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現代通信(株)

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現代通信(株)
News Release
平成23年8月9日
消
費
者
庁
特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する
業務停止命令(9か月)について
○ 消費者庁では、自社ホームページ、新聞折り込み等への絵画、短歌等の作
品の掲載を行う役務提供事業者である次の5社に対し、本日、特定商取引法
第23条第1項の規定に基づき、平成23年8月10日から平成24年5月9
日までの9か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(新規勧誘、申込み受付
及び契約締結)を停止するよう命じました。
アートライフ株式会社 (東京都立川市)
現代通信株式会社
(東京都立川市)
株式会社東宝堂
(東京都立川市)
株式会社東広通信
(東京都立川市)
株式会社アドクリエイト(東京都立川市)
あわせて、当該5社に対し、同法22条の規定に基づき、次の旨を本件役務
提供契約を締結した者に通知することを指示しました。
・絵画、短歌等の作品のホームページへの掲載、新聞折り込みに関する役務
の対価について、実際は有料の広告掲載であるにもかかわらず、無料である
などと告げていたことがあること。
・その後、実際には消費者が無料であることなどを前提に作品掲載を承諾
しただけであるにもかかわらず、有料での広告掲載契約が成立していると
告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽であること。
○ 認定した違反行為は、不実告知、勧誘目的等不明示、再勧誘、迷惑勧誘及び
契約書面の記載不備等です。
1.アートライフ株式会社、現代通信株式会社、株式会社東宝堂、株式会社東広
通信、株式会社アドクリエイトの5社(以下「アートライフなど計5社」という。)
は、いずれも、立川市内の同一の事務所に所在し、絵画や短歌等を趣味とする
高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、絵画や短歌等の作品を有料で自社H
P等に掲載するというサービス(以下「本件役務」という。)の提供について、
勧誘する消費者の情報等を共有し、相互にタイミングを謀りつつ、電話勧誘販
売を行っていました。
1
2.認定した違反行為は以下のとおりです。
(1)アートライフなど計5社は、勧誘に際し、実際は掲載料が30万円以上
の有料の広告掲載であるにもかかわらず、「ネットに掲載するのは無料で
す。」、
「一切お金はかからないので、作品を掲載する承諾をして下さい。」な
どと不実を告げていました。
(2)アートライフなど計5社は、実際には、消費者が無料であることなどを
前提に作品掲載を承諾しただけであるにもかかわらず、
「掲載承諾契約書に
サインされたのだから支払って下さい。」などと、有料の広告掲載契約が成
立しているとの不実を告げていました。
(3)アートライフ株式会社は、消費者に対し、自社ホームページ掲載及び新聞
折り込みとして掲載料金を請求していたが、実際には新聞折り込みをしてい
ませんでした。
(4)アートライフ株式会社及び株式会社東宝堂は、本件勧誘の目的が、自社H
Pや新聞折り込み等に絵画、短歌等の作品を有料で掲載する役務の提供であ
るにもかかわらず、勧誘に先立ち、消費者に対しこれを告げることなく、
「平
和祈念キャンペーンに協力いただきたい。作品掲載の了解をいただきたい。」、
「『・夢・希望詠んで照らす平和の灯火』と題した当社のホームページに掲
載してもらい、先生の作品を通じて平和支援のご協力をいただきたい。」な
どと、まずは平和祈念に関心を向けさせてから勧誘を始めていた。
(5)アートライフなど計5社は、消費者が「(HPや新聞折り込み等に)発表
はしたくないですし、もう電話しないでください。」などと、契約を締結し
ない旨の意思を表示したにもかかわらず、再度電話をかけるなどして勧誘を
行っていました。
(6)アートライフなど計5社は、無料であることなどを前提としてホームペー
ジ等への作品掲載を了解した消費者に対し、何度も電話で掲載料金の支払い
を請求したり、請求書を送りつけるなど、消費者が迷惑を覚えるような仕方
で勧誘を行っていました。
2
(7)アートライフなど計5社は、契約書面の代表者の氏名及び担当者名につ
いて虚偽記載などをしていました。
【本件に関するご相談窓口】
本件に関するご相談につきましては、消費者庁から権限委任を受けて消費者庁とと
もに特定商取引法を担当している経済産業局の消費者相談室で承ります。お近くの経
済産業局までご相談ください。
北海道経済産業局消費者相談室
電話 011-709-1785
東北経済産業局消費者相談室
022-261-3011
関東経済産業局消費者相談室
048-601-1239
中部経済産業局消費者相談室
052-951-2836
近畿経済産業局消費者相談室
06-6966-6028
中国経済産業局消費者相談室
082-224-5673
四国経済産業局消費者相談室
087-811-8527
九州経済産業局消費者相談室
092-482-5458
沖縄総合事務局経済産業部消費者相談室
098-862-4373
3
電話勧誘販売業者5社に対する行政処分の概要
1.アートライフ株式会社
(1)事業者の概要
名
称:アートライフ株式会社
代 表 者:代表取締役 中村 美樹
所 在 地:東京都立川市曙町1-30-12
(登記上は東京都中央区日本橋人形町3-5-9)
資 本 金:1万円
設
立:平成22年5月12日
取引形態:自社ホームページ、新聞折り込み等への絵画、短歌等の作品の
掲載サービス
(参考)役務の対価(掲載料)は、約30万/月
(2)取引の概要
アートライフ株式会社は、現代通信株式会社、株式会社東宝堂、株式会社東広
通信及び株式会社アドクリエイトの4社とともに、立川市内の同一の事務所に所
在し、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、本
件役務の提供契約の締結について勧誘することにより、当該消費者(以下「電話
勧誘顧客」という。)から当該役務提供契約の申込みを電話により受け、本件役
務の提供を行っていた。
(3)行政処分の内容
①業務停止命令
ⅰ 内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、
次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る役務提供契約を締結すること。
ⅱ 停止命令の期間
平成23年8月10日から平成24年5月9日まで(9か月間)
②指示
アートライフ株式会社と絵画、短歌等の作品のホームページへの掲載及び
新聞折り込みに関する役務提供契約を締結した者に対し、「同社が、絵画、
4
短歌等の作品の同社ホームページへの掲載及び新聞折り込みに関する役務の
対価について、実際は30万円以上の有料の広告掲載であるにもかかわらず、
無料、あるいは1か月分の掲載料金の一部でしかない金額を告げていたこと
があること、また、その後、実際には消費者が無料、あるいは勧誘時に告げ
られた金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもかかわらず、
本件役務の提供に対し、勧誘時に告げた金額以上の対価を支払う契約が成立
していると告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽である。」旨を、
平成23年9月9日までに通知し、同日までにその通知結果について報告す
ること。
(4)命令の原因となる事実
アートライフ株式会社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っ
ており、電話勧誘販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著
しく害されるおそれがあると認められた。
①役務の対価についての不実告知(特定商取引法第21条第1項2号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「ネットに掲載するのは無料です。一切お金はかからないので、作品を掲載
する承諾をしてください。」、「ホームページに載せるのは無料です。」、
「インターネットや冊子に作品を掲載しませんか。費用は6万3千円です。」
などと、役務の対価に関して実際は30万円以上の有料の広告掲載契約であ
るにもかかわらず、無料、あるいは1か月分の掲載料金の一部でしかない6
万3千円と告げていた。
②判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項についての不実告知(特定商
取引法第21条第1項7号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「契約したのだから仕方ありません。掲載承諾契約書にサインされたでしょ
う。だから支払って下さい。」、「掲載承諾契約書をもらっています。」など
と実際には電話勧誘顧客が無料であることなどを前提に作品掲載を申込み又
は承諾しただけであるにもかかわらず、本件役務の提供に対し有料の広告掲載
契約が成立していると告げて勧誘していた。
③役務の種類についての不実告知(特定商取引法第21条第1項1号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「ネット掲載はただですが、新聞掲載は有料ですよ。○○新聞の東京、千葉、
5
大阪に折込チラシを30万部入れる。」などと告げ、また、何の請求書かとい
う問いに対し、
「新聞の折込広告です。早く払って下さい。」などと、実際には
新聞折り込みを行っていないにもかかわらず、新聞折り込みを行っていたと告
げていた。
④勧誘目的等不明示(特定商取引法第16条)
同社は、本件役務提供契約に係る電話勧誘販売をするときに、電話勧誘顧客
に対し、偽名を名乗った上で「平和祈念キャンペーンに協力いただきたい。作
品掲載の了解をいただきたい。」、「『・夢・希望 詠んで照らす平和の灯火』
と題した当社のホームページに掲載してもらい、先生の作品を通じて平和支援
のご協力をいただきたい。」などと告げて勧誘を開始しており、その勧誘に先
立って勧誘を行う者の氏名、役務の種類及び役務提供契約の締結について勧誘
するためのものであることを告げていなかった。
⑤再勧誘(特定商取引法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「発表はしたくないですし、もう電話しないでく
ださい。」などと本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示したにもか
かわらず、再度電話をかけて勧誘を行っていた。
⑥迷惑勧誘(特定商取引法第22条第3号、省令第23条第1号)
同社は、本件役務提供契約の締結について、電話勧誘顧客が何度も明確に
断っているにもかかわらず、週1回くらいのペースで電話をかけ、または何
度も電話で支払いを請求し、請求書を送りつけるなど、迷惑を覚えさせるよ
うな仕方で勧誘をしていた。
⑦契約書面の虚偽記載及び記載不備(特定商取引法第19条第1項、省令第17
条第1号及び2号、省令第20条第1項)
