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(第1部)業務との整合性がカギ!管理する為の管理会計とは…

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(第1部)業務との整合性がカギ!管理する為の管理会計とは…
《《
管理会計セミナー
第1部
》》
業務との整合性がカギ!
管理する為の管理会計とは…
CIOパートナーズ株式会社
代表取締役
吉田 明弘
第1部の講演内容
第1章
各社の抱える悩みと成否の分かれ目
第2章
管理する為の管理会計のポイント
第3章
管理会計を活用して一歩先を予測するには…
第4章
管理する為の管理会計の実現に向けて
はじめに…
 管理会計には非常に多岐に渡る論点があります。
 従って、今回のセミナーは「実績ベースの利益管理のあり方」
に焦点を絞って講演します。
 また、ポイントを出来るだけ分かり易く解説する為に、具体例
を用いていますが、反面、皆様の会社の実態とは異なる例示も
少なくない、と考えられます。
 こうした点をご理解いただきたく、予めお願い申し上げます。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
2
第1章
各社の抱える悩みと成否の分かれ目
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
3
1-1.そもそも「管理会計」とは…
 本来、会計には(1)業績開示(IR)や税金計算の根拠としての側面(財務会計)と(2)企業活動を管理するツールとしての側面
(管理会計)の二面性があります。
 ただし、管理会計については諸説があり、明確な定義は定まっていない為、一般的な通説を以下に列挙します。
管理会計とは…
企業の歴史的および計画的な経済的処理をするにあたって、経営管理者が
合理的な経営目的の達成計画を設定し、またこれらの諸目的を達成する為
に知的な意思決定を行なう事を援助する為に、適切と思われる技術および
(アメリカ会計学会)
概念を適用することである。
 上記では、「管理会計とは、経営目標の設定や意思決定を支援する為、会計を活用する事」としています。
 この、会計(経理)と経営の関係については、故 松下幸之助氏も同様の発言をしています。
『経理というものは単に会社の会計係ではなく、企業経営全体の羅針盤の
役割を果たす、いわゆる経営管理、経営経理でなくではならない。』
(故、松下幸之助 氏)
これらが示す通り、企業は利益創出に向けて経済活動を営み、この活動結果を最も適切
に表す情報が会計情報です。従って…
会計情報を最大限、経営に活用する事こそが管理会計の本質
と私たちは考えています。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
4
1-2.管理会計における各社の悩み…
 管理会計の重要性を、経営層は充分に認識していても、社内での浸透や活用が一向に進んでいない企業が少なくありません。
 そこで、こうした企業に多く見受けられる代表的な「お客様の声」を列挙します。
業績への貢献程度がハッキリしない
 自分達が携わる仕事が、どの程度、会社の業績に貢献できているのか、が分からない…
 特に、売上計上に直接関係しないバックオフィスのコストセンターで、こうした声を聞く事が多い。
経営環境の変化についていけない
 原材料や仕入れコストが大きく変動しているのに、期中の利益見通しはタイムリーに修正できない…
 折角、月次決算を行っているが、管理会計では翌月以降にならないと影響が反映されない…
従業員の行動に変化がない
 折角、部門や顧客、商品ごとに細かく利益を把握できるのに、社内では参考情報程度にしか活用され
ていない…
 現場は、利益の良し悪しに関係なく、同じ日常業務を繰り返している…
この様な問題の多くは、利用者や情報システムではなく、
管理会計の作成プロセス(つまり、ルール)に原因があります。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
5
1-3.管理会計の成否を左右する3要素
 前述の通り、多くの企業が管理会計で抱える問題点の原因は「管理会計のルール」にある、と私たちは考えています。
 中でも、「管理単位」「作成プロセス」「管理サイクル」の3要素の何れか(もしくは複数)に原因を
抱えている企業が少なからず散見されます。
第2章でポイントを解説
管理会計の成否を決定づける「管理会計ルールの3要素」
直接部門・間接部門に関わらず
管理単位
全社業績への貢献度を測定できる
 職務権限との整合性
(管理部門の扱い)
相互作用
