように「高賃金ではない」。
アメリカでは経済的分極化と地理的分極化が同時進行(新しい地域経済の不均等発展:Reish[1991]指
摘)。「伸びる産業・雇用」が一部の都市圏(研究大学・機関周辺)に集中傾向(Moretti[2012] 山縣
[2010][2012]Bell and Gerritse[2015], Agtmale and Bakker[2016])。GEなどイノベーション経済に対応しようとするグ
ローバル企業も本社、研究開発をボストン(ハーバード大近郊)に移すなど、このような動きに追随。
(c)リーマンショック後の雇用回復の解釈
34
①単なる「循環説(Krugman)」は妥当しない(雇用構造の変化)。
②高技能の雇用が生み出されていない(雇用喪失説)
・知識集約型ビジネスサービス(KIBS)の雇用は伸びている。細分類にブレイクダウンしても高技能職業の雇用
停滞や喪失は確認できない。(会計事務所での聞き取り:労働力不足)。
⇒さらに将来に起きる可能性の指摘か?
・製造業におけるロボット置き換え、新鋭設備置き換えによる労働力需要減少は妥当か?
③データからはSpence and Hlatshwayo(外交問題評議会の研究プロジェクト)[2011] がより妥当するように見える。
1)リーマンショック後アメリカ産業の対外直接投資ペースは上昇している(グローバル投資を強化している)。
2)新興国に流出しにくい雇用が増えている。(ビジネスサービス、医療社会サービス(ヘルスケア)、流通サービ
ス(商業)。
3)グローバルに流出しやすい雇用(製造業や情報業など)はあまり増加していない。
⇒「製造業回帰」の詳細なメカニズムについては3で検証。
(d)産業構造変化と格差
35
・資産格差、CEO・経営層の暴走(Reish[1991])の背後にあるより大きな構造的トレンド
(Moretti[2013])(Murray[2012])の検討。
・格差研究者Cynamon and Fazzari[2012][2014][2015]による推計。
リーマンショック後、所得分位最上位層を除く95パーセント層は個人消費支出を6超ドル程度
で停滞させているが、最上位5%層は3.2兆ドルから3.6超ドル程度にまで増加(2012年時点で
個人消費支出の33.9%を最上位5%が占める)。
・リーマンショック後、個人消費拡大のベースになる負債は「住宅ローン」が十分回復せず
「カードローン」と「自動車ローン」が拡大(FRB[2016])。最上位層以外は個人消費を十分増や
せないでいることがうかがえる。
⇒「個人消費関連の(低賃金の)産業・職業の従業者・雇用拡大」がより富裕層の個人消費
拡大に依存する構造に変化していることを示唆。
36
4 製造業回帰(Reshoring)の実相
第2
第2表 2010年-2016年の製造業業種別雇用の推移
第2図 製造業雇用の推移(2001-2016年4月)
第8図
単位:万人
2000
1500
1000
500
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
0
表
業種(主要業種)
食品製造
飲料・たばこ
紡績
繊維製品
衣料
皮革
木材製品
製紙
印刷
石油・石炭製品
化学
プラスチック・ゴム
非金属鉱物製品
一次金属(金属製造)
加工金属(金属加工)
注2)確報の得られる最新データは2015年6月である。
注3)2001年-2014年は各月の平均値を用いている。
資料)BLS, Current Employment Statistics ( http://www.bls.gov/web/empsit/ceseeb1a.htm)
をもとに作成。データ取得日 2016年8月20日
2010年1月
-2016年4
月増減数
1447.9
165.2
120.1
119.8
160.8
120.4
341.9
396.8
494.9
113.5
792.5
615.1
371.6
347.3
79.6
1522.0
224.4
113.7
117.1
133.8
133.5
382.1
371.8
445.0
111.9
817.3
690.3
