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ビジネスモデルの構築と 事業成功の鍵
100万kWの発電所⇒365日×24h稼働すれば 8.76×109kWh(1012⇒テラ) 宮城県の一年間の電力使用量 ⇒9.27×109kWh⇒106万kWの発電所で済む 長野県の一年間の電力使用量 ⇒10.3×109kWh⇒118万kWの発電所で済む ⇒126万kWの不安定再生エネルギー用意可能 宮城県もやる気になれば長野県同様に再生 エネルギーによるバックアップ電源用意可能 1 野沢発電所(大町市):NPO 地域づくり工房 最大流量0.13m3/s、有効落差1.2m、最大電 力700W、カナダベンチャー設計、ベトナム生産発 電機、費用約12万円(RITE助成、2004年) 1村1自然エネルギープロジェクト 約17万円/kWとい うコスト 2 長野県内の新エネルギー設備導入状況 発電 太陽光 小水力 バイオマス 地熱 風力 一般水力 廃棄物 コージェネ 揚水力 燃料電池 合 計 機器数 民間割合 設備能力 民間割合 31,405 98% 134,520kW 94% 175 3 1 8 11 4 27 5 2 81% 958,341kW 33% 1,475kW 0% 50kW 75% 608kW 100% 675,300kW 0% 8,270kW 63% 32,617kW 100% 2,185,840kW 50% 425kW 399.7万kW 89% 88% 0% 100% 100% 0% 91% 100% 94% (平成24年4月1 日現在) 揚水発電は夜に10の燃料を使って汲み上げても、それを昼に取り出す時には6の電力にしかならない。 3 動かすたびに10のうち4が無駄になる。電力の平準化用 水の持つエネルギーを電気エネルギーに変 換、発電量P[W]=9.8[m/s2]×1,000[kg/m3] ×流量Q[m3/s]×有効落差H[m]×効率 η(約0.72)=7.06×1,000QH[kg・m2/s3= J/s=W]=7.06QH[kW] 取水位 水 路 水圧鉄管 流量 Q[m3/s] 発電量 P[kW] 発電機 落差 H[m] 放水位 水車 4 小水力発電機の開発:(株)マルヒ「すいじん 3号」最大出力3KWで58万円⇒市場価格の 200~300万円の約5分の1。発電機の直 径14cm、プロペラ部分の最大幅は35cm 5 設備利用率は太陽光:12%、風力:20~30%、小 水力:60%。必要発電コスト:バイオマスや太陽光 >小水力≑洋上風力>陸上風力や地熱 19.1~ 22.0(2 010⇒ 2030) 2004年試算 17.4~ 32.2(2 010⇒ 2030) 2030年試算 33.4~ 38.3⇒ 9.9~ 20.0 2010年試算 6 候補地の選定 工事費、発電量、電力用途先・量、発電設備等の 基本調査・概略設計、事前協議 事業性評価(経済性、環境貢献、地域振興等) 許認可申請(電気事業法43条主任技術者選任届等、電気事業法48条工事 計画の事前届出、河川法23条水利使用等許可申請、売電契約・基本協定締結) 事業計画の策定(建設の全体計画や資金調達 計画策定、詳細設計、発注準備) 発電所建設(資機材手配、工事発注、 竣工検査、通水試験、機能確認) 運転開始と 維持管理 7 流量・落差から事業の採算性分析(最大185日、常 時130日+最大20日) 最大流量 0.5m3/s、500m管路長 1m3/s、500m管路長 落差、D/C[万円/kW] 20m、80 30m、63 20m、69 30m、54 常時発電流量 0.25m3/s 0.25m3/s 0.5m3/s 0.5m3/s 最大発電出力C 68.6kW 102.9kW 137.2kW 205.8kW 年間発電量A 48.1万kWh 72.2万kWh 96.2万kWh 144.3万kWh 20年間総発電量 962万kWh 1,443万kWh 1,924万kWh 2,886万kWh 20年間総経費 