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−セキュリティ、クオリティ、アベイラビリティ を重視−

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−セキュリティ、クオリティ、アベイラビリティ を重視−
−セキュリティ、クオリティ、アベイラビリティ
を重視−
End-End ・レイヤスルーの IT リソースマネジメントサービスを提供する NTT コミ
ュニケーションズ IT マネジメントサービス(ITMS)事業部。セキュリティ、クオリ
ティ、アベイラビリティの観点からバリューを付加したサービス展開する ITMS 事
業部の最近の取組みについて松尾直樹事業部長に聞いた。
NTT コミュニケーションズ㈱ 理事 IT マネジメントサービス事業部長
システムの企画・開発部門に集中し
工学博士 松尾
ようという機運が急速に高まってき
る傾向にあります。IT 専門調査会
たわけです。先進的な大企業は、積
社のガートナージャパンや IDC
―まず初めに、IT アウトソーシング
極的にアウトソーシングを推進し、
Japan の調査でも、国内 IT アウト
ビジネスを取り巻く現在の市場環境か
いまではかなり核となる部分までア
ソーシング市場の高い成長が予測さ
らお聞かせください。
ウトソースするようになってきてい
れています。(参考: IDC Japan は、
松尾
企業経営の根幹をなす情報
ます。また、「TCO 削減」やリソー
国内 IT アウトソーシング市場は年平均
通信システムは、企業の情報システ
スのコアコンピタンスへの「選択と
成長率8.2%で拡大し、2008年には2兆
ム部門あるいは関連子会社が、企画
集中」といった経営戦略は、大企業
3,363億円に達すると予測しています。
)
から開発そして運用・保守まで一貫
のみならず中規模企業にまで及んで
私どもも実際にビジネスを展開し
して行っていました。ところが、
います。このため、ここ数年の低迷
ていて、アウトソーシングへのニー
IT インフラが企業の経営上重要な
する国内経済環境下にあっても、
ズの高まりを肌で感じています。特
位置を占めるようになってきたこと
IT アウトソーシング市場は比較的
に、インターネットの活用を含めオ
から、大企業を中心に4、5年前か
高い成長を続けています。特に、イ
ープン化が進むITインフラについて、
ら情報システム部門を戦略部門化し
ンターネットや社会問題化している
セキュリティを担保しつつTCOを削
ていこうという動きが加速してきて
セキュリティといった分野に関して
減し、運用していくために、極力専
います。その背景には、企業の IT
は、専門技術者を自社で育成し、新
門家に任せようという動きは今後と
インフラが企業経営上なくてはなら
しい技術に追随していくことはなか
も急速に加速すると捉えています。
ないものになってきたことに加え、
なか難しいということもあって、高
複雑多様化・分散化してきており、
度なスキルとノウハウを持つ外部の
しかも 24 時間× 365 日運用が当たり
専門企業にアウトソースする傾向が
前になってきたことがあげられま
高まっています。また、自治体など
す。それに伴い、運用・保守業務に
公共機関も e-Japan 戦略に関連した
―そのような状況下で、IT マネジメ
ついては外部の専門企業に委託、す
IT 活用による公共サービスの効率
ントサービス事業部としてどのような
なわちアウトソースし、リソースを
化・高度化施策の展開にあたって、
サービスを展開されていますか。
自社のコアコンピタンスや情報通信
積極的にアウトソーシングを活用す
松尾 昨年3月、NTTコミュニケー
急速に拡大する
国内 IT アウトソーシング市場
10
直樹氏
End-End ・レイヤスルーの IT リソース
マネジメントサービスを提供
2004 Vol.41 No.10
ションズ(以下、NTT Com)は、新
セキュリティ、
クオリティ、ビジネスアベイラビリティを重視し、
End-End・レイヤスルーでマネジメント。
事業ビジョンとして「グローバルIP
ソリューションカンパニー」を掲げ、
デスクトップマネジメント
“ソリューション”“ネットワークマ
マネージドパフォーマンス
お客様オフィス
ーバル”の4つのコアバリューを軸
ホスティングPF
サーバ
ービスを展開することを発表しまし
サーバ
トラヒック制御
Network
(有線/無線、Open/Close、自社/他社問わず)
ルータ
電話機
に、グローバルIPソリューションサ
データセンタ
無線LAN
PC
ネジメント”“セキュリティ”“グロ