399.4
377.1
1433.1
機械
9 7 4 .2
1 0 8 7 .8
1 1 3 .6
1 1 1 .7
1 3 .6
コンピュータ・電子機器
1095.3
1042.2
▲ 53.1
95.2
▲ 6.3
1 3 1 8 .3
1 6 1 2 .8
2 9 4 .5
1 2 2 .3
3 5 .1
360.3
388.8
28.5
107.9
3.4
11460.0
12298.0
838.0
107.3
100.0
輸送用機械
家具・関連製品
注1)四季調整済み。
2010年1月 2016年4月
製造業計(表記載ないものも
含め、全業種合計)
74.1
59.2
▲ 6.4
▲ 2.7
▲ 27.0
13.1
40.2
▲ 25.0
▲ 49.9
▲ 1.6
24.8
75.2
27.8
29.8
1353.5
単位 1000人
指数(2010
年を100とし 増加寄与率
た2016年
(%)
の指数)
105.1
8.8
135.8
7.1
94.7
▲ 0.8
97.7
▲ 0.3
83.2
▲ 3.2
110.9
1.6
111.8
4.8
93.7
▲ 3.0
89.9
▲ 6.0
98.6
▲ 0.2
103.1
3.0
112.2
9.0
107.5
3.3
108.6
3.6
1800.4
161.5
注1)四季調整済み
注2)主要業種および製造業合計値のみ記載
出所)BLS, Current Employment Statistics - CES (National) (http://www.bls.gov/web/empsit/ceseeb1a.htm
as of August 20,2015)より作成。
(1)製造業付加価値額・利益・従業者(雇用)動態
37
・オバマ政権が重要視した製造業(Boston Consulting Group[2011],[2014])。高付加価値化と大利益実
現。
・労働省雇用統計(Department of Labor, [monthly])2001年8月の1644.0万人から2010年8月には1152.8万
人へ491.2万人減少したあと、2016年4月に1229.8万人へとやや回復。
・2010年以降の業種別雇用増減数:輸送用機械、一次金属(製鉄業などに相当)、飲料・たば
こ、機械、プラスチック・ゴム製造業が増加し、それ以外の業種は減少している。
・国内消費関連の「飲料・たばこ」以外は、航空機、自動車、機械、金属、化学関連の限られ
た業種のみが回復。
(2)製造業の対外・対内直接投資と製造拠点の新設・増設動向
(a)製造業対外・対内直接投資の推移
38
・アメリカ製造業の対外直接投資、対内直接投資の
動向。対内直接投資額が上回る状態だったが、2012
年以降は海外直接投資額が対内直接投資額を凌
駕、増加ペースが高まる。直近では海外直接投資
強化。
第9図
第4図 製造業海外・対内直接投資額の推移
(2009年ドル価値にデフレート済み)
単位:100万ドル
700000
600000
500000
400000
・製造業対内直接投資もオバマ政権期に入ると増
加ペースを高めている。投資呼び込みに成功。
300000
200000
100000
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
0
All Countries Total
海外直接投資額の推移
対内直接投資額の推移
出所)BEA、International Economic Accounts (http://www.bea.gov/international/,
as of March 21, 2015)より作成。
・アメリカ製造業がグローバル投資を強化する中、
米国に対する製造業投資も行われている状況とし
て、「製造業回帰」をとらえたほうが良い。
(b)米国内製造拠点新設・増設の趨勢
第10図 米各地域の製造拠点新設・増設数(2009-2014年)
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
2008 年
2009年
南部
2010年
中西部
2011年