同社が電話勧誘行為により本件役務提供契約を締結した際に交付しなけれ
ばならない契約の内容を明らかにする書面について、以下の事項について記
載不備があった。
ⅰ 特定商取引法施行規則第17条第1号に規定する代表者の氏名及び同
条第2号に規定する契約締結を担当した者の氏名
ⅱ 特定商取引法施行規則第20条第1項第3号に規定する契約の申込の
撤回又は契約の解除があった場合には、既に役務が提供されたときに
おいても、役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない
こと
6
2.現代通信株式会社
(1)事業者の概要
名
称:現代通信株式会社
代 表 者:代表取締役 中村 美樹
所 在 地:東京都立川市曙町1-30-12
(登記上は東京都台東区台東1-9-4松浦ビル5階)
資 本 金:1万円
設
立:平成22年4月16日
取引形態:新聞折り込みへの絵画、短歌等の作品の掲載サービス
(参考)役務の対価(掲載料)は、約25万/月
(2)取引の概要
現代通信株式会社は、アートライフ株式会社、株式会社東宝堂、株式会社東広
通信及び株式会社アドクリエイトの4社とともに、立川市内の同一の事務所に所
在し、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、本
件役務の提供契約の締結について勧誘することにより、当該消費者(以下「電話
勧誘顧客」という。)から当該役務提供契約の申込みを電話により受け、本件役
務の提供を行っていた。
(3)行政処分の内容
①業務停止命令
ⅰ 内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、
次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る役務提供契約を締結すること。
ⅱ 停止命令の期間
平成23年8月10日から平成24年5月9日まで(9か月間)
②指示
現代通信株式会社と絵画、短歌等の作品の新聞折り込みに関する役務提供
契約を締結した者に対し、「同社が、絵画、短歌等の作品の新聞折り込みに関
する役務の対価について、実際は25万円以上の有料の広告掲載であるにもか
かわらず、1か月分の掲載料金の一部でしかない金額を告げていたことがある
こと、また、その後、実際には消費者が勧誘時に告げられた金額での作品掲載
7
を申込み又は承諾しただけであるにもかかわらず、本件役務の提供に対し、勧
誘時に告げた金額以上の対価を支払う契約が成立していると告げて勧誘をし
ていたことがあるが、それは虚偽である。」旨を、平成23年9月9日までに
通知し、同日までにその通知結果について報告すること。
(4)命令の原因となる事実
現代通信株式会社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行ってお
り、電話勧誘販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく
害されるおそれがあると認められた。
①役務の対価についての不実告知(特定商取引法第21条第1項2号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「掲載料について尋ねると現代通信は6万3千円という説明だった。」など
と、役務の対価に関して実際は約25万円以上の有料の広告掲載契約である
にもかかわらず、1か月分の掲載料金の一部でしかない6万3千円と告げて
いた。
②判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項についての不実告知(特定商取引
法第21条第1項7号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「(電話勧誘顧客が)掲載が止まれば請求も止まると考え、事業者からの電話
の度に相手の担当者に対して『了解したのは1回分だけだ。それ以外の契約
はしていない。もう掲載は止めて欲しい。』と言った。しかし、事業者は『契
約したのだから支払ってください。』と言うばかりで、督促の電話も請求書の
送付も止まらなかった。」などと実際には電話勧誘顧客が1か月分の掲載料金
の一部でしかない金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもか
かわらず、本件役務の提供に対し、6万3千円以上の代価を支払う契約が成
立していると告げて勧誘していた。
③再勧誘(特定商取引法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「事業者との電話のやりとりでらちが明かないた
め、私は『作品の掲載を拒否する。』旨の『告知書』を事業者に送付したが、
各社からの請求書の送付、支払いの確認、督促をする電話は止まなかった」
などと本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、
再度電話をかけて勧誘を行っていた。
8
④迷惑勧誘(特定商取引法第22条第3号、省令第23条第1号)
同社は、本件役務提供契約の締結について電話勧誘顧客が何度も明確に断
っているにもかかわらず、何度も電話で掲載料金の支払いを請求したり、ま
た、請求書を送りつけるなど迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしていた。
⑤契約書面の虚偽記載(特定商取引法第19条第1項、省令第17条第1号及
び2号)
同社は、電話勧誘行為により本件役務提供契約を締結した際に交付しなけ
ればならない契約の内容を明らかにする書面に、特定商取引法律施行規則第
17条第1号に規定する代表者の氏名及び同条第2号に規定する契約締結を
担当した者の氏名に偽名を記載していた。
9
3.株式会社東宝堂
(1)事業者の概要
名
称:株式会社東宝堂
代 表 者:代表取締役 小野 慎也
所 在 地:東京都立川市曙町1-30-12
(登記上は東京都渋谷区恵比寿2-28-10)
資 本 金:100万円
設
立:平成22年1月25日
取引形態:自社ホームページ、自社発行の冊子等への絵画、短歌等の作品
の掲載サービス
(参考)役務の対価(掲載料)は、約30万/月
(2)取引の概要
株式会社東宝堂は、アートライフ株式会社、現代通信株式会社、株式会社東広
通信及び株式会社アドクリエイトの4社とともに、立川市内の同一の事務所に所
在し、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、本
件役務の提供契約の締結について勧誘することにより、当該消費者(以下「電話
勧誘顧客」という。)から当該役務提供契約の申込みを電話により受け、本件役
務の提供を行っていた。
(3)行政処分の内容
①業務停止命令
ⅰ 内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、
次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る役務提供契約を締結すること。
ⅱ 停止命令の期間
平成23年8月10日から平成24年5月9日まで(9か月間)
②指示
株式会社東宝堂と絵画、短歌等の作品の同社ホームページ及び同社発行の
冊子等への掲載に関する役務提供契約を締結した者に対し、「同社が、絵画、
短歌等の作品の同社ホームページ及び同社発行の冊子への掲載に関する役務
の対価について、実際は30万円以上の有料の広告掲載であるにもかかわら
10
ず、無料、あるいは1か月分の掲載料金の一部でしかない金額を告げていた
ことがあること、また、その後、実際には消費者が無料、あるいは勧誘時に
告げられた金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもかかわら
ず、本件役務の提供に対し、勧誘時に告げた金額以上の対価を支払う契約が
成立していると告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽である。」
旨を、平成23年9月9日までに通知し、同日までにその通知結果について
報告すること。
(4)命令の原因となる事実
株式会社東宝堂は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、
電話勧誘販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害さ
れるおそれがあると認められた。
①役務の対価についての不実告知(特定商取引法第21条第1項2号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
『費用はかかりませんと言われた。』、『掲載料について尋ねると5万円と
いう説明だった。』などと、役務の対価に関して実際は30万円以上の有料
の広告掲載契約であるにもかかわらず、無料、あるいは1か月分の掲載料金
の一部でしかない5万円と告げていた。
②判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項についての不実告知(特定商取
引法第21条第1項7号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「『契約書を出されているでしょ。だから契約しているんですよ。支払って
下さい。』と言われた」、「費用についてはきちんと説明を受けていません。
申込書には『代金は一切お支払いできません』と書いて返送しましたと伝え
たが、担当者は『了解いただいています。』と私の話を認めようとはしなか
った。」などと、実際には電話勧誘顧客が無料あるいは1か月分の掲載料金
の一部でしかない金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもか
かわらず、本件役務の提供に対し5万円以上の代価を支払う契約が成立して
いると告げて勧誘していた。
③勧誘目的等不明示(特定商取引法第16条)
同社は、本件役務提供契約に係る電話勧誘販売をするときに、電話勧誘顧
客に対し、偽名を名乗った上で、「平和のためというような趣旨で、『ホー
ムページに作品を載せたい。』」などと告げて勧誘を開始しており、その勧
11
誘に先立って勧誘を行う者の氏名、役務の種類及び役務提供契約の締結につ
いて勧誘するためのものであることを告げていなかった。
④再勧誘(特定商取引法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「事業者との電話のやりとりでらちが明かないた
め、私は『作品の掲載を拒否する。』旨の『告知書』を事業者に送付したが、
各社からの請求書の送付、支払いの確認、督促をする電話は止まなかった。」
などと本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、
再度電話をかけて勧誘を行っていた。
⑤迷惑勧誘(特定商取引法第22条第3号、省令第23条第1号)
同社は、本件役務提供契約の締結について勧誘するに際し、電話勧誘顧客
が何度も明確に断っているにもかかわらず、何度も電話で支払いを請求した
り、また、請求書を送りつけるなど迷惑を覚えるような仕方で勧誘をしてい
た。
⑥契約書面の虚偽記載及び記載不備(特定商取引法第19条第1項、省令第17
条第1号及び2号、省令第20条第1項)
同社が電話勧誘行為により本件役務提供契約を締結した際に交付しなけれ
ばならない契約の内容を明らかにする書面について、以下の事項について記