3.17億円 3.42億円 5億円 5.43億円 工事費B 1.88億円 2.03億円 2.97億円 3.22億円 建設単価B/A 390円/kWh 281円/kWh 309円/kWh 223円/kWh 電気設備工事費D 55.2百万円 64.6百万円 94.4百万円 110.4百万円 人件費 25.5百万円 27.6百万円 40.4百万円 43.8百万円 減価償却費 178百万円 193百万円 282百万円 306百万円 平均発電単価 32.9円/kWh 23.7円/kWh 26.0円/kWh 18.8円/kWh 34円/kWh回収 19.9年 11.9年 13.6年 8.7年 8 成功のポイント 安定した発電量 供給可能(水利 権に関与しない 水流量確保) 需要を他人に (自給自足)依 存しない(電灯 だけ、逆流なし) トラブルなし、メイン テナンスなし(草取 り、ゴミ取り)で運転 操業easy 簡易な装 置と設置 も簡単に 導水管は流されな い、壊れない、土 砂崩れなし、雪に 潰されない、凍ら ない 9 非潅漑期用水量は農地や潅漑用水路の維 持管理用水、普通期用水量の約30%。非 潅漑期も用水路に水が流れているか否か も調査必要。 非灌漑期( 3月1日~ 3月31日) 0.42[m3/s] 灌漑期(4月1日~ 5月31日) 0.39 代かき期(6月1日~ 6月30日) 0.62 灌漑期(7月1日~10月10日) 0.55 非灌漑期(10月11日~ 2月28日)0.28 農業用水を利用する場合、灌漑期(6月1日~9月25日) と非灌漑期では水量変動⇒水豊富な灌漑期には4台運 転、非灌漑期には1台運転。発電機の台数を季節によっ て変え、農業用水路の水量の変化に対応した発電。 10 2013年4月になって河川法改正⇒出力 1,000kW未満の小水力発電に対し認可の 手続きが大幅に簡素化 農業用水 や水道用 水等、既 に水利使 用権のあ る水を利 用して水 力発電 3つの課題:水利権の許可、維持管理の面倒、年間の 11 安定した水量確保による採算性 結論:行政が試算シートを作成公表⇒初期 投資が重く、持続的に発電事業を行うため には採算性⇒水利権獲得が鍵 小水力発電設備⇒設置先の水路 の形状などに合わせて設置⇒出力 1kW当たり100万円以上⇒利益剰 余金など事業の見通しが不可欠 12 第5章.バイオマス発電の可能な仕組み 順送式ストーカ燃焼式自然循 環式ボイラー、8.85t蒸気/h 長野森林資源利用事業協同組 合(長野市):木質チップ加工品等 の共同販売、立木の素材生産事 業、林産品の共同購入、木質系 廃材を利用したボイラー発電施 設管理運営、木質チップ等の利 用に関する調査研究他教育及び 情報の提供 13 木材チップの生産 組合員施設から年間15,000t購入、500円/t 月々で生産する木材チップ量にバラ ツキがあり、絶対量の確保が難しい、 温水の再利用も難 14 秋田プライウッド(株) 従業員:280人、合板、木質フローリング、インテリア 用合板等の製造。工場で使用する電力270万kWh/ 月の78%は木質バイオマスを燃料とした自家発電 4,500kW、210万kWh、買電1,500kW(1989年4月開 始)⇒工場で使用する蒸気の100%が自家発電時の 熱利用。各工場から廃材を空気搬送で収集してボイ ラー燃料に使用⇒発電した電力や蒸気を同社各工 場で利用。 ストーカー焚きボイラー +蒸気タービン 15 秋田プライウッド 種類 工場廃材 間伐材 家屋解体材 バーク 合計 使用量[m3/月] 5,110 540 440 410 6,500 合板生産用原木の廃材の他に、家屋解体材を400~500m3/月購 入(納入元で選別後に破砕、チップ加工物で3円/kg程度。間伐材 は秋田県の森林組合や素材生産組合の秋田杉。間伐材の原木 導入量は2,500m3/月で、廃材量約500m3/月。破砕したチップ 水 分含有量 25% 、杉の間伐材の水分含有量 50%以上) 16 木質系バイオマスの全国平均取引価格約2.5 円/kg。