 最小管理単位の定義
相互作用
 業務管理との整合性
管理サイクル
作成プロセス
 通常の予実管理サイクル
 作成プロセスに対する
利用者の納得
 期初の前提条件の変化に
 財務会計との整合性
対応する見直しサイクル
経営環境の変化をタイムリーに
管理会計に反映できる
従業員の行動に“変化”が発生
管理会計を使った意識改革の達成
つまり…
管理する為の管理会計へ…
相互作用
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
© CIO-Partners co.,ltd
禁無断転載
レベルアップ
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
6
第2章
管理する為の管理会計のポイント
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
7
2-1.管理する為の管理会計の基本①
~データはボトムアップ~
管理
単位
 管理会計を作成する為のデータは、ボトムアップ(小さい単位からの積み上げ)が基本です。
 しかし、配賦処理を乱用している企業ほど「大きな単位のデータを分解する事」にばかり注力しています。
管理単位:最小
管理
作成
サイクル
プロセス
管理単位:大
契約
営業所
営業部
会社
 売上高
 売上高
 売上高
 売上高
 仕入原価
 仕入原価
 仕入原価
 仕入原価
 販促費用
 販促費用
 販促費用
 人件費・家賃
 人件費・家賃
 販促費用
最小管理
単位
 人件費・家賃
 広告宣伝費
 広告宣伝費
 研究開発費
最小管理単位には…
契約単位、プロジェクト単位、
顧客単位、設置ロケ単位、
消費者単位、コース単位、
店別商品(群)単位、店別の
管理会計の基本は【ボトムアップ】(
しかし、現実は…
業務単位など…
管理単位の検討も程々に…
企業毎に異なる多種多様な
共通費の見せ方(配賦処理の方法論。
最小管理単位があります。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
の流れ)
の流れ)ばかり
検討しているケースが散見される。
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-2.管理する為の管理会計の基本②
~権限と責任の一致~
管理
 管理会計におけるモラルハザードとは、「作成したアウトプットを真剣に直視しない」状態です。
単位
 つまり、出てきた結果(多くは、部門利益など)に正面から向き合わず、評価される為に“上”から押し
付けられた便宜的な尺度に過ぎない、と半ば諦めに近い考えを多くの管理者が持つ状態と言えます。
 このモラルハザードの原因は多種多様ですが、最も多い原因のひとつに
管理
作成
サイクル
プロセス
権限と責任(管理会計上の責任)の不一致 が挙げられます。
例えば…
無秩序
支店長の責任
社長
=∑営業所長の責任
委譲されている職務権限
となっている企業も多い。
他部門へ配賦して
ばかりだと陥りがち
しかし現実は、営業所長で
本部長
決裁・決定できず、支店長
レベルに決裁を仰いで、
支店長
初めて決定できる事項も少
配賦ばかり振られて
くると、陥りがち
なくない。
こうした決裁権(権限)に
見合う責任が、営業所長の
営業所長
管理PLではなく、支店長
無気力・無関心
の管理PLに直課され、
支店長の管理責任が明確に
なっているのか…
求められる責任の範囲(≒求める管理会計責任の範疇)
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
が焦点にあたる。
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-3.最小管理単位と管理体系
管理
 最小管理単位は、(1) 売上と直接原価が把握できるか? (2) 属性情報を使って様々な管理軸の基礎として
単位
活用できるか? (3) 日頃、追いかけている収益部門の担当者が明確か? の3つの観点で検討します。
更に…
収益部門の担当者が日頃、
追いかけている単位
管理
作成
サイクル
プロセス
それぞれの管理軸
と管理の階層
部門別の管理会計
営業所
最小管理単位
支店
事業部
全社業績
顧客別の管理会計
顧客
企業
企業
グループ
業種
商品別の管理会計
最小管理単位は…
属性情報を使って
部門別・顧客別・商品別など
様々な管理軸の基礎
となる単位
別業績
商品
アイテム
チャネル別の管理会計
…
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
セグメント
ブランド
商品群
IR情報
