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Vol.8夏号 H26.7月発行

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Vol.8夏号 H26.7月発行
病棟紹介
職員研修会報告
一般病棟(本館 3 階)
リハビリコラム
アンチエイジング
その 3
慈誠会トピックス
リ ハ ビ リ ギ ャ ラ リ ー ~ 2014 夏 ~
リハビリクイズ
サッカーについて
〒174-0071 東京都板橋区常盤台 4-36-9 :03-3933-7191 FAX:03-3937-7764
http://www.jiseikai.or.jp/kamiitabashi.html e-mail:[email protected]
平成 26 年 7 月発行夏号
Kamiitabashi Hospital
石橋 病 棟
師 長 に聞
きました
スタッフ数
看護師:
20名
介護職:
8名
毎日、入院・退院・転入・転棟
等忙しい病棟ですが、20 代のフレッシュ
看護師や介護スタッフから 60 代のベテラ
ンまで幅広い年齢層の職員が勤務していま
す。一人一人が日々向上心とプロ意識を
持ちお互いを思いやる職場づくりを目指し
ています。患者様はほとんどの方が高齢の
方々です。入院の原因疾患以外にも複数
の疾患をお持ちです。安心・安全の医療、
看護の提供は勿論ですが、患者様の気持
ちを汲み取り支えられる個別ケアが実施で
きるように努力しております。
患 者 様 とそのご家 族 様 より『上 板 橋 病 院 に入 院 して良 かった』
と言って頂けるような病棟でありたいと思っております。
毎日エレベーターの前で“リハビリに行って来ます”“いって
らっしゃい”“リハビリから帰りました”“お帰りなさい”と
会話が飛びかっています。日々、日常生活活動がアップなさっ
ていく状態を見せて頂く事の喜びを感じております。お互いの
連携で更なるレベルアップを目指せていければと思います。
患 者 様 の日 常 生 活 活 動 維 持 を低 下 させないために
リハビリはとても大切な事なので、リハビリスタッ
フとの情 報 交 換 をし っかりし、一 緒 に 頑 張 ってい
きたいと思います
本 館 3 階 一 般 病 棟 は、本 当 に患 者 様 思 いの病 棟 だと、スタッフの働 きぶ
りを見 て感 じます。それぞれの看 護 師 や介 護 職 が、患 者 様 について考
え、より良 い方 策 を悩 みながら実 践 されています。今 後 も期 待 していま
2
す!!
平成 26 年 7 月発行夏号
リハビリとアンチエイジング
その 3 神経栄養因子
Kamiitabashi Hospital
上板橋病院リハビリテーション科
理学療法士 白木靖次郎
突 然 ですが、消 費 税 と脳 の機 能 について
ジョギングすると心身がリフレッシュする訳
4 月 から消 費 税 が上 がりました。
は、
例 えば、ジョギングすると、『脳 内 報 酬 系 』
皆 さん、増 税 の実 感 ありますか?
からドーパミンが出 て、夢 中 になれる集 中
私 は、すっかり増 税 の事 実 を忘 れてしまって
力 、意 欲 が高 められます。心 身 の安 定 や心
い ま す m(__)m 。 認 知 症 ? い え 多 分 違 い ま す
の安 らぎ などに も関 与 する『 幸 せ ホルモ ン 』
(笑 )。これは、脳 の重 要 な機 能 『忘 れてい
のセ ロ ト ニ ン も分 泌 され ます 。 モル ヒネ の数
く能 力 』 * 1 の力 のおかげなのです。
倍 の鎮 痛 効 果 があり、『快 感 や幸 福 感 』を
昔 、尋 常 な記 憶 力 を持 ち、見 た物 を全 て記
憶 したという人 の報 告 があります。ところ
与 え て くれ る ベ ー タ エ ン ド ルフ ィ ン も分 泌 さ
れます(“ランナーズハイ”で有 名 です )。
が、その記 憶 力 は、日 常 生 活 において、プラ
スに働 くことはなかったそうです。
なぜ、プラスに働 かなかったというと、 全
脳由来神経栄養因子BDNFは
神経の分化・生存にとても必要な物質です
てを記 憶 する力 は、時 間 が経 過 しても精 神 的
これらは、信 号 を伝 えるメッセンジャー神 経
に辛 い経 験 を忘 れさせる事 が出 来 なかった た
伝 達 物 質 です。
め、環 境 に適 応 出 来 なくなったそうです 。
対 して、BDNF は、脳 の回 路 そのものを構 築
病 的 ではない「忘 れていく事 」は、私 達 の
するために根 本 的 に必 要 な神 経 の分 化 ・生
幸 せな人 生 を送 るためには、とても重 要 な要
存 などに関 わる 物 質 なのです。
素 なんですね 。