サーバマネジメント
プライベートネットワークマネジメント
24時間365日
運用監視
他社NW
PBX
IP-PBX
小売店舗等
ストレージ
非IT管理 自動販売機
た。新たな成長分野として育て上げ
る4つのコアバリューのすべてに大
電子署名 アクセス管理
クーラー
(業務用)
きく関わっているのが ITMS 事業部
データセンタPF
リモートオフィス
ディザスタ・
電子認証局・ SOC
(セキュリティ リカバリ
認証PF・電子公証 オペレーション
センタ)
バックアップ
マネジメントサービス
であり、グローバルに展開するネッ
図 1 ITMS 事業部が提供する IT アウトソーシングサービスの全体像
トワークとデータセンターをベース
に、
「プライベートネットワークマネ
タセンターにお預かりしたサーバや
リティ(安全性・堅牢性)」、「クオ
ジメント」、「サーバマネジメント」、
お客さまサイトにあるサーバ、さら
リティ(通信品質の管理・制御)」、
「デスクトップマネジメント」の3つ
にはお客さまのエンドユーザーがお
「アベイラビリティ(可用性・ビジ
のフラグシップサービスを中心にサ
使いのクライアント PC まで含め、
ネス継続性)」を重視し、この視点
ービス展開しています(図1参照)
。
End-End かつレイヤスルーの IT マ
からお客さまに付加価値を提供する
―どのような点を重視して、サービ
ネジメントサービスを効率的に提供
ことに注力しています。
スを展開されていますか。
していきます。
松尾
ネットワーク、サーバ、デス
当事業部では、いわゆる営業フロ
クトップがIP化によって、非常に密
ントのセールス、デリバリーエンジ
に、一体化してきています。また、日
ニアリング、カスタマーリテンショ
本のブロードバンドネットワークは世
ンというバリューチェーンのうち
―内部の組織構成をお聞かせくださ
界一安価になってきており、例えばサ
の、カスタマーリテンションのフェ
い。
ーバをデータセンター側に置いても通
ーズを担っています。保守・運用の
松尾 先ほどお話しした 3 つのフラ
信費に関するコストデメリットがなく
サービス化にあたっては、「セキュ
グシップサービスを中心に、サービ
新組織体制で、3 つのフラグシ
ップサービスを中心に積極展開
なってきています。ウイルス/ワーム
・音声系・データ系を高品質に統合
・トラフィック監視、帯域制御・管理
・サーバ・ルータまで含めた性能監視
や情報漏洩などのセキュリティ対策や
アプリケーションのライセンス管理と
いった面で、サーバだけでなく、エン
ドユーザーがお使いの PC までの管
理がデスクトップマネジメントでは
非常に重要となります。
LAN機器、
ホスト、電話など
通信機器
各種ネットワーク
サービス
通信機器
お客様事業所A
LAN機器、
ホスト、電話など
お客様事業所B
こういったことから、従来から多
くの実績を持ち大きなビジネス基盤
一元的な保守運用
となっている「プライベートネット
ワークマネジメント」に加え、デー
2004 Vol.41 No.10
図 2 プライベートネットワークマネジメントサービスの概要
11
End-End ・レイヤスルーの
IT リソースマネジメントサービスを展開
います。つまり、サーバマネジメン
Secure Access
ソリューション
Internet
NTTCom NTTCom データセンター
トのクリエーション・デリバリーは
「ホスティングサービス部」、デスク
共通GW
オペレーションセンタ
トップマネジメントのクリエーショ
・ FW、IDS、
ウイルスチェック
・ロードバランサー
AGILIT
(オンディマンド・ホスティングソリューション)
Webサーバ等
お客様サイト A
・セキュリティ
・明確なサービス保証
・スピーディで確実な構築・変更
Server統合ソリューション
サーバ系
ービス部」が行い、その全体の保守
■運用の自動化によるイノベーション(定量効果)
Siebel/SAP運用管理
ソリューション
お客様サイト B
GI
L
業界標準 AI
適用される機能
T
OS
プロヴィジョニング 8時間 1時間
プロヴィジョニングの自動化
データマネジメントソリューション
フ
ファイル統合
ァイル統合
運用をアウトソーシングサービス部
業務
導入
バックアップ統合
ン・デリバリーは「オフィス IT サ
セキュリティ管理
監査業務
4週間
3日
アプリケーション
プロヴィジョニングの自動化
1-2週間
1日
脆弱性の検知と
パッチの適用の自動化
1週間 30分
異常時システム戻し 2-6時間 10分
が行うという体制にしています。そ
れから「ビジネス推進部」は企画部
資産管理の自動化