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-4.配賦処理のメリット・デメリット
 配賦処理が全て悪い訳ではありません。
 しかし、配賦処理を多用する事で、管理会計が機能不全に陥って
いる企業が少なくありません。
◎
×
管理
単位
配賦処理のメリット
 安易に導入しやすい
部門人件費
200
営業部
管理
作成
サイクル
プロセス
 損益を算出・把握しやすい
(例では支店PLで部門経費を控除した利益を管理できる)
 費用計上時に細かく分けて入力する必要がない、など
支店A
売上
原価
800
630
人件費① 100
売上
原価
人件費
配賦処理のデメリット
支店C
支店B
600
420
80
売上
原価
人件費
600
450
60
60
人件費② 80
(営業部からの配賦分)※売上基準で配賦
60
支店利益
30
▲10
支店利益
40
支店利益
何でもかんでも配賦すれば良い…という単純な話では
ない。むしろ…
そのコストは、誰が管理するべきか
が肝心
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
 営業部の人件費の増減が、支店利益の増減に直接影響
を及ぼす。
配賦は各支店長にとっては「管理不能費」
時には、「支店利益」の目標を達成する為に売上を
増やす以外に選択肢がなくなる事も…
 支店PL上で直接分と配賦分の人件費が混在し、管理
が難しくなる(事もある)。
 営業部では全ての人件費が一旦、支店PLに賦課され
る為、コストコントロールへの意識が希薄になる傾向
にある。
時には、営業部長の責任は「支店長の尻叩き」と
勘違いしている様な場合も…
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-5.共通費の「みなし展開」(1)
管理
 管理ありきで検討した結果、共通費を配賦処理ではなく、みなし処理で展開する事があります。
単位
 共通費をみなし展開する事で、コスト発生部門と負担部門の責任分担の明確化を図る事などが可能。
代表的な利用例
1. 本社の費用を現場の収益部門に展開する時
管理
作成
サイクル
プロセス
2. 配送コスト等を、顧客単位などの最小管理単位に展開する時、など
 共通費を「みなし展開」する際のポイントとメリット
No
1
管理基準の適用ポイント
費用はコスト発生部門
につける
適用ポイントの補足や例示
① 共通費と実額の差額はコスト発生部門
の責任で管理する。
② この際、差額がコスト発生部門の生産性
や効率性を表す指標となる様に単価を検
討する。
2
3
共通費の単価やレートは
事前に設定する
共通費の為の管理科目を
活用する
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
③ 極端に精緻さを追求しない。
④ 複数パターンを組み合せる事もある。
(例)本社費と本部費の併用など
関連する勘定科目に相当する金額を、No2
で検討する単価に加味する。
例:本社の人件費や家賃、減価償却費、
為替差損益等の相当額を「本社費」とする
メリット(本社費用で適用時)
a.
本社の管理責任が明確に
なり、コスト管理性が強化
b.
想定外のコスト増減の
影響がいきなり収益部門に及
ばない
c. 共通費を負担する単位の
本来の収益性を把握可能
d. 現場のPLがシンプルになる
e. 共通費の負担部門の
直接費と混在しない
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-5.共通費の「みなし展開」(2)
管理
 共通費の「みなし展開」を使った代表例を掲載
共通費の科目
例1:本社費、本部費
単位
例2:ルート配送料
管理
作成
サイクル
プロセス
本社で発生する以下の費用
各センターで発生する以下の費用
本社の人件費、地代家賃、減価償却費、
外注費、車両リース料、運転手の人件費、
為替差損益、広告宣伝費、など
燃料費、交通費、車両諸税、など
支店や営業所
顧客(配送先)
 人数基準(単価)
 配送回数基準(単価)
業績予測の機動的な修正
共通費の展開
 売上高基準(レート)
 配送量基準(単価)
共通費として1クッションを
基準(例)
 顧客数基準(単価)
 通過料基準(レート)
設ける事で期初の前提条件から
 一律単価
 一律単価 ※統一単価
政策的に単価を見直す事も可
共通費に含まれ
る内訳
共通費の負担先
※全部門の統一単価
外部環境が著しく変化した時、
能!(2-7で紹介)
共通費と実額の
本社の業務体制と全社の事業動向の適合
差額の意味合い
性を表す
 2~3パターンを組み合せる事もある
備考・補足
