米国はイスラエル、インド、パキスタン の核には寛大なのか?

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米国はイスラエル、インド、パキスタン の核には寛大なのか?
米国はイスラエル、インド、パキスタン
の核には寛大なのか?
【国連 IPS=タリフ・ディーン、4月15日】
世界47カ国の首脳級参加者が集い、鳴物入
りで2日間に亘って開催された「核安全保障
サミット」が閉幕した時、サミットの協議内
ギラーニパキスタン首相(左)と
オバマ米国大統領(右)
資料:White House Photo/Pete Souza
容はもとより、主催者のバラク・オバマ大統
領からさえ回答を得られなかった、いくつかの拭いきれない疑問が残った。
すなわちそれらは以下の3点である。①米国はイスラエルに自国の核兵器計画を認めるよ
う求めるか?②米国はイスラエルに対して核兵器不拡散条約(NPT)に加盟するよう迫る
か?③米国はインド、パキスタンに対して NPT に加盟するよう説得を試みるか?
しかし、空前の規模で開幕した「核安全保障サミット」の最大の関心事は、核兵器(及び
その開発に必要な核物質)をテロリストグループに入手させないための体制づくりであり、
これらの疑問点については、ほとんど或いは全くと言っていいほど取り上げられることは
なかった。
「サミットでは、核爆弾に使用可能な核関連物質の安全管理体制を4年以内に確立するこ
と、核兵器や原子力施設の安全強化、核爆弾に使用可能な高濃縮ウランの使用・取引を削
減、などの点で有用な合意に至ることができました。」と、ニューヨークに本拠がある「核
政策に関する法律家委員会(LCNP)」のジョン・バローズ事務局長は語った。
「しかし世界47カ国から、しかもその大半が元首という顔ぶれでワシントンに集った環
境にも関わらず、今回のサミットは、国際社会から全ての核兵器を除去していく端緒にす
るというユニークな機会は逸してしまいました。
」とバローズ氏は付け加えた。
また多くのメディアが指摘した通り、オバマ大統領はあえて記者団に「イスラエルに関し
ては、同国の(核兵器)計画についてコメントするつもりはない。」と宣言し、イスラエル
に関する質問を「避けた」
。
「私が指摘しておきたいのは、米国は一貫して、全て
の国に対して NPT に加盟するよう強く促してきた事
実です。従って何ら矛盾することはないのです。」と
オバマ大統領は語った。
「従って、イスラエルであろうとその他の国であろう
と、私たちは、NPT への加盟が重要だと考えていま
資料:Envolverde
す。ところで、これは新しい方針ではなく、私の政
権誕生以前から米国政府が一貫して主張してきた立場です。
」とオバマ大統領は付け加えた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、明らかに同国が秘密裏に進めてきた核兵器
開発プログラムが議題に上がるのを恐れて土壇場になってサミットへの参加を「避けた」。
しかし結局、サミットではこの問題が取り上げられることはなかった。
NPT の下で認められた核保有国は、米国、英国、フランス、中国、ロシアの5カ国である
が、NPT 体制外で核兵器を保有しているインド、パキスタン、イスラエルの3カ国はいず
れも、NPT への加盟を拒否している。
5月3日から NPT 運用検討会議が約1カ月に亘り国連で開催される予定である。
バローズ氏は IPS の取材に対して、
「イスラエルが核兵器を保有しているか否かについては、
オバマ大統領は従来の米国政府の立場を踏襲して、コメントを避けたのです。」と語った。
またバローズ氏は、「サミットでは、中東大量破
壊兵器(核兵器・生物兵器・化学兵器)フリーゾ
ーン構想の実現に向けて前進を図ることが、5月
の NPT 運用検討会議が最終的な合意結果を生み
出すことができるか否かの鍵となるという議論
がなされなかった。
」と指摘した。
「そうした中、潘基文国連事務総長がそうしたフ
リーゾーン設立に向けた議論を行う新たな会議
を招集するという提案が、現在真剣に検討されて