2012年
南部大西洋
2013年
2014年
全米合計
39
・アメリカ:日本のような工場立地統計が存在しな
い。The Conway Data [quarterly]が網羅的な唯一の資料。
工場閉鎖や縮小は、統計データが政府、民間とも
収集されておらず、統計的に実態を把握すること
は困難。
・米国内製造拠点の新設・増設数は2008年:3,436件
⇒2010年:3,830件とやや増。しかしその後減少、2012
年以降は2008年水準よりも低い。
・データからは製造拠点の新設・増設は2010年にか
けて一時的にやや増加したが、2008年水準より低
い、というのが実態。
・地域的には南部がトップだったが、中西部が回復。
主として自動車の投資による。
図:2009年以降、すくなくとも2014年までは製造業賃金と労働分配
率の抑制あるいは低下傾向。
第11図
40
※米国内製造業のコスト競争力強化に寄与するが、いわゆ
る「底辺への競争」に近い現象を生み出している。
①拠点が増加した要因は、外的要因としては中国における
労働コスト上昇、カントリーリスク増大、内的要因としては
シェール革命にともなう米国内エネルギー・原料価格低下、
賃金抑制や福利厚生費のカットによるコスト競争力回復、景
気回復にともなう米国市場の活況と為替リスク回避、企業サ
イドのサプライチェーン効率化やリードタイム短縮というグ
ローバル開発生産体制の効率化。
②GE(ケンタッキー州)、キャタピラー(ジョージア州)、ボーイン
グ(ワシントン州)のケース、いずれも立地の際の条件として
賃金と福利厚生のカットが行われている。
・ミシガン州の自動車工場:州の「労働権」導入後に立地決定。
賃金と福利厚生抑制。
(c)「本格的に雇用が回復しない」のはなぜか
41
⇒「製造拠点の新設・拡張がある程度行われているのは事実であるが、雇用増加につなが
りにくい」という構造があるため。
①製造拠点は新設・増設されているが、その裏面で米国内の老朽化した製造設備のスク
ラップがかなり進んでいる。(北東部、中西部における工場閉鎖、生産縮小)。製造拠点の
「スクラップアンドビルド」が米国内で継続。
②新設・増設される新鋭工場や設備では自動化が進み旧工場よりも労働力を必要としない。
(2014,2016年聞き取り)加工組立系産業の場合、産業用ロボットへの置き換え、IT技術の導入
により省力化が進められている。グローバル化のなかで競争力を保つために設備更新と省
力化が絶えず進められているため。
5 トランプ現象への示唆
(1)G.W.ブッシュ政権期(2001-2008)の苦境
転落した「労働者」
42
最も労働者が打撃を受けたのは、「G.W.
ブッシュ政権期」
中国との貿易、中国、メキシコへの生産
移転
生産委託
オフショアリング
2010年以降は同様に計算中ですが、トレン
ドにやや回帰する傾向。
オバマ政権期は「G.W.ブッシュ政権期」の
ダウングレードが十分に回復できなかっ
たというのが正当な評価か?
出所)David Autor David Dorn Gordon Hanson(2016)
(2)中国からの輸入が労働市場にもたらす「負」の効果(1990-2007)と失
業率が上昇したオバマ政権期(学歴別失業率推移(1992-2014))
カレッジ以下で失業傾向
(2007まで確定データ、その後は
若干の回復)
出所)David Autor David Dorn Gordon Hanson(2016)
やはり不利な大卒未満の労働力 製造業がやや影響
(カレッジは専門学校的・資格職の一部)
産業構造高度化とJob Polizationの影響を示唆
出所)BLSデータより作成。
43
(3)「ラストベルト」の製造業と賃金(ミシガン州を事例に)
回復するも2001年には戻らない雇用 抑制される賃金
従業者数(2001年水準回復できず、
2010年から回復)
一人あたり実質賃金
(前期、全米平均下回り続ける
44
(4)ウェイトを増し続ける海外雇用/外資系雇用
単純に「保護主義」には回帰しえない可能性
45
第4表 米国製造業・全産業の海外雇用比率・外資系雇用比率
単位:%