運 動 により顕 著 に分 泌 される事 が分 かって
“積 極 的 に思 い出 さないようにすると、本
当 に忘 れる事 ができる“ということも最 近 の
おり、記 憶 や知 能 に関 わる海 馬 や前 頭 前 野
に多 く存 在 します。 * 2 * 3
研 究 で分 かっています。
日々のリハビリの中で
運動は、BDNFを分泌させ、脳内で情報の
高速道路を作る準備をしてくれるのです。
日 々のリハビリで、重 い後 遺 症 の苦 しみを
忘 れ、まさに生 きる希 望 を見 出 そうと、ひた
繰 り返 された学 習 は、神 経 単 位 を大 きく
むきに取 り組 む姿 を目 の当 たりにします。
し、神 経 間 の結 合 をより強 くするという発
消 費 税 は、どこまで上 がるかも不 安 です
見 が 2000 年 にノーベル賞 (エリック・カン
が、環 境 への適 応 性 は、脳 の機 能 が非 常 に大
デル)をも たらし ま した。つま り、 運 動 (学
きな役 割 を担 っていることは確 かなようで
習 )を繰 り返 す事 で、神 経 の経 路 が小 道 か
す。
ら、国 道 になり、高 速 道 路 に発 展 し、イン
ターチェンジも作 り、より多 くの情 報 を効
率 的 に伝 えられるようになるのです。
話を戻して・・・前号の続き
前 号 は、運 動 が、脳 の神 経 を結 び付 け、学 習
に効 果 を及 ぼすとお伝 えしました。
今 回 は、運 動 により生 成 される
『脳 由 来 神 経 栄 養 因 子 』(以 下 BDNF ) とい
うものをご紹 介 します。
3
この神 経 系 のインフラ整 備 (ドーパミンやセ
ロトニンという車 が走 る道 )には、 BDN F が
欠 かせないのです。
平成 26 年 7 月発行夏号
Kamiitabashi Hospital
ちょっと、話 は変わり食べ過 ぎは、早 死 にリスク 3 倍 。
リハビリとアンチエイジング
その 3 神経栄養因子
カロリー摂 取 量 における研 究 報 告 。 * 6
成長因子には、他にも種類があります。
間 にわたり、サルで行 った実 験 で、カロリー
もちろん、運 動 には BDN F だけでなく、血 管 内
皮 成 長 因 子 (血 管 の整 備 )やインスリン様 成
長 因 子 (燃 料 の管 理 )なども生 成 されます。
心 臓 リハビリや糖 尿 病 の運 動 療 法 の科 学 的 根
拠 に な っ て い る 因 子 で す 。 こ れ ら も 脳 内 の イン
フラ整 備 には欠 かせないものなのです。 * 4
運 動 を瓶 詰 の薬 にしたいものです。
米 ウ ィス コンシ ン・ マディ ソン 大 学 が 25 年
摂 取 量 を 10 % 減 ら す だ け で 老 化 を 抑 え 、 長
生 きできることが分 かりました。
好 きなだけ餌 を食 べたグループは、病 気 にか
かるリスクは 2.9 倍 で、早 死 にするリスクも
3 倍 だったそうです。生 活 習 慣 病 は関 係 な
く、カロリー制 限 因 子 だけです。
一 方 、カロリー制 限 したサルは早 死 にリスク
が極 めて低 く、加 齢 とともに病 気 になるリス
クも少 なかったのです。また、食 事 制 限 にも
脳を元気にしたいのなら、
BDNF の 増 加 が 認 め ら れ ま し た 。 「 そ ん な 訳
ランニングシューズの紐 を結 び、一 歩 、走 り
はない!栄 養 がある方 が長 寿 に決 まってい
出 せば、脳 は変 えられるという訳 です 。
る! 」 とい う 研 究 者 によ り 、 何 度 も 検 証 実 験
が繰 り返 されましたが、結 果 は同 じ。確 かに
猿人類から、人類への進化から考えても
カロリー制 限 すると寿 命 が延 びたのです。
進 化 の 観 点 か らみ る と理 にか なっ てい ま す。
昔 から 「腹 八 分 目 」 という 言 葉 は、 科 学 的 に
以 前 、人 類 の進 化 は、道 具 を使 い始 めたか
も正 しかったようです。
らではなく、持 久 走 を始 めたから だ
ちなみに 、 肥 満 の有 病 率 は世 界 的 に 増 加 して
*5
と、お
伝 えしました。
います。この 33 年 間 に、肥 満 は増 加 し、減
学 習 と記 憶 の能 力 は、祖 先 たちが遠 方 まで
量 が成 功 した国 の報 告 もない そうです。 * 7
食 料 を見 つけるために、必 要 な運 動 機 能 と
共 に進 化 し たのです。
運動が良いのは分かるけど・・・
運 動 処 方 と言 われるように、運 動 も薬 同
様 、その条 件 によって得 られる効 果 は異 な
運動機能の発達と共に知能の進化がある
ります。アンチエイジングにとって最 適 な
運 動 条 件 はあるのでしょうか?