製紙用途約8円/kg、堆肥用途は低価 格で逆有償の場合も多い。木質系バイオマス の取引は150億円程度の規模 最近は石炭火力発電所における混合利用が進展⇒2002年の電気事 業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法、H24 は80.2億kWh義務⇒0.1%以下)による。2010年末時点で、全国で16か 所の石炭火力発電所が未利用間伐材等の混合利用を実施又は計画 発表。石炭火力発電所における木質バイオマスの混合率は1〜数% 17 程度、数万トン/(年・site)。自社有林材や送電線保守作業の伐採木。 バイオマスボイラーの問題 ボイラー規模 年間稼働時間 発熱量(水分45%) 単位 重油ボイラー チップボイラー kW hr/年 700 7,300 10,860Wh/l 2,500Wh/kg 燃料量(6ha皆伐) 年間(η=100%) 470.5m3 2,044t ボイラー価格 減価償却費 7,940 397 万円 万円(20年) 250 12.5 燃料値段 円/kg 84.5円/l 年間燃料費 千万円 3.98 固定費を上回る年数(間伐なら27ha) 5年で黒字化のチップ費 1(高知、静岡2.5) 0.204 2.04年 7.5円/kg 18 大型ボイラー需要者と森林所有者共同体による 木質バイオマス実証実験結果(H17~18年) :岩手・木質バイオマス研究会 単位 木材 C重油 石炭 廃タイヤ 木屑 バーク 購入単価 円/kg 2.3 58.0 9.0 1.0 1.0 1.0 水分率 % 55.0 0.0 9.0 0.0 40.0 50.0 発熱量A kcal/kg 2,693 10,000 5,800 7,600 3,100 3,000 チップ化費 円/kg 0.9 - - - - - 出荷経費 円/kg 1.0 - 0.2 1.0 1.0 1.0 公害対策費 円/kg - - 0.4 2.0 - - 灰処理費 円/kg 1.2 2.0 1.2 1.2 1.2 1.2 合計 円/kg 3.1 2.0 1.8 4.2 2.2 2.2 燃料単価 B 円/kg 5.4 60.0 10.8 5.2 3.2 3.2 熱量単価 kcal/円(A/B) 499 167 537 1,462 967 938 燃料種 燃料性状 処理費用 木質エネルギーの運送⇒生産地から需要地までの距離30km限界。60km⇒輸送コストは総コ ストの30%を占める。発電など大型ボイラーはハンマークラッシャー対応可能、住宅や温水 19 プール等小型ボイラーは形状が一定の切削型チップ 原料調達難(チップ価格3000円/t以上の時も)⇒原 料の収集・運搬という川上工程とエネルギーとして の利用という川下工程がうまく連携できない悩み エネルギー利用 原料の収集運搬 製材 加工 廃棄 樹皮・鉋屑 収集コスト高く 採算が取れない × 事業所用ボイラー 連携が 廃棄物 見られ 処理費 ず相互 流通し ない 農業用ボイラー 20 ガス化を経るものは設備減価償却コストを含め 特に高いコスト構造⇒補助金なしで81.4円/kWh、 補助金ありで52.5円/kWh⇒採算が合わない 牛糞バイオマスの例 ⇒糞尿2万t、発電機340kW 人件費 支出 薬品費 委託費 減価償却費 光熱水道費 収入 糞尿等処理費 0 0.5 売電収入 1.0 1.5 2.0 2.5 21 日本の廃棄物系バイオマスのオイル換算量 バイオマス 年間発生量 メタンガス 生産量(発 酵効率30~ 50%)の原油 換算 下水汚泥 約7,800万t 食品廃棄物 約1,900万t 家畜排泄物 約8,800万t 家庭生ゴミ 合計 65.5万kl 148.2万kl 158.4万kl 約1,100万t 86.0万kl 約19,600万t 458万kl ナノ化 グラインダー 技術により発酵 効率80~90% 916万kl(約0.5 億tの廃棄物 から0.1億tの メタンガス) 液肥を乾燥・顆粒化し肥料製品化⇒フレームジェット 