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2016 年度法学既修者入学試験 公法系科目 憲 法(配点 80 点) 政府は

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2016 年度法学既修者入学試験 公法系科目 憲 法(配点 80 点) 政府は
2016 年度法学既修者入学試験 公法系科目
憲 法 (配点 80 点)
政府は、地上波のテレビ放送を行っているAテレビ株式会社(以下「A」という)が、
政府・与党への批判を行うだけでなく、次期衆議院選挙では野党を勝利させ政権交代の実
現を促す内容のテレビ放送を繰り返していることから、放送法が要請する政治的公平を害
するとして、電波法の免許停止を検討している。なお、テレビ放送局は、電波法における
無線局の一種として位置づけられており、放送を行うためには電波法の手続にしたがって
放送用無線局の免許を受けることが必要である(電波法 4 条)。
上記事案における憲法上の問題点について、後記【資料】を参考にしながら、以下の各
設問について検討しなさい。
【設問1】
(配点 30 点)
個人の人権としての表現の自由を支える価値(又は根拠といってもよい・以下同じ)と
していわゆる自己実現の価値と自己統治の価値をあげる見解が有力である。これら2つの
価値は、いわゆるマスメディアの表現の自由を支える価値となり得るか。自己実現の価値
及び自己統治の価値の意味を説明したうえで、論じなさい。
【設問2】
(配点 30 点)
放送法は、放送番組の編集にあたり、一定の番組準則(放送法 4 条 1 項 1~4 号)に従う
べきこと、また教養・教育・報道・娯楽の4種の番組相互の調和を保つべきこと(放送法 5
条)を要求しており、これら放送法の公的規制は、新聞・雑誌等の印刷メディアには許さ
れていない特別な規制である。
このような表現内容に対する規制は許されるであろうか。新聞・雑誌等の印刷メディア
との違いを示しつつ論じなさい。
【設問3】
(配点 20 点)
政府は、Aに対し、放送法(4 条 1 項 2 号)違反を理由に、電波法 76 条に基づき、30 日
間の無線局の運用停止処分(放送の停止)を行うことは許されるか。
設問1および2におけるあなたの考えを踏まえて論じなさい。
【資料】 関係法令
○電波法
(無線局の開設)
第 4 条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。
(免許の有効期間)
第 13 条
免許の有効期間は、免許の日から起算して五年を超えない範囲内において総務省令で
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定める。ただし、再免許を妨げない。
第 76 条
総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこ
れらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命
じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。
○放送法
(放送番組編集の自由)
第 3 条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は
規律されることがない。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第 4 条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編
集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一
公安及び善良な風俗を害しないこと。
二
政治的に公平であること。
三
報道は事実をまげないですること。
四
意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
(番組基準)
第 5 条 放送事業者は、放送番組の種別(教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等の区分
をいう。以下同じ。
)及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組
基準」という。
)を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。
2
放送事業者は、国内放送等について前項の規定により番組基準を定めた場合には、総務省令
で定めるところにより、これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。
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