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1 2014 年 3 月 18 日 Simon Lewis からのビデオメッセージ(日本語訳

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1 2014 年 3 月 18 日 Simon Lewis からのビデオメッセージ(日本語訳
2014 年 3 月 18 日
Caux Round Table
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Simon Lewis からのビデオメッセージ(日本語訳)
自己紹介
ロンドンから東京へメッセージを送ることができて、非常に嬉しく思っております。
私の名前はサイモン・ルイスです。チーム・プラネットという新しいコンサルティング会社を
設立したばかりです。スポーツ団体のサステナビリティに関するサポートをしております。
この会社を立ち上げる前は、12 年ほど WWF(World Wildlife Fund:世界自然保護基金)で
働いていました。そのうち 8 年間はスポーツ中心の活動をしており、スポーツによる環境への
影響を抑えるなど、スポーツとサステナビリティに関する活動をしていました。
WWF には世界的なネットワークがあり、グローバルな活動を行ってきました。2006 年のト
リノ冬季オリンピックに関わり、北京での 2008 年のオリンピックには IOC のオブザーバーと
して参加、2010 年のバンクーバー、ソチ冬季オリンピック、そしてリオのオリンピックの準
備や、WWF の関わっているスポーツ関係の案件にもいくつか関わっております。
しかし私にとって最も大きな仕事は、ロンドン 2012 とイギリス WWF におけるものでした。
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Sustainability Framework
WWF は 2012 年のロンドンオリンピックに最初から関わっていました。2003 年末から 2004
年にかけて London 2012 という法人が設立され、そこに関わり、オリンピック委員会への立
候補ファイルの作成支援を行いました。WWF 以外にも、Bio Regional という別の NGO が招
致段階から関わっておりました。
London 2012 は NGO や市民、ステークホルダーとコミュニケーションを持ち、立候補ファイ
ル中の環境や気象に関するセクションを完成させなければならないとわかっていました。オリ
ンピック開催で何が問題になるのか、何がビジネスチャンスになるのかを理解しようとしてい
ました。
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〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町 29-33 渋谷三信マンション 505 号室
電話: 03-5728-6365 FAX: 03-5728-6366 http://www.crt-japan.jp
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WWF と Bio Regional は One Planet Living というプログラムで一緒に仕事をしていました。
Ecological Foot Printing(エコロジカル・フットプリント、生態系リソースの消費量) と
Carbon Foot Printing(二酸化炭素排出量) を使って、地球上の資源の範囲内で生きていく
というものでした。私たちは London 2012 に対して One Planet というコンセプトに基づいた
オリンピックはどのようなものになるか話をしました。
彼らは私たちのコンセプトが気に入りました。ステークホルダーやスポンサーに話すことがで
きるだけでなく、考え方のもとになる枠組みとなり、一連の問題点を把握し、向かうべき方向
を明確にすることができたからです。
WWF、Bio Regional と London 2012 は覚書(MOU)に署名し、ロンドンのオリンピックを
招致するに際して、サステナブルな枠組みを書き上げるための支援を行いました。この仕事が
発展して、IOC 評価委員会がロンドンなどの立候補都市を訪問した際には、WWF の Chief
Executive はイニシアティブをとり、WWF の視点から London 2012 のサステナビリティプ
ランに関する支援を行いました。ロンドンは、オリンピックムーブメントをサステナビリティ
に関連づけ、またサステナビリティに向けて動かすという点において、非常に大きな一歩を刻
んだと WWF は感じています。
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Stakeholder Engagement
ロンドン 2012 は、
(2003、2004 年の段階では)もともとオリンピックを招致するために設立
された法人でした。契約上では、財務的には関係していませんでしたが、WWF は(オリンピ
ックを)世界的にサステナビリティについて示す大きな機会であり、重要なものと考えていま
した。ですから、私達は、プロジェクトの最初から最後まで、時間と専門知識を無料で提供し
ました。その中で学んだこととしては、サステナビリティは早く始めなくてはならないという
ことです。早く関与すればするほど、パートナー、スポンサー、NGO、市民団体、組織委員
会など全てが一緒に仕事をすることになります。豊かな関係を築くことが、より良い結果につ
ながるのです。
ロンドン開発公社(London Development Agency)のちの ODA は、ステージや会場の建設な
ど、インフラの整備を担当することになりました。そのしばらく後に、ロンドンオリンピック・
パラリンピック組織委員会 (LOCOG)が設立され、大会運営を担うことになり、IOC との
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連絡や、マーケティングや大会運営などを行いました。WWF はこの両方の組織や他の運営パ