載不備があった。
ⅰ 特定商取引法施行規則第17条第1号に規定する代表者の氏名及び同
条第2号に規定する契約締結を担当した者の氏名
ⅱ 特定商取引法施行規則第20条第1項第3号に規定する契約の申込の
撤回又は契約の解除があった場合には、既に役務が提供されたときに
おいても、役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない
こと
12
4.株式会社東広通信
(1)事業者の概要
名
称:東広通信
代 表 者:代表取締役 小野 慎也
所 在 地:東京都立川市曙町1-30-12
(登記上は東京都港区六本木3-1-27)
資 本 金:100万円
設
立:平成22年5月18日
取引形態:自社発行の冊子への絵画、短歌等の作品の掲載サービス
(参考)役務の対価(掲載料)は、約27万/月
(2)取引の概要
株式会社東広通信は、アートライフ株式会社、現代通信株式会社、株式会社東
宝堂及び株式会社アドクリエイトの4社とともに、立川市内の同一の事務所に所
在し、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、本
件役務の提供契約の締結について勧誘することにより、当該消費者(以下「電話
勧誘顧客」という。)から当該役務提供契約の申込みを電話により受け、本件役
務の提供を行っていた。
(3)行政処分の内容
①業務停止命令
ⅰ 内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、
次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る役務提供契約を締結すること。
ⅱ 停止命令の期間
平成23年8月10日から平成24年5月9日まで(9か月間)
②指示
株式会社東広通信と絵画、短歌等の作品の同社発行の冊子への掲載に関す
る役務提供契約を締結した者に対し、「同社が、絵画、短歌等の作品の同社
発行の冊子への掲載に関する役務の対価について、実際は27万円以上の有
料の広告掲載であるにもかかわらず、1か月分の掲載料金の一部でしかない
金額を告げていたことがあること、また、その後、実際には消費者が勧誘時
13
に告げられた金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもかかわ
らず、本件役務の提供に対し、勧誘時に告げた金額以上の対価を支払う解約
が成立していると告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽である。」
旨を、平成23年9月9日までに通知し、同日までにその通知結果について
報告すること。
(4)命令の原因となる事実
株式会社東広通信は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行ってお
り、電話勧誘販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく
害されるおそれがあると認められた。
①役務の対価についての不実告知(特定商取引法第21条第1項2号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「費用について尋ねると『5万円です。』と説明した。」などと、役務の対
価に関して実際は27万円以上の有料の広告掲載契約であるにもかかわら
ず、1か月分の掲載料金の一部でしかない金額(5万円)を告げていた。
②判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項についての不実告知(特定商取引
法第21条第1項7号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「掲載が止まれば請求も止まると考え、事業者からの電話の度に相手の担当
者に対して「『了解したのは1回分だけだ。それ以外の契約はしていない。
もう掲載は止めて欲しい。』と言った。しかし、5社とも『契約したのだか
ら支払ってください。』と言うばかりで、督促の電話も請求書の送付も止ま
らなかった。」などと、実際には電話勧誘顧客が1か月分の掲載料金の一部
でしかない金額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもかかわら
ず、本件役務の提供に対し1か月分の掲載料金の一部の金額以上の代価を支
払う契約が成立していると告げて勧誘していた。
③氏名等不明示(特定商取引法第16条)
同社は、本件役務提供契約に係る電話勧誘販売をするときに、電話勧誘顧
客に対し、偽名を名乗って勧誘を開始していた。
④再勧誘(特定商取引法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「事業者との電話のやりとりでらちが明かないた
め、私は『作品の掲載を拒否する。』旨の『告知書』を事業者に送付したが、
14
各社からの請求書の送付、支払いの確認、督促をする電話は止まなかった」
などと本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、
再度電話をかけて勧誘を行っていた。
⑤迷惑勧誘(特定商取引法第22条第3号、省令第23条第1号)
同社は、本件役務提供契約の締結について勧誘するに際し、電話勧誘顧客
が何度も明確に断っているにもかかわらず、毎日のように電話をかけ、また、
何度も電話で掲載料金の支払を請求したり、請求書を送付するなど迷惑を覚
えさせるような仕方で勧誘をしていた。
⑥契約書面の虚偽記載及び記載不備(特定商取引法第19条第1項、省令第17
条第1号及び2号、省令第20条第1項)
同社が電話勧誘行為により本件役務提供契約を締結した際に交付しなけれ
ばならない契約の内容を明らかにする書面について、以下の事項について記
載不備があった。
ⅰ 特定商取引法施行規則第17条第1号に規定する代表者の氏名及び同
条第2号に規定する契約締結を担当した者の氏名
ⅱ 特定商取引法施行規則第20条第1項第3号に規定する契約の申込の
撤回又は契約の解除があった場合には、既に役務が提供されたときに
おいても、役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない
こと
15
5.株式会社アドクリエイト
(1)事業者の概要
名
称:株式会社アドクリエイト
代 表 者:代表取締役 小野 慎也
所 在 地:東京都立川市曙町1-30-12
(登記上は東京都台東区東上野1-13-3野崎ビル3F)
資 本 金:1万円
設
立:平成21年12月10日
取引形態:新聞折り込みへの絵画、短歌等の作品の掲載サービス(
(参考)役務の対価(掲載料)は、約40万/月
(2)取引の概要
株式会社アドクリエイトは、アートライフ株式会社、現代通信株式会社、株式
会社東宝堂及び株式会社東広通信の4社とともに、立川市内の同一の事務所に所
在し、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけ、本
件役務の提供契約の締結について勧誘することにより、当該消費者(以下「電話
勧誘顧客」という。)から当該役務提供契約の申込みを電話により受け、本件役
務の提供を行っていた。
(3)行政処分の内容
①業務停止命令
ⅰ 内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、
次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る役務提供契約を締結すること。
ⅱ 停止命令の期間
平成23年8月10日から平成24年5月9日まで(9か月間)
②指示
株式会社アドクリエイトと絵画、短歌等の作品の新聞折り込みに関する役
務提供契約を締結した者に対し、「貴社が、絵画、短歌等の作品の新聞折り
込みに関する役務の対価について、実際は40万円以上の有料の広告掲載で
あるにもかかわらず、1か月分の掲載料金の一部でしかない金額を告げてい
たことがあること、また、その後、実際には消費者が勧誘時に告げられた金
16
額での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるにもかかわらず、本件役務
の提供に対し、勧誘時に告げた金額以上の代価を支払う契約が成立している
と告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽である。」旨を、平成2
3年9月9日までに通知し、同日までにその通知結果について報告すること。
(4)命令の原因となる事実
株式会社アドクリエイトは、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行
っており、電話勧誘販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が
著しく害されるおそれがあると認められた。
①役務の対価についての不実告知(特定商取引法第21条第1項2号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「掲載料について尋ねると5万円という説明だった。」などと、役務の対価
に関して、実際は約40万円以上の有料の広告掲載契約であるにもかかわら
ず、1か月分の掲載料金の一部でしかない5万円と告げていた。
②判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項についての不実告知(特定商取引
法第21条第1項7号)
同社は、電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について勧誘するに際し、
「掲載が止まれば請求も止まると考え、事業者からの電話の度に相手の担当
者に対して「『了解したのは1回分だけだ。それ以外の契約はしていない。
もう掲載は止めて欲しい。』と言った。しかし、事業者は『契約したのだか
ら支払ってください。』と言うばかりで、督促の電話も請求書の送付も止ま
らなかった。」などと、実際には電話勧誘顧客が1か月分の掲載料金の一部
でしかない金額(5万円)での作品掲載を申込み又は承諾しただけであるに
もかかわらず、本件役務の提供に対し1か月分の掲載料金の一部の金額以上
の代価を支払う契約が成立していると告げて勧誘していた。
③再勧誘(特定商取引法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「事業者との電話のやりとりでらちが明かないた
め、私は『作品の掲載を拒否する。』旨の『告知書』を事業者に送付したが、
各社からの請求書の送付、支払いの確認、督促をする電話は止まなかった」
などと本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、
再度電話をかけて勧誘を行っていた。
④迷惑勧誘(特定商取引法第22条第3号、省令第23条第1号)
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同社は、本件役務提供契約の締結について勧誘するに際し、電話勧誘顧客
が何度も明確に断っているにもかかわらず、何度も電話で掲載料金の支払い
を請求したり、また、請求書を送りつけるなど迷惑を覚えさせるような仕方
で勧誘をしていた。
⑤契約書面の虚偽記載(同特定商取引法第19条第1項、省令第17条第1
号及び2号)
同社は、電話勧誘行為により本件役務提供契約を締結した際に交付しなけ