海外雇用比率(米国に本社がある企 外資系企業雇用比率(外資系企業
業の海外雇用数/国内雇用数)
の米国内雇用/国内雇用計)
産業
製造業
全産業計
2001年
31.9
8.5
2009年
46.6
11.4
2012年
51.3
12.1
2001年
15.9
5.4
2009年
18.6
5.2
2012年
20.8
5.5
出所)County Business Patterns, BEA, Financial and Operating Data By Industry of Affiliate
Only , U.S. Direct Investment Abroad,All Nonbank Foreign Affiliates,Employment
(http://www.bea.gov/iTable/iTable.cfm?ReqID=2&step=1#reqid=2&step=10&isuri=1&202=3&2
03=8&204=5&205=1&200=1&201=2&207=39,32&208=52&209=1 as of 02 dec 2015)より作成
・第4表:2012年に全産業の海外雇用比率は12.1%。アメリカ企業の海外展開と海外雇用増は進行。他方、
外資系企業雇用比率は5.5%。比率低いが、趨勢的には増加。
・製造業:2012年には海外雇用比率は51.3%、外資系雇用比率は20.8%に達している。製造業では外資
系がかなり雇用の担い手に。2009年以降も漸進的に続いていることがわかる。(IT製造業・電気機械で
はデータに表れない「委託生産」が急速に進んでいる)。
・リーマンショック後もグローバル化が進行していること、雇用面で示唆。現状ではアメリカ企業の海外
雇用のほうが遙かに多い段階であるが、直接投資交流が拡大しそれによって雇用の一部が担われる
という状況は、不可逆的に進行。
・「雇用空洞化」の主犯は「アメリカ企業」。外資系企業(日系多い)は雇用の担い手に。
トランプの「対中国、メキシコ高率関税」、新FTA政策の影響は未知数。
6 結論と展望(スライド44は省略)
46
(1)付加価値・企業利益・従業者/雇用
・ビジネスサービス、製造、金融・保険、情報の成長。進む製造、金融・保険、情報の高付加価値化・大
利益化。しかし雇用はあまり増加させなかった。
・ビジネスサービスのみ雇用も増。しかし内実は定型ビジネスサービスが最大の増加。
・雇用担い手はサービス部門(「グローバル化しにくい」産業。医療社会サービス、流通サービス)。
・低賃金、高賃金産業・職業に分解傾向。中程度賃金雇用(中間層雇用)はあまり増加せず。
(2)重要トピックとディスカッション
・グリーンニューディールは一時的影響。シェール革命は付加価値・貿易収支のみ寄与。イノベーション
の重要性高まりはKIBSの伸び、都市圏への芸術の集中として現象。個人消費の富裕層影響力拡大がう
かがえる。
(3)製造業回帰:グローバル投資の一環、雇用回復はかなり限定的、雇用条件の劣化。
(4)総括
・大局的に見てアメリカ型産業構造高度化トレンド変化せず、中間層再生への道筋は見えず。
(5)オバマからトランプへ 評価と展望
47
(a)1970年代以降の長期傾向(Job Polarization)が継続したオバマ政権期(2009-)
・主としてブッシュ政権期とリーマンショックで起きた「製造業海外流出・減少」
・製造業雇用と労働所得を十分回復できなかったオバマ
・「中間層」に必要な所得は「労働所得上層」でしかおそらく不可能
・大学、大学院への進学がほぼ必須、しかし上昇する学費・増える教育ローン
(b)トランプ:「反動保守」的なグローバリゼーション修正路線
・トランプ政策構想は実態としては企業と富裕層優遇。格差問題を悪化させることはほぼ間違いない。
※レーガン政権(1981-1988)とは異なり、格差問題はすでに修正が必要な段階。
・低所得層免税、中間層(家族)減税は可能か、解決策になりうるか?
・グローバリゼーション修正:実験としては興味深いが、形成された国際制度や実態を本当に変革しうるのか?
製造業雇用を取り戻せるのか?
(c)産業構造変化に沿った政策は?