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ートナー、例えば中央政府やロンドン当局、それに廃棄物等や交通機関などを管轄する色々な
組織と非常に良い関係を維持しました。
企業パートナーに関しては、もう少し後に始まったと思います。
確か、最初に企業パートナーとなったのは EDF(フランス電力)で、2007 年のことでした。
ですから、開催都市に選ばれてから最初のパートナーが参加するまでの間に色々な事がありま
した。正直に言いまして、WWF は望んでいたほどはそのプロセスに関与できませんでした。
これは将来にむけた教訓となったかと思います。
サステナビリティは London 2012 や LOCOG
にはよく取り込まれていました。サステナビリティのチームは、建物の環境的側面などには非
常に影響力をもった一方で、資金調達やショーの上演を行うマーケティングなどに関してはそ
れほど影響力を行使できませんでした。企業パートナーに関しては、私たちが望んでいたほど
サステナビリティを考慮した選択を行うことができませんでした。
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Sustainability Partner Program
WWF としては、
サステナビリティパートナープログラムの宣言は非常にエキサイティングで、
本当に大きな前進だったと思っています。オリンピックがどのようなイメージを与えるかにつ
いて、企業パートナーは大きな役割を果たしています。例えば、ゲーム(イベント)の雰囲気
は、組織委員会・開催都市、国、放送事業者、そしてパートナーの活動によって決定づけられ
ます。この四者が、価値観やゲーム(イベント)のイメージなどを作り出し伝える主な役割を
果たしています。ですから、サステナビリティについてパートナーに関与してもらい、サステ
ナブルでありながらパートナーも視聴者も観客もサステナビリティに関与できるようなビジ
ネスプラットフォームを作ることは素晴らしいことだと思っていますし、オリンピックムーブ
メントにおいても非常に素晴らしい事であると思っています。
私の考えでは、2012 年のロンドンオリンピックは、オリンピックにとって大きな転機となっ
たのではないでしょうか。ロンドンオリンピック以降、環境やサステナビリティというものを、
単に対策を考えて対処しなくてはならない問題としてとらえるのではなく、大勢の人々が関与
できるような、肯定的なもの、チャンスとして捉えるようになったと思います。しかしながら、
私の、そして WWF の考えでは、これにはマイナス面もありました。
つまり、LOCOG が一緒に活動するサステナビリティ・パートナーを選ぶ時に、あまりよい選
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択をしなかったということです。私達は、サステナビリティ・パートナーの中には、努力して
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選ばれたというよりは、お金で肩書きを買った企業もあると感じました。これはオリンピック
のサステナビリティ・プログラムにかなり大きな影響を与えました。例えば、BP のような石
油とガスの会社や EDF のような大きな電力会社で、イギリスや世界の中でもサステナビリテ
ィに関して必ずしも革新的と言える取り組みを実施していない企業も「サステナビリティ・パ
ートナー」という肩書きを持っていたわけです。そのため多くの人にとっては、London 2012
と LOCOG が企画した全体としてのプログラムを信じることが難しくなってしまいました。と
ても残念なことです。ロンドンの事例から東京に学んでほしい点としては、プログラムのサス
テナビリティ・パートナーに関してはきちんと選んでほしいということです。
WWF はサステナビリティ・パートナーに関しては基準を持っています。一つ目の基準は、私
達は、サステナビリティ・パートナーという肩書きを与えるのは、業界の中でサステナビリテ
ィに関して先進的な取り組みを行っている組織でなくてはならないと思います。環境に関して
優良企業(リーディング・カンパニー)でなくてはならないと思います。二つ目の基準は、会
場で提供しているもの、つまり現地でのサービス、資金提供、ゲストに対するもてなしは全て
サステナブルで、組織委員会のプログラムと合っていなくてはなりません。そして三つ目の基
準は、企業はオリンピックで示した行動を会社全体で行うとコミットする必要があります。オ
リンピックのためにこのような行動をとっている訳ではなく、会社に行動が根付き、事業とし
ても重要性を増すようなものでなくてはなりません。これが、WWF がサステナビリティ・パ
ートナーに課す三つの基準です。企業によってはこの基準が達成できていましたが、達成でき
ていない企業もありました。
従来型のスポーツスポンサーのやり方は、試合の横にロゴを飾って、ゲストをもてなせば、皆
喜ぶというものでした。でも今は違います。企業はそれよりもずっと大きなものを求めていま
す。ブランドの価値を伝えたり、消費者の企業に対する認識を変えたり、ゲーム(イベント)
などで人が企業と関われるようなコンテンツや方法を求めています。人々が関わることができ
るような参加型のスポンサーシップ・アクティベーション(スポンサーシップの有効活用)プ
ログラムが必要なのです。
また、オリンピックの問題は、脚光を浴びる素晴らしい 6 週間がある一方で、その前に何ヶ月、
時には何年もの間、企業が関わっているゲーム(イベント)に関して、悪い PR が行われる可
能性もあるという事です。しかし企業がきちんとサステナビリティ・プログラムを行う事で、
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ゲーム(イベント)などでの PR をスムーズに行う事ができます。
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スポンサーになりたい企業、そしてスポンサーになる力のある企業は多くあると思います。例
えばコカ・コーラのように、オリンピック時にスポンサーとしてとてもうまくやっているよい