ればならない契約の内容を明らかにする書面に、特定商取引法律施行規則第
17条第1号に規定する代表者の氏名及び同条第2号に規定する契約締結を
担当した者の氏名に偽名を記載していた。
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5.勧誘事例
【事例1】
アートライフのV(偽名で実際はS)は、平成22年9月頃、消費者A宅に
電話をかけ、
「インターネットにあなたの作品を載せたいので、承諾して下さい。
お金はかかりませんから。」と言った。後日アートライフからA宛に封書が届き、
中には「掲載承諾契約書」が入っており、その中の「原稿内容確認」と記載さ
れた欄にはAの写真が既に印刷されてあった。Aは、自分の写真をネット掲載
することに関しては、何ら抵抗は無かったが「契約書」という言葉に少し不安
を感じ、すぐに氏名等を記入せずにそのままにしておいた。数日後、Sから電
話があり、
「書類は届いていますよね。ネットに掲載するのは無料です。一切お
金はかからないので、作品を掲載する承諾をして下さい。お送りした掲載承諾
契約書に署名捺印して返送して下さい。」と言った。Aはお金がかからないので
あれば、作品をネット掲載しても構わないと思い、
「掲載承諾契約書」に署名捺
印してファックスでSに返信することにした。
平成22年10月中旬、「平和祈念支援キャンペーンについて」という書面、
「掲載媒体:①インターネットによる作品紹介、②毎週日曜日 ○○新聞への
折り込み(1か月5回)、掲載料金:①②各63,000円、②に関しては各掲
載ごとに料金がかかるため、1か月単位63,000円×5回=315,000
円 合計金額378,000円」と記載された書面、Aが以前出した「掲載承諾
契約書」のコピー、2回分の広告掲載料金12万6千円の請求書、振込用紙な
どが入った封書が届いた。Aは何故、請求書が届くのか理解できず、アートラ
イフのSに問い合わせたところ、Sは「ネット掲載はただですが、新聞掲載は
有料ですよ。」と言った。Aが「お金がかからないという説明だった。新聞の掲
載に関しては説明を受けていない。料金についても掲載承諾契約書には何も記
載されていない。」とSに言ったが、Sは「契約したのだから仕方ありません。
掲載承諾契約書にサインされたでしょう。だから支払って下さい。」と言って話
は平行線のままだった。Sは、
「○○新聞の東京、千葉、大阪に折り込みチラシ
を30万部入れる。」、「折込社を通さず個人でチラシを入れている。」とも説明
していた。
同日、ファックスでも請求書が届いたため、Aはアートライフ宛に「お金は
一切かからない。」という説明を受けて作品掲載を承諾した経緯を書いた契約解
除通知を作成し、その日にSにファックスで送信した。その後2回もアートラ
イフからAに請求書が届き、12万6千円を振り込むように催促のファックス
も届いたので、結局Aは請求額の12万6千円をa銀行の指定口座に振り込ん
だ。その後週1回のペースでアートライフから支払いの催促の電話があった。
Aは再度アートライフ株式会社宛に契約解除通知を特定記録郵便で出した。
19
なお、アートライフから勧誘があった直後の平成22年9月下旬、東宝堂か
らも突然Aの自宅にファックスが届いた。ファックス送信用紙には「先日お伝
えしました作品掲載の確認になりますので、お手数おかけしますが、ご署名ご
捺印の上、ファックスでご返信下さい。」と書かれてあり、Aの作品が既に印刷
された「申込書」も一緒に送信された。Aは東宝堂のW(偽名で実際はT)に
電話をし、
「字がつぶれて読めないのですが。一体何ですか。」と尋ねたところ、
Tは「インターネット美術館に掲載させて欲しい。」、
「ネットに載せるからお金
は一切かかりません。」と言った。Aは、アートライフ同様、費用がかからない
と聞いたので掲載を承諾し、ファックスで書面捺印して返送した。
アートライフから請求書が届いてから数日後、東宝堂から規約がファックスさ
れた。
その後Aが以前ファックスした申込書のコピーと、
「芸術と平和の祈り」と題し
てAの作品が印刷された書面と規約と請求書がファックスされた。それから何
回か請求書や規約が封書やファックスで届いた。
結局、Aは東宝堂のa銀行指定口座にも3万円を振り込み、契約を解除した。
さらに、東宝堂から勧誘があった直後の平成22年10月初めには、東広通
信のX(偽名で実際はT)からも「『芸術文秋』という雑誌に掲載しませんか。」
という内容の電話があった。Aの作品が既に印刷され「契約書」がファックス
で送信され、Aは軽い気持ちで2社同様申込書を返信した。東宝堂から請求書
が届いた日とほぼ同時期に、東広通信からも請求書がファックスされた。請求
書には広告掲載料金9万円と記載されていた。
Aは同時期に3社から契約したのだから支払うようにと言われ、3社とファ
ックスのやり取りをして頭が混乱してしまい、東広通信にも請求金額を振り込
んでしまった。3社に対し支払ってもなお、請求の電話やファックスが止まら
ないので、Aは消費生活センターに相談し、ようやく3社から請求書が届くこ
とも、電話がかかることも無くなった。
20
【事例2】
アートライフのV(偽名で実際はS)は、平成22年8月中旬、消費者宅B
に電話をかけ、
「作品を読ませていただきました。良い作品ですね。新聞に掲載
したいのですが。」と言った。Sの説明では、○○新聞と他に△△新聞に掲載す
ると言っていた。Bは○○新聞を取っていたので、地域を確認したところ、関
東圏内の新聞に載るとのことだった。Bは、
「東京には知人はいないので、新聞
に掲載しません。広告など出す必要がありませんから。」とSに言った。また、
「そもそも私の作品はどこで知ったのですか。」とSに尋ねたところ、国会図書
館で作品集を読んだとのことだった。SはしつこくBに掲載を勧めるので、B
は「発表はしたくないですし、もう電話もしないで下さい。」と強く断って電話
を切った。
その後も週に1回くらいのペースでSから電話があったが、Bは毎回「何度
電話をかけてきても、掲載しませんから。電話もしないで下さい。」と伝えてい
た。
しばらくSから電話が無かったが、平成22年9月中旬、Sから再度電話が
あり、
「当社では今回『愛、思いやり、助け合いの心をひろげませんか』という
キャンペーンを行っています。当社のホームページに作品を載せて下さい。」と
Bに言った。Bが「ホームページに載せるのにいくらかかるのですか。」とSに
尋ねたところ、Sは「ホームページに載せるのは無料です。」と答えた。Bは「キ
ャンペーンの内容も良くわかりませんので、出したくありません。」と言ったが、
Sは「それでは書類を送ります。」と言って電話を切った。
数日後、アートライフから封筒が届き、中には「掲載承諾契約書」と「平和
祈念支援キャンペーンについて」という書面が入っていた。「掲載承諾契約書」
の宛名の字が間違って書かれてあり、Bの短歌2首がすでに印刷されていた。
BはSに電話をかけ、
「名前が間違っていますし、これは一体何ですか。私は載
せると返事していませんが。」と言ったところ、Sは「この前お話した平和のキ
ャンペーンの原稿です。文字とか間違いが無いか見て下さい。」と言った。Bは
「掲載承諾契約書」の余白に「この件については一切承諾はしておりません。
迷惑なことはしないで下さい。」と記入してアートライフ宛にファックスした。
翌日、Sから電話があり、
「平和祈念キャンペーンについての無料のホームペー
ジですから、どうかお願いします。1回だけホームページに載せて下さい。」と
言った。Bは30年間ボランティア活動をしていたので、平和祈念キャンペー
ンの趣旨を聞いて、つい気持ちが動いてしまい、Sに「無料で間違いないので
すね。それなら作品をお貸しします。」と言った。Bは「掲載承諾契約書」の余
白に「確認しました。S様 以後の一切の要望については応じません。」と書き
添えて、氏名住所電話番号を記入、捺印してファックスで返送した。
21
平成22年10月末、31万5千円の請求書と小さい字で書かれた規約がア
ートライフからファックスで届いた。無料のホームページに作品を掲載したは
ずだったので、このような高額な請求書が届きBは驚いた。同日夜10時半頃
にSから電話があった。Bが「何の請求書ですか。」と聞いたところ、Sは「新
聞の折込広告です。早く払って下さい。」と言った。Sは請求額の詳細として、
新聞折込日曜日掲載で1回につき消費税込6万3千円で、ひと月分は日曜日が
5回で、31万5千円になると説明した。Bが「新聞の折り込みなど頼んでい
ません。」と言ったところ、Sは「掲載承諾契約書をもらっています。電話で頼
んでいないと言うが、その電話を録音したものはありますか。無いなら頼んで
いないという証拠は無いじゃないですか。」と言った。Bが「平和支援キャンペ
ーンに載せますと言っただけです。」とSに言ったが、Sは「早く支払って下さ
い。」と言うだけだった。Bが「払えません。そんなお金はありません。どこに
そんなお金があるんですか。」と言うとSは「それでは半額におまけしますよ。
半額で良いので支払って下さい。」と言った。Bが半額でも支払えないと言うと
Sは「それでは切りの良いところで10万円でいいです。10万円払ってくれ
たら後は一切請求しませんから。」とBに言った。Bは騙されたことに気づいた
が、騙された自分が悪かったのだと思い、10万円を支払ってこの契約を終わ
りにしようと思った。Bは「明日10万円を支払うので以後一切請求しないで
欲しい。契約解除をします。」とはっきり伝えた。Sは「合意書を送るのでそれ
に署名捺印してファックスで良いので送って下さい。」と言い、Bは合意書に署
名しファックスで返信した。Bは翌日アートライフの指定口座に10万円を振
り込んだが、2日後、アートライフから新たに6万3千円の請求書が届いた。
BはSに電話し、
「10万円支払ったら、一切請求はしないと言ったじゃないで
すか。」と言ったが、Sは「支払わないと次月分も次々請求がいきますよ。」と
言った。Bが「どの新聞に折り込みしているのですか。実際に折り込みしたも
のを送って下さい。」と言ったが、結局アートライフから折り込みが送られてく
ることは無かった。その2日後には12万6千円の請求書が届き、Bはこのま
までは次々に請求書が届くと思ったので、消費生活センターに相談し、Sに契
約解除通知書を投函した。
Bは騙されてくやしいという思いはあったが、裁判になった時の煩わしさを
考えると支払ってしまった10万円は勉強代だと思って諦めて、以降一切請求
が来なければ良いと考え、相談員から事業者にBの意向を伝えてもらった。ア
ートライフから「双方に債権債務は無いものとする。」という内容の文書がファ
ックスで届き、1、2日後には原本が郵送され、請求は止まった。
22
【事例3】
アートライフのV(偽名で実際はS)は、平成22年7月末、消費者C宅に電
話をかけ、
「先生の作品を拝見しました。大変すばらしいので、ぜひ当社のホー
ムページに掲載して欲しい。先生の作品が載れば、多くの人に短歌を親しんで
もらえる。」、「『・夢・希望 詠んで照らす平和の灯火』と題した当社のホーム
ページに掲載してもらい、先生の作品を通じて平和支援のご協力をいただきた
い。」とCに言った。Cが「原稿料はいただけるのですか。」とSに尋ねたとこ
ろ、Sは「原稿料は出すことができません。ただ、掲載に関しては無料ですの
で、ぜひ載せて下さい。」と答えた。Cは、原稿料は出なくてもCの短歌を載せ
ることで、ネットを見た人が短歌に興味を持ち、短歌を始めるきっかけになっ
てもらえるならと思い、費用もかからないということだったので、「いいです