装置(空冷式衝撃波乾燥装置) 22 jet火炎は1800~2000℃⇒短時間で乾燥⇒乾 燥と粉砕の同時処理⇒廃棄物を紛状乾燥⇒ 燃焼筒中で燃焼しO2はゼロ⇒物は燃焼しない Jetバーナー 乾燥・粉砕処理タンク ダクト 減容乾燥粉 溶融炉 炭化炉 採集器 23 畜糞・下水汚泥バイオメタンガス化発電運営試算 収入 処理費用 56.9 百万円/年 経費削減 売電料 431.0 百万円/年 1,261kW発電×365日 液肥 7.3 百万円/年 乾燥肥料化 合計 495.2 百万円/年 39円/kWhで売電 支出 電力設備 102.1 百万円/年 有機物をNGU(ナノ化グラインダーユニット)でナノ化すること で、地元の土着微生物菌による有機物を消化する働きを飛 躍的に向上 38.5 百万円/年 前処理とNGU設備 30.1 百万円/年 メタン発酵 18.4 百万円/年 発電設備、ガスエンジン方式でη=40% 15.0 百万円/年 後処理等、RO膜で濃縮後乾燥肥料化 人件費 25.9 百万円/年 1名ずつで三交代 維持費 91.8 百万円/年 濾過膜等 合計 219.8 百万円/年 初期コスト14.92億円 275.4 百万円/年 償却年数5.42年、IRR=18.5% 内訳 利益 24 日本におけるバイオマスボイラーの標準 的な設備費(300kWの例) 費用項目 ボイラー本体 工事費 サイロ・建屋 合計 kW単価 価格[万円] 3,000〜4,000 2,000〜4,000 2,000〜4,000 7,000万〜1.2億 23〜40.0万円/kW ドイツ(270kW、€) 585万円(4万5,000€) 42.2万円(3,250€) 351万円(2万7,000€) 978.2万円(7万5,250€) 3.6万円/kW (278€ロ) (注) 1 ユーロ=130円で計算。ドイツの場合、ボイラー本 体価格にチップ搬送装置等が含まれている。 25 青森県 民間養鶏事業メガソーラー 事業概要 ①事業者:青森県南部の養鶏事業者 ②補助: 太陽光発電協会復興支援センターより復 興補助金。建設費の10%、連系負担金(受電側接 続設備を施設)1/3 ③建設費:約4.5億円 ④売電価格:40円/kWh(税抜) ⑤契約期間:240ヵ月(東北電力) ⑥電気主任技術者:雇用 ⑦営業運転開始日:平成25年2月15日 ⑧総面積:約3ha(自社の土地活用) ⑨認定規模:1,500kW(30万円/kW) ⑩パネル枚数:10,640枚(4.23万円/枚) ⑪主な故障:なし ⑫発電支障:豪雪によるパネル積雪による発電 支障2日間 連系の縛り⇒他の需要家に悪影響を与えない。東北電力や需 要家の設備の保全に支障を与えない 27 HKソーラー発電の想定値と実績値 月 想定発電量 (kWh) 実績発電量 (kWh) 売電収入 発電量アップ (円) 率(%) 4 132,391 215,546 8,621,840 63 5 188,076 221,069 8,842,760 18 6 181,923 235,026 9,401,040 29 7 171,429 192,166 7,686,640 12 8 171,031 231,447 9,257,880 35 9 136,872 170,692 6,827,680 25 合計 981,722 1,265,946 50,637,840 29 発電量up率はNEDO標準値に比し変換効率、パワーコン効 率が向上した、月毎の天候が良かったことを意味する。 注)発電量は所内動力を差し引いた電力会社への供給電力 量。パワーコンディショナー効率(250kW):95.6% 第6章.結論 成功する鍵は、 ①命を賭ける推進者+支援者の存在 ②資金力もしくはビジネス支援するエスコ的存 在の利用・協力者の存在 ③ニーズが多様か、もしくは国の施策に合致し ている(補助金の必要な産業はすぐに沈む) ④ビジネスモデルを描くことができる人がいる ⑤ビジネスの仕組み、特に必要な設備が簡単 なこと ⑥自給自足が原則という事業スケール 29