例もあります。でも、私は組織委員会がパートナーを慎重に選ぶ事がとても大切だと思います。
特にサステナビリティ・パートナーという括りで関心を集めるつもりなら、慎重に選ぶ事がと
ても大切だと思います。そうしないと、他でのよい仕事まで貶められ、台無しになってしまう
可能性があります。
もう一つ、覚えておいてほしい事があります。ゲーム(イベント)にとってスポンサーは非常
に大切ですが、一方で、支出金額に対するスポンサーの貢献は大体 10%程度なのです。ロン
ドンオリンピックを行うためにかかる金額が 100 億ポンドだとすると、スポンサーからの拠出
金額は約 10 億ポンドになります。ですからスポンサーにとってはいい商売なのです。莫大な
金額の公的資金がゲームやチケットの販売などに使われているからです。権利はよく保護され
ていますし、ゲーム(イベント)に関係して非常に注目されますしね。
でも東京の皆さんへのメッセージとしては、パートナーを選ぶときに必要とあれば断るだけの
勇気を持ってほしいということです。ぜひ慎重にパートナーを選んでください。そうすれば
2020 年の東京オリンピックのブランドイメージ戦略は、大きな成功をおさめるでしょう。
コカ・コーラは 1928 年からずっとオリンピックスポンサーを務めていました。2006 年のトリ
ノの冬季オリンピック以降、コカ・コーラは環境問題について真剣に考え始めました。そして
スポンサーシップ活動を通じて、コカ・コーラに対する認識やゴミなどに関する環境意識への
変化を促すための取り組みを行ってきました。取り組みは、トリノ、北京、バンクーバー、ロ
ンドンへと徐々に変化していきました。
ロンドン 2012 はしっかりしたサステナビリティ・プログラムを持っていましたし、ロンドン
オリンピックはサステナビリティに関して面白い事をやる絶好の機会でした。コカ・コーラは
これをうまく活用したのです。
私達は、コカ・コーラが設立した審議会に戦略的アドバイザーとして参加し、ゲーム(イベン
ト)に関連した活動についてアドバイスを実施しました。製品をどのように保管して試合会場
に運ぶかという物流に始まり、招待客が宿泊したホテルの運営がコカ・コーラの顧客向けのス
ポンサーシップ・アクティベーションに沿ったものになっているのか、その中には、オリンピ
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ック・パークの見学なども含まれていました。カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)
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の削減、これには倉庫の上の太陽電池設置からバイオ(生物)ガスを使った大型トラックを何
台か導入しましたし、水の使用、廃棄物なども含め、サステナビリティに関する全てについて
検討しました。廃棄物に関して、例えば、オリンピック・パークで回収したボトルをリサイク
ルし、6 週間以内に新しいボトルに再利用することなどを約束しました。包括的な仕組みを設
けたのです。
興味深い点は、コカ・コーラ社はロンドンオリンピックで最もサステナビリティに関する活動
を行った企業であったにも関わらず、サステナビリティ・パートナーでなかったという点です。
彼らはサステナビリティ・プログラムには参加していませんでした。なぜ彼らがサステナビリ
ティ・プログラムに参加しなかったのかについては、私もわかりません。コカ・コーラ社は、
その一員になることを希望しなかったということかもしれません。けれども、いずれにしても
サステナビリティに取り組み、それをうまく伝えていたと思います。この事例についても、東
京で検討してみると面白いと思います。
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Lessons learned from London to Tokyo
東京が開催地に選ばれたという事に、ワクワクしています。ロンドンと同じような、非常に発
展した都市でオリンピックが行われるということは、サステナビリティという意味で非常に面
白い事ができるよい機会になると思います。ですから、サステナビリティとスポーツに関心が
あり、Team Planet を立ち上げた私のような人間にとっては、東京においてまた新たなすばら
しい章が開かれることを期待しています。
東京が招致の際にサステナビリティに触れていた点もよかったと思いますし、将来に向けて面
白いことをやりたいという気持ちも示しているので、そういう意味で素晴らしいニュースだと
思います。
企業スポンサーやパートナーの役割は非常に重要で、イベントに大きな価値を与えることがで
きると思います。適切なスポンサーを獲得して、スポンサーにイベントのために力を尽くして
もらうことが重要です。マーケティングの有効活用ですとか、企業としてできる事、特にサス
テナビリティに関してはできる事がたくさんあると思います。
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今までにあまり見られなかったことですが、ロンドンでは非常に早い段階から NGO や市民社
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会のステークホルダーとのエンゲージメントを図ってきました。こうした組織は、イベントに
大きな価値をもたらしますし、サステナビリティなどの問題に人々に目を向けてほしいという
組織の活動の目標とも一致する素晴らしい機会なので、彼らは無料または本当にわずかな金額
で協力してくれます。ですから、ぜひとも東京にもこのようなやり方を活用していただきたい
と思います。特に、サステナビリティや開発の問題に関して、NGO や市民社会の方々が企業
スポンサーと一緒になって対応していけば非常に強力ですし、スポンサーの活動における信頼
性を大きく向上させることにつながるだけでなく、そのブランドがイベントに対して非常によ
い影響をもたらすと思います。これが、私がロンドンオリンピックで学んだ事ですね。
最後に、東京オリンピックでのさらなる発展を祈念しております。
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