例:本社費と本部費など
 本社で少し「有利差異」が生じる様に
設定する方がリスクが小さい
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
各センターの配送効率を表す
 センター間の配送効率を比較する為に、
単価は全社一律で設定する
※センター毎に細かく単価を設定しない
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-6.「管理基準」と財務基準の使い分け(1)
管理
 管理ありきで検討した結果、一部の管理会計単位に財務会計と異なる基準を用いる事があります。
単位
 管理基準と財務基準を使い分ける事で、本社と現場の責任分担の切り分け、管理責任の明確化が可能。
代表的な利用例
1. 現場スタッフの人件費を、配属先の部門PLに賦課する時
管理
作成
サイクル
プロセス
2. 現場が利用する設備の減価償却費を、利用部門の部門PLに賦課する時、など
 管理基準と財務基準を使い分ける際のポイントとメリット
No
1
2
3
管理基準の適用ポイント
実額を直接つけない
財管の差額を政策コスト
と位置づける
関連する勘定科目を
パッケージ化する
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
適用ポイントの補足や例示
管理基準として予め設定した単価やルール
に基づく費用を直接部門で管理する。
極端に精緻さを追求しない。
適度の有利差異が財管差額の管理部門で
生じる様に意識する。
メリット(人件費で適用の場合)
個人情報・プライバシーの
保護
人事への不要な現場介入を
予防(圧力低減)
人事部の本来のミッション
と原資の関係が明確化
教育等もおざなりにならない
関連する勘定科目の相当額を、No1で検討
する単価に加味する。
例:人件費の場合の社会保険料など
現場のPLがシンプルになる
(管理し易くなる)
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-6.「管理基準」と財務基準の使い分け(2)
管理
例示
財務基準と管理基準を使い分けた現場スタッフの人件費の管理(例)
単位
管理単位が小さくなると「人件費の扱い」で悩むケースが少なくない。
 個人の給与が特定できるのは、絶対NG
管理
作成
サイクル
プロセス
 給与の高いベテラン社員を嫌がる現場の管理職が、
ますます増えそう…
 現場では目先の損益にばかり関心が集まり、
全社レベルは、財務基準
教育研修等の投資が益々、敬遠されるのでは…
のみで構成される。
会社PL
※管理基準は相殺
管理基準の単価表(例)
標準単価
主管
@900,000.-
…
資格
@700,000.-
主査
@550,000.-
主事
@400,000.-
…
主事補
@300,000.-
売上高
xx,xxx,xxx
…
参事
支店AのPL
給与(管理)
1,650,000.管理基準
で計上
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
参事:1名
主査:1名
主事:1名
本社(人事部の管理単位)
管理基準の総額と
同額をマイナス計上
給与(管理)
▲ 16,500,000.給与手当
14,020,000.-
財務基準の実額
を一括計上
法定福利費 1,400,000.賞与引当金
700,000.-
部門利益
380,000.-
財管の差額は人事
部の政策的な投資
の原資に活用する
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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2-7.前提条件の変化への対応方法(管理基準の調整)
管理
グラフ:輸入物価指数と為替レートの動向(2006年1月の数値を”100”として作成)
140
2006
2007
2009
2010
2011
2012
単位
2013
2014
2015
120
作成
サイクル
プロセス
輸入物価指数
100
80
60
管理
平均値の指数でさえ
これだけ変動する。
為替レート
つまり、前提条件は
変化して当然!
期間:2006年1月~2015年12月(出所)総務省・統計局
市況の変化
(為替・資材価格等)
財管の差額
管理単位の
損益に影響
財管差額の要因分析
管理会計の
基準値を改訂
改訂基準に照らして判断
外部要因 or 担当部門の
期初の前提値と比べて
運営に問題がある?
●●%以上の変動が●●ヶ月
一過性 or 長期トレンド?
以上連続している、など
翌期予算を編成する時は年次で検討
しかし、見直しは随時、行う!