ジョン・バローズ LCNP 事務局長
資料:GSI/Katherine Prizeman
います。」とバローズ氏は語った。
「1995年に NPT を無期限延長する決
定は、同条約の寄託国である米国、英国、
ロシアが『中東に関する決議』を支持する
ことなしに、実現は見なかったのです。」
とバローズ氏は付け加えた。
オバマ大統領は、記者からパキスタンの核
兵器開発プログラムについて問われ、姿勢
を軟化させて次のように語った。「私はパキス
タンが異なるルールで(核兵器開発を)進めて
アラブ諸国
資料:Envolverde
いるとは思いません。米国は他の国々に対して
と同じく、パキスタンにも NPT に加盟するよう明確に求めてきました。」
しかしオバマ大統領は、
「パキスタンの核安全保障問題については実際のところ、過去数年
間にわたって進展が見られます。」と指摘した。
「私は、核兵器開発プログラムについては、南アジア全域の緊張関係を緩和したいのです。」
「事実、パキスタンのギラーニ首相がサミットに参加してコミュニケに署名し、同国から
の核物質拡散や不正取引を防止していく一連のコミットメントを示したこと自体、前向き
なことだ思います。
」と、オバマ大統領は語った。
「まだやるべきことが沢山あるのではと問われれば、全くそのとおりです。しかしギラー
ニ首相がここに出席していることは、南アジアで核危機が起こらない保障体制構築に向け
た重要な第一歩だと思います。
」と、オバマ大統領は付け加えた。
それとは対照的に、オバマ大統領は北朝鮮(と同国の核兵
器実験)並びに(核兵器開発疑惑で非難されている)イラ
ンに対しては比較的厳しい態度で臨んだ。
バローズ氏は IPS の取材に対してインド、パキスタン両国
は核兵器に使用する核分裂物質を生産していると語った。
パキスタンは、新たに2基の核兵器用プルトニウムが抽出
ユスフ・ギラーニパキスタン首相
資料:Envolverde
可能な重水炉の建設を進める一方で、ジュネーブ軍縮会議
による核兵器用核物質生産禁止条約(FMCT:カ
ットオフ条約)に関する審議入りを妨害している。
伝えられるところでは、オバマ大統領はサミット
においてギラーニ首相とカットオフ条約につい
て協議したが、ジュネーブ軍縮会議での同条約の
審議開始についてパキスタン側の協力を確約す
る返事は得られなかった。
国際司法裁判所
資料:Wikimedia Commons
「サミット自体、兵器用核分裂性物質の生産に関する問題を取り上げませんでした。
」とバ
ローズ氏は指摘した。
記者会見で拡大を続けるパキスタンの核開発プログラムについて問われたオバマ大統領は、
「パキスタンは核物質の密輸といった核拡散防止に取り組むコミットメントを表明してい
ます。米国の立場はパキスタンが NPT に加盟すべきだというものです。」とのみ語った。
一方、核政策に関する法律家委員会(LCNP)は、
「市民社会は5月の NPT 運用検討会議を
活用して各国代表に対して、NPT 加盟の如何を問わずそれぞれの核保有国が、他の核保有
国に対する抑止力として自国の核兵器を維持する決意と見られることから、
『核兵器なき世
界』というビジョンは幻想にすぎないということを知らしめる予定です。
」と語った。
1996年の国際司法裁判所(ICJ)による勧告的意見*で求められているような、全ての
核兵器の廃絶に向けた普遍的なアプローチがなされない限り、『核兵器なき世界』というビ
ジョンは幻想のままであり続けるだろう。(2010)
IPS Japan
* ICJ による勧告的意見(1996)
:
「核兵器の使用や威嚇は一般的に国際人道法に違反する」、
「NPT 参加国には、核軍縮
交渉を誠実に行い完結させる義務がある」という2つの判断が示された。とりわけ、核兵器保有国に核軍縮にむけて「誠
実に交渉を行う」という義務を定めた NPT 第 6 条に対し、それまでの曖昧な解釈ではなく、
「交渉するだけではなく、
その交渉を妥結させ、具体的な成果を達成する義務がある」とした。
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