よ。」と返事した。Sは「書面を送ります。住所、氏名、捺印後返送して下さい。
」
と言った。
数日後、アートライフから封筒が届いた。封筒の中には「平和祈念支援キャ
ンペーンについて」という書面と「掲載承諾契約書」と返信用封筒が入ってい
た。「掲載承諾契約書」にはCの作品が2首既に印刷されており、「本書面をよ
くご確認いただき、誤字・脱字・間違いなど有りましたらご訂正頂きご返送下
さい。」と記載されていた。2首の内の1首は略字で印刷されてあったので、C
は旧漢字にして欲しい旨を記入、訂正し、署名捺印後返送した。Cはパソコン
も携帯電話も持っていないので、ネットにどのように掲載されるのかわからず、
確認もできないので、自分の作品が正しく掲載されるかどうかのチェックをす
るための書面と思っていた。
それから1か月以上経った9月下旬、アートライフから封書が届いた。封筒
の中にはアートライフのホームページで掲載されている画面のカラーコピーと
契約内容が記載された書面が入っていた。初めは実際にどのように自分の作品
が掲載されたかを知らせるために送付されたのだろうと思ったが、パソコンを
持っていれば、誰でも簡単にこのようなコピーは出せるのではないか、書面に
書かれている契約内容は自分に関係があるのだろうかと少し不安になった。
2日後、今度は広告掲載料金6万3千円と記載された請求書がアートライフ
から送付された。CはSに電話をかけ、
「この請求書はどういうことか。こちら
が支払うのはおかしい。こんな契約は承知していない。」と言った。Sは「そん
なこと言っても契約されたんですからお金を払うのは当たり前です。」と支払う
ように言うだけだった。Cは支払わないと主張し、Sは契約したのだから支払
えと話は平行線のまま電話を切った。
2日後にも広告掲載料金6万3千円と記載された請求書が届いた。Cは再度
Sに電話をかけ、
「請求されるような契約はしていない。支払うつもりは無い。」
23
と言ったが、前回と同様Sは「契約したのだから支払って下さい。」と言い、C
は支払わないと主張し譲らなかった。Cが「確かに解約したという証拠の書類
をきちんと出して欲しい。」と言うとSは「何でそんな面倒なことをしなくちゃ
いけないんですか。」、「払う気が無いなら解約でも良いですよ。」、「無かったこ
とにしますよ。」と言って電話を切った。それ以降、アートライフから請求書が
届くことは無くなった。
アートライフから請求書が届く1週間程前の9月中旬に、東宝堂から封書
が届いた。封書の中には申込書と「ART SPACE」という冊子が入って
いた。申込書にはCの作品として、アートライフが選んだものと同じ2首とも
う1首足された3首が既に印刷されていた。
「ART SPACE」には書道・
絵画・短歌・俳句に関して、30人位の作家の作品が掲載されており、アート
ライフのネットへの掲載に比べ本格的なものだと感じた。その中には、ある研
究会で一緒だった知人の作品も載っていた。アートライフから作品掲載の依頼
を受け、まだアートライフとトラブルになる前だったので、きっと同じ様な趣
旨のものなのだろうと思い、また知人の作品も掲載されていたことからCは何
の疑いも持たなかった。ただ、数あるCの作品の中から何故アートライフと同
じ2首を選んだのだろうかと思いながら、そのまま放っておいた。
数日後、東宝堂のW(偽名で実際はT)はCに電話をかけ、
「書面をお送りし
ましたが、どうなっていますか。」「3首の作品に誤字脱字など無く、問題なけ
ればファックスで良いのですぐ返信して下さい。」と言った。Cは、特に作品に
は問題無く、アートライフに掲載の承諾をしたばかりだったので、同じような
気軽な気持ちで了解した。その際特に料金の説明などは無く、アートライフ同
様、費用はかからないものと思っていた。同日、Cは署名捺印後ファックスで
送信した。
数日後、アートライフから請求書が届き、騙されたことに気づいたので、C
はすぐに東宝堂にも解約したいと電話で伝えた。Tは「契約解除申請書を送付
しますので、そちらに署名捺印して返送して下さい。」と言った。2日後「契約
解除申請書」が東宝堂から届いたので、Cはすぐに署名捺印して、ファックス
で送信した。ところが、1、2日後には東宝堂から広告掲載料金10万円の請
求書と規約と先日ファックスした申込書のコピーが届いた。規約は細かい赤色
の字で紙いっぱいに記載されており、とても読む気にはなれなかった。東宝堂
からは2回請求書が届き、CはTに電話をかけ、
「契約解除申請書を出したのに、
何で請求書が来るのか。」と尋ねた。Tは「もう掲載期間は発生しています。弊
社の規約に基づいて契約解除になります。まだ、解除にはなっていません。契
約はまだ生きていますよ。だから支払って下さい。」と答えた。細かい字で書か
れた規約には、
「掲載期間は契約期間満了の2週間前までに止めると言わなけれ
24
ば1か月延長する」といった内容が書かれてあり、
「今は掲載期間が始まる1週
間前なので、まだ契約が続いている。」というような説明だった。Cは「そんな
規約は今初めて見た。」と言ったが、Tは「申込書の裏面に記載されていました
よ。」と言った。確かに裏面に規約が記載された未記入の申込書とCが先日ファ
ックスした申込書のコピーと請求書が一緒に送付されてきていた。Cがどんな
に言っても、Tは「規約を読んでいないんですか。」などと言うので、話がかみ
合わず、Cは「絶対に支払わない。」と言って電話を切った。
Cが後で手元の資料を確認したところ、申込書の原本の裏面には規約は記載
されておらず、白紙になっていた。
何日か経って再度広告掲載料10万円と記載された請求書がC宅に届いた。
それで翌日、Cは消費生活センターに相談することにした。
Cは、2社の手口が非常に似ており、作品の選択も入手先が同じなのではな
いか、また、アートライフのSと電話を切った後は全く連絡が無く、すぐさま
東宝堂から請求が来るようになったタイミングなどを考えると2社は繫がって
いるのでは無いかと思った。以降東宝堂から請求書が届くことも無くなった。
25
【事例4】
アートライフのV(偽名で実際はS)は、平成22年7月末、消費者宅Dに
電話をかけ、
「インターネットをやっている。あなたの作品で良いのがあるから
使わせて欲しい。」、
「本当は原稿料を差し上げるところですが、小社なので差し
上げることができません。」、
「掲載には著作権の問題があるので、使用するに当
たって承認印が欲しいのです。」と言った。Dが「こちらがお金を出すのでなけ
れば使用しても構わない。」と言ったところ、Sは「それでは、様式をファック
スで送りますので、押印して送り返して下さい。」といって電話を切った。Sの
電話では、掲載に費用がかかることについても、また掲載の内容等についても
一切説明は無かった。ファックスで送られてきた様式は1枚で、表題は「掲載
承諾契約書」、Dの短歌が2首掲載されている他は、署名捺印する欄だけという、
ものだった。短歌に脱字があったので、それを入れ、ルビをふって、氏名、住
所、電話番号、ファックス番号を記載、押印して、その日のうちにファックス
で返信した。
一週間後、アートライフからDに封筒が郵送され、中には、Dの作品が掲載
されたアートライフのホームページのコピー1枚が同封されていた。Dは、掲
載したのでその報告のため、送付してきたのだと思ったが、他方で掲載したと
いう証拠作りのようにも感じられた。
平成22年8月中旬、Sから電話があった。Sはその時初めて「作品は、イ
ンターネットに掲載して紹介する他、毎週日曜日○○新聞の折り込みに掲載さ
れる。」、
「インターネット、新聞の折り込みとも6万3千円だが、新聞の折り込
みに関しては各掲載毎に料金がかかるため、1か月単位では、6万3千円の4
回で25万2千円、合計で31万5千円になる。」、
「クーリングオフはもうでき
ません。」という説明をした。Dは大変なことになったと思い、危険を感じたの
で、今日をもって取りやめたいとSに申し入れたところ、Sは「1か月全額だ
と31万5千円、明日解約の場合は25万2千円となるが、本日の解約であれ
ば18万9千円です。」と言い、「銀行が閉まる3時まで、あと1時間位あるの
でこれから直ちに銀行にいって振り込んで下さい。」と言った。Dが、「銀行ま
では距離があるので今日中には振り込めない。」と伝えたところ、電話が切れた。
その電話の後、直ぐにアートライフから請求書、契約内容が記載された書面、
広報内容のパンフ、合意書、Dの作品が掲載されたチラシのようなもの及び指
定銀行口座番号等の資料がアートライフからファックスされた。広告掲載料金
6万3千円と記載された請求書には「189,000円 63,000円×3
本日限り。」と手書きの記載があり、本日すぐ振り込みするよう要求するものだ
った。ファックスは自宅のファックスの用紙がなくなるまで何度も執拗に送ら
れてきた。
26
2日後、自宅にアートライフから封書が届いた。中身は18万9千円の請求
書とb銀行の振込用紙で請求書の振込期限は当日になっていた。他には、Dが
以前ファックスで返送した掲載承諾契約書とDの作品が掲載されたチラシが入
っていた。請求書は翌日にも郵送され、また、その後Sから「いつ払い込むの
か。」と毎日のように電話があった。Dはホームページに自分の作品が掲載され
ていることは確認したものの、新聞折り込みチラシについては折り込んだとい
う確認のしようもなく納得がいかなかったが、Dは度重なる電話での支払いの
確認と請求書の送付に精神的に辛くなり、支払えばこのような電話もなくなる
思い、18万9千円をアートライフのb口座に振り込んだ。
アートライフから請求書が届く数日前に、D宛に1枚の書面がファックスさ
れた。その書面には、
「インターネット美術館 ART SPACE 」と記載
され、下段にはアートライフが選んだものと同じDの作品2首が既に印刷され
ていた。書面には社名の記載はなく、Dはアートライフが何か別な用紙を送っ
てきたと思い、多忙だったこともあり、申込書に記入し、記載してあったファ
ックス番号に送付した。
ファックスで返信したちょうどその日、アートライフのSから電話があった
ので、Dは「なぜ2度も書面を寄こして印を押させるのか、先日送った書面で
用は足りるはずではないか。」と言ったところ、Sは、少し時間をおいて「住所
等を確認するため、契約再確認のため出すことがあります。」などとあまり明確
でない答えをした。
9月初め、
「ART SPACE」と題された冊子が入った大きな封筒が自宅
に届いた。冊子には、書道・絵画・短歌・俳句に関して30人位の作家の作品
が掲載されており、ネットへの掲載に比べると本格的なものだと感じた。数日
後、自宅にファックスが届いた。中身は、D宛の請求書で、
「株式会社東宝堂 広
告掲載料200,000円」と記載されていた。また、Dが以前ファックスで
返信した申込書のコピーと規約と題する細かい文字でかかれた紙が送られてき
た。Dはその時始めて、相手方がアートライフではなく東宝堂という会社であ
るということ、また、アートライフ同様、事後に請求書を送りつける手口で、
それに関わってしまったことに気がついた。
それから数日後、自宅に東宝堂のW(偽名で実際はT)から電話があった。
Tは、「8月号の広報誌に掲載した代金をいただいておりませんが。」と言い2
00,000円の支払いを求めた。Dが「私は東宝堂と契約した覚えはありま
せん。」と言うと、Tは「ファックスの契約書があるのでお送りします。」と言
った。Dが「契約書と言うが郵送して書面を交わすべきではないか。」と言った
が、Tは取り合わなかった。電話の後、自宅に東宝堂から支払期限当日という
請求書が届いた。3日後にも、支払期限当日という請求書がファックスされた。
