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鍛造-サーマル開発部 110114.indd
鍛 造 株式会社サーマル 開発部 強さと伸びを両立した超微細結晶粒Mg合金 レアアース(希土類)を添加しないバルク材 表面温度・放散熱量シミュレーション等を駆使し約 1.開発の目的 100 倍(体積比)の大型化を実現した。 Mg 合金は実用金属中最も比強度が高いが伸びが小 結晶粒微細化は特定アスペクト比のブロックに対し さく加工性が悪いため軽量化によるメリットがありな 一軸鍛造を軸方向を変えながら繰返すことにより大き がら利用が進んでいない。当社はレアアース(希土類) な歪を与える「多軸多段鍛造(MDF)」による。 を添加しない AZ 系 Mg 合金の結晶粒を超微細化し強 3.開発の成果 さと伸びが両立したバルク材を製造する技術および装 置を開発した。 (1)引張強さ 428 MPa、伸び 29 %、結晶粒径 0.63 m を実現しジュラルミン以上の特性が得られた。 2.開発の内容 3 (2)バルク材(ブロック)の容積は約 1,000 cm 。 大学の研究室で行われた自由鍛造による小さな試験 3 片(体積 9 cm )での超微細結晶粒 Mg 加工実験から型 鍛造と温度制御技術を組み合わせることにより実用部 (3)高価かつ貴重なレアアース(希土類)を添加しな い高強度 Mg 合金材を製造できた。 (4)超微細結晶粒 Mg 合金は 2012 年 4 月出荷開始予定。 3 (文責:菅原健一) 品製作可能な大きさ(体積 1,000 cm )程度まで大型化 することができた。 本技術にはワークに対する均一かつ急速な加熱が要 表 1 引張強さと伸びの向上 引張強さ MPa 求される。鍛造時の荷重に耐えること・熱効率が良い こと・作業性の良いこと(ワークセット時や取出しは 素早く安全にできること)・温度制御が精密にできる こと、等も重要である。 比重の違い:マグネシウムの軽さ AZ61 (押出材) MDF 後 (押出材との比較) 295 12 428 (145%) 29 (242%) 表 2 アルミニウム合金との比較 引張強さ MPa 44 % 減 66 % 減 77 % 減 鉄 7.9 チタン 4.5 アルミ 合金 2.8 伸び % ジュラルミン (A2014 -T4) MDF 材 (AZ61) 伸び % 427 20 428 29 マグネシウム 合金 1.8 (超微細結晶粒 Mg バルク材から 削出加工) 図 1 材質変更による軽量化 写真 1 製作部品例(ステム) 1,4,7…Pass X Z Y ⊿ε= 0 . 8 σ 写真 2 加工前後の結晶粒径 株式会社サーマル 開発部 2,5,8…Pass 3,6,9…Pass 〒 173 - 0014 東京都板橋区大山東町 38 - 8 TEL. 03 - 3962 - 4011 FAX. 03 - 3963 - 0694 http://www.e-thermal.co.jp/ 図 2 多軸多段鍛造(MDF)の概念図 わ が 社 の 素 形 材 技 術 最 前 線 鍛造-サーマル開発部 110114.indd 1 Vol.52(2011)No.1 SOKEIZAI 23 2011/01/20 18:30:42