・高等教育アクセスの抜本的改善。どの程度の期間を見込むか、財源をどうするのかという難しい論点はあるが、
避けては通れない印象がある。
【補足・理論的背景】 アメリカ版産業構造高度化をどう見るか
(1)先行研究(リーマンショックまで)
48
①アメリカ:サービス経済化が最も進行していることの指摘が多い(浅羽[1998]、中本
[2003]、平野[2005]、山縣[2012]など。)
・産業構造高度化とアメリカ経済の特質(過剰消費、「ウォールストリート循環」など)。
②外交問題評議会[2011]:1980年⇒2008年産業別付加価値・雇用研究。付加価値増大
VS雇用、雇用新興国への流出。
(2)産業構造動態と生産力発展(技術進化)・社会的分業深化・グローバル化
(a)基礎的視点
・ペティ=クラークの経験則
1)第二次産業内(製造業内部)の「高付加価値化」「グローバル化」「労働力再編」をと
らえる視点が希薄。当該時期のアメリカの場合どうなっているのか、独自に考察する
必要がある(「リショアリング」)。
2)サービス経済化メカニズム(サービス部門分化・成長)を見る視点が不足。
(2)国際経済学先行研究の意義/位置づけ
49
・中本[2004]、田村[2006]他:「1990年代以降のビジネスサービス(以下BS)の拡大をどう
見るか」。「製造業生産力拡大に起因するサービス経済化」「製造業のサービス化」と
解釈、アウトソーシング、低賃金化、非組合化が進行、オフショアリング問題へ。
1)1990年代の事情をかなりの程度説明可能。しかし2000年代以降は製造業の対BS波
及効果が相対的に低下(BEA[1999] [2014]推計および米商務省での聞き取り)⇒全産業
でイノベーション・コストカットにともなうビジネス・サービス購入が進行(Ferreira, Raposo,
Fernandes[2016])。
2)社会サービス(医療社会サービス)や流通サービス(商業)など産業構造全体の変
化の解釈が課題。技術進化(生産力拡大)、情報技術の発展、生活水準向上にとも
ない医療・社会サービス、流通サービス等もアメリカで急速に発展していると指摘
(Castells[1999][2011])。
(3)Castells[1999][2011]、Sassen[1991][2008]など欧米都市社会
学・地理学の成果。
50
・イノベーション、生産力増大、情報化進展⇒社会的分業深化(既存組織からの分化、
継続的にサービス部門が分化・成長するメカニズムの指摘)。
・主として企業の財・サービス生産と関わるのか(生産者サービス≑BS)、消費活動に
関わるのか(対人サービス)、生産には直接関わらないが社会全体の再生産に関わ
るのか(医療・社会サービス等)、財サービスの流通・分配に関わる(流通サービス)
のか、という生産(財・サービス生産)・分配視点を重視する議論)。
・特にBS(生産者サービス)の成長、重要性に注目。
※BSの中身(知識集約型ビジネスサービス(KIBS)、持ち株会社・企業経営管理、定型
型ビジネスサービス)も重要(山縣[2012]、Ferreira, Raposo, Fernandes[2016])。
資料集
51
52
<分析>
①拠点の新設・増設理由
1)自動車、航空機市況が回復し、アメリカに製造拠点の新設・増設を行っている
2)連動して米国で工作機械や産業用ロボット工場が新設・増設されている
3)景気回復にともなう建設需要増に対応して建設機械工場が増えている
4)エネルギー・原材料価格低下等による化学・製鉄プラント回帰
53
②シェール革命にも触発された米国でのエネルギー価格低下は、製造拠点の新設・増設に
寄与(Porter, Gee, and Pope[2015])、エネルギー多消費あるいは石油等を原料とする石油・化学
プラント、製鉄所等のアメリカ立地にプラス。
③世界的な金融緩和・通貨戦争により為替の変動幅が大きくなっている⇒市場国での生産
(為替リスク回避)を重視。
④米国内で賃金(福利厚生)削減によるコスト低下が進んでいる。
⑤事例の中心は米国企業。日本、ドイツ、フランス、オランダ、中国企業の進出あり。
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