27
翌日、Tから支払いを確認する電話があった。Dが請求金額の内訳について尋
ねると、Tは「契約申込みは3か月分であり、20万円は一か月分の請求です。
翌月分も同様で、翌々月分については2週間前であれば取消し可能です。」と答
えた。Tは「2か月分を支払えば翌々月分は見開きのところに無料で10首位
掲載してあげますよ。」と言った。Dはその際、払うでも払わないでもないとい
う対応を取った。
Dは、東宝堂の手口や様式がアートライフと非常に似ており、書類を送付し
てきた時期も2社で謀ったようなタイミングであったことから2社が同じ関係
者であると確信し、近くの交番に相談に行った。交番では、
「詐欺事件は本署生
活安全が担当する。連絡しておくから。」といわれ、そのまま警察署安全課に出
向き、
「絶対にお金を払わないこと。」、
「放っておけば電話は来なくなる。」と指
導を受け、また、消費者相談室に電話するよう話があった。
翌日、Tから電話がありDに「上司から言われていますので先月分の代金2
0万円を今日中に銀行に入れて下さい。」と言った。Dは昨日警察から指導を受
けたので、
「実は、契約の仕方に疑問があったので、ある司法関係者のところに
行き相談した結果、違法なので支払わないことにした。」と伝え、また書面が不
備であることを指摘した。Tはだれがそう言ったのかと聞いたが、Dが答えず
にいると、
「以前の考え方と違いますね。会社は現在までこうしてやってきたの
です。」、「契約書のどこが悪いのですか。」と言った。Dが「ファックス番号は
あるが東宝堂の名前は見当たらない。裏面の規約がきていない。」と言うと、T
は「送った筈ですが」と言い、
「ありませんでした。」というDの答えに、
「その
時なぜすぐ言ってくれなかったですか。」と言ったので、Dは「(規約は)請求
書の段階で初めてきた。」と言い返した。Tは「アートライフと間違えたのはあ
なたが悪いのでは。」とも言い、Dが「網をかけてひっかけたのはそちらではな
いか。事前通告もなくファックスを送ったから間違うのだ。」と言うと、「それ
ではこちらで訴訟を起こしますよ。訴えられた方は出てきてください。」、
「それ
では取り止めた来月分も契約の中に入れておきます。」と言ってTの方から電話
を切った。
Dは消費生活センターに相談にいき、アートライフには払込金の返還請求の
書面を、東宝堂には請求取り止めの書面を送付した。この間、アートライフか
ら18万9千円の請求書が届いたが、書面の送付以降は、アートライフ、東宝
堂からの連絡、請求書の送付は無くなった。
28
【事例5】
アートライフのV(偽名で実際はS)は平成22年9月中旬、消費者Eに電
話をかけ、「インターネットに絵を掲載しませんか。」と言った。Eは長年絵を
描いている経験上、雑誌等に絵を掲載する際は詳細な取り決めのもと契約書を
交わし、大体10万円から高い時は30万円位費用がかかるものだと理解して
いた。また同時に、インターネットへの掲載は通常会社が宣伝用に使う為、こ
ちらには費用はかからないという認識が一般的だった。そのため、特にSから
料金や契約内容の説明が無かったこともあって、当然費用はかからないのだと
思い、気軽に「はいはい。いいですよ。」と返答してしまった。
何日か経過して「掲載承諾契約書」がアートライフから郵送された。「掲載
承諾契約書」の原稿内容確認という欄にEの作品が印刷されていた。Eは今ま
で様々な雑誌に自分の絵を掲載していたが、その作品は一種類の冊子にのみ掲
載したものだったので、すぐにそこから見つけてきたのだなと思った。
「掲載承
諾契約書」は1枚で、Eの作品が印刷されている他は、署名捺印する欄だけと
いう書式だった。通常雑誌社と掲載契約をする際の契約書とは全く違っていた。
「掲載承諾契約書」を返送するよう書かれてあったので、Eは9月末、住所氏
名を記入して郵便で返送した。
それから約一か月程経った10月末、アートライフから封書が届いた。封書
の中には、掲載料6万3千円の請求書、規約、契約内容が記載された書面、一
か月前にEが返送した「掲載承諾契約書」のコピー、Eの作品が掲載されたチ
ラシのコピーが入っていた。契約内容が記載された書面には、
「掲載料金①・②
各126000円①は無料、②に関しては各掲載ごとに料金がかかるため1ヶ
月単位=126000円×5=630000円 合計金額630000円、掲
載予定日22年●月●日より1ヶ月間(2ヶ月目以降は自動継続)、掲載サイズ
①インターネット 弊社ホームページ、カテゴリー内にて掲載②折込 8.6
cm×11.8cm、企画名『暮らしに華を』『良いものをもっと身近に』
、ク
ーリングオフについて」と記載されていた。請求書の支払期日は受領した日付
になっており、Eはこのように高額な契約をした覚えはないので驚いた。
EはSに電話をかけ、「どういうことか。」と尋ねたところ、Sは「契約書を
出しているんだから、支払ってもらう。」、
「本来なら12万6千円のところ、半
額になっているんだからすぐに支払って下さい。」などと言った。Eは有料とい
うことであるならば解約したいとSに伝え、Sは「6万3千円を支払っていた
だいたら解約合意書は送りますよ。」と言った。
Eは6万3千円を支払うことで契約が終わりになるならそれでも良いと思
い、b銀行のアートライフ指定口座に6万3千円を振り込んだ。
ところが翌日、12万6千円の請求書がアートライフから届いた。Eは、前
29
日のSとの電話で6万3千円を支払って解約できるという結論になったものと
理解していたので、すぐにSに問い合わせた。Sは「6万3千円は1回分の半
分と言っただけですよ。」と言った。さらにSは「とにかく支払ってもらわない
と終わりませんよ。」と言ってきたので、Eはとにかく早くこの会社とのトラブ
ルを終わらせたいと思い、仕方なく12万6千円を翌日b銀行の指定口座に振
り込んだ。
Eが振り込んだ翌日、再度12万6千円の請求書がアートライフから届いた。
また同日「合意書」も送付された。Sとの電話では、12万6千円を支払って
解約できるという話だと思っていたので、Eはまた、Sに電話をかけた。Sは
「1回12万6千円なんだから。契約は5回分ですよ。これを支払って1か月
分の料金の半分なんですよ。」と言った。「合意書」には「1か月の掲載料金合
計6万3千円について契約解除を申請する。」と記載されてあった。
Eは更に12万6千円を支払っても63万円の半額だからそれで解除できる
なら仕方ないと思い、同日12万6千円をb銀行の指定口座に振り込んだ。同
時に送付された「合意書」に署名捺印してファックスでアートライフあて送信
した。
それから一週間程経過した11月初め、今度は31万5千円の請求書がアー
トライフから届いた。EはもうSとのやり取りに疲れはてていたが、
「何でこん
な請求書が来るのか。半額支払って契約解除すると言ったじゃないか。」と電話
で訴えた。Sは「そんなこと言っていません。まだ半分しか払っていないじゃ
ないですか。支払わないなら、自動継続になって毎月6万3千円ずつ支払って
もらうことになりますよ。」「合意書にも書いてあるでしょ。」と言った。
Sとの電話でのやり取りが何度も覆され、支払っても請求書が届きEは契約
解除できなかった。Eは仕方無く翌日31万5千円をa銀行の指定口座に振り
込んだ。
なお、アートライフから勧誘があった直後の平成22年10月初旬、東宝堂
のW(偽名で実際はT)はEに電話をかけ、
「インターネット美術館に作品を載
せませんか。」と言い、Eがアートライフから請求を受ける前だったので、「は
い。いいですよ。」と、やはり費用はかからないものと思い、気軽に返事をした。
Tは「後日契約書を送ります。」と言い、やはり費用や契約内容の説明は全く無
かった。数日後、東宝堂から封書が届き、中には「申込書」が一枚入っており、
そこにはアートライフで使われた作品と同じ作品がすでに印刷されていた。E
は申込書にそのまま何も書かずそのまま放っておいたところ、1、2日後にT
から電話があった。
Tは「契約書は届いていますか。すぐ送り返して下さい。」と返送を急かした
ので、Eは言われるまま、住所、氏名、連絡先を記入し返送した。
30
アートライフから何度も請求書が送られてきていた11月初め、東宝堂か
らも封書が届いた。中には以前Eが提出した申込書と小さい文字で紙いっぱい
に記載された規約と「広告掲載料 100000円」と記載された請求書が入
っていた。EはSに電話をし、
「請求を受けるような契約はしていない。送られ
てきた請求書はどういうことか。」と尋ねた。Tは「契約書を出されているでし
ょ。だから契約しているんですよ。支払って下さい。」と言った。Eは「そんな
契約はしていない。この規約は今初めて見た。」と言ったが、Tは「契約書の裏
面に契約内容が記載されていましたよ。」と主張した。Eは契約書が送付されて
きた際、確かに裏面は白紙だったと記憶していたが、契約書を送り返してしま
い、手元に契約書が無いので、
「あった」、
「無かった」と言い合いをしてもこち
らの主張は通らないと思った。EはTに「10万円を支払うので以降は解約し
て欲しい。」と言うとTは「わかりました。では10万円支払ったら、契約解除
申請書を送付しますから、そちらに署名して申請して下さい。」と言った。
Eは念のため、翌日の午前中に「契約解除の申し立て」として、
「今回の請求
に関しては支払うが、以降は契約を中止したい。」旨を書いた文書を東宝堂にフ
ァックスした。同日、東宝堂から「契約解除申請書」がファックスで送信され
たので、Eはすぐに署名捺印し、同日ファックスで返送した。
一週間程経って、東宝堂から広告掲載料20万円の請求書がファックスされ
た。Eは、10万円を支払って契約は解除できたものと思っていたので、すぐ
にTに電話で問い合わせた。Tは「あれは1回分ですよ。1回分だけ終わった
ということですよ。新聞折込は4回あるんですから。本当は4回で40万円だ
けどあなたがけんか腰で言うから30万円で良いですよ。」とEに言った。Eが
詐欺だと言うと、Tは「ぎりぎりのところでやっています。営業努力ですよ。
だから捕まりませんよ。」と言っていた。Eはアートライフとのトラブルがあっ
た後でもあり、早く終わらせたい一心で、同日a銀行の指定口座に20万円を
振り込むことにした。
それから数日後、20万円の請求書と「ART SPACE」という冊子2
冊と規約が届いた。規約は前回受領したものと内容は同じだが全て赤字で記載
されたものだった。Tとの電話で、請求金額を支払って契約終了という話にな
っていても、また請求書が送られてくるという、アートライフの時と同じ状態
になっていたので、Eは、今までの経緯と今後一切支払わず契約解除する旨を
記載した文書を作成し、同日東宝堂宛ファックスで送信した。また、もうEの
手に負えないと思い、消費生活センターに相談した。それ以降は東宝堂から請
求書は来なくなった。
アートライフについては合意書の内容通り、Eが63万円を支払って契約解
除され、以降アートライフから連絡も請求も無くなった。
31
平成22年10月末、東広通信のX(偽名で実際はT)はEに電話をかけ、
「インターネットに絵を掲載しませんか。」と言った。Eはアートライフから第
1回目の請求を受けた時期だったので、同じような手口に騙されまいと断った。
Tは「書面を送るだけ送りますね。」と言って電話を切った。2、3日後、東
広通信から契約書が届き、そこには規約らしきものが記載され、料金も記載さ
れていた。ただ非常に文字が小さいのでEにはほとんど読めなかった。書面が
届いてすぐ、再度Tから電話があり、
「どうですか。1回だけでいいんですけど。
掲載しませんか。」と言ったが、Eははっきり「いいです。」と断った。この契