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
全ての管理
着地見通し
単位で新基準
(業績予測)
を適用
の修正
管理基準を採用する際は…
 出来るだけ恣意性の排除し
 プロセスの一貫性を担保
する事が肝心。だから…
事前の基準作りが欠かせない
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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第3章
管理会計を活用して一歩先を
予測するには…
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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3-1.管理会計(会計情報)と業務KPI(営業情報など)の関係
 会計情報の特性は「結果を正確・客観的に表す」事、その為に「素早い判断に活かす事が難しい事」にあります。
 従って、いくら、管理ありきで管理会計ルールを策定しても、会計情報だけを活用した「経営管理体制」には自ずと限界があります。
営業情報と会計情報のバランス
営業情報に偏重した経営管理
会計情報
会計情報
営業情報
 企業活動の結果を、正確に捉え、
営業情報
 各現場の活動(行動)と結果を
総合的に捉えた経営判断が可能
経営判断に活かす事がむずかしく
なる
例)決算期に業績を確定させてみたら、
想定より、利益が少なかった…

行動する事と結果を残す事の
バランスがとれた経営が可能に…
クレーム件数、単純な粗利情報、等
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
すなわち…
リスクを最小化した経営が可能
営業情報
 経営上のリスクを事前に捉えて、
早期の経営判断に活かす事が難し
い傾向にある…
例)売上や利益が減少している事に気付
いた時は、顧客の減少は更に深刻な
事態に陥っていた…

重点をおいてしまう傾向に…
顧客数、来店客数、販売アイテム数、
会計情報
となる
 結果を残す事より、行動する事に
営業情報の例示
会計情報に偏重した経営管理
がとれた経営管理
目先の結果を気にするあまり、
結果に直ぐに結びつかない行動が、
ないがしろにされ易くなる…
… BSC(バランススコアカード)も本来は
同様の考え方にある。
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
18
3-2.その上で「管理会計を活かして一歩先を予測」するには…
 予実管理を毎月徹底して「着地見通し」を頻繁に見直す対応は会計情報だけでも可能です。
しかし、会計情報の特性は「結果を客観的に表す」事にあります。つまり、会計
情報だけを活用した「一歩先の予測」は、自ずと限界があります。
CIOパートナーズの提言!
会計と業務のハイブリッド
 従って、管理会計を活かして一歩先を予測するには、管理会計と業務管理をハイ
に欠かせない2大要件
ブリッドした経営管理体制の実現が欠かせない、と私たちは考えています。
管理会計ルールの整備
会計情報と業務KPIを組み合せた
管理
分析の実現
単位
管理会計システムのアウトプット(各管理単位
別の売上情報や利益情報など)と、業務KPI
管理
作成
サイクル
プロセス
(来店客数や不良品率などの非財務情報)を
管理会計を活かした
一歩先の予測
が可能に…
組み合せた分析の実現する。
(分析をハイブリッド化する為の前提条件)
業務と整合性のとれた…
管理ありきのルール
(第2章で解説)
管理単位の整合性確保
先手の打てる経営
即ち、競争力の強化
管理会計と社内各部が取り組む業務管理(営業
管理、生産管理、購買管理など)の管理単位の
整合性を確保して、業務管理で明らかになった
見通しを速やかに管理会計の検証に活かせる
体制を目指す。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
19
3-3.管理会計と業務管理との管理単位の整合性を確保するには…
管理
単位
 前述の通り、会計と業務のハイブリッド化には「それぞれの管理単位の整合性確保」が欠かせません。
 その為には、商品軸や顧客軸などの管理ヒエラルキー(管理階層)を管理会計と業務管理で共通化し、
それぞれの管理単位の位置付けや関係性を整理する事がポイントです。
開発の管理単位
研究開発費
商品群PL
管理
作成
サイクル
プロセス
営業の管理単位
例:飲料水
マーケティング
の管理単位
広告宣伝費
最小管理単位以外で費用を管理している場合…
それぞれの業務の管理単位と
同じ単位で費用を管理
販売促進費
生産管理や
ブランドPL
購買管理の単位
例:ジョージア
最小管理単位で計上している場合…
商品アイテム
それぞれの業務管理の単位が
PL
管理会計上のどの単位と
している事が望ましい…
一致するのか…を、
整理する事が望ましい…
商品軸、顧客軸など…
同じヒエラルキーを基盤に
各管理の位置付けと関係
売上高
…
商品仕入…
を整理する事がポイント
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
しかし実際は、各部門の方言単位に
なっている企業を往々に見かける…
管理会計の最小管理単位
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
20
3-4.管理会計と業務KPIを組み合せた分析例
利益率が同様に低迷している
70,000
D店とE店であっても、来店
客数が増加傾向にあるE店と
売上規模と来店客数の動向が
60,000
類似しているB店とF店でも、
減少傾向にあるD店では、
D店
今後、取り組む課題の優先順位
今後の見通しが全く異なる。
は全く異なると考えられる。
50,000
F店…撤退も視野に固定費削減
B店…巻き返しの為のマーケ
ティング強化、など
月間の売上高(店舗別)
A店
40,000
E店
F店
30,000
B店
つまり…
G店
細分化した単位の管理会計情報
と営業情報(動向情報など)を
20,000
C店
10,000
組み合せる事で、一歩先が格段
に予測し易くなり
客観的な数字に
基づいた合理的な
円の大きさ:店舗利益
0
-15
-10
判断を下せる…
-5
0
5
10
15
来店客数の増減(前年同月比。%)
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
21
第4章
管理する為の管理会計の実現に向けて
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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4-1.管理会計システムの整備に向けたロードマップ
 管理会計システム整備のロードマップ(例)
管理会計ルールの検討
システム整備
管理単位
勘定科目の管理
共通費・管理基準
データ収集
の検討
メッシュの検討
ロジック検討
要件の検討
システム整備
• 業務システムの
改修
• 最小管理単位は?