脳 にしてみれば、身 体 が動 かないのであれば、
“ランニング”と“ウォーキング”どっち?
学 習 する必 要 は全 くないのです。
走 る の と 歩 く の で は 、 どち ら が 身 体 に 良 いの
脳 の神 経 細 胞 にとっては、成 長 するか、衰 退
でしょうか?
するか、どちらかだけです。身 体 を動 かさない
夏 を前 にランニングブームは凄 いですね。走
脳 のアンチエイジングは、あり得 ないのです。
る方 が、減 量 効 果 が高 いのは明 らかで、心
肺 機 能 も高 められます。
参考引用文献
*1『脳に学ぶ経営戦略』米山公啓著
一 方 、 弊 害 として 指 摘 されているのが 、 腰 や
*2 認知障害―運動療法の可能性 諏訪部 和也ほか 総合リハ 41 巻 9 号
膝 などの関 節 への負 担 や、心 臓 負 荷 による
*3 認知機能及び脳由来神経栄養因子に関する運動疫学 熊谷 秋三他
心 臓 リ ス クも 上 が る と いう も の で す。 過 度 な
research in exercise Epidemiology volume 9 2006.12.22。
運 動 は活 性 酸 素 も増 やし、老 化 を早 めると
*4 The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain John J.. Ratey
*5 バカはなおせる
久保田 競著(アスキー)
*6 ラットにおける運動は、BDNF やその他の神経栄養因子を増加させる
Cotman cw, berchtold NC.Exercise Trends Neurosci.2002.295-301
*7 Lancet 誌オンライン版 2014 年 5 月 29 日号
4その他:Wikipedia、アンチエイジングその他の Website より引用・参照
いう 意 見 もあ り、 歩 くほう が 身 体 に 良 い とい
う理 屈 になっています。
さあ、どちらが良 いのでしょうか?
また、次 回 報 告 しますね。
平成 26 年 7 月発行夏号
Kamiitabashi Hospital
第 4回 リハビリ研 修 会 で、「更 衣 動 作 について」の勉 強
会 を実 施 しました。服 を着 る、脱 ぐって、頭 であまり考
えずに行 うので、少 し難 しかったかもしれません。
更 衣 動 作 は、服 の素 材 による皮 膚 との抵 抗 感 や、き
ゅうくつ感 から、身 体 を捻 じらせ、伸 ばし、違 和 感 から
の解 放 感 を求 め、更 衣 動 作 を完 了 しています。つまり、
感 覚 がとても重 要 な活 動 なのです。少 しでも患 者 様 の更
衣 が、気 持 ち良 い心 地 になるよう勉 強 会 の経 験 を活 かせ
て頂 けたらと願 っております。
西武 池袋 線 練 馬 駅北 口の Coconeri の5~8階
部 分 に練 馬 駅 リハビリテーション病 院 が開 院
(H26 年 5 月)しました。回復 期:150 床、診
療 科 目 :リハビリテーション科 ・内 科 など、詳
細は、慈誠会ホームページをご覧下さいね。
練 馬 区 初 となるリハビリ病 院 なので、区 民 の期
待 も大 きいと思 います。同 グループとして、上
板 橋 病 院 リハビリも、最 大 限 応 援 してます。頑
張ろう練馬駅リハビリ病院!!