コード導入と
ロールバックの自動化
隊ですが、コロケーション部門もこ
の中に含めています。
図 3 サーバマネジメントサービスの概要
Managed Office-ITサービス
お客様
外出先など
ARA/ANA
資産管理サービス
資産調査、ツールによるインベントリ情報自動収集
と連携した資産管理DBの運用
お客様オフィス
オフィスI
T
(PC、サーバ、プリンタ、配線、等)
情報漏洩対策としての
シンクライアントサービス
メタフレーム技術による重要な
情報は画像データのみ送信可能
画像データのみ送受信
ITケアサービス
移転総合エンジニアリングサービス
・種々の端末の異動等に伴うSO工事
・ビル等へ常駐
・大規模な端末の像移設をマネージメント
リモートアクセス、
等
また最後になりましたが、「ビジ
ソフトウェア管理サービス
ソフトウェアのオンライン配信・配布、ライセンス
の調達代行、ライセンス管理
セキュリティー管理サービス
セキュリティーパッチ配信、ウィルス/ワーム対策
(IDS )、IC カード認証、データの暗号化(DRM)
電話系(PBX、電話機、FAX、等)
ヘルプデスク
エンドユーザからの故障や問合せ対応、オンサイト
ウィルス定義ファイル配布
パッチ配布
情報収集
Web 閲覧
質問受付
(Webベース)
社員認証
常駐による各種サポート
リソース認証
PCライフサイクルマネジメント
PC調達・リース/キッティング/配布/予備機保管
/回収/HDD データ消去/廃棄支援
ユーザサポート
データ参照・
投入・申請
その他付加価値
プリンタ/FAX等の管理、モバイルアクセス管理、
IC タグ、PCバックアップ
NTT Com
データセンター
NTT Com
データセンター
データ
活用
セキュリティ管理サーバ
ソフト配布サーバ
情報収集サーバ
シンクライアントサーバ
活用
ユーザ対応WWW
連携
全社統合ヘルプ
デスク
資産管理サーバ
データ
活用
お客様へ
定期レポート
運用レポート
その他
ヘルプデスク
全社統合
ファイルサーバ
Active Directory DRMサーバ
社員証認証サーバ
ネス基盤サービス部」は、プラット
フォーム的なサービスを展開する部
隊です。認証基盤サービス
「BLADE」を核にしたクライアン
ト/サーバ証明書の発行やその上に
搭載される電子契約などアプリケー
ションを ASP サービスとして提供
しています。また、新しいサービス
として、「AGILIT」と呼ぶオンデ
マンドのホスティングプラットフォ
ームを本年7月から開始しました。
図 4 デスクトップマネジメントサービスの概要
ネットワークとデータセンターを
セットで所有するのが大きな強み
ス開発、販売推進からデリバリーま
る部隊です。ここには「ARA/ANA」
での体制を確立するために、本年9
と呼ばれるシンクライアントシステ
月から大きく5つの部に内部組織を
ムを提供する部門や、構成管理デー
―アウトソーサーとして、貴社の強
再編しました。3つのフラグシップ
タベースに基づいてお客さまシステ
みはどこにあると思いますか。
サービスの概要を図2∼図4に示し
ムのアフターケアを行う部門も含め
松尾
ますが、「ホスティングサービス部」
ています。「アウトソーシングサー
ネットワークと、IT システムの基
は、サーバマネジメントサービスを
ビス部」は、プライベートネットワ
盤となるデータセンターをセットで
推進する部隊です。この中には、ア
ークマネジメントのサービスを展開
持っているというのが一番の強みだ
プリケーションのマネジメントサー
するとともに、CSC(カスタマ・サ
と思います。コネクティビティの良
ビスやフルアウトソーシングを提供
ービス・センター)と呼んでいる保
さとグローバルな展開が私どものデ
する部隊も含まれています。「オフ
守運用の実務部隊を含めています。
ータセンターの強みにもなっていま
ィス IT サービス部」は、デスクト
例えば、サーバの保守運用もこのア
す。ネットワークもデータセンター
ップマネジメントサービスを推進す
ウトソーシングサービス部が行って
もグローバルスタンダードで提供し
12
やはり、キャリアとしての
2004 Vol.41 No.10
ていく必要があると感じています。
点からもデスクトップマネジメント
ますが、今後この領域も大きく拡大
また、もう一つの特徴は、キャリア
の市場は、間違いなく急速に拡大す
すると思いますので、しっかりと取
の社会的な責任として、対応してき
るとみています。
り組んでいきたいと考えています。
ました災害対策や災害発生時の対応
―市場の拡大に伴い事業部の人員も
経験・運用実績を持っているという
拡大していくのですか?