• 直接費としての管理単位は?
• 本社などの扱いは?
• 共通費などでコストを認識
• 顧客軸などの管理階層
• 業務管理単位との連携 等
構築
要件の検討
する範囲は?
• 管理基準の適用範囲は?
• 利益管理DBの
データ加工
等
徐々に決め事は具体的になるが
トップダウンで決めるべき事項は最後まで多い
運用基準と
利用者
単価の初設定
向け教育
(参考)上記に沿って検討を進めた上場企業A社では…
部分の検討に56回のセッションを開催
運用・展開
管理会計システムの整備は「ルール7割・システム3割」
しかも、ルールの検討は決め事の連続。つまり、継続的にトップが関与したトップダウンの連続!
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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4-2.情報システムの全体イメージ(例)
 最後に、情報システムの全体イメージ(例)を以下に記載する。なお、管理会計データベースの実現
ソリューションには、ERPの機能を利用する例や、別にBIツールを導入する例などがある。
自動仕訳
自動仕訳
情報
情報
在庫管理システム
講演 第2~3部でご紹介
人事システム
購買システム
会計システム
固定資産
管理システム
総勘定元帳
販売システム
会計明細データ
既存システムから
管理会計用の明細データ
如何にデータを集めるか
管理基準計算用の基礎データ
がシステム整備の鍵
管理会計用の明細データ
管理基準計算用の基礎データ
各種マスタ・データ
各種マスタ・データ
 管理会計用マスタ
の更新
管理システム
(グループ会社)
 仕訳データの変換
会計明細情報
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
管理会計
データベース
 管理基準値の算定
 各種指標の計算、等
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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4-3.最後に…管理する為の管理会計を実現する為のポイント
 第1部の締めくくりとして、「管理する為の管理会計」を実現する為のキーポイントをまとめ、総括とします。
最優先すべきは「如何に管理すべきか…」
管理
単位
第2章
管理会計を上手く活用できていない企業の多くは、「財管一致」に拘りすぎ、配賦処理を多用した結果、
作成プロセスが複雑化している事に原因があります。
管理
作成
サイクル
プロセス
管理会計の本質は「管理会計の情報提供を通じて、社員の意識の変化を促し、企業体質の強化を図る」
事にあります。その為には、責任の所在を明確化する事を優先した「管理ありきのルール作り」こそ
最も重要といえます。
会計と業務の「ハイブリッド」こそ、有効活用のカギ
会計情報
営業情報
第3章
予実管理を徹底して行い、着地見通しを頻繁に見直す等の対応は会計情報だけでも可能です。しかし、
会計情報の特性は「結果を客観的に表す」事にあります。つまり、会計情報だけを活用した「一歩先の
予測」には自ずと限界が生まれます。
従って、一歩先を予測するには、「会計情報」と「日々の業務管理の情報(業務KPI)」の双方の
特色を活かしたハイブリッド型の経営管理こそが、唯一の実現手段といえます。
管理会計の整備には「トップダウン」が欠かせない
第4章
管理会計システムの成否は「ルールの出来/不出来」で決まります。しかし、管理会計のルール作りは、
多くの利害関係者が関わる為、個別最適の視点では結論が出ない事が往々にあります。
こうした環境の中で管理会計の整備を進めるには「経営トップの強いリーダーシップ」が不可欠です。
「ルール:7、情報システム:3」の取り組み姿勢の下、一貫してトップが積極的に関与し続ける体制
こそ、管理会計の整備には欠かせない、といえます。
管理会計セミナー「一歩先を予測し、生産性の向上につなげる為の管理会計を考える」
第1部『業務との整合性がカギ! 管理する為の管理会計とは…』
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