約書にもアートライフや東宝堂で使われたものと同じ作品が既に印刷されてい
た。Eの数多い作品の中から、同じ作品を使い、勧誘の仕方もその後請求する
手口も非常に似ていたので、3社はグループなのではないかと思った。
32
【事例6】
平成22年10月中旬、アートライフから消費者F宅に「平和祈念支援キャ
ンペーン」という書面と「掲載承諾契約書」という書面が届いた。
「掲載承諾契
約書」にはFの作品の写真が既に印刷されていた。
数日後の午前11時30分頃、アートライフのV(偽名で実際はS)は、F
に電話をかけ、「『平和祈念支援キャンペーン』に記載してある通り、困ってい
る人の為の救済に作品の写真を使いたい。当社のホームページに載せて欲し
い。」と言った。Fは、「世界平和」とか「戦争の被害に遭った子供の為」など
と言われるとつい心を動かされてしまい、「費用はかかるのですか。」とSに尋
ねたところ、Sは「費用は一銭もかかりません。」と答えたので、Fは「掲載承
諾契約書」に署名押印して返送した。
それから一か月程経過し、アートライフから12万6千円の請求書と規約が
送られて来た。Fは驚き、電話でSに「この請求書は一体どういうことか。こ
のような契約はしていない。無料だと説明を受けた。あなたが無料だと説明し
たと私はここにメモをしている。」と言ったが、Sは「契約書をもらっている。
契約したから支払ってもらう。」と言った。Fは「契約書と言っても、料金も何
も書いてない書面じゃないか。」とSに言ったが、Sは「『掲載承諾契約書』と
一緒に規約が入っていたはずだ。」と言った。Fは契約関係の書類に関しては、
きちんと確認しており、
「掲載承諾契約書」に署名押印する際には、料金等の説
明が記載されていた書面は無かったとはっきり記憶していた。
1、2日後にはFが返送した「掲載承諾契約書」のコピーと「見て、感じて、
アートと歩む、平和な世界」と題する作品が印刷されたコピー紙、アートライ
フホームページに掲載されている画面のコピーが郵送されてきた。Fは義理の
息子にアートライフと交渉してもらい、以後請求は止まった。
アートライフに「掲載承諾契約書」を提出してから2週間程経った10月末、
東宝堂のW(偽名で実際はT)から電話があった。Tはアートライフ同様、
「平
和のため」というような趣旨で、やはり「ホームページに作品を載せたい。」と
言っていた。Fが「費用はかかりますか。」と尋ねたところ、「費用はかかりま
せん。」とTが答えたので、自分の作品を掲載することを了承した。翌日、東宝
堂から「申込書」が郵送された。
「申込書」にはFの作品の写真が既に印刷され
ていた。
「申込書」には小さい赤い字で「裏面の規約をよくお読み下さい。本書
面は契約書になりますので大切に保管願います。」と記載されていた。それで、
Fは裏面を確認したところ、何も規約のような記載は無く、白紙だった。Fは
料金がかからない掲載をすると思っていたので、裏面が白紙であっても特に気
に留めず署名、押印して返送した。
11月下旬、東宝堂から「ART SPACE」という雑誌と規約と10万
33
円の請求書が郵送された。Fは「請求書が送られて来たが、どういう意味か。
このような有料の契約をした覚えはない。」とTに言った。Tは「11月1日か
ら11月15日までの掲載分が10万円で11月16日から11月30日まで
の掲載分として10万円かかる。規約を読んでいなければ和解できる。値段に
ついてはこちらから言えない。」と言った。それでFは消費生活センターに相談
することにした。東宝堂と念のためアートライフに契約解除通知を出し、以降
はアートライフからも東宝堂からも請求が届くことは無くなった。
34
【事例7】
平成23年3月、東広通信のX(偽名で実際はT)はGに電話をかけ、
「国会
図書館で歌集を拝見して電話をしている。」、
「インターネットと冊子に作品を掲
載しませんか。」と言い、Gが費用について尋ねると「5万円です。」と説明し
た。Gは掲載費用が5万円であれば掲載してもよいかと思い、電話で掲載につ
いて了解すると、Tは「それでは、後ほど契約書をお送りします。」といって電
話を切った。
東広通信からの電話と同時期に、東宝堂、アドクリエイト、アートライフ、
現代通信という会社からも電話があった。電話の内容は、東広通信からの電話
に似ており、インターネットや冊子に作品を掲載しませんかというもので、G
が掲載料についてたずねると、東宝堂とアドクリエイトは各々5万円、アート
ライフと現代通信は各々6万3千円という説明だった。これらの金額であれば
何とかなると考えいずれも掲載を了解した。
約一か月後の4月、東広通信から自宅に郵便で封書が届いた。封書の中身は、
契約書と書かれた書面で、下部に規約が記載されていた。Gは、先月の電話の
際、掲載費用については5万円としか説明がなかったので、規約の内容を見て、
「金額が1掲載あたり9万円から」と事前の説明と違っていること、発行が月
3回で掲載毎に料金がかかること、また、契約が1か月ごとの自動継続になる
ということに驚き、心配になった。間もなく、Tから「先日、電話で了解いた
だいた件について契約書を送付しました。」と、電話があった。Gが「電話で掲
載費用は5万円としか聞いていない。1掲載あたり9万円という金額の説明は
受けていない。また、発行が月3回で掲載毎に料金がかかることや、1か月単
位でという話は聞いていない。」と言うと、Tは「先日、電話で了解いただいて
いる。契約書を記入し送り返してください。」とGの話を受け入れる様子は無か
った。Gは、事前の説明と違うので、契約書の余白に「規約は受け取っていま
せん。」
「お金がなくて契約できません。あちこちに相談しています。」と記載し、
名前を付記して、東広通信に送り返した。
数日後、東広通信から封書が届いた。中身は前回同様の契約書だったが、掲
載日が変わっていた。Gは自分が了解した時の説明と話が違うと思ったが、T
からの契約書の返信を督促する電話に、止むを得ず、氏名の記載欄の上の余白
に「この回1回限りとし、掲載料は電話で話したように5万円とする。違約し
ないように。」と手書きで記載し、氏名を記入し、送り返した。
その後、東広通信からは、請求金額5万円と記載された請求書がファックスさ
れてきた。
東広通信に契約書を返送した前後に、東宝堂、アドクリエイト、アートライ
フ、現代通信株式会社からも次々と契約書や請求書が送付され、また、それぞ
35
れの会社から電話があった。
東宝堂からはファックスで契約書と5万円と記載された請求書送付があり、
ファックスの送信表に「3月にお約束しておりました短歌掲載です。内容をご
確認いただきファックスにてご返信下さい。」とあった。ファックスが届いたち
ょうどその頃、東宝堂のW(偽名で実際はT)から「3月に電話で約束してい
る件で書類を送りました。」、「契約書を記入して送り返してください。」と電話
があった。
アドクリエイトからは、Gの歌が三句記載された契約書が送付された。契約
書には、「企画名 紙上ギャラリーYGLL」、「掲載媒体 ○○新聞(折り込
み)」、「金額(1枠) 各100,000円」と記載され、「広告掲載内容」と
してGの歌が三句記載されていた。間もなく、アドクリエイトのZと称するT
から「先日、了解いただいた件で契約書を送付したので記入して返送願いたい。」
という電話があった。Gが「事前の電話で費用は5万円といっていたが、契約
書には各10万円とある。金額が事前の話と違っている。」と言うと、金額を5
万円に修正した契約書と請求書がファックスされてきた。請求書には品目広告
掲載料、請求額5万円と記載されていた。契約書には「約款の内容をよくお読
み下さい。契約内容に不明な点がありましたら必ずご連絡下さい。」と記載され
ていたが、裏面は白紙だった。
アートライフからは、請求書と契約書がファックスで送付され、ファックス
送信表には手書きで「支払期日が過ぎていますので本日ご入金下さい。」と書か
れていた。契約書は「作品掲載契約書」と記され、Gの歌が二句記載され、
「企
画名:暮らしにゆとりと華を」、「媒体:弊社ホームページ及び折込」、「料金各
63,000円」等とあり、注意書きとして、
「1か月単位の契約になり、毎週
日曜日の折り込み及び弊社ホームページに契約されます。料金は1掲載63,
000円(4.3×11.8cm)ですので掲載毎に料金かかります」、
「1か月毎の自動
更新になりますので、掲載を止める場合は掲載を止める2週間前までに弊社に
書面でご連絡下さい。」と記載されていた。アートライフの契約書も現代通信同
様、事前の電話では、掲載費用について単に金額を言うだけで、1か月単位の
契約で1掲載毎に料金がかかることや、自動更新であるとの説明はなかったが、
契約書にはこれらのことが記載してあった。また、
「詳しくは裏面の約款をお読
みください。」と記載されていたが、裏面は白紙だった。Gは、アートライフの
V(偽名で実際はS)から電話があった際、
「費用について6万3千円としか説
明がなく、1掲載毎に料金がかかることや1か月単位の契約で自動更新である
ことなどは聞いていない。また、毎週日曜日の折り込みなどという話も聞いて
いない。」と言ったが、Sは「説明しています。承諾いただいているので契約書
を記入して返送してください。」と言うばかりだった。
36
現代通信からは、契約書と6万3千円と記載された請求書がファックスで送
信された。現代通信のY(偽名で実際はS)からも書類が送付された後、
「先日
了解いただいた件で、契約書を送付したので記入して返送いただきたい。」と電
話があった。Gは、東広通信とアートライフの契約書の金額や掲載内容につい
て事前の説明と違っていること、また、その点を指摘しても両社とも「説明し
ている。承諾いただいているので契約書を返送するように」と言ってきたこと、
また、アドクリエイトについても当初の契約書の金額が説明と違っていたこと、
アドクリエイトと現代通信の金額が「各○○円」と記載されていること、さら
に東宝堂から電話がかかってきた際、各社のタイミングや手口があまりに似て
いることなどから、担当者に東広通信他の名前をあげ、
「会社同士で繋がってい
るではないか。」と聞いた。それに対して、「中には情報のやりとりをする会社
もある。」と回答されたことに不安を感じた。しかし、各社から契約書の返信を
迫る電話があり、G自身も、広告掲載については電話で掲載を承諾したことも
あり、アドクリエイト、アートライフ、現代通信の書面を返送することにした。
ただし、アートライフについては契約書の氏名等の記載欄の上の余白に「今回
のみ」と記載、また、現代通信についても氏名等の記載欄の上の余白に「今回
限りとする。以後一切掲載を拒否します」と記載し、返送した。東宝堂につい
ても同じ頃返信した。また、Gは各社と電話のやりとりで「今回1回限りの掲
載、支払いであること」を伝えた。さらに、契約書にも今回限りと断り書きを
入れ返信したが、念のため、
「解約書」として「貴社との広告に関わる契約を解
除する」旨の文書を、東広通信、東宝堂、アドクリエイト、アートライフ、現
代通信の5社に郵送した。5社の請求書は、契約書とともに同封されていたり、
契約書を返送した後、すぐに送付されてきたりしたが、5社とも、広告掲載料
金として金額と振込期日が記載してあるだけで、広告媒体や広告として掲載し
た日付の記載などが無く、請求の明細は一切わからないものであった。Gは不
安もあったが、請求されたお金についてはそのままにしておくことができない
性分なので、東広通信に5万円、東宝堂に5万円、アートライフに6万3千円
を振り込み、翌日にはアドクリエイトに5万円、現代通信に6万3千円を振り