上 板 橋 病 院 は、H26 年 8 月 より、病 院 内 に介 護 保 険 を利 用
した短 時 間 通 所 リハビリテーションを開 設 する運 びとなり
ました!平 成 28 年 4 月の診 療 報 酬 改 定 により、維 持 期 外
来 リハビリテーションは、医 療 保 険 では終 了 となり、介 護
保 険での提 供へ移 行するようにと示されているからです。
当 院 もこれを受 け、介 護 保 険 でも病 院 の中 であるメリッ
トを生 かし医 学 的 リハビリテーションに近 いサービスを提
供 できるよう努 めていく次 第 です。今 後 、介 護 保 険 で充 実
したリハビリをご希 望 の方は、ぜひ、ご利 用 下さい。
患者様がリハビリの時間や自主トレの時間
に作った作品をリハビリ室に飾らせて頂いて
います。皆様の気持ちのこもった作品が目白
押しです。手芸や作業を通して、少しでも回
復に向かえるよう願っております。
5
平成 26 年 7 月発行夏号
Kamiitabashi Hospital
問題: 早期認 知症 の症状として、
疑われないものはどれでしょう?
1.
財 布 の中 の小 銭 は、比較 的 少ない。
2.
待 ち合 わせの時 間 によく遅 刻 する。
3.
最 近 、服 の身 だしなみが悪 くなった。
4.
自 分 の失 敗 を人 のせいにする。
5.
外 出 時 、持 ち物 を何 度 も確 かめる。
*答 えは、下 欄 にあります。
W 杯 は興 奮 しました。唐 突 ながら、協 会 名 称 に「 soccer 」サッカーの名 称 を利 用 しているのは、FIFA
加盟国で 4 か国(アメリカ、カナダ他)だけだそうです。日本サッカー協会の英語名は、 Japan Football
Association です。世界的には、サッカーではなく、フットボールなのですね。足(FOOT)です!!
新石器時 代(紀元前約 1 万年前)に、中国で石の玉が発見されるなど、人類としての歴史 が始まった頃
から、ある種のフットボールが行われていたと言われています。
今のフットボールが確立されたのは、約 150 年前です。英国のケンブリッジ大学が教育の一環としてル
ール作 りをしたとされています。それまでは、ラグビーとフットボールを混 ぜたようなスポーツでした。
手を使わない「Football」が生まれたことで、「ラグビー」も確立され、それぞれが誕生した訳です。
サッカーは国同士の戦 争だなんて過激な発言 もあります。20 年前の W 杯で、コロンビア代表として先発
出場したエスコバルは、前半 35 分に痛恨のオウンゴール(味方が自陣へゴールすること)を献上し、敗戦
を招きました。この時点で 1 次ラウンド敗退 が決定しました。彼は、帰国して、なんと、銃撃され殺され
てしまいました。信じられない悲しい出来事 です。ちなみに、日本 では 1990 年代 前 期までオウンゴール
を「自 殺 点 」と呼 んでいましたが、この事 件 をきっかけに「自 殺 点 」の呼 び名 は廃 止 され、これに代 わっ
て「オウンゴール」が採用されるようになったそうです。(終わり)
異常気象やエルニーニョ現象 にも負けず、アンチエイジングしながら、夏を楽しんで行きましょう!!
クイズの答え
答 :1
小 銭 が少 ない
⇒
多 くなる
認知症になっても、比較的計算能力は維持されるといわれています。
しかし、レジで精算など、社会との関わりの中で、お釣りを計算しな
がら、挨拶をするなど多重課題が困難になるため、小銭が多くなる傾
向にあると言われます。
2.は、道に迷うことが多くなり、結果的に待ち合わせに遅れがちにな
ります。3.は、意欲が無くなり下着などを着替える事も少なくなりま
す。4.些細な事で怒ることが多くなり、人格変化が認められるように
なります。5.短期記憶(数分前の出来事など)が障害され、忘れやす
くなるため、孤独や持ち物に対し不安感が強くなります。
6
次 号 は 、 H26 年 10 月 秋 号 予 定 で す 。 ご 期 待 下 さ い ! !
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