ジドパフォーマンスサービス」と呼
ことも大きな強みだと思います。
松尾 現在約 520 人です。まだまだ
ぶアプリケーションのパフォーマン
要員は不足していますが、今後はで
スのモニタリング技術を使ったサー
きるだけサービスをメニュー化し、
ビスを提供しています。これは、例
業務のプロセスをテンプレート化し
えばホームページのレスポンスにつ
て再生産性の向上を図ることで作業
いてエンドユーザーからどれくらい
―今年度、特に注力されるサービス
効率を上げることを考えています。
の体感性能で使っているかを常時監
分野は…。
例えば、同一種類のルータやスイッ
視するというサービスです。性能劣
松尾
ネットワークマネジメント
チを多くのお客さまにご利用いただ
化の原因となっているボトルネック
は、私どもの大きなビジネス基盤で
くことで、保守運用技術者は一人で
を見つけて、改善提案も行っていま
すが、ユーザーの数は増えているも
何社も対応できますので、効率が上
す。また、アプリケーションの性能
のの、IP ネットワーク化している
がります。ベンダーフリーは、
を監視しながら、重要なアプリケー
こともあって、ビジネスボリューム
NTT Com の強みですが、保守運用
ションに対してネットワークの帯域
はそれほど増加していません。した
という観点からみると仕事の効率は
を優先的に割り当てる優先制御機能
がって、まずはサーバマネジメント
悪いわけです。メニュー化すること
付通信機器を利用した「AppMaster」
のさらなる拡大、次にデスクトップ
で、限られたリソースを効率的に活
と呼ぶサービスも提供しています。
マネジメントの順でビジネスを拡大
用することが可能になります。
することに注力しています。
―今後のビジネス展開についての抱
ンデマンドでアサインしていく、ユ
―デスクトップマネジメントの市場
負をお聞かせください。
ーティリティコンピューティングと
は、日本ではまだこれからですか?
松尾
いわれる技術が進歩してきています。
松尾
化が加速すると考えていますので、
この先がけとなるものがオンデマン
り、まだまだ日本の企業では PC の
デスクトップ以外のデバイスの管理
ドホスティングサービス「AGILIT」
利用については、野放し状態のとこ
も重要になります。情報家電をはじ
であると思っています。これらの3
ろが多いようです。このため、各社
めコピーマシンや、冷蔵庫の空調機
つの技術を組み合わせることにより、
員が本来業務の時間を割いてパソコ
もネットワーク化され始めていま
アプリケーションのパフォーマンス
ンの管理に費やす時間を考えると、
す。例えばコピーマシンの利用状況
を常時監視しながら、その品質を最
会社としてはかなりのコストがかか
や用紙の残量などをすべて遠隔監視
適化するようネットワーク及びコン
っているはずですが、これを把握し
できますので、こういった分野を含
ピュータのリソースを自動的にアサ
きれていません。また、ウイルス/
めたピアツーピアのマネジメントサ
インするというユーザーにとって理
ワーム対策等のセキュリティ管理を
ービスに拡大していくことが重要で
想的なサービスの提供を、少し先に
徹底するうえでも、デスクトップの
す。また、すでに NTT Com では
なるかとは思いますが考えています。
管理は極めて重要です。特に、来年
「IP セントレックスサービス」を提
春からは個人情報保護法が完全施行
供しており、これに対応した IP フ
されることもあって、情報漏洩の観
ォンなどのマネジメントを行ってい
2 年後、1000 億円の
事業規模達成を目指す
米国と比べかなり遅れてお
2004 Vol.41 No.10
今後、ネットワークの IPv6
さらに、私どもでは現在「マネー
また、コンピュータリソースをオ
―本日は有り難うございました。
(聞き手・構成:編集長 河西義人)
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