込んだ。
東広通信、東宝堂、アドクリエイト、アートライフ、現代通信の5社に振り
込みを行った途端、5社から請求書が何度も送付され、また、支払いの確認・
支払いを要求する電話が毎日のようにかかってきた。Gは、掲載が止まれば請
求も止まると考え、事業者からの電話の度に相手の担当者に対して「了解した
のは1回分だけだ。それ以外の契約はしていない。もう掲載は止めて欲しい。」
と言った。しかし、5社とも契約したのだから支払ってくださいと言うばかり
で、督促の電話も請求書の送付も止まらなかった。やむなくGは、更に東宝堂
37
に5万円、アドクリエイトに5万円、東広通信に5万円、アドクリエイトに5
万円、アートライフと現代通信にそれぞれ6万3千円を振り込んだ。また、事
業者との電話のやりとりでらちがあかないため、Gは「作品の掲載を拒否する。」
旨の「告知書」を5社に送付したが、各社からの請求書の送付と支払いの確認、
督促をする電話は止まず、Gはまた、東広通信と東宝堂にそれぞれ5万円を振
り込んだ。
4月中旬、請求書の送付と電話が一向に止まらないことから、Gは友人の弁
護士に対応を相談し「作品を無断で掲載した場合、法に従ってその責を負って
もらうこと。その経費の負担は一切負わないこと。」を内容とする「通告書」を
5社に送付した。
その後も各社からの請求書の送付と支払いの確認、督促をする電話は続き、
Gはアートライフと現代通信にそれぞれ6万3千円ずつ、東宝堂に10万円、
アドクリエイトに5万円を、更にその後アートライフと現代通信にそれぞれ6
万3千円ずつを払い込んだ。ここまでの間、5社からの請求書の送付と督促で、
東広通信に5万円ずつ3回、計15万円、東宝堂に4回、計25万円、アドク
リエイトに4回、計20万、アートライフと現代通信がそれぞれ4回、25万
円2千円で、5社併せて19回、計116万7千円を振り込んでしまった。
先に送付した通告書が相手方の手元に届いたことが理由なのか、それ以降
は、東宝堂、アドクリエイト、現代通信の3社からの電話や請求書の送付は止
んだが、それでも東広通信とアートライフからの請求の電話は止まなかった。
東広通信のTから、「一体、払う気はあるんですか、それともないんですか、
はっきりして下さい。」といった電話があった。Gは「もう、支払うお金がない。」
と答えると、電話は切れた。
アートライフのSだけは、その後も時間を問わず電話をかけ、Gが電話機に
仕掛けをして通じなくしても、夜10時過ぎに解除すると間髪を入れずに「何
回入れても留守だった。どこに行っていたのか。」と電話をかけてきた。Sから
「残り2回分ありますが、今日1回分振り込んでもらえればもう1回は支払わ
なくていいですよ。」と言われたので、これで請求の電話が止まるならと思い、
6万3千円を振り込んだ。しかし、これで終了したつもりが、5月末にSから
「未払い金を振り込むように」との電話があった。Gが「お金がないので支払
えない。」というと「あったら払うんですか。」と言い、Gが「払うべきものな
ら払う。」と答えると、
「払うべきものだ。」と言った。Gが、以前送付した通告
書のことを言うと、「知らない。」の一言だった。
38
【事例8】
平成23年2月下旬頃、東宝堂のW(偽名で実際はT)はHに電話をかけ、
「国会図書館で、詩集を拝見した。とても素晴らしい作品なので当方のインタ
ーネットや冊子で紹介したい。」と言った。Hは年金暮らしだったので、「お金
がないので断ります。」と言ったが、TはとにかくHの詩を「素晴らしい作品だ、
是非とも掲載させて欲しい。」と褒めまくり、電話を切ろうとはしなかった。H
が「費用はおいくらですか」と聞くと、Tははっきりと金額を言わず曖昧な答
えばかりしており、「後ほど契約書をお送りします。」と言って電話を切った。
それから何日か後、東宝堂から封書が届いた。中には申込書と書かれた書面が
入っており、書面にはHの詩が一つ載っていた。その後、東宝堂から、申込書
を返送するよう電話があり、Hは、費用についての説明が無く心配だったので、
申込書の名前、住所を記載する欄に「代金は一切お支払い出来ません」と書い
て、東宝堂に返送した。
Hが東宝堂とのやりとりをした同じ頃、アートライフのV(偽名で実際はS)
はHに電話をかけ、「平和祈念キャンペーンに協力いただきたい。」、「作品掲載
の了解をいただきたい。」と言った。アートライフのSもHの作品を褒め、Hが
掲載費用について尋ねても、はっきりとした説明は無かった。数日後に届いた
アートライフの書面は「掲載承諾契約書」と記載されたもので、上半分に、
「原
稿内容確認」とあり、東宝堂と同じHの詩が1つ載っていた。費用に関する記
載は一切無く、Hは、氏名等を記入し返送した。
アートライフからは、それから約半月後に書面が再度届いた。書面は前回の
ものと似ており「掲載承諾契約書」とあり、前回と同じ詩が掲載されていた。
書面が届いた後、アートライフから電話があり、書面の返送を促された。Hは
費用についてだんだん心配になり、念のため、書面の余白に「掲載料1万円で
す」と手書きし、印鑑を押してから返送した。
Hがアートライフとやりとりをした後の3月中旬、東広通信のX(偽名で実
際はT)からも電話があった。Tも、しきりにHの作品を褒め、
「冊子に掲載す
る了解をいただきたい。」というものだった。やはり費用についての説明は無か
った。数日後、東広通信から書面が送付され、Tから書面を記入し返送をする
よう電話があった。送られた書面には、契約書とあり、東宝堂、アートライフ
と同じHの詩が1つ掲載され、「媒体:芸術文秋」とあり、書面の下の部分に、
小さな字で規約のようものが記載されていた。Hは目があまり良くないので細
かい字がよくわからないが、費用に関する説明のように思った。電話で費用に
関する説明は無かったが、Hは「作品掲載承諾書」の余白に「掲載費は1万円
です。」と記載して返送した。
アートライフや東広通信とやりとりをしていた頃、アドクリエイト、現代通
39
信という会社からも電話があった。電話の内容はやはりHの作品を褒め、作品
の掲載の承諾をいただきたいという内容だった。この時には、東宝堂、アート
ライフ、東広通信との電話のやりとりで怪しいと思っていたので、両社からの
電話に対して「お断りします。」と伝えたが、現代通信からは「広告掲載契約書」
という書面と請求書が送られてきた。広告掲載契約書には、東宝堂、アートラ
イフ、東広通信から送付されたものと同じHの詩が左上に小さく掲載され、
「単
価1枠 各126000円→63000円」と記載されていた。税込金額6万
3千円と記載された請求書はもう一度送られてきた。
アドクリエイトについても、「品名 広告掲載料」、「請求額 50000円」
と記載された請求書が封書で届き、Z(偽名で実際はT)から支払いを求める
電話があり、さらに、再度請求書が届いたが、断ったものなので、そのままに
しておいたところ、以降、両社からの請求や電話は無かった。
東広通信に契約書を返送した後の3月下旬、東宝堂から封書が届いた。中
にはH宛の請求書、規約と書かれた書面、申込書が入っていた。請求書には、
「御請求金額¥10,000-」、「広告掲載料」と記載されていた。規約と書
かれた書面は、細かい文字で契約に関すると思われる文言が記載されていた。
請求書の到着後、東宝堂のTから電話があり、Hは「費用について、きちんと
説明を受けていません。」、
「申込書には『代金は一切お支払い出来ません』と書
いて返送しました。」と伝えたが、Tは「了解いただいています。」と言い、H
の話を認めようとはしなかった。Hは、納得できなかったが、請求書の支払い
を求めてきたのでやむを得ず、請求書に記載された口座に1万円を振り込んだ。
同封されていた申込書は、Hが先月返送した書面と同様で、記載されている詩
も同じものだったが、掲載日が一か月遅い日付になっていた。Hは、この申込
書により、また掲載費用と称して費用を請求されると困ると思い、申込書の契
約者情報欄の余白に「今後掲載お断りします。」と記載、押印して、東宝堂に返
信した。
東宝堂への振り込みをした直ぐ後、アートライフと東広通信からも封書で請
求が送付された。アートライフからの封書には、約款と書かれた書面、また、
Hの詩が掲載されている何かの画面をコピーしたものが同封されていた。請求
書は「今回御請求額63000円」、「広告掲載料金」と記載されていた。請求
書の到着後、アートライフのSから電話があり、Hは「費用について、きちん
と説明を受けていません。」と伝えたが、Sは「了解いただいています。」と言
いHの話を認めようとはしなかった。Hが、お金が無いので支払えませんと言
うと、Sは、それでは4万2千円でいいのですぐに振り込むようにとのことで、
やむを得ず、4万2千円を振り込んだ。東広通信の請求書には「広告掲載料金」、
「税込み金額90,000円」と記載してあった。東広通信のTからも請求書
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の到着後電話があり、Hが「費用について説明をいただいていない。」と言った
が、Sは「説明しています。契約いただいている。」と言い、9万円の振り込み
を求めてきた。Hは「お金が無くて支払うことができません。」というと、「そ
れでは5万円でいいのですぐに振り込むように。」ということだったので、これ
についてもやむなく振り込んだ。
Hは、支払いを済ませたので3社から電話は無くなると思った。しかし、3
社からは、その後も請求書が送付され、また、担当者から支払いを要求する電
話があった。東宝堂の請求金額は10万円、アートライフの請求金額は12万
円、東広通信は請求金額18万円だった。Hは、3社の担当者に「既にお支払
いは終えています。」、
「何度も掲載するとは聞いていない。請求書の契約をした
憶えはありません。」と言ったが、3社とも「了解をいただいている。」、「期限
までに振り込んで下さい。」とHの話は聞き入れられなかった。Hは騙されたと
思ったが、何度も支払いの確認、督促をする電話があるので止むを得ず、東宝
堂に8万円、アートライフには10万円を振り込んだ。請求額と振込金額が異
なるのは電話のやりとりで決まったものだった。
その後も東宝堂と東広通信の請求は止まず、東宝堂からは20万円、東広通
信からは18万円の請求書が送付された。両社からは支払いを求める電話もあ
った。中でも特にしつこかったのは東宝堂だった。何度も電話で支払いを迫り、
Hが「年金暮らしでお金がないので10万など支払えません。」と言うと、Tは
「それでは分割でよい。毎週1万ずつ支払いなさい。」などと言い、20万円の
請求書を送りつけてきた。東宝堂とのやりとりの際、
「作品を掲載したというが、
掲載されたものが何も手元に送られていない。」と言うと、東宝堂から郵便物が
届いた。中には、
「ART SPACE」という題名の冊子と「芸術文秋」とい
う題名の冊子が入っていた。どちらもカラー刷りの冊子で、
「ART SPAC
E」の裏面には株式会社東宝堂、
「芸術文秋」の裏面には株式会社東広通信と小
さな字で記載されていた。Hは2社の冊子が一緒に送付されてきたことで、H
に嘘の説明をして掲載料金を請求している東宝堂と東広通信は繋がりがあると
いうことがわかった。Hは、東宝堂と東広通信からの支払いを要求する電話と
請求書の送付に、もう手に負えないと思い、4月末、消費生活センターに相談
に行った。Hは、東宝堂、アートライフ、東広通信の3社に通知書を発送した。
その通知以降は、3社からの連絡は無くなった。
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